JP4065616B2 - 気相成長炭素繊維製造装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は気相成長炭素繊維製造装置に関し、更に詳しくは、反応管内壁に生じる繊維状物を除去することにより繊維状物による反応管内の閉塞を防止し、もって連続的、且つ効率的気相成長炭素繊維を製造することのできる気相成長炭素繊維製造装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、気相成長炭素繊維を製造する装置として縦型炉心管を有する製造装置が知られている。
【0003】
この製造装置は、縦型炉心管の上部に、キャリヤーガス、触媒となる金属を含有する有機金属化合物および炭素源となる炭化水素をガス状にして縦型炉心管内に導入する原料供給手段と、前記原料供給手段により供給されるガスが整流となって前記縦型炉心管内を下降流通させるガス整流手段と、前記縦型炉心管を囲繞するように配置され、前記縦型炉心管の内部を加熱する加熱手段とを有する。
【0004】
従来のこのような製造装置にあっては、加熱手段で加熱されている縦型炉心管内に有機金属化合物のガスと炭化水素のガスとがキャリヤーガスと共に導入される。導入されたガスはガス整流手段により整流となって縦型炉心管内を流通する。加熱された炉心管内に導入された有機金属化合物が分解して触媒金属が生成すると共に炭素源も分解し、炭素繊維が生成する。生成する炭素繊維が整流に乗って縦型炉心管内を下降する。下降する炭素繊維は、キャリヤーガスと共に縦型炉心管の下端開口部を経由して炭素繊維収集手段(例えば炭素繊維収集槽、収集箱、捕集箱などと称されている。)に落下する。
【0005】
しかしながら、このような構造を有する製造装置においては以下のような問題があった。
【0006】
すなわち、縦型炉心管内は気相成長炭素繊維が生成し、長さ成長するに充分な高温度領域と、成長した気相成長炭素繊維が通過するだけの低温度領域とに大まかにわけることができるのであるが、その低温度領域における縦型炉心管の内壁に繊維状物が付着するという問題がある。
【0007】
大まかな表現をすると、以下のようである。高温度領域においては縦型炉心管の内壁に繊維状物が形成されることがないのであるが、高温度領域を通過したガスが低温度領域に到ると、低温度領域の管壁面に繊維状物が形成される。一旦繊維状物が管壁面に形成されると、上部から落下してくる気相成長炭素繊維がその上に堆積し、堆積物が反応領域に迄達し、繊維表面に熱分解炭素が析出して太さ成長を起こして、生成物が不均一になると共に、反応管が閉塞してしまう。
【0008】
そこで、従来、低温度領域で発生する繊維状物を除去する手段として、例えば、炉内に耐熱セラミックスの球を入れて炉を回転させる機構、或いは、間欠的に炉壁に付着した繊維状物を除去するための、ヘラや熊手のような形状をした各種の掻き落とし手段等が提案されている。
【0009】
耐熱セラミックスの球を用いる手段においては、縦型炉心管中を流通するガスの流線が乱されるのみならず、この耐熱セラミックスの球に付着した繊維が太さ成長してしまうことにより気相成長炭素繊維の特性が劣化する。つまり、結晶性が高くて中空形状をした気相成長炭素繊維を効率よく製造することができなくなるという問題がある。
【0010】
前記掻き落とし手段を用いる場合、掻き落とし手段を間欠的に動作実行させるので、炉壁に付着した繊維が太さ成長してしまい、また気相成長炭素繊維が生成する部位に掻き落とし手段を常駐させると、ガスの流線が乱されてしまってかえって壁面への繊維状物の付着量を増加させてしまうという問題がある。
【0011】
したがって、従来の製造装置においては、縦型炉心管の内部に付着する炭素繊維等を除去する操作を、定期的に、例えば数分毎に実施する必要があり、したがって、その度に製造装置を停止させなければならないから、炭素繊維の効率的な連続製造に支障を来していた。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
この発明の目的は、縦型炉心管の下方が炭素繊維で閉塞されることがなく、したがって、効率的に連続生産を実現することができ、しかも装置全体が大型化することのない気相成長炭素繊維製造装置を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するためのこの発明に係る気相成長炭素繊維製造装置は、
軸線に直交する方向における内部断面形状が軸線方向に沿って同じに形成されてなる縦型炉心管と、
この縦型炉心管内部の均熱領域を加熱することができるようにこの縦型炉心管を囲繞する加熱手段と、
前記縦型炉心管の頂部に配置され、この縦型炉心管内に、キャリヤガス、触媒として機能する有機金属化合物及び炭素源ガスを供給する原料供給手段と、
前記原料供給手段から供給されるガスの流れを整流するガス整流手段と、
前記縦型炉心管の下部に設けられたところの均熱領域よりも温度の低い領域に設けられた、縦型炉心管の内壁に沿って回転移動しつつ、内壁に発生する繊維状物を捕集する繊維付着手段、前記縦型炉心管の軸線に沿って前記繊維付着手段を昇降移動させる昇降手段、及び前記昇降手段により上昇していた繊維付着手段を下降させることにより繊維付着手段に付着した繊維状物を除去する除去手段を備えてなる繊維除去手段とを有することを特徴とし、
好適な態様である気相成長炭素繊維製造装置においては、前記繊維付着手段に付着した繊維状物を掻き取るスクレーパをさらに有して成る。
【0014】
【発明の実施の形態】
この発明に係る気相成長炭素繊維製造装置は、軸線に直交する方向における内部断面形状が軸線方向に沿って同じに形成されてなる、例えば円筒状或いは角筒状の縦型炉心管を有する。
【0015】
この縦型炉心管は、原料供給手段によりキャリヤーガスと共に縦型炉心管の内部に供給された有機金属化合物と炭素源ガスとを熱分解させて上部から下部へと移行する間に気相成長炭素繊維を成長させる反応管としての機能を有する。
【0016】
ここで、有機金属化合物は、熱分解により触媒となる金属を発生させる触媒源であれば特に制限がない。使用可能な有機金属化合物としては、特開昭60−54998号公報の第3頁左上欄第9行〜同頁右上欄最下行に記載の有機遷移金属化合物、特開平9−324325号公報の段落番号[0059]に記載された有機遷移金属化合物、特開平9−78360号公報の段落番号[0049]に記載された有機遷移金属化合物等を挙げることができる。有機金属化合物の中でも、好適例としてフェロセン、鉄カルボニル等を挙げることができる。
【0017】
また、助触媒として、前記触媒源から発生する触媒金属と相互作用して競う成長炭素繊維の生成を促進することのできるものであれば良く、特開平9−78360号公報の段落番号[0051]、並びに特開平9−324325号公報の段落番号[0061]に記載された含硫黄複素環式化合物及び硫黄化合物を制限なく使用することができる。好適な助触媒として、硫黄化合物特にチオフェン及び硫化水素等を挙げることができる。
【0018】
炭素源ガスは、熱分解により炭素を発生させて炭素繊維を生成させることができる化合物であれば特に制限がない。使用可能な炭素源としては、特公昭60−54998号公報の第2頁左下欄第4行〜同頁右下欄第10行に記載された炭素化合物、特開平9−324325号公報の段落番号[0060]に記載された有機化合物、特開平9−78360号公報の段落番号[0050]に記載された有機化合物等を挙げることができる。各種の炭素源の中で好適例としてベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素、ヘキサン等の脂環族炭化水素等を挙げることができる。
【0019】
縦型炉心管内に投入される炭素源ガス及び有機金属化合物のガスの全混合ガスにしめる割合は、好ましくは、各々0〜40%及び0.01〜40%、更に好ましくは各々0.5〜10%及び0.05〜10%である。ここで、炭素源ガスの濃度が0でも良いのは、有機金属化合物中に十分な炭素を含有している場合には、必ずしも炭素化合物のガスを必要としないという意味である。したがって、この発明においては、炭素源と有機金属化合物とが同一化合物であることもある。
【0020】
また、気相成長炭素繊維生成時に太さ成長すると熱分解炭素が多く含有されることから、熱分解炭素の析出のない、細かくて黒鉛化度の高い気相成長炭素繊維を得るためには、炭素源の濃度を小さくするのが好ましい。
【0021】
前記キャリヤーガスも、気相成長炭素繊維の製造に使用される公知のガスを適宜に採用することができ、好適例として水素を挙げることができる。
【0022】
さらにまた、特開昭60−54998号公報に記載されたところの、キャリヤーガス、有機金属化合物及び炭素源ガスを使用して、この発明に係る気相成長炭素繊維製造装置で、炭素繊維を製造することができる。
【0023】
縦型炉心管の上部に設けられた前記原料供給手段は、縦型炉心管内にその上部からキャリヤーガスと共に有機金属化合物のガスと炭素源ガスとを導入することができる限りその構造につき制限がない。
【0024】
この発明に係る気相成長炭素繊維製造装置においては、縦型炉心管の頂部から原料供給手段によりキャリヤーガスと共に供給された炭素源及び有機金属化合物のガスを、縦型炉心管内でピストンフロートにして、流通乃至流下させるガス整流手段が設けられる。このガス整流手段としては、特開平9−324325号公報における段落番号[0089]に記載の第1整流手段、及び[0092]と[0096]とに記載の整流筒、並びに特開平9−78360号公報における段落番号[0023]に記載の原料ガス用整流手段、[0031]に記載の第1整流手段、[0040]に記載の第2整流手段、[0079]に記載のハニカム板等を挙げることができる。
【0025】
この発明に係る気相成長炭素繊維連続製造装置により製造される流動法気相成長炭素繊維は、いわゆる気相成長炭素繊維であって炭素六角格子面が中空の繊維軸に1層若しくは複数層が平行に、年輪状に配向した繊維である。しかもこの気相成長炭素繊維は、中空形状を有していて、炭素面が繊維軸に対して傾斜する、いわゆる鱗状に配列した炭素繊維ではなく、また、炭素格子面が繊維軸と直角方向に積層してなるいわゆるリボン状の炭素繊維でもない。中空状という特別の形状をした気相成長炭素繊維を製造するには、縦型炉心管内における反応領域における加熱温度が重要になる。
【0026】
この発明においては縦型炉心管内で気相成長炭素繊維が生成する領域の反応温度としては、通常、900〜1300℃、特に1000〜1200℃が好ましい。反応温度が前記温度範囲内になるように縦型炉心管の内部を加熱すると、金属粒子を起点とする繊維の長さ成長が起こって気相成長炭素繊維が良好に形成される。
【0027】
前記縦型炉心管の内部を加熱するための加熱手段としては、この縦型炉心管の内部を前記反応温度に加熱する機能を有する限りその構成に制限がなく、各種の構成の加熱手段を採用することができる。
【0028】
縦型炉心管、加熱手段及び原料供給手段を備えた反応炉として、特開平9−78360号公報、特開平9−229918号公報及び特開平9−324325号公報等における実施例に記載された反応炉を好適に採用することができる。
【0029】
しばしば用いられるであろう縦型炉心管を組み合わせた気相成長炭素繊維製造装置の一例を概念的に示す概念図を図1に示す。
【0030】
図1において、1は気相成長炭素繊維製造装置、2は炭素源及び有機金属化合物の混合物を収容する原料タンク、3は原料タンク内の混合物を吸引吐出するポンプ、4は混合物をガス化する気化器、5は混合物を加熱するヒートブロック、6は混合物のガス流量を調整する第1マスフローコントローラ、7は第1キャリヤーガスの流量を調整する第2マスフローコントローラ、8は第2キャリヤーガスの流量を調整する第3マスフローコントローラ、9は加熱された混合物のガスを所定温度に維持するヒートチューブ、10は縦型炉心管の頂部から内部に混合ガスを導入する円筒管状の原料ガス供給ノズル、11は縦型炉心管、12は第1キャリヤーガスを縦型炉心管内に導入するところの、前記原料ガス供給ノズルを囲繞する内筒管、13は第1キャリヤーガス供給ノズル、14は第2キャリヤーガス供給ノズル、15は加熱手段である電気炉、16は気相繊維を捕集する捕集箱、17は排気管、18は原料ガス供給ノズルにおける原料ガス供給口、19は分岐管、20は配管、21はポンプから吐出された混合物を気化器に送り出す原料供給管、22は配管、23は配管である。
【0031】
以上の具体的構成例を一例とする気相成長炭素繊維製造装置においては、どのような加熱手段を採用するにしても、縦型炉心管の内部が完全に均一に加熱されるものではない。
【0032】
例えば、縦型炉心管の下から所定の距離にあるところから縦型炉心管の上部より所定の距離にあるところまでの、縦型炉心管の外周部に、加熱手段として電熱ヒータを巻回してあるとする。換言すると、このような通常の縦型炉心管においては、その両端部における所定領域に、加熱手段が設けられていない。しかも、縦型炉心管を加熱する加熱手段である電熱ヒータは、複数のブロックに分割されていることが、多い。その結果として、縦型炉心管の内部においては、縦型炉心管の所定の領域においては所定の温度にほぼ均一に加熱されている均熱領域が形成され、その均熱領域から下流側に向かって温度が徐々に低下していく。
【0033】
従来の縦型炉心管を有する気相成長炭素繊維製造装置にあっては、均熱領域よりも温度の低い領域で、縦型炉心管の内壁に蜘蛛の巣状の繊維状物が発生するのであるが、この発明においては、繊維除去手段を設けることによって前記繊維状物が除去される。
【0034】
この繊維除去手段は、縦型炉心管下部の内壁に発生する繊維状物を巻き取りつつ除去することができる機能を有する限り種々の構成を採用することができる。図1にも示すように、一例としての繊維除去手段24は、繊維付着手段25と回転駆動手段26と除去手段27と昇降手段(図示せず。)とを備える。
【0035】
この繊維付着手段25は、縦型炉心管11における下部の内部で、縦型炉心管11の内壁に実質的に非接触状態で、この内壁に沿って回転移動する機能を有する。そして、この繊維付着手段25は縦型炉心管11における下部の内部で内壁に沿って回転運動をすることにより、内壁に生じる繊維状物を、繊維付着手段25に付着させ、縦型炉心管11の内部の繊維状物Fによる閉塞を防止する。
【0036】
この繊維付着手段25の一例として、例えば縦型炉心管11の下端部に設けられた捕集箱16の底面に貫通して、縦型炉心管11の軸線に一致する軸線を有する回転軸体28とその回転軸体28の先端部から斜行する斜行軸体29とその斜行軸体29の先端部から縦型炉心管11の内壁に平行に、且つ内壁から一定の間隔を有して延在する平行軸体30とを回転駆動する駆動手段と、を有して形成される。この回転軸体28の捕集箱16の底面から突出する先端部は回転駆動手段例えばモータMの回転軸に結合される。このモータMによって、回転軸体28が回転すると、平行軸体30が縦型炉心管11の内壁に沿って、しかも内壁に実質的に非接触状態で回転運動を行う。そうすると、縦型炉心管11の内壁に発生する蜘蛛の巣状の繊維状物が平行軸体30に巻き付き、あるいは絡め取られてしまい、縦型炉心管11の内部が繊維状物で閉塞することがなくなる。
【0037】
なお、繊維付着手段25は、図1に示される構造に限定されず、この繊維付着手段が有する機能を達成する限り様々の設計変更が可能である。例えば、設計変更例として、例えば縦型炉心管の下端部に設けられた捕集箱の底面に貫通して、縦型炉心管の軸線に一致する軸線を有する回転軸体とその回転軸の先端部から縦型炉心管の半径方向に折曲された半径方向軸体とその半径方向軸体の先端部から縦型炉心管の内壁に平行に、且つ内壁から一定の間隔を有して延在する平行軸体とを有して形成される繊維付着手段を挙げることができる。
【0038】
図示されていない前記昇降手段は、例えば繊維付着手段25が、特に繊維付着手段における平行軸体30が縦型炉心管11の下部から退避するように、縦型炉心管11の軸線に沿って繊維付着手段25を昇降移動させる機能を有する。具体的には、前記回転軸体28を結合するモータMを昇降させるモータ昇降手段(図示せず。)を挙げることができる。
【0039】
前記除去手段27は繊維付着手段25に付着した繊維状物を除去する手段であり、例えば、図1に示されるように、前記繊維付着手段25における平行軸体30等に付着する繊維状物を掻き取るスクレーパ31を挙げることができる。図1に示されるスクレーパ31は、柔軟な部材で形成され、縦型炉心管11の軸線方向に平行な切れ目を多数備えてなり、前記モータ昇降手段により繊維付着手段25を下降させることによって斜行軸体29および平行軸体30を前記切れ目に挿入し、前記斜行軸体29および平行軸体30に付着する繊維状物を斜行軸体29および平行軸体30から除去することができるように形成される。もっとも、この発明においては、この除去手段は、図1に示される構造に限定されるものではなく、前記機能を達成する限り様々の設計変更を行うことができる。
【0040】
縦型炉心管の下部内壁面に発生する繊維状物の除去を上記繊維除去手段により達成することができるのであるが、縮径部を縦型炉心管の下部に形成しておくと前記繊維除去手段と相俟って内壁における繊維状物の発生を抑制し、それでも発生する繊維状物を繊維除去手段で除去することができるようになるので、気相成長繊維の連続製造が効率的になる。
【0041】
この縮径部は、縦型炉心管の下部であって、生成する気相成長炭素繊維を収集する繊維収集部迄の領域に配置され、縦型炉心管における均熱領域でのガスの流速が、縦型炉心管の下流域において温度の低下と共に低下しないようにする機能を有する。このような機能を実現するために、この縮径部は、縦型炉心管の下部から前記繊維収集部迄において、その軸線に直交する断面積が軸線に沿って繊維収集部に向かって減少するようにその形状が設計される。
【0042】
通常の場合、縮径部の軸線に直交する断面形状は円形、矩形、長方形、或いは多角形のいずれかである。また、縮径部を形成する稜線は直線であっても、曲線であっても良い。したがって、縮径部としては、大円開口部と小円開口部と円錐状筒部とを有する円錐大形状、稜線が曲線となっている漏斗形状等の各種形状を挙げることができる。
【0043】
いずれの形状を採用するにしても、縦型炉心管における均熱領域でのガスの流速が縦型炉心管の下流域において温度の低下と共に低下しないようにする機能をこの縮径部において実現するために、この縮径部の任意の位置におけるガスの流速Vが、縦型炉心管における均熱領域でのガスの流速V0に対して0.8V0〜20V0になるように、好ましくはV0〜10V0となるように、その形状が設定されるのが好ましい。
【0044】
ところで、縦型炉心管中の均熱領域における温度をT0、均熱領域における気体の流速をV0、縦型炉心管における軸線に直交する断面積をA0とし、縮径部における任意の位置での温度をT、縮径部における気体の流速をV、縮径部における軸線に直交する断面積をAとすると、V・A/T=V0・0/T0なる関係が存在する。縮径部におけるガスの流速を縦型炉心管中の均熱領域におけるガスの流速と同じにするには、V=V0であるから、A=A0・T/T0なる関係を満たす必要があるが、縦型炉心管及び縮径部にタール、気相成長炭素繊維およびその他の不純物が付着しないようにするには、V=0.8V0〜1.5V0の流速に調整するのが良いというのが、この発明者らによる新たな知見なのである。実際上、縮径部のガス流速Vが0.8V0未満になるとガスの温度低下に伴うガスの容積の収縮によりガス流に乱れを生じやすくなって、ガス流に乗って下降してくる気相成長炭素繊維の配向が乱れる可能性がある。
【0045】
したがって、縮径部における断面積AはA=kA0T/T0(ただし、kは1/20〜1/0.8である。)を満たすのが好ましい。
【0046】
一方、縦型炉心管から繊維収集部例えば捕集箱に到るまでのガスの流通経路における温度に着目すると、目安として、その温度が1050〜200℃、好ましくは500〜900℃に低下する領域に縮径部を設けるのが好ましい。この場合、縦型炉心管においては縮径部における大開口部すなわち上端部が1050℃以下の領域に、小開口部すなわち下端部が200℃以上の領域に位置するように、さらには前記大開口部が1050〜900℃の領域に、小開口部が300℃以上の領域に位置するように、縮径部を縦型炉心管内に設ける。もっとも、縮径部の下端部すなわち小開口部は、繊維収集部にまで延在していても良いが、その温度が200℃以下にならないのが好ましい。
【0047】
前記繊維除去手段が前記縦型炉心部における縮径部の中に配置されていると、縦型炉心管の内壁での繊維状物の発生が抑制され、たとえ繊維状物が発生してもその繊維状物が繊維除去手段により除去されることになる。
【0048】
繊維除去手段が前記縮径部内に配置されてなる気相成長炭素繊維製造装置の一例を図2に示す。
【0049】
図2に示すように、一例としての繊維除去手段24Aは、繊維付着手段25Aと回転駆動手段26Aと除去手段27Aと昇降手段(図示せず。)とを備える。
【0050】
この繊維付着手段25Aは、縦型炉心管11における下部の内部で、縦型炉心管11の内壁に非接触状態で、この内壁に沿って回転移動する機能を有する。そして、この繊維付着手段25Aは縦型炉心管11における縮径部32の内部で内壁に沿って回転運動をすることにより、内壁に生じる繊維状物を、繊維付着手段25Aに付着させ、縦型炉心管11の内部の繊維状物Fによる閉塞を防止する。
【0051】
この繊維付着手段25Aの一例として、例えば縦型炉心管11の下端部に設けられた捕集箱16の底面に貫通して、縦型炉心管11の軸線に一致する軸線を有する回転軸体28Aとその回転軸体28Aの先端部から直角に折れ曲がって形成された半径方向軸体29Aとその半径方向軸体29Aの先端部に結合され、縦型炉心管11の内壁に平行に、且つ内壁から一定の間隔を有して延在する平行軸体30Aとを回転駆動する駆動手段Mと、を有して形成される。この繊維除去手段24Aは、図1に示される繊維除去手段24と同等の作用効果を示す。
【0052】
この発明に係る気相成長炭素繊維製造装置においては、以下のような作用を有する。
【0053】
縦型炉心管の外部に設けられた加熱手段により縦型炉心管の内部を900〜1300℃における適宜の温度に加熱する。縦型炉心管の上部に設けられた原料供給手段により、縦型炉心管に、キャリヤーガスと共に有機金属化合物と炭素源ガスとを供給する。縦型炉心管内の均熱領域で有機金属化合物の分解により発生する触媒金属により、炭素源ガスの分解により生じた炭素が、チューブ状に成長する。チューブ状に成長しつつ気相成長炭素繊維が、ピストンフローとなったキャリヤーガスに乗って縦型炉心管内を流通降下していく。
【0054】
縦型炉心管内では、気相成長炭素繊維は、キャリヤガスの流れ方向に配向しつつ流通下降していく。そして気相成長炭素繊維は、均熱領域を通過し、均熱領域よりも低温度になっている領域に到達し、この定温領域を通過していく。
【0055】
気相成長炭素繊維が定温流域に到ると、縦型炉心管の内壁に繊維状物が発生するのであるが、発生した繊維状物は繊維除去手段、例えば内壁に非接触状態で内壁に沿って回転運動する平行軸体および斜行軸体に絡め取られてしまう。
【0056】
また、縦型炉心管の下部が縮径部になっているときには、定温領域で縮径部が設けられることにより定温領域においてもガスの流速が大幅に変化せず、したがって、流通する気流に乱れを生じない。
【0057】
その結果、縦型炉心管の内壁、及び縮径部の内壁に、繊維状物の発生が抑制され、たとえ繊維状物が発生したとしても、前記繊維除去手段により繊維状物が除去される。
【0058】
長時間にわたって気相成長炭素繊維の製造を継続しても、縦型炉心管での閉塞事故が発生せず、したがって、気相成長炭素繊維の連続運転が可能になる。
【0059】
【発明の効果】
この発明によると、長期間に亘って気相成長炭素繊維を安定して効率よく製造することのできる気相成長炭素繊維製造装置を提供することができる。この気相成長炭素繊維製造装置においては、従来における製造装置におけるように、縦型炉心管から繊維収集槽に到るガス流通経路が閉塞されてしまうという現象の発生がなくなり、その結果、気相成長炭素繊維の製造を一旦停止し、閉塞されたガス流通経路内を掃除するという手間暇がなくなる。
【0060】
特にこの発明に係る気相成長炭素繊維製造装置によると、縦型炉心管の下部内部に発生する繊維状物を除去するので、縦型炉心管における反応ゾーンにおける気相成長炭素繊維の滞留時間が揃うので、ムラがなく、しかも結晶化度の高い気相成長炭素繊維を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1はこの発明に係る気相成長炭素繊維製造装置の一例を示す概念図である。
【図2】図2はこの発明に係る気相成長炭素繊維製造装置の他の例を示す概念図である。
【符号の説明】
1・・・気相成長炭素繊維製造装置、2・・・原料タンク、3・・・ポンプ、4・・・気化器、5・・・ヒートブロック、6・・・第1マスフローコントローラ、7・・・第2マスフローコントローラ、8・・・第3マスフローコントローラ、9・・・ヒートチューブ、10・・・原料ガス供給ノズル、11・・・縦型炉心管、12・・・内筒管、13・・・第1キャリヤーガス供給ノズル、14・・・第2キャリヤーガス供給ノズル、15・・・電気炉、16・・・捕集箱、17・・・排気管、18・・・原料ガス供給口、19・・・分岐管、20・・・配管、21・・・原料供給管、22・・・配管、23・・・配管、24・・・繊維除去手段、25、25A・・・繊維付着手段、26、26A・・回転駆動手段、27、27A・・・除去手段、28、28A・・・回転軸体、29、29A・・・斜行軸体、30、30A・・・平行軸体、31・・・スクレーパ、32・・・縮径部、33・・・スクレーパ。

Claims (2)

  1. 軸線に直交する方向における内部断面形状が軸線方向に沿って同じに形成されてなる縦型炉心管と、
    この縦型炉心管内部の均熱領域を加熱することができるようにこの縦型炉心管を囲繞する加熱手段と、
    前記縦型炉心管の頂部に配置され、この縦型炉心管内に、キャリヤガス、触媒として機能する有機金属化合物及び炭素源ガスを供給する原料供給手段と、
    前記原料供給手段から供給されるガスの流れを整流するガス整流手段と、
    前記縦型炉心管の下部に設けられたところの均熱領域よりも温度の低い領域に設けられた、縦型炉心管の内壁に沿って回転移動しつつ、内壁に発生する繊維状物を捕集する繊維付着手段、前記縦型炉心管の軸線に沿って前記繊維付着手段を昇降移動させる昇降手段、及び前記昇降手段により上昇していた繊維付着手段を下降させることにより繊維付着手段に付着した繊維状物を除去する除去手段を備えてなる繊維除去手段とを有することを特徴とする気相成長炭素繊維製造装置。
  2. 前記除去手段は、前記繊維付着手段に付着した繊維状物を掻き取るスクレーパである前記請求項1に記載の気相成長炭素繊維製造装置。
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