JP4048871B2 - 超音波流量計測装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、超音波により気体や液体の流量や流速の計測を行う超音波流量計測装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来この種超音波流量計測装置としては、例えば特開平9−18591号公報や特開平11−351926号公報が知られている。
【0003】
図5,6はその具体的な構成を示し、被計測流体を流す計測流路51の中心線を挟んで対向し、かつ中心線に対して所定角度をもって一対の超音波送受信器52,53を設けると共に、計測流路51の流体流入口54には整流体55を設けている。
【0004】
そして、流体の流れに対して順方向と逆方向に超音波を超音波送受信器52,53間で送受信して、両方向の伝搬時間差から流速を計測し、配管の断面積より流量を算出している。
【0005】
このとき、計測流路51に入る流れは整流体55によりその流れ方向が整えられようにしてあるため、計測部での流線の傾きを低減したり、渦の発生を抑制して流れの乱れの境界面での超音波の反射や屈曲による超音波の受信レベルの変動を低減して測定精度の悪化を防止している。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら前記従来の構成では、計測流路部分の断面形状が矩形形状をしているため、図6に示すように超音波送受信器52,53の設置壁の高さと超音波の振動子幅とが一致しない場合、超音波の伝搬路において超音波が通過しない領域が生じる。
【0007】
すなわち、流体通過部分を超音波が全てを伝搬する事ができないので、測定値に誤差が生じる。
【0008】
さらに述べると、計測流路内の断面全域を超音波が伝搬していれば、基準流量と計測流量は1対1の関係にあるが、計測流路内を通過する流体で非計測部分があると、計測誤差を生じるので、この誤差分を補正してやる必要が生じることになる。
【0009】
また、超音波振動子の幅を壁面高さあるいはそれ以上した場合は、超音波の伝搬は計測流路の断面の全体を網羅するが、超音波振動子から放射された超音波が送信側の超音波振動子の近傍壁での反射が顕著になり、受信側で受ける超音波の信号が反射波を多く含んだ複雑な合成波形になり、正確な伝搬時間を見出すのが難しくなり測定精度が落ちる要因になる。
【0010】
本発明は上記課題を解決するもので、計測流路内の流体通過部全体を超音波が伝搬するような計測流路断面形状とすることにより、計測精度を上げるとともに流量計測誤差を無くし、計測値を補正するなどの必要性を無くすことを実現する
ことを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
前記従来の課題の流量計測装置を解決するために、本発明の流量計測装置は、超音波が流体の流れを斜めに横切るように対向壁面に少なくとも一対の超音波送受信器を配置した計測流路と、前記超音波送受信器間の超音波の伝搬時間を計測する計測制御手段と、前記計測制御手段からの信号に基づいて流量を算出する演算手段とを具備し、前記計測流路の超音波伝搬方向に垂直方向の超音波伝搬壁は、前記相対向する超音波振動子間の中心線に対して傾斜角を持つ傾斜面を形成しており、かつこの傾斜角を超音波振動子の超音波の拡散角度に近似するように設定したものである。
【0012】
これによって、計測流路の流体流れの全体を超音波が伝搬することが可能となり計測精度を上げ、流量計測誤差を無くし、計測値を補正するなどの必要性を無くすことを実現できる。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明は、超音波が流体の流れを斜めに横切るように対向壁面に少なくとも一対の超音波送受信器を配置した計測流路と、前記超音波送受信器間の超音波の伝搬時間を計測する計測制御手段と、前記計測制御手段からの信号に基づいて流量を算出する演算手段とを具備し、前記計測流路の超音波伝搬方向に垂直方向の超音波伝搬壁は、前記相対向する超音波振動子間の中心線に対して傾斜角を持つ傾斜面を形成しており、かつこの傾斜角を超音波振動子の超音波の拡散角度に近似するように設定したものである。
【0014】
これによって、計測流路の流体流れの全体を超音波が伝搬することが可能となり計測精度を上げ、流量計測誤差を無くし、計測値を補正するなどの必要性を無くすことを実現できる。
【0015】
具体的には、超音波振動子の径をd、超音波の波長をλとした時、傾斜面の傾斜角θは式θ≒sin -1 (1.22λ/d)に設定する。
【0016】
【実施例】
以下本発明の実施例について、図面を参照しながら説明をする。
【0017】
(実施例)
図1,2に於いて、1は被計測流体の導入路であり、流入口2、電磁式またはステッピングモーター式などの開閉弁3、駆動部4、開閉弁下流側流路5で構成されている。
【0018】
開閉弁下流側流路5は開閉弁3の弁座開口部6より下流側であり、矩形の断面形状を有する。
【0019】
開閉弁3の開閉中心線と開閉弁下流側流路5の中心軸とはほぼ90度の角度を持っている。
【0020】
計測路7は曲げ部8、計測流路入口9、この計測流路入口9に設けた整流手段10、計測流路11、排出曲げ部12よりなる。
【0021】
曲げ部8は、導入路1の開閉弁下流側流路5と接続しており、断面が矩形で、開閉弁下流側流路5に対向する壁面には窪み13が設けてある。
【0022】
計測流路11は導入路1の開閉弁下流側流路5の中心軸とほぼ直角をなしている。
【0023】
整流手段10は流れの乱れに応じて所望の方向に傾斜させた仕切り板で構成した流れ方向規制手段14と、微細通路を有するメッシュなどで構成した変動抑止手段15で構成されている。
【0024】
計測流路11において、導入路1の方向と直角方向にある壁面には流路を挟んで一対の超音波送受信器16,17が流路の上流側と下流側で斜めに対向して装着されている。
【0025】
18は排出路であり、排出曲げ部12に接続している。
【0026】
排出路18の流出口19から被測定流体は流れ出す。また導入路1の開閉弁下流側流路5と計測路7と排出路18はコの字型をしている。
【0027】
20は計測制御手段であり、超音波送受信器16,17間で交互に超音波を送受信させて流体の流れに対して順方向と逆方向の超音波の伝搬時間の差を一定間隔を置いて計り、伝搬時間差信号として出力する働きを持つ。
【0028】
また、21は演算手段で、前記計測制御手段20からの伝搬時間差信号を受けて被計測流体の流速及び流量を算出するものである。
【0029】
更に、22はリチウム電池などで構成される電源手段である。
【0030】
計測制御手段20、演算手段21、電源手段22の一部と開閉弁3の駆動部4はコの字型で構成される被計測流体の流路の内側の空間に装着されている。
【0031】
以上のように構成された超音波流量計測装置について、以下その動作、作用を説明する。まず、計測を受ける流体は、導入路1の流入口2から図示しない外部配管を経由して流入する。
【0032】
さらに、開放されている開閉弁3から弁座開口部6を通り、開閉弁下流側流路5の対向壁23に突き当たり、方向を変え対向壁面23に沿って流れ、下流側の計測流路11へ流れ込む。
【0033】
計測流路11の壁面に設けた一対の超音波送受信器16,17の一方から送信した超音波は、被計測流体の流速の影響を受けて、流れと順方向に伝搬する時は早く、流れと逆方向に伝搬する時は遅く他方の送受信器で受信される。
【0034】
一般に超音波振動子から放出された超音波は式(1)で示される角度で拡散して伝搬する。
【0035】
θ=sin -1 (1.22λ/d) (1)
本実施の形態では超音波の周波数500kHz,超音波振動子の直径が10mmであるので角度θは約4.5度である。
【0036】
図3に示すように、計測流路11は略4.5度の傾斜を有した超音波の伝搬路壁となっている。
【0037】
つまり、計測流路11の断面が単なる矩形の場合は、同計測流路11内の流体通過部分に超音波が伝搬しない不計測部ができると共に、超音波振動子からでた超音波の拡散した部分が超音波振動子に近い超音波伝搬壁部分反射し、受信側の超音波振動子に到達する超音波の波形は多重の反射波が合成されたものとなり、計測が不安定となる。
【0038】
本実施例では、計測流路11の断面が前記したように超音波の放射拡散に沿うような傾斜面24を有することにより、計測流路11内の流体通過部分の大半を超音波が伝搬するようにすることができ、その流体を全て測定することが可能となる。
【0039】
この超音波の送受信は計測制御手段20で制御されて一対の超音波送受信器16,17間で交互に行われ、すなわち、流体の流れの順方向と逆方向に行われ、電気信号に変換される。
【0040】
伝搬時間差は流体の流速に比例するのでこれを演算手段21へ伝達する。この演算手段21は計測制御手段20からの信号と、内部に記憶している計測流路11の断面積と、機器固有の係数とを演算して被計測流体の流量を演算する。
【0041】
以上のように本実施例においては、計測流路の流体流れの全体を超音波が伝搬することが可能となるとともに、超音波自体の反射の影響も減るので計測精度を上げるとともに流量計測誤差を無くし、計測値を補正するなどの修正処理を無くすことが可能となる。
【0042】
なお、本実施例では超音波振動子として、周波数500kHz、振動子の径が10mmの物を使用しているが、この仕様は測定する流体や流量により違う物と変更することは可能であり、その時の超音波伝搬壁の傾斜角は式(1)で計算可能である。
【0043】
また、図4に示すように超音波伝搬壁の傾斜面24を内部に気泡を多く内包しているような発泡性の樹脂などの超音波吸収部材25で形成することにより、さらに超音波伝搬壁での超音波の反射がへるので、傾斜面24との効果と相乗してより流体流速の超音波計測精度を上げることが可能となる。
【0044】
加えて、超音波伝搬壁に発泡性の樹脂などを塗布するまたは、金網などを張り付けても超音波反射防止に効果があり、傾斜面との効果と相乗してより流体流速の超音波計測精度を上げることが可能となる。
【0045】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、計測流路の超音波伝搬方向に垂直方向の超音波伝搬壁を、前記相対向する超音波振動子間の中心線に対して傾斜角を持つ傾斜面を形成し、かつこの傾斜角を超音波振動子の超音波の拡散角度に近似するように設定したことにより、計測流路の流体流れの全体を超音波が伝搬することとなり、計測精度を上げるとともに流量計測誤差を無くし、計測値を補正するなどの修正処理を無くすことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施例における超音波流量計測装置の断面図
【図2】 本発明の実施例における計測流路の上面図
【図3】 本発明の実施例における計測流路の断面図
【図4】 本発明の実施例における計測流路の他の実施形態を示す断面図
【図5】 従来の超音波流量計測装置の断面図
【図6】 従来の計測流路の断面図
【符号の説明】
1 導入路
3 開閉弁
5 開閉弁下流側流路
9 計測流路入口部
11 計測流路
16,17 超音波送受信器
20 計測制御手段
21 演算手段
Claims (2)
- 超音波が流体の流れを斜めに横切るように対向壁面に少なくとも一対の超音波送受信器を配置した計測流路と、前記超音波送受信器間の超音波の伝搬時間を計測する計測制御手段と、前記計測制御手段からの信号に基づいて流量を算出する演算手段とを具備し、前記計測流路の超音波伝搬方向に垂直方向の超音波伝搬壁は、前記相対向する超音波振動子間の中心線に対して傾斜角を持つ傾斜面を形成しており、かつこの傾斜角を超音波振動子の超音波の拡散角度に近似するように設定した超音波流量計測装置。
- 超音波送受信器の径をdとし、前記超音波送受信器から発せられる超音波の波長をλとした時、傾斜面の傾斜角は、式θ=sin -1 (1.22λ/d)で計算される角度θの±1度の範囲内に設定した請求項1記載の超音波流量計測装置。
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JP2002229738A JP4048871B2 (ja) | 2002-08-07 | 2002-08-07 | 超音波流量計測装置 |
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