JP4059993B2 - 加硫可能なゴム組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、加硫可能なゴム組成物、さらに詳しくは特定のポリエン成分を含むエチレン共重合ゴムを含むゴム組成物に関し、いっそう詳しくは、変性ブチルゴムに比べ、加工性、強度、コストパフォーマンスに優れ、エチレン・α−オレフイン・非共役ポリエンランダム共重合体に比べ、耐気体透過性が改良された加硫可能なゴム組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
ブチルゴムは、気体透過率が低く、パッキン、ガスケット等のシール部品に応用されている。ブチルゴムは、通常、イソブテンとイソプレンとの共重合体であって、耐熱老化性に優れる過酸化物加硫は困難であった。昨今、シール部品の耐熱老化性に対する要求の高まりの中、ジビニルベンゼン等を共重合し、過酸化物加硫可能な変性ブチルゴムが使われるようになってきた。しかし、この変性ブチルゴムは加工性、特にロール加工性に劣り、苦労して使用しているのが実態である。
一方、エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエンランダム共重合体ゴムは、過酸化物加硫も可能で耐熱老化性に優れ、加工性も問題は無いが、気体透過性が高く、シール性能に劣るという問題点があった。
【0003】
この問題を解決する方法として特開平2−235951号明細書には、変性ブチルゴムとエチレン・プロピレン共重合体ゴムまたはエチレン・プロピレン・非共役ジエン三元共重合体ゴムとのブレンド物が開示されている。しかしながら、このような変性ブチルゴムとエチレン・プロピレン共重合体ゴムまたはエチレン・プロピレン・非共役ジエン三元共重合体ゴムとのブレンド物は加工性が改良されているものの、未だ満足に至るものではない。
このように、加工性、強度特性(共加硫性)、耐気体透過性、耐候性、耐オゾン性、および耐熱老化性に優れた加硫可能なゴム組成物はこれまで得られていない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者らは、加工性、強度特性(共加硫性)、耐気体透過性、耐候性、耐オゾン性、および耐熱老化性に優れた加硫可能なゴム組成物を得るべく鋭意研究し、エチレン、α−オレフィンおよび特定の非共役ポリエンからなるエチレン・α−オレフィン・非共役ポリエンランダム共重合体ゴムと、変性ブチルゴムと、有機過酸化物とを含む組成物を用いれば、上記特性に優れた加硫可能なゴム組成物が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0005】
すなわち、本発明の課題は前記のような問題点を解決しようとするものであって、加工性、強度特性(共加硫性)、耐気体透過性、耐候性、耐オゾン性、および耐熱老化性に優れた加硫可能なゴム組成物を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は次の加硫可能なゴム組成物である。
(1)(A)エチレンと、炭素数3〜20のα−オレフィンと、下記式(1)で表される少なくとも一種の末端ビニル基含有ノルボルネン化合物とからなり、《1》エチレンと炭素数3〜20のα−オレフィンとのモル比(エチレン/α−オレフィン)が55/45〜85/15の範囲にあり、《2》ヨウ素価が0.5〜30の範囲にあり、《3》135℃のデカリン溶液中で測定される極限粘度〔η〕が0.5〜7dl/gの範囲にあるエチレン・α−オレフィン・非共役ポリエンランダム共重合体ゴム、
(B)イソブチレン−イソプレン共重合体ゴムに、過酸化物加硫可能となるようにジビニルベンゼン、メタクリル酸ジアクリレート、1,4−ヘキサジエンまたは1,7−オクタジエンを導入した変性ブチルゴム、および(C)有機過酸化物を含み、かつ前記エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエンランダム共重合体ゴム(A)と前記ジエン系ゴム(B)との重量比〔(A)/(B)〕が95/5〜5/95である加硫可能なゴム組成物。
【化2】
[式(1)中、nは0〜10の整数であり、R1は水素原子または炭素数1〜10のアルキル基、R2は水素原子または炭素数1〜5のアルキル基である。]
(2)エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエンランダム共重合体ゴム(A)および変性ブチルゴム(B)の合計100gに対して、有機過酸化物(C)5×10-4〜3×10-2モルを含有する上記(1)に記載の加硫可能なゴム組成物。
【0007】
《エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエンランダム共重合体ゴム(A)》
本発明で用いられるエチレン・α−オレフィン・非共役ポリエンランダム共重合体ゴム(A)はエチレンと、炭素数3〜20のα−オレフィンと、前記式(1)または(2)で表される少なくとも一種の末端ビニル基含有ノルボルネン化合物とのランダム共重合体ゴムである。
【0008】
エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエンランダム共重合体ゴム(A)のモノマーとして用いられるα−オレフィンは炭素数3〜20のα−オレフィン(以下、単にα−オレフィンという場合がある)であり、具体的なものとしてはプロピレン、ブテン−1、4−メチルペンテン−1、ヘキセン−1、ヘプテン−1、オクテン−1、ノネン−1、デセン−1、ウンデセン−1、ドデセン−1、トリデセン−1、テトラデセン−1、ペンタデセン−1、ヘキサデセン−1、ヘプタデセン−1、ノナデセン−1、エイコセン−1、9−メチル−デセン−1、11−メチル−ドデセン−1、12−エチル−テトラデセン−1などがあげられる。これらのα−オレフィンは単独で、または2種以上組み合せて用いられる。これらの中では炭素数3〜10のα−オレフィンが好ましく、特にプロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテンなどが好ましい。
【0009】
エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエンランダム共重合体ゴム(A)のモノマーとして用いられる末端ビニル基含有ノルボルネン化合物は、前記式(1)または(2)で表されるノルボルネン化合物である。
式(1)においてR1で示されるアルキル基の具体的なものとしては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、t−ペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、イソヘキシル基、へプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基などの炭素数1〜10、好ましくは1〜8のアルキル基があげられる。
【0010】
式(1)においてR2で示されるアルキル基の具体的なものとしては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、t−ペンチル基、ネオペンチル基などの炭素数1〜5、好ましくは1〜4のアルキル基があげられる。
式(1)において、nは0〜10、好ましくは0〜8の整数である。
【0011】
式(2)においてR3で示されるアルキル基の具体的なものとしては、前記式(1)のR1のアルキル基と同じものがあげられる。
【0012】
前記式(1)または(2)で表される末端ビニル基含有ノルボルネン化合物の具体的なものとしては、5−メチレン−2−ノルボルネン、5−ビニル−2−ノルボルネン、5−(2−プロペニル)−2−ノルボルネン、5−(3−ブテニル)−2−ノルボルネン、5−(1−メチル−2プロペニル)−2−ノルボルネン、5−(4−ペンテニル)−2−ノルボルネン、5−(1−メチル−3−ブテニル)−2−ノルボルネン、5−(5−ヘキセニル)−2−ノルボルネン、5−(1−メチル−4−ペンテニル)−2−ノルボルネン、5−(2,3−ジメチル−3−ブテニル)−2−ノルボルネン、5−(2−エチル−3−ブテニル)−2−ノルボルネン、5−(6−ヘプテニル)−2−ノルボルネン、5−(3−メチル−5−ヘキセニル)−2−ノルボルネン、5−(3,4−ジメチル−4−ペンテニル)−2−ノルボルネン、5−(3−エチル−4−ペンテニル)、5−(7−オクテニル)−2−ノルボルネン、5−(2−メチル−6−ヘプテニル)−2−ノルボルネン、5−(1,2−ジメチル−5−ヘキセシル)−2−ノルボルネン、5−(5−エチル−5−ヘキセニル)−2−ノルボルネン、5−(1,2,3−トリメチル−4−ペンテニル)−2−ノルボルネンなどあげられる。これらの中では、5−ビニル−2−ノルボルネン、5−メチレン−2−ノルボルネン、5−(2−プロペニル)−2−ノルボルネン、5−(3−ブテニル)−2−ノルボルネン、5−(4−ペンテニル)−2−ノルボルネン、5−(5−ヘキセニル)−2−ノルボルネン、5−(6−ヘプテニル)−2−ノルボルネン、5−(7−オクテニル)−2−ノルボルネンが好ましい。これらは1種単独で使用することもできるし、2種以上を組み合せて使用することもできる。
【0013】
本発明で用いられるエチレン・α−オレフィン・非共役ポリエンランダム共重合体ゴム(A)は、目的とする物性を損なわない範囲で、前記式(1)または(2)で表される末端ビニル基含有ノルボルネン化合物以外の非共役ポリエンなどの他のモノマーが共重合されていてもよい。
末端ビニル基含有ノルボルネン化合物以外の非共役ポリエンの具体的なものとしては、1,4−ヘキサジエン、3−メチル−1,4−ヘキサジエン、4−メチル−1,4−ヘキサジエン、5−メチル−1,4−ヘキサジエン、4,5−ジメチル−1,4−ヘキサジエン、7−メチル−1,6−オクタジエンなどの鎖状非共役ジエン;メチルテトラヒドロインデン、5−エチリデン−2−ノルボルネン、5−メチレン−2−ノルボルネン、5−イソプロピリデン−2−ノルボルネン、5−ビニリデン−2−ノルボルネン、6−クロロメチル−5−イソプロペニル−2−ノルボルネン、ジシクロペンタジエンなどの環状非共役ジエン;2,3−ジイソプロピリデン−5−ノルボルネン、2−エチリデン−3−イソプロピリデン−5−ノルボルネン、2−プロペニル−2,2−ノルボルナジエンなどのトリエン等があげられる。
【0014】
エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエンランダム共重合体ゴム(A)は、下記《1》〜《3》の特性を有しているものが好ましい。
《1》エチレン/α−オレフィン成分比
エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエンランダム共重合体ゴム(A)は、エチレンから導かれる構造単位と炭素数3〜20のα−オレフィンから導かれる構造単位とのモル比〔エチレン/α−オレフィン〕が40/60〜95/5、好ましくは50/50〜90/10、さらに好ましくは55/45〜85/15、特に好ましくは60/40〜80/20であるのが望ましい。
エチレン/α−オレフィンのモル比が上記範囲にある場合、架橋効率が良好で、しかも変性ブチルゴム(B)との共架橋性も良好である。さらに、耐熱老化性、耐寒性および加工性にも優れている。
【0015】
《2》ヨウ素価
エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエンランダム共重合体ゴム(A)は、ヨウ素価が0.5〜30(g/100g),好ましくは0.8〜27(g/100g)、さらに好ましくは1〜25(g/100g)、特に好ましくは3〜23(g/100g)であるのが望ましい。
ヨウ素価が上記範囲にある場合、架橋効率が良好で、しかも変性ブチルゴム(B)との共架橋性も良好である。さらに、耐環境劣化性(=耐熱老化性)にも優れているほか、コスト的にも有利である。
【0016】
《3》極限粘度〔η〕
エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエンランダム共重合体ゴム(A)は、135℃デカリン(デカヒドロナフタレン)中で測定された極限粘度〔η〕が0.5〜7dl/g、好ましくは0.5〜6dl/g、さらに好ましくは0.5〜5dl/g、特に好ましくは0.6〜4dl/gであるのが望ましい。
極限粘度〔η〕が上記範囲にある場合、変性ブチルゴム(B)との共架橋性および分散性が良好で、しかも強度特性、加工性に優れている。
【0017】
本発明においては、エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエンランダム重合体ゴム(A)は1種単独で使用することもできるし、2種類以上を組み合せて使用することもできる。
【0018】
エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエンランダム重合体ゴム(A)は、エチレン、α−オレフィン、および前記式(1)または(2)で表される末端ビニル基含有ノルボルネン化合物を公知の方法によりランダム共重合することにより製造することができる。前記《1》〜《3》の特性、またはソックスレー抽出(キシレン、3時間、メッシュ:325)後の不溶解分が1重量%以下である特性を有するエチレン・α−オレフィン・非共役ポリエンランダム重合体ゴム(A)を製造する場合は、公知の可溶性バナジウム化合物またはハロゲン化バナジウム化合物と、公知の有機アルミニウム化合物とを主成分として含有する触媒を用いて、重合温度30〜60℃、好ましくは30〜50℃、重合圧力4〜12kgf/cm2(ゲージ圧)、好ましくは5〜8kgf/cm2(ゲージ圧)、エチレンと末端ビニル基含有ノルボルネン化合物との供給量のモル比(末端ビニル基含有ノルボルネン化合物/エチレン)が
0.01 ≦ 末端ビニル基含有ノルボルネン化合物/エチレン ≦ 0.2
好ましくは
0.012 ≦ 末端ビニル基含有ノルボルネン化合物/エチレン ≦ 0.18
を満たす条件で、エチレン、炭素数3〜20のα−オレフィン、および末端ビニル基含有ノルボルネン化合物を共重合することにより容易に製造することができる。この場合、エチレンと炭素数3〜20のα−オレフィンとのモル比(エチレン/α−オレフィン)が40/60〜95/5の範囲になるように、エチレンおよびα−オレフィンの供給量を調整する。重合は、炭化水素媒体中で行うのが好ましい。
【0019】
本発明では、エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエンランダム共重合体ゴム(A)は、極性モノマーによりグラフト変性されていても良い。この極性モノマーとしては、水酸基含有エチレン性不飽和化合物、アミノ基含有エチレン性不飽和化合物、エポキシ基含有エチレン性不飽和化合物、芳香族ビニル化合物、不飽和カルボン酸あるいはその誘導体、ビニルエステル化合物、塩化ビニルなどがあげられる。
【0020】
変性ランダム共重合体ゴムは、上記のようなエチレン・α−オレフィン・非共役ポリエンランダム共重合体ゴム(A)に、極性モノマーをグラフト重合させることにより得られる。
エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエンランダム共重合体ゴム(A)に、上記のような極性モノマーをグラフト重合させる際には、極性モノマーは、エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエンランダム共重合体ゴム(A)100重量部に対して、通常1〜100重量部、好ましくは5〜80重量部の量で使用される。
【0021】
《変性ブチルゴム(B)》
本発明で用いられる変性ブチルゴム(B)は、ブチルゴム(イソブチレン−イソプレン共重合体ゴム)が過酸化物加硫可能となるように不飽和結合を含有する第三成分を導入したものである。
不飽和結合を含有する第三成分としては、ジビニルベンゼン、メタクリル酸ジアクリレート、1,4−ヘキサジエン、1,7−オクタジエン等が例示として挙げられる。好ましくはジビニルベンゼンがよく用いられる。
不飽和結合を有する第三成分の含有量は、ゲル化反応をさせた後の室温シクロへキサン不溶部の重量から算出したゲル化率が50〜100%、好ましくは60〜90%の範囲である。
【0022】
また、変性ブチルゴム(B)のム−ニ−粘度ML1+8(100℃)は40〜90、好ましくは50〜80である。
【0023】
《ブレンド比》
本発明の加硫可能な樹脂組成物において、エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエンランダム共重合体ゴム(A)と前記変性ブチルゴム(B)との重量比〔エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエンランダム共重合体ゴム(A)/変性ブチルゴム(B)〕は95/5〜5/95、好ましくは90/10〜10/90、特に好ましくは80/20〜20/80である。両者の配合量が上記範囲にある場合、耐候性、耐オゾン性、および強度特性に優れているほか、変性ブチルゴム(B)が本来有する特性が低下しない。また加工性が、同じ分子量の既存EPTに比べて非常に優れている。この理由は、エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエンランダム共重合体ゴム(A)が長鎖分岐構造を持つため、ロール加工するときなどの高ずり速度領域では粘度が低下するため、加工性に優れるものと推測される。
【0024】
《有機過酸化物(C)》
本発明で用いられる有機化酸化物(C)としては、ゴムの加硫に用いられている公知の有機過酸化物が制限なく使用できる。有機化酸化物(C)の配合量は、エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエンランダム共重合体ゴム(A)および変性ブチルゴム(B)の合計100gに対して、有機過酸化物(C)0.0005〜0.03モル、好ましくは0.005〜0.02モル、特に好ましくは0.001〜0.01モルであるのが望ましい。有機化酸化物(C)の配合量が上記範囲にある場合、ゴム弾性および伸び性に優れた加硫ゴムを得ることができる。
【0025】
有機過酸化物(C)の具体的なものとしては、ジクミルペルオキシド、ジ−t−ブチルペルオキシド、ジ−t−ブチルペルオキシ−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、t−ブチルクミルペルオキシド、ジ−t−アミルペルオキシド、t−ブチルヒドロペルオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)ヘキシン−3、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルペルオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−モノ(t−ブチルペルオキシ)ヘキサン、α,α′−ビス(t−ブチルペルオキシ−m−イソプロピル)ベンゼン等のジアルキルペルオキシド類;t−ブチルペルオキシアセテート、t−ブチルペルオキシイソブチレート、t−ブチルペルオキシビバレート、t−ブチルペルオキシマレイン酸、t−ブチルペルオキシネオデカノエート、t−ブチルペルオキシベンゾエート、ジ−t−ブチルペルオキシフタレート、1,1−ビス−t−ブチルペルオキシ−3,3,5−トリ−メチルシクロヘキサン等のペルオキシエステル類;ジシクロヘキサノンペルオキシド等のケトンペルオキシド類;およびこれらの混合物などがあげられる。
【0026】
中でも、半減期1分を与える温度が130℃〜200℃の範囲にある有機過酸化物(C)が好ましく、特にジクミルペルオキシド、ジ−t−ブチルペルオキシド、ジ−t−ブチルペルオキシ−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、t−ブチルクミルペルオキシド、ジ−t−アミルペルオキシド、t−ブチルヒドロペルオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシン)ヘキシン−3、2,5−ジメチル−2,5−モノ(t−ブチルペルオキシ)ヘキサン、1,1−ビス−t−ブチルペルオキシ−3,3,5−トリメチルシクロヘキサンなどが好ましい。
【0027】
本発明の加硫可能なゴム組成物には、補強剤、無機充填剤、軟化剤、老化防止剤(安定剤)、加工助剤、さらには発泡剤、発泡助剤などの発泡系を構成する化合物、可塑剤、着色剤、他のゴム配合剤、ゴム、樹脂などを他の成分として配合することができる。他の成分は、用途に応じて、その種類、含有量が適宜選択されるが、これらのうちでも特に補強剤、無機充填剤、軟化剤などを用いることが好ましい。
【0028】
本発明の加硫可能なゴム組成物は、本発明の目的で損なわない範囲で、公知の他のゴムとブレンドして用いることができる。
このような他のゴムとしては、シリコーンゴム、エチレン・プロピレンランダム共重合体ゴム(EPR)、前記のエチレン・α−オレフィン・非共役ポリエンランダム共重合体ゴム(A)以外のエチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体、例えばEPDMなどがあげられる。
【0029】
本発明の加硫可能なゴム組成物は、エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエンランダム共重合体ゴム(A)、変性ブチルゴム(B)および有機過酸化物(C)、ならびに上記のような他の成分から、一般的なゴム配合物の調製方法によって調製することができる。たとえばバンバリーミキサー、ニーダー、インターミックスのようなインターナルミキサー類を用いて、エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエンランダム共重合体ゴム(A)および変性ブチルゴム(B)、ならびに他の成分を80〜170℃の温度で3〜10分間混練した後、有機過酸化物(C)および必要に応じて加硫助剤などを加えて、オープンロールなどのロール類あるいはニーダーを用いて、ロール温度40〜80℃で5〜30分間混練した後、分出しすることにより調製することができる。このようにして通常リボン状またはシート状のゴム組成物(配合ゴム)が得られる。上記のインターナルミキサー類での混練温度が低い場合には、有機過酸化物(C)、加硫助剤、発泡剤などを同時に混練することもできる。
【0030】
本発明の加硫可能なゴム組成物から加硫物(加硫ゴム)を得るには、上記のような未加硫のゴム組成物を、通常押出成形機、カレンダーロール、プレス、インジェクション成形機、トランスファー成形機など種々の成形法によって所望形状に予備成形し、成形と同時にまた成形物を加硫槽内に導入し、加熱して加硫することにより得ることができる。
【0031】
上記加硫可能なゴム組成物を加熱により加硫する場合、熱空気、ガラスビーズ流動床、UHF(極超短波電磁波)、スチーム、LCM(熱溶融塩槽)などの加熱形態の加熱槽を用いて、150〜270℃の温度で1〜30分間加熱することが好ましい。
【0032】
成形、加硫に際しては、金型を用いてもよく、また金型を用いないでもよい。金型を用いない場合には、ゴム組成物は通常連続的に成形、加硫される。
【0033】
本発明の加硫可能なゴム組成物から得られる加硫物は、加工性、強度特性(共加硫性)、耐候性、耐オゾン性、および耐熱老化性に優れているので、タイヤ、防振ゴム、振動部のカバー材、ラジエーターホース、燃料ホース、ブレーキや燃料機器系、ランプソケットなどのカバー材、ワイパーブレードなどの自動車工業部品、ゴムロール、搬送用ベルト、伝動ベルト、タイミングベルト、油圧ホースなどの工業用ゴム部品、電線、電気絶縁部品、半導電部品、アノードキャップ、コンデンサーパッキンなどの電気・電子部品、ゴム引布、ルーフィングシート、ガスホース、水道用パッキン、水道用ホースなどの土木建築用品、雨具、輪ゴム、靴、ゴム手袋、ラッテクス、ゴルフボールなどの家庭用品、断熱材、クッション材、シーリング材等の用途に広く用いることができる。
【0034】
【発明の効果】
本発明の加硫可能なゴム組成物は、特定のエチレン・α−オレフィン・非共役ポリエンランダム共重合体ゴム、変性ブチルゴムおよび有機過酸化物を含み、かつエチレン・α−オレフィン・非共役ポリエンランダム共重合体ゴム(A)と変性ブチルゴム(B)との重量比が特定の範囲にあるので、加工性、強度特性(共加硫性)、耐気体透過性、耐候性、耐オゾン性、および耐熱老化性に優れている。
【0035】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の優れた効果を実施例により説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。測定方法は次の通りである。
【0036】
《組成》
共重合体の組成は13C−NMR法で測定した。
《ヨウ素価》
滴定法により求めた。
《極限粘度〔η〕》
極限粘度〔η〕は135℃、デカリン中で測定した。
【0037】
[実施例1]
まず、表1に示す配合物を、容量1.7リットルのバンバリーミキサー「神戸製鋼所(株)製」で混練した。混練方法は、まずエチレン・α−オレフィン・非共役ポリエンランダム共重合体ゴム、変性ブチルゴムを30秒間素練りし、ついで酸化亜鉛二種、ステアリン酸、カーボンブラック、タルク、クレーを入れ、2分間混練した。その後、ラムを上昇させ掃除を行い、さらに2分間混練を行い、約140℃で排出し、配合物を得た。この混練は充填率70%で行った。
【0038】
上記配合物を100重量部を6インチロール(前ロールの表面温度60℃、後ロールの表面温度60℃、前ロールの回転数16rpm、後ロールの回転数18rpm)に巻き付けて、架橋剤ジクミルペルオキシド100%濃度品(三井化学(株)製、商品名三井DCP、商標)1.5重量部、架橋助剤トリメチロールプロパントリメチルアクリレート(TMPT)1.0重量部を加えて4分間混練した後、シート状に分出しして170℃で10分間プレスし、厚み2mmの加硫シートを調製した。
【0039】
この加硫シートについて引張試験、硬さ試験、耐熱老化性試験、気体透過性試験を行った。また、引張試験の引張強度から共架橋性を算出した。
また、JIS K6301に準拠し、圧縮永久歪み測定用サンプルを170℃で15分間加硫した。このサンプルを用いて圧縮永久歪み試験を行った。
これらの測定方法は、次の通りである。結果を表2に示す。
【0040】
(1)引張特性
JIS K 6301に従って、測定温度25℃、引張速度500mm/分の条件で引張試験を行い、加硫シートの破断時の伸び(EB)および強度(TB)を測定した。
(2)硬さ試験
JIS K6301に準拠し、スプリング硬さ(Hs、JIS A硬度)を求めた。
(3)老化特性
JIS K 6301に従い、加硫シートを150℃のオーブン中に70時間入れて老化させた後、測定温度25℃、引張速度500mm/分の条件で引張試験を行い、加硫シートの破断時の伸び(EB)、強度(TB)および硬さ(HA)を測定し、引張強さ保持率AR(TB)、伸び保持率AR(EB)および硬さ変化(△HA)を算出した。
(4)圧縮永久歪み
JIS K6301に準拠。120℃で22時間老化させた試験片について圧縮永久歪み(Cs)を求めた。
(5)気体透過性試験
東洋精機(株)製の差圧法ガス透過試験機を使用し、試験ガスに100%酸素を用いて、温度23℃、湿度0%にて測定した。
【0041】
(8)共架橋性
エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエンランダム共重合体ゴム配合物(1)の重量%をx、変性ブチルゴム配合物(2)の重量%をyとする。ここで、x+y=100%である。またエチレン・α−オレフィン・非共役ポリエンランダム共重合体ゴム配合物(1)の架橋後の引張強度をA0、変性ブチルゴム配合物(2)の架橋後の引張強度をB0とし、下式から共架橋性(%)を求めた。
【数1】
共架橋性(%)={配合物(1)と配合物(2)をx:yの比で混ぜた配合物の強度}×100/{(A0 × x/100) + (B0 × y/100)}
【0042】
[比較例1]
実施例1において、EPT(A)の代わりにEPDM(三井化学(株)製:三井EPT#1045 商標)を用いた以外は実施例1と同様に行なった。結果を表3に示す。
【0043】
[実施例2]
実施例1において、EPT(A)を50g,変性ブチルゴム(B)を50g配合した以外は実施例1と同様に行なった。結果を表2に示す。
【0044】
[比較例2]
実施例2において、EPT(A)の代わりにEPDM(三井化学(株)製:三井EPT#1045 商標)を用いた以外は実施例2と同様に行なった。結果を表3に示す。
【0045】
[実施例3]
実施例1において、EPT(A)を25g,変性ブチルゴム(B)を75g配合した以外は実施例1と同様に行なった。結果を表2に示す。
【0046】
[比較例3]
実施例3において、EPT(A)の代わりにEPDM(三井化学(株)製:三井EPT#1045 商標)を用いた以外は実施例3と同様に行なった。結果を表3に示す。
【0047】
【表1】
【0048】
【表2】
【0049】
【表3】
Claims (2)
- (A)エチレンと、炭素数3〜20のα−オレフィンと、下記式(1)で表される少なくとも一種の末端ビニル基含有ノルボルネン化合物とからなり、《1》エチレンと炭素数3〜20のα−オレフィンとのモル比(エチレン/α−オレフィン)が55/45〜85/15の範囲にあり、《2》ヨウ素価が0.5〜30の範囲にあり、《3》135℃のデカリン溶液中で測定される極限粘度〔η〕が0.5〜7dl/gの範囲にあるエチレン・α−オレフィン・非共役ポリエンランダム共重合体ゴム、
(B)イソブチレン−イソプレン共重合体ゴムに、過酸化物加硫可能となるようにジビニルベンゼン、メタクリル酸ジアクリレート、1,4−ヘキサジエンまたは1,7−オクタジエンを導入した変性ブチルゴムよりなり、
かつ前記エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエンランダム共重合体ゴム(A)と前記変性ブチルゴム(B)との重量比〔(A)/(B)〕が95/5〜5/95であることを特徴とする加硫可能なゴム組成物。
キル基、R2は水素原子または炭素数1〜5のアルキル基である。] - エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエンランダム共重合体ゴム(A)と変性ブチルゴム(B)との合計100gに対し、有機過酸化物(C)5×10-4〜3×10-2モルを配合したことを特徴とする請求項1記載の加硫可能なゴム組成物。
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