JP4043497B2 - 超音波振動子の振動特性の調整方法およびそれに用いられる超音波振動子 - Google Patents

超音波振動子の振動特性の調整方法およびそれに用いられる超音波振動子 Download PDF

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Description

本発明は、超音波振動子の振動特性の調整方法およびそれに用いられる超音波振動子に関するものである。
従来から、圧電素子の振動を利用する超音波振動子が用いられている。この超音波振動子は、磁気の影響を受けず、小型であり、高いトルクを有し、高い応答速度を有し、かつ、無通電状態において停止しているなど、様々な利点を有している。そのため、超音波振動子は、特に携帯電話のオートフォーカス駆動機構等のための有望な素子である。
ただし、超音波振動子は、複数種類の振動を組合せることによって所望の駆動力を得ているため、寸法誤差および製造プロセスにおいて、その振動特性が変化してしまえば、所望の駆動特性が得られないことがある。
以下、従来の複数の振動を組合せて所望の駆動力を得る超音波振動子が説明される。
なお、一例として説明される超音波振動子は、縦振動(以下、「伸縮振動」という。)とたわみ振動(以下、「屈曲振動」という。)とを組合せて楕円振動を生じさせるものである。
前述の超音波振動子は、実質的に長方形の平面形状を有する振動板に伸縮振動および屈曲振動を同時に生じさせることによって、所望の振動特性を得ている。伸縮振動および屈曲振動を同時に生じさせるためには、振動板に生じる伸縮振動の共振周波数と屈曲振動の共振周波数とを実質的に一致させることが必要である。そのため、前述の超音波振動子は、伸縮振動の共振周波数と屈曲振動の共振周波数とが実質的に一致するように設計される。
なお、「伸縮振動の共振周波数と屈曲振動の共振周波数とが実質的に一致する」とは、個々の製品のために要求される駆動力を得ることができる程度に、伸縮振動の共振周波数と屈曲振動の共振周波数とが近似していれば、伸縮振動の共振周波数と屈曲振動の共振周波数とが完全に同一の値である必要はないという意味である。
しかしながら、前述の超音波振動子が実際に組み立てられると、圧電素子および振動板の寸法における誤差、圧電素子と振動板との位置合わせにおける誤差、および電極の寸法における誤差、超音波振動子の製品への組み付け位置における誤差等に起因して、伸縮振動の共振周波数と屈曲振動の共振周波数が実質的に一致しないために、所望の振動特性を得ることができないことがある。
図20は、特開2001−286167号公報において開示されている超音波振動子であって、前述の超音波振動子の一例を示している。この超音波振動子によれば、支持体24、突起25、調整部21、および振動板22に伸縮振動および屈曲振動が同時に生じる。それにより、振動板22に楕円振動が生じる。振動板22には突起25が設けられており、振動板22の楕円振動に合わせて突起25にも楕円振動が生じる。その結果、突起25に当接している被駆動体23が回転する。また、振動板22には振動特性を調整するための調整部21が設けられている。この超音波振動子によれば、調整部21の形状を変化させることによって、振動特性を変化させることが可能である。
特開2001−286167号公報
上述の特開2001−286167号公報の超音波振動子の振動特性の調整方法においては、調整部21を設ける位置と振動の節の位置との関係が全く考慮されていない。そのため、前述の調整部21の形状を変化させると、伸縮振動および屈曲振動の双方の共振周波数が変化してしまう。つまり、振動特性が調整されるときには、複数の振動の共振周波数の全てが変化してしまう。したがって、複数の振動の共振周波数同士を実質的に一致させることは極めて困難である。
本発明は、上述の問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、超音波振動子が組み立てられた後においても、複数の振動の共振周波数同士を実質的に一致させることが容易な超音波振動子の振動特性の調整方法およびそれに用いられる超音波振動子を提供することである。
本発明の超音波振動子の振動特性の調整方法は、複数種類の振動を組合せて被駆動体を駆動する超音波振動子の振動特性を調整するものである。複数種類の振動は、それぞれ、振幅が実質的にゼロである振動の節を有している。この方法においては、超音波振動子の振動の特性を調整する作業者は、複数種類の振動の節のうちの一の種類の振動の節の位置およびその近傍の位置を含む領域を一の領域とし、かつ、一の種類の振動とは異なる他の種類の振動の節の位置およびその近傍の位置を含む領域を他の領域としたときに、一の領域内にありかつ他の領域外にある構造の物理量を変化させる。それにより、一の領域に振動の節を有する振動の特性を実質的に変化させることなく他の領域に振動の節を有する振動の特性が調整される。
一般に、超音波振動子を用いる製品の製造においては、圧電素子、振動板、または電極の形状の誤差、圧電素子、振動板、および電極同士の間における貼り合わせ誤差、ならびに超音波振動子の最終製品への組付け誤差等が生じてしまう。そのため、被駆動体の駆動に必要な振動の共振周波数のうち、少なくとも1つの共振周波数が、設計値と異なる値になってしまう。その結果、被駆動体の駆動に必要な全ての振動の共振周波数が実質的に一致しないという不具合が生じてしまう。この場合に、上記の方法によれば、被駆動体の駆動に必要な複数種類の振動のうちの1の種類の振動の特性を変化させることなく、他の種類の振動の特性を調整することができる。したがって、被駆動体の駆動に必要な全ての種類の振動の共振周波数を実質的に一致させることが、従来の方法に比較して容易である。
なお、構造の物理量は、質量、剛性、形状、および内部応力のうち少なくともいずれかを含んでいるが、振動特性を調整することができるものであれば、いかなるものであってもよい。また、振動の節の近傍の位置は、振動の節に隣接する位置を含み、振動特性の調整を実質的に容易に行ない得る位置であれば、いかなる位置であってもよい。たとえば、振動の節の近傍の位置は、平面的に見て振動の節が点で表現される場合に、振動の節を囲むような周縁状の領域を含む。
一の領域における構造が突出部であり、その物理量が突出部の物理量であってもよい。この方法によれば、突出部の物理量を変化させれば、振動特性を調整することができるため、他の構造の物理量を変化させて振動特性を調整する方法に比較して、振動特性の調整が容易である。
また、突出部の物理量は、研削によって変化してもよい。この方法によれば、突出部を研削するという極めて簡単な作業で、振動特性を調整することができる。
また、突出部の物理量は、加熱処理によって変化してもよい。この方法によれば、突出部の形状を変化させることなく、振動特性を調整することができる。
また、物理量は、前記突出部への所定部材の付加によって変化してもよい。この方法によっても、一の領域に振動の節を有する振動の特性を実質的に変化させることなく他の領域に振動の節を有する振動の特性を容易に調整することができる。
また、一の領域に凹部を設けることによって、構造の物理量が変化してもよい。この方法によれば、一の領域に振動の節を有する振動の特性を実質的に変化させることなく他の領域に振動の節を有する振動の特性を容易に調整することができる。
また、複数種類の振動は、伸縮振動と屈曲振動とを有し、伸縮振動および前記屈曲振動のうちいずれか一方の振動特性が調整されてもよい。これによれば、楕円振動をする一般的な超音波振動子の振動特性を容易に調整することができる。
また、伸縮振動の特性を調整することなく、屈曲振動の特性が調整されてもよい。これによれば、屈曲振動の振動特性を調整することなく、伸縮振動の振動特性を調整する方法に比較して、振動特性の調整が容易である。
また、突出部が当該超音波振動子を支持するための支持用突出部として機能してもよい。この方法によれば、振動特性の調整用の突出部とは別に、支持用突出部を設ける必要がない。そのため、部品点数の増加なく、超音波振動子の振動特性を容易に調整することができる。
本発明の超音波振動子は、複数種類の振動を組合せて被駆動体を駆動するものである。複数種類の振動は、それぞれ、振幅が実質的にゼロである振動の節を有している。複数種類の振動の節のうちの一の種類の振動の節の位置およびその近傍の位置を含む領域を一の領域とし、かつ、一の種類の振動とは異なる他の種類の振動の節の位置およびその近傍の位置を含む領域を他の領域としたときに、一の領域内であってかつ他の領域外に振動特性調整部が設けられている。振動特性調整部は、その構造の物理量を変化させることにより、一の領域に振動の節を有する振動の特性を実質的に変化させることなく他の領域に振動の節を有する振動の特性を調整し得る構造を有するものである。
この構造によれば、一の領域に振動の節を有する振動の特性を実質的に変化させることなく他の領域に振動の節を有する振動の特性を調整することが容易になる。その結果、被駆動体の駆動に必要な全ての振動の共振周波数を実質的に一致させることが、従来の構造に比較して容易になる。
前述の振動特性調整部が突出部を有してれば、突出部の形状、剛性、質量、および内部応力のうち少なくともいずれかを変化させることによって、一の領域に振動の節を有する振動の特性を実質的に変化させることなく他の領域に振動の節を有する振動の特性を調整することが容易になる。したがって、振動特性の調整作業が容易になる。
また、前述の振動特性調整部が凹部を有していれば、凹部に物体を付加するだけで、振動特性調整部の質量を変化させることができる。そのため、一の領域に振動の節を有する振動の特性を実質的に変化させることなく他の領域に振動の節を有する振動の特性の調整することが容易になる
また、突出部が当該超音波振動子を支持する支持用突出部として機能してもよい。この構造によれば、支持用突出部とは別個に、振動特性を調整するための突出部を設ける必要がない。そのため、部品点数の増加なく、超音波振動子の振動特性を容易に調整することができる。
また、突出部が超音波振動子によって駆動される被駆動体に対して超音波振動子を押し付けるための押付用突出部として機能してもよい。この構造によれば、振動特性を調整するための振動特性調整部と、被駆動体に対して超音波振動子を押し付ける押付用突出部とが同一の部品からなる。そのため、超音波振動子の部品点数の増加なく、超音波振動子の振動特性の調整をすることができる。
図1〜図19を用いて、本発明の実施の形態の超音波振動子の調整方法およびそれに用いられる超音波振動子が説明される。なお、本明細書においては、振動の節とは、その振動のみが生じているときに、その振幅が実質的にゼロである領域を意味する。たとえば、伸縮振動の節とは、伸縮振動のみが生じているときに、振動板の主板部の振幅が実質的にゼロであるような領域を意味し、屈曲振動の節とは、屈曲振動のみが生じているときに、振動板の主板部の振幅が実質的にゼロであるような領域を意味する。振幅が実質的にゼロである状態は、被駆動体の駆動にとって無視できる程度の振幅で超音波振動子が振動している状態を含む。
(実施の形態1)
以下、図1〜図13を用いて、本発明の実施の形態1の超音波振動子の振動特性の調整方法およびそれに用いられる超音波振動子が説明される。
本実施の形態の超音波振動子は、複数の振動を組合せからなる動作をする超音波振動子1が組み立てられた後においても、前述の動作のために必要な2種類の振動のうちの1つの振動の特性を他の振動から独立して調整することが可能なものである。
<全体構成>
まず、図1を用いて、本発明の実施の形態の超音波モータ100が説明される。図1は、超音波モータ100の平面図である。図1に示されるように、超音波モータ100は、超音波振動子1およびそれによって回転させられるロータ2からなっている。ロータ2は本発明の被駆動体の一例である。したがって、被駆動体は、回転するものに限定されず、他の動作をするものであってもよい。
超音波振動子1は、振動板7を有している。振動板7は、支持用突出部3を有している。貫通孔50が支持用突出部3に設けられている。シャフト5が貫通孔50を貫通している。また、シャフト5は、図2に示されるように、支持体4に固定されている。主板部6の4つの角部のうちの1の角部Sにロータ2の外周面が当接している。ロータ2は、支持体4に回転可能に支持されているが、そのための機構は図示されていない。
また、超音波振動子1には、電極9,10,11,12,17および圧電素子8が設けられている。電極9,10,11,12,および17は、所定の信号が入力され得るように、制御装置(図示せず)に電気的に接続されている。
また、本実施の形態の超音波振動子1は、電極9,10,11,12,17に信号が入力されると、圧電素子8が振動する。圧電素子8の振動は、振動板7の主板部6に伝達される。その結果、主板部6の角部Sが楕円軌道Eを描くように、振動板7が振動する。その結果、角部Sに接触しているロータ2が円軌道Cに沿って移動する。すなわち、ロータ2がその回転中心軸周りに回転する。
<超音波振動子>
次に、図2および図3を用いて、超音波振動子1の構造がより詳細に説明される。図2および図3は、それぞれ、超音波振動子1の斜視図および分解斜視図である。
図2および図3に示されるように、超音波振動子1は振動板7を有している。振動板7は、シャフト5に固定された支持用突出部3と、支持用突出部3と一体的に形成され、振動によってロータ2を回転させる主板部6とを有している。
主板部6は、幅2mm、長さ9mm、かつ厚さ0.2mmの実質的に長方形の平面形状を有する平板状部材である。また、支持用突出部3は、主板部6の長辺の中央位置から主板部6の短辺方向に沿って延びるように、主板部6の長辺から突出しており、幅1mm、長さ2.15mmかつ厚さ0.2mmの実質的に長方形の平面形状を有する平板状部材である。
支持用突出部3には、直径0.6mmの円形の貫通孔50が設けられている。貫通孔50の直径は、0.6mmであり、シャフト5の直径と同一である。貫通孔50が、主板部6の長辺の中央位置から貫通孔50の中心点までの距離が1.0mmである。圧電素子8は主板部6の表面および裏面のそれぞれに取り付けられている。圧電素子8は、幅2mm、長さ8mm、かつ幅0.2mmの長方形の平面形状を有する平板状部材である。また、圧電素子8の長辺と主板部6の長辺とが一致するように、圧電素子8は主板部6に対して電極17を介して固定されている。
なお、振動板7および圧電素子8のそれぞれの寸法および形状は、上述の寸法および形状に限定されず、他の寸法および形状であってもよい。また、振動板7の材料は、特に限定されないが、ステンレス等の導電性を有する材料であることが望ましい。また、支持用突出部3と主板部6とは、別個の部材からなっていてもよいが、それらが1つの部材で一体的に形成されていることが望ましい。
圧電素子8は、チタン酸ジルコニウム酸鉛(PZT)かならなっているが、電圧が印加されて振動する素子であれば、いかなる材料からなっていてもよい。圧電素子8の一方の主表面上には、電極9,10,11,および12が取り付けられている。電極9,10,11,および12は、互いに同一の長方形の平面形状を有する平板状部材である。電極9,10,11,および12は、圧電素子8の一方の主表面が実質的に同一の4つの長方形の領域に分割されたとすると、4つの長方形の領域のそれぞれに設けられている。また、圧電素子8の他方の主表面上には、実質的に長方形の電極17が設けられている。電極17は、圧電素子8の他方の主表面と同一の長方形の平面形状を有する平板状部材である。
本実施の形態の超音波振動子1においては、2つの圧電素子8は、それぞれ、主板部6の一方の主表面および他方の主表面上に、電極17を介して設けられている。
2つの電極17は、それぞれ、その長辺方向が主板部6の長辺方向とが一致するように、主板部6の一方および他方の主表面に固定されている。2つの電極17は、それぞれ、銀ペーストなどの導電性接着剤によって主板部6に接着されている。
なお、圧電素子8と主板部6とが導電性接着剤によって接着されるのであれば、電極17が圧電素子8と主板部6との間に設けられていなくてもよい。この場合、導電性接着剤が電極17の役割を果たす。特に、本実施の形態の超音波振動子のように、主板部6がステンレスなどの導電性材料からなる場合には、2つの圧電素子8の電極17には、それぞれ、常に0Vの信号が入力されているため、圧電素子8と主板部6とが導電性接着剤によって接合されていれば、電極17が圧電素子8と主板部6との間に設けられていなくても、主板部6が電極17の役割を果たすことができる。
また、振動板7の一方の主表面に取り付けられている圧電素子8およびそれに取り付けられている電極9,10,11,12,および17と、振動板7の他方の主表面に取り付けられている圧電素子8およびそれに取り付けられている電極9,10,11,12,および17とは、振動板7の厚さ方向において鏡面対称に配置されている。したがって、振動板7の一方の主表面上の圧電素子8の振動特性と、振動板7の他方の主表面上の圧電素子8の振動特性とは実質的に同一である。したがって、本実施の形態の振動板7は、その面内方向において振動する。また、振動板7の主板部6は長方形であるため、前述の面内方向において、振動板7の角部Sは楕円振動する。
なお、本発明の目的を達成することができるのであれば、振動板7の一方の主表面に取り付けられている圧電素子8および電極9,10,11,12,および17と、振動板7の他方の主表面に取り付けられている圧電素子8および電極9,10,11,12,および17とは、非対称な構造を有し、または、非対称に配置されていてもよい。
次に、図4〜図7を用いて、本実施の形態の超音波振動子1の駆動方法が説明される。 超音波振動子1が駆動されるときには、所定の信号が、外部に設けられた制御装置(図示せず)から電極9,10,11,12,および17へ入力される。なお、振動板7の一方の主表面側に位置付けられた電極9,10,11,12,および17に入力される信号(印加電圧)は、振動板7の他方の主表面側に位置付けられた電極9,10,11,12,および17に入力される信号(印加電圧)に対して、主板部6を介して、鏡面対称に入力される。ただし、本発明の目的を達成することができるのであれば、振動板7の一方の主表面側に位置付けられた電極9,10,11,12,および17に入力される信号(印加電圧)と、振動板7の他方の主表面側に位置付けられた電極9,10,11,12,および17に入力される信号(印加電圧)とは、非対称であってもよい。
図3に示されるように、電極9と電極12とは、結線されており、同一の信号(φ1)が入力される、電極10と電極11とは、結線されており、同一の信号(φ2)が入力される。したがって、電極9,10,11,および12に入力される信号は、図4に示されるように、4つのモード(A),(B),(C),および(D)を有している。なお、図4には、振動していない状態の電極9,10,11,および12の全体の外形が破線で描かれ、伸縮振動または屈曲振動している状態の電極9,10,11,および12のそれぞれの形状が実線で描かれている。また、図5に示されるように、電極9および電極11に入力される信号と電極10および電極12に入力される信号とは、その位相において90度のズレを有しているが、同一の振幅および周波数を有している。
上述の超音波振動子1の主板部6は、図6に示される伸縮振動および図7に示される屈曲振動との組合せの振動を行なう。図6に示される伸縮振動によれば、振動板7の主板部6は、白抜き矢印で示されるように、長辺方向において圧縮されたり伸張されたりする。それにより、角部Sは、長辺方向に振動する。一方、図7に示される屈曲振動によれば、振動板7は、一のS字形状からそれに鏡面対称な他のS字形状へ変化する。それにより、振動板7の主板部6の角部は、白抜き矢印で示すように、短辺方向において振動する。
なお、主板部6が伸縮振動する場合には、図4から分かるように、長辺方向の振幅が短辺方向の振幅に対して極めて大きいため、角部Sは実質的に長辺方向に振動すると言えるが、主板部6が屈曲振動する場合には、長辺方向の振幅と短辺方向の振幅との差があまり大きくないため、角部Sは、実際には、電極形状に応じて斜め方向に振動する。
伸縮振動の共振周波数と同一の周波数で変化する電圧が、電極9,10,11,および12のそれぞれに同一の位相で印加されると、主板部6は、図6に矢印で示される方向において、伸縮振動を行なう。また、屈曲振動の共振周波数と同一の周波数で変化する電圧(正)が、電極9および11のそれぞれに同一の位相で印加され、電極9および11とは逆位相の電圧(負)が、電極10および12のそれぞれに印加されると、主板部6は、図7に矢印で示されるように、屈曲振動を行なう。なお、2つの電極17のそれぞれには、常に、基準電位(0V)が与えられている。
なお、図6および図7においては、それぞれ、伸縮振動の節の位置Xおよび屈曲振動の節の位置Yがハッチングによって示されている。振動の節とは、主板部6のうちの実質的に振幅がゼロである位置である。また、電極の形状は、長方形に限定されず、超音波振動子1が伸縮振動および屈曲振動の双方を生じさせることができる形状であれば、いかなる形状であってもよい。
また、従来の超音波振動子1によれば、伸縮振動の共振周波数aと屈曲振動の共振周波数bとが、図8に示されるように、実質的に同一ではない、すなわち、Δφだけずれている場合に、そのズレΔφを低減することが極めて困難であった。それは、伸縮振動の共振周波数aおよび屈曲振動の共振周波数bの調整において、それらの一方を他方から独立して変化させることができなかったためである。
しかしながら、本実施の形態の超音波振動子1の構造によれば、次のような理由により、ズレΔφを低減することが容易である。上述の超音波振動子1の構造によれば、図6に示されるように、支持用突出部3が伸縮振動の節の位置Xに設けられている。支持用突出部3の構造の物理量、たとえば、形状、剛性、質量、および内部応力のうちの少なくともいずか1つを変化させれば、伸縮振動の振動特性を変化させることなく、屈曲振動の特性を変化させることができる。したがって、伸縮振動の共振周波数aと屈曲振動の共振周波数bとを実質的に一致させることが容易である。
伸縮振動の共振周波数aおよび屈曲振動の共振周波数bのそれぞれと同一の周波数で同一位相の電圧が電極9および11に印加され、電極9および11と同一の周波数であってかつ位相が+90度だけずれた電圧が電極10および12に印加される。それにより、伸縮振動と屈曲振動とが、電極に入力された交流電圧の1周期の4分の1ごとに交互に生じる。その結果、ロータ2に接触している主板部6の角部Sが、図1に参照符号Eで示されるように、楕円振動を行なう。
また、電極10および12に電極9および11と同一周波数であってかつ位相が−90度だけずれた電圧が印加されると、図1に参照符号Eで示された方向とは逆方向の楕円振動が生じる。また、ある一方向にロータ2が回転している状態で、電極9,11および電極10,12に入力されている信号のうちいずれか一方の位相が180度だけ変化すれば、超音波振動子1の角部Sに当接しているロータ2の回転方向が反転する。
なお、超音波振動子1は、図9に示されるように、図7に示された屈曲振動の節の位置Yまたはその近傍の位置であって、かつ、図6に示された伸縮振動の節の位置Yまたはその近傍以外の位置に、振動特性を調整するための調整用突出部20を有していてもよい。ただし、調整用突出部20は、圧電素子8または振動板7の一部として形成されていてもよいとともに、圧電素子8または振動板7に対する他の材料の付加によって形成されてもよい。
図9に示される構造を有する超音波振動子1によれば、調整用突出部20を研削または加熱したり、調整用突出部20に何らかの部材を付加したりして、屈曲振動の共振周波数bを変化させることなく、伸縮振動の共振周波数aを変化させることができる。したがって、伸縮振動の共振周波数aと屈曲振動の共振周波数bとの位相のズレを容易に低減することができる。
<超音波振動子の振動特性調整方法>
超音波モータ100において、最大の駆動効率を得るためには、超音波振動子1が組み立てられて、超音波モータ100の所定の位置に組み付けられた状態で、伸縮振動の共振周波数aと屈曲振動の共振周波数bとが実質的に一致していることが必要である。しかしながら、伸縮振動の共振周波数aと屈曲振動の共振周波数bとが実質的に一致するように設計された超音波振動子1であっても、圧電素子8または振動板7の寸法における誤差、圧電素子8と振動板7の位置合せにおける誤差、および電極の寸法における誤差等の要因のために、図8に示されるように、実際に組み立てられ、超音波モータ100に組み付けられた超音波振動子1の伸縮振動の共振周波数aと屈曲振動の共振周波数bとの間に、ズレΔφが生じることがある。なお、図8において、横軸は周波数f(=1/T)を示し、縦軸は、伸縮振動の長辺方向の振動の振幅および屈曲振動の短辺方向の振動の振幅Fを示す。
図10は、本発明者の行なったシミュレーションの結果であって、支持用突出部3の長さL1と超音波振動子1の伸縮振動の共振周波数aおよび屈曲振動の共振周波数bの変化との関係を示している。図10に示されるように、支持用突出部3の長さL1が増加するにつれて、超音波振動子1の屈曲振動の共振周波数bは、近似的には直線的に減少するが、伸縮振動の共振周波数aは、ほぼ一定である。
図6および図7にハッチングによって示された部分は、伸縮振動の節の位置Xおよび屈曲振動の節の位置Yに相当する。支持用突出部3は、主板部6に生じる伸縮振動の節の位置Xまたはその近傍の位置に設けられており、かつ、屈曲振動の節の位置Yまたはその近傍からは離れた位置に設けられている。したがって、支持用突出部3の長さL1を変化させると、伸縮振動の共振周波数aは変化しないが、屈曲振動の共振周波数bは変化する。
超音波振動子1が超音波モータ100の所定の位置に取り付けられた後に、支持用突出部3を研削することによって、その形状および質量を変化させることができる。それにより、伸縮振動の共振周波数aがほぼ一定である状態で屈曲振動の共振周波数bのみを調整することができる。その結果、伸縮振動の共振周波数aと屈曲振動の共振周波数bとを実質的に一致させることが容易になる。また、支持用突出部3の形状および質量を変化させる代わりに、焼きなまし等などの加熱処理によって支持用突出部3の剛性等の物性を変化させることによっても、伸縮振動の共振周波数aを一定に維持した状態で、屈曲振動の共振周波数bの調整することが容易である。
次に、支持用突出部3の開放端を削ることによって、つまり、支持用突出部3の形状および質量を変化させることによって、超音波振動子1の振動特性を調整する方法が具体的に説明される。
組み立てが行なわれ、製品の所定の位置に組み付けられた超音波振動子1の屈曲振動の共振周波数bが伸縮振動の共振周波数aよりも低い場合には、伸縮振動の共振周波数aと屈曲振動の共振周波数bとを実質的に一致させるために、屈曲振動の共振周波数bを伸縮振動の共振周波数aまで増加させることが必要である。
本実施の形態においては、図11に示されるように、支持用突出部3の開放端を削り、支持用突出部3を短くすることによって、屈曲振動の共振周波数bを増加させて伸縮振動の共振周波数aに一致させる。この方法によれば、超音波振動子1の振動特性を容易に調整することが可能である。また、シャフト5の貫通孔50と主板部6との間において支持用突出部3は研削されていないため、支持用突出部3の強度が維持された状態で、超音波振動子1の振動特性を調整することが可能である。
また、図12に示されるように、支持用突出部3に設けられた貫通孔50の中心位置から同一の距離だけ離れた2つの位置のそれぞれに凹部55を設け、支持用突出部3の形状および質量を変化させてもよい。これによれば、伸縮振動の共振周波数aを変化させることなく、屈曲振動の共振周波数bのみを変化させることができる。
また、図8に示されたように、2つの凹部55が、貫通孔50の中心位置を介して対向する位置であって、貫通孔50の中心位置から等しい距離の位置に、研削によって形成される。これにより、屈曲振動における慣性モーメントを小さくすることによって、屈曲振動の共振周波数を変化させることが可能になる。なお、研削によって凹部55が大きくなり過ぎた場合には、凹部55に何らかの部材が埋め込まれることによって、振動特性が再び調整されてもよい。
次に、支持用突出部3を加熱処理して、支持用突出部3の剛性を変化させることによって、超音波振動子1の振動特性を調整する方法が説明される。加熱装置(図示せず)を用いて支持用突出部3が700度程度まで加熱された後、自然に冷却される。それにより、支持用突出部3の剛性が低減される。支持用突出部3の剛性が低減されると、超音波振動子1の屈曲振動の共振周波数bが低減される。また、支持用突出部3が、加熱装置によって700度程度まで加熱された後、水中で急激に冷却されると、支持用突出部3の剛性が増加し、超音波振動子1の屈曲振動の共振周波数bが増加する。加熱装置として、レーザなどの支持用突出部3のみを局所的に加熱することができる装置が用いられることが望ましい。また、加熱温度は支持用突出部3の材料の変態温度以上であることが必要である。振動板7の材料としてステンレスが用いられる場合には、加熱温度は700度程度であることが望ましい。
次に、支持用突出部3に重り13を搭載する、すなわち、支持用突出部3に所定の質量を有する材料を付加して、超音波振動子1の振動特性を調整する方法が説明される。
図13に示されるように、支持用突出部3にステンレスの重り13が接着されると、支持用突出部3の質量が増加する。支持用突出部3の質量が増加すると、屈曲振動における支持用突出部3の慣性モーメントが増加する。したがって、超音波振動子1の屈曲振動の共振周波数bを低減させることができる。ただし、重り13の材質は、ステンレスに限定されず、いかなる材質であってもよい。
上述の支持用突出部3と同様に、図9に示された調整用突出部20の形状、剛性、質量、および内部応力のうちの少なくともいずれかに変化を生じさせることによっても、屈曲振動の共振周波数aを変化させずに、伸縮振動の共振周波数bのみを変化させることが容易になる。
(実施の形態2)
<全体構成>
本実施の形態の超音波振動子においては、実施の形態1の超音波振動子の構成要素と同一の構成要素には実施の形態1の超音波振動子1に付された参照符号と同一の参照番号が付され、特に必要がない限り、その説明は繰り返さない。
本実施の形態においても、超音波振動子1が組み立てられた後においても、超音波振動子1の振動特性が容易に調整され得る。
図14は、本実施の形態の超音波モータ100の平面図である。図14に示されるように、本実施の形態の超音波モータ100は、超音波振動子1とロータ2とからなっている。
本実施の形態の超音波振動子1は、図1〜図8を用いて説明された実施の形態1の超音波振動子1とほぼ同様であるが、主板部6を介して支持用突出部3に対向するように押付用突出部14が設けられていることが、実施の形態1の超音波振動子1とは異なっている。押付用突出部14には線状のゴム15の一端が接着されている。線状のゴム15の他端は、図示されていない外部に設けられた押付用機構に固定されている。線状のゴム15は、その収縮力によって、押付用機構に対して、押付用突出部14を引っ張る。それによって、超音波振動子1の角部Sがロータ2の外周部を押す力を調整することができるようになっている。つまり、線状のゴム15の収縮力の調整によって、超音波振動子1とロータ2との当接力が調整される。
本実施の形態の超音波モータ2においても、実施の形態1の超音波モータ100と同様に、後述する超音波振動子1に設けられた電極9,10,11,12,および17に信号が入力される。それにより、ロータ2の外周面に当接している主板部6の角部Sが、図14に示される楕円軌道Eを描いて移動する。その結果、ロータ2が円軌道Cに沿ってその回転中心軸まわりに回転する。
<超音波振動子>
図15には、本実施の形態の超音波振動子1の斜視図が示されている。超音波振動子1の構成要素のうち、主板部6、圧電素子8、電極9,10,11,12,および17のそれぞれの形状、寸法、配置、および構成材料は、実施の形態の超音波振動子1のそれと同一であるため、その説明は繰り返さない。
ただし、本実施の形態においては、貫通孔50とシャフト5とは固定されていない。そのため、シャフト5が支持用突出部3に設けられた貫通孔50内においてその軸まわりに回転し得る。より具体的には、支持用突出部3は、シャフト5が延びる方向の移動は拘束されているが、シャフト5が延びる方向に沿った回転中心軸まわりに回転することができる。なお、支持用突出部3の上側および下側のそれぞれには、超音波振動子1がシャフト5の軸方向に沿って移動しないように、支持用突出部3のシャフト5の軸方向の移動を拘束する部材(図示せず)が設けられている。なお、押付用突出部14は、幅1mmかつ長さ2.5mmの略長方形状を有している。
また、本実施の形態の超音波振動子1の駆動方法は、実施の形態1の超音波振動子1の駆動方法と同一であるため、その説明は繰り返さない。
また、超音波振動子1の構造として、図16に示された構造が採用されてもよい。図16に示される構造においては、図6に示された屈曲振動の節の位置Xの近傍であって、かつ図7に示された伸縮振動の節の位置Yからは離れた位置の少なくとも1の位置に調整用突出部20が設けられている、なお、調整用突出部20は、圧電素子8または主板部6の一部であっても、他の材料が圧電素子8または主板部6に付加されたものであってもよい。
<超音波振動子の振動特性調整方法>
図17は、本願の発明者らが行なったシミュレーション結果を示しており、超音波振動子1の押付用突出部14の長さL2と超音波振動子1の伸縮振動の共振周波数aおよび屈曲振動の共振周波数bとの関係を示している。図17に示されるように、押付用突出部14の長さL2を増加させるにつれて、超音波振動子1の屈曲振動の共振周波数bが近似的に直線的に減少するが、伸縮振動の共振周波数aはほぼ一定である。
押付用突出部14は、主板部6に生じる伸縮振動の節の位置Xまたはその近傍であり、屈曲振動の節の位置Yまたはその近傍から離れた位置に設けられている。したがって、押付用突出部14の長さL2を変化させると、伸縮振動の共振周波数aに変化を生じさせることなく、屈曲振動の共振周波数bに変化を生じさせることができる。
超音波振動子1を超音波モータ100の所定の位置に取り付けた後に、押付用突出部14の形状および質量を変化させることにより、伸縮振動の共振周波数aがほぼ一定の状態で、屈曲振動の共振周波数bのみを調整して、伸縮振動の共振周波数aと屈曲振動の共振周波数bとを実質的に一致させることができる。
また、焼きなましなどの手法を用いて剛性などの押付用突出部14の物性を変化させることによっても屈曲振動の共振周波数を調整することが可能である。
次に、押付用突出部14の先端を研削することによって、超音波振動子1の押付用突出部14の形状および質量を変化させて、超音波振動子1の振動特性を調整する方法が具体的に説明される。
組み立てされ、所定の位置に設置された超音波振動子1の屈曲振動の共振周波数bが伸縮振動の共振周波数aよりも低い場合には、伸縮振動の共振周波数aと屈曲振動の共振周波数bとを略一致させるために、屈曲振動の共振周波数bのみを伸縮振動の共振周波数aと略一致するように増加させる必要がある。図18に示されるように、押付用突出部14の長さL2が押付用突出部14がその先端の研削によって短くなれば、伸縮振動の共振周波数aが一定の状態で、屈曲振動の共振周波数bが増加する。したがって、屈曲振動の共振周波数bと伸縮振動の共振周波数aとを実質的に一致させることは容易である。
次に、押付用突出部14に加熱処理を施して、超音波振動子1の押付用突出部14の剛性を変化させて、超音波振動子1の振動特性を調整する方法が説明される。
加熱装置を用いて押付用突出部14が700度程度まで加熱される。その後、自然冷却が行なわれる。それにより、押付用突出部14の剛性が低下する。押付用突出部14の剛性が低減されると、超音波振動子1の屈曲振動の共振周波数bが低下する。
また、押付用突出部14は、加熱装置を用いて700度程度まで加熱された後、水に入れて急激に冷却されると、押付用突出部14の剛性が増加し、超音波振動子1の屈曲振動の共振周波数bが増加する。
加熱装置として、レーザなど、押付用突出部14のみが局所的に加熱することができる装置が用いられることが望ましい。また、加熱温度は、押付用突出部14の材料の変態温度以上であることが必要である。そのため、押付用突出部14の材料としてステンレスが用いられる場合には、700度程度の温度で押付用突出部14が加熱されることが望ましい。
次に、押付用突出部14に重り13が搭載されると、超音波振動子1の押付用突出部14の質量を変化させて、超音波振動子1の振動特性を調整する方法が説明される。
図19に示されるように、押付用突出部14にステンレスの重り13が接着されると、伸縮振動の共振周波数aが一定の状態で、屈曲振動の共振周波数bが低下する。なお、重り13の材料は、ステンレスに限定されず、ステンレス以外の他の材料であってもよい。
また、支持用突出部3と同様に、図16に示された調整用突出部20の形状、剛性、および質量のうち少なくともいずれか1つの要素を変化させることにより、屈曲振動の共振周波数bを変化させずに、伸縮振動の共振周波数aのみを容易に調整することができる。
上記の実施の形態においては、複数種類の振動の節のうちの1の節の位置またはその近傍の位置に設けられた構造物である突出部の物理量として、形状、剛性、および質量のうちの少なくともいずれか1つを変化させることにより、振動特性の調整が行なわれている。しかしながら、振動の節の位置またはその近傍に設けられた構造の形状、剛性、および質量の代わりに、振動の節の位置またはその近傍の位置の構造の内部応力を変化させることにより、前述と同様の振動特性の調整を行なうことが可能である。内部応力を変化させる方法としては、振動の節の位置またはその近傍の位置の構造が誘電体を含んでおり、外部からその誘電体へ電界を印加する方法が考えられる。
また、上記各実施の形態においては、振動の節を含むように突出部が設けられているが、振動の節の位置の近傍に突出部が設けられていても、振動の節と突出部との間の距離が所定量より小さければ振動特性を調整することは、従来の方法に比較すれば、容易である。たとえば、屈曲振動の共振周波数bを変化させずに、伸縮振動の共振周波数aを変化させる場合には、平面的に見て点で表現される屈曲振動の振動の節を囲むような周縁状の領域上に突出部が形成されていてもよい。たとえば、屈曲振動の振動の節としての点を囲むパイプ状の突出部が調整用突出部20の代わりに設けられていても、上記と同様に、振動特性を容易に調整することが可能である。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
実施の形態の超音波モータの平面図である。 実施の形態の超音波振動子の斜視図である 実施の形態の超音波振動子の分解斜視図である。 圧電素子に取り付けられた4つの電極に印加される4つの電圧モードを説明するための図である。 伸縮振動のための信号の位相と屈曲振動のための振動の位相とが90°だけずれていることを説明するためのタイムチャートである。 実施の形態の主板部が伸縮振動によって変形する態様を示す図である 実施の形態の主板部が屈曲振動によって変形する態様を示す図である 伸縮振動の共振周波数と屈曲振動の共振周波数とが一致しないことを説明するための図である。 実施の形態の超音波振動子の構成を表す概略図である 実施の形態の支持用突出部の長さと、伸縮振動の共振周波数および屈曲振動の共振周波数との関係を示すグラフである 実施の形態の支持用突出部の削り方を説明するための図である 実施の形態の支持用突出部に設ける凹部を示す図である。 実施の形態の支持用突出部に重りが設置された状態を説明するための図である。 実施の形態2の超音波モータの平面図である。 実施の形態2の超音波振動子の斜視図である。 実施の形態2の超音波振動子の構成を表す概略図である。 実施の形態2の押付用突出部の長さと伸縮振動の共振周波数および屈曲振動の共振周波数との関係を示すグラフである。 実施の形態の押付用突出部の削り方を説明するための図である。 実施の形態の押付用突出部に重りが設置された状態を示す図である。 特開2001−286167号公報において示された超音波振動子の構成を示す概略図である。
符号の説明
1 超音波振動子、2 ロータ、100 超音波モータ、3 支持用突出部、4 支持体、5 シャフト、6 主板部、7 振動板、8 圧電素子、9,10,11,12,17 電極、14 押付用突出部、15 ゴム、20 調整用突出部、50 貫通孔、55 凹部、a 伸縮振動の共振周波数、b 屈曲振動の共振周波数、C 円軌道、E 楕円軌道、S 角部、X 伸縮振動の節の位置、Y 屈曲振動の節の位置、Δφ 位相のズレ。

Claims (14)

  1. 複数種類の振動を組合せて被駆動体を駆動する超音波振動子の振動特性の調整方法であって、
    前記複数種類の振動は、それぞれ、振幅が実質的にゼロである振動の節を有し、
    前記複数種類の振動の節のうちの一の種類の振動の節の位置およびその近傍の位置を含む領域を一の領域とし、かつ、前記一の種類の振動とは異なる他の種類の振動の節の位置およびその近傍の位置を含む領域を他の領域としたときに、前記一の領域内にありかつ前記他の領域外にある構造の物理量を変化させることにより、前記一の領域に振動の節を有する振動の特性を実質的に変化させることなく前記他の領域に振動の節を有する振動の特性を調整する、超音波振動子の調整方法。
  2. 前記一の領域における構造は突出部であり、
    前記物理量は、前記突出部の物理量である、請求項1に記載の超音波振動子の調整方法。
  3. 前記突出部の物理量は、研削によって変化する、請求項2に記載の超音波振動子の調整方法。
  4. 前記突出部の物理量は、加熱処理によって変化する、請求項2に記載の超音波振動子の調整方法。
  5. 前記物理量は、前記突出部への所定部材の付加によって変化する、請求項2に記載の超音波振動子の調整方法。
  6. 前記一の領域に凹部を設けることによって、前記構造の物理量が変化する、請求項1に記載の超音波振動子の調整方法。
  7. 前記複数種類の振動は、伸縮振動と屈曲振動とを有し、
    前記伸縮振動および前記屈曲振動のうちいずれか一方の振動特性を調整する、請求項1
    に記載の超音波振動子の調整方法。
  8. 前記伸縮振動の特性を調整することなく、前記屈曲振動の特性を調整する、請求項7に記載の超音波振動子の調整方法。
  9. 前記突出部が当該超音波振動子を支持するための支持用突出部として機能する、請求項2に記載の超音波振動子の調整方法。
  10. 複数種類の振動を組合せて被駆動体を駆動する超音波振動子であって、
    前記複数種類の振動は、それぞれ、振幅が実質的にゼロである振動の節を有し、
    前記複数種類の振動の節のうちの一の種類の振動の節の位置およびその近傍の位置を含む領域を一の領域とし、かつ、前記一の種類の振動とは異なる他の種類の振動の節の位置およびその近傍の位置を含む領域を他の領域としたときに、前記一の領域内であってかつ前記他の領域外に振動特性調整部が設けられ、
    前記振動特性調整部は、その構造の物理量を変化させることにより、前記一の領域に振動の節を有する振動の特性を実質的に変化させることなく前記他の領域に振動の節を有する振動の特性を調整し得る構造を有するものである、超音波振動子。
  11. 前記振動負荷調整部が突出部を有する、請求項10に記載の超音波振動子。
  12. 前記振動特性調整部が凹部を有する、請求項10に記載の超音波振動子。
  13. 前記突出部が当該超音波振動子を支持する支持用突出部として機能する、請求項11に記載の超音波振動子。
  14. 前記突出部が、当該超音波振動子によって駆動される被駆動体に対して超音波振動子を押し付けるための押付用突出部として機能する、請求項11に記載の超音波振動子。
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