JP4057391B2 - ガラスホルダー、連結部品、接着方法、およびホットメルト樹脂成形方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車のウィンドウレギュレータに窓ガラスを取り付けるためのガラスホルダー、ガラスと他の部品とを連結する連結部品、ガラスと部品とを接着する接着方法および接着剤であるホットメルト樹脂の成形方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
図11は、自動車の窓ガラスを支持するガラスホルダー110およびそれを昇降させる機構を構成するローラガイド112を示す斜視図である。窓ガラス130はガラスホルダーに固定され、そのガラスホルダー110は、昇降機構に含まれるローラガイド112にボルト140等を用いて取り付けられる。
【0003】
図12は、図11のXII−XII断面図である。ガラス130は、ガラスホルダーのU字状の断面部分111にウレタン接着剤などの接着剤107によって接着される。また、ガラスホルダーの取付部103には、ローラガイドに取り付けるための取付構造として、インサートナット109が装着されている。このため、図11に示すように、ボルト140だけを用いてローラガイド112に取り付けることが可能となる。
【0004】
この構成によれば、ガラスとガラスホルダーとの間にウレタン接着剤などを充填させ、ガラスとガラスホルダーとを接着して、昇降機構に取り付けることができる。
【0005】
しかしながら、上記の従来のガラスホルダーを用いる場合、ガラスとガラスホルダーとの接着を強固にするために、ガラスおよびホルダーの接着面にはプライマー処理を施す必要があった。また、ウレタン樹脂が完全に硬化するまで約24時間を要し、その間に組立作業を進行させることができなかった。このため、製品が仕掛かりの状態で滞留し、生産性を低下させていた。
【0006】
さらに、接着剤が硬化するまでに、ガラスを挟んでいるガラスホルダーが自重でずり落ちないように、ガラスホルダーの壁面がガラスにほど良く嵌合する必要がある。このためには、ガラスホルダーの寸法精度を所定範囲内に管理し、かつガラスホルダーをガラスの厚さごとに保有する必要があった。
【0007】
また、所定の接着強度を確保するために、接着強度プライマー剤やウレタン接着剤などの保管方法や使用期限も管理する必要があった。その上、ガラスホルダーに金属ナットをインサート成形するため、ガラスホルダーの成形加工に多くの工数を要し、生産性が低いという問題もあった。
【0008】
このような問題点を解決するために、高周波誘導加熱によって発熱する発熱体を挟みこんだ加熱発泡性樹脂を用いる接着方法が提案された(特許文献1参照)。この方法によれば、上記の加熱発泡性樹脂をガラスホルダーとガラスとの間に配置して、高周波加熱する。この高周波加熱により、導電体等の発熱体が発熱し発泡性樹脂が発泡してガラスホルダーとガラスとの間の隙間を充填して接着が行われる。このような接着剤は加熱硬化するので、短時間で硬化し、仕掛かり品を寝かせておく必要がない。
【0009】
しかし、上記の発泡性樹脂の接着強度はそれほど高くなく、耐久性に問題がある。すなわち、接着処理後に全体が接着剤のみで構成される接着剤に比べて、空隙が多く配置されるので接着強度が低いという問題がある。
【0010】
この問題を解決するために、広範な接着用樹脂の開発がなされ、短時間の接着時間で接着強度を向上させたいくつかの接着用樹脂が開示されている(たとえば特許文献2、3、4および5参照)。
【0011】
【特許文献1】
特開平6−206442号公報
【0012】
【特許文献2】
特開2002−188068号公報
【0013】
【特許文献3】
特開2002−97445号公報
【0014】
【特許文献4】
特開2002−3805号公報
【0015】
【特許文献5】
特開2001−39155号公報
【0016】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記に開示された接着用樹脂は、接着部の信頼性という点で未だ十分でなく、またガラスへの予備処理や接着処理後の滞留時間を解消するにいたっていない。
【0017】
本発明は、ガラスへのプライマー処理や接着剤硬化のための仕掛滞留期間などを不要とし、高信頼性の接着部を実現することができる、ガラスホルダー、ガラスと他の部品とを連結する連結部品、ガラスと部品とを接着する接着方法および接着剤であるホットメルト樹脂の成形方法を提供することを目的とする。
【0018】
【課題を解決するための手段】
本発明のガラスホルダーは、ガラスを固定して支持するためのガラスホルダーである。このガラスホルダーは、エンジニアリングプラスチックから形成された第1のホルダー片と、第1のホルダー片と対をなし、第1のホルダー片とガラスを挟んで対向し、エンジニアリングプラスチックから形成された第2のホルダー片と、第1および第2のホルダー片の少なくとも一方に含まれ、第1および第2のホルダー片を他の部材へ取り付けるための取付構造とを有する。さらに、このガラスホルダーは、ガラスを接着するために、第1および第2のホルダー片の少なくとも一方に取り付けられたホットメルト樹脂とを備え、そのホットメルト樹脂が、融点が80℃〜200℃であるポリオレフィン系樹脂に体積抵抗率が10-2Ω・cm以下である導電物質を1〜30容量%含有し、40MHzの周波数において誘電正接が0.03以上である(請求項1)。
【0019】
この構成により、一対のガラスホルダーによってガラスを挟み、加熱手段によって加熱することにより樹脂を溶融させながら、ガラスホルダーに圧力をかけて接着することができる。ガラスホルダーが2片に分離しているために、ホットメルト樹脂の厚さを任意に形成することができる。したがって、ガラスの厚さが変化しても同じガラスホルダーを用いてガラス保持を行なうことができる。
【0020】
ホットメルト樹脂は一方のホルダー片にのみ配置してもよいし、両方のホルダー片に配置してもよい。第1または第2のホルダー片は、次の態様でガラスに面する。(a)ホットメルト樹脂が配置されないホルダー片では、ガラスの主面に当接してガラスに拘束を及ぼすことである。また、(b)ホットメルト樹脂が配置されるホルダー片では、ホットメルト樹脂層を間に挟んでガラスを固定する部材として機能する。ガラスを強固に固定するためには、両方のホルダー片ともにホットメルト樹脂を配置することが望ましい。すなわち、両方のホルダー片とも上記(b)の機能を有することが望ましい。
【0021】
ホットメルト樹脂として、高周波誘電加熱するタイプの樹脂を用いた場合、全体を加熱することなく、ホットメルト樹脂のみ加熱してガラスなどに加熱の影響を及ぼすことがない。また、ガラスホルダーはポリブチレンテレフタレート(PBT)やアクリルブタジエンスチレン(ABS)などエンジニアリングプラスチックの樹脂製とすることが望ましい。ホットメルト樹脂は、2色成形などによってこれらエンジニアリングプラスチック製のガラスホルダーに簡単に取り付け一体化することができる。したがって、ホットメルト樹脂は固体状態でホルダー片に取り付けられているので、接着剤の保管方法や使用期限に配慮する必要がなくなる。
【0022】
上記の構成を有するホットメルト樹脂は、接着処理において加熱後、放冷され固まったら、本来の接着強度を得ることができる。このため、仕掛かり状態で滞留する期間を除くことができ、生産性を向上させることができる。さらに、接着剤が硬化するまでの間にガラスホルダーが自重でずり落ちないように、ガラスホルダーの寸法精度に気を配る必要もなくなる。また、ガラスへのプライマー処理は不要となる。ただし、より一層高い接着強度を得るために、プライマー処理を施してもかまわない。
【0023】
本発明のガラスホルダーでは、ホットメルト樹脂が取り付けられたホルダー片の領域に、所定高さの凸部を設けることができる(請求項2)。
【0024】
この構成によれば、ガラスとホルダー片との間に凸部の高さ分の隙間ができる。上記の圧力付加において、圧力付加にともなうストローク(圧力付加の押し込み長さ)を調整しなくても、この隙間に溶融したホットメルト樹脂を配置することができる。このため、上記ストロークを大きくとりすぎて、ガラスとホルダー片とが密着してしまい、樹脂をすべて排除してしまう危険性を除くことができる。接着剤としてのホットメルト樹脂層の厚さを上記凸部の高さで調整し、任意の接着剤厚さを形成することができる。この凸部は、同一直線上に位置しない3箇所に設けられることにより、安定して上記接着後のホットメルト樹脂層の厚みを得ることができる。この結果、必要な接着強度を容易に確保することができ、歩留まり向上などにより生産性を向上させることが可能となる。
【0025】
なお、ホットメルト樹脂は上記の凸部を受け入れる凹部を対応位置に備え、ホットメルト樹脂が上記領域全体に接するように取り付けられていることが望ましい。たとえば、2色成形によってホットメルト樹脂をホルダー片に取り付けると、ホットメルト樹脂とホルダー片との接触は、上記凸部と凹部と間にも、また他の領域の部分においても自ずと実現される。このような取り付け態様は、ホットメルト樹脂の上記領域への取り付け強度を高めるためにも、2色成形を無理なく行なうためにも好ましい。さらに、ホルダー片の表面がホットメルト樹脂で覆われることにより、ホットメルト処理の時点まで接着に好ましい表面状態を維持しやすくなる。この結果、ガラスとホルダー片との接合強度の向上をさらに確保しやすくなる。
【0026】
上記本発明のガラスホルダーでは、取付構造が、ホルダー片のいずれか一方の貫通孔の周りにナットを装着するナット装着凹部を備えることができる(請求項3)。
【0027】
このナット装着部には、後付けで金属製ナット等を装着し容易に動かないようにすることができる。このナットにボルトを螺合して、従来と同じようにガラスホルダーをローラガイドに取り付けることが可能となる。したがって、この構成によりナットをガラスホルダーに一体化するインサート成形工程を省略することができ、製造コストを低減することができる。
【0028】
また、上記ホットメルト樹脂が、ホルダー片または連結部品に形状的に係合して、ホルダー片または連結部品に仮止めされていてもよい(請求項4、8)。
【0029】
接着剤であるホットメルト樹脂を、その使用前に上記のような仮止めすることにより、ガラスホルダー等の樹脂部品と一体的に取り扱いすることができる。また、アンダーカットや爪による仮止め構造においては、接着した後では、その凹凸部はホットメルト樹脂によって充填される。このため、上記凹凸部により接着面積を増大させることができ、接着強度を高めることができる。
【0030】
本発明の連結部品は、ガラスと、他の部品とを連結し、エンジニアリングプラスチックから形成された連結部品であって、その連結部品は、所定の部分に被着体に接着するホットメルト樹脂が取り付けられ、また他の部分に連結部品と他の部品とを連結する連結手段を有している。そして、上記の前記ホットメルト樹脂は、融点が80℃〜200℃であるポリオレフィン系樹脂に体積抵抗率が10-2Ω・cm以下である導電物質を1〜30容量%含有し、40MHzの周波数において誘電正接が0.03以上である(請求項5)。
【0031】
この構成により、接着用の上記ホットメルト樹脂のみを短時間加熱することにより、ホットメルト樹脂を溶融し放冷することにより、必要な接着強度を得ることができる。このため、被着体、たとえば被着体として適しているガラスに加熱の影響を残すことなく、小さな加熱スペースで上記接着作業を容易に行なうことができる。すなわち、加熱炉等を設ける必要がない。したがって、エネルギ消費という点でも有利であり、さらに好ましい作業環境を維持しやすい。上記の被着体は、無機物、有機物などどのような材料であってもよく、たとえばセラミックス(ガラスを含む)、金属、樹脂、ゴム、木材などを例示することができる。
【0032】
上記のホットメルト樹脂が取り付けられた連結部品の所定の部分に、所定高さの凸部が設けられていてもよい(請求項6)。
【0033】
この構成によれば、ガラスと連結部品との間に凸部の高さ分の隙間ができる。したがって、ガラスホルダー片と同様に、連結部品においても、上記の押し当てにおいて、押し当て圧力付加にともなうストローク(圧力付加の押し込み長さ)を調整しなくても、この隙間に溶融したホットメルト樹脂を配置することができる。この凸部は、上述のように、同一直線上に位置しない3箇所に設けられることにより、安定して上記接着後のホットメルト樹脂層の厚みを得ることができる。
【0034】
上記の連結部品が、フロントガラスにルームミラーを連結するルームミラーベース部材、天井ガラスに内張りを固定するための内張り固定手段を連結する固定手段連結部品、ミラーをミラー筐体に連結するミラーホルダー、のうちのいずれかとすることができる(請求項7)。
【0035】
短時間のうちに、接着樹脂の保管期間などの管理をすることなく、またガラス等へのプライマー処理をすることなく、上記サイドミラー等を高い信頼性でガラスに取り付けることができる。
【0036】
本発明の接着方法は、エンジニアリングプラスチックから形成された一対のホルダー片を用いてガラスを接着する方法である。その一対のホルダー片の少なくとも一方に、融点が80℃〜200℃であるポリオレフィン系樹脂に体積抵抗率が10-2Ω・cm以下である導電物質を1〜30容量%含有し、40MHzの周波数において誘電正接が0.03以上である、ホットメルト樹脂、を取り付ける工程と、上記ガラスを上記一対のホルダー片の間にホットメルト樹脂を介在させて挟むように力を付加し、そのガラスを挟んだホットメルト樹脂を含む領域を加熱する工程とを備える(請求項9)。
【0037】
この構成により、短時間で高い接着強度を有するガラス装着を実現することができる。この方法によれば、ガラス厚さに応じて多くのガラスホルダーを保有しておく必要がなくなる。さらに、接着剤の使用期限や保管方法に気を配る必要がなくなる。また、必要箇所のみに電力を投入することができるので、エネルギ消費を節約することができる。また、加熱炉等を必要とせず小さな作業スペースで実施できる利点を有する。さらに、作業環境も良好に保つことが容易である。
【0038】
本発明の別の接着方法は、他の部品とガラスとを連結し、エンジニアリングプラスチックから形成された連結部品の接着方法である。この方法は、連結部品の部分に、融点が80℃〜200℃であるポリオレフィン系樹脂に体積抵抗率が10-2Ω・cm以下である導電物質を1〜30容量%含有し、40MHzの周波数において誘電正接が0.03以上である、ホットメルト樹脂、を取り付ける工程と、ホットメルト樹脂とガラスとが押し当たるようにして、ホットメルト樹脂を含む領域を加熱する工程とを備える(請求項10)。
【0039】
上記方法により、連結部品とガラスとを、短時間で高い接着強度を保持するように接着することができる。その他、ガラスホルダーを用いたガラスの装着と同様の効果を得ることができる。すなわち、接着剤の使用期限や保管方法に気を配る必要がなくなる。また、必要箇所のみに電力を投入することができるので、エネルギ消費を節約することができる。また、加熱炉等を必要とせず小さな作業スペースで実施できる利点を有する。さらに、作業環境も良好に保つことが容易である。
【0040】
上記の接着方法における、ホットメルト樹脂を含む領域を加熱する工程では、誘電加熱、回転摩擦加熱、振動摩擦加熱、超音波加熱、レーザー光加熱、赤外線加熱、熱板加熱、および熱風加熱、の少なくとも1つにより加熱してもよい(請求項11)。
【0041】
本発明のホットメルト樹脂の成形方法は、融点が80℃〜200℃であるポリオレフィン系樹脂に体積抵抗率が10-2Ω・cm以下である誘電物質を1〜30容量%含有し、40MHzの周波数において誘電正接が0.03以上である、ホットメルト樹脂を射出成形する方法である。この成形方法は、射出成形に用いる金型を70℃以下とする工程と、70℃以下に保持した金型に溶融状態のホットメルト樹脂を射出し、冷却して成形する工程とを備える(請求項12)。
【0042】
この方法により、ホットメルト樹脂を任意の形状に成形することができる。このため、たとえばガラスホルダー片のような被接着材の片側にインサート成形や2色成形が可能となり、ハンドリング性が良くなる。また、任意の形状に成形できるので、溝形状などを形成することにより、被接着材表面における接着面積を増やすことが可能となる。また、この場合、被接着材への取り付けにおいて、たとえばアンダーカットや、引っ掛かり爪などによる機械的仮止めが可能となる。
【0043】
【発明の実施の形態】
次に本発明の実施の形態について説明する。
【0044】
(1)ガラスホルダーの構造
図1は、本発明の実施の形態におけるガラスホルダーを示す斜視図である。図1(a)は、ガラスホルダーを構成する一方のホルダー片を示し、図1(b)は、他方のホルダー片の部分断面斜視図を示している。また、図1(c)は、図1(a)のホルダー片に挿入されるナットを示す。両方のホルダー片11,12とも、ガラスに面する領域2に、後で説明するホットメルト樹脂である誘電加熱接着用樹脂層7が取り付けられている。さらに両方のホルダー片11,12ともに、ガラスに面する領域に、ガラスに向かって突き出るように突起2aが3つ離散的に設けられている。誘電加熱接着用樹脂層7は、この突起2aおよび残りの面領域に接するように、2色成形によりホルダー片11,12のガラスに面する領域に取り付けられている。したがって、誘電加熱接着用樹脂層7には、凸部2aに対応する位置に凹部が形成され、凸部を受け入れている。このような凹部は、2色成形の際に自然に形成される。
【0045】
ホルダー片の一方、図1ではホルダー片11に、ガラスの端面が当接してガラスの荷重を直接に受けるガラス受け部4が形成されている。このガラス受け部4は、一方のホルダー片にのみ形成されてもよいし、両方のホルダー片でガラス荷重を直接受けるように形成されてもよい。また、2つのホルダー片には、互いに係合するように、一方のホルダー片に係合凸部5aが設けられ、他方のホルダー片にその係合凸部が嵌め入れられる凸部収納部5bが設けられている。
【0046】
さらに、一方のホルダー片11の取付部3のナット装着凹部8には、雌ねじ9aを切った金属ナット9が挿入される。雌ねじ9aは、取付部3に設けられた貫通孔3aと同軸になるように配置される。
【0047】
図2は、接着処理を行なった後のガラス装着部の断面図である。ホルダー片の高さ2aの高さに等しい厚さの誘電加熱接着用樹脂7によってガラス30とホロダー片の接着壁2とが接着されている。ホットメルトされ固化したこの接着層7は、強固にガラスとホルダー片とを接着している。昇降装置のローラガイドに取り付ける場合、ホルダー片12の側からボルトを挿入して、雌ねじ9aにボルトを螺合させる。
【0048】
図3は、サイドウィンドウのガラス30を昇降装置13に取り付けた状態を示す構成図である。ガラス30を保持するガラスホルダー10は、昇降装置の一部を構成するローラガイド14に取り付けられている。上記のガラスホルダーを用いることにより、ガラスをしっかりとかつ生産性よく昇降装置に取り付けることが可能となる。
【0049】
(2)連結部材の構造
図4は、本発明の実施の形態における連結部品を示す図である。図4に示す実施の形態では、連結部品であるルームミラーベース部材21は、加熱され接着剤として機能しているホットメルト樹脂7を備えている。ホットメルト樹脂については、後述する(3)ホットメルト樹脂、において詳しく説明する。上記ルームミラーベース部材には、さらに、連結部品であるそのルームミラーベース部材21とルームミラー25とを連結する連結手段である、カップラ22、フレキシブルアーム23、および角度調整部材24が附属している。上記の連結部材を形成する材料は、上述したようなPBTやABSなどのエンジニアリングプラスチックなどを用いるのがよい。
【0050】
上記の連結部品を用いることにより、フロントガラスへのプライマー処理が不要になり、短時間でルームミラーを取り付けることができるので、生産性を向上させることができる。また、接着剤であるホットメルト樹脂の保管は、樹脂と同等の扱いでよいので、使用時期などの制限、それを満たすための期限管理などする必要がなくなる。
【0051】
図5および図6は、本発明の実施の形態におけるドアーミラーの構成を示す図である。図5(a)はドアーミラー筐体31を、図5(b)はミラーホルダー32を、また図5(c)はミラー33を示す図である。図5および図6を参照して、本発明の実施の形態の連結部品であるミラーホルダー32は、接着剤として機能するホットメルト樹脂7により、接着領域32aにおいて、ガラスであるミラー33の裏面33bと接着状態にある。外に露出しているミラー面はミラーの表面33aである。また、ミラーホルダー32は、連結手段であるねじ35によって、ドアーミラー筐体31に連結されている。上記連結手段であるねじ35は、連結部品であるミラーホルダー32に附属している。ホットメルト樹脂によってガラスと接着される部材については、上述のように、PBTやABSなどのエンジニアリングプラスチックを用いることができる。
【0052】
上記のようにホットメルト樹脂を配した連結部品を用いることにより、上述のルームミラーと同様に、ガラスであるミラーへのプライマー処理が不要になり、短時間でミラーを取り付けることができるので、生産性を向上させることができる。また、接着剤であるホットメルト樹脂の保管は、樹脂と同等の扱いでよいので、使用時期などの制限、それを満たすための期限管理などする必要がなくなる。
【0053】
図7は、天井ガラス51に内張り58を取り付ける構成を示す図である。天井ガラス51には、連結部品52が接着され、その連結部品の連結手段である雌ねじ(図示せず)に内張りに設けた雄ねじ55を螺合して内張りを天井ガラスに取り付ける。また、天井ガラス51に設けた係合部材61に、内張り58に設けた係止部材59が係止される。
【0054】
図8(a)は、本発明の実施の形態における連結部品52を示す図である。連結部品52は、接着剤として機能するホットメルト樹脂7により天井ガラス51に接着されている。また、連結部品52には、内張り58を連結するための連結手段である雌ねじ53が付随している。図8(b)には、連結部品に連結される内張り58と、その内張りに設けられた凹部57に配置された雄ねじ部55aを有する雄ねじとが示されている。この雄ねじ55と内張りの凹部57との間に、他の部品等を挟んで取り付けることができる。上記ホットメルト樹脂によってガラスと接着される被接着部材である連結部品には、たとえば、PBTやABSなどのエンジニアリングプラスチックを用いることができる。
【0055】
上記のように、ホットメルト樹脂によって、天井ガラスに雌ねじを備えた連結部品52を接着することにより、天井ガラスへのプライマー処理が不要になり、短時間で連結部品を取り付けることができるので、生産性を向上させることができる。また、接着剤であるホットメルト樹脂の保管は、樹脂と同等の扱いでよいので、使用時期などの制限、それを満たすための期限管理などする必要がなくなる。
【0056】
(3)ホットメルト樹脂
本実施の形態では、ホットメルト樹脂として誘電加熱接着用樹脂が用いられているが、本発明では、広くは加熱によりいったん溶融して室温に冷却した時点で硬化状態にある樹脂であればどのような樹脂であってもよい。ただ、誘電加熱接着用樹脂は加熱が容易であり作業性が良いので、ガラスホルダーに用いるのに好適である。
【0057】
本発明に用いる誘電加熱接着用樹脂は、融点が80℃〜200℃であるポリオレフィン系樹脂に体積抵抗率が10-2Ω・cm以下である誘電物質を1〜30容量%含有し、40MHzの周波数において誘電正接が0.03以上であることを特徴とする樹脂を主成分とする高周波接着用樹脂組成物である。また、誘電正接が0.05以上ある高周波接着用樹脂組成物であることが好ましい。さらには、導電物質の体積抵抗率が10-4Ω・cm以下であり、5容量%以上含有する高周波接着用樹脂組成物であることがより好ましい。
【0058】
上記誘電加熱接着用樹脂において使用される導電物質には、体積抵抗率が10-2Ω・cm以下である鉄、銅、銀、炭素繊維、カーボンブラック等が使用される。これらの中では、鉄系導体や炭素繊維が樹脂への影響や経済性から好ましい。体積抵抗率としては10-4Ω・cm以下が好ましく、いわゆる鉄、α鉄、β鉄、γ鉄、炭素鋼など特に制限されない。含有量としては1〜30容量%が必要であり、好ましくは5〜25容量%必要である。特に、7容量%以上から誘電加熱接着用樹脂が誘電加熱により加熱される効果が著しく大きくなる。導電物質が1容量%以下では発熱量が不足し、接着可能な温度までの上昇に長時間を必要とするので好ましくない。また、30容量%以上では接着力が低下するので好ましくない。また、形状は粉末状、針状、鱗状、網状でもよく、接着相手の形状などによって選ばれる。どのような形状にも対応できる観点から、好ましくは粉末状がよい。粉末状、針状、鱗状の場合、練り込み使用される場合が多い。また網状では積層やインサート成形されて使用される。また、練り込み使用される場合、発熱体は60メッシュパスの大きさが好ましい。導電物質を1容量%以上、特に5容量%以上含有し体積抵抗率を下げることにより、理由は未だ不明であるが高周波電圧の印加に対して誘電体力率が大きくなり、誘電率との積である誘電損失係数が飛躍的に大きくなる。高周波印加する際、誘電損失係数が大きいと発熱量が高いので昇温速度が速くなり、ホットメルト系接着剤が短時間に溶融するので、工程短縮を実現することができる。
【0059】
誘導加熱は、電磁誘導により、被加熱体である導体に渦電流等を発生させ抵抗により発熱させるのに対して、誘電加熱は不導体に電圧を印加して分極によって発生する内部摩擦熱を利用する。内部摩擦は誘電正接として測定される。抵抗率が大変小さく、したがって、誘電正接が0.0001以下と非常に小さい導体を、誘電正接が0.01から0.03の樹脂、たとえばポリオレフィン系樹脂に配合して、その誘電正接が0.03以上になることはこれまで知られていない。
【0060】
また、上記誘電加熱接着用樹脂に用いられる、融点が80℃〜200℃の樹脂、たとえばポリオレフィン系樹脂は、特に接着性の点からそれぞれこれらの共重合体を主成分とすることが好ましい。高温での接着強度の点から融点は80℃以上、好ましくは90℃以上必要であり、融点が180℃以上、特に200℃以上になると接着剤を溶融するまでに時間がかかるので好ましくない。ガラスとの接着の場合、接着性を向上させるために、シラノール基と樹脂の末端や変性により投入された反応性官能基を持つカップリング剤を含有することが好ましい。γアミノプロピルトリエトキシシラン、β(3,4エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γグリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γメタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、N・β(アミノエチル)γアミノプロピルトリメトキシシランが例として挙げられる。
【0061】
ポリオレフィン系樹脂としては、共重合ポリプロピレン系、共重合ポリエチレン系、エチレンとプロピレン共重合体、エチレン・プロピレン・ジエン系、エチレン−αオレフィン系の樹脂から選ばれる1種以上からなることが好ましい。また、接着性向上のためにモノマー成分として酢酸ビニル、メチルメタクレレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、メタクリル酸、アクリル酸、メタクリル酸塩等が3〜50モル%共重合されているものが好ましい。さらに無水カルボン酸基、エポキシ基、水酸基、イソシアネート基を含むモノマーが共重合やグラフト重合されていることが特に好ましい。不飽和カルボン酸モノマーやグリシジルメタクリレートの共重合や無水マレイン酸のグラフト変性が好ましい。この官能基の導入により、上記シラノール化合物の安定化と強化熱可塑性樹脂との接着性が改善される。
【0062】
上記の誘電加熱接着用樹脂が使用される被接着体は、本発明の場合、ガラスホルダー片または連結部材本体を構成する材料、たとえば樹脂、とくにエンジニアリングプラスチックと、ガラスである。ガラスホルダー片または連結部材本体を構成する材料としては、上記樹脂の他に、セラミックス、金属、などいずれでもよく、特に限定されない。樹脂としては、熱硬化性樹脂・熱可塑性樹脂いずれについても被接着体になることができる。上記誘電加熱接着用樹脂を用いる場合、接着層のみが選択的に加熱されるので、融点が200℃以下の熱可塑性樹脂を被接着体とすることもできる。被接着体により、ポリオレフィン系樹脂に官能基が導入されることは、接着強度を増すために好ましい。
【0063】
誘電加熱接着用樹脂においては、導電物質を融点が80℃〜200℃の樹脂、たとえばポリオレフィン系樹脂に予め押出機やニーダやロールで溶融混練したり、また樹脂をシート状に成形した後、積層やサンドイッチ成形したり、網状発熱体を金型内にインサートして射出成形して提供される。用いられる押出機やニーダやロールの種類や混練条件についての制限は特にない。
【0064】
また誘電加熱接着用組成物には、常用の添加剤、耐加水分解剤、顔料を添加してもよい。熱安定剤としては、ヒンダードフェノール系、チオエーテル系、ホスファイト系などやこれらの組合せが挙げられる。耐候剤としてはカーボンブラック、ベンゾフェノン、トリアゾール系、ヒンダードアミン系等が挙げられる。また、耐加水分解剤としては、カルボジイミド、ビスオキサゾリン、エポキシ、イソシアネート化合物が挙げられる。また顔料としてはポリオレフィン系樹脂常用の耐熱顔料が使用される。
【0065】
(4)接着方法
次にガラスを接着する手順について説明する。まず、図1(a)および図1(b)に示すホルダー片の係合凸部5aと凸部収納部5bとを係合させる。次いで、ガラスを両方のホルダー片の間に挟むように配置する。このとき、ナット9がナット挿入部8に挿入されていてもよいし、挿入されていなくてもよい。ガラスを両方のホルダー片の間に挟み、高周波誘電加熱により接着用樹脂7を加熱する。このとき、(ホルダー片/誘電加熱接着用樹脂層/ガラス板/誘電加熱接着用樹脂層/ホルダー片)のように積層されている。
【0066】
高周波誘電加熱では、上部電極と下部電極間にガラス板に近づく方向に加圧しておき電極間に高周波発振器から高周波電圧をかけて、誘電発熱させる。時間とともに接着組成物の温度が上昇し、その融点以上になると流動して接着する。接着用樹脂は溶融状態またはそれに近い状態なので、軟らかく容易に圧力に押し込まれ、間隙が狭くなった分、外部に排除される。しかし、ホルダー片には凸部2aが配置されているので、凸部の先端がガラスに接触すると、それ以上ホルダー片とガラスとが近づくことはない。このため、凸部の高さに相当する接着用樹脂層がホルダー片とガラスとの間に配置され、接着に寄与することができる。
【0067】
したがって、凸部2aは、最低3個、一直線に並ばないように配置されることが望ましい。しかし、3個以上であることは不可欠ではなく、ガラスとの間の間隔を困難なく保つことができれば、何でもよい。たとえば所定以上の面積の平坦頂部を持てば1個の凸部であってもよい。
【0068】
接着した状態で高周波電圧を切り、放冷またはエアーなどで冷却する。本発明の接着用組成物は融点以上で接着され、接合された組立品は接着用組成物の融点以下で使用される。
【0069】
上記の誘電加熱接着層に高周波電圧を印加すると高周波誘電加熱により接着層のみが加熱されるので、被接着体全体を加熱炉の中で処理する必要がなく、大きな被接着体に特に有効である。また接着層のみを選択的に加熱できるので、被接着体の一部に耐熱性が低い部品を含む場合の組立にも有効である。
【0070】
上記の加熱方法は、高周波誘電加熱方法のみを説明したが、本発明では高周波誘電加熱方法に限定されることなく、たとえば誘導加熱、回転摩擦加熱、振動摩擦加熱、超音波加熱、レーザー光加熱、赤外線加熱(熱線加熱)、熱板加熱、および熱風加熱、の少なくとも1つにより加熱する
(5)ホットメルト樹脂の成形方法
従来のホットメルト樹脂は、溶融状態のホットメルト樹脂を押出し機により、ステンレス製のベルトコンベアに吐出し、さらに水槽中を通して冷却することにより、シート状としていた。すなわち、従来のホットメルト樹脂の形状は、シート状に限られていた。本発明におけるホットメルト樹脂は、融点が80℃〜200℃であり、金型温度を70℃以下に加熱して溶融したホットメルト樹脂を押し出す場合、金型に付着しない。このため、金型内面に付着防止処理をする必要がなくなり、任意の形状のホットメルト樹脂を成形することができる。
【0071】
この結果、たとえば、図9に示すように、アンダーカットによるホットメルト樹脂7のガラスホルダー片2や、連結部品21,32,52への仮止めが可能になる。また、図10に示すように、爪によるホットメルト樹脂7のガラスホルダー片2や、連結部品21,32,52への仮止めが可能になる。
【0072】
接着剤であるホットメルト樹脂を、その使用前に上記のような仮止めすることにより、ガラスホルダー等の樹脂部品と一体的に取り扱いすることができる。また、図9および図10に示すように、アンダーカットや爪による仮止め構造においては、接着した後では、その凹凸部はホットメルト樹脂によって充填される。このため、上記凹凸部により接着面積を増大させることができ、接着強度を高めることができる。
【0073】
(実施例)
次に、実施例を用いて接着強度を具体的に説明する。
【0074】
(a) 接着剤ペレット作製:表1に示すように、誘電正接が0.027のポリオレフィン系ホットメルト接着剤と導電性粉体とを予備混合した。樹脂の融点については、PO−1が105℃であり、PO−2が120℃であり、いずれも80℃〜200℃の範囲内にある。導電物質は1〜30容量%の範囲内に含まれている。その後、バレルをホッパー側から170℃−180℃−180℃に温度調節した2軸押出機PCM30φ(池貝鉄鋼社製)のホッパーに供給し、スクリュー回転数60rpmにて溶融混合した。この後、ストランドを水浴にて冷却後、切断して導電性物質を含むホットメルト接着剤のペレットを得た。
【0075】
(b) テストピース成形:バレルをホッパー側から180℃−200℃−200℃に温度調節した射出成形機に接着剤ペレットを投入した。そして、40℃に温度調節されたテストピース金型に射出し、100×100×1mm、100×100×3mmの接着剤プレートを得た。この接着剤プレートが、図1に示すホルダー片11,12に取り付ける前のホットメルト樹脂である。また、140℃にて3時間乾燥した30重量%ガラス繊維強化変性ポリブチレンテレフタレート(東洋紡績(株)製EMC430)のペレットを、バレルをホッパー側から250℃−260℃−260℃に温度調節した射出成形機のホッパーに投入して、ASTMD638記載のタイプ1の引張テストピースを成形した。
【0076】
(c) 接着強度:(b)により成形して得られたテストピースを長さ方向の中央にて切断した。これらが、接着層が取り付けられる前のホルダー片に相当する。この直線部分12.7×25.4mmに、(b)により得られた100×100×1mmの接着剤プレートから12.7×25.4×1mmにカットした接着層を重ね合せた。このラップ部材、すなわちホルダー片相当材を、33×100×3mmのガラス板の両面に直線状にセットした。これを20mφのエアーシリンダに2kgf加圧した状態で、高周波誘電加熱装置(パール工業(株)製)にて1分加熱後、エアーで1分冷却して接着強度評価用試験片とした。この状態が、2つのホルダー片の間にガラスを挟んで接着した状態に対応する。ただし、把持部は、図1および図2のガラスホルダーでは接着部に対して同じ側に位置するが、ここでは引張せん断試験を行なうために接着部を挟むように位置している。
【0077】
この評価用試験片を23℃、50%RH(Relative Humidity)に調節された試験室に5時間以上放置した。50℃に温度調節された恒温槽を備えた万能引張試験機UTMI型(オリエンティック(株)製)のチャックにガラス板の両端に接着したEMC430製テストピースをセットし、5mm/分の変形速度で引張せん断により50℃における接着強度を測定した。
【0078】
(d) 誘電特性:高周波電源回路(パール工業社(株)製)に接続された端子面積Dsが5cm2の導体端子間に、(b)で成形した厚さ3mmのプレートから切り出した8×8mmの試験片を挟みセットした。周波数40MHzの高周波電荷Qを与え、端子間の電位差Vから静電容量Csと誘電正接tanδを測定した。真空中の誘電率ε0を8.85×10-14F/cmとして(1)式より誘電損失係数ε・tanδを求めた。
【0079】
ε・tanδ=Cs×Ds/(ε0・S) ・・・・・・・・(1)
本発明例1〜12:(接着剤の誘電正接や組成が上記推奨範囲に入るもの)
表1に示す配合割合の予備混合体を、前記したようにコンパウンド後に高周波接着剤プレートを成形した。
【0080】
【表1】
【0081】
このプレートについて誘電正接と誘電損失係数を測定した。また、ガラスとガラス繊維強化ポリブチレンテレフタレート樹脂成形品(EMC430)を被接着体として発振時間1分または5分により高周波誘電接着をし、その接着強度を測定した。
【0082】
比較例1〜4:(接着剤の誘電正接や組成が上記推奨範囲外のもの)
表2に示した配合割合の予備混合体を、本発明例と同様に、コンパウンドし成形したプレートについて接着強度を測定した。
【0083】
【表2】
【0084】
一部については高周波加熱時間である発振時間を変えて接着性を評価した。
さらに、この保持構造は、ホルダー片が分かれているので、ガラス厚さが変わっても圧力を印加して接着を行うことができる。また、誘電加熱接着用樹脂7の厚さはホルダー片に設けた凸部の高さにより任意に調節できるので、最適の接着層の厚さを容易に確保することが可能となる。このため、ガラス厚さの変動によらず、高い接着強度を確保することができる。さらに、ガラスホルダーの寸法管理や接着剤の保管管理も必要なくなる。
【0085】
上記において、本発明の実施の形態について説明を行ったが、上記に開示された本発明の実施の形態は、あくまで例示であって、本発明の範囲はこれら発明の実施の形態に限定されない。たとえば、ホットメルト樹脂は誘電加熱接着用樹脂に限られず、その他のホットメルト樹脂であってもよい。本発明の範囲は、特許請求の範囲の記載によって示され、さらに特許請求の範囲の記載と均等の意味および範囲内でのすべての変更を含むものである。
【0086】
【発明の効果】
本発明のガラスホルダー、連結部品、接着方法およびホットメルト樹脂の成形方法を用いることにより、ガラスとホルダーまたは連結部品との接着面へのプライマー処理や接着剤硬化のための仕掛滞留期間などを不要とし、高信頼性の接着部を実現することができる。このため、高い生産性と強固な耐久性とをもって、ガラスへとの接着に関連した取付構造を形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施の形態1におけるガラスホルダーを示す斜視図である。(a)は、一方のホルダー片の斜視図であり、(b)は他方のホルダー片の部分断面斜視図であり、(c)はナットの斜視図である。
【図2】 図1のガラスホルダーにガラスを装着した状態の断面図である。
【図3】 昇降機構のレールガイドに、ガラスを装着したガラスホルダーを取り付けた状態を示す正面図である。
【図4】 本発明の実施の形態における連結部品であるルームミラーベース部材を示す図である。
【図5】 本発明の実施の形態における連結部品であるミラーホルダーを用いたドアミラーを示す図であり、(a)はミラー筐体であり、(b)はミラーホルダーであり、また(c)はミラーを示す図である。
【図6】 図5の断面図である。
【図7】 本発明の実施の形態における連結部品が用いられる天井ガラスを示す図である。
【図8】 (a)は、本発明の実施の形態における連結部品である天井ガラスへ接着される連結部品を示す図であり、(b)はその連結部品の連結手段に連結される他の部品を示す図である。
【図9】 本発明の実施の形態であるホットメルト樹脂の仮止め形態を示す図である。
【図10】 本発明の実施の形態であるホットメルト樹脂の他の仮止め形態を示す図である。
【図11】 従来のガラスホルダーを説明する斜視図である。
【図12】 図12のガラスホルダーにガラスを装着した状態の断面図である。
【符号の説明】
2 ホルダー片の壁部(ガラス対向部)、2a 凸部、3 ホルダー片取付部、3a 貫通孔、4 ガラス受け部、5a 係合凸部、5b 凸部収納部、7 誘電加熱接着用樹脂、8 ナット装着凹部、9 ナット、9a 雌ねじ、10 ガラスホルダー、11,12 ホルダー片、13 昇降機構、14 レールガイド、20 フロントガラス、21 ルームミラーベース部材、22 カップラ、23 フレキシブルアーム、24 角度調整部材、25 ルームミラー、30 ガラス、31 ドアミラー筐体、32 ミラーホルダー、32a 接着領域、33 ミラー、33a 表面、33b 裏面、35 連結手段、51 天井ガラス、52 連結部品、55 雄ねじ、55a 雄ねじ部、58 内張り、59 係止部、61 係合部。
Claims (12)
- ガラスを固定して支持するためのガラスホルダーであって、
エンジニアリングプラスチックから形成された第1のホルダー片と、
前記第1のホルダー片と対をなし、前記第1のホルダー片と前記ガラスを挟んで対向し、エンジニアリングプラスチックから形成された第2のホルダー片と、
前記第1および第2のホルダー片の少なくとも一方に含まれ、前記第1および第2のホルダー片を他の部材へ取り付けるための取付構造と、
前記ガラスを接着するために、前記第1および第2のホルダー片の少なくとも一方に取り付けられたホットメルト樹脂とを備え、
前記ホットメルト樹脂は、融点が80℃〜200℃であるポリオレフィン系樹脂に体積抵抗率が10-2Ω・cm以下である導電物質を1〜30容量%含有したものであり、40MHzの周波数において誘電正接が0.03以上である、ガラスホルダー。 - 前記ホットメルト樹脂が取り付けられた前記ホルダー片の領域に、所定高さの凸部が設けられている、請求項1に記載のガラスホルダー。
- 前記取付構造が、前記ホルダー片のいずれか一方の貫通孔の周りにナットを装着するナット装着凹部を備える、請求項1または2に記載のガラスホルダー。
- 前記ホットメルト樹脂が、前記ホルダー片に形状的に係合して、前記ホルダー片に仮止めされている、請求項1〜3のいずれかに記載のガラスホルダー。
- ガラスと、他の部品とを連結し、エンジニアリングプラスチックから形成された連結部品であって、
前記連結部品は、所定の部分に被着体に接着するホットメルト樹脂が取り付けられ、また他の部分に前記連結部品と前記他の部品とを連結する連結手段を有し、
前記ホットメルト樹脂は、融点が80℃〜200℃であるポリオレフィン系樹脂に体積抵抗率が10-2Ω・cm以下である導電物質を1〜30容量%含有したものであり、40MHzの周波数において誘電正接が0.03以上である、連結部品。 - 前記ホットメルト樹脂が取り付けられた前記連結部品の所定の部分に、所定高さの凸部が設けられている、請求項5に記載の連結部品。
- 前記連結部品が、フロントガラスにルームミラーを連結するルームミラーベース部材、天井ガラスに内張りを固定するための内張り固定手段を連結する固定手段連結部品、ミラーをミラー筐体に連結するミラーホルダー、のうちのいずれかである、請求項5または6に記載の連結部品。
- 前記ホットメルト樹脂が、前記連結部品に形状的に係合して、前記連結部品に仮止めされている、請求項5〜7のいずれかに記載の連結部品。
- エンジニアリングプラスチックから形成された一対のホルダー片を用いてガラスを接着する方法であって、
前記一対のホルダー片の少なくとも一方に、融点が80℃〜200℃であるポリオレフィン系樹脂に体積抵抗率が10-2Ω・cm以下である導電物質を1〜30容量%含有し、40MHzの周波数において誘電正接が0.03以上である、ホットメルト樹脂、を取り付ける工程と、
前記ガラスを前記一対のホルダー片の間に前記ホットメルト樹脂を介在させて挟むように力を付加し、そのガラスを挟んだホットメルト樹脂を含む領域を加熱する工程とを備える、接着方法。 - 他の部品とガラスとを連結し、エンジニアリングプラスチックから形成された連結部品の接着方法であって、
前記連結部品の部分に、融点が80℃〜200℃であるポリオレフィン系樹脂に体積抵抗率が10-2Ω・cm以下である導電物質を1〜30容量%含有し、40MHzの周波数において誘電正接が0.03以上である、ホットメルト樹脂、を取り付ける工程と、
前記ホットメルト樹脂と前記ガラスとが押し当たるようにして、前記ホットメルト樹脂を含む領域を加熱する工程とを備える、接着方法。 - 前記ホットメルト樹脂を含む領域を加熱する工程では、誘電加熱、回転摩擦加熱、振動摩擦加熱、超音波加熱、レーザー光加熱、赤外線加熱、熱板加熱、および熱風加熱、の少なくとも1つにより加熱する、請求項9または請求項10に記載の接着方法。
- 融点が80℃〜200℃であるポリオレフィン系樹脂に体積抵抗率が10-2Ω・cm以下である導電物質を1〜30容量%含有し、40MHzの周波数において誘電正接が0.03以上である、ホットメルト樹脂を射出成形する方法であって、
射出成形に用いる金型を70℃以下とする工程と、
前記70℃以下に保持した金型に溶融状態の前記ホットメルト樹脂を射出し、冷却して成形する工程とを備える、ホットメルト樹脂の成形方法。
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