JP4047644B2 - 定着装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、誘導加熱方式の加熱装置に関し、特に電子写真式複写機やプリンタ装置等において現像剤として用いられるトナーによって可視化されるトナー像を用紙に熱定着させる定着装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば、特開平8−76620号公報はハロゲンランプを用いる方法や耐熱性フィルムの代わりに誘導加熱を用いる定着装置を提案している。この定着装置は、磁場発生手段によって導電フィルムを加熱し、導電フィルムに密着させた用紙にトナーを定着する装置であり、磁場発生手段を構成する部材と加熱ローラの間に発熱ベルト(導電フィルム)を挟ませて、ニップを形成している。また、特開平9−258586号公報は定着口―ラの回転軸に沿って設けられたコアにコイルを巻いた発熱体を用い、加熱ローラに渦電流を流して加熱する方式の定着装置を提案している。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上述のような誘導加熱定着装置に関連し、特開平9−120222号公報はコイルに高周波電流を流し始める際に急激に消費される電力によって他の照明機器などで生じるフリッカ現象を抑えるために、コイルへの出力電力を徐々に所定値まで増大させるソフトスタート技術を開示する。しかしながら、このフリッカ減少は温度を上昇させる際、もしくは低下させる際の単位時間あたりの電力変化量の大きさによるところが多いため、この従来技術においては立ち上げ時間を十分長くとる必要があり、最初のコピーを行うまでに時間がかかってしまう。また、最近の複写機等においては、低消費電力化のためにコピー動作終了後、所定時間が経過すると予熱状態に移行したり、また、その状態からウォームアップを再開することが頻繁に行われているが、この場合にも温度上昇時間や下降時間がかかってしまっては低消費電力化の効果が薄れてしまう。
【0004】
本発明の目的は、誘導加熱方式の熱源に誘導コイルを用いた場合でも照明機器で生じるフリッカ現象を高い信頼性で抑制できると共に、ウォームアップ時間を短縮し消費電力を低減できる定着装置を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、被定着材に付与された現像剤を定着させる熱源となる対象物の中央部および端部をそれぞれ独立に誘導加熱する中央部および端部コイルからなる誘導コイルと、対象物の温度を上昇および低下させる場合に単位時間当たりの変化量を制限するために段階的に変化する高周波電力を誘導コイルに供給する加熱制御回路とを備え、加熱制御回路は対象物全体を定着可能温度まで上昇させるウォームアップにおいて最初に中央部コイルを高周波電力の供給先に設定し、対象物の中央部が定着可能温度に到達してから端部コイルを高周波電力の供給先に設定し、対象物の中央部の温度と対象物の端部の温度とがほぼ等しくなってから中央部コイルおよび端部コイルを交互に高周波電力の供給先に設定してさらに対象物の中央部の温度と対象物の端部の温度との差が所定範囲に収まるように、中央部コイルに供給される高周波電力と端部コイルに供給される高周波電力とを制御して、対象物の温度を定着可能温度に到達させるように構成される定着装置が提供される。
【0006】
この定着装置では、供給される電力を段階的な変化の設定範囲内で最大限使用することができ、フリッカ現象を高い信頼性で抑制しながら、効率的に加熱を行ってウォームアップ時間を短縮し消費電力を低減できる。また、誘導コイルが交互に駆動される中央部および端部コイルからなり、単一のコイルを用いる場合よりも周辺照明機器のフリッカ現象が発生しやすい構造であっても、対象物の温度を上昇および低下させる場合において高周波電力を段階的に増減することにより、消費電力の大幅な変化が制限されるため、フリッカ現象を高い信頼性で抑制できる。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態に係る画像形成装置であるデジタル複写機について添付図面を参照して説明する。
【0008】
図1はこのデジタル複写機101の内部構造を概略的に示す。デジタル複写機101は、複写原稿を光学的に走査しこの原稿からの反射光を光電変換することにより読み取られた画像をデジタル画像信号として発生する画像読取装置であるスキャナ102、およびスキャナ102もしくは外部からのデジタル画像信号に対応して画像を用紙Pに形成する画像形成部103を備える。
【0009】
画像形成部103は円筒状の感光体ドラム105、露光装置106、現像装置107、転写装置TR、および誘導加熱方式の定着装置1等を備える。感光体ドラム105は所定電位に帯電状態で露光される感光体を外周面に有する。露光装置106はスキャナ102または外部装置から供給される画像情報に対応して変化する光強度のレーザビームを選択的に照射することにより感光体ドラム105の感光体を露光し、この露光領域において変化する感光体電位に対応する静電潜像を形成する。この感光体電位は静電潜像の現像および転写プロセスのために所定時間にわたって保持される。現像装置107は感光体ドラム105の感光体に現像剤としてトナーを供給して静電潜像を現像する。静電潜像は静電潜像に対応して感光体に付着したトナーによりトナー像として可視化される。転写装置TRは感光体ドラム105に対向する転写位置に転写材として供給される用紙Pを帯電し、この転写位置で感光体ドラム105上のトナー像を用紙Pに転写させる。ここで、用紙Pはピックアップローラ109により用紙カセット108から1枚ずつ取り出され、各々転写位置に隣接したアライニングローラ111まで搬送路110を介して予め搬送される。アライニングローラ111は感光体ドラム105上のトナー像が転写位置に到達するタイミングに整合するようにこの用紙Pを転写位置に供給する。定着装置1は転写位置を通過した用紙P上のトナー像に熱と圧力を加え、この熱で溶融したトナーを圧力で用紙Pに定着させる。この用紙Pは定着装置1から排紙ローラ112に送られ、この排紙ローラ112により排紙トレイ113に排出される。
【0010】
図2は定着装置1の長手方向に直角な断面構造を示し、図3は定着装置1の長手方向の断面構造を示す。定着装置1は、直径約50mmの加熱ローラ2と直径約50mmの加圧(プレス)ローラ3とからなる。
【0011】
加熱ローラ2は、厚さ1.5mm程度の金属製、この例では鉄製の中空円筒体である。加熱ローラ2の表面には、polytetrafluoroethylene(テフロン、商品名)等に代表されるフッ素樹脂が所定の厚さ堆積された図示しない離型層が形成されている。加熱ローラ2のローラ材質としては、ステンレス鋼または、ステンレス鋼とアルミニウムとの合金等が利用可能である。加熱ローラ2の長さは約340mmである。尚、加熱ローラ2に代えて、耐熱性の高い樹脂フィルムの表面に、金属を所定厚さ堆積させたシート体を無端ベルト状とした金属フィルムを用いることもできる。
【0012】
加圧ローラ3は、所定の直径のシャフトの周囲に、所定の厚さのシリコンゴム、もしくはフッ素ゴム等が被覆された弾性ローラである。加圧ローラ3の長さは約320mmである。加圧ローラ3は加熱ローラ2の軸に略平行であり、加圧機構4から与えられる所定の圧力により加熱ローラ2に圧接されている。これにより、加熱ローラ3の外周面の一部が弾性変形し、両ローラ間に所定のニップが定義される。加熱ローラ2に代えて金属フィルムを用いた場合には、ニップはフィルム側に形成される場合もある。
【0013】
加熱ローラ2は、定着モータ123もしくは感光体ドラム105を回転させるメインモータ121から供給される駆動力により、ほぼ一定の速度で矢印方向に回転される。加圧ローラ3は加圧機構4から与えられる所定の圧力で加熱ローラ2に接触するため、加熱ローラ2の回転に伴ってこの回転方向とは逆に回転する。
【0014】
定着装置1は剥離爪5が加熱ローラ2および加圧ローラ3間のニップを通過した用紙Pを加熱ローラ2から剥離させる剥離爪5を有する。この剥離爪5は加熱ローラ2の回転方向においてニップよりも下流側でこのニップに隣接して加熱ローラ2の外周上に配置される。定着装置1はさらに加熱ローラ2の外周に隣接し加熱ローラ2の回転方向に並ぶ2つの温度検出素子6a,6b、クリーナ7および発熱異常検知素子8を有する。温度検出素子6a,6bは、加熱ローラ2の外周面の温度を検出する。
【0015】
温度検出素子6a,6bは例えばサーミスタであり、一方は加熱ローラ2の長手方向のほぼ中央に配置され、他方は加熱ローラ2の長手方向の一端部に配置される。これらサーミスタはそれぞれ加熱ローラ2の外周上で、すなわち断面方向から見たときの位相が特定の条件に支配されないような任意の位置に設けられる。
【0016】
クリーナ7は、加熱ローラ2の外周に所定の厚さに設けられているフッ素樹脂に付着することのあるトナーや用紙から生じる紙粉もしくは装置内部を浮遊して加熱ローラ2に付着するゴミ等を除去する。クリーナ7は、加熱ローラ2と接触されたとしてもフッ素樹脂層を傷付けにくい材質、例えばフェルトまたはファーブラシ等で形成されたクリーニング部材とそのクリーニング部材を支持する支持部材を含む。
【0017】
発熱異常検知素子8は、例えばサーモスタットであって、加熱ローラ2の表面温度が異常に上昇する発熱異常を検知するとともに、発熱異常が生じた場合には、以下に説明する加熱用誘導コイルへの通電を遮断するために利用される。加圧ローラ3の周上には、用紙Pを加圧ローラ3から剥離するための剥離爪9および加圧ローラ3の周面に付着したトナーを除去するクリーニングローラ10が設けられている。
【0018】
加熱ローラ2の内側には、加熱ローラ2の材質に、渦電流を発生させる励磁(誘導)コイル11が配置されている。励磁コイル11は、図3に示される例では、加熱ローラ2の長手方向の中央付近に位置された第1のコイル11aと、ローラ2の両端付近に設けられた第2のコイル11bとからなる。
【0019】
コイル11bは、コイル11aと抵抗率や断面積(撚り線数)がほぼ等しい線材を、コイル11aのターン数とほぼ等しいターン数だけ巻いたコイルである。コイル11bは加熱ローラ2の長手方向に関し、コイル11aを挟んで、加熱ローラ2の軸方向の両側に位置されている。コイル11bはコイル11aの両側に位置される2つのコイル部分11b−1および11b−2により構成され、第1のコイル11aと同等のエネルギーを出力可能である。
【0020】
コイル11aは加熱ローラ2の長手方向の中央付近を加熱し、コイル11bは加熱ローラ2の両端付近を加熱する。ここで、コイル11aは、短辺を加熱ローラ2の軸線と平行させた状態で例えばA4サイズの用紙を搬送する際に、加熱ローラ2の外周面と接する用紙を加熱できるような長さに形成されている。
【0021】
励磁コイル11の各コイル11a,11bは、線径が、例えば0.5mmの銅線材を耐熱性のポリアミドイミドにより相互に絶縁した線材を複数本、この例では16本束ねたリッツ線により形成される。
【0022】
各コイル11a,11bは、例えば金属材料で形成された支持部材に、耐熱性が高く、高い絶縁性を示すengineering plasticsやセラミックで形成されたコイル保持体を介して固定される。コイル保持体には、例えばPEEK(poly ether ether ketone)材、フェノール材、あるいは不飽和ポリエステル等が利用可能である。
【0023】
各コイル11a,11bは、支持部材が省略され、コイル保持体のみにより保持される空芯コイルとしてもよい。尚、それぞれのコイルを形成する線材の巻き付け方法は、任意の巻き付け方法が利用可能である。励磁コイル11は、コイル保持体の形状を特徴づけることで、平面コイルを加熱ローラ2の内周(円)に沿わせた形状に形成されてもよい。
【0024】
図4は定着装置の加熱制御回路の一例を示す。図4に示すように、加熱制御回路は加熱制御ユニット31および画像形成部103側の制御回路104を含んで構成される。加熱制御ユニット31は、インバータ回路により構成される第1および第2のスイッチング回路32a,32b、これらスイッチング回路を駆動するIH駆動回路33、温度検出素子6a,6bで検知される温度を温度データにA/D変換する温度検知回路35、およびこの温度検知回路35の検知結果に基づいてIH駆動回路33を制御するCPU34を含む。コイル11aは第1のスイッチング回路32aに接続され、コイル11bは第2のスイッチング回路32bに接続される。
【0025】
スイッチング回路32a,32bは、IH駆動回路33からの駆動出力に応じて外部の商用電源(交流電源)の周波数を変化させ、それぞれコイル11aおよび11bに供給し、これによりコイル11a,11bへの供給電力を制御する。これらコイル11a,11bの両端間電圧は電源電圧の周波数の変化に伴って随時変化する。
【0026】
IH駆動回路33はCPU34により制御され、この制御に対応した電力の高周波出力をそれぞれコイル11a,11bに供給するようスイッチング回路32a,32bを駆動する。具体的には、IH駆動回路33が電源電圧の周波数を変化させることによりコイル11a,11bの両端間電圧を変化させ、コイル11a,11bを流れる高周波電流を調整する。これにより、各コイルに供給される電力の大きさを任意の大きさに設定することが可能である。
【0027】
温度検知回路35は温度検知素子6a,6bによって検知される加熱ローラ2の外周面の中央付近の温度および両端部の温度をA/D変換する。CPU34は温度検出回路35から得られた温度データに基づいて、スイッチング回路32a,32bから出力すべき高周波出力の電力を設定し、IH駆動回路33を制御する。ここで、CPU34は温度データと高周波出力との対応関係や各スイッチング回路32a,32bを駆動するタイミング等のデータを書き換えが可能に保持するメモリを有する。メモリ内のデータは、複写機101が設置される国や地域の電源事情あるいは複写機101に許容されている入力可能な電力の最大値に応じて、任意に書き換え可能である。このCPU34は画像形成部103側の制御回路104に接続される。この制御回路104は温度検出回路35からの温度データに基づいてCPU34を制御するメインCPU151と、メインモータ121および定着モータ123を駆動するモータ駆動回路153を含む。
【0028】
上述の定着装置では、加熱ローラ2が次のようにして発熱する。図4に示したスイッチング回路32a,32bからの高周波出力がコイル11aおよび11bにそれぞれ供給されると、高周波出力の周波数に対応する供給電力およびコイル形状に依存して、所定方向の磁束がコイル11a,11bから発生する。このとき、この磁束により発生される磁界の変化を妨げるように、加熱ローラ2の金属部分に、磁束と渦電流が発生する。これに伴い、ジュール熱が渦電流と金属部分自身の抵抗により加熱ローラ2の金属部分に発生する。加熱ローラ2はこのジュール熱で加熱ローラ2と加圧ローラ3との間を通過する用紙Pを加熱する。
【0029】
次に、定着装置の動作について説明する。コピー動作のためのウォームアップ期間では、CPU34からの電力供給指示により、IH駆動回路33がスイッチング回路32aを駆動し、これにより中央のコイル11aに高周波電力を供給する。スイッチング回路32bは加熱ローラ2の表面の温度が中央のコイル11aからの磁束に対応して発生する熱により定着可能温度に達するまで駆動されず、端部のコイル11bに電力を供給しない。
【0030】
加熱ローラ2の表面の温度は温度検知素子6a,6bにより常時監視され、その出力は、温度検知回路35でA/D変換されてCPU34に入力される。
【0031】
ローラ2の中央部の温度が所定温度に達したことが温度検知素子6aにより検知され、温度検出回路35を経由してCPU34に報知されると、図5に示すように、中央のコイル11aへの通電すなわち駆動回路33からスイッチング回路32aへの駆動出力が停止される。続いて、駆動回路33からスイッチング回路32aへの駆動出力が開始される。これにより、高周波電力が加熱ローラ2の両端部に位置するコイル11bへ供給される。
【0032】
加熱ローラ2の両端部はコイル11bへの電力供給に伴って加熱され、所定の温度に上昇する。この間、コイル11aへの電力供給は停止されているため、加熱ローラ2の中央部の温度は徐々に低下する。
【0033】
図5に示すように、加熱ローラ2の両端部の温度と加熱ローラ2の中央部の温度とがほぼ等しくなると、これ以降、高周波電力がコイル11aおよびコイル11bに交互に供給される。これらコイル11aおよびコイル11bの交互駆動は加熱ローラ2の温度が定着可能温度の200°Cに到達するまで継続される。
【0034】
高周波出力の周波数はこのウォームアップ期間にこの定着可能温度に対応する所定周波数まで段階的に高くなるように制御される。また、加熱ローラ2はコピー動作が行われるコピー期間および次のコピー動作のためにこのコピー期間に続いて待機するレディ期間にこの定着可能温度に維持され、このレディ期間に続いて加熱ローラ2を予熱する予熱期間に定着可能温度よりも低い予熱温度まで下降される。予熱期間には、高周波出力の周波数が所定周波数から段階的に低くなるように制御される。上述の制御において、コイル11a,11bは、第1および第2の温度検知素子6a,6bのそれぞれにより検知される温度に基づいて交互に駆動される。
【0035】
ここで、最大高周波電力が例えば1000Wであるとした場合、図6に示すように、高周波出力の周波数が加熱ローラ2を定着可能温度までウォームアップする場合にコイル11a,11bへの高周波電力を0W、250W、500W、750W、1000Wという順序で変化させるように段階的に高められ、加熱ローラ2を定着可能温度から低下させる場合に1000W、750W、500W、250W、0Wという順序で変化するように段階的に低くされる。また、加熱ローラ2を予熱温度から定着可能温度までウォームアップする場合、高周波出力の周波数は図7に示すようにコイル11a,11bへの高周波電力の初期値を500Wとし、この高周波電力を500W、750W、1000Wという順序で変化させるように段階的に高められる。また、加熱ローラ2を定着可能温度から予熱温度まで低下させる場合、高周波出力の周波数は図7に示すようにコイル11a,11bへ高周波電力の最終値を250Wとし、この高周波電力を1000W、750W、500W、250Wという順序で段階的に低くされる。尚、高周波電力の変化割合および電力変化の時間間隔は加熱制御ユニット31および加熱ローラ2の特性等に基づいて適切に調整可能である。
【0036】
尚、コイル11a,11bを異なる高周波出力電力で交互に駆動する場合、その切り換えに伴う大きな電圧変動により周辺照明機器のフリッカ現象が発生し易い。このため、加熱制御ユニット31は中央のコイル11aに供給される高周波電力と両端部のコイル11bに供給される高周波電力との差を所定範囲に維持するように構成される。
【0037】
本実施形態では、交互に駆動されるコイル11aおよびコイル11bを熱源に用いるため、単一のコイルを用いる場合よりも周辺照明機器のフリッカ現象が発生しやすい構造であるが、加熱ローラ2の温度を上昇させる場合および低下させる場合のいずれにおいても目標値の高周波電力に直接的に変化させる代わりに段階的に変化させる。これにより、消費電力の大幅な変化が制限されるため、フリッカの発生を高い信頼性で抑制できる。
【0038】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、誘導加熱方式の熱源に誘導コイルを用いた場合でも照明機器で生じるフリッカ現象を高い信頼性で抑制できると共に、ウォームアップ時間を短縮し消費電力を低減できる定着装置を提供すること
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係るデジタル複写機の内部構造を概略的に示す図である。
【図2】図1に示す定着装置の長手方向に直角な断面構造を示す図である。
【図3】図1に示す定着装置の長手方向の断面構造を示す図である。
【図4】図1に示す定着装置の加熱制御回路の一例を示す回路図である。
【図5】図4に示す加熱制御回路の制御動作により得られる加熱ローラの中央部および両端部の温度変化を示すグラフである。
【図6】図4に示す加熱制御回路の制御により段階的に変化する高周波電力を示すグラフである。
【図7】図4に示す加熱制御回路の制御により段階的に変化される高周波電力の初期値および最終値が予熱温度に基づいて決定された場合のグラフである。
【符号の説明】
2…加熱ローラ
11…励磁コイル
31…加熱制御ユニット
104…制御回路
Claims (2)
- 被定着材に付与された現像剤を定着させる熱源となる対象物の中央部および端部をそれぞれ独立に誘導加熱する中央部および端部コイルからなる誘導コイルと、前記対象物の温度を上昇および低下させる場合に単位時間当たりの変化量を制限するために段階的に変化する高周波電力を前記誘導コイルに供給する加熱制御回路とを備え、前記加熱制御回路は前記対象物全体を定着可能温度まで上昇させるウォームアップにおいて最初に前記中央部コイルを前記高周波電力の供給先に設定し、前記対象物の中央部が定着可能温度に到達してから前記端部コイルを前記高周波電力の供給先に設定し、前記対象物の中央部の温度と前記対象物の端部の温度とがほぼ等しくなってから前記中央部コイルおよび前記端部コイルを交互に前記高周波電力の供給先に設定してさらに前記対象物の中央部の温度と前記対象物の端部の温度との差が所定範囲に収まるように、前記中央部コイルに供給される高周波電力と前記端部コイルに供給される高周波電力とを制御して、前記対象物の温度を前記定着可能温度に到達させるように構成されることを特徴とする定着装置。
- 前記加熱制御回路が前記対象物の温度を上昇および低下させる場合に前記高周波電力の初期値と最終値との電力差を複数の段階に等分してこれら段階の各々を等間隔で次の段階に変化させることにより前記高周波電力の単位時間当たりの変化量を一定にするように構成されることを特徴とする請求項1に記載の定着装置。
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