JP4073687B2 - プライマー及びこれを用いた硬化層の形成方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、低温でも優れた(湿気)速硬化性を実現するプライマー、及びこれを用いた硬化層の形成方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、建築、土木、自動車などの分野で、鋼板、スレート板、コンクリート板、レジンコンクリート板、木質板、プラスチック板などの各種ボードや部材を接着する工程を含む高速の生産ラインにおいては、例えば、イソシアネート基含有ポリウレタン系樹脂を主剤とし、低分子のアミンを硬化剤とする二液型のポリウレタン系接着剤が使用されている。
また、溶融粘度が低く、接着性が良好で初期硬度発現の速い、イソシアネート基を含有するポリウレタン系の無溶剤型プライマー組成物も知られている(特開平9−78028号公報参照)。このプライマー組成物は、2種類のウレタンプレポリマーと潜在性硬化剤とからなり、潜在性硬化剤とはN−ヒドロキシエチル−2−イソペンチルオキサゾリジンおよびそのXDI付加体やその他のオキサゾリジン等である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記従来公知の二液型ポリウレタン系接着剤には、主剤と硬化剤を混合する手間がかかり、高速の生産ラインにおける低温での接着には接着力の発現が遅く、低分子量のアミンは毒性が高い等の問題がある。
また、前記無溶剤型プライマー組成物には、貯蔵安定性、接着強さ発現性、耐水接着性などが不十分であるという問題がある。
【0004】
本発明は、イソシアネート基含有プレポリマーからなる主剤と接触させることにより低温でも優れた(湿気)速硬化性と耐水接着性を発現し、例えば常温での高速のライン生産における接着、塗装、シーリングなどに適した、かつ、貯蔵安定性が良好で環境問題なども生じないプライマー、及びこれを用いた硬化層の形成方法を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するために、本発明は、水と反応して第一級及び/又は第二級アミノ基を生成する基を有するウレア系化合物と、エポキシ化合物と、ポリウレタン系樹脂とを含有すること、を特徴とするプライマーである。
【0006】
本発明は、更に触媒を含有する、前記プライマーである。
【0007】
本発明は、前記エポキシ化合物が、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシランである、前記の各プライマーである。
【0008】
本発明は、前記ポリウレタン系樹脂が、有機ポリイソシアネートと、数平均分子量1,000〜30,000のポリエステルポリオールとを、イソシアネート基に対して水酸基をほぼ当量の条件で反応させて得られるものである、前記の各プライマーである。
【0009】
また本発明は、第1の基材と第2の基材の対向するそれぞれの面にプライマー層を設け、いずれか一方又は双方の該プライマー層上にイソシアネート基含有プレポリマーからなる主剤層を設け、次いで第1の基材と第2の基材とを互いに押圧してプライマーと主剤とを反応させる硬化層の形成方法であって、前記プライマー層が、前記の各プライマーからなる層であること、を特徴とする前記方法である。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下に本発明を詳しく説明する。
本発明における水(湿気)と反応して第一級及び/又は第二級アミノ基を生成する基を有するウレア系化合物は、具体的には、水と反応して第一級及び/又は第二級アミノ基を生成する基と第一級及び/又は第二級アミノ基とを有する化合物と、有機ポリイソシアネートとを反応させて得られる化合物が好ましい。
【0011】
水と反応して第一級及び/又は第二級アミノ基を生成する基と第一級及び/又は第二級アミノ基とを有する化合物としては、具体的には、原料入手の容易性、水との反応性などの点から、第一級及び/又は第二級アミノ基を有する化合物のケチミン化合物、エナミン化合物、アルジミン化合物、又はこれらの任意の混合物であって、分子内にフリーの第一級及び/又は第二級アミノ基を1個以上(好ましくは1個)含有するものを好適に例示することができる。これらのケチミン化合物、エナミン化合物、アルジミン化合物などはそれぞれ、ケトン類、アルデヒオド類のカルボニル基(ケト基、アルデヒド基)と、第一級及び/又は第二級アミノ基を合計2個以上有する化合物の第一級及び/又は第二級アミノ基を1個以上残すようにその一部との脱水反応により得ることができる。
これらのうち、製造のし易さと、使用したときに水と反応して生成するものが第一級及び/又は第二級アミノ基を有するウレア系化合物と毒性の低いケトン系化合物である点から、第一級及び/又は第二級アミノ基を有するケチミン化合物が好ましい。
【0012】
第一級及び/又は第二級アミノ基を合計2個以上有する化合物としては、エチレンジアミン、1,3−ジアミノプロパン、1,2−ジアミノプロパン、1,4−ジアミノブタン、ヘキサメチレンジアミン、1,7−ジアミノへプタン、トリメチルヘキサメチレンジアミン、1,8−ジアミノオクタン、1,9−ジアミノノナン、1,10−ジアミノデカン、1,11−ジアミノウンデカン、1,12−ジアミノドデカン、1,13−ジアミノトリデカン、1,14−ジアミノテトラデカン、1,15−ジアミノペンタデカン、1,16−ジアミノヘキサデカン、1,17−ジアミノヘプタデカン、1,18−ジアミノオクタデカン、1,19−ジアミノノナデカン、1,20−ジアミノエイコサン、1,21−ジアミノヘンティコサン、1,22−ジアミノドコサン、1,23−ジアミノトリコサン、1,24−ジアミノテトラコサン、イソホロンジアミン、ジアミノジシクロへキシルメタン、3,9−ビス(3−アミノプロピル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ(5,5)ウンデカン、キシレンジアミン、フェニレンジアミン、ジアミノジフェニルメタン、ジアミノジエチルフェニルメタン、ポリオキシエチレンジアミン、ポリオキシプロピレンジアミン、トリ(メチルアミノ)へキサン、N−ラウリルプロピレンジアミン、N−ステアリルプロピレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、メチルアミノプロピルアミン、3,3′−ジアミノジプロピルアミンなどのポリアミンが挙げられ、これらは単独で或いは2種以上を混合して使用することができる。これらのうち、カルボニル基と第一級アミノ基、第二級アミノ基との反応性の差を利用して製造しやすい、第一級アミノ基と第二級アミノ基を有するポリアミンが好ましく、特にジエチレントリアミンが好ましい。
【0013】
ケトン類としては、例えば、メチルエチルケトン、メチルイソプロピルケトン、メチルイソブチルケトン、メチル−tert−ブチルケトン、2−ペンタノン、3−ペンタノン、2−ヘキサノン、4−メチル−2−ペンタノン、2−ヘプタノン、4−ヘプタノン、ジイソプロピルケトン、ジイソブチルケトン等の脂肪族ケトン類、プロピオフェノン、ベンゾフェノン等の芳香族ケトン類、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン等の環状ケトン類、アセト酢酸エチル等のβ−ジカルボニル化合物、又はこれらの任意の混合物が挙げられる。これらのうち、製造のし易さと使用したときに水と反応して生成するものの毒性が低い点から、脂肪族ケトン類が好ましく、特にメチルイソブチルケトンが好ましい。
アルデヒド類としては、例えば、ブチルアルデヒド、イソブチルアルデヒド、ヘキシルアルデヒド、又はこれらの任意の混合物が挙げられる。
【0014】
有機ポリイソシアネートとしては、フェニレンジイソシアネート、ジフェニルジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ジフェニルエーテルジイソシアネートなどの芳香族ジイソシアネート、キシリレンジイソシアネートなどの芳香脂肪族ジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ペンタメチレンジイソシアネート、プロピレンジイソシアネート、ブチレンジイソシアネートなどの脂肪族ジイソシアネート、シクロヘキサンジイソシアネート、メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)などの脂環族ジイソシアネート等が挙げられる。また、これら有機ジイソシアネートのビュレット変性体、イソシアヌレート(三量化)変性体、ウレトンイミン変性体、ウレトジオン変性体、カルボジイミド変性体等のいわゆる変性イソシアネートも挙げられる。更に、ポリフェニレンポリメチレンポリイソシアネート、クルードトルエンポリイソシアネート等のような、いわゆるポリメリック体といわれるポリイソシアネートも挙げられる。また、前記の有機ポリイソシアネートと後述の高分子ポリオールや鎖延長剤とを、活性水素基に対してイソシアネート基過剰の条件で反応させて得られる、イソシアネート基含有ウレタン樹脂も挙げられる。これらは単独で或いは2種以上を混合して使用できる。
【0015】
水と反応して第一級及び/又は第二級アミノ基を生成する基を有するウレア系化合物は、好適には、前記の水と反応して第一級及び/又は第二級アミノ基を生成する基と第一級及び/又は第二級アミノ基とを有する化合物と前記有機ポリイソシアネートとを、好適には、第一級、第二級アミノ基/イソシアネート基の当量比が0.5〜2.0/1.0、更に0.9〜1.1/1.0の範囲で反応させて得ることができる。
このようにして得られる、水と反応して第一級及び/又は第二級アミノ基を生成する基を有するウレア系化合物は、まず、湿気により第一級及び/又は第二級アミノ基を生成する基が分解して第一級及び/又は第二級アミノ基を生成し、次いで、これらの生成した第一級及び/又は第二級アミノ基が(後述する)主剤としてのイソシアネート基含有プレポリマーのイソシアネート基、場合により更に(後述する)ポリウレタン系樹脂やエポキシ化合物と反応して、硬化層を形成する。
【0016】
本発明におけるエポキシ化合物としては、エポキシ樹脂、エポキシ基含有ウレタン樹脂、エポキシ系シランカップリング剤などが挙げられる。具体的には、エポキシ樹脂としては、エピクロルヒドリン−ビスフェノールA型エポキシ樹脂、エピクロルヒドリン−ビスフェノールF型エポキシ樹脂,テトラブロモビスフェノールAのグリシジルエーテル等の難燃型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、水素添加ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールAプロピレンオキシド付加物のグリシジルエーテル型エポキシ樹脂、p−オキシ安息香酸グリシジルエーテルエステル型エポキシ樹脂、m−アミノフェノール系エポキシ樹脂、ジアミノジフェニルメタン系エポキシ樹脂、ウレタン変性エポキシ樹脂、各種脂環式エポキシ樹脂、N,N−ジグリシジルアニリン、N,N−ジグリシジル−o−トルイジン、トリグリシジルイソシアヌレート、ポリアルキレングリコールジグリシジルエーテル、グリセリン等の多価アルコールのグリシジルエーテル、ヒダントイン型エポキシ樹脂、石油樹脂等の不飽和重合体のエポキシ化物などが挙げられる。エポキシ基含有ウレタン樹脂としては、前述の有機ポリイソシアネートと後述の高分子ポリオールや鎖延長剤とを、活性水素基に対してイソシアネート基過剰の条件で反応させて得られるイソシアネート基含有ウレタン樹脂のイソシアネート基に対して、グリシジルアルコールなどのエポキシ基と水酸基を含有する化合物とをイソシアネート基に対して活性水素基をほぼ当量の条件で反応させて、ウレタン樹脂にエポキシ基を導入した樹脂などが挙げられる。エポキシ系シランカップリング剤としては、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジイソプロペノキシシランなどが挙げられる。
(メタ)アクリロイル基含有化合物としては、(メタ)アクリル酸エチルエステルなどの単官能の(メタ)アクリル酸アルキルエステル、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレートなどの多官能の(メタ)アクリル酸エステルなどが挙げられる。
これらのうち、接着後の耐水接着性が良好な点から、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシランが好ましい。
【0017】
本発明のプライマーにおいて、エポキシ化合物は、水と反応して第一級及び/又は第二級アミノ基を生成する基を有するウレア系化合物100重量部に対して1〜500重量部、更には5〜50重量部の割合で配合するのが好ましい。
【0018】
本発明におけるポリウレタン系樹脂は、前記の有機ポリイソシアネートと、高分子ポリオールと、場合により更に鎖延長剤とを、イソシアネート基に対して活性水素基をほぼ当量の条件で反応させて得られるものである。
【0019】
高分子ポリオールとしては、ポリエステルポリオール、ポリエステルアミドポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリエーテル・エステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、アクリルポリオール等が挙げられ、これらは単独で或いは2種以上を混合して使用できる。このうち、ポリエステルポリオールが好ましい。これらは、数平均分子量500以上、更に1,000〜30,000のものが、作業性や接着強度発現性などの点から好ましい。
ポリエステルポリオール、ポリエステルアミドポリオールとしては、例えば、公知のコハク酸、アジピン酸、テレフタル酸等のジカルボン酸、これらの酸エステル、酸無水物等と、エチレングリコール、プロパンジオール、ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、トリメチロールプロパン、グリセリン、クオドロール、ビスフェノールAのエチレンオキサイド或いはプロピレンオキサイド付加物等の低分子ポリオール、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン等の低分子ポリアミン、モノエタノールアミン等のアミノアルコール等の単独、又はこれらの混合物との脱水縮合反応で得られる化合物が挙げられる。さらに、ε−カプロラクトン等の環状エステル(すなわちラクトン)モノマーの開裂重合により得られるラクトン系ポリエステルポリオール等が挙げられる。
ポリエーテルポリオールとしては、例えば、ポリオキシエチレンポリオール、ポリオキシプロピレンポリオール等が挙げられる。
ポリエーテル・エステルポリオールとしては、例えば、前記のポリエーテルポリオールと前記のジカルボン酸、酸エステル、酸無水物等とから製造される化合物が挙げられる。
ポリカーボネートポリオールとしては、例えば、前記のポリエステルポリオールの製造に用いる低分子ポリオールとジエチルカーボネート、ジフェニルカーボネート等との反応から得られる化合物が挙げられる。
アクリルポリオールとしては、例えば、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸ヒドロキシプロピル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸ヒドロキシプロピル等の水酸基を含有するアクリル酸系化合物のモノマー及び/又は水酸基を含有するメタクリル酸系化合物のモノマーを、(場合により更にこれら以外のエチレン性不飽和化合物の1種以上とを、)ラジカル重合開始剤の存在下又は不存在下に、そして溶剤の存在下又は不存在下にバッチ式重合又は連続重合等の公知のラジカル重合の方法により反応させて得られるものが挙げられる。
また、一般にポリウレタン工業において公知の活性水素基を含有する、数平均分子量500以上の、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂等も挙げられる。
【0020】
鎖延長剤としては、前記のポリエステルポリオールの合成に用いられる低分子ポリオール、低分子ポリアミン、アミノアルコール類等のうち分子量500未満のもの、又はこれらの混合物等が挙げられる。
【0021】
ポリウレタン系樹脂は、ワンショット法、ツーショット法のいずれでも合成できる。有機ポリイソシアネートのイソシアネート基と高分子ポリオール(と場合により更に鎖延長剤)の活性水素基との(活性水素基/イソシアネート基の)当量比は、0.9〜1.1が好ましい。
ポリウレタン系樹脂の数平均分子量は1,000〜1,000,000、更に3,000〜200,000であることが好ましい。数平均分子量が1,000未満であると接着強度の発現性が悪くなり、1,000,000を超えると粘度が増大して作業性が低下する。
【0022】
本発明のプライマーにおいて、ポリウレタン系樹脂は、水と反応して第一級及び/又は第二級アミノ基を生成する基を有するウレア系化合物100重量部に対して1〜500重量部、更には10〜50重量部の割合で配合するのが好ましい。
【0023】
本発明における触媒としては、ジブチル錫ジラウレート、ジオクチル錫ジラウレート、オクチル酸錫等の有機金属化合物、トリエチレンジアミン、トリエチルアミン、トリ−n−ブチルアミン等の有機アミンやその塩等の公知のウレタン化触媒が挙げられる。
【0024】
本発明のプライマーにおいて、触媒は、水と反応して第一級及び/又は第二級アミノ基を生成する基を有するウレア系化合物100重量部に対して0.01〜20重量部、更には0.1〜10重量部の割合で配合するのが好ましい。
【0025】
本発明における主剤成分としてのイソシアネート基含有プレポリマーは、それぞれ前記の、有機ポリイソシアネートと、高分子ポリオールと、場合により更に鎖延長剤とを、活性水素基に対してイソシアネート基過剰の条件で反応させて得られるものであり、これは単独で或いは2種以上を混合して使用することができる。
【0026】
本発明のプライマー、主剤には、酸化防止剤(ヒンダードアミン系、ヒンダードフェノール系など)、カップリング剤、各種無機フィラーや有機フィラー、揺変剤、保存安定性改良剤、可塑剤、着色剤などの各種添加剤を配合することができる。
これらの添加剤は、プライマー側と主剤側のいずれか一方或いは双方に配合することができる。
【0027】
本発明の硬化層の形成方法は、第1の基材と第2の基材の対向するそれぞれの面にプライマー層を設け、いずれか一方又は双方の該プライマー層上にイソシアネート基含有プレポリマーからなる主剤層を設け、次いで第1の基材と第2の基材とを互いに押圧してプライマーと主剤とを反応させる方法である。本発明の方法は、例えば、工場の生産ラインにおいて、鋼板、スレート板、コンクリート板、レジンコンクリート板、木質板、プラスチック板などのボード類や部材の表面に主剤層とプライマー層を別々に形成し、万力類、重し、ロールなどにより室温で接着面(主剤層の面とプライマー層の面)を対向させて押圧させる高速接着に適している。
それぞれの基材にプライマー層と主剤層をそれぞれ形成した後、それぞれの層が対向するように接触接着させる前に、任意の時間、それぞれの層の表面を大気中の湿気に暴露する工程(オープンタイム)を入れても良いし入れなくても良い。オープンタイムは30分以内の短時間で十分であるが、30分を超えても良い。
【0028】
本発明のプライマーは室内の温度、湿度条件で塗布、主剤層と反応して硬化できるため特別の加熱装置等を使用しなくても良い点があるが、硬化作業をより高速化させるため必要に応じて加熱や加湿をすることもできる。また、具体的な塗布方法としては、ハケ類、クシ目ゴテ等のコテ類、ヘラ、ロールコーター等を使用して塗布する方法、或いは、スプレー塗布する方法等の従来公知の方法がある。
【0029】
【実施例】
以下、本発明について実施例等により更に詳細に説明する。
〔ケチミン化合物の合成〕
合成例1
加熱装置及びエステル管付き攪拌容器に、ジエチレントリアミンを103.2g(1モル)入れた後、攪拌しながらメチルイソブチルケトンを260.4g(2.6モル)加えた。この中に更にトルエン64.2gを加えたのち、加温して100〜130℃で6〜7時間攪拌を続けて、エステル管により水34.2gを脱水した。次いで減圧して、トルエンを除去して、分子内に約1個の第二級アミノ基を有するジエチレントリアミンのケチミン化合物を得た。これをケチミン化合物Aと称する。
【0030】
合成例2
加熱装置及びエステル管付き攪拌容器に、エチレンジアミンを60.1g(1モル)入れた後、攪拌しながらメチルイソブチルケトンを260.4g(2.6モル)加えた。この中に更にn−へキサン64.2gを加えたのち、加温して100〜130℃で6〜7時間攪拌を続けて、エステル管により水34.2gを脱水した。次いで減圧して、n−へキサンを除去して、エチレンジアミンのケチミン化合物を得た。これをケチミン化合物Bと称する。
【0031】
〔プライマーの調製〕
実施例1
加温装置、攪拌機、温度計、窒素シール管及び冷却器の付いた反応容器に、酢酸エチル300.0gとトルエン230.0gを加え、この中に更にイソホロンジイソシアネート(IPDI)の三量化ポリイソシアネート(VESTANAT T−1890、ヒュルスジャパン社製)70.0gを加えて溶解後、攪拌しながら合成例1で得たケチミン化合物A84.0gを加え、30〜40℃で1時間攪拌し反応させて、ケチミン基含有ウレア系化合物を合成した。得られた反応溶液はFTIRによりイソシアネート基のピークの消失が確認された。
この反応溶液中に、ポリエステル系ポリウレタン樹脂(ニッポラン3022、日本ポリウレタン工業社製)36.0gと、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(A−187、日本ユニカー社製)13.0gと、オクチル酸錫(スタノクト、吉富ファインケミカル社製)4.1gとを加えて、常温で30分間攪拌して、プライマーを調製した。
【0032】
実施例2
実施例1と同様にして得られた前記反応溶液中に、エポキシ樹脂(エピコート828、油化シェルエポキシ社製)36.0gと、ポリエステル系ポリウレタン樹脂(ニッポラン3022、日本ポリウレタン工業社製)36.0gと、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(A−187、日本ユニカー社製)13.0gと、オクチル酸錫(スタノクト、吉富ファインケミカル社製)4.1gとを加えて、常温で30分間攪拌して、プライマーを調製した。
【0033】
比較例1
加温装置、攪拌機、温度計、窒素シール管及び冷却器の付いた反応容器に、酢酸エチル300.0gとトルエン230.0gを加え、この中に更にイソホロンジイソシアネート(IPDI)の三量化ポリイソシアネート(VESTANAT T−1890、ヒュルスジャパン社製)70.0gを加えて溶解後、攪拌しながら合成例1で得たケチミン化合物A84.0gを加え、30〜40℃で1時間攪拌し反応させて、ケチミン基含有ウレア系化合物を合成した。得られた反応溶液(プライマー)はFTIRによりイソシアネート基のピークの消失が確認された。
【0034】
比較例2
加温装置、攪拌機、温度計、窒素シール管及び冷却器の付いた反応容器に、酢酸エチル300.0gとトルエン230.0gを加え、この中に更にイソホロンジイソシアネート(IPDI)の三量化ポリイソシアネート(VESTANAT T−1890、ヒュルスジャパン社製)70.0gを加えて溶解後、攪拌しながら合成例2で得たケチミン化合物B70.0gを加えて混合した。
次いで、この混合液中に、オクチル酸錫(スタノクト、吉富ファインケミカル社製)4.1gを加えて、常温で30分間攪拌して、プライマーを調製した。
【0035】
比較例3
比較例2において、ケチミン化合物Bを使用しない以外は同様にして、プライマーを調製した。
【0036】
〔貯蔵安定性〕
実施例1、2及び比較例1〜3で得た各プライマーを50℃で10日間保存したときの外観を目視により判定した。
判定基準
○:変化なし(透明)
×:白濁
【0037】
〔性能試験〕
実施例1、2及び比較例1〜3で得た各プライマーとウレタン系シーリング材を用いて、次のようにして接着テストを行った。
5℃、40%RHの環境で、10mm×35mm×25mmのFRP板の貼り合わせ面積25mm×25mm両面にプライマーをハケにて塗布し、直ちにイソシアネート基含有プレポリマーからなるウレタン系シーリング材(オートシーラー101R、オート化学工業社製)をカートリッジから片面のみ塗布量約0.5g/cm2 となるように打設して貼り合わせ、クリップで圧締した。それぞれ1時間後、2時間後、6時間後に取り出し、圧縮速度2.0mm/minで圧縮せん断接着強さを測定した(JIS K6852準拠)。
また、前記と同様にして貼り合わせ、クリップで圧締した接着試験体を23℃、50%相対湿度の条件で7日間養生したものを、クリップを外して50℃の温水中に7日間浸漬した後、圧縮して破壊し、耐水接着性を試験した。破壊した界面の状態を目視により観察して判定した。
判定基準
◎:シーリング材の凝集破壊が100%
○:シーリング材の凝集破壊が50%以上100%未満
(残りは被着体の界面でのはく離)
×:シーリング材の凝集破壊が50%未満
(残りは被着体の界面でのはく離)
これらの結果をまとめて表1に示す。
【0038】
【表1】
【0039】
【発明の効果】
以上説明した通り、本発明により、イソシアネート基含有プレポリマーからなる主剤と接触させることにより、低温でも優れた(湿気)速硬化性と耐水接着性を発現し、例えば常温での高速のライン生産における接着、塗装、シーリングなどに適した、かつ、貯蔵安定性が良好で環境問題なども生じないプライマー、及びこれを用いた硬化層の形成方法を提供することが可能となった。
Claims (5)
- 水と反応して第一級及び/又は第二級アミノ基を生成する基を有するウレア系化合物と、エポキシ化合物と、ポリウレタン系樹脂とを含有すること、を特徴とするプライマー。
- 更に触媒を含有する、請求項1に記載のプライマー。
- 前記エポキシ化合物が、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシランである、請求項1又は2に記載のプライマー。
- 前記ポリウレタン系樹脂が、有機ポリイソシアネートと、数平均分子量1,000〜30,000のポリエステルポリオールとを、イソシアネート基に対して水酸基をほぼ当量の条件で反応させて得られるものである、請求項1〜3のいずれか一項に記載のプライマー。
- 第1の基材と第2の基材の対向するそれぞれの面にプライマー層を設け、いずれか一方又は双方の該プライマー層上にイソシアネート基含有プレポリマーからなる主剤層を設け、次いで第1の基材と第2の基材とを互いに押圧してプライマーと主剤とを反応させる硬化層の形成方法であって、
前記プライマー層が、請求項1〜4のいずれか一項に記載のプライマーからなる層であること、を特徴とする前記方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
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