JP4038276B2 - 振動型ジャイロスコープ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、振動型ジャイロスコープ、およびこれに好適に使用できる振動子に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
特開平7−83671号公報においては、中央の駆動振動片と、その左右の検出振動片の合計3本の振動片を、基部で一体に接続した構成の音叉型振動子を用いた振動型ジャイロスコープが開示されている。図30は、こうした振動型ジャイロスコープの一例の構成を示す図である。図30に示す例において、振動型ジャイロスコープを構成する音叉型振動子71は、中央の駆動振動片73と、その左右にほぼ平行に配置された検出振動片72、74との3本の振動片と、これらの駆動振動片73および検出振動片72、74を基部75で一体に接続した構成を有している。
【0003】
上述した音叉型振動子71では、駆動振動片73を、駆動振動片73に設けた図示しない駆動手段により、XZ面内で振動させる。そして、左右の検出振動片72、74を同じXZ面内で共振させる。この状態で、音叉型振動子71の対称軸Zを中心に回転角速度ωが作用すると、検出振動片72、74にコリオリの力fが作用する。検出振動片72、74がXZ面内で振動していることから、検出振動片72、74にはYZ面内で振動が誘起される。この振動を検出振動片72、74に設けた図示しない検出手段により検出して、回転角速度を測定している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上述した構成の従来の振動型ジャイロスコープでは、音叉型振動子71を支持して振動型ジャイロスコープを構成する場合、音叉型振動子71の基部75の駆動振動片73および検出振動片72、74が存在する端部と反対側の端部76全体を固定して支持するか、あるいは、この端部76の対称軸Zに対応する位置に図示しない支持振動片を固定して支持していた。そのため、検出振動片72、74における検出振動の動作に回転角速度によるコリオリの力が効率的に活かされているとはいえず、検出振動片72、74におけるYZ面内の検出振動の共振尖鋭度(Q値)が低く、回転角速度の測定感度が低くなる問題があった。
【0005】
本発明の課題は、検出振動片における検出振動の共振尖鋭度(Q値)を向上させ、回転角速度を高感度で測定することができる振動型ジャイロスコープを提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明の振動型ジャイロスコープは、振動子に加えられている回転の回転角速度を検出するための振動型ジャイロスコープであって、前記振動子が、複数の振動片と、複数の振動片を接続する基部とを備えており、前記振動片のうちの少なくとも一つに駆動振動を与えたときに前記回転角速度に応じて前記振動子に励起される検出振動から、前記回転角速度を求めるように構成されるとともに、前記駆動振動と前記検出振動とが前記振動子の面内振動となるよう構成されており、前記振動子のうち前記検出振動が最も小さい領域で前記振動子を支持する支持手段を備えていることを特徴とする。
【0007】
また、本発明は、振動子に加えられている回転の回転角速度を検出するための振動型ジャイロスコープであって、振動子が、複数の振動片と、複数の振動片を接続する基部とを備えており、基部に支持孔が設けられており、振動片のうちの少なくとも一つに駆動振動を与えたときに回転角速度に応じて振動子に励起される検出振動から、回転角速度を求めるように構成されており、支持孔で振動子を支持する支持手段を備えていることを特徴とする。
【0008】
また、本発明は、圧電性単結晶からなる振動子であって、屈曲振動をする複数の振動片と、複数の振動片を接続する基部とを備えており、振動子を支持するための支持孔が基部に設けられていることを特徴とする。
【0009】
振動子に加えられている回転の回転角速度を検出するための振動型ジャイロスコープであって、振動子が、複数の振動片と、複数の振動片を接続する基部とを備えており、振動片のうちの少なくとも一つに駆動振動を与えたときに回転角速度に応じて振動子に励起される検出振動から、回転角速度を求めるように構成されている振動型ジャイロスコープにおいて、本発明者は、検出振動が最も小さい領域で振動子を支持することで、検出振動片における検出振動の共振尖鋭度(Q値)が向上し、感度を上昇させえることを見いだした。コリオリの力により発生する検出振動は、振幅が小さいため、感度を上昇させるために本発明は特に効果的である。
【0010】
また、好ましい態様として、振動子の支持を、検出振動が最も小さい領域と駆動振動が最も小さい領域とが重なる重複領域で行うと、検出振動だけでなく駆動振動のQ値も高くなり、さらに感度を上昇させることができる。
【0011】
特に好適な態様においては、駆動振動と検出振動とが振動子の面内振動である。
【0012】
特に好適な態様においては、振動子が、振動子の重心(振動していないとき)の近傍領域内で支持されている。これによって、振動子の外部から加わる振動や加速度による振動子の歪みが、振動状態に及ぼす影響を軽減することができる。
【0013】
駆動振動の振幅は、検出振動の振幅よりもはるかに大きいので、駆動振動から検出振動への影響を小さくすることが重要である。好適な態様においては、振動子が、振動子の駆動振動の重心の近傍領域内で支持されている。これによって、駆動振動による検出振動への影響を最小限とすることができる。
【0014】
「振動子が、振動子の重心GOまたは駆動振動の重心GDの近傍領域内で支持されている」とは、実質的に重心GO、GD上に位置していてもよいが、重心GO、GDから直径1mmの円内に存在していることを意味する。
【0015】
好適な態様においては、検出振動が最も小さい領域において、振動子の表面に支持手段が接着、粘着、半田、メタライズ等によって接合されているか、圧着されている。
【0016】
また、振動子に支持孔を設け、この支持孔の内側壁面で振動子で支持することが好ましい。この場合には、支持手段に突起を設け、この突起を支持孔内に収容し、支持孔の内側壁面と突起との間に、接着剤、粘着剤、半田、メタライズ用ペーストを収容し、振動子と突起とを接合することができる。
【0017】
振動子の形態、寸法によっては、振動子中で検出振動が最も小さい領域が、振動子の表面には現れないか、あるいはごく小さい面積でしか現れないことがある。このため、振動子に支持孔を設け、この支持孔で振動子を支持することによって、支持孔の内壁面に前記領域を露出させると、検出振動が最も小さい領域を一層確実に保持しやすくなる。
【0018】
支持孔は、いわゆる盲孔でも良いが、貫通孔であることが最も好ましく、あるいは盲孔である場合には、振動子の厚さの1/2以上の深さを有することが好ましい。これは、振動子の内部の方が、検出振動が最も小さい領域が、振動子の表面よりも広いからである。
【0019】
また、振動子に支持孔を設け、この支持孔で振動子を支持する場合には、好適な態様においては、支持孔の少なくとも一部は、この振動子に前記支持孔を設けていない状態で振動子のうち検出振動が最も小さい領域内に存在する。これが好ましい理由を述べる。振動子の表面に、検出振動が最も小さい領域が露出している場合に、この領域を支持するときには、以下のような問題点が生ずることを発見した。即ち、振動型ジャイロスコープを組み立ててから時間が経ったり、周囲の温度が変化すると、回転角速度の測定値が安定しなくなることがあった。
【0020】
本発明者は、この理由を検討し、次の発見に至った。即ち、例えば後述するような振動子において、振動型ジャイロスコープを組み立てた後に、振動子に所定の駆動振動を励起し、振動子の各点における振動振幅の分布を測定すると、振動の節の周囲で振動振幅は著しく変動する。このため、駆動振動の節と検出振動の節とを一致させることが困難である。その上、所定の支持手段、例えば支持用の突起を、振動子の表面のうち検出振動が最も小さい領域に対して接合した時点では、正確に検出振動が最も小さい領域を支持していたとしても、温度変化などの経時変化によって、検出振動が最も小さい領域が、当初の位置から微妙に移動することがある。このため、振動子に対する支持手段の接触による、振動子の振動状態に対する擾乱の程度が変化し、ジャイロスコープの特性が変化する。
【0021】
これに対して、振動子に支持孔を設けていない状態での検出振動が最も小さい領域に、支持孔を設け,この支持孔で振動子を支持することによって、支持孔およびその周囲でかなり広い領域にわたって検出振動の大きさが平均化されることが分かった。このため、最初に支持孔で振動子を支持した後に、時間が経過したり、あるいは周囲の温度が変化しても、支持手段によって検出振動に及ぼされる擾乱の程度が変化しにくくなり、温度によるゼロ点の変動が小さくなり、ジャイロスコープの特性が一層向上した。
【0022】
更に、支持孔の中に、樹脂等の接着剤を充填し、支持手段から樹脂を介して振動子を保持することによって、一層高い効果を上げることができた。
【0023】
また、好適な態様においては、基部に複数の支持孔が設けられており、複数の支持孔で振動子が支持されている。これによって、振動子に対して階部振動が加わったときに、この外部振動による擾乱の影響を著しく低減できる。
【0024】
この態様においては、振動子の重心から見て点対称の位置にある複数の支持孔で、振動子を支持することが好ましい。これによって、外部振動による擾乱の影響が一層減衰する。
【0025】
また、振動子のうち検出振動が最も小さい領域を囲むように複数の支持孔を設けることができる。この場合には、振動子の重心から見て点対称の位置にある複数の支持孔で、振動子を支持することが特に好ましい。
【0026】
また、好適な振動子においては、複数の振動片が駆動振動片と検出振動片とに分かれており、検出振動片と検出振動が最も小さい領域との間に支持孔が設けられている。
【0027】
また、前述の振動子においては、振動子のうち、検出振動が最も小さい領域が、支持孔の内壁面まで延びていることが特に好ましい。この場合、支持孔は、検出振動が最も小さい領域の周囲に設けられていることが好ましく、検出振動が最も小さい領域と、検出振動片との間に設けられていることが最も好ましい。
【0028】
本発明の振動型ジャイロスコープにおいては、振動子の材質としては、圧電セラミックスや、水晶、LiTaO3 単結晶、LiNbO3 単結晶などの圧電性単結晶を用いることが好ましく、その中でも水晶、LiTaO3 単結晶、LiNbO3 単結晶などの圧電性単結晶を用いることがさらに好ましい。これは、単結晶自体の高いQ値を、効果的に適用できるためである。
【0029】
なお、本発明において、検出振動または駆動振動の最も小さい領域とは、他に一層小さい領域が見当たらないような一つまたは複数の領域を示す。好ましくは、検出振動時または駆動振動時の振動振幅が、振動子における最大振動振幅点の1000分の2以下であり、特に好ましくは1000分の1以下である。また、好ましくは、検出振動が最も小さい領域、駆動振動が最も小さい領域が、基部の一部に局在化している。
【0030】
また、本発明においては、有限要素法による固有モード解析によって、振動子における検出振動の振幅の、振動子における検出振動の最大振幅に対する比率を算出し、振動子の各点における前記比率の分布から、検出振動が最も小さい領域を検出する。特に好ましくは、有限要素法による固有モード解析によって、各点における駆動振動の振幅の、振動子における駆動振動の最大振幅に対する比率を算出し、振動子における前記比率の分布から、駆動振動が最も小さい領域を検出する。
【0031】
【発明の実施の態様】
以下、図面を参照しつつ、本発明を更に詳細に説明する。図1は本発明の振動型ジャイロスコープの振動子の一例の構成を示す図であり、(a)は側面図を示し、(b)は正面図を示し、(c)は底面図を示す。本例では、駆動振動と検出振動とが垂直な縦置きタイプの振動型ジャイロスコープを示している。図1(a)〜(c)に示す例において、振動型ジャイロスコープを構成する音叉型振動子1は、3本の互いにほぼ平行に配置された振動片2〜4と、これら3本の振動片2〜4を接続する基部5とから構成される。3本の振動片2〜4のうち、両端の振動片2、4は検出振動片を構成し、中央の振動片3は駆動振動片を構成する。
【0032】
上述した本発明の振動型ジャイロスコープの音叉型振動子1の動作は、従来から知られている音叉型振動子の動作と同じである。すなわち、まず、駆動振動片3を、駆動振動片3に設けた図示しない駆動手段により、XZ面内で振動させる。そして、左右の検出振動片2、4を同じXZ面内で共振させる。この状態で、音叉型振動子1の対称軸Zを中心に回転角速度ωが作用すると、検出振動片2、4にコリオリの力fが作用する。検出振動片2、4がXZ面内で振動していることから、検出振動片2、4にはYZ面内で振動が誘起される。この振動を検出振動片2、4に設けた図示しない検出手段により検出して、回転角速度を測定している。
【0033】
本発明で重要なのは、上述した音叉型振動子1を支持して振動型ジャイロスコープを構成する際、検出振動の一番小さい領域が局在する小領域で、音叉型振動子1を支持することで、音叉型振動子1の一番動きの小さい領域を固定することである。そのため、コリオリの力により発生する検出振動を減衰させることなく効果的に発生することができ、検出振動のQ値が高くなり、感度を上昇させることができる。コリオリの力により発生する検出振動は、振幅が小さいため、感度を上昇させるために本発明は特に効果的である。具体的には、図1(a)〜(c)に示す例において、基部5のほぼ中央部の領域6で音叉型振動子1を支持することである。
【0034】
音叉型振動子1を支持する方法については特に限定せず、圧電材料の接着方法として従来から知られているいずれの方法も使用することができる。その一例として、図2(a)、(b)に示すように、基部5のほぼ中央部の領域6に、基部5の厚み方向に所定の支持孔7を設け、この支持孔7に、振動型ジャイロスコープの支持手段8から突出して設けた振動片9を、振動片9の延在する方向と垂直の方向に突出させた突起10を挿入し、固定することができる。
【0035】
突起10と支持孔7との固定は、突起10の表面および/または支持孔7の内壁面にメタライズを施し、その後ハンダ付け又はロウ付けすることにより、あるいは突起10と支持孔7との間に樹脂を配することにより、実施することができる。なお、図2(a)、(b)に示す例では、基部5をその一表面で支持したが、基部5の両表面で支持することもできる。また、支持孔7を盲孔にする代わりに、貫通孔とし、この貫通孔に突起10を通し、突起10の両端部を振動型ジャイロスコープの支持手段8に固定することもできる。
【0036】
上述した例において、基部5の主面のほぼ中央部の領域6を、検出振動の一番小さい局在的な小領域とする理由は以下の通りである。すなわち、本発明者らは、まず上記形状の音叉型振動子1について、振動の一番小さい領域の局在する小領域が存在するかどうかを調べるため、上記形状の音叉型振動子1について有限要素法による固有モード解析を実施した。そして、図1に示すXZ面で切断したと仮定した場合の、XZ面(駆動振動の発生する面)とYZ面(コリオリ力による検出振動の発生する面)とにおける音叉型振動子1の各部の振動振幅を最大振動振幅点との比率の分布として求めた。駆動振動の発生する面であるXZ面における結果を図3に、コリオリ力による検出振動の発生するYZ面における結果を図4に示す。
【0037】
図3および図4に示す例において、それぞれ色の異なる領域は各別に異なる最大振動振幅点との比率の領域を示し、橙色の部分が、振動子における最大振動振幅点の1000分の1未満の、振動の一番小さい領域の局在する小領域となる。そして、本例では、図3が駆動振動における最大振動振幅点との比率を、図4が検出振動における最大振動振幅点との比率を示すこととなり、図4の結果から、検出振動の一番小さい領域の局在する小領域が存在することが確認された。また、図1に示す例のように、基部5の主面のほぼ中央部の領域6で表裏から支持すると、図4から検出振動の一番小さい領域の局在する小領域で支持するだけでなく、図3から駆動振動の一番小さい領域の局在する小領域で支持することにもなり、従って、本例では、検出振動の一番小さい領域の局在する小領域と駆動振動の一番小さい領域の局在する小領域とが重なる領域で、音叉型振動子1を支持することとなることがわかった。
【0038】
以上の結果をふまえて、実際に、従来例として図30で説明した底辺部固定の例および一軸固定の例、さらに本発明として図1に示す固定を行った例について、XZ面内における駆動振動のQ値、YZ面内の検出振動のQ値、および感度を測定したところ、表1に示す結果を得ることができた。表1の結果から、従来例に比べて本発明例は、XZ面内の駆動振動のQ値とYZ面内の検出振動のQ値とのいずれも高く、感度も高くなることがわかった。
【0039】
【表1】
【0040】
なお、上述した例では、音叉型振動子1として3本の振動片2〜4を利用した例を示したが、振動片の数は3本に限定されず、4本、5本などの他の本数でも本発明を適用できることはいうまでもない。また、上述した例では、図1においてXZ面内で駆動振動を発生させ、YZ面内で検出振動を発生させる例を示したが、音叉型振動子1の形状はそのままとして、両者の関係を逆、すなわちYZ面内で駆動振動を発生させ、XZ面内で検出振動を発生させるよう構成しても、本発明を適用できることはいうまでもない。
【0041】
以上の例では、駆動モードの振動と検出モードの振動とが垂直となる縦置きタイプの振動型ジャイロスコープの例を説明したが、駆動モードの振動と検出モードの振動とが同一平面内で水平となる横置きタイプの振動型ジャイロスコープにも本発明を好適に適用することができる。以下、横置きタイプの振動型ジャイロスコープについて、上述した例と同様に有限要素法の解析を行った例について説明する。
【0042】
縦置きタイプの振動型ジャイロスコープとしては、以下のものが好ましい。即ち、図5の振動子11においては、基部13が固定部90から垂直に延びており、基部13の一方の端部13aが固定部90に固定されている。基部13内に所定の検出手段15A、15Bが設けられている。基部13の他方の端部13b側に、基部13に対して垂直方向に延びる2本の屈曲振動片12A、12Bが設けられている。
【0043】
各屈曲振動片12A、12Bに対して、励振手段14A、14B、14C、14Dによって、矢印A、Bで示すような屈曲振動を励振することができる。振動子がX−Y平面内で回転軸Zを中心として回転すると、各屈曲振動片にコリオリ力が加わり、各屈曲振動片のコリオリ力が、基部13に対して加わる。これによって基部13が接続部分17を中心として矢印Dのように屈曲振動する。この基部13の屈曲振動を検出し、検出した屈曲振動に応じた信号を出力することができる。
【0044】
図5は、図6に示したような横置きタイプの、T型の振動片と基部とからなる振動子について、有限要素法による固有モード解析を検出モードの振動について求めた結果の一例を示す図である。図6においても、各部の振動を最大振動振幅点との比率として、図3及び図4と同様に色分けして示している。図6に示す例でも、図3又は図4に示した例と同様に、基部の中央に検出振動の一番小さい領域の局在する小領域が存在することが確認された。実際に、図6の振動子について、図30で説明した底辺部固定の例と、本発明のように検出振動の一番小さい領域の局在する小領域で支持した例について、駆動振動のQ値、駆動振動の同一面内の検出振動のQ値、および感度を測定したところ、表2に示す結果を得ることができた。表2の結果から、従来例に比べて本発明例は、駆動振動のQ値が若干高くなり、また検出振動のQ値は桁違いに高くなり、さらに感度も高くなることがわかった。
【0045】
【表2】
【0046】
また、本発明を好適に適用できる他のタイプの振動子においては、図5における各屈曲振動片12A、12Bを、これと交叉ないし直交する方向に延長することができる。例えば、図7に示す振動子21においては、基部13の先端側に屈曲振動片22A、18Aと、22B、18Bとが設けられて、音叉型の振動片19を構成している。
【0047】
図8は、Y型のアームと基部とからなる、図7の振動子について有限要素法による固有モード解析を検出モードの振動について求めた結果の一例を示す図である。図8においても、図6に示す例と同様に、基部の中央に検出振動の一番小さい領域の局在する小領域が存在することが確認された。実際に、図8の振動子について、図30で説明した底辺部固定の例と、駆動振動のQ値、駆動振動の同一面内の検出振動のQ値、および感度を測定したところ、従来例に比べて本発明例は、駆動振動のQ値が若干高くなり、また検出振動のQ値は桁違いに高くなり、さらに感度も高くなることがわかった。
【0048】
なお、図6に示すT型アームを有する振動子と、図8に示すY型アームを有する振動子とについて、駆動モードの振動についても有限要素法による固有モード解析を行ったところ、上述した検出モードの振動が一番小さい領域の局在する小領域と駆動モードの振動が一番小さい領域の局在する小領域とは一致しないことがわかった。
【0049】
また、本発明は、下記の形態の横置き用振動子に対しても好適に適用できる。このタイプの振動子においては、両端が固定されている固定片部を使用し、この固定片部の一方の側に主アームが設けられており、固定片部の他方の側に共振片が設けられており、固定片部、主アーム、共振片が実質的に前記所定平面内に延びるように形成されている。つまり、励振手段と屈曲振動検出手段とを、両端が固定された固定片部を介した位置に設けることができる。これによって、励振手段と屈曲振動検出手段との間で、電気機械的な混合などの悪影響を防止できるので、一層検出精度が向上する。
【0050】
図9においては、固定片部25によって、励振手段側と検出手段側とを分離している。具体的には、固定片部25の両端を固定部材26によって固定する。固定片部25の一方の側に主アーム23を設けている。主アーム23は、細長い基部13と、基部13の端部から、基部13の長さ方向に対して直交する方向に延びる2本の屈曲振動片22A、18Aと、22B、18Bとを備えている。
【0051】
固定片部25の他方の側に、共振片24が設けられている。共振片24は、固定片部25から垂直方向に延びる長方形の支持部30を備えており、支持部30内に所定の励振手段15が設けられている。主アーム23と共振片24とは、固定片部25に対して線対称をなしている。14A、14Bは検出手段である。
【0052】
図10および図11は、図9に示したような、Y型対向アームと2つの基部の接続部とを接合した振動子について、有限要素法による固有モード解析を行った結果を示す図である。図10に示す例が、検出モードの振動についての結果であり、図11に示す例が、駆動モードの振動についての結果である。図10に示す例から、両基部のそれぞれの中央及びY型対向アームと2つの基部の接続部との交わる点に、検出振動の一番小さい領域の局在する小領域が存在することが確認された。また、図11に示す例から、駆動モードの振動においても、駆動振動の一番小さい領域の局在する小領域が存在することが確認された。図10に示す例において、両基部のそれぞれの中央及びY型対向アームと2つの基部の接続部との交わる点で支持すると、図11から駆動モードの振動の一番小さい領域の局在する小領域を支持することにもなり、従って、本例では、検出振動の一番小さい領域の局在する小領域と駆動振動の一番小さい領域の局在する小領域とが重なる領域で、振動子を支持することとなることがわかった。
【0053】
実際に、図10及び図11の振動子について、図30で説明した底辺部固定の例と、本発明のように検出振動の一番小さい領域の局在する小領域、すなわち両基部のそれぞれの中央及びY型対向アームと2つの基部の接続部との交わる点で支持した例について、駆動振動のQ値、駆動振動の同一面内の検出振動のQ値、および感度を測定したところ、表3及び表4に示す結果を得ることができた。ここで、表3の結果はY型対向アームと2つの基部の接続部との交わる点で支持した例を示し、表4の結果は両基部のそれぞれの中央の2点で支持した例を示す。表3及び表4の結果から、いずれの例においても、従来例に比べて本発明例は、駆動振動のQ値が若干高くなり、また検出振動のQ値は桁違いに高くなり、さらに感度の高くなることがわかった。
【0054】
【表3】
【0055】
【表4】
【0056】
また、本発明例のうちでも、縦置きタイプの振動型ジャイロスコープの結果を示す表1と、横置きタイプの振動型ジャイロスコープの結果を示す表2〜表4とを比較してみると、検出モードの振動のQ値がいずれも1桁程度高くなっていることがわかり、そもそも検出モードの振動のQ値が小さい横置きタイプの振動型ジャイロスコープに本発明を適用すると効果がより高いことがわかった。
【0057】
また、本発明は、下記のタイプの横置き型の振動型ジャイロスコープに対して、特に好適に適用できる。この振動子は、所定の回転軸を中心として回転させるための振動子であって、この振動子が少なくとも複数の振動系を備えており、これら複数の振動系が回転軸に対して交差する所定面内に延びるように形成されており、振動系が、振動系の振動の重心が振動子の重心から見て所定面内で径方向に振動する径方向振動成分を含む第一の振動系と、振動系の振動の重心が振動子の重心から見て所定面内で周方向に振動する周方向振動成分を含む第二の振動系とを備えている。
【0058】
なお、周方向に振動する振動成分とは、重心GOから見て所定面内で円周方向に振動する振動成分のことを指している。径方向に振動する成分とは、重心GOからみて所定面内で円の直径方向に振動する振動成分のことを指しており、つまり、重心GOに対して遠ざかる方向と近づく方向とに対して交互に振動する成分のことを言う。
【0059】
前記した第一の振動系と第二の振動系とは、すべて何らかの形で連結され、所定面内に延びる振動子を形成している。こうした振動子を、回転軸Zを中心として矢印ωのように回転させることで、回転角速度の検出を行える。
【0060】
図12は、この態様に係る圧電単結晶製の振動子31を備えた振動型ジャイロスコープを、概略的に示す平面図である。基部38は、振動子の重心GOを中心として、4回対称の正方形をしている。基部38の周縁部38aから、四方に向かって放射状に、二つの駆動振動系39A、39B(本例では第一の振動系)と検出振動系40A、40B(本例では第二の振動系)とが突出しており、各振動系は互いに分離されている。駆動振動系39Aと39Bとは、重心GOを中心として2回対称であり、検出振動系40Aと40Bとは、重心GOを中心として2回対称である。
【0061】
駆動振動系39A、39Bは、基部38の周縁部38aから突出する支持部32A、32Bと、支持部32A、32Bの先端32b側から支持部に直交する方向に延びる屈曲振動片33A、33B、33C、33Dを備えている。各屈曲振動片には、それぞれ駆動電極34A、34B、34C、34Dが設けられている。検出振動系40A、40Bは、細長い周方向屈曲振動片からなり、各屈曲振動片には検出電極35A、35Bが設けられている。
【0062】
本発明者は、図12の振動子について、駆動振動および検出振動モードが振動子の全体に及ぼす影響を調べるため、有限要素法による固有モード解析を実施した。そして、振動子を水晶によって作製し、振動子の各点の振動の振幅を、最大振動振幅点に対する比率の分布として求めた。
【0063】
図13には、振動子の各点の駆動振動モードにおける最大振動時の振幅の相対比率を示し、図14には、振動子の各点の検出振動モードにおける最大振動時の振幅の相対比率を示している。図13の駆動モードにおいては、各屈曲振動片が、支持部32A、32Bの先端部分32b付近を中心として屈曲振動している。図14の検出モードにおいては、支持部32A、32Bが、固定部32aを中心として周方向に屈曲振動し、これに対応して、検出振動系の屈曲振動片40A、40Bが屈曲振動している。
【0064】
図13および図14において、それぞれ色の異なる領域は、各別に異なる最大振動振幅点との比率の領域を示す。橙色の部分が、振幅が最小の領域となる。
【0065】
図13によると、各支持部32A、32Bの基部38に対する固定部32aの近辺では、各駆動振動系の振動に伴って引っ張り応力が加わり、変形が見られる。しかし、この変形の影響は、各駆動振動系39Aと39Bとが2回対称の位置に配置されていることから、基部内において互いに相殺し合う。このため、基部の中心付近、そして駆動振動系に挟まれた検出振動系40A、40Bにおいては、駆動振動による影響が見られなくなっている。
【0066】
図14によると、各駆動振動系39Aと39Bとから基部に加わる影響が相殺し合っている。しかも、各検出振動系40A、40Bから基部に加わる影響も、各検出振動系が2回対称の位置に配置されていることから、基部内において互いに相殺し合う。この結果、基部の中心付近36A(図12および図14参照)においては、検出振動による影響が見られなくなっている。
【0067】
本発明に従って、検出振動の振幅が最小の領域36A内において、振動子31を支持し、固定する。または支持孔37Aを形成する。
【0068】
また、本例においては、図12−図14におけるように、駆動振動が最も小さい領域内に、振動子の重心GOが位置している。
【0069】
また、本例においては、検出振動が最も小さい領域内に、振動子の重心GOが位置しており、重複領域内に、支持孔37Aを設け、支持孔37Aを使用して、後述のように振動子を支持する。
【0070】
図15は、他の実施形態に係る振動子41を概略的に示す平面図である。駆動振動系39A、39B、検出振動系40A、40Bおよびこれらの動作については、図12に示したものと同様である。この基部48の検出振動系側の2片の周縁48aから枠部46A、46Bが延びており、各枠部の中に各検出振動系が包囲されている。各枠部は、それぞれ、各検出振動系と平行に延びる接続部分46aと、振動子の支持、固定を必要に応じて行うための支持枠46bとを備えている。枠部46A、46Bの中で、駆動振動時および検出振動時の振幅が最小の領域を支持、固定する。
【0071】
図16には、図15の振動子の各点の駆動振動モードにおける最大振動時の振幅の相対比率を示し、図17には、この振動子の各点の検出振動モードにおける最大振動時の振幅の相対比率を示している。
【0072】
図16によると、各支持部32A、32Bの基部48に対する固定部32aの近辺では、各駆動振動系の振動に伴って引っ張り応力が加わり、変形が見られる。この影響は、枠部の接続部分46aにおいても若干見られる。しかし、これらの影響は相殺し合うために、基部の中心付近、駆動振動系の各屈曲振動片および枠部の支持枠46bにおいては、駆動振動による影響が見られなくなっている。
【0073】
図17によると、各駆動振動系、各検出振動系から基部48に加わる影響は互いに相殺し合い、この結果、基部48の中心付近36Aにおいては、検出振動による影響が見られなくなっている。36A中に支持孔を設けることができる。しかし、これだけではなく、支持枠46b内の領域36Bも振幅が最小となるので、この領域36Bを支持、固定することもできる。
【0074】
また、本例においては、図15、図16におけるように、駆動振動時の振動子の微小変位部分内に、振動子の重心GOと駆動振動系の全体の重心GDとが位置している。また、図15、図17におけるように、検出振動時の振動子の微小変位部分36A内に、振動子の重心GOと駆動振動系の全体の重心GDとが位置している。
【0075】
次に、振動子に支持孔を設けた場合において、具体的な支持方法を例示する。例えば、図18(a)、(b)に示すように、前述した振動子31において、基部38のうち、検出振動が最も小さい領域内に支持孔47を設け、支持孔47で振動子を支持する。支持台42の上に、支持手段である治具43を固定する。治具43は、本体43aと、段差部43bと、突起43cとを備えている。突起43を支持孔47内に挿入し、基部38を段差部43bの上に載せる。
【0076】
以下、図12ないし図18の形態の振動子31を使用し、2種類の支持方法を採用した場合について、実験結果を述べる。
【0077】
最初に、図18に示す形態の振動子31を作製した。ただし、厚さ0.3mmの水晶のZ板のウエハーに、スパッタ法によって、所定位置に、厚さ200オングストロームのクロム膜と、厚さ5000オングストロームの金膜とを形成した。ウエハーの両面にレジストをコーティングし、振動子の外形形状パターンをフォトリソグラフィー法によって設けた。この際、第一の実施例では支持孔のパターンを設けず、第二の実施例では支持孔のパターンを設けた。
【0078】
このウエハーを、ヨウ素とヨウ化カリウムとの水溶液に浸漬し、余分な金膜をエッチングによって除去し、更に硝酸セリウムアンモニウムと過塩素酸との水溶液にウエハーを浸漬し、余分なクロム膜をエッチングして除去した。温度80℃の重フッ化アンモニウムに20時間ウエハーを浸漬し、ウエハーをエッチングし、振動子の外形を形成した。この際、第一の実施例では支持孔を形成せず、第二の実施例では支持孔を形成した。メタルマスクを使用して、厚さ2000オングストロームのアルミニウム膜を電極膜として形成した。
【0079】
次いで、支持孔を形成していない振動子の電極に1.0ボルトの電圧を印加し、駆動振動を発生させ、振動子の各点における振幅の分布を測定した。この結果を表5に示す。
【0080】
【表5】
【0081】
このように、振動子の重心GOの近辺では、振幅は著しく小さいが、重心から例えば1.0mm離れると、振幅が増大する。このため、支持位置が機械的な原因からずれたり、あるいは温度変化によって振動状態が若干変化したときに、支持手段から振動子に加わる影響の度合いが変化するおそれがあった。
【0082】
一方、支持孔を形成した振動子について、前記と同様に振動状態を調べた。ただし、支持孔の形状は、直径0.3mmの円形とした。振動子の各点における振幅の分布を測定した。この結果を表6に示す。
【0083】
【表6】
【0084】
このように、例えば重心から1.5mmの範囲内で振幅の変動が著しく小さいことがわかる。
【0085】
振動子の固定は、例えば図19、図20に示すようにして行う。支持台42の上には、スペーサー48、制御部49および支持治具43が載置されている。スペーサー48の上に振動子50が載置されており、振動子50の支持孔47に、治具43の突起43cが挿入されている。支持孔47の内壁面と突起43cとの隙間は、樹脂、半田、メタライズ等によって充填されている。制御部49の上には所定のワイヤー46が接続されており、ワイヤー46が振動子50上の所定の電極パターンに接続されている。また、固定台44から固定治具45が突出しており、固定治具45によって振動子50がスペーサー上の所定箇所に機械的に固定されている。
【0086】
図21(a)においては、突起51Aと51Bとを、振動子50の支持孔47を挟むように上下に配置し、突起51Aと51Bとによって上下方向から振動子50を圧着している。図21(b)、(c)においては、突起52の方にピン52aを設け、他方の突起53の方に孔53aを設ける。突起52と53とを、振動子50の支持孔47を挟むように上下に配置し、ピン52aを支持孔47に挿入し、貫通させ、更に孔53aに挿入し、突起52と53とによって上下方向から振動子50を圧着している。
【0087】
図22(a)においては、支持手段の突起51を支持孔47の下方に配置し、振動子の表面と突起51とを、接合層54を介して接合する。図22(b)においては、振動子の支持孔47を挟むように、振動子の上下に突起51A、51Bを設置し、支持孔47の中と、振動子50と突起51Aおよび突起51Bとの間に、接合材料54を充填し、接合層を形成する。また、図22(c)に示すように、支持手段52の突起52aを支持孔47中に挿入し、挿通し、支持手段52の端面と振動子50との間、および突起52aと支持孔47の内周面との間に、接合層54を形成する。また、図22(d)においては、図21(b)と同様に、突起52の方にピン52aを設け、他方の突起53の方に孔53aを設け、突起52と53とを、振動子50の支持孔47を挟むように上下に配置し、ピン52aを支持孔47に挿入し、貫通させ、更に孔53aに挿入する。そして、支持手段52および53の各端面と振動子50との間、および突起52aと支持孔47の内壁面との間に、接合材料54を充填する。
【0088】
図23−図29は、振動子の基部に複数の孔を形成し、複数の孔のうちの一つまたは複数を支持孔として使用する例である。
【0089】
図23の振動子61Aにおいては、基部60Aの中で、重心GOおよびGDを囲むように、8個の孔62A、62B、62Cが設けられている。このうち、4個の孔62Aは、四辺形の基部60Aの4隅の位置に設けられており、2個の孔62Bは、検出振動系40A、40Bと重心GO、GDとの間にある。2個の孔62Cは、駆動振動系39A、39Bと重心GO、GDとの間にある。特に好ましくは、本例のように、孔62Bを支持孔とする。例えば、図23(b)に示すように、支持手段80を設置する。支持手段80は、支持棒81と、支持棒81から横方向に突き出ているアーム82と、2つの支持突起83とを備えている。そして、支持突起83を各支持孔62B内に挿入し、振動子61Aを把持する。
【0090】
図24は、振動子61Aの各点の駆動振動モードにおける最大振動時の振幅の相対比率を示し、図25には、振動子の各点の検出振動モードにおける最大振動時の振幅の相対比率を示している。図24および図25において、それぞれ色の異なる領域は、各別に異なる最大振動振幅点との比率の領域を示す。橙色の部分が、振幅が最小の領域となる。
【0091】
各駆動振動系、検出振動系の動作は、前述したものと同様である。ただし、基部60A内の各点の振幅については、孔がない場合と比べて大きく変化している。即ち、基部60Aの中で、例えば図14においては、検出振動が最も小さい領域は、略菱形の形状をしていた。しかし、本例においては、特に検出振動系と重心との間に孔62Bを設けたことから、図23、図25に示すように、検出振動が最も小さい領域36Cが、二つの検出振動系40Aと40Bとの間で細長く延びており、この領域36Cは、各支持孔62Bの内壁面にまで達し、露出していた。この結果、図23(a)、(b)に示すように、支持突起83によって、検出振動が最も小さい領域を直接支持していることになる。
【0092】
なお、図24から分かるように、各孔の中心部に、略八角形の、駆動振動が最も小さい領域が生成しており、この領域は、前記領域36Cを包囲している。このため、領域36Cは、重複領域となっている。
【0093】
図26の振動子61Bにおいては、基部60Bに、更に中心孔62Dが形成されている。この場合には、孔62Dを支持すること、および/または、孔62Bを支持することが好ましい。
【0094】
図27の振動子61Cにおいては、基部60C中に、4個の孔62Dが設けられている。各孔62Dは、重心GO、GDを包囲するように、重心に対して、4回の回転対称をなすように形成されている。これらの孔のうち、2つ以上を支持することが好ましい。
【0095】
図28の振動子61Dにおいては、基部60D中に、6個の孔62E、62Fが設けられている。各孔62Eは、重心GOと、検出振動系40A、Bとの間にある。2つの孔62Fは、重心GOと、駆動振動系39A、39Bとの間にある。この場合には、4個の孔62Eで振動子を支持することができ、あるいは、2個の孔62Fで振動子を支持することができる。または、基部62Dに複数の孔を設けることによって、基部における検出振動、駆動振動の各振幅が変化し、検出振動が最も小さい領域、駆動振動が最も小さい領域が、基部に孔がない場合に比べて広くなっているので、両者の重複領域で振動子を支持することができる。
【0096】
図29の振動子61Eにおいては、基部60E中で、4個の孔62Dが設けられている。各孔62Dは、重心GO、GDを包囲するように、重心に対して、4回の回転対称をなすように形成されている。また、各孔62Dの外側に、細長い孔62Gが形成されている。この例では、孔62Dを2箇所あるいは4箇所支持することが好ましく、および/または、各孔62Dの内側にある、検出振動が最も小さい領域を支持することが好ましい。
【0097】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明によれば、振動子の検出振動のQ値が高くなり、感度を上昇させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)、(b)、(c)はそれぞれ本発明の振動型ジャイロスコープの振動子の一例の構成を示す図である。
【図2】(a)、(b)はそれぞれ本発明における振動子の支持方法の一例を説明するための図である。
【図3】音叉型振動子1について有限要素法による固有モード解析の結果の一例を示す図である。
【図4】音叉型振動子1について有限要素法による固有モード解析の結果の他の例を示す図である。
【図5】T型アームを有する振動子11の動作を説明するための概略的正面図である。
【図6】図5のタイプの振動子の検出振動モードについて、有限要素法による固有モード解析の結果の一例を示す図である。
【図7】Y型アームを有する振動子21の動作を説明するための概略的正面図である。
【図8】図7の振動子の検出振動モードについて、有限要素法による固有モード解析の結果の一例を示す図である。
【図9】Y型対向アームを有する振動子29の動作を説明するための概略的正面図である。
【図10】図9のタイプの振動子の検出振動モードについて、有限要素法による固有モード解析の結果の一例を示す図である。
【図11】図9のタイプの振動子の駆動振動モードについて、有限要素法による固有モード解析の結果の他の例を示す図である。
【図12】本発明を特に好適に適用できる振動子31の動作を説明するための、概略的正面図である。
【図13】図12の振動子の駆動振動モードについて、有限要素法による固有モード解析の結果の一例を示す図である。
【図14】図12の振動子の検出振動モードについて、有限要素法による固有モード解析の結果の一例を示す図である。
【図15】本発明を適用できる他の振動子41の動作を説明するための、概略的正面図である。
【図16】図15の振動子の駆動振動モードについて、有限要素法による固有モード解析の結果の一例を示す図である。
【図17】図15の振動子の検出振動モードについて、有限要素法による固有モード解析の結果の一例を示す図である。
【図18】(a)は、振動子31の基部38の中央部の支持孔47に支持突起を挿入して、支持している状態を示す正面図であり、(b)は、その断面図である。
【図19】振動子の支持および固定装置の一例を概略的に示す断面図である。
【図20】図19の支持および固定装置を示す斜視図である。
【図21】(a)、(b)は、一対の支持突起を使用して、振動子を圧着して支持する態様を示す要部断面図である。
【図22】(a)−(d)は、接合材料54を使用して振動子を支持手段に接合し、支持する態様を示す要部断面図である。
【図23】(a)は、基部60A内に八個の孔が設けられている振動子61Aを示す正面図であり、(b)は、その断面図である。
【図24】図23の振動子の駆動振動モードについて、有限要素法による固有モード解析の結果の一例を示す図である。
【図25】図23の振動子の検出振動モードについて、有限要素法による固有モード解析の結果の一例を示す図である。
【図26】基部60B内に九個の孔が設けられている振動子61Bを示す正面図である。
【図27】基部60C内に四個の孔が設けられている振動子61Cを示す正面図である。
【図28】基部60D内に六個の孔が設けられている振動子61Dを示す正面図である。
【図29】基部60E内に四個の孔62Dと、四個の孔62Gとが設けられている振動子61Eを示す正面図である。
【図30】従来の振動型ジャイロスコープに用いる音叉型振動子の一例の構成を示す図である。
【符号の説明】
1 横置き型の音叉型振動子 2、4 検出振動片 3 駆動振動片 5、8 基部 6、36A、36B、36C 検出振動が最も小さい領域 7、47 支持孔 9 支持アーム 10 支持突起 11、21、29、31、50、61A,61B、61C、61D、61E 縦置き型の振動子 12A、12B、18A、18B、22A、22B 面内屈曲振動片 37A 支持孔 38、48 基部 39A、39B 駆動振動系 40A、40B 検出振動系 43、51A、51B、52、53 支持手段 54 接合材料(接合層) 60A、60B、60C、60D、60E、90 基部 GD 駆動振動系の全体の重心 GO 振動子の重心
Claims (5)
- 振動子に加えられている回転の回転角速度を検出するための振動型ジャイロスコープであって、
前記振動子が、複数の振動片と、複数の振動片を接続する基部とを備えており、前記振動片のうちの少なくとも一つに駆動振動を与えたときに前記回転角速度に応じて前記振動子に励起される検出振動から、前記回転角速度を求めるように構成されるとともに、前記駆動振動と前記検出振動とが前記振動子の面内振動となるよう構成されており、前記振動子のうち前記検出振動が最も小さい領域で前記振動子を支持する支持手段を備えていることを特徴とする、振動型ジャイロスコープ。 - 前記振動子が、前記検出振動が最も小さい領域と、前記駆動振動が最も小さい領域とが重なる重複領域で支持されていることを特徴とする、請求項1記載の振動型ジャイロスコープ。
- 前記振動子が、前記振動子の重心の近傍領域内で支持されていることを特徴とする、請求項1または2記載の振動型ジャイロスコープ。
- 前記振動子が、前記振動子の前記駆動振動系の全体の重心の近傍領域内で支持されていることを特徴とする、請求項1−3のいずれか一つの請求項に記載の振動型ジャイロスコープ。
- 前記振動子に支持孔が設けられており、この支持孔の内側壁面またはその近傍で前記振動子が支持されており、前記振動子に前記支持孔を設けていない状態で前記検出振動が最も小さい領域に支持孔が設けられていることを特徴とする、請求項1−4のいずれか一つの請求項に記載の振動型ジャイロスコープ。
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