JP4076144B2 - 中空糸膜の製造方法及び中空糸膜 - Google Patents

中空糸膜の製造方法及び中空糸膜 Download PDF

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は中空糸膜の製造方法及びその製造方法によって得られる中空糸膜に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、血液浄化用の中空糸膜として、セルロース系、セルロースアセテート系、ポリアミド系、ポリアクリロニトリル系などのポリマーを主体とする膜素材が使用されてきたが、近年では、透析合併症の原因として挙げられるβ2ミクログロブリン等の低分子蛋白を血液から効率よく除去する目的で高性能の透析膜が望まれている。特に、ポリスルホン系樹脂をベースに親水性ポリマーであるポリビニルピロリドン(以下、PVPと称する)を少量添加した血液浄化膜は生体適合性にすぐれ、分子量分画性にも優れており、急速に普及してきている。これらの血液浄化用のポリスルホン系中空糸膜の製造方法については数多く知られており、例えば、特許文献1〜3に製造方法が記載されている。
【0003】
しかしながら、PVPを添加したポリスルホン系の血液浄化膜にあっては、添加するPVPが少量であるにもかかわらず、紡糸の過程で析出したポリスルホン骨格の表面にPVPが濃縮する傾向があるため、膜の透過性能や生体適合性等の諸特性に与えるPVPの影響は意外に大きいことが予想される。一方、PVPは、K値(後述の式(1)で与えられるグレードの一つで、例えば、K15,K30,K60,K90が市販されている。)において同一のものであってもロット間差を有しており、また、化学構造上の理由から保管状態に依存して経時分解を起こしやすいという特性がある。そして、これらのロット間差や保管条件などによる物性のバラツキは、PVPの分子量が大きいほど顕著に現われる傾向がある。これらのことから、本発明者らは、原料として用いるPVPの物性を、受け入れ規格や保管管理といった様々な観点から厳密にコントロールしないと、得られる膜の諸特性が不安定になるおそれがあることに気付いた。現在、これらのコントロール因子が未だ十分に知られていない以上、安定して高品質な膜製品を安定供給することができる新たな製造方法が望まれる。
【0004】
【特許文献1】
特公平2−18695号公報
【特許文献2】
特公平5−54373号公報
【特許文献3】
特開平6−165926号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記の従来技術の問題点を解消し、品質が安定した中空糸膜、特に、血液浄化膜を安定供給することができる製造方法を提供することを課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を達成すべく鋭意検討した結果、紡糸に用いるPVPがたとえ一定グレードのものであっても、受け入れロットの微妙な違いや保管条件の影響によって特定の粘度範囲を外れてしまうと、得られる膜の分画分子量が不安定になることを見出した。そして、原料として用いるPVPを、その水溶液粘度を指標として予め特定範囲に調整したのちに、そのPVPを用いて膜を製造すると、分画分子量が安定した高品質の膜が得られることを見出し、以って本発明を完成するに至った。
【0007】
すなわち、本発明は、
(1) ポリスルホンとポリビニルピロリドンとを溶剤で溶解してなる紡糸原液から中空糸型の中空糸膜を製造する方法であって、ポリビニルピロリドンを溶剤で溶解する際に、20℃における10wt%水溶液の粘度が250mPa・秒以上、400mPa・秒以下である加熱処理されたポリビニルピロリドンを用いることを特徴とする中空糸膜の製造方法、
2) 40℃以上、90℃以下の温度で加熱処理されたポリビニルピロリドンを用いる上記(1)記載の中空糸膜の製造方法、
3) 中空糸膜が血液浄化膜である上記(1)または(2)記載の中空糸膜の製造方法、
4) 上記(1)〜(3)のいずれかに記載の中空糸膜の製造方法によって作られる、β2−ミクログロブリンの篩係数が0.8以上アルブミンの篩係数が0.05以下の中空糸膜、及び
5) 中空糸膜が血液浄化膜である上記(4)に記載の中空糸膜、
に関するものである。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の詳細を述べる。
本発明で言うポリスルホンポリマー(以下、PSf)とは、スルホン結合を有する高分子結合物の総称であり特に規定するものでないが、例を挙げると
【化1】
Figure 0004076144
または
【化2】
Figure 0004076144
に示される繰り返し単位をもつポリスルホン系ポリマー樹脂が広く市販されており、入手も容易なため好ましく用いられる。前者の構造を持つポリスルホン樹脂はアモコ・エンジニアリング・ポリマーズ社より「ユーデル」の商標名で、またビー・エー・エス・エフ社より「ウルトラゾーン」の商標名で市販されており、重合度等によっていくつかの種類が存在する。
【0009】
本発明のポリビニルピロリドン(以下、PVP)は、N−ビニルピロリドンをビニル重合させた水溶性の高分子化合物であり、アイ・エス・ピー社より「プラスドン」の商標名で、また、ビー・エー・エス・エフ社より「コリドン」の商標名で市販されており、それぞれいくつかの分子量のものがある。ポリスルホン膜を効率的に親水化する目的においては、重量平均分子量が36万程度の高分子量のPVPを用いるのが好ましく、本発明では、次式で定義されるK値が88〜94の高分子量のPVPを原料として受け入れるのが好ましい。
【式1】
Figure 0004076144
ここで、CはPVP濃度(PVP重量/水溶液容量)%で、Zは濃度Cの溶液の相対粘度である。
【0010】
本発明で用いる高分子量のPVPは、K値がわずかに違っても紡糸原液にした時の粘度が大きく変わり、また、同じK値のPVPであっても経時的に劣化し、K値が下がってくるため、紡糸原液にした時の粘度や膜の透過性能が大きく変わってしまう。本発明者らは、紡糸原液を調整する際のPVP粘度が重要であることを見出した。従って、受け入れたPVPロットや、受け入れてから紡糸するまでの期間、保管条件等を考慮して、工業的に安定生産できるよう紡糸原液を調整する際のPVP粘度をコントロールする必要がある。
【0011】
これに関して本発明者らが検討したところ、紡糸原液の調整に用いるPVPが、その水溶液粘度が特定の範囲を満たす場合にはそのまま、あるいは、外れているものであっても、特定の水溶液粘度範囲を満たすように紡糸原液の調整時に処理すれば、分画分子量が安定した血液浄化膜が得られることが分かった。
ここでいう水溶液粘度とは、PVPを蒸留水に溶解して10wt%水溶液とし、その粘度を回転式粘度計(例えば、HAAKE社製;VT500)を用いて20℃にて測定した値を言う。
【0012】
本発明では、ポリスルホンとPVPとを両方の共通溶剤で溶解して紡糸原液を調整し、これを用いて中空糸型の血液浄化膜を製造するが、この際、PVPの水溶液粘度が250mPa・秒から400mPa・秒の範囲にあることが必要である。水溶液粘度が250mPa・秒よりも小さい場合、PVPの分子量が小さくなりすぎ、血液と接触する中空糸内表面の親水性が十分でなく、生体適合性を確保できない。十分な生体適合性を確保するには、例えば、血液浄化膜の内表面のPVP濃度を33%以上にすることが好ましいが、水溶液粘度が250mPa・秒より低くなると、その表面濃度を達成できないことがある。反対に、400mPa・秒以上の水溶液粘度のPVPを用いると、原液粘度が上昇し、紡糸性が不安定になるおそれがあるばかりでなく、分子量分画性が低下する。分子量分画性が低下する理由については、非常に大きな分子量のPVPを含んだPVP原料から調整した紡糸原液を用いると、紡糸工程でこの大きな分子量のPVPが膜表面から脱落することによって膜にミクロな構造的欠陥が生じるためではないかと推測できる。水溶液粘度が280mPa・秒から350mPa・秒のPVPを使用することがより好ましい。
血液浄化膜の内表面のPVP濃度は、33%以上45%以下が望ましい。表面PVP濃度は、生体適合性の観点からは高ければ高いほど好ましいが、あまり高いとPVPが溶出する可能性があるので、45%を上限とした。
【0013】
上記の特徴を有するPVPは重合等によって得ることができるが、通常、市販品として入手できるPVP(K90グレード)の水溶液粘度は400mPa・秒よりも大きく、そのままでは本発明の製造方法に用いることには適さない。また、市販品として入手できるK60グレードの水溶液粘度は250mPa・秒より遥かに小さい。水溶液粘度が250mPa・秒は、計算上K70程度に相当するもので、本発明の250mPa・秒以上、400mPa・秒以下は、通常のK90グレードやK60のバラツキ範囲には無い。
【0014】
一方、PVPは酸素存在下で長期間放置すると経時的に分解が起こり、それにつれて本発明でいう水溶液粘度も低下する。つまり、入手時のPVPの水溶液粘度が前記の粘度範囲を越えていても、一定期間保管するか、あるいは、強制的に分解を促進させることにより、所定の粘度範囲に調整して用いることができる。
本発明者の知見によれば、例えば、K90グレードのPVP粉末は、65℃の一定雰囲気(大気並みの酸素濃度)に置くと、水溶液粘度を指標として1日に15mPa・秒程度づつの粘度低下が認められる。この時、加える熱が低すぎると分解が進まず、高すぎるとPVPの分解が早すぎて制御が困難なため、40℃以上90℃以下が好ましく、50℃以上70℃以下がさらに好ましい。この加熱処理を行いながら適宜水溶液粘度をモニターし、所定の粘度範囲に収まったことを確認して紡糸原液の調整に用いればよい。なお、分解処理はγ線などの放射線照射であってもよいが、微妙なコントロールができる点で加熱処理がより好ましい。
【0015】
また、入手時のPVPの水溶液粘度が本発明の範囲に満たない場合または超える場合は、粘度範囲が高めまたは低めの別のPVPを任意の割合で混合することにより、所定の粘度範囲に調整して用いることもできる。
【0016】
ところで、紡糸原液に用いるPVPの水溶液粘度が既に本発明の範囲にある場合でも、所定の粘度範囲を下らない程度にさらに加熱処理を施して用いるとより好ましい。すなわち、同じ水溶液粘度のPVPを用いて同一紡糸条件で紡糸した場合、PVPの分解を行った方が分子量分画性が若干よくなるが、これは、熱分解により、PVPの高分子量の部分をより効果的に分解しているためと考えられる。従って、入手後のPVPの水溶液粘度が250mPa・秒以上、400mPa・秒以下の範囲にあればそのまま使用しても構わないが、熱分解をする方が好ましい。
【0017】
本発明の中空糸膜の製造方法は、従来、一般的に知られている乾湿式製膜技術を利用できる。すなわち、まず、ポリスルホン(以下、PSf)と水溶液粘度を調整したPVPを両方の共通溶媒に溶解し、均一な紡糸原液を調整する。このようなPSf及びPVPを共に溶解する共通溶媒としては、例えば、ジメチルアセトアミド(以下、DMAC)、ジメチルスルホキシド、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルホルムアミド、スルホラン、ジオキサン等の溶媒、あるいは上記2種以上の混合液からなる溶媒が挙げられる。なお、孔径制御のため、紡糸原液には水などの添加物を加えても良い。
【0018】
中空糸を製膜するに際しては、チューブインオリフィス型の紡糸口金を用い、該紡糸口金のオリフィスから紡糸原液を、チューブから該紡糸原液を凝固させる為の中空内液とを同時に空中に吐出させる。
中空内液は水、または水を主体とした凝固液が使用でき、目的とする中空糸の膜性能に応じてその組成等は決めていけば良く一概には決められないが、一般的には紡糸原液に使った溶剤と水との混合溶液が好適に使用される。例えば、0〜60重量%のDMAC水溶液などが用いられる。
紡糸口金から中空内液とともに吐出された紡糸原液は、空走部を走行させ、紡糸口金下部に設置した水を主体とする凝固浴中へ導入、浸漬して凝固を完了させる。さらに、例えば洗浄工程等を経て、乾燥工程に導入することで本発明の血液浄化膜が得られる。
【0019】
【実施例】
以下に実施例及び比較例を用いて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれにより何ら限定されるものではない。本発明によって得られる膜の特性は、以下のように評価した。
〔分画分子量〕
乾燥させて得られた血液浄化膜100本からなるミニモジュール(有効長18cm)を組み立て成型し、人血清を用いてβ2ミクログロブリン(以下β2-mg)、アルブミン(以下alb)の篩係数を測定した。篩係数の測定にあたっては、生理食塩水を加えて総タンパク濃度を6.5g/dlに調整した人血清にβ2-mg を添加したものを元液とし、これを線速0.4cm/秒でミニモジュールに通液し、膜間圧力差25mmHgの圧力をかけて濾液を採取した。続いて、β2-mgおよびalbの濃度をそれぞれEIA法、BCG法によって求め、次式(2)から篩係数を算出した。測定は5本のミニモジュールを用いておこない、平均値と標準偏差を求めた。
篩係数=濾液の濃度/元液の濃度 ・・・(2)
〔膜表面のPVP濃度〕
また、中空糸膜内表面のPVP濃度は、X線光電子分光(ESCA)によって決定した。すなわち、中空糸膜内表面のESCAの測定は、試料を両面テープ上に並べた後、カッターで繊維軸方向に切開し、中空糸膜の内側が表になるように押し広げたもの並べて試料とし、通常の方法で測定する。すなわち、C1s、O1s、N1s、S2pスペクトルの面積強度より、装置付属の相対感度係数を用いて窒素の表面濃度(A)とイオウの表面濃度(B)求め、
表面PVP濃度=100×A×111/(A×111+B×442)
より表面PVP濃度を算出した。
【0020】
【実施例1】
PVP(アイ・エス・ピー社製、K91)の水溶液粘度を測定したところ、443mPa・秒であった。このPVPを65℃の雰囲気下で7日間置き、再び水溶液粘度を測定したところ、340mPa・秒であった。このPVP4重量部、ポリスルホン樹脂(アモコ・エンジニアリング・ポリマーズ社製、P−1700)18重量部、ジメチルアセトアミド(以下、DMAC)78重量部からなる均一な紡糸原液を作成した。紡糸原液の粘度は2950mPa・秒であった。中空内液にはDMAC54%水溶液を用い、スリット幅50μmの紡糸口金から吐出させた。100cm下方に設けた70℃の熱水中に浸漬し、80m/分の速度で巻き取った。尚、膜厚を45μm、内径を200μmに合わせるように紡糸原液、中空内液の吐出量を調製した。巻き取った中空糸膜を90℃の熱水で洗浄し、さらに、85℃にて7時間熱風乾燥させ、乾燥状態の中空糸膜を得た。
得られた中空糸膜を用いてミニモジュールを作成し、性能の測定を行った。結果を表1に示す。
【0021】
[比較例3]
PVP(アイ・エス・ピー社製、K89)の水溶液粘度を測定したところ、390mPa・秒であった。本発明の水溶液粘度範囲にあったため、このPVP4重量部、ポリスルホン樹脂(アモコ・エンジニアリング・ポリマーズ社製、P−1700)18重量部、ジメチルアセトアミド(以下、DMAC)78重量部からなる均一な紡糸原液を作成した。紡糸原液の粘度は3220mPa・秒であった。それ以外は実施例1と同様の方法で中空糸膜を得た。得られた中空糸膜の性能を測定し、表1に示す。目標性能範囲にあったが、ややバラツキがあった。
【0022】
【実施例3】
PVP(アイ・エス・ピー社製、K91)の水溶液粘度を測定したところ、443mPa・秒であった。このPVPを65℃の雰囲気下で11日間置き、再び水溶液粘度を測定したところ、270mPa・秒であった。このPVP4重量部、ポリスルホン樹脂(アモコ・エンジニアリング・ポリマーズ社製、P−1700)18重量部、ジメチルアセトアミド(以下、DMAC)78重量部からなる均一な紡糸原液を作成した。紡糸原液の粘度は2440mPa・秒であった。それ以外は実施例1と同様な方法で中空糸膜を得た。得られた中空糸膜を用いてミニモジュールを作成し、性能の測定を行った。結果を表1に示す。
【0023】
【実施例4】
PVP(アイ・エス・ピー社製、K89)の水溶液粘度を測定したところ、390mPa・秒であり、本発明の範囲内であったが、このPVPを65℃の雰囲気下で7日間置いたところ、285mPa・秒となった。このPVP4重量部、ポリスルホン樹脂(アモコ・エンジニアリング・ポリマーズ社製、P−1700)18重量部、ジメチルアセトアミド(以下、DMAC)78重量部からなる均一な紡糸原液を作成した。紡糸原液の粘度は2550mPa・秒であった。それ以外は実施例1と同様な方法で中空糸膜を得た。得られた中空糸膜を用いてミニモジュールを作成し、性能の測定を行った。結果を表1に示す。実施例2と比較して、β2mgの篩係数の割に、albの篩係数が小さくなった。バラツキも少なかった。
【0024】
【実施例5】
PVP(アイ・エス・ピー社製、K91)の水溶液粘度を測定したところ、443mPa・秒であった。このPVPを65℃の雰囲気下で4日間置き、再び水溶液粘度を測定したところ、390mPa・秒となり、比較例3の水溶液粘度と同じになった。このPVP4重量部、ポリスルホン樹脂(アモコ・エンジニアリング・ポリマーズ社製、P−1700)18重量部、ジメチルアセトアミド(以下、DMAC)78重量部からなる均一な紡糸原液を作成した。紡糸原液の粘度は3200mPa・秒であった。それ以外は実施例1と同様な方法で中空糸膜を得た。得られた中空糸膜を用いてミニモジュールを作成し、性能の測定を行った。結果を表1に示す。比較例3よりも分画性が向上した。
【0025】
【比較例1】
PVP(アイ・エス・ピー社製、K91)の水溶液粘度を測定したところ、443mPa・秒であった。このPVPを65℃の雰囲気下で15日間置き、再び水溶液粘度を測定したところ、220mPa・秒であった。このPVP4重量部、ポリスルホン樹脂(アモコ・エンジニアリング・ポリマーズ社製、P−1700)18重量部、ジメチルアセトアミド(以下、DMAC)78重量部からなる均一な紡糸原液を作成した。紡糸原液の粘度は2100mPa・秒であった。それ以外は実施例1と同様な方法で中空糸膜を得た。得られた中空糸膜を用いてミニモジュールを作成し、性能の測定を行った。結果を表1に示す。分画性に問題はなかったが、内表面PVP濃度が低かった。PVPが低分子量化しすぎたためと思われる。
【0026】
【比較例2】
PVP(アイ・エス・ピー社製、K91)の水溶液粘度を測定したところ、443mPa・秒であった。このPVPを4重量部、ポリスルホン樹脂(アモコ・エンジニアリング・ポリマーズ社製、P−1700)18重量部、ジメチルアセトアミド(以下、DMAC)78重量部からなる均一な紡糸原液を作成した。紡糸原液の粘度は3550mPa・秒であった。それ以外は実施例1と同様な方法で中空糸膜を得た。得られた中空糸膜を用いてミニモジュールを作成し、性能の測定を行った。結果を表1に示す。β2−mgの篩係数に比較してアルブミンの篩係数が大きく、0.05を超えた。また、バラツキも大きかった。
【0027】
【表1】
Figure 0004076144
【0028】
【発明の効果】
本発明の中空糸膜の製造方法により、分画性に優れた血液浄化用中空糸膜を安定的に生産できるようになった。従って、本発明は、医薬用途、医療用途の中空糸膜を得るために幅広く用いることができる。

Claims (5)

  1. ポリスルホンとポリビニルピロリドンとを溶剤で溶解してなる紡糸原液から中空糸膜を製造する方法であって、ポリビニルピロリドンを溶剤で溶解する際に、20℃における10wt%水溶液の粘度が250mPa・秒以上、400mPa・秒以下である加熱処理されたポリビニルピロリドンを用いることを特徴とする中空糸膜の製造方法。
  2. 40℃以上、90℃以下の温度で加熱処理されたポリビニルピロリドンを用いる請求項1記載の中空糸膜の製造方法。
  3. 中空糸膜が血液浄化膜である請求項1または2記載の中空糸膜の製造方法。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の中空糸膜の製造方法によって作られる、β2−ミクログロブリンの篩係数が0.8以上アルブミンの篩係数が0.05以下の中空糸膜。
  5. 中空糸膜が血液浄化膜である請求項4記載の中空糸膜。
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