本発明は、これを使用することによって作業者が天井ボードを単独で容易に取り付けることができるようになる天井ボード仮固定具に関するものである。
建物の天井部には、通常、多数の天井ボードを取り付ける必要があるが、その取り付け作業時には該天井ボードを下方から重力に逆らって取り付けることを余儀なくされると共に、若干高所作業でもあり、効率が悪く、危険を伴う作業ともなっている。天井ボードは、例えば、梁から吊木により懸架した野縁に沿って配置され、これらの野縁と重なる部位の随所にビスをねじ込んで固定される。なお、このような天井ボードは、防音や断熱強化等の必要から場合によっては二重に重ねて取り付けられることもある。
床と同様に、天井の形状やサイズは様々であるが、通常、複数の天井ボードを順次張り合わせて計画に従った形状の天井を構成する。このような天井を構成する単位部材である天井ボードは、吸音性や断熱性等の観点から木板に限らず石膏ボードその他の種々の材質の部材も採用されており、多様である。また天井ボードは、サイズの面でも一律ではないが、多くは床板のようには強度を要求されない比較的薄い板材であり、若干大判のそれも多用されている。そのため、単独でその取り付け作業を行うことは困難であり、通常取り付けようとする天井ボードの一端側を一人の作業者が、他端を他の作業者が、それぞれ支持することになるが、このような作業態様は作業コスト増大の要因となっている。
そこで、以上のような問題の解決のために、天井ボードを一次固定する天井ボード仮固定具が提案されている。第1例は、天井桟に係止して天井ボードの一端を仮保持するボード支持具である(特許文献1)。第2例は、野縁に係止して天井ボードの側部を仮保持する取付治具である(特許文献2)。第3例は、2種類の適用個所によって使い分ける固定金具を用いる天井ボード固定具である(特許文献3)。第4例は、前面が開放し側面がコ形状で上面が上下動可能な天井ボード張り用補助具及び補助金具である(特許文献4)。
作業者は、以上に説明した天井ボード仮固定具を、それぞれ取り付けようとする天井ボードの一方の端部に近い野縁や桟に取り付け、続いて該天井ボードを持上げ、前記天井ボード仮固定具に該天井ボードの一方の端部を係止し、その上で、該天井ボードを前記野縁にビス等で固定する手順で作業を行うことができる。したがってこれらの天井ボード仮固定具を使用すれば、作業者が単独でも天井ボードを取り付けることができることは確かである。
しかし、以上の各例の仮固定具は、以下のような種々の懸念がある。即ち、それぞれ天井部の野縁や桟に係合して用いるものであるため、例えば、同一の野縁を隣接する天井ボードで共用する場合など、対応不能又は対応困難な事態も起り得る。また、野縁のサイズも必ずしも一律ではないので、野縁のサイズに応じたものを用意する必要がある。また特許文献3の天井ボード固定具のように天井ボードを取り付けた後に、その取り外しが困難乃至不可能なものもある。この場合には、野縁と天井ボードとの間に残った該固定具の一部が該天井ボード下面に凹凸を生じさせ、隣接する天井ボード間に残った該固定具の一部が該部位に隙間を生じさせる等の問題を発生させる虞もある。
特開2001−348991号公報
特開2000−110299号公報
登録実用新案第3028108号公報
登録実用新案第3019305号公報
本発明は、以上の従来技術の問題点を解決し、天井ボードを単独でも容易かつ効率的に取付可能な使い勝手の良い、かつ構成の簡単な天井ボード仮固定具を提供することを解決の課題とするものである。
本発明の1は、表裏面間を貫通する1以上の係止孔を開口した四辺形の基板部と、
該基板部の一端に90度前後の角度で垂下させた補助支持板部と、
該基板部の他端から下降傾斜状態に延長させた導入傾斜板部と、
で構成した天井ボード仮固定具である。
本発明の2は、本発明の1の天井ボード仮固定具に於いて、前記基板部に、その下面から垂下する1以上のフックを構成したものである。
本発明の3は、本発明の1又は2の天井ボード仮固定具に於いて、前記補助支持板部の先端を前記基板部側に斜めに折曲げて導入部に構成したものである。
本発明の4は、本発明の1、2又は3の天井ボード仮固定具に於いて、基板部の側部に天井ボードの厚みを越える寸法分だけ下方まで垂下させた側板と、該側板の下端から該基板部の面に平行にかつ基板部と反対側に張り出したスライド案内板とからなる調整案内部を構成したものである。
本発明の1の天井ボード仮固定具によれば、天井ボードの取り付け作業時に、作業者が支持している部位に対してより遠い方の端部又は両端部或いはその他の部位を一個以上の天井ボード仮固定具を利用して一時固定することができる。そのため作業者は単独でも天井ボードを容易かつ効率的に取り付けることができる。
本発明の2の天井ボード仮固定具によれば、天井ボードの取付作業中に、必要に応じて仮止めされている天井ボード仮固定具のフックに電動ドライバ等の種々の工具類を吊り下げておくことができるので、いちいち足下などにそれを置いたり取り上げたりの厄介な動作がなくなり、能率的な取付作業を行うことができる。また作業が夕方遅くまで又は夜まで行われ、周囲が暗くなった場合には、該フックに電灯等を吊り下げて周辺を照明するために使用することもできる。
本発明の3の天井ボード仮固定具によれば、壁に接する部位から天井ボードの取付作業を開始する際に、壁面に仮止めした天井ボード仮固定具の補助支持板部上に対象となる天井ボードの先端部を容易に装入することが可能になり、よりスムーズに天井ボードの取り付け作業を開始することができる。
本発明の4の天井ボード仮固定具によれば、現場合わせで天井ボードの寸法を合わせる場合に作業者の負担を軽減して能率的にそれを行い得るようにすることができる。
本発明の天井ボード仮固定具は、基本的に、係止孔を開口した基板部と、その一端に構成した補助支持板部と、該基板部の他端から延長した導入傾斜板部とで構成したものである。
前記基板部は、基本的には、平面から見て四辺形の板状部材であり、通常は、幅10mm、長さ50mm、厚さ1〜2mm程度の金属帯状部材をそれとして採用するのが適当である。勿論、幅200mm、長さ500mm程度の比較的大判の金属板材を採用することも可能であり、このサイズは使用者の都合によって種々自由に決定することができる。なお必要な強度等が確保できればこの基板部の材質は金属に限らない。
前記係止孔は、ビスや木ねじ等の係止手段をこれを通じて仮止め対象にねじ込んで固定する際に使用する孔要素である。この天井ボード仮固定具の仮止めは、天井ボードを固定するためにビス等をねじ込む予定の部位を利用してビス等によって行うものとし、対象の天井ボードに無用のビス孔等を生じさせないようにすべきものであり、それ故、該係止孔は、仮固定対象の天井ボード用のビス等を使用できる寸法の孔として構成しておくべきものである。またその数は基板部のサイズ等に応じて適当に決定すべきものである。
前記補助支持板部は、該基板部の一端からほぼ90度の角度で垂下させた構成要素であり、該基板部の該当する端部に接合して構成することも可能であるが、該当する部位を折り曲げて構成するのが適当である。この補助支持板部は、壁に接する部位から天井ボードの取付作業を開始する際に、この部位を上にし、かつこの部位の上に対象となる天井ボードの厚みを僅かに越える隙間を空けた上で、これを備えた天井ボード仮固定具を壁面に仮止めして使用する部位であり、その上に挿入した天井ボードを一時的に支持するものであるから、その目的を達成できる適当な寸法に構成すればよい。例えば、幅は前記基板部と同一とし、長さは通常10〜20mm程度で充分である。基板部との間の角度は、以上の目的からほぼ90度が適当であるが、その前後であれば適用可能である。
また該補助支持板部の先端は、前記基板部側に斜めに折曲げて導入部に構成するのが好ましい。このように構成することにより、天井ボード仮固定具を壁面に仮止めした場合に、その補助支持板部上に対象となる天井ボードの先端部を容易に装入することが可能になり、よりスムーズな天井ボードの取付作業を開始することができるからである。
前記導入傾斜板部は、前記したように、前記基板部の補助支持板部と反対側の端部から下降傾斜状態に延長させた構成要素である。下降傾斜の角度は、その端部側から該基板部の上に対象の天井ボードの一端を装入する際に該一端部を良好に案内することがその目的であり、通常僅かに下降傾斜した程度の角度で充分である。
前記基板部には、その下面から垂下するフックを構成することができる。このフックの数は問わない。必要に応じた数のそれを構成すればよい。もっとも基板のサイズが幅10mm、長さ50mm程度のものである場合には、実際上2個以上設けるのは不都合で、複数のそれを設けるのは基板のサイズがそれより大きい場合が適当である。また該フックの形状は、一般的に使用される概ね釣り針形のそれが適当であるが、その軸状の基部は、そのフック部に種々の工具類を係止する際に、相互の干渉を生じにくくする趣旨で、前記補助支持板部の垂下長さより充分に長くするのが適当である。
なお、このフックの材質は、多くの場合に必要な強度の観点から金属が適当であるが、目的に添う強度を備えるものであれば金属に限定される訳ではない。またこのフックの前記基板部への結合手段も特定のそれに限定されない。溶接又はネジ止め等の手段を自由に採用することができる。
また前記基板部には、以上の構成要素のほかに、補助的な要素を付与することも可能である。もっとも多くの要素を追加的に付加することは、以上の重要な機能を阻害する虞も生じさせるので、適切な限度までにすべきであることは云うまでもない。
補助的な要素の具体例としては、基板部の側部に天井ボードの厚みを僅かに越える下方まで垂下させた側板と、その下端から該基板部の面に平行に張り出したスライド案内板とからなる調整案内部がある。
例えば、天井ボードを壁際に取り付ける場合に現場合わせでサイズを決定することがある。このような場合に、前記調整案内部を利用することができる。前記基板部を先に取り付けた天井ボードの該当する部位に当接させて仮止めし、前記スライド案内板上に現場合わせで取り付ける天井ボードの側部の一部等を進入させつつスライド進退動させ、取付対象の該当する部位に押し当てながら寸法を確認すると云うように使用する。対象の天井ボードの不要部分をのこぎり等でカットした上で、また同様の作業を繰り返す。これを該天井ボードが正確に該当部位に納まるようになるまで繰り返すわけであるが、この調整案内部を利用することにより、このときの天井ボードの進退動作を作業者が負担を感じないで行うことができるようになる訳である。
補助的な要素の具体例としては、このほかに、基板部の側部から斜め下方に延長させた把手などがある。
従って本発明の天井ボード仮固定具によれば、天井ボードの取付の際に、これを以下のように使用することにより、単独の作業者でも容易にその取付を行うことができる。
先ず、該天井ボード仮固定具を、取付開始側の壁面上部に、前記補助支持板部側が上方になるように向きを定めて仮止めする。この仮止めは基板部に開口してある係止孔を通じてビス等をねじ込むことにより行う。このように仮止めする際に、該補助支持板部の上面と天井ボードの支持材である野縁等との間隙は、該天井ボードの厚みよりも僅かに広くあけておくこととする。該天井ボードの幅が比較的広い場合は、その幅の広さに応じて複数の個所で支持し得るように、該壁面上部の複数の箇所に天井ボード仮固定具を取り付けるのが好ましい。なお、これらの天井ボード仮固定具は、後記する天井部に仮止めする場合も同様であるが、その仮止めを確実なものとし得るように、壁面の柱や間柱等と重なる位置に配置する。
このように天井ボード仮固定具を仮止めした後、その基板部にフックが構成してある場合には、その仮止めのために使用した電動ドライバ(ビスのねじ込みに電動ドライバーを使用することは条件ではないが、これを用いるのが普通であり、また作業能率の点でも現実的である、以下同じ)等を次の作業に備えて前記フックに吊下げておく。
次に、天井ボードを持ち上げ、その一端を壁面に取り付けた天井ボード仮固定具の補助支持板部の上に挿入載置する。該補助支持板部の先端を基板部側に斜めに折曲げて導入部に構成しておいた場合は、このとき、該天井ボードの該当端部が撓むなどにより若干下ったりしていても、該当端部は容易にその導入部に案内され、前記壁面に当接するまで押し込み導入されることとなる。
こうして天井ボードの一端を補助支持板部で支持させた後、前記電動ドライバを前記フックから外し、これを用いて該天井ボードの野縁と重なる部分を順次ビスで固定する。壁面から離れた部位からビス止めを開始するのが適当である。該天井ボードを該壁面と反対側端部付近の一部を残して一通り固定した後、或いは、その他の適当な段階で、新たな天井ボード仮固定具を、該天井ボードの前記壁面とは反対側の端部に重ねて仮止めする。この仮止めは、その導入傾斜板部を該壁面とは逆方向に向け、かつ基板部の一部及び該導入傾斜板部を該天井ボードから突き出した状態で行う。
なお取付対象の天井ボードの壁面と反対側の端部に仮止めする天井ボード仮固定具は、以上に限らず、作業上の都合により、次の天井ボードの取付作業に入る前のどの段階で仮止めしても良い。早い段階でこれを仮止めした場合は、その天井ボード固定用の残りのビス止め作業がこれに引き続いて行われることとなる。これを仮止めした後、残りのビス止め作業が全て完了する前に次の天井ボードの取付作業に入り、都合により、後で残りのビス止めを行うこととしても良い。
次の天井ボードの取付作業に入る場合は、先に述べたように、電動ドライバを、基板部にフックが構成してある場合は、該フックに吊り下げた上で、その作業を開始する。
これは、前記したのと同様に、作業者は新たな天井ボードを持ち上げ、その一端部を、先行して取り付けた天井ボードの壁面と反対側の端部に仮止めした天井ボード仮固定具に支持させる。この支持は、該一端部を、該天井ボード仮固定具の導入傾斜板部から基板部の一部まで押し込み挿入し、該端部をその上に載置することで行うものである。この後は、先に述べたのと同様に、一端部を該天井ボード仮固定具に支持させながら、前記フックから電動ドライバを取り外してこれを利用して所要部位のビス止めを行う。この後、前記したのと同様に、適当な段階で、現在の対象の天井ボードの反対側端部に他の天井ボード仮固定具を、先に仮止めしたそれと同様の態様で仮止めする。
以後、同様の作業サイクルを繰返し、作業者が単独で容易に順次天井の必要な全領域に天井ボードを固設することができる。
なお仮止めした天井ボード仮固定具は、ビス等による天井ボードの固定が確保できた後のいずれの段階でもこれを取り外すことができる。なるべく早い段階で外すこととすれば、天井ボード取付作業中にこれを繰り返し使用することが可能となり、用意すべき天井ボード仮固定具の数を少ないものとすることができる。天井ボード仮固定具を取り外した後は、その仮止め用のビス孔に当該の天井ボード固定用のビスをねじ込み、その固定のために利用すれば天井ボードに無用な孔が残ることはない。
従って、本発明の天井ボード仮固定具を使用すれば、作業者が1人でも容易かつ効率的に天井ボードの取り付け作業を行うことができる。また天井ボード仮固定具にフックが構成されている場合は、夕刻や夜間等の暗くなってからの作業になった場合にも、該フックに電灯等の照明手段を吊り下げ、周辺を照明しながら作業を行うことができる。
この実施例1の天井ボード仮固定具1は、図1(a)及び図2(a)、(b)に示すように、細長な矩形で二つの係止孔14、14を開口した基板部10と、該基板部10の一端部を直角に折曲げて垂下状態に構成した補助支持板部11と、他端部を20度程の下降傾斜状態に折曲げて構成した導入傾斜板部12と、該基板部10の中央に固設したフック13とを基本的な構成要素とするものである。
前記フック13は、図1(a)及び図2(a)等に示すように、前記基板部10の中央部にその軸状の基部を溶接固定して配したものである。該軸状の基部は、前記補助支持板部11の垂下長さより充分長く構成し、フック部に後記電動ドライバD等を係止する際に、相互の干渉を生じにくくする。またそのフック部は、同図に示すように、該補助支持板部11側に向けて半円弧状に丸めて構成したものである。
前記基板部10は、幅約10mm、長さ約50mm、厚さ約2ミリの金属板材で構成したものであり、前記補助支持板部11は、その一端を90度に折り曲げて10mm程垂下させ、前記導入傾斜板部12は、前記のように、他端側を20度ほどの角度に折り曲げて下降傾斜状態に構成したものである。こうしてこの実施例1では、基板部10と補助支持板部11と導入傾斜板部12とは同一金属板材で一体に構成したものである。
該補助支持板部11は、その下端部側を該基板部10側に斜めに折曲げて導入部11aを構成しておくものとする。
従って、この実施例1の天井ボード仮固定具1によれば、天井ボードPを天井に取り付ける際に、以下のように有用に使用することができる。
先ず、図1(a)に示すように、天井ボード仮固定具1を壁面Wの上部に、その補助支持板部11を上にして仮止めする。その際、該補助支持板部11の上面と野縁Tの下面との間隙は、取付対象の天井ボードPの厚みに対し若干余裕を持たせたものとしておく。天井ボードPの幅は該天井ボード仮固定具1の幅に比して相当広いので、同図に示すように、その両側に各々天井ボード仮固定具1を仮止めする。
これらの天井ボード仮固定具1は、仮止めを確実なものとするため、野縁Tと重なる部位に配置すべきなのは云うまでもない。この仮止めは、天井ボードPを固定するために使用するビスBを用いて行い、そのねじ込みには、この実施例1でも電動ドライバDを用いる。この天井ボード仮固定具1の仮止めは、その基板部10に開口した係止孔14、14に該ビスB、Bをそれぞれねじ込むことで行う。
こうして一対の天井ボード仮固定具1、1を仮止めした後、その仮止めに使用した電動ドライバDは、続く作業に備えて、いずれかの側の天井ボード仮固定具1のフック13に吊下げておく。この吊下は、電動ドライバDに付設してあるストラップを利用して行うことができる。なお作業が夕方又は夜間の暗くなってからも継続して行われている場合には、他方の天井ボード仮固定具1のフック13には図示しない電灯を吊り下げ、作業領域を照明するようにする。
次に、取付対象の天井ボードPを持ち上げ、図1(b)に示すように、一方の端を壁面Wに取り付けた両側の天井ボード仮固定具1、1の各補助支持板部11の上に挿入載置する。該補助支持板部11、11の先端部には下方に傾斜する導入部11aが形成してあるため、該天井ボードPの該当端部が多少撓んで垂下していても容易にその上に載置し得、作業者がこれを支持しつつ押せば、該当端部は補助支持板部11、11上まで案内され、かつ前記壁面Wに当接するまで移動することができる。
その後、前記電動ドライバDを前記天井ボード仮固定具1のフック13から取り外した上で、これを用いて、該天井ボードPの野縁Tと重なる部分を所定の間隔でビスB、B…で固定する。この実施例1では、天井ボードPを壁面Wと反対側の端部付近の2カ所を除いて固定した後、該壁面Wに仮止めしてあった天井ボード仮固定具1、1を取り外し、前記補助支持板部11、11の対面していた位置にビス止めが必要な場合にはそれを行った上で、図1(c)に示すように、該壁面Wと反対側の端部付近の2カ所に各々該天井ボード仮固定具1を仮止めする。
該天井ボード仮固定具1、1は、これらの位置では、該天井ボードPの上記二つの位置、即ち、ビス止めをしなかった該天井ボードPの前記壁面Wとは反対側の二カ所の端部付近に重ねて仮止めする。それらの導入傾斜板部12及び基板部10の一部を該天井ボードPの端部から突出させた状態に仮止めする。これらの仮止めは、前記したのと同様に、基板部10の係止孔14、14にビスB、Bをねじ込んで行う。これは前記電動ドライバDを用いて行う。
こうして天井ボード仮固定具1、1を仮止めした後、前記天井ボードPの固定及び天井ボード仮固定具1、1の仮止めに使用した電動ドライバDは、図1(c)に示すように、続く作業に備えて、天井ボード仮固定具1、1の内のいずれかのフック13に吊下げておく。なお作業が夜間等の暗い中で行われている場合は、前記のように、他の天井ボード仮固定具1のフック13に吊り下げてあった電灯を、新たな作業領域に近接して仮止めされた上記天井ボード仮固定具1、1の内の他のそれのフック13に掛け替え、新たな作業領域を照明するようにする。
その後は、前記したのと同様に、作業者は新たな天井ボードPを持ち上げ、その一端部を、図1(c)に示すように、先行して取り付けた天井ボードPの端部に仮止めした天井ボード仮固定具1、1に支持させる。この支持は、該一端部を、該天井ボード仮固定具1、1の導入傾斜板部12から基板部10の一部まで押し込み挿入し、該端部をその上に載置することで行う。この後は、先に述べたのと同様に、該一端部を該天井ボード仮固定具1、1の基板部10で支持させながら、前記フック13から電動ドライバDを取り外してこれを利用して所要部位のビス止めを行う。このビス止めも先に説明したのと同様の態様で行う。
この後、前記したのと同様の段階で、仮止めしてある天井ボード仮固定具1、1を取り外し、これらを、現在対象となっている天井ボードPの反対側端部に、先に説明した仮止めと全く同様の態様で仮止めする。なお電灯を吊り下げている天井ボード仮固定具1は、そのまま仮止めしたままとしておくか、或いは、先に述べたように、照明領域との関係から、その電灯を、新たに仮止めした天井ボード仮固定具1のフック13に掛け替え、先に吊り下げていたそれを取り外すこととすることもできる。
以後、同様の作業サイクルを繰返し、作業者が単独で容易に順次天井の必要な全領域に天井ボードPを固設することができる。
この実施例2の天井ボード仮固定具1は、図3(a)、(b)、(c)、(d)に示すように、前記基板部10の側部に、対象の天井ボードPの厚みを僅かに越える寸法分だけ下方まで垂下させた側板16aと、その下端から該基板部10の面に平行に張り出したスライド案内板16bとで構成した調整案内部16を設けたものである。他の構成は全て実施例1と同様である。
従ってこの実施例2の天井ボード仮固定具1は、基本的に実施例1と全く同様に使用して同様の効果を奏することができるものであり、これに加えて、前記調整案内部16を構成したことにより、次のように、使用し、対応する優れた効果を得ることができる。
天井ボードPは、壁際等では、元のサイズのままでは取り付けできないこともある。またそうであるとしても予め適正な寸法にカットしておくことも必ずしも現実的ではなく、現場での合わせ作業でサイズを決定せざるを得ない場合がある。この場合には、天井ボードPを壁面等の所定の部位に何回かスライドさせながら突き当て、寸法を確認してカットし、カットした天井ボードPをまたスライドさせて突き当てて寸法を確認し、誤差分があればそのカットをするという作業が行われる。
前記調整案内部16は、このような場合に有効に使用できる。図3(d)に示すように、該調整案内部16の向きを天井ボードPのスライド方向に一致させた状態で天井ボード仮固定具1を野縁T等にビスBによって仮止めした上で、該天井ボードPを該調整案内部16のスライド案内板16b上にスライド自在に載置する。この後は、前記のように、該天井ボードPをスライドさせつつその必要サイズを確認し、これをカットする作業を行う。この作業は、対象の天井ボードPを該調整案内部16のスライド案内板16b上に載せた状態で行うため、軽快な作業となり、作業者の負担を軽減し得ることとなる。そのためより正確な寸法合わせに注力することができることとなる。
この実施例3の天井ボード仮固定具1は、図4(a)、(b)、(c)に示すように、前記基板部10の側部に把手17を構成したものであり、この把手17は、同図に示すように、基板部10の側部から斜め下方に延長した細長矩形の板状部材である。この実施例3の天井ボード仮固定具1は、他の構成は全て実施例1と同様である。
従ってこの実施例3の天井ボード仮固定具1は、基本的に実施例1と全く同様に使用して同様の効果を奏することができるものであり、これに加えて、前記把手17を構成したことにより、これを掴むことによりこの天井ボード仮固定具1の取り扱いが容易になったものである。
(a)は天井ボードの片端を支持するため壁面に取り付けられる実施例1の1対の天井ボード仮固定具の概略斜視説明図、(b)は実施例1の天井ボード仮固定具を壁面に取り付けて天井ボードの片端を支持した状態を示す概略側面説明図、(c)は壁面に当接して取り付けた天井ボードに繋ぐ新たな天井ボードの片端を実施例1の天井ボード仮固定具で支持した状態を示す一部切欠概略側面説明図。
(a)は実施例1の天井ボード仮固定具の側面図、(b)はその平面図。
(a)はスライド案内板を備えた実施例2の天井ボード仮固定具の側面図、(b)はその底面図、(c)は(a)のA矢視図、(d)はスライド案内板により天井ボードの片側を支持している状態を示す側面図。
(a)は把手を備えた実施例3の天井ボード仮固定具の側面図、(b)はその底面図、(c)は(a)に於けるB矢視図。
符号の説明
1 天井ボード仮固定具
10 基板部
11 補助支持板部
11a 導入部
12 導入傾斜板部
13 フック
14 係止孔
16 調整案内部
16a 側板
16b スライド案内板
17 把手
B ビス
D 電動ドライバ
P 天井ボード
T 野縁