JP4069506B2 - 高強度焼結部品用合金鋼粉および混合粉 - Google Patents

高強度焼結部品用合金鋼粉および混合粉 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、粉末冶金用合金鋼粉に係り、とくに自動車用高強度焼結部品の製造に好適な合金鋼粉および混合粉に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、粉末冶金は、金属粉を金型内で加圧して成形体としたのち、焼結して機械部品等を製造する技術である。例えば、金属粉として鉄粉を用いる場合には、鉄粉にCu粉、黒鉛粉等を混合し、成形、焼結を行い、通常5.0 〜7.2g/cm3程度の密度を有する焼結体とする。このような粉末冶金法を利用すれば、かなりの複雑な形状の機械部品を寸法精度良く製造できる。このため、粉末冶金法を用いた焼結体は、ギヤ等の自動車用部品として広く用いられている。
【0003】
これら自動車用焼結部品には、高強度や耐摩耗特性に優れていることが要求されているが、強度や耐摩耗特性の向上のためには、焼結体に合金元素を添加し、さらに焼入焼戻等の熱処理を施して製品化することが一般的に行われている。
焼結体への合金元素の添加は、従来から、純鉄粉中にCr、Mn等の合金元素を均一に合金化させて製造する予合金化合金鋼粉を用いる場合や、例えば、特公昭45-9649 号公報に開示されるように、Ni、Mo、Cu等の合金元素を鉄粉に拡散付着させた部分合金化合金鋼粉を用いる場合がある。
【0004】
しかしながら、予合金化合金鋼粉を用いた場合には、成形時の圧縮性が劣化する場合が多く、高い焼結密度が得られず、高強度が得られない。また、一方、部分合金化合金鋼粉を用いる場合には、予合金鋼粉に比べて成形時の圧縮性は高いが、成分的に不均一となるため熱処理後の組織の均一性が低下するなどの問題が残されていた。
【0005】
例えば、特開平2-104636号公報には、バルブシート用鉄基焼結合金に用いる原料粉として予合金化した合金鋼粉を利用することが提案され、Mo:3〜14wt%含有するFe-Mo 系の粉末の例が開示されている。
また、特開平1-215904号公報には、成形、焼結を経て熱処理を施される用途に用いられる合金鋼粉として、MoおよびCuとともにNiを部分合金化させた部分合金化合金鋼粉が提案されている。
【0006】
また、特開平6-81001 号公報には、成形、焼結を経て熱処理を施される用途に用いられて強度、疲労特性および寸法精度が向上する合金鋼粉が提案されている。この合金鋼粉は、Mo:0.05〜2.5wt %と、Nb、V、Tiのうちの1種または2種以上をそれぞれ0.005 〜0.08wt%の範囲で予合金成分として含有し、さらにNi:0.5 〜5wt%およびCu:0.5 〜2.5 wt%のうちの少なくとも1種を部分合金化成分として含有するものである。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
さらに、最近では、製造コストの低減のため、高強度の焼結部品を、RXガスなどの弱酸化性雰囲気中での焼結温度を低下させた低温焼結で製造する焼結部品の製造方法が指向され、しかもさらに焼結後の熱処理をも省略することが要求されるようになっている。このような低温焼結処理を施し、しかもその後の熱処理を省略した焼結部品において、焼結の後の焼結部品の強度が高強度となる原料鋼粉が要望されている。
【0008】
しかし、弱酸化性雰囲気中で焼結を行う場合には、Cr、Mn等の易酸化性合金元素を予合金すると予合金された合金元素が酸化されて、所望の強度向上が得られないという問題があった。一方、特公昭45-9649 号公報に記載された、Ni、Mo、Cu等の合金元素を部分合金化する合金鋼粉では、合金元素の酸化という問題はないが、この合金鋼粉は、焼結後熱処理を行うことを目的としており、焼結のままではNi等の合金元素が十分に拡散均一化せず、引張強さ500MPa以上、好ましくは800MPa以上の高強度を達成することができない。また、特開平2-104636号公報に記載された合金鋼粉では、高強度化のために高価なMoを多量添加する必要があり、安価な焼結部品を目的とする場合には問題を残していた。
【0009】
また、特開平1-215904号公報に記載された合金鋼粉も、焼結後熱処理を行うことを前提としており、焼結のままでは引張強さ500MPa以上、好ましくは800MPa以上という高強度を確保できにくいうえ、部分合金化させる合金元素量が多量であり経済的に不利となるという問題もあった。
また、特開平6-81001 号公報に記載された合金鋼粉は、熱処理を行うことを目的としており、焼結のままでは引張強さ500MPa以上好ましくは800MPa以上の高強度を達成することができないという問題があった。
【0010】
本発明は、上記した状況に鑑み、低温焼結処理、望ましくは弱酸化性雰囲気中での低温焼結処理を施し、焼結のままの強度が、引張強さ500MPa以上、より好ましくは800MPa以上の高強度を有する高強度焼結部品を製造できる合金鋼粉を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記した課題を達成するため、鋭意検討した結果、鋼粉として、水アトマイズにより製造されたアトマイズ合金鋼粉を用い、さらに予合金して強度を向上させる元素として焼結中に酸化されにくい、Moを選択することにより、弱酸化性雰囲気中での低温焼結処理を施しても、引張強さ800MPa以上の高強度を有する焼結部品の製造が可能であることを見いだした。
【0012】
さらに、従来鋼粉に添加していた黒鉛粉に代えて、Fe−C系水アトマイズ粉を用いることにより、焼結時に液相が形成しやすくなり、角ばった空孔を球状化させることができ、さらには空孔を減少ないし削減させることができ、高強度焼結部品の製造に好適であることを見いだした。
本発明は、上記した知見をもとに構成されたものである。
【0014】
た、本発明は、予合金元素として、Mo:3.5 〜10wt%を含み残部Feおよび不可避的不純物からなる水アトマイズ合金鋼粉に、さらにCu:10wt%以下、Ni:10wt%以下のうちから選ばれた1種または2種を部分合金化したことを特徴とする高強度焼結部品用合金鋼粉である。
【0015】
また、本発明は、Mo:3.5 〜10wt%を予合金化して含み残部Feおよび不可避的不純物からなる水アトマイズ合金鋼粉に、さらにCu粉:10wt%以下、Ni粉:10wt%以下のうちから選ばれた1種または2種を添加混合したことを特徴とする高強度焼結部品用混合粉である。
【0016】
また、本発明は、上記した合金鋼粉に、C:2〜5wt%を含有し、好ましくは残部Feおよび不可避的不純物からなるFe−C系水アトマイズ粉を所定のC量となるように添加し、さらに潤滑剤、あるいはさらに黒鉛粉を混合したことを特徴とする高強度焼結部品用混合粉であり、前記Fe−C系水アトマイズ粉は、平均粒30μm 以下とするのが好ましい。
【0017】
【発明の実施の形態】
本発明では、所定量の合金元素を予合金した溶鋼を溶製し、水アトマイズして予合金化水アトマイズ合金鋼粉とする。水アトマイズは、通常公知の装置および方法を用いて行えばよく、とくに限定する必要はない。鋼粉は、水アトマイズ後、常法に従い、仕上還元処理、粉砕を施されるのは言うまでもない。
【0018】
予合金化水アトマイズ合金鋼粉の組成の限定理由について、説明する。
本発明では、予合金する主たる合金元素として Moを選択する Moは、弱酸化性雰囲気中での焼結を行っても酸化されることはなく、効率よく強度の向上が可能となる。なお、Moを主たる予合金元素とする場合には、Cu粉、Ni粉のうちの1種または2種を用いて合金鋼粉に拡散付着させCu、Niのうちの1種または2種を部分合金化させるものとする。このようにすることにより、Cu、Niの固溶強化による鋼粉の圧縮性の低下が避けられるのである
【0022】
ついで、Moを主たる予合金元素として含有する場合について説明する。
Moを主たる予合金元素とする場合には、Mo単独添加では、引張強さ500MPa以上を確保できないために Cu、Niを部分合金化して含有させる。
Mo:3.5 〜10wt
Moは、固溶強化、変態強化、炭化物の析出強化により強度を向上させる元素であり、しかも予合金化しても圧縮性の低下は少ない。しかし、Moが3.5wt %未満では、強度を向上させる効果が十分でなく、一方、Moを10wt%を超えて含有させると、圧縮性が低下し強度、靱性が低下する。このため、Moは3.5 〜10wt%の範囲に限定した。また、MoとCuは固溶しないため、共存させると析出量が多くなり、強度が向上する。
【0024】
本発明の合金鋼粉は、上記した合金元素以外は残部Feおよび不可避的不純物である。
また、本発明では、上記した組成のMoを主として予合金した合金鋼粉に、Cu粉、Ni粉を混合し熱処理により拡散付着させCu、Niを部分合金化した合金鋼粉としてもよい。その場合においても、Cuの含有量 10wt%以下でよい。また、Niの含有量は、Cuと同様に10wt%以下とする
【0025】
Cu:10.0wt%以下
Cuは、Mo 複合する場合には、焼結部品中のCu含有量が所定量となるように、合金鋼粉にCu粉を配合し混合した混合粉とするか、あるいは合金鋼粉にバインダーで付着させた混合粉とするか、あるいは合金鋼粉にCu粉を拡散付着させ部分合金化した合金鋼粉とする方法により、含有させるのが好ましい。なかでも、Cuを部分合金化した合金鋼粉とするのが、Cu粉の偏析防止の観点から好ましい。
【0026】
含有するCuの含有量が、10.0wt%を超えると、圧縮性が低下し強度、靱性が低下する。このため、Cuの含有量は10.0wt%以下に限定した。なお、Cu含有量が1.0 wt%未満では、強度の向上度合が少なく、好ましくは1.0 wt%以上とするのがよい。また、さらに好ましくは、2〜5wt%の範囲である。また、MoとCuは固溶しないため、共存させると析出量が多くなり強度が向上する。
【0027】
Ni:10wt%以下
Niは、Mo 複合する場合には、焼結部品中のNi含有量が所定量となるように、合金鋼粉にNi粉を配合し混合した混合粉とするか、あるいは合金鋼粉にバインダーで付着させた混合粉とするか、あるいは合金鋼粉にNi粉を拡散付着させ部分合金化した合金鋼粉とする方法により含有させるのが好ましい。なかでも、Niを部分合金化した合金鋼粉とするのが、Ni粉の偏析防止の観点から好ましい。
【0028】
Niは、ベイナイトあるいはマルテンサイト変態開始温度を低温側へ移行させて組織を微細化し、基地を強化し、焼結材料を高強度化する作用を有する元素である。しかし、Ni含有量が10wt%を超えると、オーステナイト量が増加し強度を低下させる。このため、Ni含有量は10wt%以下とするのが望ましい。なお、Ni含有量が0.5 wt%未満では、強度向上効果が少ないため、0.5 wt%以上とするのがより好ましい。さらに好ましくは2〜6wt%である。
【0029】
また、上記した組成のMoを主として予合金した合金鋼粉にさらに上記組成となるようにCu粉、Ni粉のうちの1種または2種を配合し混合するか、あるいは該合金鋼粉にバインダーで付着させた混合粉とすることもできる。
本発明では、上記したいずれかの組成の合金鋼粉に、さらにC:2〜5wt%のFe−C系水アトマイズ粉を焼結部品のC量が所定のC量となるように添加し、さらに潤滑剤、あるいはさらに必要に応じ黒鉛粉が添加され、Vブレンダー等の通常の方法で混合されたのち、所定の圧粉密度となるように圧縮成形され、ついで焼結されて焼結体とされる。この焼結体は、このまま焼結部品とするか、さらに切削加工等により所定の寸法形状に加工され焼結部品とされる。
【0030】
Fe−C系水アトマイズ粉は、C:2〜5wt%を含有する溶鋼を溶製し、水アトマイズ処理して水アトマイズ粉末とする。水アトマイズ処理は、通常公知の装置および方法を用いて行えばよく、とくに限定する必要はない。水アトマイズ粉は、溶融状態から水で急冷されるため、アモルファス状態に近く、焼結時に粉末中のCが拡散しにくく、Cが局所的に存在したままとなり、液相を形成しやすくなるという利点がある。
【0031】
Fe−C系水アトマイズ粉のC含有量が2wt%未満、あるいは5wt%超では、液相生成温度が高くなり、通常の焼結温度では、焼結時に液相が形成されないため、空孔を球状化することができず、また、空孔の減少あるいは消滅もなく所期した効果が期待できない。このため、水アトマイズ粉のC含有量は2〜5wt%に限定した。
【0032】
また、Fe−C系水アトマイズ粉には、C以外にとくに合金元素を添加する必要はなく、残部はFeおよび不可避的不純物とするのが好ましい。しかし、Siは0.1wt %以下、Mnは0.2wt %以下、Pは0.01wt%以下、Sは0.01wt%以下まで許容できる。
水アトマイズ処理されたFe−C系水アトマイズ粉末は、通常平均粒径が60〜90μm程度であり、粉砕によりさらに微細粒とするのが好ましい。粉砕は通常公知の装置および方法で行えばよく、とくに限定する必要はない。本発明で使用するFe−C系水アトマイズ粉は、平均粒径30μm以下に粉砕された粉末とするのが好ましい。Fe−C系水アトマイズ粉の平均粒径が30μmを超えると、液相生成後の空孔が大きくなる、Cの均一性が悪くなる問題がある。なお、本発明における粉末の粒径は、ふるい分け法で測定した結果を使用する。
【0033】
本発明の合金鋼粉あるいは混合粉に配合される黒鉛粉の配合量は、0.3 〜1.0 wt%とするのが好ましい。黒鉛粉は、鉄中に固溶せしめ強度を高めるために添加する。
また、本発明の合金鋼粉あるいは混合粉に必要に応じ配合される潤滑剤の配合量は、0.3 〜1wt%とするのが好ましい。潤滑剤は、ステアリン酸亜鉛、オレイン酸等が好適である。
【0034】
なお、本発明の合金鋼粉あるいは混合粉は、弱酸化性であるRXガスのガス雰囲気中で、1100℃〜1200℃の低温焼結を実施しても、焼結のままで所定の高強度を有する焼結体とすることができるが、この条件に限定されるものではなく、N2 、AXガス等他の雰囲気中で高い温度での焼結を行うこともできるのは言うまでもない。
【0035】
【実施例】
(実施例1)
表1に示す合金元素を予合金化して含み残部Feおよび不可避的不純物からなる組成の予合金化合金鋼粉を水アトマイズ法で製造した。なお、これら水アトマイズ合金鋼粉のうちの一部は、さらに表1に示すCu、Ni含有量となるようにCu粉、Ni粉を混合した混合粉とした。また、これら水アトマイズ合金鋼粉のうちの一部は、さらにCu粉、Ni粉を混合し、水素雰囲気中で880 ℃×1hrの熱処理を施し、Cu、Niを部分合金化した合金鋼粉とした。
【0036】
表1に示す組成の合金鋼粉および混合粉に、黒鉛粉:0.8wt %およびステアリン酸亜鉛粉:1%を添加し、Vブレンダーで混合したのち、成形圧力590MPaで成形し成形体とした。これら成形体にRXガス(プロパン変性ガス)雰囲気中で1130℃×20min の条件の低温焼結を施し、焼結体とした。得られた焼結体について、引張強さ、耐摩耗性を調査した。
【0037】
耐摩耗性試験は、大越式摩耗試験装置を用いて、下記条件で行い、摩耗体積を測定し、摩耗量とした。
荷重:12.6kgf
摩擦速度:4.21m/s
摩擦距離:1500m
湿式:ATFオイル、1滴/s
相手材:SUJ−2
それらの結果を表1に示す。
【0038】
【表1】
Figure 0004069506
【0039】
【表2】
Figure 0004069506
【0040】
表1から、本発明例は、引張強さ500MPa以上の高強度の焼結体となっており、しかも摩耗量も少なく耐摩耗性にも優れていることがわかる。また、引張強さ800MPa以上の高強度の焼結体も比較的低合金元素添加量で得られている。一方、本発明の範囲を外れる比較例No.23 は、低温焼結および焼結後の熱処理省略のため500MPa未満の低い引張強さしか得られていない。さらに、Crを含む従来例(No.32 )では、弱酸化性の焼結雰囲気のため高強度が得られていない。また、Niを多量に部分合金化した、あるいは添加混合した比較例(No. 37、No. 41)では700MPa以下の低い引張強さしか得られていないうえ、摩耗量も多い。また、Niを多量に添加した従来例(No.33 )では、低温焼結、熱処理省略のため、引張強さ800MPa以上の高強度が得られていない。
【0041】
(実施例2)
表2に示す組成の合金元素を含み残部Feおよび不可避的不純物からなる組成の予合金化鋼粉を水アトマイズ法で製造した。水アトマイズ処理後、還元焼鈍、粉砕し平均粒径70μmの粉末とした。なお、これら水アトマイズ合金鋼粉のうちの一部は、さらに表2に示すCu、Ni含有量となるようにCu粉、Ni粉を混合した混合粉とした。
【0042】
また、これら水アトマイズ合金鋼粉のうちの一部は、さらにCu粉、Ni粉を混合し、水素雰囲気中で880 ℃×1hrの熱処理を施し、Cu、Niを部分合金化した合金鋼粉とした。また、表2に示す量のCを含有し残部Feおよび不可避的不純物からなる組成の溶湯を溶製し、水アトマイズ処理によりFe−C系水アトマイズ粉とした。水アトマイズ処理後、ディスクミル装置により粉砕し、平均10〜49μmの水アトマイズ粉とした。
【0043】
ついで、表に示す組成の合金鋼粉に、表2に示すFe−C系水アトマイズ粉をC換算で 0.3または 0.6wt%配合し、さらに一部のものには、黒鉛粉:0.3 wt%を配合し、さらにステリアン酸亜鉛粉:1%を配合し、Vブレンダーで混合したのち、成形圧力490MPaで成形し,成形体とした。ついでこれら成形体にRXガス雰囲気中で1130℃×20min の焼結処理を施し、焼結体とした。これら、焼結体の引張強さ、耐摩耗特性および密度を調査した。
【0044】
なお、従来例として、表2に示す合金鋼粉に黒鉛粉:0.6 wt%およびステリアン酸亜鉛粉:1%を添加し、Vブレンダーで混合したのち、成形圧力590MPaで成形し成形体とした。ついで、これら成形体に本発明例、比例例と同様にRXガス(プロパン変性ガス)雰囲気中で焼結を施し、焼結体とした。
それらの結果を表2に示す。
【0045】
【表3】
Figure 0004069506
【0046】
表2から、C含有量が本発明の範囲にあるFe−C系水アトマイズ粉を用いた本発明例は、液相が生成し、焼結密度が6.9Mg/m3以上と高密度の焼結体であり、引張強さ500MPa以上あるいは800MPa以上の高強度の焼結体となっている。また、Fe−C系水アトマイズ粉の粒径が30μm以下となる本発明例では、焼結密度が7.2Mg/m3以上の高密度となっている。また、本発明例の耐摩耗特性は、摩耗量8.0 ×10-3mm3 以下と優れている。
【0047】
これに対し、本発明の範囲を外れる比較例では、液相が生成せず焼結密度も低く、引張強さも低く、耐摩耗性も劣化している。また、黒鉛粉を用い、Crを含む従来例では、液相が生成せず、焼結密度は低く、弱酸化性の焼結雰囲気のため引張強さも低い。
【0048】
【発明の効果】
本発明によれば、従来の合金鋼粉に比べ、弱酸化性雰囲気での低温焼結を施すことがが可能となり、低温焼結でしかも熱処理を施さずに高強度の焼結部品が製造でき、経済的に安価の焼結部品を提供できるという、産業上格段の効果を奏する。

Claims (4)

  1. 予合金元素として、Mo:3.5 〜10wt%を含み残部Feおよび不可避的不純物からなる水アトマイズ合金鋼粉に、さらにCu:10wt%以下、Ni:10wt%以下のうちから選ばれた1種または2種を部分合金化したことを特徴とする高強度焼結部品用合金鋼粉。
  2. Mo:3.5 〜10wt%を予合金化して含み残部Feおよび不可避的不純物からなる水アトマイズ合金鋼粉に、さらにCu粉:10wt%以下、Ni粉:10wt%以下のうちから選ばれた1種または2種を添加混合したことを特徴とする高強度焼結部品用混合粉。
  3. 請求項1に記載の合金鋼粉に、さらにC:2〜5wt%を含有するFe−C系水アトマイズ粉を所定のC量となるように添加し、さらに潤滑剤あるいはさらに黒鉛粉を混合したことを特徴とする高強度焼結部品用混合粉。
  4. 前記Fe−C系水アトマイズ粉が、平均粒径30μm 以下であることを特徴とする請求項3に記載の高強度焼結部品用混合粉。
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