JP4039027B2 - 車両用リフト装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両用リフト装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、身体障害者の移動手段として車椅子があるが、車椅子では移動範囲に制限がされるため、身体障害者等が自ら車両に対し車椅子でそのまま乗り込み運転することができるような簡易型車両が切望されていた。
この種の簡易型車両として、特開平10−59053号公報に開示されたものが知られている。このものは、車体のフロア面を構成する床板が電動アクチュエーターを駆動源とする平行リンク機構を介して主フレームと接続されており、車椅子が乗り込み可能な地上面の位置と車両の運転が可能な上昇位置との間で昇降自在となっている。
身障者等が車体に乗り込む際には、予め、床板を地上面の位置に下降させておき車椅子ごと床板に乗り込んだ後、床板を上昇位置まで変位させれば車両の運転が出来るようになっている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上記構造によると、身体障害者等が簡易型車両の運転席に自ら車椅子で乗り込むことは出来るが、運転席内で前後位置の調整する機能を有していないため使い勝手が悪く、時には窮屈な姿勢で運転を行わざるをえない。
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、運転位置の調整機能を備えることで使用性に優れる車両用リフト装置を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するための手段として、請求項1の発明は、車椅子を載置可能なプラットフォーム20を、車椅子1が乗り込み可能な車外の乗降位置から昇降動作に続くスライド動作を経て車室内の運転位置へ変位させる間の行程が、前記昇降動作に連続し車室内を前後に変位する一次のスライド動作を経て前記プラットフォーム20を基準位置へ導く搬送行程と、前記一次のスライド動作に続いて車室内を前後に変位する二次のスライド動作を行うことで、前記プラットフォーム20を前記運転位置へ調整する調整行程とからなる車両用リフト装置であって、前記プラットフォーム20に設けられ、前記車椅子1をプラットフォームに固定するための機構と、前記プラットフォーム20に配される中継部材55と、車体のフロアパネル11に対して前後にスライド可能に設置された可動部35と、前記車体の可動部35に対して前記プラットフォーム20の中継部材55を、昇降動作可能に連結するリンク機構50と、前記可動部35を前記車体のフロアパネル11に対して前後にスライドさせることにより前記プラットフォーム20に前記一次のスライド動作を実行させる第1スライド機構30と、前記プラットフォーム20を前記中継部材55に対して前後にスライドさせることにより前記プラットフォーム20に前記二次のスライド動作を実行させる第2スライド機構60と、からなるとともに、前記第1スライド機構30は、前記車体のフロアパネル11に対し軸を車体の前後方向に向けて配置したねじ軸40と、前記ねじ軸40に螺合されかつ前記可動部35に固定されたトラベルナット41と、前記ねじ軸40を回転させる第1電動モータ38と、を備え、前記第2スライド機構60は、前記プラットフォーム20の下面において前記プラットフォーム20の前後方向に配置されたラックギヤ62と、前記中継部材55に設けられた第2電動モータ64と、前記第2電動モータ64のモータ軸に設けられ、前記ラックギヤ62に対して噛合するピ二オンギヤ63と、を備え、前記固定するための機構は、前記プラットフォーム20の前縁に設けられたストッパ壁23にあたるまで前記プラットフォーム20上を前進移動した車椅子1の後退動作を規制することにより前記車椅子1を前記プラットフォーム20に固定するものであり、前記プラットフォーム20に対してヒンジ91を介して取り付けられ、かつ先端に前記車椅子1の下部後端のフレーム4に対する保持部93を有するロックアーム90と、前記車椅子1の乗降を許容する水平な姿勢にある前記ロックアーム90を前記ヒンジ91を中心に回転させつつ起立させることにより、前記保持部93を、前記ストッパ壁にあたるまで前進移動した前記車椅子1の前記下部後端のフレーム4に後方から自動係止させるロックアーム用電動モータ96と、を備えるところに特徴を有する。
【0006】
請求項2の発明は、請求項1に記載のものにおいて、前記可動部35、前記1スライド機構30、及び前記リンク機構50の一部が、車両の幅方向中央寄りの位置において前記フロアパネル11上に露出されている車両において、前記露出された部分の上方を覆うことが可能な大きさであり、かつシート状の被覆カバーが前記フロアパネル11の上方位置に配されるとともに、この被覆カバー74の一端側は、前記車両側または前記プラットフォーム20の前縁のいずれか一方に設けられる巻き取り器70に取付けられる一方、他端側は前記巻き取り器70が取付けられていない他方側に取付けられることにより、前記プラットフォーム20が前記運転位置から乗降位置に向かう移動動作に連動して、前記被覆カバー74が前記巻き取り器70から引き出されつつ展張して前記露出された部分の上方を覆い、前記プラットフォーム20が前記乗降位置から運転位置に向かう移動動作に連動して、前記巻き取り器70が展張した被覆カバー74を巻き取る構成であるところに特徴を有する。
【0007】
【発明の作用及び効果】
<請求項1の発明>
請求項1の発明によれば、プラットフォームを運転位置に至らしめる際に、搬送行程の後に調整行程を経るようにしたから、運転者にとって最適なドライビングポジションを実現することができる。
【0009】
<請求項2の発明>
請求項2の発明によれば、プラットフォームの室外方向への移動動作と連動してシートが展張されて搬送工程のための駆動機構を覆うためゴミなどの進入を防止すること出来る。また、上記機構が外部に露出することがなく外観にも優れる。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明の一実施形態を図1ないし図21によって説明する。
本実施形態は、本発明を身障者等が車椅子1に座ったまま単独で乗車して運転することが出来る一人乗りの電動車両10に適用した例を示すものである。
【0011】
まず、身障者等が電動車両10に乗り込む際に使用する車椅子1について簡単に説明する。車椅子1は身障者が着座する座席部2の左右両側に一対のサイドフレーム3を設けており、両サイドフレーム3の間を複数の連結フレーム4が架設されている。サイドフレーム3の前方の下部側には左右一対の足置き5が設けられているとともに、その後方には転向自在な自在輪6が左右一対設けられており、更にその後方には自在輪6より大径に形成された後輪7が左右一対設けられている。
【0012】
次に、電動車両10は車両下部に前後方向に延びるフロアパネル11を設けるとともに(図7参照)、車体前部に車体の前方を形成する前部ボディ12を設けている。この前部ボディ12の後面側はハンドル13を備えた操作部14となっている。また、電動車両10は車体の左右両側部に車体の側方を形成する側部ボディ15を設けている。側部ボディ15の後部側にはリヤピラー16が立設されており車体の上部を覆うルーフパネル17を支持するようになっている。
尚、側部ボディ15における一方の側面には非常用のドア(図示せず)が開閉可能に設けられている。
そして、電動車両10の後部にはボディが設けられておらず大きく開口された状態となっており、ここが後述するプラットフォーム20が通過するための出入り口18(図7参照)となっている。
【0013】
詳細には後述するがプラットフォーム20は身障者等が前記車椅子1ごと乗り込み可能な大きさに形成されるとともに、車両用リフト装置(以下、単にリフト装置という)を介して車体側と接続されており、運転位置(図6に示す位置であって、運転する際に身障者等によって選択されるプラットフォーム20の位置でる。)と乗降位置(図1に示す位置であって、プラットフォーム20が車両外方に退出して車椅子1による乗降を許容する位置)との間を移動可能となっており、その移動動作が後述する移動機構によって行われるようになっている。
【0014】
まず、プラットフォーム20は金属製であって、車椅子1が乗り込み可能な大きさに形成された長方形状をなす基板部21を有し、その中央には後述するスライド機構等30、60を格納する収容部22が突出形成されている。また、収容部22を設けることでプラットフォーム20の剛性が高くなっている。そして、収容部22を挟んだ左右両側が車椅子1の車輪6、7の通路となっている。また、基板部21の左右両縁には左右側壁24が起立形成されているとともに、前縁にはL字状をなすストッパ壁23(図19参照)が起立形成されている。
【0015】
次に、フロアパネル11について説明すると、フロアパネル11の縦幅及び横幅はプラットフォーム20の縦幅及び横幅より広く形成されており、フロアパネル11上にプラットフォーム20を重ねて配置することが出来る。具体的に図面を参照して説明すると、図7は電動車両10の平面図を示すものであるが、図中の一点鎖線は運転位置におけるプラットフォーム20の外形を示すものであり、プラットフォーム20全体が電動車両10のフロアパネル11上に収容されている。すなわち、電動車両10の床面はプラットフォーム20との干渉を回避して以下の様に構成されている。
【0016】
一対のサイドメンバ28がフロアパネル11の横幅より広い幅寸法を持って配されており、その前後端同士を一対のクロスメンバ25、26によって架設している。通常であれば、サイドメンバ28内には、前後方向に一対のインナメンバ27が後端のクロスメンバ26に至るまで延設されるが、本実施形態ではプラットフォーム20との干渉を避けるために途中で切断されている。
【0017】
次に移動機構について説明する。本実施形態において移動機構はスライド機構及びリンク機構50により構成されており、更にスライド機構は一次のスライド動作を行う第1スライド機構30と二次のスライド動作を行う第2スライド機構60とから構成されている。
まず、第1スライド機構は図7に示すように、フロアパネル11上における幅方向の中央部に電動車両10の前後方向に沿う一対の固定レール31が平行に配されている。この両固定レール31は断面がコの字状をなして夫々が外向きに開放している。両固定レール31の前側同士はフロアパネル11上に取付けられ、かつ、板状をなす前部プレート32によって架設されている。後側同士はフロアパネル11上に取付けられた支持ブロック33によって架設されている。
【0018】
一方、固定レール31に沿って摺動可能な可動部35は一対の側面プレート36と、前側同士を架設する前部連結プレート42と、後側同士を架設する後部連結プレート43によって構成されている。
また、両側面プレート36の内幅は両固定レール31の外幅とほぼ等しく形成されるとともに、両側面プレート36の内面側の下部における前後には、夫々、一対の摺動ローラ37が遊転自在に取付けられ、固定レール31に対し摺動可能に嵌め合わされている(図10参照)。
【0019】
また、前記した前部プレート32、支持ブロック33の間には両固定レール31と平行にねじ軸40が回転自在に支持されている。このねじ軸40の軸端は、前部プレート32を貫通しており第1電動モータ38に接続されている。一方、ねじ軸40における反対側の軸端寄りの位置には可動部35内に固定されたトラベルナット41が螺合されている。従って、ねじ軸40の回転に伴って可動部35が固定レール31案内されてスライドするようになっている。
このスライド動作が本発明における一次のスライド動作に相当する。
【0020】
次にプラットフォーム20を乗降位置からほぼ電動車両10のフロアパネル11の高さ(以下、乗込み高さ)の位置にまで持ち上げるためのリンク機構50について説明する。
リンク機構は、可動部35とプラットフォーム20側とをアッパリンク52、ロアリンク51の4節リンクによって左右の両面で連結するものである。ロアリンク51は、その一端側が可動部35の側面に回動可能に取付けられるとともに、他端側が後述する中継部材55の側壁56に回動可能に取付けられている。一方、アッパリンク52もロアリンク51と同様に可動部35と中継部材55の側方に回動可能に取付けられており、その取付け位置はロアリンク51のほぼ真上に設定されている。尚、アッパリンク52と、可動部35及び中継部材55との間にはスペーサ54、58がそれぞれ介在されて可動部35や中継部材55から浮かせて取付けがなされている。こうすることで、ロアリンク51との干渉の回避がなされている。
【0021】
中継部材55は一対の側壁56と連結壁57とを有してなる。中継部材55全体はプラットフォーム20の収容部22内に配されている。そして、中継部材55とプラットフォーム20との間には図示しない連結手段が設けられている。
この連結手段は、プラットフォーム20が乗降位置からスライド切り替え位置(本発明の基準位置に相当し、可動部35の先端と前部プレート32が当接する位置)までの間はプラットフォーム20との連結関係を維持し、それ以降は連結関係が解除されるようになっている。
【0022】
ところで、左右両固定レール31の後部側における下部には一対の支持ローラ53が図示しない接続ブラケットを介して遊転自在に支持されており、それらは共に固定レール31の外方に突出した状態で取付けられている。この支持ローラ53はプラットフォーム20が乗降位置にある状態から乗込み高さの位置に変位するまでの間、ロアリンク51に摺接可能である。これによって、可動部35の移動に伴いプラットフォーム20を乗降位置から乗込み高さ位置まで変位させる動作(この動作が本発明の昇降動作に相当する)を支持することができる。
【0023】
一方、中継部材55の側壁56の内側には一対の切り替えローラ59が遊転自在に支持されている。切り替えローラ59は可動部35の前進に伴い、前記ロアリンク51の後端が支持ローラ53を通過する直前の段階で固定レール31内に進入するようになっている(図14参照)。すなわち、プラットフォーム20の支持が支持ローラ53とロアリンク51による支持から、切り替えローラ59と固定レール31による支持に切り替わるようになっており、続けて前進動作を行えるようになっている。更に、この状態では、アッパリンク52が水平な姿勢となっており、次に説明する第2スライド機構60のガイドとして使用されるようになっている。
【0024】
次に第2スライド機構60、つまりプラットフォーム20単体でのスライド動作を行わせる機構について説明する。
まず、プラットフォーム20における収容部22内の左右両側面22Aには、遊転自在に取付けられた一対の摺動ローラ61が上下に並んで配されており(図12参照)、その摺動ローラ61間の寸法はアッパリンク52の幅寸法と等しく設定されているとともに、プラットフォーム20全体が上昇した時には、アッパリンク52を両摺動ローラ61間で挟み込んでスライド動作を案内するようになっている。
【0025】
前記した中継部材55内には第2電動モータ64が取付けられており、その軸端にはピニオンギヤ63が取付けられている。一方、プラットフォーム20の収容部22の天井面には電動車両10の前後方向に沿ってラックギヤ62が配され、ピニオンギヤ63と噛み合っている。従って、第2電動モータ64の回転に伴ってピニオンギヤ63が回動するためラックギヤ62が前進し、ひいては、プラットフォーム20が乗込み高さを保持しつつ前進(この動作が本発明の二次のスライド動作に相当する、図16、17参照)する。
尚、上記したリフト装置による運転位置から乗降位置に至る動作は、安全確保のため電動車両10のサイドブレーキが引かれた時のみ作動するようになっている。
【0026】
また、本実施形態では上記のように構成された移動機構のうちフロアパネル11から露出された機構部分を覆うための被覆カバー74及びその巻き取り器70が設けられている。前記した両インナメンバ27上にはパネル29(図19参照)が取付けられるようになっており、ここに電動車両10の幅方向に沿って巻き取り器70が配される。
【0027】
巻き取り器70は、図18に示すように長尺状をなすケーシング72を有しており、その内部に回転軸71を設けている。一方、前記した機構部分を被覆可能なシート状をなす被覆カバー74がその一端を回転軸71に固定されつつ、ケーシング72に設けられた引き出し口73を挿通して外部に引き出されている。そして、引き出された他端はプラットフォーム20のストッパ壁23の先端に取付けられる。また、前記回転軸71には図示しない付勢手段が設けられており、回転軸71を巻き取り方向に付勢している。従って、被覆カバー74は、プラットフォーム20が運転位置から乗降位置に向かって退避した時にはその退避動作に連動して巻き取り器70から引き出され、乗降位置から運転位置に向かって前進した時には巻き取り器70内の回転軸71に自動的に巻き取られる。
【0028】
また、本実施形態に係るリフト装置には次のような付帯装置が設けられている。図1に示すように、プラットフォーム20の後端には、ヒンジ81を介してフラッパー82が回動可能に取付けられている。
プラットフォーム20が乗降位置にある時には、フラッパー82は地表とプラットフォーム20を橋渡す倒伏姿勢(図1参照)となっており、乗り込み動作を円滑に行うようにしている。また、乗り込みが完了した後にはフラッパー82は回動して起立姿勢(図3参照)に変位するようになっている。このように乗り込み完了後に起立姿勢に変位することで、プラットフォーム20に対する車椅子1の脱輪を補助的に防止するようにしている。
【0029】
また、図17、20に示すように、プラットフォーム20の収容部22内の天井面における後端位置には、フラッパー用電動モータ83及びギヤボックス84が取付けられている。このギヤボックス84にはねじ棒86が貫通されており、このねじ棒86はフラッパー用電動モータ83の回転に伴って前後にスライドするようになっている。また、このねじ棒86の軸端には連結ブラケット87が設けられており、これがフラッパー82の側面上に設けられた受け側ブラケット88とヒンジ89を介して接続されている。これにて、ねじ棒86の前後運動をフラッパー82の回転運動に変えている。
【0030】
次にプラットフォーム20への乗り込みを完了した時点で、車椅子1をプラットフォーム20に固定するための機構が、車椅子1の前後の2カ所に配されている。まず、後側から説明すると、図17、21に示すように収容部22の天井面における前記フラッパー用電動モータ83の前方には図示しない取付け用ブラケットが配されており、そこには、ヒンジ91を介してロックアーム90が回動可能に取付けられている。このロックアーム90はシャフト部92の先端にコの字状をなす保持部93を設けて形成されている。この保持部93は、ロックアーム90が直立した際に、車椅子1を構成する連結フレーム4のうち下部の後端に配される連結フレーム4に係止可能となっている(図2参照)。
【0031】
一方、収容部22の天井面にはロックアーム90が通過可能な逃がし孔95が設けられている。ロックアーム90は車椅子1がプラットフォーム20に乗り込む前は、収容部22内で水平な姿勢にあり車椅子1の乗り込み動作を許容し、乗り込み動作が完了した時には前記逃がし孔95を通じて直立する。
【0032】
また、ロックアーム90に回転動作を行わせる駆動部は、収容部22の天井面に接続ブラケット96Aを介してロックアーム用電動モータ96が取付けられている。このロックアーム用電動モータ96にはフラッパー用電動モータ83と同様にギヤボックス97を介してねじ棒98が取付けられており、ロックアーム用電動モータ96の駆動に伴って前後に移動するようになっている。更に、ねじ棒98の先端側には連結部材99が取付けられており、これがロックアーム90のヒンジ91に固定されている。これにより、ねじ棒98の前後動作をロックアーム90の回転動作に変換している。
【0033】
次に前側の固定構造について説明すると、図17に示すように、プラットフォーム20のストッパ壁23の上面には電動車両10の左右方向に沿ってベルト体100が装着されている。このベルト体100の左右両端にはフック101が夫々設けられるとともに、中央部にはロック金具102が設けられている。このロック金具102の中央部からは、ベルト体100が引き出されておりその先端には締め込みリング103が取付けられている。これにより、両フック101を車椅子1のサイドフレーム3の先端に引っかけた後、締め込みリング103を引っ張れば両フック101を引き寄せることができる。
【0034】
尚、上記した各電動モータ38、64、83、96の駆動回路(図示せず)はECU(エレクトリック・コントロール・ユニット)に接続されているため、リモートコントローラによって所定のタイミングで各電動モータ38、64、83、96に電流を流して各機構を作動させることができる。また動作中リモートコントローラのスイッチを押し続けることにより各動作が行われ、スイッチから手を離すとそこで動作が停止するようになっている。
【0035】
次に、上記のように構成された本実施形態の作用効果を具体的に説明する。
車椅子1に着座した身障者が電動車両10の運転席に移動する手順について説明する。まず、プラットフォーム20を乗降位置に予めセットしておく。乗降位置では、プラットフォーム20のフラッパー82はプラットフォーム20と地表との間を橋渡すスロープを形成しており、地上にある車椅子1でそのままプラットフォーム20の上面に乗り込む。乗込み動作に続いて、プラットフォーム20のストッパ壁23にあたるまで車椅子1を前進させる(図2参照)。
続いて、フック101を車椅子1のサイドフレーム3の先端に引っかけつつ、締め込みリング103を引っ張ってフック101を引き絞ってやれば、車椅子1は固定され後退動作が規制される。
【0036】
かくして、車椅子1の固定がなされた後、リモートコントローラのスイッチを投入する。すると、フラッパー用電動モータ83に電流が流される。これによりフラッパー用電動モータ83が駆動してねじ棒86が前進動作するため、フラッパー82は回動して起立姿勢に変位する。
続いて、ロックアーム用電動モータ96が駆動すると、前記フラッパー82と同様に、ねじ棒98を介してロックアーム90が起立しロックアーム90の保持部93が車椅子1の下部後端の連結フレーム4に係止する。これにより、車椅子1の後退動作が二重に規制される(図3参照)。
【0037】
次に、ロックアーム90の起立動作に続いて、第1電動モータ38が駆動し、これに伴ってねじ軸40が回転する。すると、ねじ軸40と螺合しているトラベルナット41が前進することにより、可動部35が前進する(一次のスライド動作)。この可動部35の前進に伴ってアッパ、ロアの両リンク51、52を介して中継部材55が引っ張られる。このとき、中継部材55とプラットフォーム20とは図示しない連結手段によって連結関係にあるため、可動部35の前進動作に伴い、プラットフォーム20は中継部材55と共に引っ張られる。可動部35の前進動作がなされる間、ロアリンク51は支持ローラ53の上を摺接してゆくため中継部材55及びプラットフォーム20がほぼ水平姿勢を保ったまま徐々に持ち上げられる。
【0038】
そして、プラットフォーム20がほぼ電動車両10のフロアパネル11と同じ高さ、すなわち、乗込み高さに達して、ロアリンク51の後端が支持ローラ53を通過する直前(図14参照)になると、切り替えローラ59が固定レール31に進入して支持の切り替えがなされる。すなわち、プラットフォーム20の支持が支持ローラ53とロアリンク51による支持から、切り替えローラ59と固定レール31による支持に切り替わるようになっている。
【0039】
更に、可動部35が前進して基準位置に至ると前部プレート32に当接する。すると、第1電動モータ38が停止して、ねじ軸40の回動が停止する。このとき、プラットフォーム20は図5のスライド切り替え位置に至るが、まだ、この位置ではハンドル13から離間した位置となっている。一次のスライド動作の開始からスライド切り替え位置に至るまでの行程が本発明の搬送行程に相当する。
【0040】
更に、第1電動モータ38が停止するその直前に中継部材55とプラットフォーム20との連結手段がECUからの信号により解除されるとともに、第2電動モータ64に対する切り替えがなされる。
すると、第2電動モータ64の回動に伴ってピニオンギヤ63が回動するため、ラック62との噛み合いによりプラットフォーム20が単体で前進動作(二次のスライド動作)する。そして、所望の位置に至ったときに、リモートコントローラのスィッチから手を離してやれば、第2電動モータ64を停止させ当該停止位置での運転が可能となる。すなわち、これが運転位置となる(図6参照)。スライド切り替え位置から運転位置に至るまでの行程が本発明の調整行程に相当する。
【0041】
また、この状態から運転位置の調整を行いたい場合には、再びリモートコントローラのスィッチを投入してやればよい。
尚、運転位置から乗降位置に至る動作は、上述した乗降位置から運転位置に至る動作を逆に辿るものであるため説明は省略する。
【0042】
このように本実施形態は、車椅子1を載置可能なプラットフォーム20をリフト装置によって車椅子1が乗り込み可能な車外の乗降位置から昇降動作に続くスライド動作を経て車室内の運転位置に変位させるものであり、更に、プラットフォーム20を運転位置に至らしめる際に、搬送行程の後に調整行程を経るようにしたから、運転者にとって最適なドライビングポジションを実現することができる。
【0043】
また、第2電動モータ64による二次のスライド動作の開始時にはプラットフォーム20は中継部材55から切り離されることでプラットフォーム20単体で移動できるため、軽量化された状態で調整行程を経ることができる。したがって、二次のスライド動作のための駆動機構の小型化を図ることができる。
この場合において、第1電動モータ38による搬送行程を高速で行い第2電動モータ64による調整行程を緩速にて行うようにすれば、調整のための必要最低限の時間に余裕を持たせつつも、乗り降りに必要な全体の動作時間を短縮することが出来る。
【0044】
更にまた、プラットフォーム20の室外方向への移動動作と連動して巻き取り器70から被覆カバー74が引き出されて搬送行程のための駆動機構、すなわち第1スライド機構30、リンク機構50を覆うためゴミなどの進入を防止することが出来る。更に、両機構30、50が外部に露出することがなく外観に優れる。
【0045】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれ、さらに、下記以外にも要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することができる。
【0046】
(1)本実施形態ではプラットフォーム20をスライドさせる機構を第1スライド機構及び第2スライド機構により構成したが単一のスライド機構により構成してもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る電動車両の一部切り欠き側面図
【図2】プラットフォームが乗降位置にあり、かつ車椅子の乗込みが完了した状態を示す電動車両の一部切り欠き側面図
【図3】プラットフォームが乗降位置にあり、かつ車椅子の固定がなされた状態を示す電動車両の一部切り欠き側面図
【図4】プラットフォームがほぼ電動車両のフロアパネルの高さまで到達した状態を示す電動車両の一部切り欠き側面図
【図5】第1スライド機構による動作が完了した状態を示す電動車両の一部切り欠き側面図
【図6】プラットフォームが運転位置にある状態を示す電動車両の一部切り欠き側面図
【図7】電動車両の一部切り欠き平面図
【図8】車椅子を搭載した状態におけるプラットフォームの平面図
【図9】図6のA−A線断面図
【図10】その拡大図(収容部周りを示す)
【図11】図6のB−B線断面図
【図12】その拡大図(収容部周りを示す)
【図13】プラットフォームが乗降位置にある際のリンク機構の拡大図
【図14】プラットフォームがほぼ電動車両のフロアパネルの高さに上昇した際のリンク機構の拡大図
【図15】プラットフォームが第1スライド機構によって前進動作している際のリンク機構の拡大図
【図16】プラットフォームが運転位置にある際のリンク機構の拡大図
【図17】プラットフォームの一部切り欠き平面図(第2スライド機構等を示す)
【図18】被覆カバーが引き出された際のプラットフォームの一部切り欠き平面図
【図19】巻き取り器の取付け構造を示す断面図
【図20】フラッパーの駆動構造を示す断面図
【図21】ロックアームの駆動構造を示す断面図
【符号の説明】
1…車椅子
10…電動車両
20…プラットフォーム
21…基板部
30…第1スライド機構
50…リンク機構
55…中継部材
60…第2スライド機構
70…巻き取り器
71…回転軸
74…被覆カバー
Claims (2)
- 車椅子を載置可能なプラットフォームを、車椅子が乗り込み可能な車外の乗降位置から昇降動作に続くスライド動作を経て車室内の運転位置へ変位させる間の行程が、前記昇降動作に連続し車室内を前後に変位する一次のスライド動作を経て前記プラットフォームを基準位置へ導く搬送行程と、前記一次のスライド動作に続いて車室内を前後に変位する二次のスライド動作を行うことで、前記プラットフォームを前記運転位置へ調整する調整行程とからなる車両用リフト装置であって、
前記プラットフォームに設けられ、前記車椅子をプラットフォームに固定するための機構と、
前記プラットフォームに配される中継部材と、
車体のフロアパネルに対して前後にスライド可能に設置された可動部と、
前記車体の可動部に対して前記プラットフォームの中継部材を、昇降動作可能に連結するリンク機構と、
前記可動部を前記車体のフロアパネルに対して前後にスライドさせることにより前記プラットフォームに前記一次のスライド動作を実行させる第1スライド機構と、
前記プラットフォームを前記中継部材に対して前後にスライドさせることにより前記プラットフォームに前記二次のスライド動作を実行させる第2スライド機構と、からなるとともに、
前記第1スライド機構は、前記車体のフロアパネルに対し軸を車体の前後方向に向けて配置したねじ軸と、前記ねじ軸に螺合されかつ前記可動部に固定されたトラベルナットと、前記ねじ軸を回転させる第1電動モータと、を備え、
前記第2スライド機構は、前記プラットフォームの下面において前記プラットフォームの前後方向に配置されたラックギヤと、前記中継部材に設けられた第2電動モータと、前記第2電動モータのモータ軸に設けられ、前記ラックギヤに対して噛合するピ二オンギヤと、を備え、
前記固定するための機構は、前記プラットフォームの前縁に設けられたストッパ壁にあたるまで前記プラットフォーム上を前進移動した車椅子の後退動作を規制することにより前記車椅子を前記プラットフォームに固定するものであり、
前記プラットフォームに対してヒンジを介して取り付けられ、かつ先端に前記車椅子の下部後端のフレームに対する保持部を有するロックアームと、
前記車椅子の乗降を許容する水平な姿勢にある前記ロックアームを前記ヒンジを中心に回転させつつ起立させることにより、前記保持部を、前記ストッパ壁にあたるまで前進移動した前記車椅子の前記下部後端のフレームに後方から自動係止させるロックアーム用電動モータと、を備えることを特徴とする車両用リフト装置。 - 前記可動部、前記1スライド機構、及び前記リンク機構の一部が、車両の幅方向中央寄りの位置において前記フロアパネル上に露出されている車両において、
前記露出された部分の上方を覆うことが可能な大きさであり、かつシート状の被覆カバーが前記フロアパネルの上方位置に配されるとともに、
この被覆カバーの一端側は、前記車両側または前記プラットフォームの前縁のいずれか一方に設けられる巻き取り器に取付けられる一方、他端側は前記巻き取り器が取付けられていない他方側に取付けられることにより、
前記プラットフォームが前記運転位置から乗降位置に向かう移動動作に連動して、前記被覆カバーが前記巻き取り器から引き出されつつ展張して前記露出された部分の上方を覆い、前記プラットフォームが前記乗降位置から運転位置に向かう移動動作に連動して、前記巻き取り器が展張した被覆カバーを巻き取る構成であることを特徴とする請求項1に記載の車両用リフト装置。
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