JPH11188797A - 繊維強化樹脂成形品とその製造方法 - Google Patents

繊維強化樹脂成形品とその製造方法

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JPH11188797A
JPH11188797A JP9358948A JP35894897A JPH11188797A JP H11188797 A JPH11188797 A JP H11188797A JP 9358948 A JP9358948 A JP 9358948A JP 35894897 A JP35894897 A JP 35894897A JP H11188797 A JPH11188797 A JP H11188797A
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fiber
resin molded
reinforced resin
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molded article
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JP9358948A
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Eisuke Wadahara
英輔 和田原
Soichi Ishibashi
壮一 石橋
Tetsuyuki Kyono
哲幸 京野
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Original Assignee
Toray Industries Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】強度、剛性、耐衝撃性を兼ねそなえ、しかも成
形の容易な繊維強化樹脂成形品を提供する。 【解決手段】繊維強化樹脂成形品中に含有される繊維
が、下記(数式1)において7以上600以下の値を有
することを特徴とする繊維強化樹脂成形品。 (数式1) Σ(lwa×Wf)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は強度、剛性、耐衝撃
性を兼ねそなえ、しかも成形の容易な繊維強化樹脂成形
品に関するものである。更に詳しくは、強度、剛性、耐
衝撃性、導電性を兼ねそなえ、しかも成形の容易な繊維
強化樹脂成形品に関するものである。
【0002】
【従来の技術】樹脂を繊維で補強することによって、所
望の強度や弾性率を有する繊維強化樹脂成形品を得るこ
とは公知である。しかしながら、高強度、高弾性率の繊
維で成形品の強度や剛性を向上させるにつれて、耐衝撃
性の低下を招くことが多い。そこで、強度、剛性、耐衝
撃性を同時に達成するために、例えば、繊維強化樹脂成
形品中に、ある長さ以上の繊維を含有させる等の手法が
試みられてきた(例えば、特開平5−208418号公
報)。しかし、この手法では、強度、剛性、耐衝撃性に
ついての効果は大きいものの、成形時の繊維強化樹脂組
成物の流動性が著しく劣り、成形性が低いといった問題
を有する。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】そこで本発明では、強
度、剛性、耐衝撃性を兼ねそなえ、しかも成形性の容易
な繊維強化樹脂成形品を提供することを目的とした。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記の課
題を達成するため鋭意検討した結果、繊維強化樹脂成形
品に含有される繊維の重量平均長さlwa(または成形
材料中に含まれる繊維の重量平均長さlwb)、および
繊維含有率Wfの2つの因子が特定の関係を満す場合特
異的に、かかる目的を達成できることを見出し、本発明
に到達した。つまり、本発明は、上記課題を解決するた
めに、基本的に下記の構成により達成される。 即ち、
「繊維強化樹脂成形品中に含有される繊維が、下記(数
式1)において7以上600以下の値を有することを特
徴とする繊維強化樹脂成形品。
【0005】(数式1) Σ(lwa×Wf) (ここで、lwaは繊維強化樹脂成形品中に含まれる繊
維の重量平均繊維長(mm)、Wfは繊維含有率(重量
%)を示し、Σは繊維強化樹脂成形品中に含有される繊
維の種類が複数である場合、それぞれの繊維について括
弧内の値を合計することを意味する。)」である。
【0006】
【発明の実施の形態】以下、本発明を更に詳細に説明す
る。
【0007】前記課題を達成するためには、繊維が成形
品中で、(数式1)の値が7以上600以下であること
が必要である。
【0008】(数式1) Σ(lwa×Wf) ここで、lwaは繊維強化樹脂成形品中に含まれる繊維
の重量平均繊維長(mm)、Wfは繊維含有率(重量
%)を示し、Σは繊維強化樹脂成形品中に含有される繊
維の種類が複数である場合、それぞれの繊維について括
弧内の値を合計することを意味する。
【0009】lwaは、繊維強化樹脂成形品から樹脂を
除去して、繊維のみを任意に少なくとも400以上抽出
し、その長さを1μm単位まで光学もしくは走査型電子
顕微鏡を用いて測定し、下記の(数式3)、もしくは
(数式4)により算出する。但し、Wiは長さliの繊
維の重量、Niは長さliの繊維の数とする。
【0010】 (数式3) lwa=Σ(Wi×li)/ΣWi (数式3)は一定直径の繊維に対しては、(数式4)の
様に表すことができる。
【0011】 (数式4) lwa=Σ(Ni×li2)/Σ(Ni×li) lwaを測定する際の樹脂を除去する方法として、樹脂
のみを溶解させ、含有される繊維を溶解させない溶媒等
に繊維強化樹脂成形品を一定時間浸漬し、樹脂を十分溶
解させた後、濾過等により繊維と分離する手法を採用し
た。特に含有される繊維が耐熱性に優れる場合は、繊維
強化樹脂成形品を窒素雰囲気中で550℃にて約1時間
程度保持することによっても樹脂を除去することが可能
である。
【0012】(数式1)の値が7未満の繊維を含有する
繊維強化樹脂成形品は、Wfが20重量%以上であれ
ば、ある程度高い強度、剛性を有することも可能で、容
易に成形できるが、耐衝撃性については、著しく低く前
記の課題を達成できない。
【0013】ところが、(数式1)の値が7以上の繊維
を含有する繊維強化樹脂成形品は、強度、剛性について
は大幅な改善は見られないものの、耐衝撃性については
7を境に大幅に改善される。また、発明者らは(数式
1)の値が600以下であれば、成形性には実質的に問
題がないことを見出した。しかし、(数式1)の値が6
00を越える場合には、強度、剛性、耐衝撃性を兼ねそ
なえることができるが、成形に支障をきたし、それと共
に生産性も大きく低下する。つまり本発明では、(数式
1)の値が7以上600以下のときに、強度、剛性、耐
衝撃特性を兼ねそなえ、しかも高い生産性で繊維強化樹
脂成形品が得られることを見出した。(数式1)の値は
8以上500以下であることがより好ましい。更に好ま
しくは10以上400以下である。
【0014】本発明の繊維強化樹脂成形品は、射出成
形、プレス成形、トランスファー成形等によって成形さ
れるが、最も望ましい成形法は、生産性の高い射出成形
である。前記成形材料の形態としては、ペレット、BM
C、SMC、スタンパブルシート等が挙げられるが、最
も望ましい成形材料はペレットである。ここでペレット
とは、一般的には押出機により樹脂とチョップド糸、も
しくは連続糸を供給し、押出機中で混練し、押出、ペレ
タイズすることによって得られたものを指し、ペレット
の長手方向の長さよりペレット中の繊維長さが短いもの
を指すが、しかしながらここでいうペレットには長繊維
ペレットも含まれる。長繊維ペレットとは、特公昭63
−37694号公報に示されるような、繊維がペレット
の長手方向にほぼ平行に配列し、ペレット中の繊維長さ
がペレット長さと同一もしくはそれ以上であるものを指
す。この場合、樹脂は繊維束中に含浸されていても、繊
維束表面に被覆されていても良い。以上のように、成形
材料としては特に樹脂が被覆された長繊維ペレットの場
合、繊維束には被覆されたものと同じ、あるいは被覆さ
れたものより低分子量の樹脂があらかじめ含浸されてい
ても良い。例えば、被覆されたものがポリアミド樹脂の
場合、繊維束に低分子量ポリアミド、エポキシ、テルペ
ン・フェノールなどが含浸されていても良い。前述のペ
レットの中でも、請求項1に記載の(数式1)を満たす
には、長繊維ペレットが成形材料として特に望ましい。
【0015】ペレットを使った射出成形による繊維強化
樹脂成形品において、前述の(数式1)の値の範囲を達
成するためには、特に成形条件、および射出成形機、金
型の影響を考慮しなければならない。成形条件に関して
いえば、背圧が低いほど、射出速度が遅いほど、スクリ
ュー回転数が遅いほどがlwaが長くなる傾向があり、
特に背圧は計量性が不安定にならない程度にできるだけ
低く設定するのが望ましい。望ましい背圧は1〜10k
gf/cm2である。射出成形機については、ノズル径
が太いほど、スクリュー溝深さが深いほど、圧縮比が低
いほどlwaが長くなる傾向がある。金型については、
スプルー径を大きくするほど、ゲート径を大きくするほ
どlwaが長くなる傾向がある。これらの因子、および
Wfを組み合わせることにより、請求項1に記載の(数
式1)の値の範囲に制御することが可能となる。
【0016】(数式1)において、Wfが8重量%以上
70重量%以下、もしくはlwaが0.1mm以上10
mm以下である場合、強度、剛性、耐衝撃性等の力学的
特性が最も適正なバランスで両立できるだけでなく、繊
維強化樹脂成形品を成形する際の成形性に特別に優れる
ので望ましい。更に望ましくは、Wfが10重量%以上
45重量%以下、且つlwaが0.2mm以上7mm以
下である。
【0017】本発明の繊維強化樹脂成形品を成形するに
は、(数式2)の値が20以上1000以下である成形
材料を用いるのがよい。ここで、lwbは成形材料中に
含まれる繊維の重量平均繊維長(mm)、Wfは繊維含
有率(重量%)を示し、Σは成形材料中に含有される繊
維の種類が複数である場合、それぞれの繊維について括
弧内の値を合計することを意味する。(数式2)の値が
1000を越えると、成形工程における材料の流動性が
著しく低下し、成形性が大きく損なわれる。例えば、射
出成形の場合は、外観が悪くなるだけではなく、ゲート
詰まり等により射出成形自体すら困難な状態に陥る。ま
た、プレス成形やトランスファー成形の場合は、成形の
賦形性が大きく損なわれ、繊維強化樹脂成形品中にボイ
ド等の欠陥が導入されるだけでなく、繊維分散が不均一
になり、成形品の異方性が大となる。一方、(数式2)
の値が20未満だと、成形品において、(数式1)の値
が7以上を維持することが困難となり、所望の繊維強化
樹脂成形品を得にくくなる。成形材料における(数式
2)の値の好ましい範囲は、25以上800以下であ
る。(数式2)の値の更に好ましい範囲は30以上60
0以下である。
【0018】特に繊維強化樹脂成形品を射出成形にて成
形する場合、成形時の成形材料の流動性が著しく劣る
と、フローマークや繊維の浮き等の発生により表面平滑
性が損われると共に、ウェルドラインも目立ち、外観性
が悪い。更に、ゲート詰まり等により射出成形が困難な
状態に陥るため、(数式2)の値の範囲が30以上60
0以下の繊維を含有する成形材料を用いるのがより好ま
しい。
【0019】本発明で使用される樹脂は、熱可塑性、熱
硬化性のどちらでも良いが、望ましくは、耐衝撃性によ
り優れ、且つ射出成形が可能な熱可塑性樹脂がよい。例
えば、ポリエチレンテレフタレートやポリブチレンテレ
フタレート等のポリエステル、液晶ポリエステル、ポリ
エチレンやポリプロピレンやポリブチレン等のポリオレ
フィン、ポリオキシメチレン、ポリアミド、ポリカーボ
ネイト、ポリスチレン、スチレン・アクリロニトリル共
重合体、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重
合体、アクリレート・スチレン・アクリロニトリル共重
合体、ポリメチレンメタクリレート、ポリ塩化ビニル、
ポリフェニレンスルフィド、ポリフェニレンエーテル、
ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、
ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルケ
トン、ポリエーテルエーテルケトン等であり、これらの
共重合体、変性体、および2種類以上ブレンドした樹脂
も含まれる。また、更に耐衝撃性向上のために、上記樹
脂にエラストマー、もしくはゴム成分を添加した樹脂も
含まれる。
【0020】本発明における繊維強化樹脂成形品は、強
度、剛性、耐衝撃性を兼ねそなえているので、従来の成
形品より肉厚を小さくすることが可能であり、肉厚が4
mm以下の薄肉成形品として用いるのが最適である。好
ましくは、肉厚3mm以下の薄肉成形品として用いるの
が本発明の効果をより発揮できる。更に好ましくは、肉
厚2mm以下の薄肉成形品として用いるのがよい。ここ
でいう成形品の肉厚とは、成形品のうち、リブ部分やボ
ス部分などの突起物などを除いた平板部分の肉厚を指
す。
【0021】本発明で使用する繊維は、PAN系、ピッ
チ系、レーヨン系等の炭素繊維、S−ガラス、E−ガラ
ス等のガラス繊維、アラミド繊維の他にボロン繊維やシ
リコンカーバイド繊維やシリコンナイトライド繊維など
の無機繊維、ステンレス鋼繊維や銅繊維等の金属繊維、
ポリステル繊維やナイロン繊維やポリフェニレンサルフ
ァイド繊維等の有機繊維であり、これらにニッケルや銅
等の金属被覆等の後加工を加えた繊維やこれらを2種類
以上ブレンドした繊維も含まれる。上記強化繊維は、シ
ランカップリング剤、アルミネートカップリング剤、チ
タネートカップリング剤等で表面処理、ウレタン系樹
脂、エポキシ系樹脂、ポリエステル系樹脂、スチレン系
樹脂、オレフィン系樹脂、アミド系樹脂で集束処理され
ていてもよい。
【0022】強化繊維として望ましくは、強度、剛性、
耐衝撃性を兼ねそなえ、且つ軽量で、導電性付与による
電磁波シールド効果も期待できる炭素繊維を用いるのが
がよい。この場合、炭素繊維には金属が被覆されていて
もよいし、被覆のあるものと無いものを併用してもよ
い。強化繊維として炭素繊維を用いた場合、請求項1の
条件を満たす樹脂成形品は、体積固有抵抗が5Ωcm以
下の高い導電性を有し、電磁波シールド材として好適で
ある。なお、炭素繊維に被覆する金属は、ニッケル、
銅、銀、金等が挙げられ、これらのうち1層または複数
層を被覆するのがよい。
【0023】炭素繊維を使用して、請求項1に記載の
(数式1)の値の範囲に制御するためには、引張破断伸
度が1.5%以上、より望ましくは、引張破断伸度が
1.7%以上、更に望ましくは引張破断伸度が1.9%
以上の炭素繊維を用いるのがよい。その理由は、破断伸
度が高いほど、成形工程で炭素繊維が切れにくく、(数
式1)におけるlwaが大きくなるので、より小さいW
fで所望の値を達成できるためである。破断伸度に特に
上限はないが、一般的には3%未満である。前記炭素繊
維としては、引張強度と弾性率とのバランスに優れるP
AN系炭素繊維が望ましい。また、本発明の繊維強化樹
脂成形品には、その目的に応じて、チタン酸カリウム、
酸化チタン等の無機ウィスカー、カーボンブラック、金
属粉、金属フレーク、ガラスビーズ、ガラスバルーン、
ガラスフレーク、タルク、マイカ、クレー、シリカ、炭
酸カルシウム、ウオラステナイト、高分子粒子等の任意
の充填剤を使用してもよい。これらに導電体被覆、表面
改質、ドーピング等の任意の処理がなされていてもよ
い。
【0024】導電性付与のためには、導電体で被覆され
たチタン酸カリウムウイスカー、カーボンブラック、金
属粉、金属フレーク等の導電性付与剤を用いるのが好適
である。外観向上のためには、チタン酸カリウム、酸化
チタン、ガラスビーズ、ガラスバルーン、ガラスフレー
ク等の充填による表面粗さの均一化が好適である。ま
た、収縮異方性に起因する成形品のソリ等の防止には、
チタン酸カリウム、酸化チタン、タルク、マイカ、クレ
ー、高分子粒子等の充填による収縮異方性の緩和が好適
である。
【0025】本発明における薄肉成形品の用途として
は、強度、剛性、耐衝撃性が求められる電子・電気機器
用部品、特に軽量化の要求が高い携帯用の電子・電気機
器のハウジング、ケーシングが挙げられる。より具体的
には、ノート型パソコン、携帯用電話機、PHS、PD
A(電子手帳等の携帯情報端末)、ビデオカメラ、携帯
用ラジオカセット再生機等のハウジング、ケーシングで
ある。また、特に米国で繊維強化樹脂成形品を用いる場
合には、板厚1/32インチにおいてUL規格における
V−0以上の難燃性を有するのが望ましい。
【0026】本発明における繊維強化樹脂成形品を射出
成形にて成形する場合、前述の通り射出する樹脂組成物
が流動性に劣ると表面平滑性、外観性が損なわれるた
め、本発明で用いる樹脂は低粘度なものが好適である。
具体的には、成形温度での溶融粘度が10000ポイズ
(Poise)以下、好ましくは5000ポイズ以下、
更に好ましくは3000ポイズ以下のものがよい。ここ
では溶融粘度は、ビカット軟化温度(JIS K720
6)、あるいはDSCにより求められる融点より30℃
高い温度において、圧力20kgf/cm2にて、ノズ
ル半径0.5mm、ノズル長さ1.0mmの高化式フロ
ーテスターにより測定されるものを指す。
【0027】本発明で用いるマトリックス樹脂として
は、樹脂と繊維の界面接着性の面からポリアミド樹脂が
望ましい。ポリアミド樹脂とは、例えばナイロン4、ナ
イロン6、ナイロン66、ナイロン10、ナイロン1
1、ナイロン12、ナイロン46等の脂肪族ナイロン、
ポリヘキサジアミンテレフタルアミド、ポリヘキサメチ
レンジアミンイソフタル酸アミド、キシレン基含有ポリ
アミド等の芳香族ナイロン、およびそれらの共重合体、
変性体、および2種類以上ブレンドした樹脂等を意味す
る。
【0028】また、本発明の繊維強化樹脂成形品に、そ
の目的に応じて、難燃剤、難燃助剤、顔料、染料、滑
剤、離型剤、可塑剤、熱安定剤、酸化防止剤、紫外線吸
収剤、流動性改質剤、発泡剤、帯電防止剤等の任意の添
加剤を使用してもよい。
【0029】
【実施例】以下実施例によって本発明を更に詳細に説明
するが、下記実施例は本発明を制限するものではなく、
前・後記の主旨を逸脱しない範囲で変更実施すること
は、全て本発明の技術範囲に包含される。
【0030】本実施例で用いたlwa(又はlwb)
は、前記の通りの分析・測定法を採用した。但し、溶解
はそれぞれに適した溶剤中に繊維強化樹脂成形品(又は
成形材料)を25℃にて少なくとも6時間以上浸漬させ
ることにより行い、濾過は、濾紙(JIS P3801
3種)を用いて無加圧にて行った。
【0031】εについては、用いた商品のカタログ値を
引用した。
【0032】耐衝撃性については、実際の成形品の耐衝
撃性を最も忠実に再現すると推定されるダインスタット
衝撃値(表1中ではDYと表記)で代表させる。試験
は、10kg・cmダインスタット衝撃試験機を用いて
行った。本実施例では、幅300mm×長さ210mm
×厚さ1.3mmの成形品から幅10mm×長さ15m
m×厚さ1.3mmの試験片を同一箇所から切り出して
試験に供した。試験機の設計上、打撃中心点からクラン
プ部までの距離Lは5.0mmとした。
【0033】強度、および弾性率(表1中ではσ、Eと
表記)については、3点曲げ試験(ASTM D79
0)による値で代表させた。試験は、万能試験機を用い
て、スパン間距離L/厚さD=16にて行った。試験片
寸法は、幅12.7mm×長さ101.6mm×厚さ
6.4mmとした。
【0034】体積固有抵抗(表1中ではVRと表記)に
ついては、試験片寸法は、幅12.7mm×長さ60m
m×厚さ2mmの試験片を用いて測定した。まず幅×厚
さ面に導電性ペーストを塗布し、その面を電極に圧着し
て電極間の抵抗値を測定する。その測定値に導電性ペー
スト塗布面の面積を乗じ、次いで試験片長さで除したも
のを体積固有抵抗値とした。
【0035】(実施例1〜8)溶融した樹脂を押出機を
用いて押し出し、その先端に取り付けたクロスヘッドダ
イ中に繊維束を連続して供給することによって溶融樹脂
を繊維束に含浸させ、繊維強化樹脂ストランドを引き抜
き成形する。前記ストランドを切断して長繊維ペレット
を得る。用いた樹脂および繊維の種類、繊維長、繊維含
有率は表1に示した通り。
【0036】得られたペレットを100℃にて5時間以
上真空中で乾燥させた後、射出成形機により、シリンダ
温度290℃、金型温度80℃にて、ダインスタット衝
撃値評価試験片切り出し用繊維強化樹脂成形品、3点曲
げ評価用繊維強化樹脂成形品、および体積固有抵抗評価
用繊維強化樹脂成形品を射出成形した。評価結果を表1
に示す。いずれの材料も強度、剛性が高く、且つダイン
スタット衝撃値も高い。強化繊維として炭素繊維を用い
た場合は体積固有抵抗値は全て5Ω・cm以下で、高い
電磁波遮蔽効果が期待される。また、成形性はどれも良
好で、繊維強化樹脂成形品の外観についても良好であっ
た。
【0037】(実施例9)溶融した樹脂上に10mmに
カットした繊維をランダムに配向させた後、プレスする
ことにより樹脂を繊維に含浸させてスタンパブルシート
を得た。樹脂および繊維の種類、その成形品中の繊維含
有率は表1に示した通り。
【0038】得られたスタンパブルシートを100℃に
て5時間以上真空中で乾燥させた後、金型温度275℃
にて、ダインスタット衝撃値評価試験片切り出し用繊維
強化樹脂成形品、3点曲げ評価用繊維強化樹脂成形品、
および体積固有抵抗評価用繊維強化樹脂成形品をプレス
成形した。評価結果を表1に示す。強度・剛性が高く、
且つダインスタット衝撃値も非常に高い。体積固有抵抗
値も0.1Ω・cmで、非常に高い電磁波遮蔽効果が期
待されれる。また、繊維強化樹脂成形品の外観も良好で
あった。
【0039】(比較例1〜5)押出機中の溶融している
樹脂中に、サイドフィーダーを用いて繊維束を連続して
供給することによりコンパウンドペレットを得た。樹脂
および繊維の種類、その成形品中の繊維長、繊維含有率
は表1に示した通り。実施例1〜8と同様に、得られた
ペレットを100℃にて5時間以上真空中で乾燥させた
後、射出成形機により、シリンダ温度290℃、金型温
度80℃にて、ダインスタット衝撃値評価試験片切り出
し用繊維強化樹脂成形品、3点曲げ評価用繊維強化樹脂
成形品、および体積固有抵抗評価用繊維強化樹脂成形品
を射出成形した。評価結果を表1に示す。実施例1〜8
に比較して強度・剛性はほぼ同等の値を示すものの、ダ
インスタット衝撃値は著しく劣る。また、体積固有抵抗
も高く、高い電磁波遮蔽効果は期待できない。
【0040】(比較例6)溶融した樹脂を押出機を用い
て押し出し、その先端に取り付けたクロスヘッドダイ中
に繊維束を連続して供給することによって溶融樹脂を繊
維束に含浸させ、繊維強化樹脂ストランドを引き抜き成
形する。前記ストランドを切断して長繊維ペレットを得
る。用いた樹脂および繊維の種類、繊維長、繊維含有率
は表1に示した通り。
【0041】得られたペレットを100℃にて5時間以
上真空中で乾燥させた後、射出成形機により、シリンダ
温度290℃、金型温度80℃にて射出成形した。実施
例1〜8に比較して成形性に著しく劣り、金型のゲート
に成形材料が詰まる等の問題が頻繁に生じ、生産性に非
常に劣った。また、外観に優れた成形品を得ることはで
きなかった。
【0042】
【表1】 表1における樹脂、繊維の表記は下記に準じる。
【0043】N6:ナイロン6樹脂[東レ(株)製アミ
ランCM1010] N66:ナイロン66樹脂[東レ(株)製アミランCM
3007] N6/66:ナイロン6樹脂(95%)とナイロン66
樹脂(5%)の共重合樹脂[東レ(株)製アミランCM
6011] N66/6:ナイロン66樹脂(90%)とナイロン6
樹脂(10%)の共重合樹脂[東レ(株)製アミランC
M3301L] PC/ABS:ポリカーボネイト樹脂+ABS樹脂[帝
人化成(株)製マルチロンT−1000] PC/ABS+E:ポリカーボネイト樹脂+ABS樹脂
[帝人化成(株)製マルチロンT−1000]90wt
%とエラストマー[東レ・デュポン(株)製ハイトレ
ル]10wt%を溶融押出にてブレンドした樹脂 CF1:炭素繊維[東レ(株)製トレカT700S、ε
=2.1%] CF2:炭素繊維[東レ(株)製トレカT300、ε=
1.5%] GF:ガラス繊維[日本電気硝子(株)製ER115
0]
【0044】
【発明の効果】本発明の繊維強化樹脂成形品は強度、剛
性、耐衝撃性を兼ねそなえており、成形品を得るのも効
率的に行える。このような成形品は、ハウジング、ケー
シングを始め、強度、剛性、耐衝撃性を必要とする幅広
い産業分野に好適である。更に炭素繊維により強化した
場合、強度、剛性、耐衝撃性に加え、導電性付与による
電磁波シールド効果にも優れるため、特に電子機器類の
ハウジング、ケーシング等に好適であり、その工業的な
効果は大きい。

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 繊維強化樹脂成形品中に含有される繊維
    が、下記(数式1)において7以上600以下の値を有
    することを特徴とする繊維強化樹脂成形品。 (数式1) Σ(lwa×Wf) (ここで、lwaは繊維強化樹脂成形品中に含まれる繊
    維の重量平均繊維長(mm)、Wfは繊維含有率(重量
    %)を示し、Σは繊維強化樹脂成形品中に含有される繊
    維の種類が複数である場合、それぞれの繊維について括
    弧内の値を合計することを意味する。)
  2. 【請求項2】 下記(数式2)の値が20以上1000
    以下である成形材料を用いて成形されたことを特徴とす
    る請求項1に記載の繊維強化樹脂成形品。 (数式2) Σ(lwb×Wf) (ここで、lwbは成形材料中に含まれる繊維の重量平
    均繊維長(mm)、Wfは繊維含有率(重量%)を示
    し、Σは成形材料中に含有される繊維の種類が複数であ
    る場合、それぞれの繊維について括弧内の値を合計する
    ことを意味する。)
  3. 【請求項3】 熱可塑性樹脂成形材料を射出成形してな
    る請求項1〜2のいずれかに記載の繊維強化熱可塑性樹
    脂成形品。
  4. 【請求項4】 成形品の肉厚が4mm以下であることを
    特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の繊維強化樹
    脂成形品。
  5. 【請求項5】 繊維強化樹脂成形品中に炭素繊維が含ま
    れることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の
    繊維強化樹脂成形品。
  6. 【請求項6】 請求項5に記載の炭素繊維の引張破断伸
    度が少なくとも1.5%以上であることを特徴とする請
    求項1〜5のいずれかに記載の繊維強化樹脂成形品。
  7. 【請求項7】 用途が電子・電気機器用部品であること
    を特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の繊維強化
    樹脂成形品。
  8. 【請求項8】 板厚1/32インチにおいて、UL規格
    におけるV−0以上の難燃性を有することを特徴とする
    請求項1〜7のいずれかに記載の繊維強化樹脂成形品。
  9. 【請求項9】 マトリックス樹脂がポリアミド樹脂であ
    ることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の繊
    維強化熱可塑性樹脂成形品。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006001964A (ja) * 2004-06-15 2006-01-05 Mitsubishi Rayon Co Ltd 熱可塑性樹脂成形品および熱可塑性樹脂組成物
JP2008291192A (ja) * 2007-05-28 2008-12-04 Nitto Boseki Co Ltd 繊維強化ポリアミド樹脂組成物の製造方法
JP2020180236A (ja) * 2019-04-26 2020-11-05 東レプラスチック精工株式会社 ミリ波を遮蔽する熱可塑性樹脂炭素繊維複合材および遮蔽部材

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