JP4076038B2 - 化粧シート - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、木質系基材、合成樹脂系基材、金属系基材の表面を被覆するための建材用化粧シートに関するもので、特にスクラッチ性に優れた化粧シートの耐候性を改良したものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、建築用基材として用いられる木質系基材、合成樹脂系基材、金属系基材の表面装飾用に用いられる化粧シートは、その基材シートにポリ塩化ビニルシートが多く使用されている。
例えば、ポリ塩化ビニルシートに木目模様等を印刷し、これに透明なポリ塩化ビニルシートを積層したものや、更に、透明なポリ塩化ビニルシートにエンボス加工を施したものがある。
また、ポリ塩化ビニルシートに代わるものとして、ポリエチレン(以下PEとする)、ポリプロピレン(以下PPとする)等のポリオレフィン系樹脂シートを使用した化粧シートが提案されている(特開昭54ー62255号公報参照)。
【0003】
また、ポリオレフィン系熱可塑性樹脂からなるシート(以下ポリオレフィン系樹脂シートとする)を使用した化粧シートは、紫外線により絵柄印刷層が変色したり、経時的にポリオレフィン系樹脂シートが劣化し、基材シート又は被着体との接着強度が低下して剥離が生じたり、曲げ加工等の後加工適性に問題が発生することがあるため、紫外線吸収剤を添加した基材シートを用いたり、又、紫外線吸収剤を添加した透明なトップコート層を形成して、紫外線による印刷層等の劣化を防止しているものが提案されている。
更に、ポリオレフィン系樹脂シートの装飾面に電離放射線硬化性樹脂を直接塗工し、電離放射線で硬化して耐候性のある電離放射線硬化性樹脂層を形成した化粧シートも提案されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、ポリ塩化ビニル製のシートを用いた化粧シートは、廃棄されて焼却された場合、塩酸ガスやダイオキシンの発生の恐れがあると言われているため、使用後の廃棄処理に問題がある。
また、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂に紫外線吸収剤を添加したシートを使用した化粧シートは、耐候性が不十分であると共に、紫外線吸収剤がブリードアウトして後加工のトラブルの原因となることが多い。
【0005】
また、紫外線や雨に曝露された後に、化粧シートに変色、亀裂、表面保護層との接着力の低下等の問題が生じる。特にこれらの傾向は結晶性の高いポリオレフィン系樹脂の場合が著しい。
更に、ポリオレフィン系樹脂からなる基材シートに電離放射線硬化性樹脂層を積層した化粧シートは、基材シートと電離放射線硬化性樹脂層の接着強度が弱く後加工のトラブルの原因となる。
特にポリオレフィン系樹脂シートに紫外線吸収剤を添加した場合は、紫外線吸収剤がポリオレフィン系樹脂シートと電離放射線硬化性樹脂層との間にブリードアウトして層間の接着強度を低下させる原因となる。
そのため、オレフィン系樹脂シートの表面にコロナ処理を施す方法やプライマー層を形成する方法等が採られているが、建材用に使用される化粧シートとしては充分な接着力を得ることはできなかった。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記問題を解決するために、化粧シートの構成を以下のようにした。
基材シートの表面にプライマー層及び電離放射線硬化性樹脂の硬化物からなる表面保護層を積層した化粧シートにおいて、前記基材シートが分子中に水酸基を有する紫外線吸収剤を含有するポリオレフィン系熱可塑性樹脂からなり、且つ前記プライマー層が二液硬化型ウレタン樹脂とブチラール樹脂の混合物からなることを特徴とする化粧シートとした。
また、前記基材シートの裏面にプライマー層及び絵柄層を設けたことを特徴とする化粧シートとした。
更に、前記表面保護層が、球状の無機物を含有する電離放射線硬化性樹脂の硬化物からなることを特徴とする化粧シートとした。
【0007】
即ち、本発明の化粧シートは、ポリオレフィン系樹脂シートに添加した紫外線吸収剤のブリードアウトを防止して耐候性を向上させると共に、電離放射線硬化性樹脂層とプライマー層の接着強度(初期及び紫外線曝露後の接着強度)を向上させるために、ポリオレフィン系樹脂に添加する紫外線吸収剤として分子中に水酸基を有するものを選定し、また、プライマー層として二液硬化型ウレタン樹脂とブチラール樹脂の混合物を選定して、化粧シートを構成したものである。
また、表面保護層として球状の無機物を含有する電離放射線硬化性樹脂の硬化物を形成して、表面の耐摩耗性性及び耐候性を向上させ、更に、前記基材シートの裏面にプライマー層及び印刷絵柄層を設けて、意匠性に優れた化粧シートとしたものである。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下に、図面を参照にしながら本発明を詳細に説明する。
図1は本発明の化粧シートの一例を示した模式断面図である。
図2は本発明の化粧シートの別の態様で、基材シートの裏面に絵柄層を設けたときの模式断面図である。
図3は本発明の化粧シートの更に別の態様で、表面保護層を球状の無機物を含有する電離放射線硬化性樹脂層にしたときの模式断面図である。
図4は本発明の化粧シートを作製するときの説明図である。
図5は実施例1により本発明の化粧シートを作製するときの説明図である。
図6は実施例2により本発明の化粧シートを作製するときの説明図である。
図7は実施例3により本発明の化粧シートを作製するときの説明図である。
【0009】
本発明の化粧シートは、図2に示すように、基本的には、分子中に水酸基を有する紫外線吸収剤12を含有するポリオレフィン系熱可塑性樹脂を用いて作製した基材シート(以下POシートとする)11の両面に、二液硬化型ウレタン樹脂とブチラール樹脂の混合物からなるプライマー層12を形成し、更にPOシート11の表面に電離放射線硬化性樹脂の硬化物からなる表面保護層14を形成し、POシート11の裏面には絵柄層15を形成して化粧シート1としたものである。
【0010】
また、化粧シートを貼着する基材が何らかの装飾を施している場合は、図1に示すように、絵柄層14を省略して、POシート11にプライマー層13と電離放射線硬化性樹脂の硬化物からなる表面保護層14を形成して化粧シート1とすることもある。
更に、表面保護層を耐摩耗性に優れた表面とするために、図3に示すように、球状フィラー17を含有する電離放射線硬化性樹脂を用いて表面保護層14を形成して、化粧シート1とすることもある。
【0011】
本発明においては、ポリオレフィン系樹脂の耐候性を向上させるために紫外線吸収剤を添加するが、その紫外線吸収剤のブリードアウトを防止するために、紫外線吸収剤として分子中に水酸基を有する紫外線吸収剤を選定すると共に、プライマー層として二液硬化型ウレタン樹脂とブチラール樹脂の混合物を選定した。
【0012】
プライマー層に二液硬化型ウレタン樹脂とブチラール樹脂の混合物を使用することにより、ポリオレフィン系樹脂からなる基材シートに添加した水酸基を有する紫外線吸収剤がシートの表面にブリードアウトしても、プライマー層に二液硬化型ウレタン樹脂とブチラール樹脂の混合物を用いているので、基材シートに添加した紫外線吸収剤のOH基とプライマー層中の未反応のイソシアネート基がウレタン結合し、プライマー層中に捕捉されるので、紫外線吸収剤はプライマー層を通して、電離放射線硬化性樹脂からなる保護層への移行が防止される。
また、プライマー層中のブチラール樹脂の作用により、POシートと電離放射線硬化性樹脂との接着強度が更に向上し、特に耐候性試験後の密着強度が向上するので、耐候性に優れた化粧シートを得ることができる。
【0013】
従って、POシートの紫外線吸収剤のブリードアウトを防止することにより、POシートに長期間紫外線吸収剤が保持されることになり、且つPOシートと表面保護層との接着強度の低下が防止されるので、耐候性に優れた化粧シートが得られる。
また、POシートの裏面にも同様にプライマー層を形成して、絵柄層が形成されているため、POシートからの紫外線吸収剤はプライマー層によってブリードアウトが防止され、絵柄層の接着力が低下することがないので、絵柄層の剥離がなくなり耐候性に優れた化粧シートとなる。
【0014】
次に、本発明の化粧シートの製造方法について説明する。
先ず、ポリオレフィン系樹脂に水酸基を有する紫外線吸収剤を0.1〜10重量%添加し、更に必要に応じて、光安定剤、着色剤、無機充填剤等を添加して、紫外線吸収剤を含有するポリオレフィン系樹脂のブレンド物を作り、この樹脂を用いて公知の方法によりシートを作製して、図4(a)に示すように、紫外線吸収剤12を含有するPOシート11とする。
次いで、このPOシート11の両面に、図4(b)に示すように、二液硬化型樹脂とブチラール樹脂の混合物からなるプライマー塗工液を用いてプライマー層13を形成する。
【0015】
次に、図4(c)に示すように、前記プライマー層13を形成したPOシート11の一方の面(裏面となる面)にグラビア印刷等により、絵柄層15を形成し、もう一方の面(絵柄層15と反対側)には、電離放射線硬化性樹脂を塗布して未硬化の電離放射線硬化性樹脂層14aを形成する。
次いで、未硬化の電離放射線硬化性樹脂層14aに、図4(d)に示すように、電子線又は紫外線等の電離放射線16を照射して電離放射線硬化性樹脂を硬化させて、硬化した電離放射線硬化性樹脂層14bを形成し、図4(e)に示すように、硬化した電離放射線硬化性樹脂層からなる表面保護層14を有する化粧シート1を作製する。
【0016】
また、化粧シートの耐摩耗性を更に向上させるために、電離放射線硬化性樹脂に粒径1〜100μのシリカ、αアルミナ等の球状フィラーを添加して表面保護層を形成し、図3に示すように、球状フィラー17を含有する表面保護層14を形成して耐摩耗性に優れた化粧シート1とする場合がある。
上記のように、電離放射線硬化性樹脂に球状フィラーを添加して表面保護層を形成する場合、電離放射線としては透過力の大きい電子線を使用する方が一般的である。
紫外線では球状フィラー粒子が大きくなると紫外線の透過が妨げられて紫外線硬化性樹脂への照射量が少なくなり、紫外線硬化性樹脂の硬化が不十分となる。
また、紫外線硬化性樹脂を十分に硬化させるためには、紫外線の照射時間が長くなり過ぎて生産能率が低下し、実用上の問題が生じる。
【0017】
また、本発明の化粧シートの別の態様として、表面保護層に公知の方法によりエンボス加工又はワイピング加工を施して、意匠性を高めた化粧シートにすることもできる。
【0018】
本発明に用いるポリオレフィン系樹脂としては、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、ポリブテン、エチレン−プロピレン共重合体、プロピレン−ブテン共重合体、等の高結晶質の非エラストマーポリオレフィン樹脂、或いはポリオレフィン系熱可塑性エラストマー等が使用される。
【0019】
ポリオレフィン系熱可塑性エラストマーとしては、例えば、下記のものが使用される。
(1)特公平6−23278号公報記載の、(A)ソフトセグメントとして、数平均分子量Mnが25,000以上、且つ重量平均分子量Mwと数平均分子量Mnとの比(Mw/Mn)が7以下の沸騰ヘプタン可溶なアタクチックポリプロピレン10〜90重量%と、(B)ハードセグメントとして、メルトインデックスが0.1〜4g/10分の沸騰ヘプタン不溶性のアイソタクチックポリプロピレン90〜10重量%、との混合物からなる軟質ポリプロピレンが用いられる。
【0020】
この種のポリオレフィン系熱可塑性エラストマーの中でも、加熱、加圧を用いて各種形状に成形したり、エンボス加工する場合は、所謂『ネッキング』を生じ難く、成形適性の良好なものが使用されるが、このような物性に適合するものとして、アイソタクチックポリプロピレンとアタクチックポリプロピレンとの混合物からなり、且つアタクチックポリプロピレンの重量比が5重量%以上50重量%以下のものがある。
【0021】
ポリプロピレン系熱可塑性エラストマー自体は既に公知のものであるが、包装容器等従来公知の用途に用いられる場合は、強度を重視するため、ソフトセグメントとなるアタクチックポリプロピレンの重量比が5重量%未満のものが専ら使用されていた。
しかし、本発明で目的とするような、三次元形状、乃至凹凸形状に成形したり、エンボス加工するという新規な用途にこれを適用しようとすると、前記の如くネッキングを生じて、良好な加工が不可能であった。
【0022】
そこで、本発明者は各種検討の結果、従来の組成の設計とは逆に、ポリプロピレン系熱可塑性エラストマーにおいて、アタクチックポリプロピレンの重量比が5重量%以上とすることによって、エンボス加工したり、三次元形状、乃至凹凸形状の物品に成形する際のネッキングによる不均一なシートの変形、及びその結果としての皺、絵柄の歪み等の欠点を解消することを見出した。特に、アタクチックポリプロピレンの重量比が20重量%以上の場合が良好である。
【0023】
一方、アタクチックポリプロピレンの重量比が多くなり過ぎると、シート自体が変形し易くなり、シートを印刷機に通したときに、シートが変形し、絵柄が歪んだり、多色刷りの場合に見当(Register)が合わなくなる等の不良が発生し易くなる。また、成形時に破れ易くなるため好ましくない。
アタクチックポリプロピレンの重量比の上限としては、輪転グラビア印刷等の通常の輪転印刷機を用いて絵柄層を印刷し、又シートのエンボス加工、真空成形、Vカット加工、射出成形同時ラミネート等を採用する場合は50重量%以下、より好ましくは40重量%以下である。
【0024】
(2)エチレン・プロピレン・ブテン共重合体樹脂からなる熱可塑性エラストマーが用いられる。
ここでブテンとして、1−ブテン、2−ブテン、イソブチレンの3種の構造異性体のいずれも用いることができる。共重合体としては、ランダム共重合体で非晶質の一部を含むものも用いられる。
上記エチレン・プロピレン・ブテン共重合体の好ましい具体例としては、次の(i)〜(iii)が挙げられる。
【0025】
(i)特開平9−111055号公報に記載のもので、エチレン、プロピレン及びブテンの3元共重合体によるランダム共重合体がある。
単量体成分の重量比はプロピレンが90重量%以上とする。メルトフローレートは、230℃、2.16kgで、1〜50g/10分のものが好適である。
そして、このような3元ランダム共重合体100重量部に対して、燐酸アリールエステル化合物を主成分とする透明造核剤を0.01〜50重量部、炭素数12〜22の脂肪酸アミド0.03〜0.3重量部を溶融混練してなるものである。
【0026】
(ii)特開平5−77371号公報に記載のものである。これは、エチレン、プロピレン及び1−ブテンの3元共重合体であって、プロピレン成分含有率が50重量%以上の非晶質重合体20〜100重量%に、結晶質ポリプロピレンを80〜0重量%添加してなるものである。
【0027】
(iii )特開平7−316358号公報記載のものである。これは、エチレン、プロピレン及び1−ブテンの3元共重合体であって、プロピレン及び/又は1−ブテンの含有率が50重量%以上の低結晶質重合体20〜100重量%に対してアイソタクチックポリプロピレン等の結晶性ポリオレフィンを80〜0重量%混合した組成物100重量部に対して、Nアシルアミノ酸アミン塩、Nアシルアミノ酸エステル等の油ゲル化剤を0.5重量%添加してなるものである。
エチレン・プロピレン・ブテンの共重合体樹脂は、単独で用いてもよいし、上記(i)〜(iii )のものに必要に応じて、更に他のポリオレフィン樹脂を混合して用いてもよい。
【0028】
(3)特公昭53−21021号公報に記載のように、(A)ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン等のオレフィン重合体(結晶性高分子)をハードセグメントとし、これに(B)部分架橋したエチレン−プロピレン共重合体ゴム、不飽和エチレン−プロピレン−非共役ジエン三元共重合体ゴム等のモノオレフィン共重合体ゴムをソフトセグメントとし、これらを均一に配合してなるオレフィン系エラストマー。尚、モノオレフィンゴム/オレフィン重合体=50/50〜90/10(重量比)の割合で混合する。
【0029】
(4)特公昭53−34210号公報等に記載のように、(B)未架橋モノオレフィン共重合体ゴム(ソフトセグメント)と、(A)オレフィン系共重合体(結晶性、ハードセグメント)と架橋剤とを混合し、加熱し剪断応力を加えつつ動的に部分架橋させてなるオレフィン系エラストマー。尚、(B)モノオレフィンゴム/(A)オレフィン系共重合体=60/40〜80/20(重量比)である。
【0030】
(5)特公昭56−15741号公報等に記載のように、(A)アイソタクチックポリプロピレン、プロピレン−エチレン共重合体、プロピレン−ブテン−1共重合体等のペルオキシドと混合・加熱すると分子量を減じ、流動性を増すペルオキシド分解型オレフィン共重合体(ハードセグメント)と、(B)エチレン−プロピレン共重合体ゴム、エチレン−プロピレン−非共役ジエン三元共重合体ゴム等のペルオキシドと混合・加熱することにより、架橋して流動性が減じるペルオキシド架橋型モノオレフィン重合体ゴム(ソフトセグメント)、(C)ポリイソブチレン、ブチルゴム等のペルオキシドと混合・加熱しても架橋せず、流動性が不変の、ペルオキシド非架橋型炭化水素ゴム(ソフトセグメント兼流動性改質成分)、及び(D)パラフィン系、ナフテン系、芳香族系等の鉱物油系軟化剤、とを混合し、有機ペルオキシドの存在下で動的に熱処理してなるオレフィン系エラストマー。尚、(A)が90〜40重量部、(B)が10〜60重量部で、(A)+(B)=100重量部として、これに、(C)及び/又は(D)が5〜100重量部の配合比となる。
【0031】
(6)特開平2−139232号公報に記載のように、エチレン−スチレン−ブチレン共重合体からなるオレフィン系熱可塑性エラストマーである。
【0032】
(7)極性基として水酸基又は/及びカルボキシル基を持たせ、上記(1)から(6)のオレフィン系熱可塑性エラストマー。例えば、エチレン−ビニルアルコール共重合体等のグラフト重合で水酸基を、また、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸等の共重合体でカルボキシル基を導入したオレフィン系熱可塑性エラストマーを用いる。これらの水酸基、カルボキシル基はどちらか一方、又は両方を併用してもよく、これら極性基は印刷インキ層、接着剤層等他の層との接着性を向上せしめる作用をもつ。
【0033】
上記のようなポリオレフィン樹脂シートは、カレンダー法、インフレーション法、Tダイ押出し法等の成膜方法によって、シートとすることがきる。
尚、使用するシートの厚さは用途等にもよるが、20〜300μm程度である。
これらのポリオレフィン系樹脂シートは、延伸シート、未延伸シートのいずれでも使用可能であが、Vカット加工等の成形適性は未延伸シートの方が良好である。
このシートには、紫外線吸収剤の他に、必要に応じて充填剤、難燃剤、滑剤、酸化防止剤、光安定剤等の各種の添加剤を添加する。
【0034】
本発明に用いられる基材シートとしては、透明な基材シートも用いられるが、通常は前記ポリオレフィン系樹脂に着色剤や充填剤をブレンドし、この着色樹脂を用いて公知の方法により成膜し着色シートとして使用される。
基材シートに用いられる着色剤は、基材シートに化粧シートとしての必要な色彩をもたせるものであり、用途に応じて透明着色、不透明着色が用いられるが、一般的には被着体の表面を隠蔽することが必要であり着色不透明なものが好ましい。
【0035】
着色剤として、チタン白、亜鉛華、弁柄、朱、群青、コバルトブルー、チタン黄、カーボンブラック等の無機顔料、イソインドリノン、バンザイイエローA、キナクリドン、パーマネントレッド4R、フタロシアニンブルー等の有機顔料あるいは染料、アルミニウム、真鍮等の箔粉からなる金属顔料、二酸化チタン被覆雲母、塩基性炭酸亜鉛等、の箔粉からなる真珠光沢顔料等が用いられる。
また、必要に応じて、無機充填剤を添加してもよく、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、クレー、タルク、シリカ(二酸化珪素)、アルミナ(酸化アルミニウム)等の粉末等が挙げられる。添加量は通常5〜60重量%である。
【0036】
本発明においては、上記ポリオレフィン系樹脂に紫外線吸収剤を添加して、紫外線吸収剤を含有したPOシート(ポリオレフィン系樹脂シート)として使用される。
本発明に用いられる紫外線吸収剤としては、分子中に水酸基(OH基)を有する有機化合物が使用される。
有機系の紫外線吸収剤を使用するのは、紫外線吸収剤が透明性に優れると共に、ポリオレフィン系樹脂の中から表面にブリードアウトし易すいので、紫外線によりPOシートの表面の紫外線吸収剤が消費されても、POシート中の紫外線吸収剤がブリードアウトして、POシートの表面に補充されるため、長期間に渡って紫外線による劣化を防止することができる。
【0037】
分子中に水酸基を有する有機物紫外線吸収剤としては、例えば、2−(2′−ヒドロキシ−3′,5′−ジ−tert−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアソゾール、2−(2′−ヒドロキシ−3′−tert−ブチル−5′−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−3′−tert−アミル−5′−イソブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−3′−イソブチル−5′−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−3′−イソブチル−5′−プロピルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール等の2′−ヒドロキシフェニル−5−クロロベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤類、2−(2′−ヒドロキシ−3′,5′−ジ−tert−ブチルフェニル)ベンゾトリアソゾール、2−(2′−ヒドロキシ−5′−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール等の2′−ヒドロキシフェニルベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤類等のベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、2,2′−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2′−ジヒドロキシ−4,4′−ジメトキシベンゾフェノン、2,2′,4,4′−テトラヒドロキシベンゾフェノン等の2,2′−ジヒドロキシベンゾフェノン系紫外線吸収剤類、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン等の2−ヒドロキシベンゾフェノン系紫外線吸収剤類等のベンゾフェノン系紫外線吸収剤、サリチル酸フェニル、4−t−ブチル−フェニル−サリシレート等のサリチル酸エステル系紫外線吸収剤が用いられる。
その他に、ベンゾトリアゾール骨格にアクリロイル基又はメタクリロイル基を導入した反応型紫外線吸収剤も用いられる。
尚、これらの紫外線吸収剤の添加量は0.1〜10重量%程度である。
【0038】
紫外線による各層の劣化を更に防止し、耐候性を向上させるためには、他の光安定剤としてラジカル捕捉剤を添加することが好ましい。
このラジカル捕捉剤としては、ビス−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)セバケート、ビス−(N−メチル−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)セバケート、その他、例えば、特公平4−82625号公報に開示されている化合物等のヒンダードアミン系ラジカル捕捉剤、ピペリジル系ラジカル捕捉剤等が使用される。
【0039】
本発明におけるプライマー層は、二液硬化型ウレタン樹脂とブチラール樹脂の混合物を用いて形成される。
プライマー層の厚さは0.1〜10μの範囲であり、通常は1〜5μ程度で使用される。
二液硬化型ウレタン樹脂は、ポリオール(多価アルコール)を主剤とし、イソシアネートを架橋剤(硬化剤)とするウレタン樹脂である。ポリオールとしては、分子中に2個以上の水酸基を有するもので、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、アクリルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリカーボネートポリオール等が用いられる。
【0040】
また、イソシアネートとしては、分子中に2個以上のイソシアネート基を有する多価イソシアネートが用いられる。
例えば、2,4トリレンジイソシアネート、キシレンジイソシアネート、4,4ジフェニルメタンジイソシアネート等の芳香族イソシアネート、或いはへキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、水素添加トリレンジイソシアネート、水素添加ジフェニルメタンジイソシアネート等の脂肪族乃至は脂環族イソシアネートが用いられる。或いは、これらのイソシアネート付加体又は多量体を用いてもよい。例えば、トリレンジイソシアネートの付加体、トリレンジイソシアネートの3量体(trimer)等がある。
【0041】
尚、二液硬化型ウレタン樹脂の場合の好ましい態様として、イソシアネート中のイソシアネート基(−NCO基)の数(モル数)をそれと反応させるポリオールの水酸基(−OH基)の数(反応当量)よりも多くし、ポリオールとイソシアネートとが反応した後でも、未反応のイソシアネート基を確実に、しかも多数残留させる必要がある。この場合、−NCO基/−OH基の比は最大1.4程度迄とする。
【0042】
分子末端にイソシアネート基を有するプレポリマーの分子鎖の骨格構造は任意であるが、具体的には、ウレタン結合を有するウレタン骨格、エステル結合を有するポリエステル骨格、ポリブタジン骨格等である。適宜、これらの1種又は2種以上の骨格構造を採用する。
尚、分子鎖中にウレタン結合がある場合は、このウレタン結合とも末端イソシアネート基が反応して、アロファネート結合を生じて、このアロファネート結合によっても架橋反応を起こす。
【0043】
本発明においては、ポリオレフィン系樹脂の紫外線吸収剤として分子中に水酸基(OH基)を有する紫外線吸収剤を使用し、プライマー層には二液硬化型樹脂とブチラール樹脂の混合物を用いて形成するようにする。
この組み合わせにより、紫外線吸収剤がポリオレフィン系樹脂からブリードアウトしてプライマー層に侵入すると、紫外線吸収剤のOH基とプライマー層中の未反応のイソシアネート基がウレタン結合し、プライマー層中に捕捉されるので、紫外線吸収剤のブリードアウトの進行が防止される。特に有機系紫外線吸収剤がブリードアウトし易いポリオレフィン系樹脂の場合には有効である。
また、プライマー層中のブチラール樹脂の作用により、ポリオレフィン系樹脂と電離放射線硬化性樹脂の接着強度が向上し、耐候性に優れた化粧シートを得ることができる。
本発明に用いられるブチラール樹脂としては、ポリビニルブチラール樹脂が使用される。
二液硬化型樹脂とブチラール樹脂の混合割合は、1:1が好適である。
【0044】
本発明に用いられる電離放射線硬化性樹脂としては、分子中に重合不飽和結合又はカチオン重合性官能基を有するプレポリマー(所謂オリゴマーも包含する)及び/又はモノマーを適宜混合した組成物で、電離放射線により硬化可能なものが用いられる。
尚、ここで、電離放射線とは、電磁波又は荷電粒子線の中で、分子を重合或いは架橋し得るエネルギー量子を有するものを意味し、通常、電子線又は紫外線が用いられる。
【0045】
電離放射線硬化性樹脂としては、具体的には、分子中に(メタ)アクリロイル基、(メタ)アクリロイルオキシ基等のラジカル重合性不飽和基、エポキシ基等のカチオン重合性官能基又はチオールを2個以上有する単量体、プレポリマー、オリゴマーからなるものである。
これら、単量体、又はプレポリマーは単体で用いるか、又は数種類混合して用いる。
尚、ここで、(メタ)アクリロイル基とは、アクリロイル基又はメタアクリロイル基の意味で用いており、以下(メタ)は同様の意味で用いるものとする。
【0046】
前記プレポリマー、オリゴマーの例としては、不飽和ジカルボン酸と多価アルコールの縮合物等の不飽和ポリエステル類、ポリエステルメタクリレート、ポリエーテルメタクリレート、ポリオールメタクリレート、メラミンメタクリレート等のメタクリレート類、ポリエステルアクリレート、エポキシアクリレート、ウレタンアクリレート、ポリエーテルアクリレート、ポリオールアクリレート、メラミンアクリレート等のアクリレート類、カチオン重合型エポキシ化合物等が挙げられる。
分子量としては、通常250〜10,000程度のものが用いられる。ラジカル重合性不飽和基を有するポリマーとしては、上記ポリマーの重合度を10,000程度以上としたものが用いられる。
【0047】
カチオン重合性官能基を有するプレポリマーの例としては、ビスフェノール型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂等のエポキシ系樹脂、脂肪族系ビニルエーテル、芳香族系ビニルエーテル等のビニルエーテル系樹脂のプレポリマーが挙げられる。
【0048】
カチオン重合性官能基を有する単量体の例としては、上記カチオン重合性官能基を有するプレポリマーの単量体が利用できる。チオール基を有する単量体の例としては、トリメチロールプロパントリチオグリコレート、トリメチロールプロパントリチオプロピレート、ジペンタエリスリトールテトラチオグリコレート等がある。
【0049】
ラジカル重合性不飽和基を有するプレポリマーの例としては、ポリエステル(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、メラミン(メタ)アクリレート、トリアジン(メタ)アクリレート、シリコーン(メタ)アクリレート等が使用できる。分子量としては、250〜100,000程度のものが用いられる。
【0050】
ラジカル重合性不飽和基を有する単官能単量体の例としては、(メタ)アクリレート化合物の単官能単量体、例えば、メチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0051】
ラジカル重合性不飽和基を有する多官能単量体の例としては、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンエチレンオキサイドトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0052】
電離放射線硬化性樹脂として紫外線又は可視光線にて硬化させる場合には、電離放射線硬化型樹脂中に光重合開始剤を添加する。ラジカル重合性不飽和基を有する樹脂系の場合は、光重合開始剤として、アセトフェノン類、ベンゾフェノン類、チオキサントン類、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル等を単独又は混合して用いることができる。
また、カチオン重合性官能基を有する樹脂系の場合は、光重合開始剤として、芳香族ジアゾニウム塩、芳香族スルホニウム塩、芳香族ヨードニウム塩、メタセロン化合物、ベンゾインスルホン酸エステル等を単独又は混合物として用いることができる。
尚、これらの光重合開始剤の添加量としては、該電離放射線硬化型樹脂100重量部に対して、0.1〜10重量部程度である。
【0053】
上記電離放射線硬化性樹脂に、必要に応じて各種添加剤を添加する場合がある。これらの添加剤としては、例えば、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、アクリル樹脂、セルロース系樹脂等の熱可塑性樹脂、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、シリカ、アルミナ等の微粉末からなる体質顔料(充填剤)、線量、顔料等の着色剤等がある。
【0054】
電離放射線硬化性樹脂のコーティング法としては、グラビアコート、グラビアリバースコート、グラビアオフセットコート、スピンナーコート、ロールコート、リバースロールコート、キスコート、ディップコート、シルクスクリーンコートによるベタコート、ワイヤーバーコート、コンマコート、スプレーコート、フロートコート、かけ流しコート、刷毛塗り、スプレーコート等を用いることができる。その中でもグラビアコートが好ましい。
【0055】
電離放射線硬化性樹脂を硬化させる電離放射線照射装置としては、紫外線照射装置や電子線照射装置が用いられる。
紫外線照射装置としては、例えば、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、低圧水銀灯、カーボンアーク、ブラックライトランプ、メタルハライドランプ等の光源が使用される。紫外線の波長としては、通常、190〜380nmの波長領域が主として用いられる。
電子線照射装置としては、コックロフトワルト型、バンデグラフ型、共振変圧器型、絶縁コア変圧器型或いは直線型、ダイナミトロン型、高周波型等の各種電子線加速器が用いられる。
【0056】
そして、電子線を照射する場合、加速電圧100〜1000KeV、好ましくは100〜300KeVで照射し、吸収線量としては、通常、1〜300kGy(キログレイ)程度である。吸収線量が1kGy未満では、塗膜の硬化が不十分となり、又、照射量が300kGyを超えると硬化した塗膜及び基材が黄変したり、損傷したりする。
また、紫外線照射の場合、その照射量は50〜1000mJ/cm2 の範囲 が好ましい。
紫外線照射量が50mJ/cm2 未満では、塗膜の硬化が不十分となり、また、照射量が1000mJ/cm2 を超えると硬化した塗膜が黄変したりする。
また、電離放射線の照射方法として、先ず紫外線を照射して電離放射線硬化性樹脂を少なくとも表面が指触乾燥する程度以上に硬化させ、而る後に、電子線を照射して塗膜を完全に硬化させる方法もある。
【0057】
本発明の化粧シートに設ける絵柄層は、グラビア印刷、オフセット印刷、シルクスクリーン印刷、転写シートからの転写印刷等公知の印刷法を用いて形成できるが、グラビア印刷法が好適である。
絵柄層の模様としては、木目模様、石目模様、皮絞模様、幾何学図形、文字、記号等がある。
絵柄層を形成する印刷インキのバインダーとしては、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、電離放射線硬化性樹脂等インキ化できる樹脂であればいずれも使用可能である。
本発明においては、プライマー層に二液硬化型ウレタン樹脂とブチラール樹脂の混合物を使用しているので、インキのバインダーとしては、インキの接着力の点でアクリルウレタン系樹脂が好ましい。
【0058】
本発明の化粧シートは、各種被着体に積層し、所定の成形加工等を施して、各種用途に用いることができる。
例えば、壁、天井、床等の建築物の内装、窓枠、扉、手すり等の建具の表面化粧、家具又は弱電・OA機器のキャビネットの表面化粧、自動車、電車等の車両の内装、航空機の内装、窓硝子の化粧等に利用できる。
そのために、化粧シートが直接素材等に接着できない場合は、適当な易接着層又は接着剤層を介して被着体に接着する。
しかし、化粧シートが熱融着等で被着体に接着可能な場合は、易接着層又は接着剤層は省略してもよい。
【0059】
被着体としては各種素材の平板、曲面板等の板材、シート(或いはフィルム)、或いは各種立体形状物品(成形品)が対象となる。
例えば、射出成形品等の曲面を有する成形品に対しても、本発明の化粧シートを接着することができる。
【0060】
被着体として立体形状物、板材或いはシート(フィルム)のいずれにも用いられる素材としては、木材単板、木材合板、パーティクルボード、中密度繊維板(MDF)等の木質繊維板等の木質材、鉄、アルミニウム等の金属、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレンビニルアセテート、ポリエステル樹脂、ポリスチレン、ポリオレフィン樹脂、ABS、フェノール樹脂、ポリ塩化ビニル、セルロース系樹脂、ゴム等の樹脂が挙げられる。
【0061】
【実施例】
以下に、実施例に基づいて、本発明を更に詳しく説明する。
(実施例1)
アイソタクチックポリプロピレンからなるハードセグメント75重量部に水素添加スチレン−ブタジエンゴムからなるソフトセグメントを25重量部、紫外線吸収剤として2−(2′ヒドロキシ−3′,5′−ビス−α,α−ジメチルベンジルフェニル)ベンゾトリアゾールを0.8重量部を混合したブレンド樹脂を用いて、カレンダー法により製膜し、図5(a)に示すように、厚さ120μのポリプロピレン系熱可塑性エラストマーシート11a(以下PP系エラストマーシートとする)を得た。
【0062】
次に、このPP系エラストマーシート11aの両面にコロナ放電処理を施した後、該PP系エラストマーシート11aの両面に、二液硬化型ウレタン樹脂(アクリルポリオール100重量部とヘキサメチレンジイソシアネート10重量部を混合したもの)とブチラール樹脂の1:1の割合で混合したプライマー塗工液(希釈溶剤として酢酸エチルとメチルイソブイチルケトン(MIBK)の1:1(重量比)の混合溶剤を用いたもの)を塗布し、図5(b)に示すように、乾燥後の膜厚2μmのプライマー層13を形成し、室温にて72時間養生した。
【0063】
次に、図5(c)に示すように、該PP系エラストマーシート11aの裏面に、グラビアインキ(バインダーがアクリル樹脂とウレタン樹脂を7:3の重量比でブレンドし、これに弁柄、チタン白、カーボンブラックシートを混合し、溶媒にてグラビアインキとしたもの)を用いてグラビア印刷にて木目柄を印刷して絵柄層15を設けて、印刷シート2を得た。
更に、図5(d)に示すように、該印刷シート2の表面(絵柄層15と反対側)に、下記に示す電子線硬化性樹脂をグラビア印刷方式にて塗布し、塗布量25g/m2 の未硬化の電子線硬化性樹脂層14cを形成した。
【0064】
電子線硬化性樹脂の組成
・2官能ビスフェノールA系エポキシアクリレートプレポリマー 20重量部
・2官能フェノール系エポキシアクリレート 20重量部
・トリメチロールプロパントリアクリレート 20重量部
・ウレタンアクリレート(分子量1700) 20重量部
・シリコーンアクリレート 0.8重量部
尚、上記ウレタンアクリレートは下記組成のものを使用した。
ウレタンアクリレート組成
・ポリテトラメチレングリコール(分子量1000) 1000重量部
・イソホロンジイソシアネート 444重量部
・2−ヒドロキシエチルアクリレート 232重量部
【0065】
次いで、図5(e)に示すように、上記未硬化の電子線硬化性樹脂層14cに、電子線照射装置を用いて、加速電圧175keVにて、吸収線量が50kGy(キログレイ)になるように電子線16aを照射して、電子線硬化性樹脂を架橋硬化せしめて表面に硬化した電子線硬化性樹脂層14dを形成し、図2に示すように、硬化した電子線硬化性樹脂からなる表面保護層14を有する化粧シート1を作製した。
【0066】
(実施例2)
実施例1と同様に、図6(a)に示すように、厚さ120μのPP系エラストマーシート11aを作製し、実施例1と同様に、このPP系エラストマーシート11aの両面にプライマー層13及びPP系エラストマーシート11aの裏面に絵柄層15を形成して、図6(b)に示すような印刷シート2を作製した。
次に、該印刷シート2の表面(絵柄層15と反対側)に、下記に示す電子線硬化性樹脂をグラビア印刷方式にて塗布し、図6(c)に示すように、塗布量25g/m2 の球状フィラー17を含有する未硬化の電子線硬化性樹脂層14cを形成した。
【0067】
電子線硬化性樹脂の組成
・2官能ビスフェノールA系エポキシアクリレートプレポリマー 20重量部
・2官能フェノール系エポキシアクリレート 20重量部
・トリメチロールプロパントリアクリレート 20重量部
・ウレタンアクリレート(分子量1700) 20重量部
・シリコーンアクリレート 0.8重量部
・球状フィラー(αアルミナ粒子で平均粒径25μのもの) 15重量部
尚、上記ウレタンアクリレートは実施例1と同様なものを使用した。
【0068】
次いで、図6(d)に示すように、上記球状フィラー17を含有する未硬化の電子線硬化性樹脂層14cに、実施例1と同様に、吸収線量が50kGy(キログレイ)になるように電子線16aを照射して、球状フィラー17を含有する硬化した電子線硬化性樹脂層14dを形成して、図3に示すように、球状フィラー17を含有する表面保護層14を有する化粧シート1を作製した。
【0069】
(実施例3)
実施例1と同様に、図7(a)に示すように、厚さ120μのPP系エラストマーシート11aを作製し、実施例1と同様に、このPP系エラストマーシート11aの両面にプライマー層13及びPP系エラストマーシート11aの裏面に絵柄層15を形成して、図7(b)に示すような印刷シート2を作製した。
次に、該印刷シート2の表面(絵柄層15と反対側)に、下記に示す紫外線硬化性樹脂をグラビア印刷方式にて塗布し、図7(c)に示すように、塗布量25g/m2 の未硬化の紫外線硬化性樹脂層14eを形成した。
【0070】
紫外線硬化性樹脂の組成
・2官能ビスフェノールA系エポキシアクリレートプレポリマー 20重量部
・2官能フェノール系エポキシアクリレート 20重量部
・トリメチロールプロパントリアクリレート 20重量部
・ウレタンアクリレート(分子量1700) 20重量部
・シリコーンアクリレート 0.8重量部
・ベンゾフェノン系光重合開始剤 4重量部
尚、上記ウレタンアクリレートは実施例1と同様なものを使用した。
【0071】
次いで、図7(d)に示すように、上記未硬化の紫外線硬化性樹脂層14eに、出力160W/cmの高圧水銀灯2灯を用いて、照射量が800J/cm2 になるように紫外線16bを照射して、硬化した紫外線硬化性樹脂層14fを形成して、図2に示すように、硬化した紫外線硬化性樹脂からなる表面保護層14を有する化粧シート1を作製した。
【0072】
(比較例1)
実施例1と同様に、厚さ120μのPP系エラストマーシートを作製し、このシートの両面にアクリルポリオールからなるプライマー塗工液を塗布し、乾燥後の膜厚2μmのプライマー層を形成し、室温にて72時間養生した。
以下印刷による絵柄層の形成、電子線硬化性樹脂を用いた表面保護層の形成は、実施例1と同様にして化粧シートを作製して比較例1とした。
(比較例2)
プライマー塗工液としてウレタン系プライマー液を使用した以外は実施例2と同様にして化粧シートを作製し比較例2とした。
(比較例3)
プライマー塗工液としてアクリルポリオールを用いた以外は、実施例3と同様にして化粧シートを作製し比較例3とした。
【0073】
(接着性試験)
実施例1、2、3及び比較例1、2、3で作製した化粧シートの表面に、カッターで2mm間隔の碁盤目状の切れ目を入れた後、ニチバン(株)製の24mm幅のセロハン粘着テープ(商標セロテープ)を用いて、3回剥離試験を行って、○(剥離なしの場合)、×(剥離が生じた場合)で判定した。
剥離試験の結果は表1に示すとおりで、実施例1、2、3で作製した化粧シートは層間接着は良好であった。
これに対してプライマー層にアクリルポリオールやウレタンを使用した比較例1、2、3の場合は、ポリプロピレン系熱可塑性エラストマーシートと電子線硬化性樹脂又は紫外線硬化性樹脂からなる表面保護層の間で剥離が生じた。
【0074】
(耐候性試験)
実施例1、2、3及び比較例1、2、3で作製した化粧シートを水銀灯フェードメータを用いて紫外線を48時間照射した後、化粧シート表面の色の変化を目視にて観察し、○(色変化なし)、×(表面白化)で判定した。
結果は表1に示すとおりで、実施例1、2、3で作製した化粧シートは、比較例1、2、3の化粧シートより優れていた。
【0075】
【表1】
Figure 0004076038
【0076】
【発明の効果】
本発明の化粧シートは、基材シートにオレフィン系熱可塑性樹脂を使用しているので、化粧シートが焼却処理された場合でも塩酸ガスやダイオキシン等の有害ガスが発生する恐れがなくなる。
また、基材シートにポリエチレンやポリプロピレン等の極性基を持たないポリオレフィン系樹脂を使用した場合は、基材シートと絵柄層、又は基材シートと表面保護層との接着力が不十分であったが、本発明においては、基材シートとして、水酸基を有する紫外線吸収剤を含有するポリオレフィン系熱可塑性樹脂を使用し、その基材シートの両面に、二液硬化型ウレタン樹脂とブチラール樹脂の混合物からなるプライマー層を形成し、その上に、アクリルウレタン系インキを用いて印刷層を形成し、また表面には電離放射線硬化性樹脂からなる表面保護層を形成したので、基材シートとプライマー層、又はプライマー層と印刷層、及びプライマー層と表面保護層との接着力は強力なものとなる。
そして、本発明においては、プライマー層にイソシアネート基を有する二液硬化型ウレタン樹脂を用いているので、基材シートに添加した水酸基(OH基)を有する紫外線吸収剤が基材シートの表面にブリードアウトしてきても、紫外線吸収剤のOH基とプライマー層中の未反応のイソシアネート基がウレタン結合し、プライマー層中に捕捉されるので、紫外線吸収剤が絵柄層又は表面保護層にブリードアウトすることが防止され、層間剥離を生じることがなくなる。
また、プライマー層中にブチラール樹脂が使用されているので、ポリオレフィン系樹脂シートと電離放射線硬化性樹脂の接着強度が向上し、耐候性に優れた化粧シートを得ることができる。
そのため、化粧シートを被着体に貼着して後加工する際に、Vカット適性や折り曲げ加工適性に優れたものとなる。
また、紫外線吸収剤は基材シートからブリードアウトすることが妨げられ、基材シートに長期間滞留することになるので、ポリオレフィン系樹脂からなる基材シートでも、長期間に渡って耐候性が保持される。
更に、表面保護層が硬化した電離放射線硬化性樹脂で形成されているので、耐候性に優れ、長期間紫外線に曝露されても白化等の変色することがない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の化粧シートの一例を示した模式断面図である。
【図2】本発明の化粧シートの別の態様で、基材シートの裏面に絵柄層を設けたときの模式断面図である。
【図3】本発明の化粧シートの更に別の態様で、表面保護層を球状のフィラーを含有する電離放射線硬化性樹脂層にしたときの模式断面図である。
【図4】本発明の化粧シートを作製するときの説明図である。
【図5】実施例1により本発明の化粧シートを作製するときの説明図である。
【図6】実施例2により本発明の化粧シートを作製するときの説明図である。
【図7】実施例3により本発明の化粧シートを作製するときの説明図である。
【符号の説明】
1 化粧シート
2 印刷シート
11 POシート
11a PP系エラストマーシート
12 紫外線吸収剤
13 プライマー層
14 表面保護層
14a 未硬化の電離放射線硬化性樹脂層
14b 硬化した電離放射線硬化性樹脂層
14c 未硬化の電子線硬化性樹脂層
14d 硬化した電子線硬化性樹脂層
14e 未硬化の紫外線硬化性樹脂層
14f 硬化した紫外線硬化性樹脂層
15 絵柄層
16 電離放射線
16a 電子線
16b 紫外線
17 球状フィラー

Claims (3)

  1. 基材シートの表面にプライマー層及び電離放射線硬化性樹脂の硬化物からなる表面保護層を積層した化粧シートにおいて、前記基材シートが分子中に水酸基を有する紫外線吸収剤を含有するポリオレフィン系熱可塑性樹脂からなり、且つ前記プライマー層が二液硬化型ウレタン樹脂とブチラール樹脂との混合物からなることを特徴とする化粧シート。
  2. 前記基材シートの裏面にプライマー層及び絵柄層を設けたことを特徴とする請求項1に記載の化粧シート。
  3. 前記表面保護層が、球状の無機物を含有する電離放射線硬化性樹脂の硬化物からなることを特徴とする請求項1及び請求項2に記載の化粧シート。
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