JP4066768B2 - 二軸配向ポリエステルフィルム - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、二軸配向ポリエステルフィルムに関するものであり、さらに詳しくは、高密度磁気記録媒体用ベースフィルムとして有用な二軸配向ポリエステルフィルムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、磁気記録テープは、小型化と長時間記録化のために薄膜化と高密度記録化が進められており、張力によるテープの伸び変形、使用環境での寸法変化の改善要求がますます強くなっている。磁気記録テープ分野におけるこれらの開発状況から、ベースフィルムに対しても、高強度化、使用環境での形態および寸法安定性の改善要求がますます高まっている。
【0003】
上記の要求に応え得るベースフィルムとして、従来からアラミドフィルムが、強度、寸法安定性の点から使用されている。このアラミドフィルムは、高価格でコストの点では不利であるが、性能的な代替品がないため、使用されているのが現状である。
【0004】
一方、二軸配向ポリエステルフィルムの高強度化の従来技術としては、縦、横二方向に延伸したフィルムを再度縦方向に延伸して縦方向に高強度化するのが一般的である(例えば、特許文献1)。また、さらに横方向にも強度を付与したい場合には、再縦延伸を行った後、再度横方向に延伸する再縦再横延伸法などが提案されている(例えば、特許文献2)。このような従来技術で得られた高強度化ポリエステルフィルムでは、応力伸び変形あるいは環境条件によって寸法変化し、記録トラックにずれが生じて記録再生時にエラーが発生し、所望の磁気変換特性が得られない等の問題がある。そこで環境条件での寸法変化を向上させるための技術として弛緩熱処理がある。弛緩熱処理とは製造した二軸配向ポリエステルフィルムを弛緩状態にして熱処理を行うもので、例えばテンター法で二軸配向されたポリエステルフィルムをテンターの熱固定ゾーンで熱固定した後、テンタークリップから開放し、テンター速度より遅い速度の引き取りロールにより弛緩状態で引き取る二軸配向ポリエステルフィルムの製造法(例えば、特許文献3)や、二軸配向ポリエステルフィルムを幅方向に1〜10%の制限収縮を与えながら熱固定し、次いで空気圧による浮遊処理方式によって弛緩熱処理する方法が提案されている(例えば、特許文献4)。しかし、これらの方法ではフィルムの強度が低下することやフィルムに波打ちが生じて平面性が悪化するなどの問題があり、まして55℃100時間熱収縮率を所望水準まで低減させることは困難であった。
【0005】
さらに、近年、リニアモーター方式の同時二軸テンターが開発され、その製膜速度の高さ等から注目を集めている(例えば、特許文献5〜7)。すなわち、従来の同時二軸延伸方式である、スクリューの溝にクリップを乗せてクリップ間隔を広げていくスクリュー方式、あるいは、パンタグラフを用いてクリップ間隔を広げていくパンタグラフ方式等においては、いずれも製膜速度が遅いこと、延伸倍率等の条件変更が容易でないこと、高倍率延伸が容易でないこと等の問題があった。これに対しリニアモーター方式の同時二軸延伸法では、これらの問題を一挙に解決できる可能性があるからである。特許文献5にはリニアモーターによって生じる電気力によってテンタークリップ間隔を変更して高能率生産を可能にすることが開示されている。また、特許文献6ではリニアモーターを使用した延伸システムが開示されており、特許文献7では延伸区間にそって多数のリニアモーターを制御するのに有効なシステムについて開示されている。そして、このリニアモーター方式の同時二軸テンターを用いて物性・品質に優れたポリエステルフィルムを製造するプロセス条件も検討されている(例えば、特許文献8)。しかし、特許文献8の製造プロセスでは、弛緩熱処理条件として、延伸した後続いて弛緩する一連の操作を2回以上10000回未満行うと記載しているだけであり、この記載の方法では55℃100時間熱収縮率を所望水準まで低減させることは困難であった。
【0006】
【特許文献1】
特公昭42−9270号公報
【特許文献2】
特開昭50−133276号公報
【特許文献3】
特公平6−43097号公報
【特許文献4】
特公平6−67601号公報
【特許文献5】
特公昭51−33590号公報
【特許文献6】
米国特許第4853602号明細書
【特許文献7】
米国特許第4675582号明細書
【特許文献8】
特開2000−885号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、使用環境での寸法安定性に優れ、荷重に対する変形が少ない二軸配向ポリエステルフィルムを提供することであり、特に高密度磁気記録テープ用ベースフィルムとして好適な二軸配向ポリエステルフィルムを提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意検討した結果、リニアモーター方式同時二軸延伸機で延伸した後にフィルムの長手方向と幅方向ともに弛緩熱処理をかけることによって、長手方向の熱収縮率をある範囲内にし、かつ長手方向のヤング率がある範囲内にした二軸配向ポリエステルフィルムとしたとき、特に高密度磁気記録テープ用ベースフィルムとして好適な二軸配向ポリエステルフィルムとなることを見いだし、本発明を完成するに至った。
【0009】
すなわち、本発明の磁気記録テープ用二軸配向ポリエステルフィルムは、ポリエステルを主成分とする二軸配向ポリエステルフィルムであって、55℃100時間でのフィルムの長手方向の熱収縮率が−0.03〜0.05%の範囲内であり、かつ長手方向のヤング率が4〜15GPaの範囲内にあることを特徴とするものである。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムを構成するポリエステルは、例えば、芳香族ジカルボン酸、脂環族ジカルボン酸または脂肪族ジカルボン酸などの酸成分やジオール成分を構成単位(重合単位)とするポリマーである。
【0011】
芳香族ジカルボン酸成分としては、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、4,4'−ジフェニルジカルボン酸、4,4'−ジフェニルエーテルジカルボン酸、4,4'−ジフェニルスルホンジカルボン酸等を用いることができ、なかでも好ましくは、テレフタル酸、フタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸を用いることができる。脂環族ジカルボン酸成分としては、例えば、シクロヘキサンジカルボン酸等を用いることができる。脂肪族ジカルボン酸成分としては、例えば、アジピン酸、スベリン酸、セバシン酸、ドデカンジオン酸等を用いることができる。これらの酸成分は一種のみを用いてもよく、二種以上を併用してもよい。
【0012】
また、ジオール成分としては、例えば、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,2−シクロヘキサンジメタノール、1,3−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリアルキレングリコール、2,2'−ビス(4'−β−ヒドロキシエトキシフェニル)プロパン等を用いることができ、なかでも好ましくは、エチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ジエチレングリコール等を用いることができ、特に好ましくは、エチレングリコール等を用いることができる。これらのジオール成分は一種のみを用いてもよく、二種以上を併用してもよい。
【0013】
また、ポリエステルには、ラウリルアルコール、イソシアン酸フェニル等の単官能化合物が共重合されていてもよいし、トリメリット酸、ピロメリット酸、グリセロール、ペンタエリスリトール、2,4−ジオキシ安息香酸、等の3官能化合物などが、過度に分枝や架橋をせずポリマーが実質的に線状である範囲内で共重合されていてもよい。さらに酸成分、ジオール成分以外に、p−ヒドロキシ安息香酸、m−ヒドロキシ安息香酸、2,6−ヒドロキシナフトエ酸などの芳香族ヒドロキシカルボン酸およびp−アミノフェノール、p−アミノ安息香酸などを本発明の効果が損なわれない程度の少量であればさらに共重合せしめることができる。
【0014】
このポリエステルとしては、特に限定はされないがポリエチレンテレフタレート、ポリ−2,6−ナフタレンジカルボキシレートが好ましい。またこれらの共重合体、および変性体でもよい。
【0015】
ポリエステルの製法は特に限定されないが、例えば、従来からある以下の製法が採用される。テレフタル酸とエチレングリコールとをエステル化させることにより、または、テレフタル酸ジメチルとエチレングリコールをエステル交換反応することにより、ビス−β−ヒドロキシエチルテレフタレート(BHT)を作製する。次にこのBHTを重合槽に移送し、真空下で280℃に加熱して重合反応を進める。ここで、固有粘度が0.5程度のポリエステルが得られる。得られたポリエステルをペレット状で減圧下において固相重合する。この固相重合は、あらかじめ180℃以下の温度で予備結晶化させた後、190〜250℃で1mmHg程度の減圧下、10〜50時間固相重合させる方法で行う。
【0016】
また、フィルムを構成するポリエステル中に粒子を含有させる場合の製法としては、エチレングリコールに粒子を所定割合にて分散させたスラリーの状態にし、この粒子含有エチレングリコールをテレフタル酸と重合させる方法が好ましい。粒子を添加する際には、例えば、粒子を合成する時に得られる水ゾルやアルコールゾルを一旦乾燥させることなく添加する方法が、粒子の分散性がよいので好ましい。また、粒子の水スラリーを直接所定のポリエステルペレットと混合し、ベント式2軸混練押出機を用いて、ポリエステルに練り込む方法も有効である。粒子の含有量、個数を調節する方法としては、上記方法で高濃度の粒子含有のマスタペレットを作っておき、それを製膜時に、粒子を実質的に含有しないポリエステルで希釈して粒子の含有量を調節する方法が有効である。
【0017】
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムは、55℃100時間でのフィルムの長手方向の熱収縮率が−0.03〜0.05%の範囲内であり、かつ、長手方向のヤング率が6〜15GPaの範囲内にある必要がある。上記の範囲内にすることにより磁気記録媒体に好適な寸法安定性の良い二軸配向ポリエステルフィルム得られる。長手方向の熱収縮率が0.05%を越える場合では例えば磁気記録媒体用においては、ベースフィルムへ磁気層を塗布するなどのフィルム加工工程における熱履歴や走行時の磁気テープと磁気記録ヘッドとの摩擦熱によるテープの熱変形が起こり易くなったり、テープの保存性が悪くなったりすることがある。また、−0.03%未満の場合には、フィルムが膨張してシワが発生しやすくなる。より好ましくは−0.01〜0.04%、さらに好ましくは0〜0.03%である。長手方向のヤング率が6GPa未満の場合では例えば磁気記録媒体用においては、走行時の磁気ヘッドやガイドピンから受ける張力のため、磁気テープに伸びが生じ、電磁変換特性(出力特性)に悪影響を与えたり磁気ヘッドとのヘッド当たりが悪くなったりして、実用上使用に耐えないことがある。また、長手方向のヤング率が15GPaより大きい二軸配向ポリエステルフィルムは、工業的に製造が困難であったり、耐引裂性や寸法安定性が著しく低下したりする場合がある。より好ましくは6.5〜13GPaであり、さらに好ましくは7〜10GPaである。
【0018】
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムでは、広角X線回折のディフラクトメータ法による結晶配向解析で、試料フィルムをその法線を軸として回転した時に得られるポリエステル主鎖方向の結晶面の回折ピークの円周方向の半価幅は、特に限定されないが、50〜85°の範囲であることが好ましい。ポリエステル主鎖方向の結晶面の回折ピークの円周方向の半値幅は二軸配向ポリエステルフィルムの結晶の配向の方向の分布の広がりを表すものであり、この半価幅が50°未満の場合、フィルムの寸法安定性に劣って保存安定性が悪化したり、フィルムの引裂伝播抵抗が小さくなってテープ破断が生じ易くなったりする。また、半値幅が85°を越える場合には、フィルムの面内の全方位に高強度であるフィルムが得られない。ここで、ポリエステル主鎖方向の結晶面とは、広角X線ディフラクトメータ法によって回折ピークとして検知される結晶面の中で、その法線がポリエステル主鎖方向に最も近い結晶面であり、例えば、ポリエチレンテレフタレートでは(−105)面、ポリエチレン−2,6−ナフタレートでは(−306)面である。前記半価幅はより好ましくは55〜83°の範囲であり、さらに好ましくは60〜80°の範囲である。
【0019】
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムは、一方のフィルム表面(A面)の表面粗さRaAは特に限定されないが1〜10nmの範囲内であることが好ましい。磁気記録ヘッドとの摩擦軽減の観点から1nm以上が好ましく、電磁変換特性の観点から10nm以下であることが好ましい。より好ましくは2〜9nmであり、さらに好ましくは3〜8nmである。また、A面の反対側のフィルム表面(B面)の表面粗さRaBは特に限定されないが5〜20nmの範囲内であることが好ましい。加工工程でのハンドリング性の観点から、5nm以上であることが好ましく、テープとして巻いた時の押し圧による転写軽減の観点から20nm以下であることが好ましい。より好ましくは6〜18nmであり、さらに好ましくは7〜15nmである。
【0020】
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムは特に限定されないが55℃100時間でのフィルムの幅方向の熱収縮率が−0.03〜0.05%の範囲内であり、かつ、幅方向のヤング率が4〜15GPaの範囲内であることが好ましい。幅方向の熱収縮率が0.05%を越える場合では例えば磁気記録媒体用においては、ベースフィルムへ磁気層を塗布するなどのフィルム加工工程における熱履歴や走行時の磁気テープと磁気記録ヘッドとの摩擦熱によるテープの熱変形が起こり易くなったり、テープの保存性が悪くなったりすることがある。また、−0.03%未満の場合には、フィルムが膨張してシワが発生しやすくなる。より好ましくは−0.01〜0.04%、さらに好ましくは0〜0.03%である。幅方向のヤング率が4GPa未満の場合では例えば磁気記録媒体用においては、テープエッジがガイドピンで受ける応力のため挫屈し、テープ走行性が悪化したり、テープ幅方向の温湿度膨張によって、記録信号の読み取りに悪影響を与えたり、実用上使用に耐えない場合がある。また、幅方向のヤング率が15GPaより大きい二軸配向ポリエステルフィルムは、工業的に製造が困難であったり、耐引裂性や寸法安定性が著しく低下したりする場合がある。より好ましくは4.5〜13GPaであり、さらに好ましくは5〜10GPaである。
【0021】
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムは、単層でも2層以上の積層構造でもよい。特に限定されないが、2層以上の積層構造である方がより好ましい。単層であると、例えば、磁気記録媒体用として用いる場合、粒子を含有させると、表面の突起がそろわず、電磁変換特性や走行性が悪化する場合がある。さらに、3層の場合に本発明の効果がより一層良好となり好ましい。最外層の厚みは、特に限定されないが、最外層に含有された粒子の平均径の0.1〜10倍であることが、本発明の効果がより一層良好となり好ましい。なぜならば、この範囲の下限値を下回ると、電磁変換特性の不良となる恐れがあり、一方、この範囲の上限値を超えると走行性の不良の恐れがあるからである。
【0022】
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムは、本発明の効果を阻害しない範囲内で、熱安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、難燃剤、顔料、染料、脂肪酸エステル、ワックスなどの有機滑剤などが添加されてもよい。また、フィルム表面に易滑性や耐磨耗性、耐スクラッチ性等を付与するために、積層フィルムの最外層に無機粒子、有機粒子などを添加すると、例えば、磁気記録媒体用などにおいて有用である。該添加物としては、クレー、マイカ、酸化チタン、炭酸カルシウム、カオリン、タルク、湿式または乾式シリカ、コロイド状シリカ、リン酸カルシウム、硫酸バリウム、アルミナおよびジルコニア等の無機粒子、アクリル酸類、スチレン等を構成成分とする有機粒子、ポリエステル重合反応時に添加する触媒等によって析出する、いわゆる内部粒子や、界面活性剤などがある。
【0023】
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムは、これに他のポリマー層、例えば、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリ塩化ビニリデンあるいはアクリル系ポリマーからなる層を、直接、あるいは接着剤などの層を介して積層してもよい。
【0024】
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムは、必要に応じて、熱処理、成形、表面処理、ラミネート、コーティング、印刷、エンボス加工、エッチングなどの任意の加工を行ってもよい。
【0025】
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムの用途は、特に限定されないが、磁気記録媒体用、コンデンサー用、感熱転写リボン用、感熱孔版印刷原紙用などに用いられる。
【0026】
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムの厚みは、特に限定されないが、1000μm以下が好ましく、さらに好ましくは0.5〜500μmの範囲である。後述のように用途、目的に応じて適宜決定できるが、例えば、0.5〜20μmの範囲が好ましい。特に、磁気記録媒体用では、高密度磁気記録用テープ、例えば、データストレージ用のベースフィルムに適したものであり、該データ記録容量としては、好ましくは30GB(ギガバイト)以上、より好ましくは70GB以上、さらに好ましくは100GB以上である。また、リニア記録密度としては、好ましくは25キロバイト/cm以上、より好ましくは34キロバイト/cm以上、さらにより好ましくは39キロバイト/cm以上である。またフィルム厚みは、通常磁気記録材料用では1〜15μm、データ用またはデジタルビデオ用塗布型磁気記録媒体用では2〜10μm、データ用またはデジタルビデオ用蒸着型磁気記録媒体用では3〜9μmの範囲が好ましい。また、コンデンサー用には、好ましくは0.5〜15μmのフィルムが適用され、絶縁破壊電圧および誘電特性の安定に優れたものとなる。熱転写リボン用途には、好ましくは1〜6μmのフィルムが適用され、印字する際のしわがなく、印字むらやインクの過転写を生じることなく、高精細な印刷が行うことができる。感熱孔版原紙用途には、好ましくは0.5〜5μmのフィルムが適用され、低エネルギーでの穿孔性にも優れ、エネルギーレベルに応じて穿孔径を変化させることが可能であり、複数版でのカラー印刷を行う場合などの印刷性にもすぐれている。
【0027】
高密度磁気記録媒体として用いる場合、磁性層としては、強磁性金属薄膜や、強磁性金属微粉末を結合剤中に分散してなる磁性層や金属酸化物塗布による磁性層などが好適な例として挙げられる。強磁性金属薄膜としては、鉄、コバルト、ニッケルやその他の合金等が好ましい。また、強磁性金属微粉末としては、強磁性六方晶フェライト微粉末や、鉄、コバルト、ニッケルやその他の合金等が好ましい。結合剤としては、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、反応型樹脂や、これらの混合物などが好ましい。
【0028】
磁性層の形成法は、磁性粉を熱可塑性、熱硬化性、あるいは放射線硬化性などの結合剤と混練し、塗布、乾燥を行う塗布法、金属または合金を蒸着法、スパッタリング法、イオンプレコーティング法などにより、基材フィルム上に直接磁性金属薄膜層を形成する乾式法のいずれの方式も採用できる。
【0029】
本発明の磁気記録媒体においては、強磁性金属薄膜上に保護膜が設けられていてもよい。この保護膜によって、さらに走行耐久性、耐食性を改善することができる。保護膜としては、シリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニア、酸化コバルト、酸化ニッケルなどの酸化物保護膜、窒化チタン、窒化ケイ素、窒化ホウ素などの窒化物保護膜、炭化ケイ素、炭化クロム、炭化ホウ素等の炭化物保護膜、グラファイト、無定型カーボン等の炭素からなる炭素保護膜があげられる。
【0030】
前記炭素保護膜は、プラズマCVD法、スパッタリング法等で作成したアモルファス構造、グラファイト構造、ダイヤモンド構造、もしくはこれらの混合物からなるカーボン膜であり、特に好ましくは一般にダイヤモンドライクカーボンと呼ばれる硬質カーボン膜である。また、この硬質炭素保護膜上に付与する潤滑剤との密着をさらに向上させる目的で、硬質炭素保護膜表面を酸化性もしくは不活性気体のプラズマによって表面処理しても良い。
【0031】
本発明では、磁気記録媒体の走行耐久性および耐食性を改善するため、上記磁性膜もしくは保護膜上に、潤滑剤や防錆剤を付与することが好ましい。
【0032】
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムの製造方法は、押出機を用いた溶融押出により口金から吐出し、溶融ポリマーを冷却固化させてシート状物を成形し、該シート状成形物を同時二軸テンターを用いて、長手方向に4.5〜10倍、幅方向に3〜10倍の倍率で二軸に延伸し、しかる後に(ポリエステル樹脂のガラス転移温度(Tg))〜(ポリエステル樹脂の融点(Tm))の範囲内の熱固定温度で熱固定処理し、さらに弛緩熱処理を行う二軸配向ポリエステルフィルムの製造方法である。より好ましい延伸条件は、長手方向に5〜9倍、幅方向に4.5〜9倍の倍率であり、さらに好ましい条件は、長手方向に5.5〜7.5倍、幅方向に5〜7.5倍の倍率である。
【0033】
本発明の二軸延伸ポリエステルフィルムの延伸形式としては、同時二軸テンターを用いていれば、長手方向に延伸した後に幅方向に延伸を行う方法などの一方向ずつの延伸を組み合わせた逐次二軸延伸法や、長手方向と幅方向を同時に延伸する同時二軸延伸法、さらに、逐次二軸延伸法と同時二軸延伸法を組み合わせた方法などが包含される。中でも、同時二軸延伸法を包含する方法が本発明の効果を得る上で、特に好ましい。
【0034】
このような延伸方向や延伸倍率を自由に変更できる延伸機として、本発明ではリニアモーター方式の同時二軸テンターを使用することが好ましいと言える。上述したように、リニアモーター式の同時二軸テンターは、(1)延伸、熱処理、弛緩工程でのフィルムの変形パターンを自由に変更できる、(2)高倍率延伸に対応できる、(3)製膜速度、フィルム幅を従来の逐次二軸延伸並み、またはそれ以上に高めることができる、等の利点を有する。
【0035】
本発明において、ポリエステルフィルムに対して延伸を施す場合の延伸温度は、特に限定されないが、未延伸フィルムに対して延伸を施す場合は、(Tg)℃〜(Tg+120)℃に保つことが好ましく、(Tg+5)℃〜(Tg+100)℃がより好ましく、さらに好ましくは(Tg+10)℃〜(Tg+80)℃である。 延伸温度がTg℃未満では、延伸による配向が進みすぎて高倍率まで延伸しにくくなる。
【0036】
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムの製造方法の例について説明するが、これに限定されるものではない。ここでは、ポリエステルとして、ポリエチレンテレフタレートを用いた例を示すが、用いるポリエステルにより製造条件は異なる。
【0037】
上述の常法に従いポリエステルペレットを作製し、得られたポリエステルのペレットを、180℃で3時間以上真空乾燥した後、固有粘度が低下しないように窒素気流下あるいは真空下で280〜320℃に加熱された押出機に供給し、従来から行われている方法により製膜する。この溶融押出機において、押出し前に、異物や変質ポリマーを除去するために各種のフィルター、例えば、焼結金属、多孔性セラミック、サンド、金網などの素材からなるフィルターを用いることが好ましい。また、必要に応じて、定量供給性を向上させるためにギアポンプを設けてもよい。積層フィルムの場合には、2台以上の押出機、マニホールドまたは合流ブロックを用いて、溶融状態のポリエステルを積層したシートをスリット状のダイから押出し、キャスティングロール上で冷却して未延伸フィルムを作製する。
【0038】
次に、この未延伸フィルムを二軸延伸し、二軸配向させる。この二軸延伸は、同時二軸テンターを用いて、逐次二軸延伸法または同時二軸延伸法により行うことができる。ここでは、長手方向と幅方向に同時に延伸を行う同時二軸延伸法を用いる。延伸温度は、ポリエステルの構造成分や、積層の構成成分により異なるが、単層でポリエチレンテレフタレートからなる場合を例にとって説明する。未延伸フィルムを、リニアモーター方式の同時二軸延伸テンターに該フィルムの両端部をクリップで把持して導き、予熱ゾーンで(Tg+10)〜(Tg+100)℃に加熱し、長手方向と幅方向のいずれにも同時に、4.5〜10倍に1段もしくは2段以上の多段で延伸する。延伸倍率は長手方向と幅方向で異なっていても構わない。このときにいずれの場合も、フィルム端部を把持するクリップの温度は、(Tg)〜(Tg+120)℃の温度範囲に設定するのが好ましい。延伸工程での延伸温度は、(Tg+10)〜(Tg+80)℃の温度範囲内に保つことが好ましいが、いったん冷却して、フィルムの結晶化を抑えながら延伸してもかまわない。また、分子量が高い原料や結晶化しにくい原料の場合には、延伸温度を200℃まで高めて行うことが好ましい。また、延伸工程の後半では、延伸温度を2段階以上で徐々に高めながら延伸することが好ましい。
【0039】
続いて、本発明の効果発現の観点から二軸延伸されたポリエステルフィルムに、(Tm−70)℃〜(Tm)℃、さらに好ましくは(Tm−50)℃〜(Tm−10)℃の範囲で熱固定処理を施す。さらに、熱固定温度で長手および幅方向に0.5〜5%、さらに好ましくは1〜3%の制限収縮を与え(以下、弛緩熱処理Iという)、その後冷却過程で、(Tg)℃〜(Tm−50)℃、さらに好ましくは(Tg+10)℃〜(Tm−80)℃の温度範囲で長手および幅方向に対して1〜7%、さらに好ましくは2〜6%の範囲で制限収縮を与える(以下、弛緩熱処理IIという)。弛緩熱処理は長手方向と幅方向で異なる制限収縮率で行っても構わない。特に、熱固定温度で弛緩熱処理Iを行ってから冷却過程で弛緩熱処理IIを行うことが、本発明の効果をより高めるために好ましい。弛緩熱処理IIは温度の変化をつけて2段階以上行うことが好ましい。その後、フィルムを室温まで冷やしフィルムエッジを除去して巻き取ることで、目的とする二軸配向ポリエステルフィルムが得られる。
【0040】
本発明でいうガラス転移温度Tgは、示差走査熱分析における昇温時の熱流束ギャップからJIS−K7121に従って求められる値である。示差走査熱分析による方法のみで判定しにくい場合には、動的粘弾性測定あるいは顕微鏡観察などの形態学的方法を併用してもよい。また、示差走査熱分析によってガラス転移温度を判定する場合は、温度変調法や高感度法を使用することも有効である。本発明でいう融点TmはJIS−K7122に従って求められる値である。
【0041】
[物性の測定方法ならびに効果の評価方法]
特性値の測定方法ならびに効果の評価方法は次の通りである。
(1)55℃100時間での熱収縮率
試料サンプルを23℃、65%RHの条件下にて、24時間調湿調温した後、試料長さ(L0)を測定し、下記の測定環境、保持時間の条件で加熱処理した後、試料長さ(L)を測定した。
測定装置:真空理工(株)製TMA TM−3000、加熱制御部TA−1500、カノープス電子(株)製ADコンバータADX−98E
試料サイズ:幅4mm×試長間15mm、
測定環境:温度55℃、湿度65%RH、荷重0.5g
保持時間:100時間
【0042】
熱収縮率は以下の式で算出した。
熱収縮率(%)=[(L0−L)/L0]×100
L0:加熱処理前の試料長さ
L:加熱処理後の試料長さ
【0043】
(2)ヤング率
ASTM−D882に規定された方法に従って、インストロンタイプの引張試験機を用いて測定した。測定は下記の条件で行った。
測定装置:オリエンテック(株)製フイルム強伸度自動測定装置
“テンシロンAMF/RTA−100”
試料サイズ:幅10mm×試長間100mm、
引張り速度:200mm/分
測定環境:温度23℃、湿度65%RH
【0044】
(3)広角X線回折法によるフィルムの結晶面回折ピークの円周方向の半価幅X線回折装置((株)理学電機社製 4036A2型(管球型))を用いて下記の条件で、ディフラクトメータ法により測定した。
X線回折装置:(株)理学電機社製 4036A2型(管球型)
X線源:CuKα線(Niフィルター使用)
出力:40kV 20mA
ゴニオメータ:(株)理学電機社製
スリット:2mmφ−1゜−1゜
検出器:シンチレーションカウンター
計数記録装置:(株)理学電機社製 RAD−C型
2θ/θスキャンで得られた結晶面の回折ピーク位置に、2cm×2cmに切り出して、方向をそろえて重ね合わせた試料およびカウンターを固定し、試料を面内回転させることにより円周方向のプロファイルを得る(βスキャン)。βスキャンで得られたピークプロファイルのうち、ピークの両端の谷部分をバックグランドとして、ピークの半値幅(deg)を計算した。
【0045】
(4)表面粗さRa
JIS−B0601に準じて表面粗さRaを下記の条件で測定した。
測定装置:(株)小坂研究所製 高精度薄膜段差測定器ET−10
触針先端半径:0.5m
触針荷重:5mg
測定長:1mm
カットオフ値:0.08mm
フィルム幅方向に走査して、中心線平均粗さRaを20回測定し、その平均値をとった。
【0046】
(5)ガラス転移温度(Tg)
JIS−K7121に従って擬似等温法にて測定した。
測定装置: TA Instrument社製温度変調DSC
加熱温度:0℃〜300℃(RCS冷却法)
温度校正:高純度インジウムおよびスズの融点
温度変調振幅:±1℃
温度変調周期:60秒
昇温ステップ:5℃
試料質量:5mg
試料容器:アルミニウム製開放型容器(22mg)
参照容器:アルミニウム製開放型容器(18mg)
なお、ガラス転移温度(Tg)は次式により算出した。
ガラス転移温度=(補外ガラス転移開始温度+補外ガラス転移終了温度)/2
【0047】
(6)融点(Tm)
融解の吸熱ピークのピーク温度を融点(Tm)としてJIS−K7122に従って測定した。
測定装置:セイコー電子工業(株)製”ロボットDSC−RDC220”
データ解析”ディスクセッションSSC/5200”
試料質量:5mg
試料前処理:300℃5分間溶融保持後、急冷固化
昇温速度:20℃/分
【0048】
(7)磁気テープの走行耐久性および保存性
二軸配向ポリエステルフィルムの表面に、下記組成の磁性塗料を塗布厚さ2.0μmになるように塗布し、磁気配向させ、乾燥させる。次いで反対面に下記組成のバックコートを塗布し、カレンダー処理した後、70℃で、48時間キュアリングする。得られたテープ原反を1/2インチ幅にスリットし、磁気テープとして、長さ670m分を、カセットに組み込んでカセットテープとした。
(磁性塗料の組成)
・強磁性金属粉末 :100重量部
・変成塩化ビニル共重合体 : 10重量部
・変成ポリウレタン : 10重量部
・ポリイソシアネート : 5重量部
・ステアリン酸 :1.5重量部
・オレイン酸 : 1重量部
・カーボンブラック : 1重量部
・アルミナ : 10重量部
・メチルエチルケトン : 75重量部
・シクロヘキサノン : 75重量部
・トルエン : 75重量部
【0049】
(バックコートの組成)
・カーボンブラック(平均粒径20nm) : 95重量部
・カーボンブラック(平均粒径280nm): 10重量部
・αアルミナ :0.1重量部
・変成ポリウレタン : 20重量部
・変成塩化ビニル共重合体 : 30重量部
・シクロヘキサノン :200重量部
・メチルエチルケトン :300重量部
・トルエン :100重量部
【0050】
作成したカセットテープを、IBM製Magstar3590 MODEL B1A Tape Driveを用い、室温で1000時間走行させ、次の基準でテープの走行耐久性を評価した。◎、○が合格品である。
◎:テープ端面の伸び、折れ曲がりが全くなく、削れ跡が全く見られない
○:テープ端面の伸び、折れ曲がりがなく、削れ跡が見られない
△:テープ端面の伸び、折れ曲がりはないが、一部削れ跡が見られる
×:テープ端面の一部が伸び、ワカメ状の変形が見られ、削れ跡が見られる
【0051】
また、上記作成したカセットテープをIBM製Magstar3590 MODEL B1A Tape Driveを用い、データを読み込んだ後、カセットテープを60℃、80%RHの雰囲気中に350時間保存した後、データを再生して次の基準で、テープの保存安定性を評価した。◎、○が合格品である。
◎:テープ幅に異常が全く無く、トラックずれも全く無く、正常に再生した
○:テープ幅に異常がほとんど無く、トラックずれもほとんど無く、正常に再生した
△:テープ幅に異常が無いが、一部に読み取り不可が見られる
×:テープ幅に変化があり、読み取り不可が見られる
【0052】
(8)フィルムの加工適性
500mm幅に巻き取られたフィルムを、アンワインダーから巻出しながら、搬送速度20m/分で、井上金属工業株式会社製のオーブン処理装置に供給し、180℃の熱処理を施して、100mの長さで巻き取り、次の基準でフィルムの加工適性を評価した。◎、○が合格品である。
◎:端部の突出が3mm未満であり、かつ加工中にしわが観測されなかったもの
○:端部の突出が3mm以上、5mm以下であり、かつ加工中にしわが観測されなかったもの
△:端部の突出が5mm以上、10mm以下のもの
×:蛇行などにより、巻き取ったフィルムの端部が10mmを超えて突出して不揃いとなったもの
【0053】
【実施例】
次の実施例に基づき、本発明の実施形態を説明する。
【0054】
実施例1
押出機A、B2台を用い、280℃に加熱された押出機Aには、常法により得られたポリエチレンテレフタレート(固有粘度0.62、平均径0.3μmの球状シリカ粒子0.16重量%配合)のペレット(I)を180℃で3時間真空乾燥した後に供給し、同じく280℃に加熱された押出機Bには、常法により得られたポリエチレンテレフタレート(固有粘度0.62、平均径0.3μmの球状架橋ポリスチレン粒子0.2重量%と平均径0.8μmの球状架橋ポリスチレン粒子0.01重量%配合)のペレット(II)を180℃で3時間真空乾燥した後に供給した。(II)が最外層になるように3層積層するべくTダイ中で合流させ(積層比II/I/II=1/10/1)、表面温度25℃のキャストドラムに静電荷を印加させながら密着冷却固化し、積層未延伸フィルムを作製した。
【0055】
この未延伸フィルムの両端部をクリップで把持して、リニアモーター方式の同時二軸延伸テンターに導き表1の条件で製膜した。フィルム温度を90℃に加熱し、面積延伸倍率12.25倍(縦倍率:3.5倍、横倍率:3.5倍)で同時二軸延伸する。続いて、フィルム温度を160℃にして、面積延伸倍率2.16倍(縦倍率:1.8倍、横倍率:1.2倍)で再延伸し、熱固定温度210℃で2秒間熱固定処理後、熱固定温度で長手方向と幅方向に2%の弛緩熱処理Iを行い、その後150℃と100℃の2段階で合わせて長手方向に4%、幅方向に2%の弛緩熱処理IIを行い、厚さ5μmの二軸延伸ポリエステルフィルムを得た。この二軸配向ポリエステルフィルムの組成・特性等は、表2に示したとおりであり、磁気記録媒体用のベースフィルムとして優れた特性を有していた。
【0056】
実施例2,3
表1の弛緩熱処理条件で弛緩熱処理した以外は実施例1と同様の方法にて二軸配向ポリエステルフィルムを作製した。得られた二軸配向ポリエステルフィルムは55℃100時間での長手方向の熱収縮率がそれぞれ−0.03%や0.05%であったが、表2に示したとおり磁気記録媒体用のベースフィルムとして優れた特性を有していた。
【0057】
比較例1〜3
表1の弛緩熱処理条件で弛緩熱処理した以外は実施例1と同様の方法にて二軸配向ポリエステルフィルムを作製した。得られた二軸配向ポリエステルフィルムは55℃100時間熱収縮率が本発明の範囲外であったため磁気記録媒体用のベースフィルムとして劣るものであった。
【0058】
実施例4
表1の延伸条件で延伸したこと以外は実施例1と同様の方法にて二軸配向ポリエステルフィルムを作製した。得られた二軸配向ポリエステルフィルムは長手方向のヤング率が6GPaであったが、表2に示したとおり磁気記録媒体用のベースフィルムとして優れた特性を有していた。
【0059】
比較例4
表1の延伸条件で延伸したこと以外は実施例1と同様の方法にて二軸配向ポリエステルフィルムを作製した。得られた二軸配向ポリエステルフィルムは長手方向のヤング率が本発明の範囲外であったため磁気記録媒体用のベースフィルムとして劣るものであった。
【0060】
比較例5
表1の熱固定処理条件で熱固定処理をしたこと以外は実施例1と同様の方法にて二軸配向ポリエステルフィルムを作製した。得られた二軸配向ポリエステルフィルムは55℃100時間熱収縮率が本発明の範囲外であったため磁気記録媒体用のベースフィルムとして劣るものであった。
【0061】
実施例5
押出機A、B2台を用い、300℃に加熱された押出機Aには、常法により得られたポリエチレン−2,6−ナフタレート(固有粘度0.65、平均径0.3μmの球状シリカ粒子0.16重量%配合)のペレット(I)を180℃で3時間真空乾燥した後に供給し、同じく300℃に加熱された押出機Bには、常法により得られたポリエチレン−2,6−ナフタレート(固有粘度0.65、平均径0.3μmの球状架橋ポリスチレン粒子0.2重量%と平均径0.8μmの球状架橋ポリスチレン粒子0.01重量%配合)のペレット(II)を180℃で3時間真空乾燥した後に供給した。(II)が最外層になるように3層積層するべくTダイ中で合流させ(積層比II/I/II=1/10/1)、表面温度35℃のキャストドラムに静電荷を印加させながら密着冷却固化し、積層未延伸フィルムを作製した。
【0062】
この未延伸フィルムの両端部をクリップで把持して、リニアモーター方式の同時二軸延伸テンターに導き表1の条件で製膜して、二軸配向ポリエステルフィルムを作製した。得られた二軸配向ポリエステルフィルムは表2に示したとおり磁気記録媒体用のベースフィルムとして優れた特性を有していた。
【0063】
比較例6
実施例1と同様にして得られた未延伸ポリエステルフィルムを、ロール式延伸機にて長手方向に1段で、温度90℃で3.2倍延伸し、さらに、テンターを用いて、幅方向に温度100℃で3.2倍延伸した。続いて、ロール式延伸機で長手方向に2段で、温度140℃で1.7倍に再延伸し、テンターを用いて幅方向に温度190℃で1.2倍再延伸した。さらに温度210℃で10秒間熱処理後、幅方向に4%の弛緩処理を行い、厚さ5μmの二軸配向ポリエステルフィルムを得た。ロール延伸機を用いた逐次二軸延伸を行った場合では長手方向の弛緩熱処理を行うことは困難であった。得られた二軸配向ポリエステルフィルムは55℃100時間熱収縮率が本発明の範囲外であったため磁気記録媒体用のベースフィルムとして劣るものであった。
【0064】
【表1】
Figure 0004066768
【0065】
表1において、「長手」は、長手方向を、また、「幅」は、幅方向を意味する。
【0066】
【表2】
Figure 0004066768
【0067】
【発明の効果】
本発明によれば、使用環境での寸法安定性に優れ、荷重に対する変形が少ない二軸配向ポリエステルフィルムを得ることができ、特に高密度磁気記録テープ用ベースフィルムとして好適な二軸配向ポリエステルフィルムを得ることができる。具体的には磁気記録媒体用として、走行耐久性、保存性、加工適性の優れたベースフィルムを得ることができる。

Claims (7)

  1. ポリエステルを主成分とする二軸配向ポリエステルフィルムであって、55℃100時間でのフィルムの長手方向の熱収縮率が−0.03〜0.05%の範囲内であり、かつ長手方向のヤング率が6〜15GPaの範囲内にあることを特徴とする磁気記録テープ用二軸配向ポリエステルフィルム。
  2. 広角X線回折法による結晶配向解析で求められるフィルムの主鎖方向の結晶面の回折ピークの円周方向の半値幅が、50〜85°の範囲であることを特徴とする請求項1に記載の磁気記録テープ用二軸配向ポリエステルフィルム。
  3. 一方のフィルム表面(A面)の表面粗さRaAが1〜10nmの範囲内であり、A面の反対側のフィルム表面(B面)の表面粗さRaBが5〜20nmの範囲内であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の磁気記録テープ用二軸配向ポリエステルフィルム。
  4. 55℃100時間でのフィルムの幅方向の熱収縮率が−0.03〜0.05%の範囲内であり、かつ幅方向のヤング率が4〜15GPaの範囲内にあることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の磁気記録テープ用二軸配向ポリエステルフィルム。
  5. ポリエステルがポリエチレンテレフタレートまたはポリエチレンナフタレートであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の磁気記録テープ用二軸配向ポリエステルフィルム。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載の磁気記録テープ用二軸配向ポリエステルフィルムの少なくとも片面に磁性層を設けてなることを特徴とする磁気記録テープ。
  7. 55℃100時間での長手方向の熱収縮率が−0.03〜0.05%の範囲内であることを特徴とする請求項に記載の磁気記録テープ。
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