JP4029631B2 - 遊星機構、この遊星機構が取り付けられた駆動源およびこの遊星機構を備えた装置 - Google Patents

遊星機構、この遊星機構が取り付けられた駆動源およびこの遊星機構を備えた装置 Download PDF

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば、駆動源の回転を減速させつつ駆動力を増大させる減速装置や、駆動源の回転を増速させつつ駆動力を減少させる増速装置等の動力伝達装置として用いられる遊星機構、この遊星機構が取り付けられた駆動源およびこの遊星機構を備えた装置に関する。
【0002】
【背景技術】
従来、動力伝達装置として遊星機構が知られている。
遊星機構は、例えば、第1の回転軸に連結された太陽歯車と、この太陽歯車に噛合される複数の遊星歯車と、これら遊星歯車同士の間隔を維持しながら遊星歯車を太陽歯車に対して公転可能に支持するキャリアと、遊星歯車が内周面に噛合される円筒状の固定内歯と、遊星歯車が内周面に噛合される円筒部と第2の回転軸とを有する可動内歯車とを備えている(特開平5−321987号公報参照)。
なお、可動内歯車の位置の偏りを防止するため、遊星歯車の個数は最低でも3個とされている。
【0003】
以上の遊星機構は、減速装置として用いると、以下のように動作する。
まず、第1の回転軸を回転駆動させると、第1の回転軸に連結された太陽歯車が回転するとともに、遊星歯車も回転する。遊星歯車は、回転しない固定内歯にも噛合されているため、太陽歯車から付与された回転力によって、太陽歯車の周囲を固定内歯の内周面に沿って自転しつつ公転する。このとき、遊星歯車は可動内歯車の円筒部の内周面にも噛合されているから、第2の回転軸を有する可動内歯車も回転する。
すなわち、遊星機構では、第1の回転軸を回転させて遊星歯車を回転させると、遊星歯車は太陽歯車の周囲を公転するが、この遊星歯車が太陽歯車の周囲を1周する度に、可動内歯車の固定内歯に対する相対位置がずれることとなり、このずれが第2の回転軸の回転となる。
【0004】
この場合の減速比は、減速比をZZ、太陽歯車の歯数をL、固定内歯の歯数をM、可動内歯車の歯数をN、遊星歯車の固定内歯に噛合される部分の歯数をR、遊星歯車の可動内歯車に噛合される部分の歯数をSとすると、以下の式で表される。
【0005】
【数1】
Figure 0004029631
【0006】
以上の式より、減速比ZZを大きくするためには、例えば、遊星歯車の構造を単純化してR=Sとすると、MとNとの差をできるだけ小さくする必要があることが分かる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の遊星機構では、以下のような問題点があった。
太陽歯車、固定内歯、可動内歯車の歯数は、各遊星歯車を太陽歯車、固定内歯および可動内歯車に噛合させるため、遊星歯車の個数の倍数にする必要があった。したがって、遊星歯車の個数を最小限の3個とした場合でも、固定内歯の歯数と可動内歯車の歯数との差は少なくとも3以上になっていた。そのため、減速比の増加に限界があり、大きな減速比ZZを得ることが困難であった。
例えば、上述した式において、L=6、M=30、N=33、S=R=12のとき、減速比ZZ=66であった。
【0008】
また、減速装置では、可動内歯車が出力軸となっているため、遊星歯車と可動内歯車との噛み合う部分には、他の噛み合い部分に比べ、大きな負担がかかることになり、歯の摩耗が激しかった。
特に、遊星機構を小型化するためには、可動内歯車および遊星歯車の両方を小型化する必要があるが、歯の強度確保のため遊星歯車を小型化するには限界があった。そのため、遊星歯車ピッチ円の円周長さの総和より可動内歯車ピッチ円の円周長さの方が短くなるという現象が起きやすかった。例えば、遊星歯車の個数を最小限の3個とし、可動内歯車ピッチ円の直径を遊星歯車ピッチ円の直径の3倍以下に設定した場合、遊星歯車ピッチ円の円周長さの総和より可動内歯車ピッチ円の円周長さの方が短くなる。この場合、歯1枚あたりの噛み合う回数は遊星歯車より可動内歯車の方が多くなるため、可動内歯車の歯の摩耗が激しくなっていた。
【0009】
本発明の目的は、大きな増減速比を得ることができかつ可動内歯車の摩耗を低減できる遊星機構、この遊星機構が取り付けられた駆動源およびこの遊星機構を備えた装置を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明の遊星機構、この遊星機構が取り付けられた駆動源およびこの遊星機構を備えた装置は、次の構成を採用する。
すなわち、本発明の遊星機構は、太陽歯車と、この太陽歯車に噛合され当該太陽歯車の周囲を公転可能な遊星歯車と、前記遊星歯車が噛合される固定内歯と、前記遊星歯車が噛合される可動内歯車とを備えた遊星機構において、前記遊星歯車は1つとされ、前記固定内歯および前記可動内歯車に当接し、かつ、前記遊星歯車に対して等間隔離れた状態を維持しながら前記太陽歯車の周囲を公転可能な遊星ローラを備えていることを特徴とする。
【0011】
なお、以下の説明において、「当接する」とは、接触している状態に限らず、遊星機構の円滑な駆動を妨げない範囲で適当なガタ(隙間)が形成されている状態も含む。
また、1つの遊星歯車とは、固定内歯に噛合される部分と可動内歯車に噛合される部分とが物理的に一体とされた1個の遊星歯車のほか、これらの部分が2つに物理的に分離していても、機能的に1体とされた遊星歯車も含まれる。例えば、固定内歯に噛合される部分を有する遊星歯車と可動内歯車に噛合される部分を有する遊星歯車とをそれぞれ設け、これらの遊星歯車同士で互いに回転を伝達する構造が挙げられる。
【0012】
この発明によれば、例えば、遊星機構を減速装置として用いた場合には、まず、太陽歯車を回転させると、この太陽歯車に噛合された遊星歯車も回転する。遊星歯車は、回転しない固定内歯にも噛合されているため、太陽歯車から付与された回転力によって、太陽歯車の周囲を固定内歯に沿って自転しつつ公転する。このとき、遊星歯車は、可動内歯車にも噛合されているから、可動内歯車も回転する。
なお、遊星機構を増速装置として動作させる場合には、可動内歯車を入力軸とし、太陽歯車を出力軸とすればよい。
【0013】
ここで、1つの遊星歯車のみを太陽歯車、固定内歯および可動内歯車に噛合させたので、太陽歯車、固定内歯および可動内歯車の歯数を、遊星歯車の個数である1の倍数、つまり自由に設定できるから、大きな増減速比を得ることができる。
例えば、従来では、上述した式でL=6、M=30、N=33、S=R=12のとき、減速比ZZ=66であったが、M=31としてM−Nの値を1小さくするだけで、減速比ZZ=101.75となり、大きな減速比を得ることができる。
【0014】
また、遊星歯車の個数を1つとしたので、遊星歯車ピッチ円の円周長さの総和より可動内歯車ピッチ円の円周長さの方が確実に長くなるため、遊星歯車の歯に比べて可動内歯車の歯の摩耗を低減できる。
【0015】
また、可動内歯車に対して1つの遊星歯車のみが噛合しているため、可動内歯車の1箇所に遊星歯車から回転力が付与されることになり、可動内歯車の回転軸が傾くおそれがある。しかし、この発明によれば、固定内歯および可動内歯車に当接し、かつ、遊星歯車に対して等間隔離れた状態を維持しながら太陽歯車の周囲を公転可能な遊星ローラを設けたので、可動内歯車に対して遊星歯車および遊星ローラで均等に押圧力を加えることができるから、可動内歯車の回転軸の傾きを抑制できる。
【0016】
また、遊星歯車を1つとしたので、遊星歯車の製造時に、固定内歯に噛合される部分と可動内歯車に噛合される部分との位相を合わせる必要がないから、容易に組み立てや成形を行うことができる。
さらに、固定内歯や可動内歯車との位相を合わせる必要があるのは遊星歯車のみで、遊星ローラについては位相を合わせる必要がないから、遊星機構の組み立て作業を容易に行うことができる。
【0017】
本発明の遊星機構では、前記遊星ローラは、その外周面で前記可動内歯車の歯先に当接していることが望ましい。
この発明によれば、遊星ローラで可動内歯車の歯先を押圧するとともに、遊星歯車で可動内歯車の歯を押圧する。したがって、回転軸に交差する一平面で可動内歯車を押圧できるから、可動内歯車の回転軸の傾きを確実に抑制できる。
【0018】
本発明の遊星機構では、前記遊星歯車および遊星ローラは、前記可動内歯車の平滑面に当接する当接面を有していることが望ましい。
この発明によれば、遊星歯車および遊星ローラで、回転軸に交差する一平面において可動内歯車の平滑面を均等に押圧できるから、可動内歯車の回転軸の傾きを確実に抑制できる。
【0019】
本発明の遊星機構では、前記遊星歯車および遊星ローラは、その外周面に突出した鍔部を有し、互いに隣接する前記遊星歯車および遊星ローラは、前記鍔部で互いに当接していることが望ましい。
この発明によれば、遊星ローラおよび遊星歯車同士の相対的な位置決めを容易にできるから、遊星機構を容易に組み立てることができる。
また、遊星機構の動作時でも、鍔部によって遊星歯車および遊星ローラ同士が等間隔離れた状態を維持できるから、キャリアが不要となり、小型化、部品点数の削減、コストの削減を実現できる。
【0020】
さらに、遊星歯車および遊星ローラを鍔部で可動内歯車の平滑面に当接させれば、遊星ローラおよび遊星歯車は、鍔部で互いに押圧して相対的な位置関係を維持しながら、可動内歯車を均等に押圧することになるから、回転軸に交差する一平面内で力の釣り合いをとることができ、可動内歯、遊星ローラおよび遊星歯車の回転軸がずれるのを確実に防止できる。
【0021】
本発明の遊星機構では、前記遊星歯車および遊星ローラの個数は、4個以上の偶数とされていることが望ましい。
この発明によれば、遊星機構を駆動させると、遊星歯車が回転し、この遊星歯車の回転に従って、遊星歯車と鍔部で接している各遊星ローラも回転する。このとき、遊星ローラ同士の鍔部の接触面や、遊星歯車と遊星ローラとの鍔部の接触面では、相対的な滑りが生じず、滑り摩擦でなく転がり摩擦となる。よって、遊星歯車および遊星ローラが回転しても、互いの回転を妨げることがなく、また、摩擦損失も少なくなるため、遊星機構を円滑に駆動させることができる。
なお、遊星歯車および遊星ローラの個数を3個以上の奇数とした場合には、各遊星ローラが遊星歯車に従って回転しようとしても、遊星ローラ同士の鍔部の接触面や、遊星歯車と遊星ローラとの鍔部の接触面のうち、少なくとも1箇所で回転方向が逆になってしまい、転がり摩擦でなく滑り摩擦が生じる。したがって、遊星歯車の円滑な回転が妨げられるうえに、摩擦損失も大きくなるおそれがある。
【0022】
本発明の遊星機構では、前記固定内歯の歯数と可動内歯車の歯数との差は、1とされていることが望ましい。
遊星機構では、太陽歯車を回転させて遊星歯車を回転させると、遊星歯車は太陽歯車の周囲を公転するが、この遊星歯車が太陽歯車の周囲を1周する度に、可動内歯車の固定内歯に対する相対位置がずれることとなり、このずれが可動内歯車の回転となる。したがって、この発明によれば、遊星歯車の1周毎の可動内歯車の固定内歯に対する相対位置のずれを最小限にすることができるから、最大の増減速比を得ることができる。
例えば、上述した式でL=6、N=33、S=R=12、M=32とすると、減速比ZZ=209となり、最大の減速比を得ることができる。
【0023】
本発明の駆動源は、上述した遊星機構が取り付けられていることを特徴とする。
また、本発明の駆動源は、モータであることを特徴とする。
ここで、駆動源としては、モータ、エンジン等の動力発生装置が含まれる。
この発明によれば、遊星機構を例えば減速機構としてモータ等の駆動源に取り付けることにより、上述した効果と同様の効果を得ることができる。すなわち、太陽歯車、固定内歯および可動内歯車の歯数を自由に設定できるから、大きな増減速比を得ることができる。また、遊星歯車ピッチ円の円周長さの総和より可動内歯車ピッチ円の円周長さの方が確実に長くなるため、遊星歯車の歯に比べて可動内歯車の歯の摩耗を低減できる。
【0024】
本発明の装置は、上述した遊星機構を備えていることを特徴とする。
また、本発明の装置は、ポンプであることを特徴とする。
この発明によれば、遊星機構を減速装置として、液体吐出装置(チューブポンプ)、カメラのフィルム巻き上げ機構、カメラレンズの駆動機構、小型電子機器、小型ポンプ、玩具、配管検査用装置(ロボット)、小型エンジン等に利用できるほか、増速機構として発電機等にも利用でき、上述したように、大きな増減速比を得ることができ、かつ、可動内歯車の歯の摩耗を低減できる。
【0025】
【発明の実施の形態】
[第1実施形態]
以下、本発明の第1実施形態を図1および図2に基づいて説明する。
図1は本発明の第1実施形態に係る遊星機構10が適用された液体吐出装置1を示す平面図、図2は図1における断面図である。また、以下の説明では、図2中の上側を液体吐出装置1における「上側」、下側を「下側」と言う。
【0026】
図1及び図2に示す液体吐出装置1は、チューブ100と、このチューブ100が配置された基部2と、基部2に設けられて2つのボール5をチューブ100上に転動可能に保持するリテーナ4と、基部2に設けられて2つのボール5をチューブ100に押し付けてチューブ100の一部を圧閉するロータ3と、基部2に設けられてロータ3をチューブ100に沿って移動させる駆動機構6と、リテーナ4、ロータ3および駆動機構6を覆うカバー9とを備えている。すなわち、基部2とカバー9とでリテーナ4やロータ3等を収納するための空間が形成されている。
【0027】
チューブ100は、内部に芳香剤、消臭剤、薬品等の液体を収容するものであって、弾性を有する樹脂、例えば、軟質塩ビ系、シリコン、フッ素系、オレフィン系、ウレタン系等の材料で形成されている。なお、チューブの材質は、収容する液体の量や性質等により適宜選択されてよい。
【0028】
基部2は、チューブ100が設置されるチューブガイド溝200が形成された基部本体21と、基部本体21から上方に向かって立設されてカバー9を支持する壁部22と、基部本体21に設けられた軸部7とを備えている。
【0029】
基部本体21には、円形状の円形溝220と、この円形溝220に連通する直線状の2本の直線溝221,222とが形成されている。これら直線溝221,222は、基部2の外部近傍まで延びている。
以上の直線溝221と、円形溝220のうち直線溝221から直線溝222までの略円形に近い円弧状の部分と、直線溝222とで、チューブガイド溝200を構成している。
【0030】
なお、チューブガイド溝200の曲率は、吐出量、リテーナ4の回転速度、チューブ100の内径、チューブ100の押圧角度、ボール5の個数、液体吐出装置1全体の大きさ等によって決定される。
【0031】
軸部7は、基部本体21の円形溝220の中心に相当する位置に形成された軸孔211に設けられている。軸孔211の基部本体21の上面側の周囲は断面凹状とされ、この凹状部分の外周側がリテーナ支持部212となっている。軸孔211の基部本体21下面側には、軸孔211より大きな開口213が形成されている。
【0032】
軸部7は円筒状の軸部本体71と、軸部本体71の下端側に設けられた円形状のフランジ部72と、軸部本体71の外周面に装着されたボールベアリング73とを有している。
ボールベアリング73は、内側の軸受が軸部本体71上端側に螺合されたねじ74で軸部本体71に固定され、外側のジャーナルが軸部7の中心軸を中心として内側部分に対して回転自在とされている。
以上の軸部7は、軸部本体71が軸孔211に挿通されるとともにフランジ部72が開口213に嵌め込まれることにより、基部本体21に固定されている。
【0033】
リテーナ4は、円盤状であって、軸部7を中心として基部2に対し回転可能に設けられている。
すなわち、リテーナ4の中心部分には軸孔41が形成されている。リテーナ4の軸孔41にボールベアリング73に固定されたロータ3の軸部分が遊嵌されており、この状態で、リテーナ4の下面が基部2のリテーナ支持部212上に載置される。これにより、リテーナ4は、基部2に対して回転可能となっている。
【0034】
リテーナ4は、その外周側端部に、ボール5を保持するための2つのボール保持部43A,43Bと、このボール保持部43A,43B近傍に設けられた引掛部44A,44Bとを有している。
ボール保持部43A,43Bは、軸孔41を挟んで互いに180度反対側の位置に設けられている。また、これらボール保持部43A,43Bは、軸孔41から等距離、つまり、リテーナ4の回転に伴ってチューブガイド溝200の円形溝220上を常に通る位置に設けられている。
ボール5は、ボール保持部43Aに保持される導入ボール5Aとボール保持部43Bに保持されるボール5Bとの2種類があり、このうち、導入ボール5Aは、基部本体21上の後述する導入ボール配置溝24に初期配置され、この導入ボール配置溝24からボール保持部43Aに導入されるものである。
【0035】
ボール保持部43Aは、リテーナ4をその外周側端面からチューブ100上の位置まで略U字形状に切り欠いて形成されている。これにより、初期配置された導入ボール5Aがリテーナ4の回転方向と交差方向(リテーナ4の半径方向)から出入り可能とされるとともに、この導入ボール5Aをリテーナ4の切り欠かれた部分の端面で転動可能に保持するものである。なお、ボール保持部43Aの切欠きは、リテーナ4の回転とともに導入ボール5Aを徐々に奥(リテーナ4の回転中心)に向かって移動させるため、リテーナ4の回転方向に向かって角度を付けて形成されている。
【0036】
ボール保持部43Bは、リテーナ4のチューブ100上の位置をボール5Bより僅かに大きな大きさで切り欠いて形成されている。これにより、ボール5Bをリテーナ4の切り欠かれた部分の端面でリテーナ4の回転方向に押すことによって転動可能に保持するものである。なお、ボール保持部43Bは、ボール保持部43Aと異なり、ボール5Bがリテーナ4の回転方向と交差方向に出入り可能とされていない。
【0037】
引掛部44A,44Bは、それぞれリテーナ4の回転方向と反対側の部分に外周方向に突出して形成されている。これら引掛部44Aおよび引掛部44Bも、軸孔41を挟んで互いに180度反対側の位置に設けられている。
引掛部44A,44Bのうち、引掛部44Aは、リテーナ4の回転に伴って導入ボール配置溝24を通ることにより、初期位置にある導入ボール5Aを引っ掛けて運搬するものである。
【0038】
ロータ3は、リテーナ4の上部に設けられ、軸部7を中心として基部2に対し回転可能に設けられている。
すなわち、ロータ3は、リテーナ4と同様に、その中心部分に軸孔33が形成されている。ロータ3の軸孔33に基部2のボールベアリング73が挿入されることによって、ロータ3は、基部2に対して上方に所定間隔離れて回転自在となっている。
【0039】
ロータ3は、略円盤状のロータ本体31と、ロータ本体31の外周部に設けられた円環状のリング32とを有している。
ロータ本体31の下面には、リテーナ4のボール保持部43A,43Bの上部に相当する位置に円環状の凹部312が形成されており、この凹部312には、ボール5A,5Bとの摩擦力を増大させるためにシリコンゴム等の弾性部材313が装着されている。
リング32は、その外周面に沿って後述するウォームギア12に噛合する歯321が形成されている。
以上のロータ3は、凹部312に装着された弾性部材313で、リテーナ4のボール保持部43A,43Bに保持されたボール5A,5Bを上方から押圧して、チューブ100を圧閉するとともに、回転することによってボール5に回転力を与えてチューブ100上を転動させて圧閉位置を移動させるものである。
【0040】
駆動機構6は、電動モータ11と、この電動モータ11に連結された遊星機構10と、この遊星機構10に連結されたウォームギア12とを備えている。
電動モータ11は、モータケース111内に収容されてモータ軸112を有している。
ウォームギア12は、その外周面にロータ3の歯321に噛合する歯121が形成されている。
【0041】
次に、遊星機構10の構造を図3および図4を参照しながら説明する。図3には、遊星機構10の平面図、図4は図3における断面図である。また、以下の説明では、図4中の上側を遊星機構10における「上側」、下側を「下側」と言う。
【0042】
遊星機構10は、太陽歯車14と、1つの遊星歯車15と、2つの遊星ローラ16と、キャリア17と、固定内歯18と、可動内歯車19と、これらの部品14〜19を収納するケース13とを備えている。
ケース13は、円筒形であって、電動モータ11のモータケース111にねじ113で固定されている。
【0043】
固定内歯18は、円環状であって、ケース13の下端側(図4中下側)内周面に固定されている。固定内歯18は、その内周面に歯181が形成されるとともに、その上端面は可動内歯車支持面182となっている。
可動内歯車19は、ケース13の上端側(図4中上側)内周面に配置され、その下端面が固定内歯18の可動内歯車支持面182上に載置されて、回転可能に支持されている。また、可動内歯車19は、内周面に歯193が形成された円筒部197と、この円筒部197に連結された回転軸191とで構成されている。
また、電動モータ11のモータ軸112と、固定内歯18の中心軸、可動内歯車19の回転軸191は一直線上にある。
【0044】
太陽歯車14は、電動モータ11のモータ軸112に連結されて固定され、外周面に歯141が形成されている。
遊星歯車15は、その外周面に歯151が形成され、この歯151で太陽歯車14の歯141、固定内歯18の歯181、および可動内歯車19の歯193に噛合している。
【0045】
遊星ローラ16は、太陽歯車14に当接していないが、外周面下端側で固定内歯18の歯181の歯先に当接するとともに、外周面上端側で可動内歯車19の歯193の歯先に当接している。
【0046】
キャリア17は、遊星歯車15および遊星ローラ16を互いに等間隔離れた状態を維持しながら、太陽歯車14の周囲を公転可能に支持するものである。
すなわち、キャリア17は、ケース13に支持された下キャリア171と、可動内歯車19に支持された上キャリア172とを含んで構成され、これら下キャリア171および上キャリア172は、図示しない連結部材で連結されるとともに、遊星歯車15および遊星ローラ16の回転軸の上下端を挟んで支持している。
【0047】
なお、可動内歯車19の上下方向のガタ(隙間)は、可動内歯車19がケース13の上端側内周面に回転可能に支持されているため、ケース13の軸方向の長さによって決定される。また、可動内歯車19の水平方向のガタ(隙間)は、ケース13の内径によって決められる。
【0048】
また、太陽歯車14の歯数(L)=6、固定内歯18の歯数(M)=32、可動内歯車19の歯数(N)=33、遊星歯車15の歯数(S,R)=12であり、固定内歯18の歯数と可動内歯車19の歯数との差は1となっている。この場合、上述した式より減速比ZZ=209となる。
【0049】
以上のような遊星機構10は、以下のように動作する。
電動モータ11に印加装置(図示省略)で電圧を印可してモータ軸112を駆動させると、モータ軸112に固定された太陽歯車14が回転するとともに、この太陽歯車14の歯141に歯151で噛合された遊星歯車15も回転する。遊星歯車15は、回転しない固定内歯18の歯181にも歯151で噛合しているため、太陽歯車14から与えられた回転力によって、太陽歯車14の周囲を固定内歯18の歯181に沿って自転しつつ公転する。このとき、遊星歯車15は、歯151で可動内歯車19の歯193にも噛合しているから、可動内歯車19も回転する。
【0050】
すなわち、遊星機構10では、モータ軸112を回転させて遊星歯車15を回転させると、遊星歯車15は太陽歯車14の周囲を公転するが、この遊星歯車15が太陽歯車14の周囲を1周する度に、可動内歯車の固定内歯に対する相対位置が歯数1つ分だけずれることとなり、このずれが回転軸191の回転となる。
【0051】
なお、遊星機構10の動作時において、遊星ローラ16は、固定内歯18の歯181の歯先および可動内歯車19の歯193の歯先に当接し、遊星歯車15とともに固定内歯18および可動内歯車19を押圧している。
また、キャリア17は、遊星歯車15および遊星ローラ16を支持しているため、遊星歯車15の回転とともに、太陽歯車14の周囲を公転する。
【0052】
図1および図2に戻って、基部本体21には、導入ボール5Aが初期配置される導入ボール配置溝24と、この導入ボール配置溝24に配置された導入ボール5Aをリテーナ4の外周側端面に付勢する付勢手段25とが設けられている。
【0053】
導入ボール配置溝24は、平面視で、チューブガイド溝200に近接し、かつリテーナ4のボール保持部43Aが通る軌道上から外れた位置に形成されている。
【0054】
付勢手段25は、基部本体21に設けられ先端側で導入ボール5Aを付勢する板ばね251を有し、この板ばね251は、以下のように動作する。
まず、リテーナ4のボール保持部43Aが導入ボール配置溝24に到達するまでは、導入ボール配置溝24に配置された導入ボール5Aは、板ばね251の先端側で付勢されてリテーナ4の外周側端面に当接している。
【0055】
次に、リテーナ4のボール保持部43Aが導入ボール配置溝24に到達すると、導入ボール5Aは、リテーナ4の引掛部44Aで引っ掛けられてリテーナ4とともに回転する。この状態では、導入ボール5Aは、ボール保持部43Aに保持されていないが、ボール保持部43A近傍に位置している。
続いて、導入ボール5Aは、板ばね251で付勢されてリテーナ4のボール保持部43Aに押し込まれる。
その後、板ばね251は、リテーナ4の外周側端面に直接当接した状態となる。
【0056】
次に、本実施形態の液体吐出装置1の動作について、図1を参照しながら、ステップ0から4の順に説明する。
[ステップ0(初期状態)]
ステップ0では、図1に示すように、リテーナ4は、ボール保持部43Bでボール5Bを保持しながら、円形溝220のうちチューブ100が配置されていない部分にボール5Bを配置した状態で停止している。一方、リテーナ4のボール保持部43Aはチューブ100上に位置するが、導入ボール5Aが導入されていない状態となっている。よって、ボール5A,5Bが共にチューブ100を圧閉していない。なお、導入ボール5Aは、導入ボール配置溝24に配置され、板ばね251によって付勢されてリテーナ4の外周側端面に当接している。
【0057】
[ステップ1]
次に、駆動機構6を駆動させると、電動モータ11が回転駆動し、この回転は遊星機構10で減速されてウォームギア12に伝達され、ロータ3が図1中矢印Eの方向に回転する。
すると、ロータ3によって押圧されているボール5Bは、転動してチューブ100上に移動して、チューブ100を圧閉して液体をチューブ100先端から吐出させながら進んでゆく。
このとき、リテーナ4のボール保持部43Aには、依然として導入ボール5Aが導入されていない状態である。
【0058】
[ステップ2]
続いて、リテーナ4のボール保持部43Aが導入ボール配置溝24に到達すると、導入ボール5Aは、リテーナ4の引掛部44Aによって引っ掛けられてリテーナ4の回転方向に進む。同時に、導入ボール5Aは、板ばね251によって付勢されてボール保持部43Aに押し込まれながら、リテーナ4の回転方向に移動する。これにより、導入ボール5Aは、リテーナ4のボール保持部43Aに導入される。
【0059】
ボール5Aがボール保持部43Aに導入される位置では、円形溝220が深く設定されているため、導入ボール5Aは、チューブ100上に位置していてもチューブ100を圧閉することはない。したがって、ボール5Bのみが、チューブ100を圧閉して、チューブ100先端から液体を吐出させている。
【0060】
[ステップ3]
その後、導入ボール5Aがボール5Bの初期位置を過ぎてチューブ100を円形溝220の深さ設定により圧閉する位置に到達しても、ボール5Bは、まだチューブ100を押圧している。
そのため、各ボール5A,5Bは、チューブ100内の液体を圧閉して区画することとなり、チューブ100内の液体は圧閉位置の移動に伴いチューブ100内を移動する。なお、各ボール5A,5Bで圧閉された部分よりチューブ100先端側にある液体は、まだボール5Bによってチューブ100先端から押し出されている。
【0061】
[ステップ4]
次に、ボール5Bが、ボール5Aがボール保持部43Aに導入された位置の近傍に到達し、チューブ100を圧閉しないようになると、2つのボール5A,5B間に閉じこめられていた液体が、今度はボール5Aによってチューブ100先端から吐出される。
【0062】
以上の動作を繰り返すことにより、ボール5A,5Bは、チューブ100上を圧閉しながら転動して、チューブ100先端から交互に液体を吐出させる。
このとき、各ボール5A,5Bは、リテーナ4により180度間隔で保持されているので、2つのボール5A,5Bは、チューブ100を一度は区画することになる。よって、圧閉されたチューブ100内の空間の容積を計算することにより、収容された液体を計量できる。
【0063】
本発明の第1実施形態によれば以下の効果を奏することができる。
(1) 1つの遊星歯車15のみを太陽歯車14、固定内歯18および可動内歯車19に噛合させたので、太陽歯車14、固定内歯18および可動内歯車19の歯数を、遊星歯車15の個数である1の倍数、つまり自由に設定できるから、大きな増減速比を得ることができる。
【0064】
(2) 遊星歯車15の個数を1つとしたので、遊星歯車15ピッチ円の円周長さの総和より可動内歯車19ピッチ円の円周長さの方が確実に長くなるため、遊星歯車15の歯151に比べて可動内歯車19の歯193の摩耗を低減できる。
【0065】
(3) 可動内歯車19に対して1つの遊星歯車15のみが噛合しているため、可動内歯車19の1箇所に遊星歯車15から回転力が付与されることになり、可動内歯車19の回転軸191が傾くおそれがある。しかし、遊星ローラ16を固定内歯18および可動内歯車19に当接させ、キャリア17で遊星ローラ16を遊星歯車15に対して等間隔離れた状態を維持しながら太陽歯車14の周囲を公転可能としたので、可動内歯車19に対して遊星歯車15および遊星ローラ16で均等に押圧力を加えることができるから、可動内歯車19の回転軸191の傾きを抑制できる。
【0066】
(4) 遊星歯車15を1つとしたので、遊星歯車15の製造時に、固定内歯18に噛合される上部と可動内歯車19に噛合される下部との位相を合わせる必要がないから、容易に組み立てや成形を行うことができる。
さらに、固定内歯18や可動内歯車19との位相を合わせる必要があるのは遊星歯車15のみで、遊星ローラ16については位相を合わせる必要がないから、遊星機構10の組み立て作業を容易に行うことができる。
【0067】
(5) 遊星ローラ16を外周面で可動内歯車19の歯193先端に当接させたので、遊星ローラ16で可動内歯車19の歯193先端を押圧するとともに、遊星歯車15で可動内歯車19の歯193を押圧する。したがって、回転軸191に交差する一平面で可動内歯車19を押圧できるから、可動内歯車19の回転軸191の傾きを確実に抑制できる。
【0068】
(6) 固定内歯18の歯181の歯数と可動内歯車19の歯193の歯数との差を1としたので、遊星歯車15の1周毎の可動内歯車19の固定内歯18に対する相対位置のずれを最小限にすることができるから、大きな増減速比を得ることができる。
【0069】
[第2実施形態]
次に本発明の第2実施形態について、図5および図6を参照して説明する。図5は、遊星機構10Aの平面図、図6は図5における断面図である。また、以下の説明では、図6中の上側を遊星機構10Aにおける「上側」、下側を「下側」と言う。
なお、以下の各実施形態および変形例において、前記第1実施形態と同一もしくは同様の構成部品については、同一の符号を用い、説明を省略あるいは簡略する。
【0070】
図5および図6に示す遊星機構10Aは、太陽歯車14A、遊星歯車15A、遊星ローラ16A、固定内歯18Aおよび可動内歯車19Aを備えているが、キャリア17を備えておらず、また、遊星ローラ16Aの個数は3個とされている点で、第1実施形態と異なる。
【0071】
遊星歯車15Aおよび遊星ローラ16Aは、軸方向略中央の外周面に突出して形成された鍔部60を備えるとともに、滑らかに形成された回転軸上端面61および回転軸下端面62を有している。
つまり、遊星歯車15Aは、鍔部60を挟んで歯151の下側部分で太陽歯車14Aの歯141、固定内歯18の歯181に噛合し、歯151の上側部分で可動内歯車19の歯193に噛合する構造となっている。
【0072】
以上の遊星歯車15Aおよび遊星ローラ16Aは、遊星機構10が作動すると、鍔部60によって互いに等間隔離れた状態を維持しながら、太陽歯車14Aの周囲を公転する。
【0073】
可動内歯車19Aの円筒部197の下端側には、歯193が形成されておらず、遊星歯車15Aおよび遊星ローラ16Aの鍔部60の当接面としての外周端面63が当接する平滑な鍔当接面194が形成されている。
また、可動内歯車19A下面には、下方に突出した円環状の上案内部196が形成され、この上案内部196で遊星歯車15Aおよび遊星ローラ16Aの回転軸上端面61を押さえて、遊星歯車15Aおよび遊星ローラ16Aの公転軌道を案内している。
さらに、可動内歯車19A下面中央には、下方に突出した鍔押さえ部195が形成され、遊星歯車15Aおよび遊星ローラ16Aが傾斜した場合でも、この鍔押さえ部195で鍔部60の上端面を押さえることができるようになっている。
【0074】
固定内歯18Aの可動内歯車支持面182は、可動内歯車19Aの鍔当接面194より内側(太陽歯車14A側)に延長されており、固定内歯18Aは、可動内歯車支持面182の外側(ケース13側)で可動内歯車19Aを支持するとともに、可動内歯車支持面182の内側で鍔部60を支持する。
また、固定内歯18Aの上面には、上方に突出した円環状の下案内部183が形成され、この下案内部183で遊星歯車15Aおよび遊星ローラ16Aの回転軸下端面62を支持して、遊星歯車15Aおよび遊星ローラ16Aの公転軌道を案内している。
【0075】
太陽歯車14Aの上端面は、鍔支持面142とされ、この鍔支持面142で鍔部60の下端面を支持する。
【0076】
したがって、遊星機構10Aを駆動させると、遊星歯車15Aおよび遊星ローラ16Aは、太陽歯車14Aの周囲を公転する。
このとき、遊星歯車15Aおよび遊星ローラ16Aは、水平方向について、鍔部60の外周端面63で互いに隣接する遊星歯車15Aまたは遊星ローラ16Aに当接するとともに、可動内歯車19内周面の鍔当接面194に当接して、互いに等間隔離れた状態を維持している。
【0077】
また、遊星歯車15Aおよび遊星ローラ16Aは、上下方向について、回転軸上端面61および回転軸下端面62で可動内歯車19Aの上案内部196および固定内歯18Aの下案内部183に挟まれて支持される。同時に、鍔部60は、固定内歯18Aの可動内歯車支持面182内側と、太陽歯車14Aの鍔支持面142とで支持される。
【0078】
本発明の第2実施形態によれば、第1実施形態で述べた(1)〜(6)の効果に加え、以下の効果を奏することができる。
【0079】
(7) 遊星歯車15Aおよび遊星ローラ16Aに鍔部60を設けたので、遊星ローラ16Aおよび遊星歯車15A同士の相対的な位置決めを容易にできるから、遊星機構10を容易に組み立てることができる。また、遊星機構10の動作時でも、鍔部60によって遊星歯車15Aおよび遊星ローラ16A同士が等間隔離れた状態を維持できるから、キャリアが不要となり、小型化、部品点数の削減、コストの削減を実現できる。
【0080】
(8) 遊星歯車15Aおよび遊星ローラ16Aの鍔部60の外周端面63を可動内歯車19Aの鍔当接面194に当接させたので、遊星ローラ16Aおよび遊星歯車15Aは、鍔部60で互いに押圧して相対的な位置関係を維持しながら、可動内歯車19Aを均等に押圧することになるから、回転軸に交差する一平面内で力の釣り合いをとることができ、遊星ローラ16Aおよび遊星歯車15Aの回転軸がずれるのを確実に防止できる。
【0081】
(9) 遊星歯車15Aおよび遊星ローラ16Aの個数を4個としたので、遊星機構10Aを駆動させると、遊星歯車15Aが回転し、この遊星歯車15Aの回転に従って各遊星ローラ16Aも回転する。このとき、遊星ローラ16A同士の鍔部60の接触面や、遊星歯車15Aと遊星ローラ16Aとの鍔部60の接触面では、相対的な滑りが生じず、滑り摩擦でなく転がり摩擦となる。よって、遊星歯車15Aおよび遊星ローラ16Aが回転しても、互いの回転を妨げることがなく、また、摩擦損失も少なくなるため、遊星機構10Aを円滑に駆動させることができる。
【0082】
なお、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
例えば、第1,2実施形態では、1個の遊星歯車15,15Aのみを設けたが、これに限らず、2個の遊星歯車、つまり、固定内歯に噛合される部分を有する遊星歯車と、可動内歯車に噛合される部分を有する遊星歯車とを設け、これらの遊星歯車同士が互いに回転を伝達する構造としてもよい。
【0083】
また、第1,2実施形態では、遊星ローラ16,16Aは、その外周面で可動内歯車19,19Aの歯先に当接させたが、必ずしもこのようにする必要はなく、特に、第2実施形態では、鍔部60が当接面63で可動内歯車19Aの鍔当接面194に当接しているため、遊星ローラ16Aを可動内歯車19Aの歯先に当接させなくても構わない。
【0084】
また、第2実施形態では、遊星歯車15Aおよび遊星ローラ16Aに鍔部60を設けたが、これに限らず、第1実施形態のようにキャリア17を用いて遊星機構10を構成してもよい。
【0085】
また、第2実施形態では、遊星歯車15Aおよび遊星ローラ16Aを鍔部60で可動内歯車19Aの鍔当接面194に当接させたが、これに限らず、固定内歯18Aの歯先に当接させてもよい。
【0086】
また、第2実施形態では、遊星歯車15Aおよび遊星ローラ16Aの個数を4個としたが、これに限らず、4個以上の偶数であればいくつでもよいし、また、3個以上の奇数でもよい。ただし、遊星歯車15Aおよび遊星ローラ16Aの個数を3個以上の奇数とした場合、遊星ローラ同士の鍔部の接触面や、遊星歯車と遊星ローラとの鍔部の接触面のうち、少なくとも1箇所に滑り摩擦が生じてしまい、遊星歯車の円滑な回転が妨げられる場合がある。
【0087】
また、第1,2実施形態では、固定内歯18,18Aの歯数と可動内歯車19,19Aの歯数との差を1としたが、これに限らず、歯数の差は、遊星機構の用途、太陽歯車の歯数、遊星歯車歯数等を考慮して適宜設定してよい。
【0088】
また、第1,2実施形態における、ケース13、太陽歯車14,14A、遊星歯車15,15A、遊星ローラ16,16A、キャリア17、固定内歯18および可動内歯車19,19A(以降、これらを部品14〜19Aと呼ぶ)を形成する材料は、寸法安定性、剛性、耐摩耗性、絶縁性、潤滑性、射出成形における成形性等を考慮して選定する。
例えば、太陽歯車14,14A、遊星歯車15,15A、遊星ローラ16,16A、固定内歯18,18Aおよび可動内歯車19,19Aは、ポリアセタール、ポリアミド、ポリオレフィン等の潤滑性のある材料にチタン酸カリウムを混入して形成してもよいし、キャリア17はPOMにチタン酸カリウムを混入して形成してもよい。この場合、チタン酸カリウムは、強化剤であって、φ0.3μm、長さ3〜5μmのファイバ状のものが用いられる。
また、ケース13は、金属を切削、プレス、絞り加工等を施すことによって製作してもよいが、可動内歯車19との接触部には、潤滑処理を施すことが好ましい。
【0089】
また、各部品14〜19Aには、潤滑性確保および摩耗防止の目的でPTFE処理やDLC処理を施してもよい。なお、部品14〜19Aを樹脂で形成した場合、処理温度が性能、形状等に影響しない範囲で処理することが必要である。
さらに、各部品同士の噛み合い部分および接触部分に注油する場合には、PTFE(テフロン(登録商標)微粒子)やモリブデン粒子を混ぜて固体潤滑性をもたせた合成油が好ましい。特に、遊星歯車15,15Aと可動内歯車19,19Aとの噛み合い部分には大きな負荷がかかっているため、注油が効果的である。なお、温度、気圧等の使用条件によっては、油の粘性による負荷を排除するために、潤滑油を用いず固体潤滑のみを用いてもよい。
【0090】
【発明の効果】
本発明の遊星機構、この遊星機構が取り付けられた駆動源およびこの遊星機構を備えた装置によれば、大きな増減速比を得ることができかつ可動内歯車の摩耗を低減できる、という効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1実施形態に係る遊星機構が適用された液体吐出装置を示す平面図である。
【図2】 図1の断面図である。
【図3】 前記実施形態に係る遊星機構の平面図である。
【図4】 図3のIV−IV断面図である。
【図5】 本発明の第2実施形態に係る遊星機構の平面図である。
【図6】 図5のVI−VI断面図である。
【符号の説明】
10,10A…遊星機構、14,14A…太陽歯車、15,15A…遊星歯車、16,16A…遊星ローラ、18,18A…固定内歯、19,19A…可動内歯車、60…鍔部、63…当接面としての外周端面。

Claims (10)

  1. 太陽歯車と、この太陽歯車に噛合されて当該太陽歯車の周囲を公転可能な遊星歯車と、前記遊星歯車が噛合される固定内歯と、前記遊星歯車が噛合される可動内歯車とを備えた遊星機構において、
    前記遊星歯車は1つとされ、
    前記固定内歯および前記可動内歯車に当接し、かつ、前記遊星歯車に対して等間隔離れた状態を維持しながら前記太陽歯車の周囲を公転可能な遊星ローラを備えていることを特徴とする遊星機構。
  2. 請求項1に記載の遊星機構において、
    前記遊星ローラは、その外周面で前記可動内歯車の歯先に当接していることを特徴とする遊星機構。
  3. 請求項1に記載の遊星機構において、
    前記遊星歯車および遊星ローラは、前記可動内歯車の平滑面に当接する当接面を有していることを特徴とする遊星機構。
  4. 請求項1から3のいずれかに記載の遊星機構において、
    前記遊星歯車および遊星ローラは、その外周面に突出した鍔部を有し、
    互いに隣接する前記遊星歯車および遊星ローラは、前記鍔部で互いに当接していることを特徴とする遊星機構。
  5. 請求項1から4のいずれかに記載の遊星機構において、
    前記遊星歯車および遊星ローラの個数は、4個以上の偶数とされていることを特徴とする遊星機構。
  6. 請求項1から5のいずれかに記載の遊星機構において、
    前記固定内歯の歯数と可動内歯車の歯数との差は、1とされていることを特徴とする遊星機構。
  7. 請求項1から6のいずれかに記載の遊星機構が取り付けられていることを特徴とする駆動源。
  8. 請求項7に記載の駆動源において、
    モータであることを特徴とする駆動源。
  9. 請求項1から6のいずれかに記載の遊星機構を備えていることを特徴とする装置。
  10. 請求項9に記載の装置において、
    ポンプであることを特徴とする装置。
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