JP4077236B2 - 中空ラック部材の製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は車両の操舵機構などに使用されるラックバーを管材を素材として鍛造により成形する方法及び装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
車両の操舵系の部品であるラックバーは、通常、中実の棒材を素材にブローチによって切削加工されていた。しかしながら、中実故に重く、また、パワーステアリング等に用いられる歯形傾斜角が変化する可変歯車比(所謂VGR)ではその溝幅が変化するのでブローチ切削では加工そのものがなしえない。そこで、軽量化及び可変歯の成形を可能とするためパイプ材から中空ラックバーを鍛造成形するものが特開平3−5892号公報や特開平5−169181号公報や特開平6−246379号公報などに開示されている。しかしながら、これらの従来技術に開示されたラックバーの鍛造成形は各種の問題点を内在しており、本発明者は特願2001-15439 などにおいてその改善策を既に提案している。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
中空ラックバーの鍛造成形に際してはパイプ材は歯型を有した金型により保持され、金型により保持された素管に芯金を圧入し、歯型に向けての素材の半径方向の張り出し(素材金属の塑性流動)を惹起させ、ラック歯の成形を行っている。したがって、所期の精度のラックバーとするためには素材の断面積管理が肝要である。しかしながら、素材となるパイプ材はメーカーからの供給段階ではその内外径及び肉厚はJIS等の所定の公差に管理されているのみで、鍛造成形用の素材としては精度が不十分であり、そのままでは鍛造成形時に金属流動の大きな変動と共に過剰成形力を要する原因となり、これが製品精度低下の原因及び治工具に過重な負担がかかることによる寿命短縮の原因となっていた。また、後工程の焼き入れにおいて、中空製品は外方を割型で押さえ込んで焼き入れしても内径への熱歪の逃げは一切規制できず、素管の内径が市販品の公差のままでは芯金挿入による逃げ防止も行い得ない。そのため、中空ラックバーの焼き入れは特殊工法を必要とし、その分手間暇がかかり、コスト増の原因となっていた。更に、鍛造では移動距離の短い移動し易い方向に金属の流動は惹起される。そのため、形状によっては単純均一断面積化での均等荷重負荷形状芯金では、金属流動に過不足を生じ易く、高性能が得られない。そこで、複数本の芯金の形状を不均等形状に仕上げて金属に不均一流動を与える工法も提案されていたが、この工法はコスト的には大いに不利であると共に軸方向の金属流動調整には無効であった。
【0004】
この発明は以上の問題点に鑑みなされたものであり、素管からのラックバーの鍛造に関し、製品精度を高めると同時に治工具の寿命をも延長し、さらなる低コストをも実現することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明によれば、素管をその外周側よりラック成形用型によって素管のラック成面を平坦に圧潰した状態にて保持し、素管に心金を圧入することにより素管の平坦に圧潰されたラック成形面に前記ラック成形用型に応じた歯形状を鍛造工程により成形するようにした中空ラック部材の製造方法において、素管の圧潰及びこれに引き続く芯金圧入による歯形の成形よりなる前記鍛造工程に先立ち、スエージングによる縮径を行い、次いで縮径された素管の外径を、素管のラック成形面の両端部に対応する両端内周部に円形形状からの半径外方への膨れ部分を形成したクランプ金型により保持しつつアイヨニングによる内径しごきを行うことによって素管の内外径を調整すると共にラック成形面の両端部に対応する部位における素管の断面形状を両肩の張った異形に成形する工程を具備し、内外径調整及び異形成形後の素管に対し素管の圧潰及びこれに引き続く芯金圧入による歯形の成形よりなる前記鍛造工程に付すことを特徴とする中空ラック部材の製造方法が提供される。
【0006】
請求項1の発明の作用・効果を説明すると、この発明において中空ラックバーの成形は歯型により保持される素管に芯金を挿入することにより行われる。芯金の挿入により材料は歯型に向けて塑性流動される。そして、鍛造工程に先行した塑性加工による素管の断面形状の調整は歯型に向けての適正な金属流動を確保し、切削工程なしで数十μ単位の公差での高い最終製品精度を得ることと、歯型に加わる荷重の適正化と、その長寿命化を実現することができる。そして、調整による数μ単位での部材内径の厳密な管理は、後工程における焼入れ時に、しっくりした芯金を挿入した状態での押さえ込み焼き入れが可能となり、焼入れ歪を最小に押さえるために、焼き入れ処理時に用いられる挿入芯金の形状・寸法公差・材質と、高周波コイルの形状・周波数・磁力密度・渦巻電流選択などの適合によって低原価の理想的な焼き入れ製品を得ることができる。
芯金の圧入により材料が歯型内に流動し成形が行われるが、軸方向移動限の内径側の肉は歯型内に鍛造流動するよりも、距離が短く逃げやすい軸方向若しくは歯幅方向の解放部に一部が流動するためのこの部分の歯型鍛造量は不足気味となる。これはラック精度不良の原因となる。この発明では圧入工程前に素管の断面形状を円形や異形などの所定形状に成形しておき、そのままでは流動不足になる部分において断面形状を増肉しておくことにより流動不足分を補正し、所期の鍛造工程の実施が可能となる。また、歯型鍛造にあたって、歯幅全体に均一に張り出しを行わせる必要は必ずしもなく力伝達に十分なピニオンとの噛合幅があればよい。従って、鍛造歯型の歯幅の両側は開放せしめられていることが通常である。しかしながら、そのままでは歯幅方向への肉の逃げ量が増大されて、噛合不足を招く恐れがある。この発明では鍛造成形前のアイヨニングによる断面形状管理により素管断面形状を不均一化すること、即ち、長手方向及び幅方向の端部において素管の肉厚を増大しておくことで所望の肉の流れを得ることができる。即ち、不均一断面積形状の管理はマイタギヤ及び VGR 化によるピッチ変化や斜角変化による歯部の溝幅の拡縮変化、芯金移動による歯成形部軸方向の開放両端図の肉量の不足現象、鍛造歯幅左右両端部の肉の不足現象に対応するように行う。これにより、金属移動距離は均一化されるので、あえて複数の芯金への不均等形状化仕上げを行うことなく、クランプ型一型のみの異形化で成形力抑制と治工具長寿命化と精度向上と噛合率向上とに役立たせることができる。
スエージングにより素管の縮径を行い、その後のアイヨニングにより所期の外径で所期の肉厚でかつ偏肉を含めた所期の断面形状を鍛造に先立って素管に付することができ、製品の精度向上と治工具の寿命の延長に寄与させることができる。
【0008】
請求項2の発明の作用・効果を説明すると、芯金の圧入により材料が歯型内に流動し成形が行われるが、軸方向移動限の内径側の肉は歯型内に鍛造流動するよりも、距離が短く逃げやすい軸方向若しくは歯幅方向の解放部に一部が流動するためのこの部分の歯型鍛造量は不足気味となる。これはラック精度不良の原因となる。この発明では圧入工程前に素管の断面形状を円形や異形などの所定形状に成形しておき、そのままでは流動不足になる部分において断面形状を増肉しておくことにより流動不足分を補正し、所期の鍛造工程の実施が可能となる。また、歯型鍛造にあたって、歯幅全体に均一に張り出しを行わせる必要は必ずしもなく力伝達に十分なピニオンとの噛合幅があればよい。従って、鍛造歯型の歯幅の両側は開放せしめられていることが通常である。しかしながら、そのままでは歯幅方向への肉の逃げ量が増大されて、噛合不足を招く恐れがある。請求項2の発明では鍛造成形前のアイヨニングによる断面形状管理により素管断面形状を不均一化すること、即ち、長手方向及び幅方向の端部において素管の肉厚を増大しておくことで所望の肉の流れを得ることができる。即ち、不均一断面積形状の管理はマイタギヤ及びVGR化によるピッチ変化や斜角変化による歯部の溝幅の拡縮変化、芯金移動による歯成形部軸方向の開放両端図の肉量の不足現象、鍛造歯幅左右両端部の肉の不足現象に対応するように行う。これにより、金属移動距離は均一化されるので、あえて複数の芯金への不均等形状化仕上げを行うことなく、クランプ型一型のみの異形化で成形力抑制と治工具長寿命化と精度向上と噛合率向上とに役立たせることができる。
【0027】
【発明の実施の形態】
以下この発明によるラックバーの成形のための一連の工程について順を追って説明すると、先ず、鍛造に先立った準備工程として断面形状の調整が行われる。即ち、素材としてのパイプ材(素管)としては製管メーカーから供給されるが、JISの公差に準じたばらつきを有しているため、所期の断面形状となっておらず、これが芯金圧入による歯型鍛造時の精度低下及び歯型などの治工具の寿命短縮の原因となる。この発明においては塑性加工(スエージング及びアイヨニング)により所期の断面形状を得るようにしている。即ち、図1において10はスチール製の素管、12はスエージング用のダイスである。(イ)の段階では素管10は適当な手段により保持され、次いでダイス12が矢印a方向に移動され、段階(ロ)はダイス12が移動した状態を示し、素管10はその外径がダイス12の内径に縮径される。その後、ダイス12はa´のように反対方向に復帰移動され、縮径後の素管10から抜去される。このようにして、スエージングにより塑性加工による素管10の縮径が完了される。
【0028】
次は、素管10の断面形状の異形化などの所定形状への成形工程を説明すると、この実施形態では後述の本工程でのラック鍛造時のラック両端部の両端での歯幅確保のための断面異形化を行っている。すなわち、ラック鍛造時においては鍛造用芯金頭部は素管に圧入されることにより半径方向の肉の張り出しを行い、素管に金型に応じた歯型を成形するが、鍛造用芯金の両端側では軸方向への肉の逃げが多く、幅方向への肉の流れが不足し、歯幅が短くなり、ラック歯は平面的に上から見て舟形になり易い。ラック両端での歯幅が不足勝ちになるという傾向を解消し、ラック両端でも必要な歯幅を確保するため素管の両端での肉厚を大きくとりうるように異形断面の素管形状を得るようにしている。即ち、(ハ)において、素管の断面形成手段は芯金14と所定形状付与クランプ金型16とから構成される。所定形状付与クランプ金型16は上下の半割型16-1及び16-2から構成される。段階(ハ)においては芯金14は素管10に挿入された状態を示す。芯金14はその先端にアイヨニングのための拡径頭部14-1を備えている。他方、上下の半割型16-1及び16-2は開放状態にある。この状態から上下の半割型16-1及び16-2は矢印のように相互に対向するように又は半割型16-1及び16-2のいずれか一方が移動され、(ニ)に示すように上下の半割型16-1及び16-2は合体せしめられ、上下半割型16-1及び16-2に当接する素管10の外径は幾分縮径される。図2(A)は(ニ)のA-A線に沿った金型中央部の上下の半割型16-1及び16-2の断面形状を示しており、上下の割型共にその内周面16-1a及び16-2aは半円形状をなしている。他方、図2(B)は(ニ)のB-B線に沿った金型両端部の上下の半割型16-1及び16-2の断面形状を示しており、下側の割型16-2はその内周面16-2bは半円形状をなしているが上側の割型16-2はその内周面16-2aは両端が膨れた異形形状をなしている。もとより、A-A線部を含めた、アイヨニング加工全長部に亘って、B-B線部状、即ち、図2の(B)断面状に不均一化することも容易に可能である。
【0029】
素管の断面異形化工程は図1の(ニ)の状態から矢印bの方向に芯金14を引き抜くことによるスエージングにより行われる。芯金14の引き抜きにおいてその頭部14-1は素管10の、所定形状付与クランプ金型16により保持されている部分の内径より幾分大きく、他方所定形状付与クランプ金型16の両端には内周の膨れ部分16-1bが存在している。そのため、スエージングによる肉の流動はこの膨れ部分16-1bにも惹起され、図2の(B)に示すように金型両端における素管10の部位は上面の両肩部分100が肉厚となった異形断面を呈する。(ホ)は芯金14の抜去後の状態を示し、断面異形化により肉厚とされたラック歯の両端となる素管の部分100も示されている。このような、金型両端における素管10の部位を肉厚にした異形化によりラック鍛造におけるラック両端での歯幅の確保を実現することができる。
【0030】
以上の実施形態の説明では異形化は金型両端における素管10の部位を厚肉にすることにより金型16の両端部位での歯幅確保を行ったものであるが、この発明における異形化の思想は歯幅方向両端における肉の逃げの対策にも解決手段として役立たせることができる。即ち、金型の中央部においても歯幅方向両端では肉の逃げが起こり得、これは歯幅方向両端での歯高の不足を惹起せしめる。この対策として、金型の中央部においても歯型の両端部を図2(ロ)に準じて異形化しておき、肉厚となるようにしておくことができ、このような異形化により、スエージングにより歯幅方向の両端において肉の量に余裕があるため、歯幅両端での歯高の歯高の不足を回避することができる。
【0031】
以上の断面異形化工程においては、素管10は所定形状付与クランプ金型16により強力クランプされた状態で芯金14により壁肉厚が強力にしごかれて減肉(アイヨニング)され、素管の内外径の表面粗度は、所定形状付与クランプ金型16と芯金14の表面粗度が転写され、1〜2μmの表面粗度と共に、数μの内外径公差の加工を容易に実現することができる。
【0032】
図3〜図7は以上のように予備成形された素管からの傾斜歯型のラック部材の成形のための金型18を示す。ラック成形金型18は上型20と下型22とを具備している。上型20は支持部材24と、ホルダ26と、歯型28と、ロック駒30と、ラック突き出しピン32, 33とから構成される。歯型28はその下面に凹凸部28-1を備えており、凹凸部28-1は鍛造成形すべきラック部材の歯型に準じた形状をなしている。図7(イ)は鍛造成形されたラック部材34の平面図であり、この実施形態では鍛造により形成すべきラック部材34は傾斜歯34-1を備えたものを意図しており、そのため図3において歯型28のラック歯状凹凸部28-1もラック部材の歯型に応じた傾斜形状をなしている。ホルダ26は適宜の手段により支持部材24に固定される。そして、ホルダ26は歯型28の収容のための貫通した細長い歯型埋め込み開口26Aを形成している。歯型28は支持部材24との突当面にライナ33を介在させた状態で埋め込み開口26Aに装着される。そして、図3に示すように開口26Aへの歯型28の装着状態では歯型28の下面の凹凸部28-1は歯型ホルダ26から幾分突出している。ロック駒30は歯型28を装着した状態で開口26Aの対向壁面との間に打ち込まれ、ロック駒30は幾分のテーパ形状をなしているため、ロック駒30の打ち込みにより歯型28はホルダ26に強固に固定することができる。ホルダ26はシリンダ部26-1を備えており、このシリンダ部26-1にラック突き出しピン32及び33が摺動自在に挿入される。ラック突き出しピン32及び33はシリンダ部26-1への油圧の導入方向の切り替えにより出没され、その突出動作により鍛造後のラック部材の突き出しが可能となる。このラック突き出しピン32及び33は油圧による抜き動作が可能であればよく通常の油圧シリンダでは必要となるシール部品が省略可能であり、その分構造としては単純化しうる。なお、ラック突き出しピン32及び33の出没動作用の油圧配管や切り替え弁は必要であるが、簡明化のため図示は省略している。
【0033】
ラック歯鍛造成形に先立って上型20と下型22とは素管10を介して相互に向き合うように移動合体され、この合体状態を図3に示す。このとき、図5(イ)及び図6(イ)に示すように歯型28の凹凸部28-1が素管10の上面に当接し、歯型28の凹凸部28-1が当接する素管10の上面であるラック成形面10Aはやや平坦状に圧潰される。図6(イ)に示す、予備成形工程におけるスエージングにより肉厚化された部分100は、このやや平坦状に圧潰されたラック成形面10Aの両端に位置している。
【0034】
図3において素管10の開口部と対向して鍛造用芯金40が配置される。図では鍛造用芯金40は片側のみに図示されているが、この出願人の先願にて開示したように鍛造用芯金40は両側に設けられ、素管10への芯金40の圧入を左右から交互に繰り返し的に行うことによりラック部材の鍛造成形が行われる。芯金40は先端の案内部40-1と、作用径が徐々に拡大する複数の拡頭部40-2, 40-3と拡頭部40-2, 40-3の背後の油溝部40-4, 40-5を備えており、歯型28により平坦化された素管の部位に拡頭部40-2, 40-3が作用することにより半径方向、即ち、凹凸部28-1における凹部への素材の塑性流動が惹起され、凹凸部28-1の形状に応じたラック歯を素管に鍛造成形することができる。即ち、図5及び図6において(ロ)は素管10に芯金40を圧入した状態を示し、芯金40の挿入により素管の上面平坦部分10Aの肉が半径外方に張出され、10″で示す肉の部分が歯型28の凹凸部28-1における凹部に流動することにより図7(イ)のラック歯34-1が形成される。そして、図5における歯型中央部では歯幅方向の全体にわたった肉の流動は比較的スムースに行われ、所期の歯幅のものを得ることができる。しかしながら、歯型の両端部(ラック成形面10Aの両端部)では軸方向に逃げやすくそのままでは鍛造後の歯幅が不足気味となり、従来は図7の(ロ)に示すような中央で歯幅が大きく両端で小さい舟形のラック歯を有したラック部材となりやすかった。然るに、この発明では歯型28の凹凸部28-1に当接する素管の部位の両端は図6に示すように両側が厚肉部分100となるように異形化されている。そのため、図6(ロ)に示すように芯金40を圧入時において歯幅の両端にも流動しうるような余裕を持っているため図7(イ)に示すように中央から両端に至るまでは幅がそろった歯部34-1を備えたラック部材34とすることが可能である。
【0035】
以上述べたように即ち、芯金による内径側からの張り出し成形鍛造時に、軸長手方向の歯型鍛造の前後端部は金属流動の逃げが起こり易い開放部となるが、この部分の減肉を押さえるため、図2(B)に示すように歯型鍛造部位の歯幅の中央側の肉厚t1に対してt2になるように異形化加工しておくことにより、鍛造に先立つ異形化によって肉の逃げの生じやすい開放部位における所定歯幅の確保を1型のみで実現する。また、歯型鍛造部位の軸長手方向の左右両端部も金属流動の逃げが起こり易い開放部であるが、この部位においても同様な異形化を行うことができる。このような金属流動の逃げが起こり易い開放部の肉厚化により所期の歯幅を確保することができる。従来は、異形の芯金を複数本使用することにより対処していたが、それでも軸長手方向の逃げは対処不可能であった。この発明では1型のみの異形化によりに歯幅方向及び軸方向の双方の逃げに同時に対処することができる点で優れている。
【0036】
図8及び図9はこの発明における鍛造成形用芯金の別実施形態を示す。この実施形態においては芯金で140はその拡頭部140-1, 140-2が中心線143に対して傾斜している。拡頭部140-1, 140-2の傾斜角度はθにて表され、この傾斜角度は一つの拡頭部140-1又は140-2による、歯型128の隣接した複数の歯溝に対する同時的な張り出し作用(歯型128に対する素材の肉の流動)を可能とするものである。例えば、図9では第1の拡頭部140-1 が歯型128の隣接する溝128-1, 128-2に対して張り出しを行い、第2の拡頭部140-2 が歯型128の隣接する溝128-3, 128-4に対して張り出しを行っている状態を示している。このような歯型128の隣接する溝128-1, 128-2又は128-3, 128-4に対する一つの拡頭部128-1又は128-2による同時的な張り出し作用により芯金140より歯型128にかかる荷重を分散させることができ、芯金や歯型の寿命を延長することができる効果がある。
【0037】
図10及び図11は別実施形態の芯金240を示しており、芯金240は勾配式であり、緩く傾斜した拡頭部を備えており、この拡頭部に山形に傾斜した油溝240-1が間隔をおいて平行に多数形成される。そのため、4〜6段以上の連続噛合となり、よりスムースな荷重の移動を得ることができる。即ち、この実施形態では4〜6段相当の拡頭部による張り出し量相当を連続せる勾配面一つで達成できる。そして、油溝に傾斜を設けつつ、多数の油溝が後加工で容易に自在に設けうるので、10本前後必要とする芯金の加工費用が大幅に削減しうる。変形実施形態として山形の溝240-1の代りに単なる多数の並行な傾斜溝でもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1はスエージング及びアイヨニングによる素管の断面積管理工程を示す図である。
【図2】図2は異形化後の素管の断面形状を示す図であり、(A)は図1のA-A線に沿った断面図、(B)は図1のB-B線に沿った断面図である。
【図3】図3は素管よりのラックバー鍛造装置の断面図である。
【図4】図4は図3のラックバー鍛造装置における金型の底面図図である。
【図5】図5は図3のV−V線に沿って表される断面図であり、(イ)は平潰し時、(ロ)は芯金圧入時を示す。
【図6】図6は図3のVI−VI線に沿って表される断面図であり、(イ)は平潰し時、(ロ)は芯金圧入時を示す。
【図7】図7は鍛造により得られるラックバーの平面図であり、(イ)は本発明、(ロ)は従来技術により得られたものをそれぞれを示す。
【図8】図8は芯金の別実施形態を示す図である。
【図9】図9は図8の芯金による金型内での鍛造時の断面図である。
【図10】図10は芯金の更に別の別実施形態を示す図である。
【図11】図11は図10の芯金による金型内での鍛造時の断面図である。
【符号の説明】
10…スチール製の素管
12…スエージング用ダイス
14…芯金
16…クランプ金型
18…ラック成形様金型
20…上型
22…下型
24…支持部材
26…ホルダ
28…歯型
30…ロック駒
32, 33…ラック突き出しピン

Claims (1)

  1. 素管をその外周側よりラック成形用型によって素管のラック成面を平坦に圧潰した状態にて保持し、素管に心金を圧入することにより素管の平坦に圧潰されたラック成形面に前記ラック成形用型に応じた歯形状を鍛造工程により成形するようにした中空ラック部材の製造方法において、素管の圧潰及びこれに引き続く芯金圧入による歯形の成形よりなる前記鍛造工程に先立ち、スエージングによる縮径を行い、次いで縮径された素管の外径を、素管のラック成形面の両端部に対応する両端内周部に円形形状からの半径外方への膨れ部分を形成したクランプ金型により保持しつつアイヨニングによる内径しごきを行うことによって素管の内外径を調整すると共にラック成形面の両端部に対応する部位における素管の断面形状を両肩の張った異形に成形する工程を具備し、内外径調整及び異形成形後の素管に対し素管の圧潰及びこれに引き続く芯金圧入による歯形の成形よりなる前記鍛造工程に付すことを特徴とする中空ラック部材の製造方法。
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