JP4046208B2 - カバーテープとその製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、各種電子部品、精密機器部品などの微細部品(以下、単に部品とする)の収納や搬送に使用されるキャリアテープの上面を被覆するためのカバーテープとその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、表面実装部品の収納、搬送に、それぞれの部品形状に合わせた形状の凹部が設けられたキャリアテープと、この凹部に部品を収納後、部品の脱落防止、保護のため、ヒートシールまたは粘着剤を用いてシールされるカバーテープが包装材として用いられている。このカバーテープでは実装時に部品がキャリアテープから剥離されて取出され、基板に取り付けられる。
【0003】
現在、上市されているカバーテープは、基材と、これをキャリアテープに接着するための接着剤層とから構成されており、静電気対策が必要なものには、基材または接着剤層の表面に、帯電防止剤または導電剤を塗布するか、あるいは基材表面に帯電防止剤または導電剤が練り込まれた接着剤を塗布している。
【0004】
一方、カバーテープの基材には、2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムにポリエチレン樹脂を積層した2層または3層構造のフィルムが用いられている。このような多層構造のフィルムを基材として用いることにより、2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムのみからなる単層構造のフィルムよりも強度が上昇し、実装時の切れの防止に有効なことが認められている。このカバーテープは、透明性に優れたものとすることができ、また既存の技術、設備で容易に製造できるという製造上の利点がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、ポリエチレンテレフタレートとポリエチレンとは互いに接着し難い材質であることがよく知られており、通常、この2種類の材質の貼り合せには、イソシアネート系、アミン系、イミン系またはこれらを組み合わせたアンカーコート剤が用いられている。しかし、アンカーコート剤を用いた接着には限界があり、例えば、2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム/ポリエチレン樹脂/2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムからなる3層構造のフィルムをキャリアテープのカバーテープとして用いたとき、キャリアテープへの接着強度が大きすぎると、カバーテープをキャリアテープから引き剥す際に、通常の剥離形態である接着剤とキャリアテープとの間で剥離せず、カバーテープの基材を構成するポリエチレンテレフタレートフィルムとポリエチレン樹脂との間で剥離し、キャリアテープ側にポリエチレンテレフタレートフィルムが残る層間剥離現象(以後、単にデラミ現象という)を起こすことがある。デラミ現象が起きると、キャリアテープに収納された部品上にカバーテープの基材が被さってしまい、収納された部品が取り出せない事態となる。また2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム/ポリエチレン樹脂からなる2層構造のフィルムを用いた場合にも、同様にポリエチレン樹脂がフィルム状にキャリアテープ側に残るデラミ現象を起こすことがある。
【0006】
さらに、実装時において、キャリアテープからカバーテープを剥離する際、実装機剥離機構の機械的な要因によって、カバーテープに微細な傷を生じることがある。このような場合、カバーテープに加えられる剥離力により、先に生じた微細な傷を原点としてカバーテープの切れが誘発されることがある。カバーテープが切れると、実装機を停止して修復しなければならず、作業効率が大幅に低下する。
【0007】
カバーテープとして、上記2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム/ポリエチレン樹脂構成のフィルムを用いた場合、破断強度、引裂強度は、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンフィルムをそれぞれ単独で用いた場合よりも強くなるが、引裂伝播抵抗は期待されたほど強くはならない。このことは、微細な傷が生じて切れはじめると、自己修復能力に乏しく、切れが止まらなくなることを意味する。
【0008】
したがって、本発明は、カバーテープの引裂伝播抵抗を向上させ、キャリアテープからカバーテープを剥離する際のカバーテープの切れやデラミ現象の発生を防止したカバーテープの提供を目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、当初、高弾性および耐引裂性に富んだポリウレタンを、カバーテープの基材構成に導入することにより、基材の引裂伝播抵抗を向上させて、切れやデラミに対処しようとしたが、ポリウレタンは柔軟性がありコシがないので、これに少なくとも一層の二軸延伸高分子フィルムを積層することで、剛性を付与することを検討した。しかし、二軸延伸高分子フィルムにポリウレタンを積層するには、工程の都合上、ポリウレタン自身のタック性を抑制する必要があり、従来より行なわれているフィラーを分散してタック性を抑える処方では、透明性を損なったりフィラーがスジや穴などの外観不良をもたらしたりするので、さらに研究を重ねた結果、ポリウレタン原料に、脂肪酸、脂肪酸エステル、脂肪酸アミド、シリコーン系オリゴマーのいずれかを、配合するとよいことがわかり、本発明に到達した。
【0010】
すなわち、本発明の請求項1は、カバーテープにおける引裂伝播抵抗の向上のために基材構成にポリウレタン層を採用し、かつまたポリウレタン層が透明性を損なわないようにした発明で、部品収納用の凹部が複数個連設されているキャリアテープの上面を封止するためのカバーテープが、少なくとも一層の二軸延伸高分子フィルムからなる外層と、脂肪酸、脂肪酸エステル、脂肪酸アミド、シリコーン系オリゴマーのいずれかとポリウレタン系高分子との混合物からなるポリウレタン系マトリックスから構成されている内層と、そのさらに内側の少なくとも一層のシール層との、積層シート状物であることを特徴としている。
【0011】
請求項2および3は、カバーテープのより好適な態様に係り、請求項2は、カバーテープを構成する少なくとも一層のシール層が、熱可塑性メタクリル系高分子 100重量部と表面が導電性酸化錫で被覆されている硫酸バリウム粒子 150〜 400重量部とからなる導電性マトリックスで構成されているものであり、請求項3は、同様の少なくとも一層のシール層が、ポリエステル系高分子を主成分としたマトリックスからなる内層と、上記導電性マトリックスからなる外層との二層構造からなるものである。これらの構成としたことにより、キャリアテープから剥離する際に、シール層において層間剥離を発生させて応力を消化し、デラミに対する抵抗を一層高めることができる。
【0012】
請求項4および5は、請求項1〜3のカバーテープを得るための製造方法に関するもので、請求項4は、部品収納用の凹部が複数個連設されているキャリアテープの上面を封止するための、基材表面にシール層が設けられているカバーテープの製造方法において、熱可塑性ポリウレタンの有機溶剤溶液からなる一液型ポリウレタンまたはポリオール系プレポリマーとジイソシアネートとの混合物からなる二液硬化型ポリウレタンの各固形分 100重量部に対し、脂肪酸、脂肪酸エステル、脂肪酸アミド、シリコーン系オリゴマーのいずれかを0.05〜 3.0重量部添加した混合物を、少なくとも一層の二軸延伸高分子フィルムの上に5〜50μm の厚さで塗布して基材にすることを特徴とし、請求項5は上記と同様のカバーテープの製造方法において、熱可塑性ポリウレタン 100重量部に、脂肪酸、脂肪酸エステル、脂肪酸アミド、シリコーン系オリゴマーのいずれか0.05〜 3.0重量部を溶融・混合し、5〜50μm の厚さでシート状に成形し、これを、少なくとも一層の二軸延伸高分子フィルムと積層して基材にすることを特徴としている。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を、例示した図1〜図3に基づいて詳細に説明する。図1は本発明のカバーテープ1の縦断面説明図で、少なくとも一層の二軸延伸高分子フィルムからなる外層2と、脂肪酸、脂肪酸エステル、脂肪酸アミド、シリコーン系オリゴマーのいずれかとポリウレタン系高分子との混合物からなるポリウレタン系マトリックスから構成されている内層3と、そのさらに内側の少なくとも一層のシール層4との、積層シート状物から構成され、上記外層2と内層3とでシート状の基材5を形成している。
【0014】
図2は、部品6を収納した凹部7が流れ方向に複数個連設されている形状のキャリアテープ8の上部フランジ面9に、図1に示したカバーテープ1をシール層4で接着することで、凹部8の上面を被覆・封止したときの状態を示す縦断面説明図であり、図3は、図2におけるカバーテープ1をキャリアテープ8から剥離して部品6を取り出した後の状態を示す縦断面説明図で、フランジ面9にシール層4が残されるように設計されている。
【0015】
上記外層2を構成する、少なくとも一層の二軸延伸高分子フィルムとしては、ポリアミド、ポリエステル、ポリオレフィンなどの二軸延伸フィルムの単層、このフィルムとポリアミド、ポリエステル、ポリオレフィンなどの非延伸フィルムとの積層物、上記フィルムの単層または積層物の表面に導電性付与剤やプライマーなどのコート剤が塗布されたものなどが挙げられる。これらの内では、コストやポリウレタンとの接着性を考慮すると、二軸延伸ポリエステルフィルムの単層、または上記コート剤が塗布された二軸延伸ポリエステルフィルムが望ましい。外層2の厚さは、5μm を下回ると剛性が不足し、50μm を超えると柔軟性が欠けるので、5〜50μm 、特には8〜20μm とするのが好ましい。
【0016】
上記フィルムの単層または積層物の表面に塗布される導電性付与剤としては、界面活性剤、導電性酸化物、カーボン、金属粒子、導電性高分子、導電性オリゴマーなどを分散させたインクや界面活性剤の単体などが挙げられるが、これらの導電性付与剤の塗布に替えて、二軸延伸前の高分子樹脂中に予め導電性付与剤を配合した後、二軸延伸してもよい。また二軸延伸高分子フィルムからなる外層2とポリウレタン系マトリックスからなる内層3とを強固に接着させる目的で、必要に応じてイソシアネート系、アミン系、イミン系などのアンカート剤を用いたり、二軸延伸高分子フィルムの表面にコロナ放電処理を施してもよい。
【0017】
上記内層3の形成に用いられるポリウレタン系高分子には、一液型ポリウレタン、二液硬化型ポリウレタンまたは熱可塑性ポリウレタンを主成分とするものが挙げられる。このポリウレタン系高分子はプレポリマー、ジイソシアネートおよび鎖延長剤を反応させて合成される。プレポリマーとしてはポリエステル、ポリエーテル、ポリカーボネートまたはこれらのコポリマーが使用され、鎖延長剤としてはジオール、ジアミンなどの活性水素化合物が用いられる。
【0018】
一液型ポリウレタンは、可溶性の熱可塑性ポリウレタンを有機溶剤に溶解したもので、本質的に熱可塑性ポリウレタンに含まれる。この熱可塑性ポリウレタンはジイソシアネート基と活性水素官能基を等量に配合して製造された直鎖状の高分子物である(以下、一液型ポリウレタンと熱可塑性ポリウレタンを区別して説明する)。市販の熱可塑性ポリウレタンは、パウダーまたはペレット状で与えられ、熱溶融させれば任意の形状に成形でき、シート状物を得るには押出またはカレンダー成形によって製造される。他方の一液型ポリウレタンは、トルエン、ジメチルホルムアミド、メチルエチルケトンなどの有機溶剤に熱可塑性ポリウレタンが溶解しているもので、コーティングによってシート状物を得るのに適した材料である。
【0019】
二液硬化型ポリウレタンは、活性水素官能基を有する化合物がジイソシアネート基を有する化合物よりも多く配合して製造されたプレポリマーに、ジイソシアネートまたは鎖延長剤を成形の直前に混合し、成形とほぼ同時に硬化させて得るタイプのポリウレタンである。この二液硬化型ポリウレタンは、▲1▼プレポリマーとジイソシアネート、▲2▼ウレタンオリゴマー(上記熱可塑性ウレタンの有機溶剤溶液も含まれる)と鎖延長剤などからなる二液性の液剤であるので、コーティングによってシート状物を得るのに適している。
【0020】
しかし、ポリウレタン系高分子は非常に付着性に富んでおり、シート状物にすると、巻き取りの際にブロッキングしたり、タッチロールに触れるとロールに密着してシワの原因になったりするので、ポリウレタン系高分子自身に滑性を付与する必要がある。先にフィラーの添加による問題点を記述したが、本発明者らは、カバーテープの好適処方として、ブリードし易い物質(以下、ブリード性物質とする)をポリウレタン系高分子に配合したポリウレタン系マトリックスを採用した。
【0021】
ブリード性物質としては、オレイン酸、ステアリン酸、牛脂、ラウリル酸、リノール酸などの脂肪酸、ラウリル酸メチル、ステアリン酸メチル、パルミチン酸イソプロピルなどの脂肪酸エステル、エチレンビスステアロアミド、エルカ酸アミド、オレイン酸アミド、ステアリン酸アミド、エチレンビスオレイン酸アミド、エチレンビスラウリン酸アミドなどの脂肪酸アミド、ポリハイドロシロキサン系、フェニルシリコーン系、ジメチルシリコーン系などのシリコーン系オリゴマーが挙げられ、その少なくとも1種が選択使用される。
【0022】
本発明のカバーテープの製造に際し、外層2と内層3とからなるシート状の基材5の形成には、液状のポリウレタン系マトリックス(一液型ポリウレタンまたは二液硬化型ポリウレタンとブリード性物質との混合物)を、コンマコーター、ダイコーターなどのコーティング装置を用いて、少なくとも一層の二軸延伸高分子フィルムからなる外層1にコートする方法(請求項4)と、熱可塑性ポリウレタンとブリード性物質の混合物を溶融してから、上記外層1にラミネートする、いわゆる押出ラミネーションや、別途作成した熱可塑性ポリウレタンとブリード性物質との混合フィルムを上記外層1にラミネートする方法(請求項5)とがある。
【0023】
前者の請求項4の方法では、ブリード性物質を予め有機溶剤に溶解させた後、これを一液型ポリウレタンまたは二液硬化型ポリウレタンと混合すれば、容易にポリウレタン系マトリックスとすることができ、これから有機溶剤を除去すれば、一部がブリードして滑性を呈する。後者の請求項5の方法では、ブリード性物質は熱溶融したポリウレタン系高分子と相溶するので、混合され冷却すると一部がブリードしてきて滑性を呈する。ブリード性物質の使用量がポリウレタン系高分子 100重量部に対して、0.05重量部未満では滑性が不十分であり、 3.0重量部を超えるとシール層3との接着性に支障をきたしたり相溶しなかったりするので、0.05〜 3.0重量部の範囲、特には 0.2〜 1.0重量部の範囲とするのが好ましい。
【0024】
ポリウレタン系マトリックスからなる内層の厚さは、5μm を下回ると基材としての物性が期待できず、50μm をこえると熱伝導が悪くシール不良を引き起こすので、5〜50μm 、特には20〜40μm の範囲が望ましい。
【0025】
本発明の請求項2はシール層4の好適形態を示すもので、このシール層4は、熱可塑性メタクリル系高分子 100重量部と表面が導電性酸化錫で被覆されている硫酸バリウム粒子 150〜 400重量部との混合物からなる導電性マトリックスによる単層であってもよいが、請求項3で定義するように、ポリエステル系高分子を主成分としたマトリックスからなる内層と、上記導電性マトリックスからなる外層との二層構造とすることで、さらに好適な形態を採ることができる。これら導電性マトリックスからなるシール層、またはポリエステル系高分子を主成分としたマトリックスからなる内層と上記導電性マトリックスからなる外層との二層構造からなるシール層の、シート状の基材への積層方法は、安価で簡便なグラビアコート、コンマコーターなどによる任意の塗布方法を採用することができる。
次に、上記シール層の形成に用いられる、硫酸バリウム粒子、熱可塑性メタクリル系高分子およびポリエステル系高分子の詳細について説明する。
【0026】
本発明で使用される硫酸バリウム粒子は、表面を導電性酸化錫で被覆されたものに限られる。酸化錫は半導体であるが、アンチモンなど異種の金属をドーピングすることによって初めて低抵抗の導電性を示す。導電性酸化錫のみからなる粒子は、非黒色系導電性フィラーとして古くから注目されていたが、高価で密度が高く重かったりして、カバーテープの導電性付与に使用するには不適当であった。しかし、導電性フィラーは粒子の表面だけが低抵抗であれば十分に機能するので、内部を安価で密度の低い化合物に置き換えた、導電性酸化錫を被覆した硫酸バリウム粒子は、この問題の解決に好適である。導電性酸化錫のコート厚や粒子の形状や粒径分布については特に限定されないが、カバーテープは一般に曇り度20以下の透明性が要求されるので、これを得るには上記粒子の平均粒径が可視光線の波長(2μm )以下であることが望ましい。また粒子の表面にシラン系またはチタネート系などのカップリング剤をコートして分散性を高めてもよい。
【0027】
上記硫酸バリウム粒子とともに導電性マトリックスを形成する熱可塑性メタクリル系高分子は、ポリメチルメタクリレート、ポリエチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレートなどを主成分とする、通常、可溶性のものである。主成分である熱可塑性メタクリル系高分子の種類や組み合わせ、同高分子に導入された官能基の種類、さらには分子量などにより、ガラス転移温度(以下、Tgとする)が変わり、熱的特性や物性の異なる種々のグレードのものが含まれる。本発明においてはTgが20℃以下または30℃以上のものが望ましいが、これはキャリアテープから電子部品を取り出すためのカバーテープの剥離が、普通20〜30℃の空調された環境で行なわれるためで、この温度範囲内にTgがあると、剥離強度に変化を生じて不具合の原因となるからである。
【0028】
熱可塑性メタクリル系高分子と上記硫酸バリウム粒子からの導電性マトリックスの形成には、両者の混合物をインクにして基材面(請求項2の場合)またはポリエステル系高分子を主成分とするマトリックスからなる内層面(請求項3の場合)に塗着することによって行なわれる。これにはまず、熱可塑性メタクリル系高分子を、トルエン、酢酸エチルなどの溶剤に、5〜50%の濃度で溶解させた後、この溶液中に上記硫酸バリウム粒子を分散させる。この場合の上記硫酸バリウム粒子の添加量が、熱可塑性メタクリル系高分子 100重量部に対して 150重量部未満では導電性が不十分であり、 400重量部を超えると脆くなって柔軟性が失われるので、 150〜 400重量部が望ましい。また上記導電性マトリックスからなるシール層の厚さが、 0.3μm 未満ではシール性が不十分であり、3μm を超えると明らかに過剰で、ここまで厚くしなくても充分なシール性が得られるので 0.3〜3μm 、特には 0.5〜1μm とするのが好ましい。
【0029】
次に、請求項3のシール層において、内層に用いられるポリエステル系高分子を主成分とするマトリックスは、ポリエチレンテレフタレート、ポリアルキルエーテル・テレフタレート、ポリエチレンテレフタレート・セバテート、ポリブチレンテレフタレート・イソフタレート、ポリエチレンテレフタレート・イソフタレートなどのポリエステル系高分子を主成分とするもので、主成分であるポリエステル系高分子の種類や組み合わせ、同高分子に導入された官能基の種類、さらには分子量などにより、Tgが変わり、熱的特性や物性の異なる種々のグレードのものが含まれる。ポリエステル系高分子は、Tgが20℃以下または30℃以上のものが望ましい。また物性やその他の熱的性質は可溶性でさえあれば如何なるものでも差し支えない。さらに接着性の付与のために、ポリエステル系高分子 100重量部に対して5〜30重量部の範囲内で、ポリオール系のプレポリマーを配合してもよい。このポリエステル系高分子を主成分とするマトリックスの厚さが 0.5μm 未満ではシールが不十分であり、15μm を超えると明らかに過剰で、ここまで厚くしなくても充分なシール性が得られるので、 0.5〜15μm 、特には1〜10μm が好ましい。
【0030】
【実施例】
次に、実施例及び比較例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこの実施例の記載に限定されるものではない。
【0031】
(実施例1〜7、比較例1〜7)
表面にアンカーコート剤としての D-202(武田薬品工業社製、商品名)が膜厚 0.1μm で塗布されている厚さ16μm の二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムの上に、表1及び表2に記載した配合のポリウレタン系マトリックスを、コンマコーターによってコート厚30μm で積層して得たシート状の基材について、次の基準で外観とブロッキング性を評価し、その結果を表1及び表2に併記した。
【0032】
(評価基準)
・外観:欠点がなく、平滑で透明な状態を「良好」とし、コーティングの際にスジが生ずる状態を「スジ」と表示した。
・ブロッキング性:サンプルを数枚重ね、50kg/cm2の加重を加え、室温で24時間放置した後、1枚ずつ剥せなくなる状態を「あり」とし、剥せる状態を「なし」と表示した。
【0033】
なお、上記配合で使用した薬剤の明細は、それぞれ熱可塑性ポリウレタン:タケラック E-360(武田薬品工業社製、商品名)、ラウリル酸メチル(前出)、エルカ酸アミド:アルフローP-10(日本油脂社製、商品名)、シリコーン系オリゴマー: KF-99(信越化学工業社製、商品名)、シリカ粒子:サンフェスタ H-122(大豊化学社製、商品名)であり、表中のトルエンおよびイソプロピルアルコールにおける配合量は熱可塑性ポリウレタン中に含まれる溶剤と追加した溶剤との合計量を示す。
【0034】
【表1】
Figure 0004046208
【0035】
【表2】
Figure 0004046208
【0036】
表1及び表2から明らかなように、実施例1〜7で得られたシート状の基材はブロッキングがなく外観も良好であり、これらはカバーテープの基材として適正であったが、比較例1〜5で得られたシート状の基材は表裏が密着(ブロッキング)して次工程の加工が不可能であった。また比較例6〜7ではコーターに粒子が引っかかりスジを生じた。
【0037】
(実施例8)
実施例1で用いたのと同じアンカーコート剤が膜厚12μm で塗布され、かつポリエチレンテレフタレート 100重量部に対し、界面活性剤:エレガンC-2110(日本油脂社製、商品名)が 0.5重量部配合された、二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムの上に、固形分が40%の二液硬化型ポリウレタン:タケラック T-4000 (武田薬品工業社製、商品名) 100重量部に対し、イソシアネート系マトリックス D-103H (同前)5重量部とラウリル酸メチル(前出)を 1.2重量部(二液硬化型ポリウレタンの固形分に対して 0.3重量%)混合してなるポリウレタン系マトリックスを、コンマコーターにてコート厚30μm で塗布してシート状の基材を得た。得られた基材はブロッキングがなく外観も良好で、カバーテープの基材として適正であった。
【0038】
(実施例9)
実施例1で用いたのと同じアンカーコート剤が膜厚12μm で塗布され、かつ実施例8と同様の界面活性剤が同量配合されている、二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムの上に、 180〜 220℃の領域に温度調節された二軸押出機にて、熱可塑性ポリウレタンのペレット:エラストランC80A(武田バーディシュウレタン工業社製、商品名) 100重量部とラウリル酸メチル(前出) 0.3重量部を溶融/相溶させたものを、厚さ30μm で塗布してシート状の基材を得た。得られた基材はブロッキングがなく外観も良好で、カバーテープの基材として適正であった。
【0039】
実施例1〜9で得られた基材に、Tgが−20℃のポリエステル系高分子:バイロン 500(東洋紡績社製、商品名)の有機溶剤溶液をグラビアコートで3μm の厚さに塗布した。次いで、この塗布面に、Tgが50℃のポリメチルメタクリレート:ダイヤナール BR-90(三菱レイヨン社製、商品名) 100重量部に対して、粒径が 0.3μm でアンチモンドープの酸化錫がコーティングしてある硫酸バリウム:パストラン4700(三井金属社製、商品名) 300重量部を混合分散してインクを作製し、グラビアコートで厚さ1μm に塗布した後、幅30mmにスリットしたところ、二層構造のシール層を有するカバーテープを得た。
得られたカバーテープについて、破断強度、伸びおよび引裂伝播抵抗の各物性と表面抵抗を測定すると共に、このカバーテープを 170℃に温度調節したシーラーを用いてポリスチレン製キャリアテープのフランジ面にシールした後、両者を剥離して剥離強度を測定した。結果は表3に示す通りで、実施例1〜9のカバーテープのすべてが合格し、ポリスチレン製キャリアテープ対応に適し、デラミもなく優れたものであった。
【0040】
(比較例8)
実施例1で用いたのと同じアンカーコート剤が膜厚12μm で塗布され、かつ実施例8と同様の界面活性剤が同量配合されている、二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムの上に、 180〜 220℃の領域で温度調節された二軸押出機にて、ポリエチレン系高分子のペレット:ハイゼックス6800(三井化学工業社製、商品名) 100重量部とラウリル酸メチル(前出)を 0.3重量部を溶融/相溶させたものを、厚さ30μm で積層して、シート状をした基材を得た。
次いで、Tgが50℃のポリメチルメタクリレート:ダイヤナール BR-90(前出) 100重量部に対し、粒径が 0.3μm でアンチモンドープの酸化錫がコーティングしてある硫酸バリウム:パストラン4700(前出) 300重量部を混合分散して導電性マトリックスからなるインクを作製し、これをグラビアコートにより上記基材に厚さ1μm で塗布した後、幅30mmにスリットしたところ、シール層を有するカバーテープを得た。
得られたカバーテープについて実施例1と同様の物性と表面抵抗を測定すると共に、このカバーテープを 170℃に温度調節したシーラーを用いてポリスチレン製キャリアテープのフランジ面にシールした後、両者を剥離したところ、デラミが生じ、剥離強度は破れて計測不能であった。測定結果を表3に示す。
【0041】
【表3】
Figure 0004046208
【0042】
(実施例10〜12、比較例9〜10)
実施例9で得られた基材に、Tgが50℃のポリメチルメタクリレート:ダイヤナール BR-90(前出) 100重量部に対して、導電性酸化錫がコートされた硫酸バリウム:パストラン4700(前出)を、それぞれ 100、 150、 300、 400および 450重量部混合分散して5種類のインクを作製し、それぞれのインクを用いてグラビアコートで厚さ1μm に塗布してシール層を形成し、それぞれ比較例9、実施例10、11および12並びに比較例10としての5種類のカバーテープを得た。
得られたカバーテープについて、曇り度、破断強度、伸びおよび引裂伝播抵抗の各物性とシール層側の表面抵抗を測定すると共に、このカバーテープを 170℃に温度調節したシーラーを用いてポリスチレン製キャリアテープのフランジ面にシールした後、両者を剥離して剥離強度を測定した。結果は表4に示す通りで、実施例10〜12のカバーテープでは表面抵抗を含めたすべての項目で合格し、ポリスチレン製キャリアテープ対応に適し、デラミもなく優れたものであったが、比較例9は表面抵抗が帯電防止領域に至らず、比較例10は表面がひび割れて脱落してしまって、いずれも不合格であった。
【0043】
【表4】
Figure 0004046208
【0044】
【発明の効果】
本発明によれば、▲1▼透明性を損なわない、▲2▼ブロッキングしない、といった品質や工程上の問題を解決して、特に引裂伝播抵抗に優れたポリウレタンを基材の構成材料として採用しているので、カバーテープにおけるデラミの発生を軽減させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のカバーテープの縦断面説明図である。
【図2】キャリアテープのフランジ面に、図1に示したカバーテープ1を接着・封止したときの状態を示す縦断面説明図である。
【図3】図2におけるカバーテープをキャリアテープから剥離して部品を取り出した後の状態を示す縦断面説明図である。
【符号の説明】
1…カバーテープ、
2…外層、
3…内層、
4…シール層、
5…(シート状の)基材、
6…部品、
7…凹部、
8…キャリアテープ、
9…フランジ面。

Claims (5)

  1. 微細部品収納用の凹部が複数個連設されているキャリアテープの上面を封止するためのカバーテープが、少なくとも一層の二軸延伸高分子フィルムからなる外層と、脂肪酸、脂肪酸エステル、脂肪酸アミド、シリコーン系オリゴマーのいずれかとポリウレタン系高分子との混合物からなるポリウレタン系マトリックスから構成されている内層と、そのさらに内側の少なくとも一層のシール層との、積層シート状物であることを特徴とするカバーテープ。
  2. 少なくとも一層のシール層が、熱可塑性メタクリル系高分子 100重量部と導電性酸化錫が被覆されている硫酸バリウム粒子 150〜 400重量部とからなる導電性マトリックスで構成されている請求項1記載のカバーテープ。
  3. 少なくとも一層のシール層が、ポリエステル系高分子を主成分としたマトリックスからなる内層と、請求項2記載の導電性マトリックスからなる外層とから構成されている請求項1記載のカバーテープ。
  4. 微細部品収納用の凹部が複数個連設されているキャリアテープの上面を封止するための、基材表面にシール層が設けられているカバーテープの製造方法において、熱可塑性ポリウレタンの有機溶剤溶液からなる一液型ポリウレタンまたはポリオール系プレポリマーとジイソシアネートとの混合物からなる二液硬化型ポリウレタンの各固形分 100重量部に対し、脂肪酸、脂肪酸エステル、脂肪酸アミド、シリコーン系オリゴマーのいずれかを0.05〜 3.0重量部添加した混合物からなるポリウレタン系マトリックスを、少なくとも一層の二軸延伸高分子フィルムの上に、5〜50μm の厚さで塗布して基材にすることを特徴とするカバーテープの製造方法。
  5. 微細部品収納用の凹部が複数個連設されているキャリアテープの上面を封止するための、基材表面にシール層が設けられているカバーテープの製造方法において、熱可塑性ポリウレタン 100重量部に、脂肪酸、脂肪酸エステル、脂肪酸アミド、シリコーン系オリゴマーのいずれか0.05〜 3.0重量部を溶融・混合し、5〜50μm の厚さでシート状に成形し、これを少なくとも一層の二軸延伸高分子フィルムと積層して基材にすることを特徴とするカバーテープの製造方法。
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