JP4054079B2 - 防振装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、振動発生部からの振動の伝達を防止する場合等に適用される防振装置に関するものであり、振動を発生するエンジン等の部材を支持するマウント類に適用可能なものである。
【0002】
【従来の技術】
例えば、車両の振動発生部となるエンジンと振動受部となる車体との間にエンジンマウントとしての防振装置が配設されていて、エンジンが発生する振動をこの防振装置が吸収し、車体側に伝達されるのを阻止するような構造となっている。
【0003】
すなわち、この防振装置としては、防振装置の内部に弾性体及び一対の液室を設けると共に、オリフィスとなる制限通路でこれらの液室を互いに連通したものが知られている。そして、搭載されたエンジンが作動して振動が発生した場合には、弾性体の制振機能及び、これら液室を連通するオリフィス内の液体の粘性抵抗等で振動を吸収し、振動の伝達を阻止するようになっている。
【0004】
その一例として、図5及び図6に示すような防振装置110が知られており、以下に説明する。
【0005】
これらの図に示すように、外筒金具120と上部取付金具116との間に、ゴム製の弾性体118がこれら金具に加硫接着されて配置されている。さらに、ブラケット114に外筒金具120が挿入され、リバウンドストッパ金具112がブラケット114にかしめられている。
【0006】
そして、外筒金具120内に配置されたダイヤフラム122と弾性体118との間に液室124が設けられ、この液室124を一対の液室124A、124Bに区画すると共にオリフィス132を有した隔壁部材130が、液室124内に設置された構造となっている。
【0007】
従って、この防振装置110は、両液室124A、124Bを連通するオリフィス132を介して、両液室124A、124B内の液体が流通して、振動を低減している。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、以上のような従来の防振装置110の組立てに際して、外筒金具120の外周全体をブラケット114に圧入するように挿入した場合、外筒金具120に大きな力が加わるので、隔壁部材130等が変形したりして劣化し、これに伴って隔壁部材130による液室のシール性も劣化する虞があった。
【0009】
また、この対策として、外筒金具120の下部120Bを圧入せず、上部120Aのみブラケット114に圧入する状態でブラケット114に挿入し、ブラケット114への外筒金具120の挿入後に、絞り加工によって外筒金具120の下部120Bとブラケット114との間を適度に結合させて、シールを行う組立て方法が考えられた。
【0010】
しかし、この場合、図7に示す外筒金具120の下部120Bが外筒金具120の上部120Aの影響から二点鎖線のように内周側に傾斜して、この下部120Bがスムーズに変形しない。この為、隔壁部材130が外筒金具120内でがたついたりして、この隔壁部材130による一対の液室124A、124B間のシールが不十分となったり、液室124自体のシールが不十分となって液室124内の液体が外部に漏れたりする虞があった。
【0011】
また、これらの方法による組立ての際、弾性を有して柔らかい弾性体118の段差118Aのみで隔壁部材130の位置が規制されるので、隔壁部材130による一対の液室124A、124B間のシールに際して、隔壁部材130が図上、上下方向へ動いたり、あるいは弾性体118への隔壁部材130の乗り上げが発生したりする。この為、隔壁部材130による一対の液室124A、124B間のシールの安定化を図ることが難しかった。
【0012】
一方、この対策として、図8に示すように外筒金具を一対の外筒金具220A、220Bとし、オリフィス232を有した隔壁部材230をこれら一対の外筒金具220A、220B間でかしめ加工して液室224内に配置する構造の防振装置210が考えられた。しかし、この防振装置210では、隔壁部材230のシール部230Aを防振装置210の外周側に配置して、かしめ加工によりシールしている為、かしめ加工された部分が防振装置210の外周側に出っ張ることになる。
【0013】
本発明は上記事実を考慮し、隔壁部材によるシール性の安定化を図った防振装置を提供することを第1の目的とし、また、外周側に突出したかしめ部分を無くして径方向のコンパクト化を図った防振装置を提供することを第2の目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
請求項1による防振装置は、振動発生部及び振動受部の一方に連結される第1の取付部材と、筒状に形成されて前記第1の取付部材の外周側に位置し且つ内周側に突出させた係合部を軸方向中程に有した第2の取付部材と、これら一対の取付部材の間に介在されて配置される弾性体と、内壁の少なくとも一部が前記弾性体により形成され且つ液体が封入された液室と、外周側が前記第2の取付部材の係合部に係合して軸方向の位置決めがされつつ前記液室内に配置されて前記液室を一対の小液室に区画すると共にこれら一対の小液室を連通するオリフィスを有した隔壁部材と、振動発生部及び振動受部の他方に連結され且つ前記第2の取付部材が内周側に挿入されて、これら一対の取付部材及び前記弾性体が収納されるブラケットと、を有し、前記係合部を軸方向に沿って挟んだ前記第2の取付部材の一対の部分の内の前記ブラケットへの圧入方向基端側を、前記ブラケットの内周側に圧入状態で嵌合すると共に、前記第2の取付部材の前記ブラケットへの圧入方向先端側の外径を、前記ブラケットにおける前記第2の取付部材の圧入方向先端側の外周側に位置する部分の内径よりも小径として、前記第2の取付部材の前記ブラケットへの圧入方向先端側の外周面と前記ブラケットの内周面との間に隙間を形成し、前記隔壁部材が、前記第2の取付部材の前記ブラケットへの圧入方向先端側に配置された外周面で前記一対の小液室間をシールしていること、を特徴とする。
【0015】
請求項2による防振装置は、請求項1の防振装置において、前記係合部を軸方向に沿って挟んだ前記第2の取付部材の一対の部分の内の前記ブラケットへの圧入方向先端側を、前記ブラケットへの圧入方向基端側より小径としたことを特徴とする。
請求項3による防振装置は、請求項1又は2の防振装置において、前記第2の取付部材は、前記ブラケットへの圧入方向先端側が径方向内側へ絞り加工されていること、を特徴とする。
【0016】
請求項1に係る防振装置の作用を以下に説明する。
第1の取付部材と第2の取付部材との間に弾性体が介在されており、弾性体により少なくとも一部が形成された内壁により、液体が封入された液室が形成されている。また、液室内に配置されて液室を一対の小液室に区画する隔壁部材が、これら一対の小液室を連通するオリフィスを有し、さらに、第2の取付部材がブラケットに圧入されて、一対の取付部材及び弾性体がブラケットに収納される。
【0017】
従って、第1の取付部材に連結された振動発生部側から振動が伝達されると、弾性体が変形し、これに伴って液室が拡縮して、隔壁部材のオリフィス内の液体に圧力変化及び流動が生じ、弾性体の変形及び、液体の圧力変化、流動により振動が減衰されて、振動受部側に振動が伝達され難くなる。
【0018】
また、筒状に形成された第2の取付部材の軸方向中程に内周側に突出させた係合部を有しているので、この係合部に外周側が係合して隔壁部材の軸方向の位置決めがされて、隔壁部材の液室内での設置位置が安定化し、隔壁部材により一対の小液室間が確実にシールされる。さらに、隔壁部材が防振装置の内側に配置されて第2の取付部材の外側に出ない為、防振装置の径方向のコンパクト化を図ることが可能となる。
【0019】
一方、第2の取付部材の外径を絞ることで、隔壁部材による一対の小液室間のシールを図っているが、内周側に突出した係合部を第2の取付部材に設けることで、係合部を挟んだ第2の取付部材の軸方向のいずれか一方のみを絞り加工する事が可能となるだけでなく、係合部が伸びる形となって第2の取付部材の絞り加工されない部分に対して独立して変形し易くなり、第2の取付部材の絞り加工が容易になって、シール部分の軸方向に沿った径をほぼ均一に縮小することが可能になる。従って、従来技術のように隔壁部材による一対の小液室間のシールや、外部に対する液室のシールが不十分となることがなくなる。
【0020】
請求項2に係る防振装置の作用を以下に説明する。
本請求項も請求項1と同様な作用を奏する。但し、本請求項では、係合部を軸方向に沿って挟んだ第2の取付部材の一対の部分の内のブラケットへの圧入方向先端側を、ブラケットへの圧入方向基端側より小径とした構成とされている。つまり、外径寸法に差異を設けることで、圧入方向基端側をブラケットとの圧入による嵌合部分とし、圧入方向先端側を隔壁部材による一対の小液室間のシール性を確保する為のシール部分として、第2の取付部材上で役割を分散させることが可能となった。
【0021】
これにより、ブラケットへの第2の取付部材の圧入時において、シール部分への負荷を無くすことが可能となる。
【0022】
【発明の実施の形態】
本発明の防振装置に係る第1の実施の形態を図1から図4に示し、これらの図に基づき本実施の形態を説明する。
【0023】
本実施の形態を表す図1に示すように、この防振装置10の一方の取付部材を円筒状に形成される外筒金具16が構成している。この外筒金具16は、円筒状に形成される第1円筒部16B及び、第1円筒部16Bの外径よりその外径が若干小径に第1円筒部16Bの下側で円筒状に形成される第2円筒部16Cを、有している。
【0024】
そして、これら第1円筒部16Bと第2円筒部16Cとの間の外筒金具16の軸方向中程の位置には、外筒金具16の外周面を一周にわたってへこませて内周側に突出させた係合部16Eがプレス加工等により設けられている。さらに、この外筒金具16の上端部に円板状のフランジ部16Aが形成され、また、この外筒金具16の下端部にテーパ状に縮まるテーパ部16Dが繋がっている。
【0025】
この外筒金具16は、カップ状に形成されると共に、外周に拡がるフランジ部12Aが上部に形成されたブラケット12に圧入されて、ブラケット12内に配置されている。つまり、外筒金具16の第1円筒部16Bと対向するブラケット12の上部側寄りの部分は、第1円筒部16Bと緊密に嵌合している上部円筒部12Bとされ、外筒金具16の第2円筒部16Cと対向するブラケット12の下部側寄りの部分は、上部円筒部12Bより若干小径に形成され且つ第2円筒部16Cとは図示しない若干量の隙間を有した下部円筒部12Cとされている。
【0026】
このブラケット12の外周側には、図2及び図3に示すように、それぞれU字状に形成された一対の脚部14がブラケット12の外周側に突出するように、設けられている。
【0027】
また、外筒金具16の内周面には、円筒形状に形成されると共にインターリング20を埋設したゴム製の弾性体18の外周面が加硫接着されており、この外筒金具16が弾性体18を囲んで保持することになる。そして、外筒金具16の第2円筒部16Cに対応する弾性体18の部分は薄肉とされた肉薄部18Aとされている。
【0028】
さらに、弾性体18の中心部には、金属製であって円錐状に形成された上部取付部材24が加硫接着されつつ埋設されており、この上部取付部材24の上端部が弾性体18から突出している。この上部取付部材24には、雌ねじが形成されたねじ穴24Aが設けられていると共に回り止めピン25が取り付けられている。
【0029】
以上より、弾性体18は、第1の取付部材となる上部取付部材24と第2の取付部材を構成する外筒金具16との間に介在されて取り付けられることとなり、ブラケット12に外筒金具16が圧入されて、これら外筒金具16、上部取付部材24及び弾性体18が、ブラケット12に収納される形となっている。
【0030】
上部取付部材24の上方側であって上部取付部材24の頂面に対向した位置には、ストッパゴム22を介してアームブラケット26が配設されている。つまり、筒状のストッパゴム22内に、鉄鋳物等で形成されたアームブラケット26の基端側を構成する角柱部26Aが圧入されている。そして、ストッパゴム22の上壁には孔22Aが形成され、ストッパゴム22の下壁に開口22Bが形成されており、角柱部26Aには貫通穴27Aが形成されている。
【0031】
従って、ストッパゴム22の上壁に形成された孔22A、角柱部26Aに形成された貫通穴27A及びストッパゴム22の下壁に形成された開口22Bにそれぞれ上方から止めボルト28が挿通されており、上部取付部材24のねじ穴24Aにこの止めボルト28が螺合されて、アームブラケット26が上部取付部材24に固定されている。
【0032】
また、アームブラケット26の先端側には、振動発生部となるエンジン(図示せず)にアームブラケット26を連結するための複数個のボルト孔27Bが形成されている。従って、この弾性体18から突出される上部取付部材24はエンジンへの連結用として用いられることとなり、上部取付部材24がアームブラケット26を介して振動発生部となるエンジンに連結されることになる。
【0033】
この上部取付部材24の上部には、上部取付部材24の変位を一定範囲内に制限するためのリバウンドストッパ金具60が、アームブラケット26を介して上部取付部材24と対向して配置されている。図3上、逆U字状に形成されたこのリバウンドストッパ金具60の両端部は、一対の脚部14に圧入されている。
【0034】
これらリバウンドストッパ金具60の両端部及び脚部14には、それぞれ貫通穴14A、60Aが形成されていて、図3に示す一対の止めねじ64により、脚部14の貫通穴14A及びリバウンドストッパ金具60の貫通穴60Aが一体的に貫通され、振動受部となる車体62に締結されて車体62に防振装置10が固定される。
【0035】
他方、内周面にゴム製のダイヤフラム30が加硫接着されているリング材31が第2円筒部16C内に嵌合して固着される。
【0036】
このダイヤフラム30と弾性体18との間には、これらの部材で内壁面が形成された液室32が設けられていて、例えば水、オイル等の液体が封入されている。そして、この液室32内には、例えば合成樹脂材料で形成された隔壁部材34が、弾性体18の肉薄部18Aの内壁面に嵌合されると共に係合部16Eに外周側が係合して軸方向の位置決めがされて、配置されていて、液室32を一対の小液室である主液室32Aと副液室32Bとに二分して区画している。
【0037】
さらに、この隔壁部材34の中央部には、円形の開口部38が形成されており、また、この隔壁部材34の外周面となる外周端部34Bの内側には、外周端部34Bに沿いほぼ一周にわたって溝状に形成された溝部36が設けられている。この溝部36の一端部には、主液室32Aと溝部36内とを連通する小孔52が形成され、他端部には、副液室32Bと溝部36内とを連通する小孔54が形成されている。従って、弾性体18の内壁面により塞がれたこの溝部36及び小孔52、54が主液室32Aと副液室32Bとの間を連通するオリフィス42を構成することとなる。
【0038】
さらに、ダイヤフラム30とブラケット12の底壁との間は空気室44とされてダイヤフラム30の変形を可能としている。
【0039】
一方、隔壁部材34には、開口部38の上部側に突出するリブ34Aが形成されており、中央部が円形に突出する弾性板であるメンブラン46が、このリブ34Aに係止されている。
【0040】
そして、メンブラン46の下側外周寄りの部分には、外周端側がダイヤフラム30と隔壁部材34との間に挟持されて固定され且つ中央部が開口部38に嵌合されるように円形に突出した金属製の円板48が当接して、メンブラン46をリブ34Aとの間で挟着している。尚、小孔54に対応する円板48の位置には、図示のように孔部を有している。
【0041】
次に、本実施の形態に係る防振装置10の製造の手順を説明する。
まず、第1円筒部16B、第2円筒部16C及び係合部16E等を有した外筒金具16をプレス加工により形成し、上部取付部材24及びこの外筒金具16を金型内に入れて、弾性体18を加硫する。そして、液体中において、メンブラン46、円板48が装着された状態の隔壁部材34及びダイヤフラム30等を外筒金具16内に挿入し、外筒金具16の係合部16Eに隔壁部材34の外周側を係合して隔壁部材34の軸方向の位置決めをしつつ、外筒金具16の第2円筒部16Cを絞り加工すると共に、外筒金具16の下端部をかしめてテーパ部16Dを形成する。これにより、これらの部材が外筒金具16内に収納されるだけでなく、弾性体18の薄肉となった肉薄部18Aと隔壁部材34とが緊密に当接しつつ嵌合されて一対の液室32A、32B間が隔壁部材34によりシールされ、図4に示すような状態になる。
【0042】
そして、ストッパゴム22内に、アームブラケット26の角柱部26Aを圧入し、ストッパゴム22及びアームブラケット26に止めボルト28を挿通させて、アームブラケット26を上部取付部材24に固定する。
【0043】
次に、外筒金具16をブラケット12に圧入して、上部取付部材24、外筒金具16及び弾性体18をこのブラケット12に収納すると共に、ブラケット12から突出して形成された一対の脚部14にリバウンドストッパ金具60の両端部を圧入して、これら一対の脚部14にリバウンドストッパ金具60を仮止めすれば、図1及び図2に示すように組立は完了する。
【0044】
つまり、この外筒金具16のブラケット12への圧入に際して、外筒金具16をブラケット12に挿入するが、外筒金具16の第2円筒部16Cは、ブラケット12の下部円筒部12Cより若干小径に形成されているので、途中までスムーズに外筒金具16は挿入される。そして、外筒金具16の第1円筒部16Bとブラケット12の上部円筒部12Bとが圧入されて緊密に嵌合され、相互に固定されることになる。
【0045】
この後、このように完成された防振装置10を車両内に設置し、一対の止めねじ64を一対の脚部14及びリバウンドストッパ金具60の両端部に貫通させ車体62に締結することにより、図3に示すように、一対の脚部14に繋がるブラケット12及び、リバウンドストッパ金具60を車体62に固定し、防振装置10を車体62に搭載することができる。そして、アームブラケット26の複数個のボルト孔27Bに図示しないボルトを締結してエンジンにアームブラケット26を連結する。
【0046】
次に本実施の形態の作用を説明する。
上部取付部材24にアームブラケット26を介して搭載されるエンジンが作動すると、エンジンの振動がアームブラケット26及び上部取付部材24を介して弾性体18に伝達される。
【0047】
弾性体18は吸振主体として作用し、弾性体18の内部摩擦に基づく制振機能によって振動を吸収することができる。さらに、主液室32A及び副液室32B内の液体がオリフィス42を通って相互に流通し、オリフィス空間に生ずる液体の圧力変化、液体流動の粘性抵抗等に基づく減衰作用で防振効果を向上することができる。
【0048】
一方、高周波の振動が伝達された場合などのように、狭い振動数範囲の低減のみ可能なオリフィス42が目詰まりしてオリフィス42のみによっては十分に振動が低減されないときでも、メンブラン46が弾性変形して、液室32内の内圧が高くなることがない。この結果、オリフィス42では振動を低減できない高周波数の振動が生じても低動ばねとなり、防振特性が低減されずに維持され、防振装置10の効果が十分発揮される。
【0049】
他方、このエンジンから過大な振幅の振動が入力された際には、外筒金具16と対向して配置されるリバウンドストッパ金具60が、外筒金具16の変位を一定範囲内に制限することになる。
【0050】
さらに、外筒金具16がブラケット12に圧入されて、外筒金具16、上部取付部材24及び弾性体18がブラケット12に収納される。また、外筒金具16は、その軸方向中程に内周側に突出させた係合部16Eを有しているので、この係合部16Eで隔壁部材34の外周側が係合して隔壁部材34の液室32内での軸方向の位置決めがされて、隔壁部材34の液室32内での設置位置が安定化し、隔壁部材34により一対の液室32A、32B間が確実に封止されてシールされる。さらに、隔壁部材34が防振装置10の内側に配置されて外筒金具16の外側に出ない為、防振装置10の径方向のコンパクト化が図れることになる。
【0051】
一方、防振装置10の組み立て時には、外筒金具16の第2円筒部16Cを絞り加工することで、隔壁部材34による液室32A、32B間のシールを図っている。但し、内周側に突出した係合部16Eを外筒金具16に設けることで、係合部16Eを挟んだ外筒金具16の軸方向の一方である第2円筒部16Cのみを、係合部16Eの伸びによって第1円筒部16Bによる影響を受けることなく、絞り加工する事が可能となり、外筒金具16の絞り加工が容易になって、シール部分の軸方向に沿った径をほぼ均一に縮小することが可能になる。従って、従来技術のように隔壁部材による一対の液室間のシールや、外部に対する液室のシールが不十分となることもなくなる。
【0052】
また、本実施の形態では、係合部16Eを軸方向に沿って挟んだ外筒金具16のブラケット12への圧入方向先端側である第2円筒部16Cを、ブラケット12への圧入方向基端側である第1円筒部16Bより小径とした構成とされている。つまり、これらの外径寸法に差異を設けることで、圧入方向基端側をブラケット12との圧入による嵌合部分とし、圧入方向先端側を隔壁部材34による一対の液室32A、32B間のシール部分として、役割を分散させることが可能となった。
【0053】
これにより、ブラケット12への外筒金具16の圧入時において、シール部分への負荷を無くすことが可能となった。
【0054】
尚、上記実施の形態において、振動発生部であるエンジンに第1の取付部材となる上部取付部材24側を連結し、振動受部である車体62にブラケット12側を連結するような構成としたがこの逆の構成としても良い。
【0055】
また、上記実施の形態において係合部16Eを外筒金具16の外周面を一周にわたって形成したが、この替わりに、2個以上の複数個の係合部を外筒金具16の周方向に沿って形成したりしても良い。さらに、外筒金具16の第1円筒部16Bの外径と第2円筒部16Cの外径を、相互に同一の径としても良い。
【0056】
他方、実施の形態において、車両に搭載されるエンジンの防振を目的としたが、本発明の防振装置は例えば車両のボディマウント等、あるいは車両以外の他の用途にも用いられることはいうまでもなく、また、弾性体等の形状、寸法及びオリフィスの数なども実施の形態のものに限定されるものではない。
【0057】
【発明の効果】
本発明の防振装置は、以上のように説明した構成とした結果、隔壁部材の液室内でのずれを防止して、隔壁部材によるシール性の安定化が図られると共に、外周側に突出したかしめ部分を無くして防振装置の径方向のコンパクト化が図られた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る防振装置の一実施の形態を示す部分断面図である。
【図2】本発明に係る防振装置の一実施の形態を示す側面図である。
【図3】本発明に係る防振装置の一実施の形態を示す別の側面図である。
【図4】本発明に係る防振装置の一実施の形態の組立を説明する断面図である。
【図5】従来技術に係る第1の防振装置を示す断面図である。
【図6】従来技術に係る第1の防振装置を示す側面図である。
【図7】従来技術に係る第1の防振装置の外筒金具を示す断面図である。
【図8】従来技術に係る第2の防振装置を示す断面図である。
【符号の説明】
10 防振装置
12 ブラケット
16 外筒金具(第2の取付部材)
16E 係合部
18 弾性体
24 上部取付部材(第1の取付部材)
32 液室
34 隔壁部材
Claims (3)
- 振動発生部及び振動受部の一方に連結される第1の取付部材と、
筒状に形成されて前記第1の取付部材の外周側に位置し且つ内周側に突出させた係合部を軸方向中程に有した第2の取付部材と、
これら一対の取付部材の間に介在されて配置される弾性体と、
内壁の少なくとも一部が前記弾性体により形成され且つ液体が封入された液室と、
外周側が前記第2の取付部材の係合部に係合して軸方向の位置決めがされつつ前記液室内に配置されて前記液室を一対の小液室に区画すると共にこれら一対の小液室を連通するオリフィスを有した隔壁部材と、
振動発生部及び振動受部の他方に連結され且つ前記第2の取付部材が内周側に挿入されて、これら一対の取付部材及び前記弾性体が収納されるブラケットと、を有し、
前記係合部を軸方向に沿って挟んだ前記第2の取付部材の一対の部分の内の前記ブラケットへの圧入方向基端側を、前記ブラケットの内周側に圧入状態で嵌合すると共に、前記第2の取付部材の前記ブラケットへの圧入方向先端側の外径を、前記ブラケットにおける前記第2の取付部材の圧入方向先端側の外周側に位置する部分の内径よりも小径として、前記第2の取付部材の前記ブラケットへの圧入方向先端側の外周面と前記ブラケットの内周面との間に隙間を形成し、
前記隔壁部材が、前記第2の取付部材の前記ブラケットへの圧入方向先端側に配置された外周面で前記一対の小液室間をシールしていること、を特徴とする防振装置。 - 前記係合部を軸方向に沿って挟んだ前記第2の取付部材の一対の部分の内の前記ブラケットへの圧入方向先端側を、前記ブラケットへの圧入方向基端側より小径としたことを特徴とする請求項1記載の防振装置。
- 前記第2の取付部材は、前記ブラケットへの圧入方向先端側が径方向内側へ絞り加工されていること、を特徴とする請求項1又は2記載の防振装置。
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