JP4067677B2 - 走査電子顕微鏡の自動検出シーケンスファイル作成方法及び走査電子顕微鏡の自動測長シーケンス方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、走査電子顕微鏡の自動シーケンスファイル作成方法、走査電子顕微鏡の自動シーケンス方法及び走査電子顕微鏡の自動測長装置に関し、より詳しくは、半導体装置を構成するパターンなどを測長し又は検査するための走査電子顕微鏡の自動シーケンスファイル作成方法、走査電子顕微鏡の自動シーケンス方法及び走査電子顕微鏡の自動測長装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年の走査電子顕微鏡(SEM(scanning electron microscop)) は、測長精度の向上と装置のスループットの向上のために、測長ポイントを自動で測長し、また、高速で測長することができる自動測長システムが求められている。
従来、走査電子顕微鏡などの測長技術の一環として、測長SEMの人為的な測長ミスの削減、高スループット化、装置稼働率の向上が求められてきた。
【0003】
そのような状況の中で、ウェハ上の所定のパターンの測長を行う方法として、予め、ウェハレイアウトの作成、光学顕微鏡によるグローバルアライメントマークの登録、測長箇所の画像認識パターンの登録、オートフォーカスレベルの登録、測長パターンのアルゴリズムの登録などといった作業を経てから、自動測長ファイルを作成しておき、その後、その自動測長ファイルを基に、測長装置がオペレータフリーで自動測長を行う方式が採用されている。
【0004】
次に、従来技術の測長方式の一例を図1に基づいて説明する。
まず、図1の(1) に示すように測長するウェハ(試料)のウェハレイアウトを作成する。ウェハレイアウトとは、半導体ウェハに配置される複数のチップ領域がどの位置に並んでいるかのデータを測長走査電子顕微鏡のメモリ部に記憶させることであり、そのデータは、ステッパ(縮小露光装置)から取り込むのが一般的である。
【0005】
続いて、図1の(2) に示すように光学式顕微鏡を用いてグローバルアライメントの対象となるチップを選択する。グローバルアライメントとは、ウェハの基準点(原点)のズレを補正し、さらに、ウェハの傾きθを補正することである。
さらに、図1の(3) に示すように、試料を測長SEM装置内のチャンバ内に入れる。
【0006】
続いて、図1の(4) に示すように、チャンバ内でグローバルアライメントマークを走査電子顕微鏡のメモリ部に登録する。グローバルアライメントマークというのは、グローバルアライメントを行うためのマークであり、具体的には、グローバルアライメントの対象となる1つのチップ領域内の例えば特定画像とXY座標点と画像倍率を取得してメモリに登録することである。
【0007】
そして、そのグローバルアライメントマークのデータに基づいて、ウェハの原点のズレを補正し、さらにウェハの傾きθを補正する、即ちグローバルアライメントを実行する。
次に、図1の(5) に示すように、測長を行うポイントを表示画像によって表示し、測長対象となるポイントの近くの画像認識マークを指定する。その指定によって、画像認識マークの画像と座標と画像倍率がメモリに登録される。このように画像認識マークとして、例えば測長対象となるポイントの近くの特徴のあるパターンが選択される。
【0008】
次に、図1の(6) に示すように、測長対象となるパターンを表示画像に表示し、電子ビームのスキャンエリアと測長アルゴリズムを選択する。ここでは、測長箇所の座標と倍率とスキャンエリアと測長アルゴリズムを取得して、メモリに登録する。
ここまでの作業で、測長対象となる1ポイントの登録作業が修了する。そして、測長対象となる他のポイントがまだ存在する場合には、図1の(7) に示すように、図1の(5) 〜(6) の作業を繰り返して行う。また、測長対象となる他のポイントがまだ存在しない場合には、図1(8) に示すように、試料を走査型顕微鏡の外に取り出す。
【0009】
以上のような操作によって自動測長シーケンスファイルの作成が修了する。そして、図1の(9) に示すように、動測長シーケンスファイルに基づいて、ウェハ上のパターンの測長が自動で行う作業に入ることになる。
走査電子顕微鏡を使用する従来技術については、例えば特開平4−370947号公報、特開平5−226441号公報、特開平7−113854号公報などにおいて、種々の提案がなされている。
【0010】
まず、特開平4−370947号公報においては、電子ビーム装置用測定点変換方法が記載されている。その方法は、電子ビームを試料上で走査させることにより配線パターンの二次電子像を取得し、ついでCADデータに基づいて配線パターンのレイアウト像を作成し、二次電子像の第1特徴点とレイアウト図上の第1特徴点を抽出し、二次電子像及びレイアウト図上において直交座標を設定し、直交座標の2軸の各々に沿って第2特徴点のヒストグラムを作成し、二次電子像についてのヒストグラムとレイアウト図のヒストグラムとのマッチングを行って両直交座標のズレを検出し、ズレに基づいて互いに対応する第1特徴点を選択し、この第1特徴点に基づいてレイアウト図上の座標を2次電子像上の座標に変換する座標変換式を求めるものである。
【0011】
また、特開平5−226441号公報においては、半導体装置を構成する回路パターンと論理回路の配線情報との間の対応を検索する方法が記載されている。その方法は、電子ビーム装置とズレ量検出手段と照射制御手段を有するものである。その電子ビーム装置においては、多層配線を有する半導体チップ(検査対象物)を2次元移動ステージに搭載し、その半導体チップに電子ビームを照射し、半導体チップから放出された二次電子の検出信号によりSEM画像と測定電圧を得る。また、ズレ量検出手段は、電子ビーム装置で得られたSEM画像とレイアウト図格納部から読み出した配線層別のレイアウト図と比較することにより配線層別にSEM画像とレイアウト図とのズレ量を検出する。照射制御手段は、ズレ量検出手段で検出されたズレ量に応じて電子ビーム照射位置と半導体チップ上の測長点を一致させるように二次元移動ステージの移動を制御するものである。
【0012】
特開平7−113854号公報においては、荷電粒子ビームを利用したICテスタが記載されている。そのICテスタは、自動プロービング手段により荷電粒子ビームを自動的に配線導体(目的対象物)に照射し、配線導体から放出される二次電子の量を測定して配線導体に流れる信号波形を測定するEBテスタを使用するとともに、マスクレイアウトCADデータをSEM像の歪みに対応させて補正し、マスクレイアウトCADデータの補正とSEM像の取得動作を並行して実行することによって、自動プロービング手段の処理速度を高速化したものである。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、図1の(1) 〜(4) については走査電子顕微鏡で作業しなくても、他の装置からそれらのデータをそのまま引用することによって自動測長シーケンスファイルが作成できる。しかしながら、図1の(5) 〜(8) の作業は実際の試料がないと自動測長シーケンスファイルを作成することができなかった。
【0014】
したがって、自動測長シーケンスファイルの作成作業は手間がかかっていた。しかも、その自動測長シーケンスファイルを作成するための作業の間は、測長SEM装置が使用中となっているために、実際の測長を行うための作業ができない状態となっており、これにより測長SEM装置の実質的な稼働率が低くなってしまう。
【0015】
また、上記した3つの特許公開公報に記載された技術はCADデータを用いたものである。
そのうち、特開平4−370947号公報には、SEM像とCADデータのマッチング方法については詳細に述べられておらず、単純にSEM像のエッジ情報とCADデータを比較してもパターンマッチングは不可能である。例えばSEM像の倍率とCADデータを参照するデータ倍率が異なっていれば、エッジマッチングもできないし、CADデータは四角や三角の線パターンの組み合わせにより構成されているために、CADデータのエッジ情報のみを照合してもパターンマッチングはできない。
【0016】
また、特開平5−226441号公報においては、CADデータに基づいて作成されたレイアウト図とSEM像とからヒストグラムを作成し、ヒストグラムのマッチングによって位置合わせを行うということが記載されている。しかし、レイアウト図からヒストグラムの作成をすることはできない。なぜならば、電子ビームを照射する領域の物質の種類や組み合わせによってコントラスト(グレーレベル)が変化するからである。従って、パターンのある部分が常に明るいといった判断、即ち二次電子が多く出るといった判断はできず、レイアウト図からヒストグラムを作成したとしても実際のSEM像のヒストグラムとは異なったものになる。また、特開平5−226441号公報に記載の技術はヒストグラムのマッチングを採用している点で他のマッチング方法とは相違する。
【0017】
さらに、CADデータを用いる特開平7−113854号公報においては、予めイニシャルアライメント処理によりSEM像とマスク図かとからマスク図をSEM像に合致させるための補正係数を求めておき、SEM画像取得中に、マスクレイアウトCADデータを読込み、このレイアウトCADデータを倍率、回転角、配線幅に関して補正を行う。補正されたマスクレイアウトCADデータをマスク図に変化し、このマスク図とSEM像とをパターンマッチングさせ、座標補正値(Δx,Δy)を求め、この座標補正値によりEBビームの照射位置を補正する構成としたものであるが、CADデータとSEM像を比較する際に、予めSEM像を取得し、SEM像に合致させるための補正係数を求めておかなければならない。このような手法では、実際のSEM像を取得するためのサンプルが必要である。なお、補正係数を求めたサンプルのSEM像がこれから測定を開始するサンプルと同様に歪みが発生するかは判らない。また、前述したように、CADデータは四角や三角の線パターンの組み合わせで構成されているために、それらの線パターンのエッジ情報のみを照合してもパターンマッチングはできないなどの欠点がある。
【0018】
以上、現状の一例と幾つかの特許公報を挙げて説明したように、従来の測長SEM装置の自動測長シーケンスファイルを作成する場合には、実際のウェハ(試料)が無いと画像認識マーク、座標登録、測長アルゴリズムの設定が不可能である。即ち、自動測長ファイルを作成するためには、画像認識マークの画像登録、位置登録、測定ポイントの測長アルゴリズムなどの登録作業が必要であり、特に、画像認識マークの登録作業においては、実際のウェハが無いと画像認識マークが不可能である。さらに、自動測長シーケンスファイル用の画像認識マーク・測長マークを登録するためには、一時、測長SEMを専有して作成しなければならない。
【0019】
本発明の目的は、装置の稼働率を向上し、ウェハを用いることなく自動測長シーケンスファイルを作成することができる走査電子顕微鏡の自動シーケンスファイル作成装置及び自動シーケンスファイル作成方法を提供することにある。
【0020】
【課題を解決するための手段】
(1)上記した課題は、図6〜図10に例示するように、CADデータから設計データd0を取り込み、前記設計データd0から、任意の領域に含まれる、複数のパターンの集合によって形成されたパターンデータd1を取り込み、前記複数のパターンの集合によって形成されたパターンデータd1に基づいてパターン輪郭エッジデータd2を抽出し、前記パターン輪郭エッジデータd2から測長箇所Aを指定し、前記パターン輪郭エッジデータd2からテンプレートパターンエッジ情報d3を設定する処理を含み、前記テンプレートパターンエッジ情報d 3 は、ウェハ面上のレイアウトを作成し、該ウェハ面からグローバルアライメント対象を登録し、前記測長箇所Aを登録した後にファイルに登録され、さらに、前記複数のパターンの集合によって形成されたパターンデータd 1 を画像表示することによって該画像から電子ビーム走査範囲が選択され、その後に、測長アルゴリズムを選択する処理を含むことを特徴とする走査電子顕微鏡の自動検出シーケンスファイル作成方法によって解決する。
【0022】
上記した走査電子顕微鏡の自動検出シーケンスファイル作成方法において、前記パターン輪郭エッジデータは、メッシュ状に分割されて2値化されることを特徴とする。
(2)上記した課題は、図6〜図10に例示するように、CADデータから設計データd0を取り込み、前記設計データd0から、任意の領域に含まれる、複数のパターンの集合によって形成されたパターンデータd1を取り込み、前記複数のパターンの集合によって形成されたパターンデータd1に基づいてパターン輪郭エッジデータd2を抽出し、前記パターン輪郭エッジデータd2から測長箇所Aを指定し、前記パターン輪郭エッジデータd2から画像認識情報d3を抽出することによりファイルを作成し、前記ファイルを走査電子顕微鏡3に転送し、前記走査電子顕微鏡3の画像表示部3CにウェハW上の実パターンを表示し、前記画像表示部3Cの前記実パターンから実パターンエッジ情報d4を抽出し、前記画像認識情報d3と前記実パターンエッジ情報d4を比較することにより前記画像表示部3Cで表示された前記実パターンの位置又は前記設計データd0の位置を特定することを含み、前記ファイルからの前記画像認識情報d 3 と前記ウェハW上の前記実パターンの前記実パターンエッジ情報d 4 とを比較し且つ整合させた後に、前記ウェハWの前記実パターンエッジ情報d 4 が前記画像認識情報d 3 として取り込まれることを特徴とする走査電子顕微鏡の自動測長シーケンス方法によって解決する。
【0023】
上記した走査電子顕微鏡の自動シーケンス方法において、前記設計データd0の取込みは、CADデータから任意の品種と任意の層の設計データを取り込むことによって行われることを特徴とする。
【0024】
上記した走査電子顕微鏡の自動シーケンス方法において、前記ウェハW上のパターンは、前記CADデータに基づいて形成された露光マスクを使用して形成されたレジストパターン又は膜パターンであることを特徴とする。
(3)上記した課題は、CADデータから任意の品種、任意の層についての第1の設計データd0 をコンピュータ2に取り込む工程と、前記第1の設計データd0 から任意の場所、任意の領域についての第2の設計データd1 を取り込む工程と、前記コンピュータ2に格納されている種々のパターニング情報に基づいて、光学シュミレーション又はレジスト形状シュミレーションを行い、前記第2の設計データd1 に基づいてウェハW上に形成される第1のレジストパターン形状情報d7 又は第1の膜パターン形状情報d8 を計算する工程と、前記第1のレジストパターン形状情報d7 又は前記第1の膜パターン形状情報d8 からパターン輪郭エッジ情報を抽出し、該パターン輪郭エッジ情報d’2 に基づいて画像認識情報d3 を得る工程と、前記第2の設計データd1 に基づいて前記ウェハW上に形成された第2のレジストパターン又は第2の膜パターンのうち、前記第2の設計データに対応する部分を包含する画像を走査電子顕微鏡3の画像表示部3Cに表示し、該画像表示部3Cに現れた実パターンを実パターンエッジ情報d4 として取得する工程と、前記画像認識情報d3 と前記実パターンエッジ情報d4 とを比較して、前記実パターンの位置又は前記第2の設計データd1 の位置を特定することを特徴とする走査電子顕微鏡の自動測長シーケンスファイル作成方法によって解決する。
【0025】
上記した走査電子顕微鏡の自動測長シーケンスファイル作成システムにおいて、前記コンピュータ2に格納されている種々の前記パターニング情報は、前記品種の下地膜種構造、レジスト情報、レジスト露光装置の光学定数、現像液情報であることを特徴とする。
次に、本発明の作用について説明する。
【0026】
本発明によれば、CADデータに格納されている設計データに基づいて測長箇所の指定やテンプレートの作成を行うことにより、走査電子顕微鏡の自動シーケンスファイルを作成するようにした。
したがって、自動シーケンスファイルの作成時には、走査電子顕微鏡を使用することがなくなり、その間に走査電子顕微鏡において、測長処理が可能になる。この結果、走査電子顕微鏡の稼働率が高くなる。
【0027】
また、ウェハ上の実パターンに基づいて実パターンエッジ情報を作成し、その実パターンエッジ情報の少なくとも一部を自動シーケンスファイルのパターン輪郭エッジデータとして取り込むことにより、自動シーケンスファイルのパターン輪郭エッジデータの精度をより実パターンに近づけることができる。
さらに、本発明では、設計データとパターニング条件に基づいて、ウェハ上に形成されるレジストパターンや膜パターンをシュミレーションするようにしたので、自動シーケンスファイルのパターン輪郭エッジデータの精度をより実パターンに近づけることができ、測長エラーの発生が防止される。
【0028】
【発明の実施の形態】
そこで、以下に本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図2は、以下に述べる本発明の複数の実施形態のうちの共通な構成図であり、図3は、それらの各構成要素の機能を説明する図である。
図2において、CAD(computer aided design) システム1とホストコンピュータ2と走査電子顕微鏡3はネットワークで繋がっており、ホストコンピュータ2と走査電子顕微鏡3の間、CADシステム1とホストコンピュータ2の間でデータの受け渡しが可能になっている。また、ホストコンピュータ2にはファイル作成、データ登録の作業のためのワークステーション4が接続されている。
【0029】
CADシステム1、ホストコンピュータ2、走査電子顕微鏡3は、図3に示すようなデータの保持とデータの交換とを行う。
図3において、CADシステム1のメモリ部1Aには、半導体装置の各品種(例えば、DRAM、論理回路)とそれらの品種を構成する複数層のパターンの設計データが格納されている。その設計データのうち必要な品種、層の設計データd0 は、ホストコンピュータ2へと引き出される。
【0030】
ホストコンピュータ2は、CADシステム1から引き出した設計データd0 を一時的に保存し、その設計データd0 に基づいてパターンをワークステーション4の表示部に表示させる。また、ホストコンピュータ2は、光学シュミレーション機能とレジスト形状シュミレーション機能を有し、さらに、種々のサンプル情報を走査電子顕微鏡3に出力するとともに、走査電子顕微鏡3の自動測長シーケンス作成ファイルf0 のエディット機能を有し、ファイル作成後に自動測長シーケンス作成ファイルf0 や自動測長シーケンスファイルf1 のデータを走査電子顕微鏡3に転送する。種々のサンプル情報としては、例えば品種プロセスフローの経歴、下地膜種構造(各厚、屈折率、吸収係数)、レジスト情報(組成比、膜厚、ネガ・ポジ、透過率、吸収エネルギー等)、露光装置の光学定数(波長、NA、σ、マスク種等)、現像液情報(現像速度係数、現像時間等)がある。
【0031】
走査電子顕微鏡3の制御部3Aは、自動測長する機能を有し、ホストコンピュータ2との間で自動測長シーケンス作成ファイルf0 を互いにアクセスしあったり、自動測長シーケンスファイルf1 を受け取り保存したりする。
また、走査電子顕微鏡3の走査電子部3Bは、図4に示すように、電子ビーム進行方向に向かって電子銃3aとコンデンサレンズ3bと偏向コイル3cと対物レンズ3Dと移動ステージ3fとを有し、電子銃3aから照射した荷電粒子をコンデンサレンズ3b、偏向コイル3c、対物レンズ3dを通して移動ステージ3f上の試料Wに照射するようになっている。移動ステージ3fは、ステージ精度3σ=3μmとなっている。
【0032】
また、荷電粒子が照射された試料Wから出た二次電子の量は二次電子検出器3gによって検出され、その検出量は増幅器によって変換されて表示部3Cで表示される。また、偏向コイル3cの偏向量と表示部3Cの画像スキャン量は制御部3Aによって制御される。
(第1の実施の形態)
次に、本発明の第1の実施の形態に係る走査電子顕微鏡の自動シーケンスファイル作成装置を用いて自動測長シーケンスファイルを作成する手順を図5のフローチャートに基づいて説明する。
【0033】
第1に、図5の(a) と図6(a) に示すように、ホストコンピュータ2は、必要な品種、必要な層の第1の設計データd0 をCADシステム1のメモリ部1Aから引き出し、これを一時保存する。
第2に、図5の(b) に示すように任意場所の設計データの取り込みを次のように行う。
【0034】
即ち、図6(b) に示すように、第1の設計データd0 に基づいて得られる画像をワークステーション4の画像表示部4aに表示する。そして、表示させた画像のうち任意の領域Rを指定してその領域R内の第2の設計データd1 を所定の画像データファイル内に取り込む。
具体的には、測長ポイントとなる任意の場所Pを画像表示部4aの画面中央に表示する。この場合、走査電子顕微鏡3で測長を行い且つ画像認識を行う画像倍率と同じ画像倍率で任意の領域Rを含む画像を表示させる。そして、その表示の後に、任意の領域Rの第2の設計データd1 を、測長走査電子顕微鏡(CD−SEM)3の視野範囲(Field of View; FOV)分の設計データとして画像データファイル内に取り込む。その第2の設計データd1 にはパターンデータの他に位置情報も含まれている。これは、設計情報にはどの位置でも座標データを持っているから位置情報の取込みは容易である。
【0035】
第3に、図5の(c) と図7(a) に示すように、測長走査電子顕微鏡3のFOV分の設計データ、即ち第2の設計データd1 からパターン輪郭エッジ情報d2 を抽出する。第2の設計データd1 は、四角や三角のパターンの集合によって形成された設計データd1 を有するものであって、パターンエッジ情報ではない。
即ち、測長走査電子顕微鏡3の第1の設計データd1 のうちからパターン輪郭(パターンエッジ)情報を抽出して、パターン輪郭エッジ情報d2 を得る。そして、パターン輪郭エッジ情報d2 に基づいて、ホストコンピュータ4の画像表示部4aにパターンエッジ画像を表示させる。
【0036】
第4に、図5の(d) と図7(b) に示すように、測長対象箇所Aを指定する。
即ち、パターンエッジ画像のうちの測長したい箇所Aをワークステーション4のキー操作等によって指定して、その測長箇所Aの座標(AX1,AY1)を測長ポイント座標として読み込んでその座標データを画像データファイルに格納する。
【0037】
第5に、図5の(e) と図7(c) に示すように、テンプレートデータを作成する。
即ち、ワークステーション4の画像表示部4aに表示されたパターンエッジ画像のうち、特徴のあるパターンP2 を含む範囲をキー操作によって指定し、その範囲を画像認識テンプレートTとして指定する。そして、画像認識テンプレートTとなるパターンP2 の座標(AX2,AY2)とこのパターンP2 を含む範囲をテンプレートパターンエッジ情報d3 として画像ファイル内に記録する。
【0038】
この例では、テンプレートパターンエッジ情報d3 は、測長箇所Aに近い特徴のあるパターンP2 を含む範囲をテンプレートとしたが、その大きさに制限は無く、例えば、パターン輪郭エッジ情報d2 に基づいて表示されるパターンエッジ画像の範囲を全てテンプレートパターンエッジ情報d3 としてもよい。なお、この実施形態では、パターン輪郭エッジ情報d2 の一部をテンプレートパターンエッジ情報d3 と仮定して説明する。
【0039】
第6に、図5の(f) と図7(c) に示したテンプレートエッジ情報d3 を測長走査電子顕微鏡3の画像認識用のテンプレートとして利用し、以下のようにして測長走査電子顕微鏡3の自動測長シーケンスファイルf1 を作成する。その自動測長シーケンスファイルf1 の作成はホストコンピュータ2によって図8のフローチャートに従って作成されていく。
【0040】
まず、図8の(A−1)に示すように、ホストコンピュータ2は、測長走査電子顕微鏡3から自動測長設定ファイルの作成ツールである自動測長シーケンス作成ファイルf0 を呼び出す。
そして、ホストコンピュータ2においては、予めCADシステム1から呼び出された第1の設計データd0 の品種に対応してウェハレイアウトの作成を自動的に行ってこれを自動シーケンスファイルf1 に登録する。これは、品種毎にチップレイアウトが決まっているのでウェハレイアウトが自動的に作成ができることになる。
【0041】
次に、図8の(A−2)に示すように、グローバルアライメントを行うチップとグローバルアライメントに使用する画像認識マークを自動シーケンスファイルf1 に登録する。この場合、ステージ精度が3σ=3μmであることを前提としているので、予め普遍的にあるパターンを登録しておけば、光学式顕微鏡で十分に検知可能出ある。これも、レイアウトによってワークステーション4の操作によってホストコンピュータ2への設定が可能である。
【0042】
次に図8の(A−3)に示すように、測長ポイントの登録に入る。
まず、画像認識テンプレートTの登録を行う。これは先ほど、ホストコンピュータ2で作成したテンプレートパターンエッジ情報d3 と座標(AX2,AY2)を自動測長シーケンスファイルf1 に登録することによって行われる。続いて、測長点の座標(AX1,AY1)を自動測長シーケンスファイルf1 に登録する。さらに、どの部分を測長するかを予め登録しておかなければならないので、ホストコンピュータ2に保存しておいた、測長走査電子顕微鏡3のFOVの第2の設計データd1 をメモリ部から呼び出し、その第2の設計データd1 に基づいてビームスキャン範囲と測長方法を指定し、これを自動測長シーケンスファイルf1 に記録する。一般には、スキャンエリアの選択と、測長アルゴリズムの選択を行う。
【0043】
その後に、図8の(A−4)に示すように、他の測長ポイントがまだ存在する場合には(A−3)に示した操作を繰り返す。
そして、図8の(A−5)に示すように、全ての測長ポイントに関してのデータの処理が終わった場合には、この段階で自動測長シーケンスファイルf1 の作成が終了する。その自動測長シーケンスファイルf1 を一時ホストコンピュータ2に保存する。
【0044】
次に、ウェハ(試料)の自動測長の工程に入る。即ち、図4に示した測長走査電子顕微鏡3の走査電子部3Bのウェハ載置台3f上にウェハWを載置し、その前か後に、図8の(A−6)に示すように、自動測長シーケンスファイルf1 のデータをホストコンピュータ2から測長走査電子顕微鏡3の制御部3Aに転送する。
【0045】
そして、測長走査電子顕微鏡3は、自動波長シーケンスファイルf1 に基づいてグローバルアライメントを行い、移動ステージ3fの移動により測長点の座標を表示部3Cの視野範囲に移動させる。
これにより、図9(a) に示すように、測長走査電子顕微鏡3の画像表示部3Cの表示画像にはウェハW上のテンプレートパターンT1 が含まれるので、測長走査電子顕微鏡3はテンプレートパターンT1 から図9(b) に示すようなテンプレートパターンエッジ情報d4 を抽出する。
【0046】
そして、表示画像3Cのテンプレートパターンエッジ情報d4 と自動測長シーケンスファイルf1 中のテンプレートパターンエッジ情報d3 とを比較する。それらの情報が一致した場合には、自動測長シーケンスファイルf1 中の第2の設計データd1 に対応するウェハW上の範囲の位置が自動的に特定される。即ち、テンプレートパターンT1 の位置が決まれば、第2の設計データd1 の表示位置が決まることになる。
【0047】
次に、ウェハW上でのテンプレートの座標(AX2,AY2)から測長ポイント(AX1,AY1)にビーム照射点を移動したり或いは移動ステージ3fを移動させて測長箇所A0 の測長を行う。この測長は、自動波長シーケンスファイルf1 内のアルゴリズム、ビームスキャン範囲のデータに基づいて行われる。
(第2の実施の形態)
測長走査電子顕微鏡3では、テンプレートパターンT1 の画像認識として例えば16pixel ×16pixel サイズのメッシュが用いられている。
【0048】
そこで、本実施形態では、ホストコンピュータ2で作成するテンプレートパターンエッジ情報として、測長走査電子顕微鏡3のテンプレートパターンの画像認識メッシュサイズと同サイズに分割したテンプレートエッジ情報d5 を取得する方法について説明する。なお、この実施形態では、第1実施形態で作成したテンプレートパターンエッジ情報d3 を、第1のテンプレートパターンエッジ情報d3 とする。
【0049】
まず、第1実施形態と同様に、第2の設計データd1 を取得した後に、図7(a) に示すように、パターン輪郭エッジ情報d2 を作成する。
次に、第1実施形態と同様にして、パターン輪郭エッジ情報d2 から第1のテンプレートエッジ情報d3 を取得する。そして、図10(a) に示すように、第1のテンプレートパターンエッジ情報d3 に対して測長走査電子顕微鏡3で使用する画像認識メッシュサイズと同サイズの分割処理、例えば16pixel ×16pixel の分割処理を行い、これにより第2のテンプレートパターンエッジ情報d5 を取得する。なお、ここでは画像認識テンプレート領域内のパターンエッジのみについて分割処理を行ったが、測長走査電子顕微鏡3の視野範囲内でパターン輪郭エッジ情報d2 をメッシュ分割してもよい。
【0050】
次に、第2のテンプレートパターンエッジ情報d5 について、1つのメッシュに対してパターンエッジが存在する箇所を「0」とし、存在しない箇所を「1」として、2値化処理を行う。この2値化処理によって、図10(b) に示すような第3のテンプレートパターンエッジ情報d6 が得られる。なお、1つのメッシュに対してパターンエッジが存在する箇所を「1」とし、存在しない箇所を「0」として2値化処理をしてもよい。
【0051】
この後に、第3のテンプレートパターンエッジ情報d6 を測長走査電子顕微鏡3の画像認識用テンプレートとして利用し、それ以外は図8の(A−1)〜(A−5)のフローに従って自動測長シーケンスファイルf1 を作成する。その自動測長シーケンスファイルf1 を一時ホストコンピュータ2に保存する。
次に、ウェハ(試料)の自動測長の工程に入る。即ち、図4に示した測長走査電子顕微鏡3の走査電子部3Bのウェハ載置台3f上にウェハWを載置し、その前か後に、図8の(A−6)に示すように、自動測長シーケンスファイルd1 のデータをホストコンピュータ2から測長走査電子顕微鏡3の制御部3Aに転送する。
【0052】
そして、測長走査電子顕微鏡3は、自動波長シーケンスファイルd1 に基づいてグローバルアライメントを行い、移動ステージ3fの移動により測長点の座標を画像表示部3Cの視野範囲に移動させる。
これにより、図11(a) に示すように、測長走査電子顕微鏡3の画像表示部3Cの表示画像にはテンプレートパターンT1 が含まれるので、そのテンプレートパターンT1 から図11(b) に示すようなテンプレートパターンエッジ情報d4 を抽出する。
【0053】
そして、表示画像に基づくテンプレートパターンエッジ情報d4 と自動測長シーケンスファイルf1 中の第3のテンプレートパターンエッジ情報d6 とを比較する。それらの情報d4 ,d6 が一致した場合には、自動測長シーケンスファイルf1 中の第2の設計データd1 に対応するウェハW上の範囲の位置が自動的に特定される。即ち、テンプレートパターンT1 の位置が決まれば、第2の設計データd1 の位置が決まることになる。
【0054】
次に、ウェハW上でのテンプレートの座標(AX2,AY2)から測長ポイント(AX1,AY1)にビーム照射点を移動したり或いは移動ステージ3fを移動させて測長箇所の測長を行う。この測長は、自動波長シーケンスファイル内のアルゴリズム、ビームスキャン範囲のデータに基づいて行われる。
(第3の実施の形態)
上記した2つの実施形態では、自動測長シーケンスファイルf1 をホストコンピュータ2で作成した後に、その自動測長シーケンスファイルf1 の手順に基づいて実際のウェハW上のパターンの測長を行うことになる。しかし、ウェハ上のパターンの形状は、パターン作成条件の違いによって第2の設計データd1 のパターンデータと一致しない場合がある。そこで、そのような場合の自動測長シーケンスファイルf1 のパターン輪郭エッジ情報d2 を実際に形成されるパターンの形状に合うように変換する必要がある。そこで、そのパターン輪郭エッジ情報d2 のパターン形状の書換えについて以下に説明する。
【0055】
第1に、図6(a) に示すように、ホストコンピュータ2は、必要な品種、必要な層の第1の設計データd0 をCADシステム1のメモリ部1Aから引き出し、これを一時保存する。
第2に、任意場所の設計データの取り込みを次のように行う。
即ち、図6(b) に示すように、第1の設計データd0 に基づいて得られる画像をワークステーション4の画像表示部4aに表示する。そして、表示させた画像のうち任意の領域Rを指定してその領域R内の第2の設計データd1 を所定の画像データファイル内に取り込む。
【0056】
具体的には、測長ポイントとなる任意の場所Pを画像表示部4aの画面中央に表示する。この場合、走査電子顕微鏡3で測長を行い且つ画像認識を行う画像倍率と同じ画像倍率で任意の領域Rを含む画像を表示させる。そして、その表示の後に、任意の領域Rの第2の設計データd1 を、測長走査電子顕微鏡(CD−SEM)3の視野範囲(Field of View; FOV)分の設計データとして画像データファイル内に取り込む。その設計データd1 にはパターンデータの他に位置情報も含まれている。これは、設計情報にはどの位置でも座標データを持っているから位置情報の取込みは容易である。
【0057】
ここまでは、第1実施形態と同じフローになっている。
次に、第3のフローとして、図7(a) に示したように、測長走査電子顕微鏡3の設計データ、即ち第2の設計データd1 からパターン輪郭エッジ情報d2 を抽出する手順に入る。
この場合、第2の設計データd1 は、四角や三角のパターンの集合によって形成された設計データを有するものであって、それ自体ではパターンエッジ情報とはなっていない。しかも、第2の設計データd1 に含まれるパターン情報は実際のウェハW上に形成されるパターンとは完全に一致しない場合がある。例えば、第2の設計データd1 では四角で表示されたパターンが、ウェハW上では丸みを帯びたパターンとなる。
【0058】
そこで、図12(a) に示すように、第2の設計データd1 に対して、ホストコンピュータ2に格納されている品種の下地膜種構造、レジスト情報、露光に使用される露光装置の光学定数、現像液情報に基づいて、光学シュミレーション、或いはレジスト形状シュミレーションを行い、その第2の設計データに基づいくマスクを用いてウェハに転写されるレジストパターン形状を計算してレジスト形状情報d7 を取得する。
【0059】
ここでの品種というのは、これから測長走査電子顕微鏡3にインプットされる品種を指し、インプットされる品種のプロセスフローの経歴によってシュミレーションを行うことになる。また、レジスト形状情報d7 には、レジストの原子組成比、膜厚、ネガ・ポジ、光透過率、光吸収エネルギー等の情報が含まれる。さらに、露光装置の光学定数としては、例えば波長、開口数(NA)、σ、マスク種などがある。現像液情報としては、組成、現像速度係数、現像時間などがある。
【0060】
以上のようにして得られたレジストパターン形状情報d7 に基づいて、図12(b) に示すようなパターンエッジ情報d’2 を計算する。そして、パターンエッジ情報d’2 に基づいて、ホストコンピュータ2のワークステーション4の画像表示部4aにパターンエッジ画像を表示させる。
なお、図12(a) に示したように、レジストパターン形状情報d7 に基づいてエッチングパターン形状情報(実パターン形状情報)d8 を取得し、これをレジストパターン形状情報d7 の代わりに使用してパターンエッジ情報d’2 を計算してもよい。なお、エッチングbパターン形状情報d8 を得るためには、膜のエッチング時間、エッチャントなどの情報に基づくシュミレーションを行う。
【0061】
これで第3のフローが終了する。
第4に、図12(b) に示したように、測長対象箇所を指定する。
即ち、パターンエッジ画像のうちの測長したい箇所Aをワークステーション4のキー操作等によって指定して、その測長箇所の座標(AX1,AY1)を測長ポイント座標として読み込んでその座標データを画像データファイルに格納する。
【0062】
第5に、図12(c) に示すように、テンプレートデータを作成する。
即ち、パターンエッジ画像のうち、特徴のあるパターンP2 を含む範囲をキー操作によって指定し、その範囲を画像認識テンプレートTとして指定する。そして、画像認識テンプレートTとなるパターンP2 の座標(AX2,AY2)とこのパターンP2 を含む範囲をテンプレートパターンエッジ情報d3 として画像ファイル内に記録する。
【0063】
この例では、テンプレートパターンエッジ情報d3 は、測長箇所に近い特徴のあるパターンP2 を含む範囲をテンプレートとしたが、その大きさに制限は無く、例えば、パターン輪郭エッジ情報d2 に基づいて表示されるパターンエッジ画像の範囲を全てテンプレートパターンエッジ情報d3 としてもよい。
第6に、図12(c) に示したテンプレートエッジ情報d3 を測長走査電子顕微鏡3の画像認識用のテンプレートとして利用し、測長走査電子顕微鏡3の自動測長シーケンスファイルf1 を作成する。その自動測長シーケンスファイルf1 の作成は図8にフローに従って作成されていく。
【0064】
この後に、第1実施形態と同様に、図8に示すフローに従って処理を行うことになる。
(第4の実施の形態)
第3の実施の形態では、レジストパターン形状情報d7 又はエッチングパターン形状情報d8 をパターンエッジ情報d3 として使用した。
【0065】
この場合にも、第2実施形態と同様に、テンプレートパターンエッジ情報d3 として、測長走査電子顕微鏡3の画像認識メッシュサイズと同サイズに分割したテンプレートエッジ情報d5 を取得するようにしてもよい。その実施形態を以下に説明する。尚、この実施形態では、第1実施形態で作成したテンプレートパターンエッジ情報d3 を、第1のテンプレートパターンエッジ情報d3 とする。
【0066】
まず、第1実施形態と同様に、第2の設計データd1 を取得した後に、図12(a) に示すように、レジストパターンエッジ情報d7 を作成する。
次に、レジストパターンエッジ情報d7 に基づいて第1のテンプレートパターンエッジ情報d3 を取得する。そして、図13(a) に示すように、第1のテンプレートパターンエッジ情報d3 について、測長走査電子顕微鏡で使用する画像認識メッシュサイズと同サイズの分割処理、例えば16pixel ×16pixel の分割処理を行い、これにより第2のテンプレートパターンエッジ情報d5 を取得する。なお、ここでは画像認識テンプレート領域内のパターンエッジのみについて分割処理を行ったが、測長走査電子顕微鏡の視野範囲でパターン輪郭エッジ情報d2 をメッシュ分割してもよい。
【0067】
次に、第2のテンプレートパターンエッジ情報d5 について、1つのメッシュに対してパターンエッジが存在する箇所を「0」とし、存在しない箇所を「1」として、2値化処理を行う。この2値化処理によって、図13(b) に示すような第3のテンプレートパターンエッジ情報d6 が得られる。なお、1つのメッシュに対してパターンエッジが存在する箇所を「1」とし、存在しない箇所を「0」として2値化処理をしてもよい。
【0068】
この後に、第3のテンプレートパターンエッジ情報d6 を測長走査電子顕微鏡の画像認識用テンプレートとして利用し、それ以外は図8の(A−1)〜(A−5)のフローに従って自動測長シーケンスファイルf1 を作成する。その自動測長シーケンスファイルf1 を一時ホストコンピュータ2に保存する。
次に、ウェハ(試料)の自動測長の工程に入る。即ち、図4に示した測長走査電子顕微鏡3の走査電子部3Bのウェハ載置台3f上にウェハWを載置し、その前か後に、図8の(A−6)に示すように、自動測長シーケンスファイルd1 のデータをホストコンピュータ2から測長走査電子顕微鏡3の制御部3Aに転送する。
【0069】
この後の処理は、第2の実施の形態と同様になる。
(第5の実施の形態)
上記した実施形態では、測長走査電子顕微鏡3の画像表示部3Cに表示された画像のテンプレートパターンエッジ情報d4 を取得し、これを自動測長シーケンスファイルf1 のテンプレートパターンエッジ情報dと比較し、それらが実質的に一致した場合には、測長箇所A0 を自動測長することになる。
【0070】
しかし、ウェハW上のテンプレートパターンエッジ情報d4 と自動測長シーケンスファイルf1 のテンプレートパターンエッジ情報d3 とで許容範囲内で完全に一致しない場合がある。これは、ウェハW上のパターンがフォトリソグラフィー工程において丸みを帯びたりオーバーエッチングによって変形が生じるなどが原因と考えられる。このような場合には、ウェハW上のパターンの形状等が別のウェハ上にも表れているのが一般的である。
【0071】
そこで、図14に示すように、測長走査電子顕微鏡3の画像表示部3Cの画像に基づいて作成されたウェハW上のテンプレートパターンエッジ情報d4 を自動測長シーケンスファイルf1 のテンプレートパターンエッジ情報d3 と比較し、それらの情報が実質的に一致すると判断した後に、自動測長シーケンスファイルf1 内のテンプレートパターンエッジ情報d3 をウェハW上のテンプレートパターンエッジ情報d4 と交換してもよい。
【0072】
このように自動測長シーケンスファイルf1 内に取り込まれたテンプレートパターンエッジ情報d4 は別のウェハ上のパターンを測長する場合に使用される。即ち、図15に示すように、測長走査電子顕微鏡3の画像表示部3Cの画像に基づいて得られたウェハ上のテンプレートパターンエッジ情報d’4 は、自動測長シーケンスファイルf1 内のテンプレートパターンエッジ情報d4 と比較され、これらが実質的に一致した場合には、所定の箇所の測長の手続きに移ることになる。
【0073】
【発明の効果】
以上述べたように本発明によれば、CADデータに格納されている設計データに基づいて測長箇所の指定やテンプレートの作成を行うことにより、走査電子顕微鏡の自動シーケンスファイルを作成するようにしたので、自動シーケンスファイルの作成時には、走査電子顕微鏡を使用することがなくなり、その間に走査電子顕微鏡において、測長処理が可能になり、走査電子顕微鏡の稼働率を高くすることができる。
【0074】
また、ウェハ上の実パターンに基づいて実パターンエッジ情報を作成し、その実パターンエッジ情報の少なくとも一部を自動シーケンスファイルのパターン輪郭エッジデータとして取り込むことにより、自動シーケンスファイルのパターン輪郭エッジデータの精度をより実パターンに近づけることができる。
さらに、本発明では、設計データとパターニング条件に基づいて、ウェハ上に形成されるレジストパターンや膜パターンをシュミレーションするようにしたので、自動シーケンスファイルのパターン輪郭エッジデータの精度をより実パターンに近づけることができ、測長エラーの発生を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、従来の自動測長ファイルの作成のフローチャートである。
【図2】図2は、本発明の第1〜第6の実施の形態に係る自動測長シーケンスファイルの作成のために使用される装置の構成図である。
【図3】図3は、図2に示す装置のデータの処理内容、データの転送の関係を示す図である。
【図4】図4は、本発明の第1〜第6の実施の形態に係る自動測長シーケンスファイルの作成に使用される走査電子顕微鏡の概要構成図である。
【図5】図5は、本発明の第1の実施の形態に係る自動測長シーケンスファイル作成の第1のフローチャートである。
【図6】図6は、本発明の第1の実施の形態に係る自動測長シーケンスファイル作成の画像データを示す図(その1)である。
【図7】図7は、本発明の第1の実施の形態に係る自動測長シーケンスファイル作成の画像データを示す図(その2)である。
【図8】図8は、本発明の第1の実施の形態に係る自動測長シーケンスファイル作成の第2のフローチャートである。
【図9】図9は、本発明の第1の実施の形態に係る自動測長シーケンスファイル作成に基づいてウェハ上のパターンを測長する際のパターン位置を決定する状態を示す画像データ処理を示す図である。
【図10】図10は、本発明の第2の実施の形態に係る自動測長シーケンスファイル作成におけるテンプレートパターンエッジ情報をメッシュ状に分割して2値化する状態を示す図(その1)である。
【図11】図11は、本発明の第2の実施の形態に係る自動測長シーケンスファイル作成におけるテンプレートパターンエッジ情報をメッシュ状に分割して2値化する状態を示す図(その2)である。
【図12】図12は、本発明の第3の実施の形態に係る自動測長シーケンスファイル作成における設計データ情報に基づいてレジストパターン情報、エッチングパターン情報のシュミーレーションを示す図である。
【図13】図13は、本発明の第4の実施の形態に係る自動測長シーケンスファイル作成におけるテンプレートパターンエッジ情報をメッシュ状に分割して2値化する状態を示す図である。
【図14】図14は、本発明の第5の実施の形態に係る自動測長シーケンスファイル作成における実パターンからのテンプレートパターンエッジ情報をファイルに取り込む状態を示す図(その1)である。
【図15】図15は、本発明の第5の実施の形態に係る自動測長シーケンスファイル作成における実パターンからのテンプレートパターンエッジ情報をファイルに取り込む状態を示す図(その2)である。
【符号の説明】
1…CADシステム、2…ホストコンピュータ、3…走査電子顕微鏡、3A…制御部、3B…電子走査部、3C…画像表示部、4…ワークステーション、4a…画像表示部、R…任意の領域、P…任意の場所、d0 …第1の設計データ、d1 …第2の設計データ、d2 …パターン輪郭エッジ情報、A…測長箇所、d3 …画像認識テンプレートパターンエッジ情報、T…画像認識テンプレート、T1 テンプレートパターン、d4 …テンプレートパターンエッジ情報、d5 …第2のテンプレートパターンエッジ情報、d6 …第3のテンプレートパターンエッジ情報、d7 …レジストパターン形状情報、d8 …エッチングパターン形状情報(実パターン形状情報)、d’2 …パターン輪郭エッジ情報、P2 …パターン、d’4 …テンプレートパターンエッジ情報。
Claims (7)
- CADデータから設計データを取り込み、
前記設計データから、任意の領域に含まれる、複数のパターンの集合によって形成されたパターンデータを取り込み、
前記複数のパターンの集合によって形成されたパターンデータに基づいてパターン輪郭エッジデータを抽出し、
前記パターン輪郭エッジデータから測長箇所を指定し、
前記パターン輪郭エッジデータからテンプレートパターンエッジ情報を設定する処理を含み、
前記テンプレートパターンエッジ情報は、ウェハ面上のレイアウトを作成し、該ウェハ面からグローバルアライメント対象を登録し、前記測長箇所を登録した後にファイルに登録され、
前記複数のパターンの集合によって形成されたパターンデータを画像表示することによって、該画像から電子ビーム走査範囲が選択され、
その後に、測長アルゴリズムを選択する処理を含むことを特徴とする走査電子顕微鏡の自動検出シーケンスファイル作成方法。 - 前記パターン輪郭エッジデータは、メッシュ状に分割されて2値化されることを特徴とする請求項1記載の走査電子顕微鏡の自動検出シーケンスファイル作成方法。
- CADデータから設計データを取り込み、前記設計データから、任意の領域に含まれる、複数のパターンの集合によって形成されたパターンデータを取り込み、前記複数のパターンの集合によって形成されたパターンデータに基づいてパターン輪郭エッジデータを抽出し、前記パターン輪郭エッジデータから測長箇所を指定し、前記パターン輪郭エッジデータから画像認識情報を抽出することによりファイルを作成し、
前記ファイルを走査電子顕微鏡に転送し、
前記走査電子顕微鏡の画像表示部にウェハ上の実パターンを表示し、
前記画像表示部の前記実パターンから実パターンエッジ情報を抽出し、
前記画像認識情報と前記実パターンエッジ情報を比較することにより前記画像表示部で表示された前記実パターンの位置又は前記設計データの位置を特定することを含み、
前記ファイルからの前記画像認識情報と前記ウェハ上の前記実パターンの前記実パターンエッジ情報とを比較し且つ整合させた後に、前記ウェハの前記実パターンエッジ情報が前記画像認識情報として取り込まれることを特徴とする走査電子顕微鏡の自動測長シーケンス方法。 - 前記設計データの取り込みは、CADデータから任意の品種と任意の層の設計データを取り込むことによって行われることを特徴とする請求項3記載の走査電子顕微鏡の自動測長シーケンス方法。
- 前記ウェハ上の前記実パターンは、前記CADデータに基づいて形成された露光マスクを使用して形成されたレジストパターン又は膜パターンであることを特徴とする請求項3記載の走査電子顕微鏡の自動測長シーケンス方法。
- CADデータから任意の品種、任意の層についての第1の設計データをコンピュータに取り込む工程と、
前記第1の設計データから任意の場所、任意の領域についての第2の設計データを取り込む工程と、
前記コンピュータに格納されている種々のパターニング情報に基づいて、光学シュミレーション又はレジスト形状シュミレーションを行い、前記第2の設計データに基づいてウェハ上に形成される第1のレジストパターン形状情報又は第1の膜パターン形状情報を計算する工程と、
前記第1のレジストパターン形状情報又は前記第1の膜パターン形状情報からパターン輪郭エッジ情報を抽出し、該パターン輪郭エッジ情報に基づいて画像認識情報を得る工程と、
前記第2の設計データに基づいて前記ウェハ上に形成された第2のレジストパターン又は第2の膜パターンのうち、前記第2の設計データに対応する部分を包含する画像を走査電子顕微鏡の画像表示部に表示し、該画像表示部に現れた実パターンを実パターンエッジ情報として取得する工程と、
前記画像認識情報と前記実パターンエッジ情報とを比較して、前記実パターンの位置又は前記第2の設計データの位置を特定することを特徴とする走査電子顕微鏡の自動測長シーケンス方法。 - 前記コンピュータに格納されている種々の前記パターニング情報は、前記品種の下地膜種構造、レジスト情報、レジスト露光装置の光学定数、現像液情報であることを特徴とする請求項6記載の走査電子顕微鏡の自動測長シーケンス方法。
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