JP4050382B2 - 多値画像のスムージング装置及び画像形成装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ビットマップ表現されたデジタル画像の表示又は印刷などを行う画像形成装置に関わり、特に、文字や図形の輪郭線を滑らかにするスムージング技術に関わる。
【0002】
【従来の技術】
デジタル画像では、ビットマップ表現が用いられるため、文字や図形の輪郭線にジャギーと呼ばれるジグザグの凹凸が生じる。スムージングは、ジャギーをより微細な凹凸に補正して、輪郭線が人の目には滑らかな線として見えるように修正する技術である。
【0003】
画像を構成する要素は、通常、文字や記号などの「キャラクタ」、線図やドロー画などの「グラフィックス」、及び写真やペイント絵画などの「自然画像」の3種に大別できる。これら3種の要素のうち、一般にスムージングが必要なものは「キャラクタ」と「グラフィックス」のように明確な輪郭線をもつ要素である。一方、「自然画像」は画像値が実質的に連続的に変化する要素であるから、スムージングを適用すると不自然な画像になってしまう。
【0004】
キャラクタやグラフィックスは、典型的には2値画像データ(1色についての1画素値を1ビットワードで表現したデータ)で表現することができる。一方、自然画像は多値画像データ(1色について1画素値を複数ビット(例えば8ビット)ワードで表現したデータ)で表現する必要がある。こうした事情から、従来のスムージング技術は専ら2値画像データに対する処理として発展してきており、多値画像データに対しては、これを使用することができない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、多値画像データの形でキャラクタやグラフィックスが表現されていることは実際少なくない。カラー画像の場合、むしろ多値画像データの方が普通である。この種の画像の典型例は、自然画像上に文字やグラフィックスを重ね書きした画像である。このような多値画像にはスムージングを施すことができないので、キャラクタやグラフィックスのジャギーが目立ってしまう。一方、多値画像を一旦2値画像に落としてからスムージングを施すことは可能であるが、そうすると補正の不要な自然画像が崩れてしまうという副作用が生じてしまう。
【0006】
従って、本発明の目的は、多値画像において、自然画像に影響を与えることなく、キャラクタやグラフィックスなどに選択的にスムージングが施せるようにすることにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明の第1の側面に従う多値画像のスムージング装置は、多値画像を2値化する2値化部と、この2値化部から出力される2値化画像にスムージング処理を行ってスムージング画像信号を出力するスムージング部と、前記多値画像にハーフトーニング処理を行ってハーフトーン画像信号を出力するハーフトーニング部と、前記スムージング画像信号と前記ハーフトーン画像信号とを組み合わせて最終的な画像信号を出力する出力部とを備える。このスムージング装置によれば、2値化部での2値化を適切に行うことによって、キャラクタやグラフィックスのようなスムージング対象と、自然画像のようなスムージング対象でない画像要素とを効果的に区別した2値画像を得ることができる。この2値画像にスムージング処理を行うことにより、スムージング対象だけにスムージングを施したスムージング画像信号を得ることができる。そして、このスムージング画像信号と、別途に多値画像をハーフトーニング処理して得たハーフトーニング画像信号とを組み合わせることで、自然画像は連続的な濃度で自然に、キャラクタやグラフィックスはジャギーのない鮮明な輪郭で再生できるような最終的な画像信号を得ることができる。
【0008】
2値化の閾値としては、スムージング対象の画像要素とスムージング対象でない画像要素とを実質的に区別できるような値を用いるべきである。例えば、多値画像値の最大値近傍の値を閾値として用いることができる。また、対象の画像の状態やユーザの好みなどに応じて、閾値を可変できるようにしてもよい。
【0009】
本発明の第2の側面に従う多値画像のスムージング装置は、多値画像内のスムージング対象である画像要素とスムージング対象でない画像要素とを区別した2値画像を生成する2値画像生成部と、その2値化画像にスムージング処理を行ってスムージング画像信号を出力するスムージング部と、前記多値画像にハーフトーニング処理を行ってハーフトーン画像信号を出力するハーフトーニング部と、前記スムージング画像信号と前記ハーフトーン画像信号とを組み合わせて最終的な画像信号を出力する出力部とを備える。このスムージング装置によれば、スムージング対象とそうでないものとを区別した2値画像に対してスムージングを行うことで、スムージング対象だけにスムージングを施したスムージング画像信号を得ることができる。そして、このスムージング画像信号と、別途に用意したハーフトーニング画像信号とを組み合わせることで、自然画像は自然に、そしてキャラクタやグラフィックスは鮮明な輪郭で再生できるような最終的な画像信号を得ることができる。
【0010】
好適な実施形態では、多値画像内のスムージング対象である画像要素を指定した属性データに基づいて、上記のような2値画像を生成している。また、この属性データは、さらに、スムージング処理による補正を施してよい領域と補正を施してはいけない領域をも指定しており、この情報に基づいて、補正してはいけない領域にスムージングの補正が施されないようにスムージング画像信号を生成している。さらに、多値画像の画像値に基づいて、スムージング対象のもつ画像値がスムージング画像信号の示す画像値に反映されるようにスムージング画像信号を生成している。
【0011】
本発明は専用ハードウェアによっても、コンピュータによっても、あるいはその組み合わせによっても実施することができる。また、プリンタのような1台の装置内でも、あるいはホストとこれに接続されたプリンタのような複数台の装置によっても実施することができる。コンピュータを用いる場合、そのコンピュータプログラムは、ディスク型ストレージ、半導体メモリおよび通信ネットワークなどの各種の媒体を通じてコンピュータにインストールまたはロードすることができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
図1は、ページプリンタに適用した本発明の一実施形態にかかるスムージング装置の全体構成を示す。
【0013】
例えばDRAMであるページイメージメモリ1には、少なくとも1ページ分又は1ページを分割した1バンド分のビットマップイメージデータが格納されている。このビットマップマップイメージデータは、1色についての1画素値を8ビット(1バイト)ワードで表現した多値画像データである。カラー画像の場合、イメージデータは通常、3色または4色の色成分のプレーンのセットとして構成されるが、図1に示す構成は1色成分のプレーンを処理する構成である。当然、異なる色成分プレーンをシリアルに処理するならば、図1に示した装置が1つあればよいが、パラレルに処理するならば図1に示した装置が複数必要である。
【0014】
ページイメージメモリ1内のイメージデータの各色成分の画素値は、1バイトワードであるから、256段階の分解能をもった0〜255の範囲内の濃度を示している。このイメージデータのソースデータは、通常、ページプリンタに接続されたホストから供給されるから、このイメージデータの各色成分の画素値はホストでどのようなイメージを作ったかによって決まる。しかし、実際上は、
(1) 自然画像の画素値:0〜254
(2) キャラクタ及びグラフィックスの少なくとも1色成分の画素値:255
になっているケースは少なくない。本実施形態はこの点に着目してキャラクタ及びグラフィックスのスムージングを行うよう、以下の通り構成されている。
【0015】
ページイメージメモリ1内のイメージの各画素値(1バイトワード)は、ラスタスキャンの順序で読み出されて、例えばSRAMを用いた8ラスタイメージレジスタ2に入力される。8ラスタイメージレジスタ2は、4つのラスタバイトレジスタ25〜28と4つのラスタビットレジスタ21〜24とから構成される。ラスタバイトレジスタ25〜28の各々は、1ラスタ分の画素のバイトワードを記憶することができる。ラスタビットレジスタ21〜24の各々は、1ラスタ分の画素の、後述する2値化回路3によって2値化されたビットワードを記憶することができる。ここで、「ラスタ」とは、ページをラスタスキャンするときの主走査ラインを意味し、例えば解像度600dpiでサイズA4(8.27インチ×11.69インチ)のページの場合、1ラスタは8.27×600=約4960個の画素から構成される。
【0016】
ラスタバイトレジスタ25〜28及びラスタビットレジスタ21〜24はそれぞれ、シフトレジスタ又はFIFOメモリとして機能し、新しい画素値が書き込まれる度に、最も古く書き込まれた画素値を出力する。ページイメージメモリ1から読み出された各画素値(1バイトワード)は、まず、最も下方に図示された第4のラスタバイトレジスタ28に書き込まれる。第4のラスタバイトレジスタ28から出力された各画素バイトワードは、一方では第3のラスタバイトレジスタ27に書き込まれ、他方では2値化回路3に入力されて、そこで第4の2値化ユニット34によって2値化されて1ビットワードに変換される。第3のラスタバイトレジスタ27から出力された各画素バイトワードは、一方で第2のラスタバイトレジスタ26に書き込まれ、他方で2値化回路3内の第3の2値化ユニット33によって2値化されて1ビットワードに変換される。第2のラスタバイトレジスタ26から出力された各画素バイトワードは、一方で第1のラスタバイトレジスタ25に書き込まれ、他方で2値化回路3内の第2の2値化ユニット32によって2値化されて1ビットワードに変換される。第1のラスタバイトレジスタ25から出力された各画素バイトワードは、2値化回路3内の第1の2値化ユニット31によって2値化されて1ビットワードに変換される。
【0017】
第1の2値化ユニット31によって2値化された各画素値(1ビットワード)は、第4のラスタビットレジスタ24に書き込まれる。この第4のラスタビットレジスタ24から出力された各画素ビットワードは、第3のラスタビットレジスタ23に書き込まれる。この第3のラスタビットレジスタ23から出力された各画素ビットワードは、第2のラスタビットレジスタ23に書き込まれる。この第2のラスタビットレジスタ22から出力された各画素ビットワードは、第1のラスタビットレジスタ21に書き込まれる。こうして8ラスタイメージレジスタ2には、連続する8ラスタ分の画素値が格納されることになる。
【0018】
2値化回路3は前述したように、4つの2値化ユニット31〜34を有し、4つのラスタバイトレジスタ25〜28からそれそれ出力される各画素バイトワードを2値化して1ビットワードに変換する。この2値化は、所定の閾値を用いて、その閾値以上の値を示す画素バイトワードはビットワード「1」に、その閾値未満の画素バイトワードはビットワード「0」に変換する。
【0019】
この2値化の目的は、イメージの中からキャラクタとグラフィックスのようなスムージング対象の画像要素だけを、自然画像のようなスムージング対象でない領域から区別して抽出することにある。この目的から、この2値化の閾値には、スムージング対象であるキャラクタとグラフィックスの画素値は「1」に変換し、スムージング対象でない領域の画素値は「0」に変換することができるような値が選ばれる。典型的には、画素バイトワードの最高値「255」(又は、その近傍値、例えば「250」や「240」など)が2値化閾値として選ばれる。前述したように、多くのイメージでは、スムージング対象たるキャラクタ及びグラフィックスは少なくとも1色成分について画素値が最高値「255」であり、スムージング対象でない自然画像のそれは「0」〜「254」に分布しているからである。しかし、これには該当しないイメージも存在するから、イメージの実情やユーザの好みに応じて適切な閾値を選択できるようにしてもよい。例えば、自然画像の画素値が「0」〜「200」の範囲に分布し、スムージング対象のキャラクタ及びグラフィックスの画素値が「100」〜「255」の範囲にあるようなイメージでは、キャラクタ及びグラフィックスの全てを確実に抽出してスムージング処理することをユーザが望むならば、例えば「80」〜「150」程度の範囲から閾値を選べばよいであろうし、一方、自然画像にスムージングの影響を与えないことをユーザが重視するならば、例えば「150」〜「250」程度の範囲から閾値を選べばよいであろう。いずれにしても、スムージング対象の画像要素と他のスムージング対象でない画像要素とを実質的に区別できる(つまり、完全に区別できなくても、実用上支障のない範囲内で大体区別できる)ような閾値が選ばれる。
【0020】
この2値化閾値は、ユーザが手動で設定してもよいし、あるいは、プリンタドライバ又はプリンタが自動的に設定してもよい。自動設定の方法としては、例えばホストのアプリケーション画面上でユーザがスムージング対象の画像要素とそうでない画像要素の領域とをそれぞれ1個又は複数個指定すると、その指定された画像要素の画素値に基づいて、両者を効果的に区別できる閾値をプリンタドライバ又はプリンタが自動的に求めるといった方法が考えられる。
【0021】
さて、図1に示した2値化回路3の4つの2値化ユニット31〜34から出力される第5〜第8のラスタの画素ビットワードは、8×9画素レジスタ5を構成する8つの9ステージシフトレジスタ51〜58にうちの、第5〜第8のシフトレジスタ55〜58にそれぞれ入力される。また、8ラスタイメージレジスタ2の第1〜第4のラスタビットレジスタ21〜24から出力される第1〜第4のラスタの画素ビットワードは、遅延回路4を経由して、8×9画素レジスタ5の第1〜第4の9ステージシフトレジスタ521〜54にそれぞれ入力される。遅延回路4は、4つの遅延ユニット41〜44を有し、ラスタビットレジスタ21〜24からの第1〜第4ラスタの画素ビットワードに対して、2値化回路3にて第5〜第8ラスタの画素値が受けた同じ長さに遅延を与えて、イメージ上でラスタスキャンの副走査方向に一線に並ぶ画素のビットワードが8×9画素レジスタ5に同時に入力されるようにする。従って、8×9画素レジスタ5には、イメージ上の8×9画素領域の72画素のビットワードが格納される。この8×9画素領域はラスタスキャン方式でイメージ上を時間と共に1画素すつ移動していく。以下、この8×9画素領域の中央の画素、つまり、8×9画素レジスタ5の第5シフトレジスタ55の第5ステージ100に対応する画素を「着目画素」と呼ぶ。
【0022】
スムージング回路6は、8×9画素レジスタ5内の8×9画素領域の72画素のビットワードを取り込み、それに基づいて、その8×9画素領域内の画像要素(ビットワード値「1」をもつ)の輪郭線にスムージングを施したときの、着目画素に対する描画レーザパルス幅を計算し、その計算結果に従ってパルス幅変調したレーザ駆動パルス信号を発生する。ここで、描画レーザのパルス幅とそれによって1画素領域に形成される着色剤のドットの大きさとの関係は例えば図2に示すとおりである。すなわち、番号201で示す1画素フルサイズ分のパルス幅のレーザパルスによれば、1画素領域210にフルサイズのドット211が形成される。また、番号202で示すようなフルパルス幅より若干短いレーザパルスによれば、1画素領域210内に若干小さいドット212が形成される。更に短いレーザパルス203によれば、より更にドット213が形成される。このようにレーザパルス幅を変化させることにより、ドットのサイズを調節することができる。
【0023】
図3は、この原理を利用してスムージングを行った一例を示している。図3(A)は8×9画素領域のスムージング前の2値化イメージを、図3(B)はスムージング後のイメージを示している。図3(A)のスムージング前のイメージにおいて、スムージング対象の画像要素(図の例では斜めの直線)対応した画素はハッチングで示されているが、それらの画素は、8×9画素レジスタ5上でビットワード値「1」をもっている。それ以外の画素は白抜きで示されているが、それらは8×9画素レジスタ5上でビットワード値「0」をもっている。図1に示したスムージング回路6は、8×9画素レジスタ5から、図3(A)のイメージを表した2値化イメージデータを読み込み、そして、図3(B)に示したスムージング後のイメージが描画できるように、着目画素300に対する描画レーザパルス幅を決定する。その結果、図3(B)の例では、着目画素300に対する描画レーザパルスは図2に示したパルス202に決定される。なお、このような処理を行うスムージング回路6の具体的構成としては、種々のものが公知である。
【0024】
図1のハーフトーニング回路7は、8ラスタイメージレジスタ2の第5のラスタバイトデータ25から出力される画素バイトワードを受け取り、ハーフトーニング処理つまり画素バイトワードが示す濃度を、人の目に同じ濃度を感じさせるようなドットの有無及びサイズに変換する処理を行なう。このハーフトーニング処理の結果として、ハーフトーニング回路7は、着目画素に対する描画レーザパルス幅を決定して、その決定結果に従ってパルス幅変調された着目画素に対するレーザ駆動パルスを、スムージング回路6からの着目画素に対するレーザ駆動パルスの出力と同期して出力する。
【0025】
OR回路8は、スムージング回路6から出力される着目画素に対するレーザ駆動パルス信号と、ハーフトーニング回路7から出力される着目画素に対するレーザ駆動パルス信号とを論理和して、描画レーザドライバ(図示せず)へ送り描画レーザパルスを発生させる。
【0026】
以上の構成により、ページイメージ内の画像要素のうち、2値化処理でビット値「1」になった画像要素つまり主としてキャラクタとグラフィックスだけに選択的にスムージングが行われることになる。キャラクタやグラフィックスが一次色(濃度255の1色成分のみからなる色)や濃度255の2色又は3色成分からなる色である場合は勿論のこと、濃度255未満の色成分を含む中間色である場合にも、その少なくとも1色成分の濃度が255であるならば、スムージングの効果が得られる。
【0027】
図4は、中間色の斜め直線をこの実施形態でスムージングした様子を示す。図4(A)はスムージング前を示し、図4(B)はスムージング後を示す。
【0028】
図4(A)のスムージング前の斜線401は、例えば、濃度100%(値255)に対応するフル画素サイズのマゼンタのドット402と、濃度25%(値64)に対応する1/4画素サイズのイエローのドット403とから描かれるようなものである。これを上記実施形態に通すと、値64のイエロードット403にはスムージング処理がかからないが、値255のマゼンタドット402にスムージング処理がかかって、図4(B)に斜線404として示すように印刷される。従って、値64のイエロードット403にはスムージング処理がかからないが、全体的にはスムージングの効果が現れる。
【0029】
図5は、本発明の第2の実施形態を示す。図1に示した第1の実施形態と同じ構成要素には、同じ参照番号をふって重複した説明は省略する。
【0030】
この第2の実施形態にかかるスムージング装置は、第1の実施形態の装置構成に加えて、例えばDRAMであるページ属性メモリ9を備える。このページ属性メモリ9には、ページイメージメモリ1に格納されたイメージの各画素についての属性を示した属性データが格納される。つまり、ページのイメージは、ページイメージメモリ1に格納される1色、3色又は4色の色成分プレーンに加え、ページ属性メモリ9に格納される属性プレーンから構成されているのである。この実施形態では、各画素の「属性」とは、その画素がスムージング対象の画像要素であるか否か、及び、その画素上にスムージング補正のための描画レーザパルスを出してよいか否か、の2点である(勿論、更に他の属性を加えてもよし、スムージング対象か否かの1点だけでもよい)。属性データは、1画素当たり2ビットであり、
(1) 1ビット目:「1」=スムージング対象である、「0」=否
(2) 2ビット目:「1」=補正パルスを出してよい、「0」=否
を意味している。例えば図6に示すように、細かいハッチングで示した領域501に含まれる各画素の属性データが「11」であれば、この領域501はスムージング対象であって、スムージング補正パルスを出して良い領域であることを意味する。また、このスムージング対象501の両脇の荒いハッチングで示した領域502、503、504、505に含まれる各画素の属性データが「01」であれば、これらの領域502、503、504、505に、スムージング対象501をスムージングした結果としての補正描画レーザパルスを出してよいことを意味する。また、その外側の白抜きの領域506、507に「含まれる画素の属性データが「00」であれば、それらの領域506、507はスムージング対象でもないし、かつ補正パルスも出してはいけないことを意味する。図6に例示したような属性データに基づけば、図3に例示したようなスムージングが行える。
【0031】
このような属性データは、ホスト又はプリンタで自動生成しても良いし、ホストのアプリケーション上でユーザが作るようにしても良い。例えば、アプリケーションなどが作るイメージのソースデータ又はホストからプリンタに送られる印刷データにおいて、キャラクタはキャラクタラクタコードで、グラフィックスはベクタデータ又は関数コールで、自然画像はビットマップデータで、というように種類の異なる画像要素が異なる形式のデータで表現されていれば、ホストのアプリケーション、プリンタドライバ又はプリンタのイメージングプロセスが、そのデータ形式を頼りにキャラクタとグラフィックスと自然画像とを識別して自動的に属性データを作ることができる。また、アプリケーション上でユーザが文書や絵画や写真を作ったり編集したりする際に、ユーザがスムージング対象を具体的に指定したり、補正パルスを出して良い領域又は出していけない領域を具体的に指定したりすることによって、アプリケーション上でユーザが属性データを作れるようにすることもできる。
【0032】
再び図5を参照して、ページイメージメモリ1から各画素のバイトワードが読み出されるのに同期して、対応する画素の属性データ(2ビットワード)がページ属性メモリ9から読み出されて、例えばSRAMを用いた4ラスタ属性レジスタ10に書き込まれる。4ラスタ属性レジスタ10は、それぞれ1ラスタ分の属性データが格納できる4つのラスタ属性レジスタ101〜104からなる。4つのラスタ属性レジスタ101〜104の各々は、シフトレジスタ又はFIFOメモリとして動作し、新しい画素の属性データが書き込まれると、最も古くに書き込まれた画素の属性データを出力する。
【0033】
ページ属性メモリ9から読み出された各画素の属性データ(2ビットワード)は、まず、最も下方に図示された第4のラスタ属性レジスタ104に書き込まれる。第4のラスタ属性レジスタ104から出力された各画素属性データは、一方では第3のラスタ属性レジスタ103に書き込まれ、他方では遅延回路11内の第4の遅延ユニット114に入力されれる。第3のラスタ属性レジスタ103から出力された各画素属性データは、一方で第2のラスタ属性レジスタ102に書き込まれ、他方で遅延回路11内の第3の遅延ユニット113に入力される。第2のラスタ属性レジスタ102から出力された各画素属性データは、一方で第1のラスタ属性レジスタ101に書き込まれ、他方で遅延回路11内の第2の遅延ユニット112に入力される。第1のラスタ属性レジスタ101から出力された各画素属性データは、遅延回路11内の第1の遅延ユニット111に入力される。
【0034】
遅延回路11は前述したように、4つの遅延ユニット111〜114を有し、4つのラスタ属性レジスタ101〜104からそれそれ出力される各画素属性データを、2値化回路3での2値化処理時間分だけ遅延させる。4つの遅延ユニット111〜114から出力される4つのラスタの属性データのうち、1ビット目は、2値化回路3と8×9画素レジスタ5との間に介装されたセレクタに制御信号として加えられる。
【0035】
セレクタ12は4つのセレクタユニット121〜124を有し、これらのセレクタユニット121〜124はそれぞれ、2値化回路3から出力される4つのラスタの画素ビットワードと「0」値ビットワードとを選択対象の信号として受け、そして、上述した遅延ユニット111〜114から加えられる画素属性データの1ビット目の信号に応答して、その1ビット目の信号値が「1」であれば画素ビットワードを選択し、1ビット目の信号値が「0」であれば「0」値ビッドワードを選択して、8×9画素レジスタ5に出力する。また、第1のセレクタユニット121から出力されたビットワードは、8ラスタイメージレジスタ2内の第4のラスタビットレジスタ24にも書き込まれる。
【0036】
遅延回路4は、図1に示した第1の実施形態では2値化回路3での処理時間分の遅延を発生させたが、この第2の実施形態では、2値化回路3での処理時間とセレクタ12での処理時間とを加えた時間分だけの遅延を発生させ、それにより、副走査方向に一線に並ぶ8ラスタの画素が8×9画素レジスタ5に同時に書き込まれるようにする。
【0037】
以上の構成により、8×9画素レジスタ5には、属性データの1ビット目が「1」であるスムージング対象の画素についてのみ、2値化された画素値が書き込まれ、スムージング対象でない画素については一律に「0」値が書き込まれることになる。
【0038】
ところで、図1に示した第1の実施形態では2値化回路3がスムージング対象とそうでないものとを区別していたのに対し、この第2の実施形態ではこの機能をセレクタ12が果たすので、2値回路3の役割は第1の実施形態とは異なってくる。すなわち、2値化回路3は、属性データが指定するスムージング対象の中から、実際にスムージングを施す対象を画素値によって限定するという役割を果たす。例えば、属性データによって全てのキャラクタと全てのグラフィックスがスムージング対象として指定されている場合、もし2値化回路3に閾値として例えば「200」が設定されているならば、全てのキャラクタと全てのグラフィックスの中でも特に画素値が「200」以上のものだけに対して、実際のスムージング処理が行われることになる。このスムージング対象限定機能は、属性データが指定するスムージング対象の中から、画素値の比較的小さい特定の画像要素を除外したい場合や、あるいは、属性データを作成する際に例えば白い背景上に黒字のテキストが書かれている特定の領域全体をスムージング対象として指定しておいて、そして、印刷の際には、その領域内の黒字のテキストだけにスムージングを施したい場合などに活用することができる。一方、属性データが指定するスムージング対象の全てに対し実際にスムージング処理を施してよい場合には、2値化回路3に閾値「0」を設定したり、或いは、2値化回路3とセレクタ12を除去して、遅延回路11からの画素属性データの1ビット目を直接に8×9画素レジスタ5に書き込むようにしてもよい。
【0039】
さて、スムージング回路6は、第1の実施形態に関して説明したとおり、8×9画素レジスタ5内の72画素のデータに基づいて、着目画素に対するスムージング後の補正されたレーザ駆動パルス信号を生成する。このスムージング回路6から出力されたレーザ駆動パルスはパルス調節回路14に入力される。パルス調整回路14は、8ラスタイメージレジスタ2の第5ラスタレジスタ25から出力される画素バイトワードを遅延回路13を通じて入力し、その画素バイトワードの値に基づいて、スムージング回路6からのレーザ駆動パルスのパルス幅を調整するものである。すなわち、スムージング回路6から出力されるレーザ駆動パルスのパルス幅は、スムージング対象の画素値が「255」であるとした場合のパルス幅であるため、そのパルス幅を、第5ラスタレジスタ25から出力される実際のスムージング対象の画素値に適合する幅に調節するのである。ここで、遅延回路13は、常に着目画素の画素バイトワードがパルス調整回路14に入力されるようにタイミングを調整するものである。なお、パルス幅調節回路14によるパルス幅調節はスムージングの効果を減じる可能性もあるので、パルス幅調節回路14を除去しても良い。また、パルス幅調節回路14を除去し、それとは別の手法で、スムージング対象の実際の画素値をスムージング後の画像に反映させる手段を設けても良い。
【0040】
パルス幅調節回路14から出力されたレーザ駆動パルスは次にゲート15に入力される。ゲート15は、遅延回路11の第1の遅延ユニット11から出力された画素属性データの2ビット目を遅延回路16を通じて受け、そして、その2ビット目の値が「1」であるときのみ、レーザ駆動パルスを通過させてOR回路8に出力する。ここで、遅延回路16は、常に着目画素の属性データ2ビット目がゲート15に入るようにタイミングを調整するものである。このゲート15の作用により、着目画素が補正パルスを出して良い領域である場合にのみ、パルス調節回路14からの着目画素の補正パルスがOR回路8に入ることになる。
【0041】
また、ハーフトーニング回路7で生成されたハーフトーニング後の着目画素のレーザ駆動パルスは、遅延回路17を通じて、ゲート15からの着目画素のレーザ駆動パルスとタイミングを合わせて、OR回路8に入力される。そして、OR回路8で論理和されたレーザ駆動パルスが描画レーザドライバに送られる。
【0042】
図7は、この第2の実施形態のスムージング処理の結果例を示す。
【0043】
この例は、50%の濃度の背景上に斜めの直線が走っているイメージであり、これをスムージング処理せずに印刷した場合が図6(A)に示すものである。図6(B)は属性データを示しており、細かいハッチングで示された領域がスムージング対象の斜線であり、その両側の荒いハッチングで示した領域が補正パルスを出して良い領域である。図6(C)は、この属性データを用いてスムージング処理をした後の印刷例であり、斜線がスムージングされている。
【0044】
以上、本発明一実施形態を説明したが、これらの実施形態はあくまで本発明の説明のための例示であり、本発明をこれら実施形態にのみ限定する趣旨ではない。従って、本発明は、上記実施形態以外の様々な形態でも実施することができるものである。本発明はレーザページプリンタだけでなく、インクジェットプリンタどの他のタイプのプリンタや、画像を画面に表示するディスプレイ装置などにも適用できる。上述の実施形態は全ての処理をハードウェアで行っているが、その少なくとも一部は、コンピュータソフトウェアによって実施することもできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態の構成を示すブロック図。
【図2】レーザ駆動パルスのパルス幅とドットのサイズの関係を示す図。
【図3】スムージングの結果例を示す図。
【図4】中間色のスムージング結果を示す例。
【図5】本発明の第2の実施形態の構成を示すブロック図。
【図6】属性データの例を示す図。
【図7】スムージング結果例を示す図。
【符号の説明】
1 ページイメージメモリ
2 8ラスタイメージメモリ
3 2値化回路
5 8×9画素レジスタ
6 スムージング回路
7 ハーフトーニング回路
8 OR回路
10 4ラスタ属性レジスタ
12 セレクタ
14 パルス調節回路
15 ゲート
Claims (7)
- 多値画像内のスムージング対象である画像要素とスムージング対象でない画像要素とを区別した2値化画像を生成する2値画像生成部と、
前記2値化画像にスムージング処理を行ってスムージング画像信号を生成し、前記多値画像の画素値に基づいて、前記スムージング画像信号を調節するスムージング部と、
前記多値画像のすべての画素にハーフトーニング処理を行ってハーフトーン画像信号を出力するハーフトーニング部と、
前記調節されたスムージング画像信号と前記ハーフトーン画像信号とを組み合わせて最終的な画像信号を出力する出力部と
を備えた多値画像のスムージング装置。 - 前記2値画像生成部が、前記多値画像内のスムージング対象である画像要素を指定した属性データに基づいて前記2値画像を生成する請求項1記載のスムージング装置。
- 前記スムージング部が、前記多値画像内のスムージング処理による補正を施してよい領域と前記補正を施してはいけない領域とを指定した属性データに基づいて、前記いけない領域に前記補正が施されないように前記スムージング画像信号を生成する請求項1記載のスムージング装置。
- 前記属性データが前記多値画像に含まれている請求項2又は3記載のスムージング装置。
- 多値画像内のスムージング対象である画像要素とスムージング対象でない画像要素とを区別した2値化画像を生成する2値画像生成部と、
前記2値化画像にスムージング処理を行ってスムージング画像信号を生成し、前記多値画像の画素値に基づいて、前記スムージング画像信号を調節するスムージング部と、
前記多値画像のすべての画素にハーフトーニング処理を行ってハーフトーン画像信号を出力するハーフトーニング部と、
前記調節されたスムージング画像信号と前記ハーフトーン画像信号とを組み合わせて最終的な画像信号を出力する出力部と、
前記最終的な画像信号に基づいて前記多値画像を再生する画像形成部と
を備えた多値画像の形成装置。 - 多値画像内のスムージング対象である画像要素とスムージング対象でない画像要素とを区別した2値化画像を生成するステップと、
前記2値化画像にスムージング処理を行ってスムージング画像信号を出力するステップと、
前記多値画像の画素値に基づいて、前記スムージング画像信号を調節するステップと、
前記多値画像のすべての画素にハーフトーニング処理を行ってハーフトーン画像信号を出力するステップと、
前記調節されたスムージング画像信号と前記ハーフトーン画像信号とを組み合わせて最終的な画像信号を出力するステップと
を有する多値画像のスムージング方法。 - 多値画像内のスムージング対象である画像要素とスムージング対象でない画像要素とを区別した2値化画像を生成するステップと、
前記2値化画像にスムージング処理を行ってスムージング画像信号を出力するステップと、
前記多値画像の画素値に基づいて、前記スムージング画像信号を調節するステップと、
前記多値画像のすべての画素にハーフトーニング処理を行ってハーフトーン画像信号を出力するステップと、
前記調節されたスムージング画像信号と前記ハーフトーン画像信号とを組み合わせて最終的な画像信号を出力するステップと
を有する多値画像のスムージング方法を、コンピュータに行わせるためのプログラムを格納したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
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