JP4071046B2 - 配送伝票 - Google Patents

Description

【０００１】
【産業上の利用分野】
本発明は、配送品の配送作業において使用する配送伝票に関し、特に、配送品に接着する伝票基材に対して剥離可能な配送票を備えた配送伝票に関する。
【０００２】
【従来の技術】
従来からこの種の配送伝票は広く知られており、伝票基材に対して配送票を剥離可能に接着する構成としては、例えば、２枚の樹脂フィルムを剥離可能に疑似接着したものを介して接着する構成、接着後に剥離可能な接着剤によって接着する構成がある。
【０００３】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、従来の構成によると、剥離可能な接着剤を用いた構成では、配送票を伝票基材から剥離する際に、容易かつきれいに剥がすことが困難である一方、高温および高湿度な環境条件下においては、接着力が低下し、取扱中に配送票が不用意に剥離する虞があるという不都合を生じる。さらに、このような条件下では圧着後の接着強度が必要以上に高進し、接着面を剥離しようとするとしても容易に接着面を剥離できなかったり、配送票が破壊されるといった問題が生じる場合もあった。
本発明は、このような不都合を解消し、高温および高湿度な環境条件下においても安定した接着性能を維持でき、また、圧着後の接着強度が必要以上に高進することのない配送伝票を提供することを目的とする。
【０００４】
【課題を解決するための手段】
この目的を達成するために本発明の配送伝票は、伝票基材の裏面には粘着剤を設けるとともに、この粘着剤を剥離紙で被覆し、前記伝票基材の表面には所定の配送票を、その配送情報記入面が表出するように剥離可能に接着してなる配送伝票であって、前記剥離可能な配送票の裏面と、これと対接する前記伝票基材の表面には、それぞれ放射線硬化型の剥離可能な感圧性接着剤を積層し、これら積層した感圧性接着剤層同士で、層間剥離可能に前記配送票と前記伝票基材とが接着されてなり、前記放射線硬化型の剥離可能な感圧性接着剤が、放射線硬化性アクリル化合物と、（メタ）アクリロイル基含有シリコーンオリゴマーとを含み、前記（メタ）アクリロイル基含有シリコーンオリゴマーの全てのシロキサン構造単位における、（メタ）アクリロイル基が結合したシロキサン構造単位と、（メタ）アクリロイル基を含む基が結合したシロキサン構造単位との総和が占める割合が５〜５０モル％であることを特徴とする。
【０００５】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好適な実施形態を添付図面に基づいて詳細に説明する。ここにおいて、図１は配送伝票の概略的な平面図、図２は図１のＡ−Ａ線断面図、図３は配送情報を印字した配送伝票を配送品に貼付した状態の概略的な断面図、図４は同じく配達票兼受領票を剥離した状態の概略的な断面図である。
【０００６】
図１及び図２に示すように、配送伝票１は伝票基材２を備え、この伝票基材２の表面には、２枚の配送票である貼付票４と配達票兼受領票５を、その配送情報記入面が表出するようにして、放射線硬化型の剥離可能な感圧性接着剤を積層してなる感圧性接着剤層３ａ，３ｂを介して剥離可能に接着している。前記貼付票４と前記配達票兼受領票５は、同一紙片にスリット６で区画形成したものであり、このスリット６は前記貼付票４及び前記配達票兼受領票５の裏面に積層した感圧性接着剤層３ａにも達している。
【０００７】
また、伝票基材２の裏面には、一旦接着すると剥離困難な通常の粘着剤７を設けるとともに、この粘着剤７を剥離紙８で被覆し、この剥離紙８には剥離開始端となるスリット９を設けている。配送伝票１は、当初は図１上、上下方向に折り兼切り用ミシン目（図示せず）を介して連続する状態にあり、その幅方向両側には、切り用ミシン目１０を境として移送孔１１を等間隔に多数透設したマージナル部１２を設けている。
【０００８】
上述の感圧性接着剤層３ａ，３ｂを構成する放射線硬化型の剥離可能な感圧性接着剤とは、放射線硬化性アクリル化合物と、（メタ）アクリロイル基含有シリコーンオリゴマーとを含むことを特徴とし、以下、この感圧性接着剤について詳述する。
【０００９】
本発明の感圧接着剤組成物は、紫外線、電子線、Ｘ線、ｉ線、ｇ線などの放射線により硬化して接着力を発揮するアクリル化合物と、（メタ）アクリロイル基含有シリコーンオリゴマーとを含有している。（メタ）アクリロイル基含有シリコーンオリゴマーは放射線硬化性アクリル化合物との相溶性が良く、十分な強度の感圧性接着剤層３ａ，３ｂを必要な初期接着強度を確保して形成でき、特に高進性を抑制できることが確認できた。特に、（メタ）アクリロイル基とシロキサン構造単位の存在と、シリコーンがオリゴマーであることが重要と考えられる。
【００１０】
（メタ）アクリロイル基を有するシリコーンオリゴマーは、メチルシロキサン構造単位およびフェニルシロキサン構造単位のみで構成された一般のシリコーンポリマーと異なり、放射線硬化性アクリル化合物との相溶性が格段に良いため、感圧接着剤組成物に（メタ）アクリロイル基含有シリコーンオリゴマーを添加しても白濁せず、また、感圧接着剤組成物を伝票基材２上に塗工してもハジキ等の塗工不良は発生せず、十分な表面平滑性を有する感圧性接着剤層３ａ，３ｂを形成できるため、感圧性接着剤層３ａ，３ｂの表面が柚子肌状となることもない。
【００１１】
また、（メタ）アクリロイル基含有シリコーンオリゴマーは（メタ）アクリロイル基を有する。このため、感圧接着剤組成物を硬化して感圧性接着剤層３ａ，３ｂを形成すると、（メタ）アクリロイル基含有シリコーンオリゴマーは感圧性接着剤層３ａ，３ｂを構成するポリマーの一部となるため、再剥離性の感圧性接着剤層３ａ，３ｂを形成した場合、適度な接着強度と十分な再剥離性とを両立できる。
【００１２】
本発明における（メタ）アクリロイル基含有シリコーンオリゴマーとしては特に制限されず、例えば、メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシランを加水分解して得られるシラノール等の（メタ）アクリロイル基を有するシラノール類を経由する重縮合反応により、（メタ）アクリロイル基含有シリコーンオリゴマーを得ることができる。また、得られた（メタ）アクリロイル基含有シリコーンオリゴマーを環状シロキサンと、酸性触媒下で平衡反応に供することで、更に他の構造を有する（メタ）アクリロイル基含有シリコーンオリゴマーに誘導することもできる。
【００１３】
また、この様な（メタ）アクリロイル基含有シリコーンオリゴマーの中でも、十分な性能を有する感圧接着剤層を形成する観点、特に感圧接着剤組成物の硬化性の観点から、例えば、（メタ）アクリロイル基含有シリコーンオリゴマーの少なくとも何れかの末端珪素に、（メタ）アクリロイル基および（メタ）アクリロイル基を含む基の少なくとも何れか一方が結合している構造が好ましい。即ち、（メタ）アクリロイル基含有シリコーンオリゴマー中で（メタ）アクリロイル基が存在している位置は種々考えられるが、少なくとも末端に（メタ）アクリロイル基が存在していることが好ましい。
【００１４】
ここで、（メタ）アクリロイル基含有シリコーンオリゴマーの全てのシロキサン構造単位における、（メタ）アクリロイル基が結合したシロキサン構造単位と、（メタ）アクリロイル基を含む基が結合したシロキサン構造単位との総和が占める割合は、十分な性能を有する感圧性接着剤層３ａ，３ｂを形成する観点から、５モル％以上が好ましく、１０モル％以上がより好ましく、２０モル％以上が更に好ましく、一方、５０モル％以下が好ましく、４０モル％以下がより好ましく、３０モル％以下が更に好ましい。
【００１５】
以上より、本発明の感圧接着剤組成物を伝票基材２に塗布し硬化することで、十分な強度の感圧性接着剤層３ａ，３ｂを形成でき、必要な初期接着強度を確保して特に高進性が抑制された感圧性接着剤層３ａ，３ｂを形成でき、感圧接着剤組成物は白濁せず、感圧接着剤組成物を伝票基材２上に塗工してもハジキ等の塗工不良は発生せず、感圧性接着剤層３ａ，３ｂは十分な透明性を有し、感圧性接着剤層３ａ，３ｂの表面は十分に滑らかであり、適度な接着強度を実現でき、再剥離性の感圧接着剤組成物を作製した場合、十分な再剥離性を有するアクリル系放射線硬化型感圧接着剤組成物を実現できる。
【００１６】
さて、各感圧性接着剤層３ａ，３ｂ同士を層間剥離可能に接着するには、伝票基材２の表面と、貼付票４及び配達票兼受領票５の裏面とに、それぞれ放射線硬化型の剥離可能な感圧性接着剤を積層して各感圧性接着剤層３ａ，３ｂを設けたうえ、放射線を照射して各表面に硬化皮膜を形成し、前記各感圧性接着剤層３ａ，３ｂ同士が対接するように、伝票基材２の表面に貼付票４及び配達票兼受領票５の裏面を重ね合わせ、所定の圧力を加えて各硬化皮膜同士を接着すればよい。
【００１７】
図１に示すように、貼付票４の表面には、「貼付票」なる表題１３、伝票番号１４、受付年月日記入欄１５、届け先記入欄１６、依頼主記入欄１７、配送品の包装サイズを指定するサイズ指定欄１８、届け先の地域コードを記入する着地コード記入欄１９、品名記入欄２０、配送品が壊れもの、生ものである場合に指定する特殊配送品指定欄２１、前記伝票番号１４をバーコード表示したバーコード表示２２が、あらかじめ印刷されている。
【００１８】
同じく図１に示すように、配達票兼受領票５の表面には、「配達票兼受領票」なる表題２３、配達票４と同一の伝票番号２４、受付年月日記入欄２５、届け先記入欄２６、依頼主記入欄２７、品名記入欄２８、受領印捺印欄２９、受領年月日記入欄３０、前記伝票番号２４をバーコード表示したバーコード表示３１が、あらかじめ印刷されている。
【００１９】
本実施形態は以上のように構成したので、連続状態にある配送伝票１を、図示していないコンピュータに連動したジェットインクプリンタにかけて、受領印捺印欄２９と受領年月日記入欄３０を除く貼付票４と配達票兼受領票５の各記入欄１５，１６，１７，１９，２０，２５，２６，２７，２８に、あらかじめ入力されたデータに基づく所定事項を印字するとともに、前記入力データに応じて各指定欄１８，２１の所定事項を選択指定印字する。
【００２０】
続いて、マージナル部１２を除去し、単片化することにより、上記各所定事項を含む配送情報３２（図３参照）を印字した配送伝票１が作成される。この配送伝票１は、剥離紙８をスリット９部分から剥離し、図３に示すように、露出した粘着剤７により配送品３３の適所に貼付して、従来と同様に配送作業を行う。ここで、配達票兼受領票５は、適宜な時期に配送車運転者が伝票基材２から剥離して（図４参照）、これに表示された配送情報３２に基づき届け先に配送品３３を配送し、配送品３３を受け取った届け先では、受取人に配達票兼受領票５の受領印捺印欄２９に捺印してもらうとともに、受領年月日記入欄３０に受領年月日を記入してもらい、この配達票兼受領票５を持ち帰ることにより、配送作業を終了する。
【００２１】
上述の配達票兼受領票５を伝票基材２から剥離するに際しては、前記配達票兼受領票５を捲り上げると、各感圧性接着剤層３ａ，３ｂ同士の接着面において層間剥離し、図４に示すように、感圧性接着剤層３ｂを伝票基材２表面に残した状態で、感圧性接着剤層３ａは前記配達票兼受領票５とともに容易に離反するものである。
【００２２】
なお、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、例えば、配送票の種類も貼付票４と配達票兼受領票５とに限らず、配達票と受領票でもよく、また、その枚数も配送票の機能に応じて決定されるもので、１枚あるいは３枚以上でもよい。そして、少なくとも受領票の機能を有する配送票が伝票基材２に対して剥離可能であればよいものである。またさらに、感圧性接着剤層３ａ，３ｂは剥離する配送票に対応する部分にのみ設けてもよく、上述の実施形態では、配達票兼受領票５に対応する部分にのみ感圧性接着剤層３ａ，３ｂを設け、貼付票４に対応する部分には粘着剤７と同様の一旦接着すると剥離困難な接着剤や粘着剤を設けて、前記貼付票４は伝票基材２に対して剥離困難に接着してもよいものである。
【００２３】
【発明の効果】
以上説明したところで明らかなように、本願の請求項１の配送伝票によれば、伝票基材に対して所定の配送票を、特殊な放射線硬化型の剥離可能な感圧性接着剤層同士により層間剥離可能に接着したので、高温および高湿度な環境条件下においても安定した接着性能を維持でき、このような条件下でも圧着後の接着強度が必要以上に高進せず、容易に接着面を剥離でき、配送票の破壊を防止できるなどという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図１】 配送伝票を概略的に示す平面図。
【図２】 同じく図１のＡ−Ａ線断面図。
【図３】 同じく配送情報を印字した配送伝票を配送品に貼付した状態の断面図。
【図４】 同じく配達票兼受領票を剥離した状態の断面図。
【符号の説明】
１ 配送伝票
２ 伝票基材
３ａ，３ｂ 感圧性接着剤層
４ 貼付票
５ 配達票兼受領票
６，９ スリット
７ 粘着剤
８ 剥離紙
３２ 配送情報
３３ 配送品

Claims (1)

1. 伝票基材の裏面には粘着剤を設けるとともに、この粘着剤を剥離紙で被覆し、前記伝票基材の表面には所定の配送票を、その配送情報記入面が表出するように剥離可能に接着してなる配送伝票であって、前記剥離可能な配送票の裏面と、これと対接する前記伝票基材の表面には、それぞれ放射線硬化型の剥離可能な感圧性接着剤を積層し、これら積層した感圧性接着剤層同士で、層間剥離可能に前記配送票と前記伝票基材とが接着されてなり、前記放射線硬化型の剥離可能な感圧性接着剤が、放射線硬化性アクリル化合物と、（メタ）アクリロイル基含有シリコーンオリゴマーとを含み、前記（メタ）アクリロイル基含有シリコーンオリゴマーの全てのシロキサン構造単位における、（メタ）アクリロイル基が結合したシロキサン構造単位と、（メタ）アクリロイル基を含む基が結合したシロキサン構造単位との総和が占める割合が５〜５０モル％であることを特徴とする配送伝票。

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