JP4072945B2 - スライドファスナー用スライダーの引手およびその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、金属製の胴体連結体と装飾体とから形成された引手の芯材を、その周囲に透明な熱可塑性樹脂を射出成形して形成したスライドファスナー用スライダーの引手に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、スライドファスナーの引手において、図13に示すように、透明な引手本体に中空部を形成し、この中空部内へロゴマークや名札を表示した認識標を挿入して開放口を止栓で封止するスライダーの引手が実開昭62−85114号公報に開示されている。
【0003】
また、図14に示すように金属または硬質プラスチックから形成された引手本体の端部に形成する摘みを、引手本体に設けた透孔部分に軟質プラスチックを射出成形して摘みを形成したスライダーの引手が実公平6−37718号公報に開示されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
この発明のスライドファスナー用スライダーの引手の主目的は、引手の内部に装飾体を内在させ、その周囲に装飾体が透視できる熱可塑性樹脂を射出成形して被覆し、装飾体が引手の表面から透けて見える、美的感覚の優れた引手に仕上げるところにある。これに対し図13に示した引手は、透明な引手本体の内部にロゴマークなどの認識標を挿入し、止栓によって封止するものであり、装飾を主眼とする引手ではなく、また引手の作製に手数がかかり一挙に作製することができないなど問題点がある。
【0005】
また図14に示した引手は、引手本体の先端に透孔を設けて摘み取付部を形成し、この摘み取付部には透孔を埋めつくすとともに、摘み取付部の外郭を含む全面を被覆する柔軟性と弾力性に富んだ軟質プラスチックを射出成形して摘みを形成したものであり、装飾を主眼とする引手ではなく活用することができないなど問題点がある。
【0006】
この発明の請求項1記載の発明および請求項2記載の発明は、それぞれにおけるスライドファスナー用スライダーの引手において、熱可塑性樹脂製の引手の内部に一定の大きさの金属製の装飾体を埋蔵させ、装飾体は多種多様な装飾部を備え、装飾体は胴体連結体と断面形状が共通する平板状の連結部によって、連結して金属製の芯材を作製し、この多種多様な芯材を事前に作製して保管し、顧客の注文に応じて芯材を選択し、迅速かつ効率よく芯材を利用して装飾体が透視できる樹脂製の引手を作成して顧客に供給する。
【0007】
引手の形態の一つは断面形状が共通する平板状の連結部からU字状のアームを突設したタイプ、他の形態は断面形状が共通する平板状の連結部から一対のアームを突設して、その先端に軸部を設けたタイプで、この二つのタイプの引手によって殆どのスライダーに適用することができ、顧客が希望する引手を迅速かつ容易に叶えることができるスライドファスナー用スライダーの引手を提供することが、請求項1記載の発明および2記載の発明の主たる目的である。
【0008】
請求項3記載の発明は、一定の大きさの範囲内の多種多様な装飾体と胴体連結体とを断面形状が共通する平板状の連結部によって連結した金属製の芯材を事前に製造し保管しておき、受注に応じて少量の種類の装飾体であっても、顧客の希望を叶えるべく、芯材を金型のキャビティに簡単に配置して収容し、迅速に樹脂製の引手の内部に透視できる装飾体を備えた引手を製造する。引手は装飾体と胴体連結体とを断面形状が共通する平板状の連結部によって連結した、外観の美しい引手を1種類のキャビティで迅速かつ簡易に製造することができスライドファスナー用スライダーの引手を製造する方法を提供することが主たる目的である。
【0009】
【課題を解決するための手段】
前記の目的を達成するため、この発明のうち請求項1記載の発明は、スライドファスナー用スライダーの引手2は、スライダーの胴体1へ連結するための胴体連結体7と引手2を装飾するための多種多様で一連の装飾体8の一つとを連結部10を介して一体に連結して芯材9を形成し、胴体連結体7と一定範囲内の大きさの装飾体8とは断面形状が共通する平板状の連結部10により連結し、芯材9を金属のダイカスト成形によって形成し、胴体連結体7は断面形状が共通する平板状の連結部10からU字状のアーム11を突設して形成し、連結部10の一部および装飾体8全体の周囲に、この部分が透視することができる透明ないし半透明の樹脂を用いて被覆して一体に射出成形して引手2を完成したスライドファスナー用スライダーの引手を主な構成とするものである。
【0010】
請求項2記載の発明は、スライドファスナー用スライダーの引手2は、スライダーの胴体1へ連結するための胴体連結体7を装飾するための多種多様で一連の装飾体8の一つとを連結部10を介して一体に連結して芯材9を形成し、胴体連結体7と一定範囲内の大きさの装飾体8とは断面形状が共通する平板状の連結部10により連結し、芯材9を金属のダイカスト成形によって形成し、胴体連結体7は断面形状が共通する平板上の連結部10から左右一対のアーム11を突設し、このアーム11の先端に軸部12を架設して形成し、連結部10の一部および装飾体8全体の周囲に、この部分が透視することができる透明ないし半透明の樹脂を完成したスライドファスナー用スライダーの引手を主な構成とするものである。
【0011】
請求項3記載の発明は、スライドファスナー用スライダーの引手2は、胴体連結体7に対して一定範囲内の大きさを有し、一連の多種多様な装飾体8を断面形状が平板状の連結部10を介して連結し、この形態の芯材9を金属のダイカスト成形手段によって一体成形し、成形した後保管された多種多様な芯材9を受注により選択し、選択された芯材9を金型20に設けた一定形状すなわち一種類の数個のキャビティ26に配置して収容した後、 芯材9における連結部10の一部および装飾体8全体の周囲を被覆し、この部分が透視できる透明ないし半透明の樹脂を用いて射出成形手段によって引手2を成形するスライドファスナー用スライダーの引手を製造する方法を主な構成とするものである。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、この発明のスライドファスナー用スライダーの引手の実施の形態について、図面を参照しながら具体的に説明する。
【0013】
この発明のスライドファスナー用スライダーの引手は、図1〜4に示すようにスライダー胴体1に設置した、引手2を連結するためのクランパー4に取り付ける引手2に関するものであり、引手2は図3、4に示すように、一端に胴体連結体7を設け、この胴体連結体7は平板状の連結部10の左右にアーム11を一対突設し、このアーム11の先端にクランパー4に取り付ける軸部12が架設されている。連結体6の連結部10に支柱部14を連設し、支柱部14は種々の模様、たとえば中抜き矢尻模様を呈する装飾部15を設け、全体として装飾体8を形成し、装飾体8は一定範囲内の大きさとし、胴体連結体7と装飾体8とを一体的に連結して芯材9を形成する。
【0014】
胴体連結体7と装飾体8とを連結した芯材9を亜鉛合金またはアルミニウム合金などの金属を用いてダイカスト成形して形成する。そして芯材9のうち連結部10の一部および装飾体8全体の周囲に無色透明ないし半透明または有色透明ないし半透明のポリアミド、ポリアセタール、ポリプロピレン、ポリブチレンテレフタレートなどの連結部10の一部および装飾体8が透視可能な熱可塑性樹脂を用いて、射出成形手段によって芯材9を被覆し、一体成形して引手2を作製する。作製された引手2は図1、2に示すようにスライダー胴体1の上面に突設した引手取付部3に装着したクランパー4のフック部5に引手2の胴体連結体7に設けた軸部12を挿入し装着する。この際フック部5の開口部分にはU字状のスプリング片6がフック部5の基部に取り付けられ、フック部5に挿入された軸部12の脱落を阻止する形にスプリング片6の先端で封止する。
【0015】
引手2の装飾体8における装飾部15の模様は図5、6に示すように、胴体連結部7は平板状の連結部10の一端にU字状のアーム11を突設し、連結部10の他端には支柱部14を連設し、この支柱部14に花弁模様をあしらった一定範囲内の大きさを有する装飾部15を形成した芯材9を金属を用いたダイカスト成形した後に、連結部10の一部および装飾体8全体の周囲に透視可能な熱可塑性樹脂を射出成形して芯材9を被覆して引手2を作製する。作製された引手2は図5に示すようにスライダー胴体1上面に突設した引手取付部3の後口側の開口部分からU字状のアーム11を挿入し、開口部分を加圧して連結部10のU字状のアーム11が引手取付部3から脱落するのを阻止する。
【0016】
引手2の装飾体8における装飾体15に関する変形例は数多くあるが、その全ての装飾体8および連結部10の形態で共通することは、装飾体8は一定範囲内の大きさ、すなわち長さ寸法、巾寸法、厚み寸法が予め定められた寸法内から形成し、連結部10は平板状で断面形状が一定で共通する形状に形成し、連結部10に装飾体8の支柱部14を連設し、この支柱部14に各種の模様を呈する装飾部15を付設して芯材9をダイカスト成形する。芯材9は一種類の金型20のキャビティ26であっても、多数の異形の芯材9を同一的に配して収容でき、同一条件のもとで射出成形でき湯漏れのないバリが発生しない美しい装飾体8が透視できる引手2を作製することができる。
【0017】
図7に示す引手2は、胴体連結体7の連結部10は左右に一対のアーム11を突設し、アーム11の先端に軸部12を架設した連結部10に支柱部14を連設し、この支柱部14に三日月と星をあしらった装飾部15を付設した芯材9をダイカスト成形した後に、連結部10の一部および装飾体8全体の周囲に透視可能な熱可塑性樹脂を用いて射出成形して被覆し、引手2を作製する。引手2の使用例は図1、2に示すスライダー胴体1と同様のスライダー胴体1が対象として用いられる。
【0018】
図8に示す引手2は、胴体連結体7の平板状の連結部10にU字状のアーム11を突設し、連結部10の他端に設ける支柱部14の役目を果たす円板および円環を連ねて装飾部15を連設した芯材9をダイカスト成形した後に、連結部10の一部および装飾体8全体の周囲に透視可能な熱可塑性樹脂を用いて射出成形して被覆し、引手2を作製する。引手2の使用例は前記図5に示すスライダー胴体1と同様のスライダー胴体1が対象として用いられる。
【0019】
次に、この発明のスライドファスナー用スライダーの引手の製造方法について説明する。この発明のスライドファスナー用スライダーの引手2は、胴体連結体7と装飾体8とを連結した各種類の芯材9を最初に亜鉛合金、アルミニウム合金などの金属を用いてダイカスト成形し、成形された芯材9の装飾体8は全て一定範囲内の大きさを具有し、かつ連結部10の形状も一定の厚さ幅を有する平板状に形成し、各種タイプの模様を有する芯材9であっても、共通して使用できる金型20を用いて射出成形し、製品にバリが発生しない体裁のよい引手2を作製できる。
【0020】
図9〜12に示すように、金型20は上型21と下型22に引手2の外形に即した形のキャビティ26を刻設し、このキャビティ26に胴体連結体7と装飾体8からなる芯材9を配置し、溶融した熱可塑性樹脂をスプル23、ランナ24、ゲート25を経てキャビティ26に流入させて成形する。この発明の特徴は、事前に各種類の模様を有する芯材9を亜鉛合金、アルミニウム合金などからダイカスト成形して芯材9を生産し保管する。この保管された芯材9から顧客の要望に基づいて芯材9を選択し、1個の金型20に設けたキャビティ26に芯材9を配置して収容し樹脂を射出成形することにより、各種の引手2の少量生産が可能となる。
【0021】
引手2の多種少量生産を行うためには、各種の装飾部15を有する装飾体8の大きさを一定の範囲内の形状に形成すること、また装飾体8を連結する胴体連結体7の連結部10の大きさ形状を各種の芯材9において共通する同一形態に形成することである。この態様であると1個の金型に刻設されたキャビティ26に同種の芯材9を配置して収容し、樹脂を射出成形することができ、また金型20を変更することなく異種の芯材9をキャビティ26に配置して収容し、射出成形することができる。さらに金型20に刻設された数個のキャビティ26に、それぞれ異なるすなわち異種の芯材9を配置して収容し射出成形し、異なる装飾部15を具有する引手2を一挙に作製することもできる。なお、図11、12に示された27は、キャビティ26に配置された芯材9を正常な位置に保持するためのジグを挿入し固定するための溝部である。
【0022】
【発明の効果】
この発明のうち請求項1記載の発明は、引手は、胴体連結体と多種多様で一連の装飾体の一つとを連結部を介して連結して芯材を形成し、胴体連結体と一定内の大きさの装飾体とは平板状で断面形状が共通する連結部により連結し、芯材を金属のダイカスト成形によって形成し、胴体連結体は断面形状が共通する平板状の連結部からU字状のアームを突設して形成し、連結部の一部および装飾体全体の周囲に該部分が透視可能な樹脂を被覆成形したことによって、連k粒は、胴体連結体と装飾体とに共通する平板状の断面形状であり、装飾体は一定範囲内の大きさであるから金型におけるキャビティの形状を何種類も刻設する必要はなく、一種類のキャビティで各種の芯材を収容し射出成形でき、金型のコストを低減することができる。また顧客が希望する多種多様な装飾引手を迅速かつ効率よく生産することができ、さらに胴体連結体と装飾体とに共通する平板状の連結部からU字状のアームを突設させているから、殆どの形態のスライダーたとえば自由スライダー、自動停 止装置付スライダーに簡単に適用することができ、そのうえ外観が美しい連結部および装飾体が透視できる引手を作製できる効果がある。
【0023】
請求項2記載の発明は、引手は、胴体連結体と多種多様で一連の装飾体の一つとを連結部を介して連結して芯材を形成し、胴体連結体と一定内の大きさの装飾体とは平板状で断面形状が共通する連結部により連結し、芯材を金属のダイカスト成形によって形成し、胴体連結体は断面形状が共通する平板状の連結部から左右一対のアームを突設し、アームの先端に軸部を架設し、連結部の一部および装飾体全体の周囲に該部分が透視可能な樹脂を被覆成形したことによって、連結部は胴体連結体と装飾体とに共通する平板状の断面形状であり、装飾体は一定範囲内の大きさであるから金型におけるキャビティの形状を何種類も刻設する必要はなく、一種類のキャビティで各種の芯材を収容し射出成形でき、金型のコストを低減することができる。また顧客が希望する多種多様な装飾引手を迅速かつ効率よく生産することができ、さらに胴体連結体と装飾体とに共通する平板状の連結部から左右一対のアームを突設し、アームの先端に軸部から左右一対のアームを突設し、アームの先端に軸部を架設させているから、殆どの形態のスライダーたとえば自由スライダー、自動停止装置付スライダーに簡単に適用することができ、そのうえ外観が美しい連結部および装飾体が透視できる引手を作製できる効果がある。
【0024】
請求項3記載の発明は、胴体連結体に対して、一定内の大きさで一連の多種多様な装飾体を断面形状が共通する平板状の連結部により連結して芯材を形成し、多種多様な芯材を受注により選択し、芯材を金型に設けた一定形状のキャビティに収容した後、芯材の連結部の一部および装飾体全体の周囲を被覆する形で、該部分が透視可能な樹脂を射出成形したことによって、多種多様な芯材を事前に簡易に製造し保管することができ、したがって顧客からの注文に応じて簡単に芯材を金型に配置し、迅速に樹脂製の引手を製造することができる。しかも引手は、胴体連結体と装飾体とを共通する平板状の断面形状の連結部で連結し、連結部の一部および装飾体全体を被覆し、この部分が透視でき外観が美しい引手を製造できる効果があるなど、この発明が奏する効果はきわめて顕著である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 一対のアームを備えた引手を装着したスライダーの分解斜視図である。
【図2】 同上スライダーの側面図である。
【図3】 同上スライダーの引手の正面図である。
【図4】 同上スライダーの引手のA−A線断面図である。
【図5】 U字状のアームを備えた引手を装着したスライダーの分解斜視図である。
【図6】 引手の変形例を示す正面図である。
【図7】 引手の他の変形例を示す正面図である。
【図8】 引手のさらに他の変形例を示す正面図である。
【図9】 金型における上型の正面図である。
【図10】 同上上型の側面図である。
【図11】 金型における下型の正面図である。
【図12】 同上下型の側面図である。
【図13】 公知の引手の分解斜視図である。
【図14】 他の公知の引手の正面図である。
【符号の説明】
2 引手
7 胴体連結体
8 装飾体
9 芯材
10 連結部
11 アーム
12 軸部
20 金型
26 キャビティ
Claims (3)
- 引手2は、胴体連結体7と多種多様で一連の装飾体8の一つとを連結部10を介して連結して芯材9を形成し、胴体連結体7と一定内の大きさの装飾体8とは平板状で断面形状が共通する連結部10により連結し、芯材9を金属のダイカスト成形によって形成し、胴体連結体7は断面形状が共通する平板状の連結部10からU字状のアーム11を突設して形成し、連結部10の一部および装飾体8全体の周囲に該部分が透視可能な樹脂を被覆成形してなることを特徴とするスライドファスナー用スライダーの引手。
- 引手2は、胴体連結体7と多種多様で一連の装飾体8の一つとを連結部10を介して連結して芯材9を形成し、胴体連結体7と一定内の大きさの装飾体8とは平板状で断面形状が共通する連結部10により連結し、芯材9を金属のダイカスト成形によって形成し、胴体連結体7は断面形状が共通する平板状の連結部10から左右一対のアーム11を突設し、アーム11の先端に軸部12を架設し、連結部10の一部および装飾体8全体の周囲に該部分が透視可能な樹脂を被覆成形してなることを特徴とするスライドファスナー用スライダーの引手。
- 胴体連結体7に対して、一定内の大きさで一連の多種多様な装飾体8を断面形状が共通する平板状の連結部10により連結して芯材9を形成し、多種多様な芯材9を受注により選択し、芯材9を金型20に設けた一定形状のキャビティ26に収容した後、芯材9の連結部10の一部および装飾体8全体の周囲を被覆する形で、該部分が透視可能な樹脂を射出成形してなることを特徴とするスライドファスナー用スライダーの引手の製造方法。
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