JP3767323B2 - 流体封入式防振装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【技術分野】
本発明は、内部に封入された流体の共振作用等の流動作用に基づいて防振効果を得るようにした流体封入式防振装置に係り、特に、互いに異なる周波数域にチューニングされた第一のオリフィス通路と第二のオリフィス通路を備え、複数の乃至は広い周波数域の振動に対して有効な防振効果を発揮し得る、新規な構造の流体封入式防振装置に関するものである。
【0002】
【背景技術】
従来から、振動伝達系を構成する部材間に介装される防振支持体乃至は防振連結体の一種として、互いに防振連結される両部材に取り付けられる第一の取付部材と第二の取付部材を本体ゴム弾性体で連結すると共に、非圧縮性流体が封入された流体室を形成して、振動入力時に流動せしめられる流体の共振作用を利用して防振効果を得るようにした流体封入式の防振装置が知られており、例えば、自動車用エンジンマウントやボデーマウントなどへの適用が検討されている。
【0003】
ところで、自動車用エンジンマウント等の防振装置には、車両の走行状況等に応じて防振すべき入力振動の周波数等が変化するために、複数の乃至は広い周波数域の入力振動に対して有効な防振性能が要求される。例えば、自動車用エンジンマウントでは、一般に、車両走行時に入力される10Hz前後の低周波数域のシェイクに加えて、停車時に入力される15〜30Hz程度の高周波数域のアイドリング振動に対しても、防振効果が要求されることとなる。
【0004】
そこで、このような要求に対応するために、特開平7−190130号公報等においては、低周波数域にチューニングした第一のオリフィス通路と、高周波数域にチューニングした第二のオリフィス通路を、互いに独立して形成することにより、複数の乃至は広い周波数域の振動に対して、何れも、流体の流動作用に基づく防振効果が発揮されるようにした流体封入式防振装置が提案されている。
【0005】
ところが、かくの如き先の出願に係る流体封入式防振装置においては、第一のオリフィス通路と第二のオリフィス通路を互いに独立形成する必要があるために、オリフィス形成部材の構造が複雑になると共に、オリフィス形成部材のサイズ、ひいては防振装置のサイズが大きくなってしまうという問題があった。
【0006】
また、かかる従来構造の流体封入式防振装置においては、それぞれのオリフィス通路を通じて流動せしめられる流体量を、何れも十分に確保するために、一般に、前記公報にも記載されているように、オリフィス部材によって外周縁部を挟圧保持することによって配設したゴム弾性板を設けて、該ゴム弾性板により、第二のオリフィス通路を流動せしめられる流体の流動量を制限したり、或いは、第二のオリフィス通路に連通せしめられた流体室の壁ばね剛性を、第一のオリフィス通路を通じて連通せしめられた流体室の壁ばね剛性より大きくすること等が必要とされる。
【0007】
そのために、オリフィス部材を複数の部品で分割形成すること等が必要となって、オリフィス部材の構造が一層複雑となり、製造が難しくなるという問題があった。また、ゴム弾性板のばね剛性は、第二のオリフィス通路のチューニング周波数に大きな影響を及ぼすが、ゴム弾性板の外周縁部をオリフィス部材で挟圧保持せしめる従来構造では、部品寸法誤差などに起因してゴム弾性体の外周縁部に及ぼされる挟圧保持力が変化し易いために、第二のオリフィス通路によって発揮される防振特性が安定し難いという問題もあった。
【0008】
【解決課題】
ここにおいて、本発明は、上述の如き事情を背景として為されたものであって、その解決課題とするところは、オリフィス通路を通じて流動せしめられる流体の流動作用に基づく防振効果を、複数の乃至は広い周波数域の振動に対して得ることが出来ると共に、構造が簡単で安定した防振性能が発揮され得る、新規な構造の流体封入式防振装置を提供することにある。
【0009】
【解決手段】
以下、このような課題を解決するために為された本発明の態様を記載する。なお、以下に記載の各態様において採用される構成要素は、可能な限り任意の組み合わせで採用可能である。また、本発明の態様乃至は技術的特徴は、以下に記載のものに限定されることなく、明細書全体および図面に記載され、或いはそれらの記載から当業者が把握することの出来る発明思想に基づいて認識されるものであることが理解されるべきである。
【0010】
すなわち、本発明の第一の態様は、防振連結される一方の部材に取り付けられる第一の取付部材を、防振連結される他方の部材に取り付けられる第二の取付部材に設けられた筒状部の軸方向一方の開口部側に離隔配置すると共に、それら第一の取付部材と第二の取付部材を本体ゴム弾性体で連結せしめて、該本体ゴム弾性体で該第二の取付部材の筒状部の軸方向一方の開口部を流体密に閉塞する一方、該筒状部の軸方向他方の開口部を可撓性膜で流体密に閉塞すると共に、該筒状部に仕切部材を収容配置して固定的に支持せしめることにより、該仕切部材を挟んだ両側に、壁部の一部が本体ゴム弾性体で構成された受圧室と、壁部の一部が可撓性膜で構成された平衡室を形成すると共に、該仕切部材の内部に、壁部の一部がゴム弾性板で構成された副液室を形成して、それら受圧室、平衡室および副液室に非圧縮性流体を封入し、更に、該受圧室と該平衡室を相互に連通する第一のオリフィス通路と、該受圧室と該副液室を相互に連通する第二のオリフィス通路を形成した流体封入式防振装置において、前記仕切部材を有底筒形状として前記第二の取付部材の筒状部内で前記可撓性膜に向かって開口するように配設すると共に、該仕切部材の内径寸法を底部側よりも開口部側を大きくして該仕切部材の内周面に軸方向中間部分を周方向に延びる環状の段差面を設ける一方、前記ゴム弾性板の外周縁部に対して環状の固定金具に設けた筒状支持部を加硫接着せしめて、該固定金具の筒状支持部を該仕切部材の開口部に圧入し、該固定金具を該仕切部材の該段差面によって軸方向に位置決めすると共に、該段差面に該ゴム弾性板の外周縁部を圧接させてシールすることにより、該仕切部材の開口を該ゴム弾性板で流体密に覆蓋せしめて、該ゴム弾性板を挟んだ両側に前記副液室と前記平衡室を形成する一方、かかる仕切部材によって、前記受圧室と該副液室の間に跨がって延びる第一の流体流路と、該副液室と該平衡室の間に跨がって延びる第二の流体流路を形成して、該第一の流体流路で前記第二のオリフィス通路を構成すると共に、それら第一及び第二の流体流路で協働して前記第一のオリフィス通路を構成したことを、特徴とする。
【0011】
このような本態様に従う構造とされた流体封入式防振装置では、有底筒形状の仕切部材を用いて、受圧室と副液室と平衡室を直列的に位置するように形成すると共に、受圧室と副液室を連通する第一の流体流路と、副液室と平衡室を連通する第二の流体流路を形成したことにより、第一の流体流路によって第二のオリフィス通路が形成されると共に、第一の流体流路と第二の流体流路を直列的に接続せしめて第一のオリフィス通路が形成される。しかも、副液室と平衡室を仕切るゴム弾性板は、その外周縁部が固定金具を介して仕切部材側に固定される。
【0012】
それ故、かかる流体封入式防振装置においては、仕切部材が単一の部材で構成されると共に、第一のオリフィス通路と第二のオリフィス通路を独立して各別に形成する必要がないのであり、その結果、部品点数の減少と構造の簡略化が図られて、製造の容易化や低コスト化および全体サイズのコンパクト化が達成される。
【0013】
しかも、ゴム弾性板の外周縁部が固定金具に加硫接着されて支持されることから、従来の如き仕切部材によるゴム弾性板の外周縁部の挟み込み構造に比して、配設状態下でゴム弾性板に及ぼされる内部応力のばらつきが軽減乃至は回避され得ることとなり、以て、流体の流動作用に基づいて発揮される防振効果、ひいては防振装置の防振特性の安定性の向上も図られ得る。
【0014】
なお、本態様において、副液室の壁部の一部を構成するゴム弾性板は、受圧室の壁部の一部を構成する本体ゴム弾性体より壁ばね剛性が小さく、且つ平衡室の壁部の一部を構成する可撓性膜よりも壁ばね剛性が大きく設定されている。
【0015】
また、前記第一の態様に係る流体封入式防振装置では、例えば筒状支持部を仕切部材に対して外嵌固定やかしめ固定等によって直接に乃至は間接的に固定することも可能であるが、本態様においては、筒状支持部を仕切部材の開口部に圧入固定したことにより、固定金具、ひいてはゴム弾性板を、仕切部材に対して、簡単な構造で且つ速やかに、直接に組み付け固定することが出来るのであり、それ故、仕切部材とゴム弾性板を第二の取付部材に対して各別に組み付ける場合に比して、それら仕切部材とゴム弾性体を予め組み付けておくことも可能となり、それによって、製作性の更なる向上が図られ得る。
【0016】
また、本発明の第の態様は、前記第の態様に従う構造とされた流体封入式防振装置において、仕切部材の内周面において、内方に向かって突出する圧接突起を周方向に複数設けて、それらの圧接突起の突出先端面に対して、筒状支持部を当接させて圧入固定せしめたことを、特徴とする。即ち、前記第の態様に係る流体封入式防振装置では、例えば、筒状支持部の外周面を、仕切部材の内周面に対して全周に亘って圧接固定することも可能であるが、本態様においては、圧接突起を設けて、かかる圧接突起の数や大きさを設定することにより、仕切部材に対する固定金具の圧接面積を調節することが可能となって、固定金具の圧入組付作業性が向上されることに加えて、仕切部材や固定金具の寸法誤差による固定金具の変形量を抑えてゴム弾性板の初期変形や初期応力を軽減し、目的とする防振効果をより安定して得ることが可能となる。
【0017】
また、本発明の第一の態様においては、仕切部材に対してゴム弾性板を安定して且つ高精度に位置決めすることが出来ると共に、封入流体のシール性、特に副液室と平衡室の間でのシール性を、簡単な構造で安定して確保することが可能となり、防振性能の安定化が図られ得る。
【0018】
また、本発明の第の態様は、前記第一又は第二の態様に従う構造とされた流体封入式防振装置において、仕切部材内の深さ方向中間部分を略軸直角方向に広がるようにして、ゴム弾性板を配設すると共に、該仕切部材の開口部分を直接に覆蓋するようにして、可撓性膜を配設したことを、特徴とする。このような本態様においては、仕切部材内の空間を利用して副液室や平衡室が形成され得ることから、スペースを有効利用して装置全体をコンパクト化することが可能となる。
【0019】
また、本発明の第の態様は、前記第一乃至第の何れかの態様に従う構造とされた流体封入式防振装置において、仕切部材の開口部側の外周縁部と、ゴム弾性板の外周縁部に加硫接着された固定金具と、可撓性膜の外周縁部を、互いに軸方向に重ね合わせて、第二の取付部材に対してかしめ固定せしめたことを、特徴とする。このような本態様においては、仕切部材、ゴム弾性板および可撓性膜を、第二の取付部材に対して容易に組み付けることが出来る。なお、かしめ固定構造は、例えば、第二の取付部材における筒部材の開口側端縁部にかしめ部位を一体形成して、かかるかしめ部位により、仕切部材、ゴム弾性板および可撓性膜を相互に重ね合わせてまとめてかしめ固定した構造が、有利に採用され得る。また、本態様においては、例えば、可撓性膜としてのゴムダイヤフラムの外周縁部に環状の取付用板金具を加硫接着し、この取付用板金具を第二の取付部材に対してかしめ固定しても良い。更にまた、可撓性膜としてのゴムダイヤフラムの外周縁部に対して、かしめ部を流体密にシールするシールゴム層を一体形成することも可能である。
【0020】
また、本発明の第の態様は、前記第一乃至第の何れかの態様に従う構造とされた流体封入式防振装置であって、仕切部材の外周壁部において、外周面に開口して延びる凹溝を形成し、該凹溝を第二の取付部材の筒状部で覆蓋することにより、第一の流体流路と第二の流体流路の少なくとも一方を形成したことを、特徴とする。このような本態様においては、長いオリフィス通路を、コンパクトな部品サイズで容易に設定することが出来る。また、第二の取付部材の筒状部を利用して、少ない部品点数でオリフィス通路を形成することが可能となる。なお、凹溝は、例えば、仕切部材の周方向に延びる形態をもって形成することが可能であり、それによって、流体流路、延いてはオリフィス通路の通路長さを、部品サイズを大きくすることなく有利に確保することが可能となる。また、例えば、第一の流体流路は、仕切部材の外周面に開口形成することなく、仕切部材の底壁部等を貫通して形成することも、勿論、可能である。
【0021】
さらに、前記第一乃至第の何れかの態様に従う構造とされた流体封入式防振装置において、第一及び第二のオリフィス通路を形成する第一及び第二の流体流路の構造は特に限定されるものではないが、次のような本発明の第および第の何れかの態様が、特に有利に採用され得る。
【0022】
すなわち、本発明の第の態様は、前記第一乃至第の何れかの態様に従う構造とされた流体封入式を防振装置において、第一のオリフィス通路と第二のオリフィス通路を、互いに独立して形成して、それら第一のオリフィス通路と第二のオリフィス通路を、副液室を通じて、相互に接続せしめたことを特徴とする。
【0023】
また、本発明の第の態様は、前記第一乃至第の何れかの態様に従う構造とされた流体封入式防振装置において、受圧室と平衡室を直接に接続する総合流路を形成すると共に、該総合流路を、その流路上で副液室に接続する接続通路を設けることにより、第一の流体流路と第二の流体流路を、互いに直列的に接続された状態で形成したことを、特徴とする。
【0024】
また、本発明の第の態様は、前記第一乃至第の何れかの態様に従う構造とされた流体封入式防振装置において、第一の取付部材と第二の取付部材の一方を自動車のパワーユニットに取り付けると共に、それらの他方を自動車のボデーに取り付けて自動車用エンジンマウントを構成する一方、相互に直列的に接続された前記第一のオリフィス通路を通じて流動せしめられる流体の共振周波数をシェイクに対してチューニングすると共に、第二のオリフィス通路を通じて流動せしめられる流体の共振周波数をアイドリング振動に対してチューニングしたことを、特徴とする。このような本態様においては、シエイク等の低周波大振幅振動と、アイドリング振動等の高周波小振幅振動との、何れに対しても、有効な防振効果を発揮し得るエンジンマウントが、有利に実現され得る。
【0025】
【発明の実施形態】
以下、本発明を更に具体的に明らかにするために、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ、詳細に説明する。
【0026】
先ず、図1には、本発明に従う構造とされた自動車用エンジンマウント10の縦断面図が示されている。このエンジンマウント10は、第一の取付部材としての第一の取付金具12と第二の取付部材としての第二の取付金具14が互いに離隔配置されていると共に、それら第一の取付金具12と第二の取付金具14が本体ゴム弾性体16によって弾性的に連結されている。そして、図示はされていないが、第一の取付金具12が自動車のパワーユニットに取り付けられる一方、第二の取付金具14が自動車のボデーに取り付けられることにより、パワーユニットをボデーに対して防振支持せしめるようになっている。なお、そのような装着状態下、エンジンマウント10にパワーユニット荷重が及ぼされることにより、第一の取付金具12と第二の取付金具14が接近する方向(図1における略上下方向)に本体ゴム弾性体16が弾性変形せしめられると共に、略同じ方向に防振すべき主たる振動が入力されるようになっている。なお、以下の説明中、上下方向とは、原則として図1中の上下方向をいう。
【0027】
より詳細には、第一の取付金具12は、略円板形状を有しており、その中央部分には、軸方向上方に突出する第一の取付ボルト18が挿通状態で圧入固定されている。なお、第一の取付ボルト18の頭部20は、逆円錐台形状とされて、第一の取付金具12から下方に突設されている。また、第一の取付金具12の径方向中間部分には、上方に突出する位置決め突起22が固設されている。そして、この第一の取付ボルト18によって、第一の取付金具12が、図示しないパワーユニットに固定的に取り付けられるようになっている。
【0028】
さらに、第一の取付金具12には、ストッパ金具24が被せられて、上面に載置固定されている。このストッパ金具24は、その外周上の一部から径方向外方に延び出すと共に、突出先端部が下方に屈曲され、更にその下端部が内方にく字状に曲げられた略鉤形のストッパ部26が一体形成されている。なお、ストッパ部26の両側部分には補強片28が一体形成されており、ストッパ部26が全体として袋構造とされている。
【0029】
一方、第二の取付金具14は、大径の円筒形状を有する筒状部としての筒金具30と、浅底の有底円筒形状乃至は皿形状を有する底金具32から構成されている。筒金具30は、軸方向上側の開口部が、開口部側に向かって拡開するテーパ部34とされている。また、テーパ部34には、周方向の一部が径方向外方に僅かに延び出されることにより、ストッパ当接部36が一体形成されている。更に、筒金具30の軸方向下側端部には、径方向外方に広がる円環板形状の段差部38が形成されていると共に、この段差部38の外周縁部から軸方向外方に突出するようにして、筒状のかしめ部40が一体形成されている。
【0030】
また、底金具32には、底壁中央部において軸方向下方に突出する第二の取付ボルト42,42が固設されていると共に、開口周縁部には、径方向外方に広がるフランジ状部44が一体形成されている。そして、このフランジ状部44が、筒金具30の段差部38に重ね合わされて、第二の取付金具14のかしめ部40でかしめ固定されることによって、筒金具30と底金具32が略同一中心軸上で重ね合わせられて相互に固定されており、以て、筒金具30の軸方向下側の開口部が底金具32で覆蓋されて、全体として深底の有底円筒形状を有する第二の取付金具14が構成されている。そして、かかる第二の取付金具14は、底金具32に固設された第二の取付ボルト42,42が、図示しないボデーに固定されることにより、ボデーに固定的に取り付けられるようになっている。
【0031】
そして、第二の取付金具14の略中心軸上で、軸方向上方(開口部側)に離隔して、第一の取付金具12が軸直角方向に広がる状態で配設されており、互いに軸方向に対向位置せしめられていると共に、それら第一の取付金具12と第二の取付金具14の対向面間に本体ゴム弾性体16が介装されている。この本体ゴム弾性体16は、大径の略円錐台形状を有しており、小径側端面に第一の取付金具12が重ね合わされて、第一の取付ボルト18の頭部20が軸方向に差し込まれた状態で加硫接着されている。また一方、本体ゴム弾性体16の大径側端部外周面には、第二の取付金具14を構成する筒金具30のテーパ部34の内周面が重ね合わされて加硫接着されている。要するに、本体ゴム弾性体16は、第一の取付金具12と筒金具30を備えた一体加硫成形品として形成されており、第二の取付金具14の軸方向上側の開口部が、本体ゴム弾性体16によって流体密に覆蓋されているのである。なお、筒金具30の内周面には、その略全面を覆う薄肉のシールゴム層46が、本体ゴム弾性体16と一体的に形成されている。また、本体ゴム弾性体16の大径側端面には、第二の取付金具14内に開口する大径の円形凹部48が形成されて、パワーユニット荷重の入力時における引張応力が軽減乃至は回避されるようになっている。
【0032】
さらに、筒金具30のストッパ当接部36には、表面を覆う緩衝ゴム50が、本体ゴム弾性体16と一体形成されていると共に、かかるストッパ当接部36の外方に離隔して、第一の取付金具12に固設されたストッパ部26が対向配置されている。そして、ストッパ部26が、緩衝ゴム50を介して、ストッパ当接部36に当接することによって、第一の取付金具12と第二の取付金具14の軸方向及び軸直角方向における過大な相対変位量が、緩衝的に制限されるようになっている。
【0033】
また、第二の取付金具14においては、筒金具30の軸方向下方の開口部に位置して、可撓性膜としてのゴム薄膜からなるダイヤフラム52が配設されている。このダイヤフラム52は、変形容易なように弛みを持たせた薄肉円板形状を有しており、外周縁部には、略円環板形状を有する取付用板金具としてのリング金具54が加硫接着されている。そして、このリング金具54が筒金具30の段差部38に重ね合わされて、かしめ部40で、底金具32のフランジ状部44と共にかしめ固定されることにより、筒金具30の軸方向下側の開口部が、ダイヤフラム52によって流体密に覆蓋されており、以て、筒金具30の軸方向両側を覆蓋する本体ゴム弾性体16とダイヤフラム52の対向面間において、非圧縮性流体が封入された流体室56が形成されている。なお、封入流体としては、水やアルキレングリコール、ポリアルキレングリコール、シリコーン油等が採用されるが、特に後述する流体の共振作用に基づく防振効果を有利に得るために、本実施形態では、0.1Pa・s以下の低粘性流体が好適に採用される。また、リング金具54の表面には、ダイヤフラム52と一体形成されたシールゴム層57が設けられており、流体室56に高度な流体密性が与えられている。なお、ダイヤフラム52と底金具32の間には、ダイヤフラム52の変形を許容する空気室58が形成されている。換言すれば、第二の取付金具14の内部空間が、軸方向中間部分に配設されたダイヤフラム52によって、底部側と開口部側とに流体密に二分されており、以て、ダイヤフラム52を挟んだ底部側には、ダイヤフラム52の変形を許容する空気室58が形成されている一方、ダイヤフラム52を挟んだ開口部側には、非圧縮性流体が封入された流体室56が形成されているのである。
【0034】
さらに、筒金具30の中空内部には、仕切部材60が収容配置されており、流体室56中に組み付けられている。この仕切部材60は、図2〜7にも示されているように、合成樹脂やアルミニウム合金等の硬質材で形成されており、全体として略逆カップ形状を有している。また、筒壁部64の開口周縁部には、径方向外方に向かって広がる環状の鍔部74が一体形成されている。
【0035】
すなわち、仕切部材60は、円板形状の上底壁部62と、厚肉円筒形状の筒壁部64を有しており、下方に向かって開口する中央凹所66を備えている。なお、中央凹所66の内周面には、軸方向中間部分を周方向に連続して延びる段差面68が形成されており、この段差面68を挟んだ底部側と開口部側で内径寸法が異ならされている。これにより、段差面68よりも底部側が小径部70とされていると共に、段差面68よりも開口部側が大径部72とされている。
【0036】
また、仕切部材60の筒壁部64には、外周面に開口して周方向に延びる第一の周溝76と第二の周溝78が、それぞれ略矩形断面の凹溝形態をもって形成されている。図4に仕切部材60の外周面の展開図が示されているように、第一の周溝76は、小径部70の外周壁部を周方向に一周弱の長さで、略一定の断面形状をもって延びており、周方向一方の端部が、第一の周溝76における一方の側壁部(図4中の上側の側壁部)に形成された切欠状の連通窓80を通じて、軸方向上方に開口せしめられていると共に、周方向他方の端部が、筒壁部64に貫設された連通孔82を通じて、中央凹所66における小径部70の内面に開口せしめられている。
【0037】
また一方、第二の周溝78は、第一の周溝76よりも軸方向下方に位置して、小径部70と大径部72の段差部分の外周壁部と、大径部72の外周壁部とを、それぞれ周方向に一周弱の長さで平行に延びる二本の周溝を、各一方の端縁部で相互に接続することにより、全体として仕切部材60の筒壁部64を周方向に2周弱の長さで延びるように、略一定の断面形状をもって形成されている。また、かかる第二の周溝78の周方向一方の端部は、第一の周溝76の周方向端部に形成された貫通孔82に接続されており、該貫通孔82を通じて、中央凹所66に開口,連通せしめられている。一方、第二の周溝78の周方向他方の端部は、筒壁部64に貫設された連通孔84を通じて、中央凹所66における大径部72の内周面に開口せしめられている。
【0038】
そして、このような仕切部材60は、筒金具30に対して軸方向下側から嵌め込まれて、筒金具30内で略同一中心軸上に配設されており、その外周面が全体に亘って、筒金具30に対して、シールゴム層46を介して密接されている。即ち、仕切部材60は、筒金具30に対して、圧入されることによって、或いは仕切部材60の挿入後に筒金具30を縮径加工することによって、仕切部材60の外周面が筒金具30に対してシールゴム層46を介して流体密に圧接されている。また、仕切部材60の鍔部74が、ダイヤフラム52のリング金具54と共に、第二の取付金具14に対してかしめ固定されている。これにより、第一の周溝76と第二の周溝78の外周側開口が、それぞれ筒金具30で流体密に覆蓋されており、以て、周方向に一周弱の長さで延びる第一の流体流路86と、周方向に二周弱の長さで延びる第二の流体流路88が形成されている。なお、筒金具30の内周面に被着されたシールゴム層46には、軸方向上端部分を周方向に延びる環状段差部90が設けられて、軸方向下側が薄肉とされており、この環状段差部90に対して仕切部材60の上端面の外周縁部が流体密に圧接されていると共に、仕切部材60が軸方向に位置決め保持されている。
【0039】
さらに、仕切部材60には、ゴム弾性板92が、中央凹所66内に収容状態で配設されている。このゴム弾性板92は、本体ゴム弾性体16よりも薄肉で、且つダイヤフラム52よりも厚肉の円板形状を有しており、初期形状に復元するばね弾性を備えている。特に、本実施形態では、中央部分が円板形状とされていると共に、その外周縁部が軸方向下方に向かってスカート状に広がるテーパ筒状部とされており、全体として逆皿形状を有している。
【0040】
また、かかるゴム弾性板92の外周縁部には、固定金具としての固定筒金具94が固着されている。この固定筒金具94は、図8に縦断面図が示されているように、薄肉の円筒形状を有しており、軸方向上端部には、僅かに径方向内方に屈曲された環状保持片96が一体形成されている。また、固定筒金具94の軸方向下端部には、径方向外方に向かって広がる円環板形状のフランジ部98が一体形成されている。そして、この固定筒金具94の軸方向上端部分に対して、ゴム弾性板92の外周面が加硫接着されているのである。なお、ゴム弾性板92の外周縁部には、固定筒金具94の環状保持片96の軸方向上端部から更に軸方向上方に突出するシール突部100が、周方向に連続した円環形状をもって一体形成されている。
【0041】
そして、ゴム弾性板92が加硫接着された固定筒金具94が、仕切部材60の筒壁部64に対して軸方向下側から圧入固定されて一体的に組み付けられている。それによって、ゴム弾性板92が、中央凹所66の深さ方向中間部分に位置して、軸直角方向に広がって配設されており、以て、中央凹所66が、ゴム弾性板92を挟んで、小径部70内と大径部72内とに流体密に二分されている。換言すれば、中央凹所66の小径部70の開口部が、ゴム弾性板92によって流体密に覆蓋されているのである。なお、ゴム弾性板92は、そのフランジ部98が仕切部材60の軸方向下端面に重ね合わせられて、仕切部材60やダイヤフラム52のリング金具54と共に、第二の取付金具14にかしめ固定されることによって、位置決め支持されている。また、ゴム弾性板92の外周縁部に固着された固定筒金具94の環状保持片96側においては、ゴム弾性体92の外周縁部に一体形成されたシール突部100が仕切部材60の段差面68に圧接されることによって、小径部70内の流体密性が高度に保持されている。
【0042】
特に、本実施形態では、図2〜3に示されているように、仕切部材60が合成樹脂で形成されており、中央凹所66における大径部72の内径寸法が深さ方向で略一定とされていると共に、中央凹所66における大径部72の周壁面には、段差面68から開口部側に向かって所定長さ(本実施形態では、大径部72の軸方向寸法の半分以下)で延びる圧接突起101が、周方向に所定間隔を隔てて8個形成されている。そして、仕切部材60の中央凹所66に嵌め込まれた固定筒金具94が、実質的に、その軸方向上側部分だけにおいて、各圧接突起101に圧接固定されることにより、仕切部材60に対して圧入固定されるようになっている。これにより、固定筒金具94の圧入時における変形、ひいてはゴム弾性板92に及ぼされる初期変形が、軽減乃至は回避されるようになっている。
【0043】
すなわち、上述の如き構造とされた仕切部材60とゴム弾性板92は、流体室56に収容配置されて、第二の取付金具14によって固定的に支持されているのであり、それによって、流体室56が流体密に三つに仕切られており、以て、受圧室102と、副液室104、平衡室106が形成されている。受圧室102は、本体ゴム弾性体16と仕切部材60の上底壁部62の対向面間に形成されており、壁部の一部が本体ゴム弾性体16で構成されることによって、第一の取付金具12と第二の取付金具14の間への振動入力時に、本体ゴム弾性体16の弾性変形に伴う圧力変化が生ぜしめられるようになっている。副液室104は、仕切部材60の中央凹所66がゴム弾性板92で覆蓋されることによって、仕切部材60の内部に形成されており、壁部の一部がゴム弾性板92で構成されて、該ゴム弾性板92の弾性変形に基づいて、圧力変化に伴う容積変化が許容されるようになっている。平衡室106は、仕切部材60に組み付けられたゴム弾性板92とダイヤフラム52の対向面間に形成されており、容易に許容されるダイヤフラム52の変形に基づいて、容積変化が容易に許容されるようになっている。
【0044】
なお、これら受圧室102と副液室104,平衡室106を含む流体室56への非圧縮性流体の充填は、例えば、第一の取付金具12や筒金具30を備えた本体ゴム弾性体16の一体加硫成形品を準備すると共に、ゴム弾性板92を有する固定筒金具94が圧入固定された仕切部材60と、リング金具54を備えたダイヤフラム52を、別途準備して、それらを非圧縮性流体中で組み付けることによって、有利に為され得る。
【0045】
また、仕切部材60の第一及び第二の周溝76,78を筒金具30で覆蓋することによって形成された第一及び第二の流体流路86,88にも、非圧縮性流体が充填されている。そして、第一の流体流路86は、一方の端部が連通窓80を通じて受圧室102に接続されていると共に、他方の端部が連通孔82を通じて副液室104に接続されている。また、第二の流体流路88は、一方の端部が連通孔82を通じて副液室104に接続されていると共に、他方の端部が連通孔84を通じて平衡室106に接続されている。即ち、第一の流体流路86と第二の流体流路88は、互いに直列的に接続されており、それらの接続部分において副液室104に連通せしめられているのである。なお、仕切部材60の中央凹所66に圧入固定された固定筒金具94の筒壁部には、第二の流体流路88の連通孔84の開口部位に対応した位置に開口窓108が形成されており、第二の流体流路88が、この開口窓108を通じて、平衡室106に連通せしめられている。また、固定金具94の筒壁部には、一対の開口窓108,108が、径方向で対向位置して形成されており、固定金具94の仕切部材60への組付作業に際しての周方向位置決めが容易とされている。
【0046】
このような構造とされたエンジンマウント10においては、その装着状態下、第一の取付金具12と第二の取付金具14の間に振動が入力されると、受圧室102に圧力変化が生ぜしめられることにより、受圧室102と副液室104の間、および受圧室102と平衡室106の間に、それぞれ、相対的に圧力変動が生ぜしめられることとなる。その結果、受圧室102と副液室104の間では、第一の流体流路86を通じての流体流動が生ぜしめられることとなる一方、受圧室102と平衡室106の間では、第一及び第二の流体流路86,88を通じての流体流動が生ぜしめられることとなる。要するに、本実施形態では、互いに直列的に接続された第一及び第二の流体流路86,88によって、協働して、受圧室102と平衡室106を連通する第一のオリフィス通路が構成されているのであり、また、第一の流体流路86によって、受圧室102と副液室104を連通する第二のオリフィス通路が構成されているのである。なお、第一の流体流路86を通じての受圧室102と副液室104の間での流体流動は、副液室104の壁部の一部を構成するゴム弾性板92の弾性変形が平衡室106で許容されて、副液室104の容積変化が、ゴム弾性板92の弾性変形に基づいて許容されることによって、生ぜしめられるようになっている。
【0047】
ここにおいて、特に本実施形態では、振動入力時に受圧室102と平衡室106の間に生ぜしめられる相対的な圧力変動に基づいて、第一のオリフィス通路を通じて流動せしめられる流体の共振作用により、シェイク等の如き10Hz程度の低周波大振幅振動に対して有効な防振効果が発揮されるように、第一及び第二の流体流路86,88で構成された第一のオリフィス通路がチューニングされている。また、振動入力時に受圧室102と副液室104の間に生ぜしめられる相対的な圧力変動に基づいて、第二のオリフィス通路を通じて流動せしめられる流体の共振作用により、アイドリング振動等の如き15Hz〜30Hz程度の、前記第一のオリフィス通路が対象とする振動よりも高周波小振幅の振動に対して有効な防振効果が発揮されるように、第一の流体流路86で構成された第二のオリフィス通路がチューニングされている。
【0048】
なお、第一及び第二のオリフィス通路のチューニングは、受圧室102および平衡室106の壁ばね剛性や、封入流体の密度等を考慮して、第一の流体流路86と第二の流体流路88によって構成される各オリフィス通路における通路断面積Aと通路長さ:Lの比:A/Lの値を適当に調節することによって、行うことが可能である。
【0049】
これにより、第一の取付金具12と第二の取付金具14の間に、アイドリング振動等の高周波小振幅振動が入力された場合には、第一のオリフィス通路(第一及び第二の流体流路86,88)よりも流通抵抗の小さい第二のオリフィス通路(第一の流体流路86)を通じての流体流動が積極的に生ぜしめられることにより、受圧室102と副液室104の間を流動せしめられる流体の共振作用に基づいて有効な低動ばね効果が発揮されて、優れた振動絶縁効果が発揮されることとなる。
【0050】
また一方、第一の取付金具12と第二の取付金具14の間に、エンジンシェイク等の低周波大振幅振動が入力された場合には、第二のオリフィス通路(第一の流体流路86)を通じての流体流動量が、ゴム弾性板92自体の弾性等によって制限されることにより、第一のオリフィス通路(第一及び第二の流体流路86,88)を通じての流体流動が有効に生ぜしめられて、該第一のオリフィス通路を流動せしめられる流体の共振作用に基づいて有効な減衰効果が発揮されることとなる。
【0051】
ここにおいて、上述の如き構造とされたエンジンマウント10においては、逆カップ形状(下方に開口する有底筒形状)の仕切部材60を用い、その筒壁部において、受圧室102と副液室104を連通する第一の流体流路86と、副液室104と平衡室106を連通する第二の流体流路88を形成せしめて、第一の流体流路86によって第二のオリフィス通路を形成すると共に、第一の流体流路86と第二の流体流路88によって協働して第一のオリフィス通路を形成せしめた構造とされていることから、それぞれ、防振すべき異なる周波数域にチューニングされた第一のオリフィス通路と第二のオリフィス通路を、小さなスペースで形成することが出来るのであり、仕切部材60、延いてはエンジンマウント10をコンパクトに形成することが可能となるのである。
【0052】
また、副液室104の壁部の一部を構成するゴム弾性板92によって、副液室104と平衡室106を仕切る隔壁の一部が構成されていると共に、かかるゴム弾性板92は、その外周縁部を固定筒金具94によって支持されており、該固定筒金具94が仕切部材60に固定されることによって、ゴム弾性板92が仕切部材60に組み付けられていることから、従来の如きゴム弾性板の外周縁部の挟み込み構造に比して、配設状態下でゴム弾性板に及ぼされる内部応力のばらつきが軽減乃至は回避され得て、目的とする防振効果を安定して得ることが出来ると共に、上述の如き一体構造の仕切部材60と相俟って、更なる構造の簡略化と部品点数の減少が図られ得るのである。
【0053】
また、特に本実施形態では、固定筒金具94が圧入固定される仕切部材60の中央凹所66の大径部72に対して複数個(本実施形態では8個)の圧接突起101が突設されており、これらの圧接突起101に対して、固定筒金具94が圧入固定されるようになっていることから、固定筒金具94の仕切部材60への圧入作業が容易とされていると共に、圧入に伴う固定筒金具94、延いてはゴム弾性板92に及ぼされる応力の変化が一層有利に軽減乃至は回避されるようになっている。
【0054】
以上、本発明の一実施形態としてのエンジンマウント10について詳述してきたが、これはあくまでも例示であって、本発明は、かかる実施形態における具体的な記載によって、何等、限定的に解釈されるものでない。
【0055】
例えば、前記実施形態では、第一及び第二のオリフィス通路を形成する第一及び第二の流体流路86,88の具体的形状や構造は、要求される防振特性等に応じて適宜に変更されるものであって、何等、限定されるものでない。
【0056】
具体的には、例えば、第一の流体流路と第二の流体流路を相互に独立して形成し、異なる部位において副液室104に連通せしめることも可能である。その場合には、第一の流体流路と第二の流体流路を直列的に接続する副液室104の内部を含んで、第一のオリフィス通路が形成されることとなる。また、第一の流体流路を、仕切部材60の上底壁部62を貫通して設けられた貫通孔等によって構成することも可能である。
【0057】
さらに、本発明は、自動車用エンジンマウントの他、自動車用ボデーマウントやデフマウント、或いは自動車以外の各種装置における流体封入式防振装置に対して何れも有利に適用可能である。
【0058】
その他、一々列挙はしないが、本発明は、当業者の知識に基づいて、種々なる変更,修正,改良等を加えた態様において実施され得るものであり、また、そのような実施態様が、本発明の趣旨を逸脱しない限り、何れも、本発明の範囲内に含まれるものであることは、言うまでもない。
【0059】
【発明の効果】
上述の説明から明らかなように、本発明に従う構造とされた流体封入式防振装置においては、異なる周波数域にチューニングされた第一のオリフィス通路と第二のオリフィス通路によってそれぞれ連通された受圧室と副液室と平衡室を、少ない部品点数と簡単な構造によって、コンパクトに形成することが出来るのである。
【0060】
また、副液室の壁部の一部を構成するゴム弾性板を、その外周縁部に加硫接着せしめた環状の固定金具を介して、仕切部材の開口部側に固定的に配設せしめて、該ゴム弾性板によって副液室と平衡室を仕切る隔壁の一部を構成したことにより、副液室と平衡室の隔壁構造が簡略化されると共に、仕切部材の部品寸法誤差に起因してゴム弾性板に及ぼされる初期応力のばらつきが軽減されて、防振性能の安定化も図られ得るのである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態としての自動車用エンジンマウントを示す縦断面説明図である。
【図2】図1に示されたエンジンマウントに用いられている仕切部材を示す縦断面図であって、図3におけるII−II断面に相当する図である。
【図3】図2に示された仕切部材本体の底面図である。
【図4】図2に示された仕切部材本体の外周面の展開図である。
【図5】図2におけるV−V断面図である。
【図6】図2におけるVI−VI断面図である。
【図7】図2におけるVII −VII 断面図である。
【図8】図1に示されたエンジンマウントに用いられているゴム弾性板の一体加硫成形品を示す縦断面図である。
【符号の説明】
10 エンジンマウント
12 第一の取付金具
14 第二の取付金具
16 本体ゴム弾性体
52 ダイヤフラム
60 仕切部材
66 中央凹所
86 第一の流体流路
88 第二の流体流路
92 ゴム弾性板
94 固定筒金具
102 受圧室
104 副液室
106 平衡室

Claims (8)

  1. 防振連結される一方の部材に取り付けられる第一の取付部材を、防振連結される他方の部材に取り付けられる第二の取付部材に設けられた筒状部の軸方向一方の開口部側に離隔配置すると共に、それら第一の取付部材と第二の取付部材を本体ゴム弾性体で連結せしめて、該本体ゴム弾性体で該第二の取付部材の筒状部の軸方向一方の開口部を流体密に閉塞する一方、該筒状部の軸方向他方の開口部を可撓性膜で流体密に閉塞すると共に、該筒状部に仕切部材を収容配置して固定的に支持せしめることにより、該仕切部材を挟んだ両側に、壁部の一部が本体ゴム弾性体で構成された受圧室と、壁部の一部が可撓性膜で構成された平衡室を形成すると共に、該仕切部材の内部に、壁部の一部がゴム弾性板で構成された副液室を形成して、それら受圧室、平衡室および副液室に非圧縮性流体を封入し、更に、該受圧室と該平衡室を相互に連通する第一のオリフィス通路と、該受圧室と該副液室を相互に連通する第二のオリフィス通路を形成した流体封入式防振装置において、
    前記仕切部材を有底筒形状として前記第二の取付部材の筒状部内で前記可撓性膜に向かって開口するように配設すると共に、該仕切部材の内径寸法を底部側よりも開口部側を大きくして該仕切部材の内周面に軸方向中間部分を周方向に延びる環状の段差面を設ける一方、前記ゴム弾性板の外周縁部に対して環状の固定金具に設けた筒状支持部を加硫接着せしめて、該固定金具の筒状支持部を該仕切部材の開口部に圧入し、該固定金具を該仕切部材の該段差面によって軸方向に位置決めすると共に、該段差面に該ゴム弾性板の外周縁部を圧接させてシールすることにより、該仕切部材の開口を該ゴム弾性板で流体密に覆蓋せしめて、該ゴム弾性板を挟んだ両側に前記副液室と前記平衡室を形成する一方、かかる仕切部材によって、前記受圧室と該副液室の間に跨がって延びる第一の流体流路と、該副液室と該平衡室の間に跨がって延びる第二の流体流路を形成して、該第一の流体流路で前記第二のオリフィス通路を構成すると共に、それら第一及び第二の流体流路で協働して前記第一のオリフィス通路を構成したことを特徴とする流体封入式防振装置。
  2. 前記仕切部材の内周面において、内方に向かって突出する圧接突起を周方向に複数設けて、それらの圧接突起の突出先端面に対して、前記筒状支持部を当接させて圧入固定せしめた請求項に記載の流体封入式防振装置。
  3. 前記仕切部材内の深さ方向中間部分を略軸直角方向に広がるようにして、前記ゴム弾性板を配設すると共に、該仕切部材の開口部分を直接に覆蓋するようにして、前記可撓性膜を配設した請求項1又は2に記載の流体封入式防振装置。
  4. 前記仕切部材の開口部側の外周縁部と、前記ゴム弾性板の外周縁部に加硫接着された固定金具と、前記可撓性膜の外周縁部を、互いに軸方向に重ね合わせて、前記第二の取付部材に対してかしめ固定せしめた請求項1乃至の何れかに記載の流体封入式防振装置。
  5. 前記仕切部材の外周壁部において、外周面に開口して延びる凹溝を形成し、該凹溝を前記第二の取付部材の筒状部で覆蓋することにより、前記第一の流体流路と前記第二の流体流路の少なくとも一方を形成した請求項1乃至の何れかに記載の流体封入式防振装置。
  6. 前記第一のオリフィス通路と前記第二のオリフィス通路を、互いに独立して形成して、それら第一のオリフィス通路と第二のオリフィス通路を、前記副液室を通じて、相互に接続せしめた請求項1乃至の何れかに記載の流体封入式防振装置。
  7. 前記受圧室と前記平衡室を直接に接続する総合流路を形成すると共に、該総合流路を、その流路上で前記副液室に接続する接続通路を設けることにより、前記第一の流体流路と前記第二の流体流路を、互いに直列的に接続された状態で形成した請求項1乃至の何れかに記載の流体封入式防振装置。
  8. 前記第一の取付部材と前記第二の取付部材の一方を自動車のパワーユニットに取り付けると共に、それらの他方を自動車のボデーに取り付けて自動車用エンジンマウントを構成する一方、相互に直列的に接続された前記第一のオリフィス通路を通じて流動せしめられる流体の共振周波数をシェイクに対してチューニングすると共に、前記第二のオリフィス通路を通じて流動せしめられる流体の共振周波数をアイドリング振動に対してチューニングした請求項1乃至の何れかに記載の流体封入式防振装置。
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