JP4028925B2 - モノクローナル抗体 - Google Patents

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ヒト前立腺特異抗原(以下、PSAと省略する)を認識するモノクローナル抗体、該モノクローナル抗体を産生するハイブリドーマ、該モノクローナル抗体を使用した免疫学的測定試薬、および該モノクローナル抗体を使用した免疫学的測定方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
臨床検査等の分野では、物質の測定を簡便に行うために、或いは高感度で特異的に測定する為にしばしば免疫学的な測定方法が利用される。免疫学的な測定方法には、抗体が必要である。モノクローナル抗体は、ハイブリドーマから均一な性状を備えた抗体を継続して供給できる点、1度の免疫操作で多量の抗体を得られるので抗原の使用量が少なくて済む点、そしてなによりも高度な特異性をもつ抗体を得やすい等の多くの利点を持っているので免疫学的な測定方法に於いては欠かすことのできないツールとなっている。また測定のみならず、物質の精製、生理活性や生体内に於ける挙動の研究に於いてもモノクローナル抗体は重要なツールとなっている。
【0003】
PSAは前立腺で生産される、237個のアミノ酸からなる糖蛋白質で、糖を約7%含む物質である。
PSAはヒト健常男性血清中には0.1〜4ng/ml、すなわち3.5〜140pM存在し、前立腺癌の進行とともに、その濃度は増加する。従って、前立腺癌測定のためのマーカーとしてPSAを測定することは、臨床検査上大変重要である。
PSAを認識するモノクローナル抗体については、従来チュー・ツアン・ミンらによる特公平2−56634号公報、Lilja H.らによるClinical Chemistry, 37,1618-1625,1991のような報告例があった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、PSA類縁物質として血中にはヒト性腺カリクレン(以下、hK2と省略する)なる物質が存在する。hK2はPSAと同様に237個のアミノ酸からなり、PSAに対し78%のホモロジーを示し(Shedlich L. J.他、DNA, 6: 429-437, 1987)、前立腺および、前立腺癌患者血清中にも微量存在する物質である。
このhK2が存在することにより、従来報告されているモノクローナル抗体を使用してPSAの測定を試みても、該モノクローナル抗体がhK2と反応して、PSA量を測定する際に感度の低下を招いていた。
したがって、本発明は従来技術の上記反応性の低下を克服し、PSA量を正確に測定することができる技術を提供しようとするものであり、詳細には、PSA量を正確に測定するためのモノクローナル抗体、試薬および方法、並びに該モノクローナル抗体を産生するハイブリドーマを提供しようとするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決する本願発明の構成は、以下の通りである。
(1)ヒト性腺カリクレンの存在下において、ヒト前立腺特異抗原を特異的に測定する免疫学的測定試薬であって、配列番号3で示されるヒト前立腺特異抗原のC末端アミノ酸を認識する標識されたモノクローナル抗体を含有する、ヒト前立腺特異抗原の免疫学的測定試薬。
(2)標識されたモノクローナル抗体と異なる抗原決定部位を認識する抗体が固定化された担体をさらに含有する、前記(1)の免疫学的測定試薬。
(3)標識されたモノクローナル抗体が、酵素標識されたモノクローナル抗体である、前記(1)又は(2)の免疫学的測定試薬。
(4)酵素が西洋ワサビペルオキシダーゼである、前記(3)の免疫学的測定試薬。
(5)モノクローナル抗体が、受託番号FERM P−16526のハイブリドーマより産生されるモノクローナル抗体である、前記(1)〜(4)のいずれかの免疫学的測定試薬。
(6)前記(1)〜(5)のいずれかの免疫学的測定試薬を用いた、ヒト性腺カリクレンの存在下におけるヒト前立腺特異抗原の特異的な測定方法。
【0007】
PSA測定の際には、PSAに対し高い反応性を示しつつhK2に交差性を示さないモノクローナル抗体を使用する点が大変重要である。しかしながら、従来このような性質を有するモノクローナル抗体は報告されていなかった。
そこで本発明は、hK2に交差性を示さず、かつPSAに高い反応性を示すモノクローナル抗体を提供する点にある。また本発明は併せて、このような新規なモノクローナル抗体を産生することができるハイブリドーマ、このような新規なモノクローナル抗体によって、優れた測定性能を持つPSAの免疫学的測定試薬と、測定方法を提供するものでもある。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明のモノクローナル抗体において、PSAに反応するという条件は次のような方法によって確認することができる。
▲1▼高度に精製されたPSAをポリスチレン等のプレートに固定化し、モノクローナル抗体を反応させ、リン酸緩衝液(以下、「PBS」という。)等で洗浄後、標識した抗マウス抗体を反応させ、結合量を測定する。
▲2▼ポリアクリルアミドゲル電気泳動にてPSAを展開後、ニトロセルロース等の膜に転写し、モノクローナル抗体を反応させ、PBS等で洗浄後、標識した抗マウス抗体を反応させ、結合量を測定する。
▲3▼PSAの部分ペプチドをセンサーチップに固定化し、モノクローナル抗体を反応させ、変化量を測定する(後述のBIAcoreによる)。
尚、反応性を確認するPSAとしては、天然型PSA、あるいは遺伝子技術により産生されたPSAおよび部分的に人工合成されたPSA等が挙げられる。
【0009】
また、hK2に交差性を示さないという条件は、次のような方法によって確認することができる。
▲1▼高度に精製されたhK2をポリスチレン等のプレートに固定化し、モノクローナル抗体を反応させ、PBS等で洗浄後、標識した抗マウス抗体を反応させ、結合量を測定する。
▲2▼ポリアクリルアミドゲル電気泳動にてhK2を分離後、ニトロセルロース等の膜に転写し、モノクローナル抗体を反応させ、PBS等で洗浄後、標識した抗マウス抗体を反応させ、結合量を測定する。
▲3▼hK2の部分ペプチドをセンサーチップに固定化し、モノクローナル抗体を反応させ、変化量を測定する(後述のBIAcoreによる)。
尚、反応性を確認するhK2としては、天然型hK2、あるいは遺伝子技術により産生されたhK2および部分的に人工合成されたhK2が挙げられる。
【0010】
上記方法等により、PSAに反応性を示しhK2に交差反応性を示さない抗体、詳細には、PSAのC末端配列(配列番号1)を認識しhK2のC末端配列(配列番号2)を認識しない抗体の存在を確認することができる。
本発明のモノクローナル抗体は、例えばケーラーとミルシュタインの方法(Kohler and Milstein, Nature 256, 495-497, 1975)によって産生することができる。すなわち、ヒトPSAで免疫した動物の脾細胞と骨髄腫細胞(以下、「ミエローマ」という。)とを細胞融合させ、これにより得られたハイブリドーマからヒトPSAに対して特異的な抗ヒトPSA抗体を産生するハイブリドーマを選択し、このハイブリドーマを大量培養あるいは動物の腹腔内で増殖させ、この培養液あるいは腹水から分離することにより製造することができる。
【0011】
以下、本発明のモノクローナル抗体を得るための具体的方法について詳細に説明する。
(1)抗原と免疫工程;
抗原ヒトPSAは市販品(Scripps Laboratories Co. Ltd.社製(PA0714)を購入することが可能である。
免疫される動物は、細胞融合しようとする骨髄腫細胞株との組合せを配慮して、一般には、哺乳動物が挙げられるが、好ましくはマウス、ラット等が挙げられる。
【0012】
免疫方法は、哺乳動物の皮下、皮内、腹腔あるいは静脈等に注射等により投与することができる。具体的には、ヒトPSAをPBSや生理食塩水等で適当な濃度に希釈し、これに通常はアジュバントを混合し、1〜3週間毎に数回投与する。このときの投与量は、1匹当たり毎回1〜200μg程度とすることが好ましい。また、最終投与は、融合に使用する3〜5日前に、アジュバントを用いない静脈注射による投与とすることが好ましい。最終免疫の数日後に脾臓細胞を取り出す。
【0013】
(2)細胞融合工程;
この工程においては、免疫した動物の脾臓から取り出した抗体産生細胞とミエローマとを融合させ、これにより融合細胞を生じさせる。
上記の脾細胞と融合される他方のミエローマとしては、公知の細胞株、例えば、マウスでは、「NS-1/1-Ag4-1」,“European Journal of Immunology” 6,511〜519 (1976);「SP-2/O-Ag14」,“Nature” 276, 269〜270 (1978);「FO」,“Journal of Immunological Methods” 35, 1〜21 (1980);「P3-X-63-Ag8-U1」, “Current Topics in Microbiology and Immunology” 81, 1〜7 (1978);等、ラットでは、「YB 2/0」, “Methods in Enzymology” 73B, 1 (1981);等のミエローマが使用できる。
【0014】
細胞混合比は、脾細胞:ミエローマ=3〜20:1、好ましくは5〜10:1で行うことが適している。
融合の際には、通常、融合促進剤としてポリエチレングリコール(PEG)、センダイウイルス等が使用され、また適宜ジメチルスルホキシド等を添加することもできる。
このPEGの分子量は、通常、1000〜6000位のものが好ましい。
融合時の培地としては、ウシ胎児血清(FCS)等を除いた、ミエローマの増殖に使用されるMEM(Minimum Essential Medium)培地、RPMI−1640(Roswell Park Memorial Institute's Medium 1640)培地等が用いられる。
融合操作は、上記した混合比による脾細胞とミエローマとの所定量に、37℃に保温した、30〜50%(w/v)程度PEGを含有する血清無添加の培地とを混合し、数分間撹拌することにより行う。
【0015】
(3)ハイブリドーマの選択;
上記操作で得られた細胞を、例えば数枚の96穴マイクロプレートに分注し、HAT培地(例えば、MEM培地あるいはRPMI−1640培地に、ヒポキサンチン100 mM、アミノプテリン 0.4mM、チミジン1600mMおよびFCS約15%(V/V)となるように含有させた培地)で培養することにより融合細胞を選択し、さらにそれらの培養上清から、ヒトPSAを固相化したマイクロプレートによるELISA (Enzyme Linked Immunosorbent Assay)により、ヒトPSAに特異的な抗体を産生する細胞(ハイブリドーマ)をスクリーニングすることができる。
【0016】
(4)クローニング;
前記ハイブリドーマを、限界希釈法または寒天法(例えば、96穴マイクロプレートまたは寒天入りシャーレで希釈して培養し、陽性のものを選ぶ)等に付して、モノクローンのハイブリドーマを取得することができる。また、市販のアイソタイピングキットを用いて、これらのイムノグロブリンのタイプを決定することができる。
【0017】
(5)モノクローナル抗体の調製;
上記のようにして得られた抗体産生ハイブリドーマを動物の腹腔内に接種し、約10〜15日後に腹水を採取し、その上清から、あるいはこのハイブリドーマを適当な培地で培養し、その培養上清から、本発明のモノクローナル抗体を調製することができる。この際、必要に応じて、モノクローナル抗体を塩析、アフィニティカラム、ゲルろ過等により精製してもよい。
【0018】
このようにして、ヒトPSAに反応しhK2に反応しないモノクローナル抗体、PSAのC末端配列(配列番号1、好ましくは配列番号3)を認識し、かつhK2のC末端配列(配列番号2、好ましくは配列番号4)を認識しないモノクローナル抗体が見出される。
このような性質を有するモノクローナル抗体として、工業技術院生命工学工業技術研究所に受託番号FERM P−16526で寄託されたハイブリドーマから産生されるPA−313が挙げられる。このモノクローナル抗体PA−313は、後述の実施例に示すごとく、ヒトhK2に交差することなく、PSAを認識することができる。
【0019】
更に本発明は、次の反応性で特徴付けられる、PSAを認識するモノクローナル抗体を含むPSAの免疫学的測定試薬を提供する。
(1) PSAに反応する
(2) hK2に交差性を示さない
免疫学的測定には、蛍光反応を利用した方法又は凝集反応を利用した方法等が挙げられ、好ましくはELISA法が挙げられる。
【0020】
本発明の免疫学的測定試薬に於いては、モノクローナル抗体が遊離の状態で用いられても良いし、或いは担体或いは不溶性担体に結合していても良い。担体としては、合成樹脂金属が挙げられ、好ましくはポリスチレン、ポリエチレンが挙げられる。
また、不溶性担体としてはラテックスが挙げられる。
本発明の免疫学的測定試薬には、この他に公知の成分を組み合わせることができる。即ち、免疫反応に必要なpHを与える緩衝剤、免疫反応を促進する反応増強剤、非特異反応を抑制する反応安定剤やブロッカー、試薬の保存性を高める防腐剤等を組み合わせても良い。
【0021】
緩衝剤としては以下のものが挙げられる。
(蛍光、凝集法の場合)
PBS、Tris-HCl、HepesなどGood緩衝試薬
反応安定剤やブロッカーとしては、以下のものが挙げられる。
(蛍光、凝集法の場合)
FCS、ウシ血清アルブミン、フェノール等である。
防腐剤としては以下のものが挙げられる。
チメロサール、NaN3、パラ安息香酸等である。
また、蛍光法により測定する場合は、蛍光標識として以下のものが使用できる。
アクリジニウム塩、ユーロピウム等である。
【0022】
これらの各種成分を含む本発明によるPSAの測定試薬は、溶液状態で、或いは乾燥状態で供給することができる。溶液状態で流通させるには、更に各種の界面活性剤、糖、ゼラチンを加えても良い。これらの安定化剤は、試薬を乾燥するときも安定化剤として有効である。
測定対象であるPSAとしては、例えば天然型PSA、あるいは遺伝子技術により産生されたPSAおよび部分的に人工合成されたPSA等が挙げられる。
本発明によるPSAの免疫学的測定は、先に述べたPSAの免疫学的測定により実現する。試薬がELISAによるものであれば、免疫反応の進行を光学的に測定することによって行うことができる。
【0023】
【実施例】
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
実施例1(モノクローナル抗体の産生)
(1)抗原PSAの入手
Scripps Laboratories Co., Ltd.(P0724) より>95%純度のPSAを購入した。
(2)モノクローナル抗体産生ハイブリドーマの作製
上記(1)で得たヒトPSA25〜50μgとフロイント完全アジュバントの等容量との混合物を、マウス(BALB/c)1匹、1回当たりの投与量とし、これを2週間毎に計4回腹腔及び背部に皮下注射し、更に1週間毎に3回腹腔内に注射した。
【0024】
抗体価の上昇を、抗原を固相化したプレートを用いて、免疫マウス血清のELISAにより確認した。
腹腔内免疫終了後、最終免疫として、PBSに溶解したPSA50μgを尾静脈に投与し、免疫感作脾細胞を作製した。3日後に脾臓を取り出し、20%(v/v)FCS入りDMEM培地にほぐして懸濁し、洗浄した。
一方、細胞融合に供するミエローマとしてマウスミエローマP3-X-63-Ag8-U1を使用し、これを20%(v/v)FCS入りRPMI−1640培地中で増殖させた。
【0025】
得られた2種類の細胞を次の要領で融合した。すなわち、50%(w/v)ポリエチレングリコール(分子量4000)を含有するRPMI−1640培地 0.5ml中で、遠心分離で集めた上記脾細胞2.2×108 個と、遠心分離で集めた対数増殖期にある上記骨髄腫細胞4.4×107 個とを混合して細胞融合を行った。細胞融合の温度は37℃近傍で時間は4分であった。
融合された細胞から融合用培地を除去後、96穴マイクロプレート8枚に分注して、ハイブリドーマの選択培養を行った。すなわち、融合細胞をHAT培地(1×10-4Mのヒポキサンチン(Sigma社)、4×10-7Mのアミノプテリン(ICN Pharmaceutical社)および1.6×10-5Mのチミジン(Sigma社))を添加した10%(v/v)FCS入りRPMI−1640培地にて培養した。1〜3日間隔で培地交換を行い、2週間でハイブリドーマのコロニーの形成を認めた。
【0026】
培養上清を、ヒトPSA 1.0μg/ml濃度で固相したプレートにおけるELISA(第二抗体として(ペルオキシダーゼ標識化ヤギ抗マウス抗体(TAGO社製))を使用)によって検査し、ヒトPSAに強い反応性を示すコロニー6個を選択した。
こうして得られたコロニーを拡大培養した後、96穴プレートのウェル1穴当たり細胞が1個となるようHT培地(上記HAT培地からアミノプテリンを除いた培地)で限界希釈を行った。
2週間後、コロニーの形成を確認し、再びELISAにより、培養上清に産生された抗体のヒトPSAに対する反応性を確認した。
さらに、ハイブリドーマの限界希釈によるクローニングを行い、単一のハイブリドーマ株であることを確認し、また産生した抗体のアイソタイピングを行った。その結果を表1に示す。
【0027】
【表1】
Figure 0004028925
【0028】
実施例2(ウェスタンブロット);
PSA(タンパク量40ng、180ng)、Dube等(Deperthes他Biochemia et Biophysica Acta, 1245, 1995)により精製されたhK2(タンパク量 180ng)および人工的に大腸菌にて発現させたhK2(タンパク量1μg、2μg)を還元処理(処理液:終濃度で、1 %(w/v)SDS(ドデシル硫酸ナトリウム)、10mMトリス緩衝液(pH 6.8)、20%(v/v)グリセリン、1 %(v/v) 2−メルカプトエタノール)後、10%(w/v)ゲル濃度のSDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動で展開し、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)膜(MILLIPORE社製)に、電気的に200 mA、2時間ブロッティングした。
【0029】
このPVDF膜を、5 %(w/v)BSAを含むTBSを用いて室温で1時間ブロッキングし、50ng/mlの西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)標識化抗体PA−313を室温で2時間反応させ、0.05%(v/v)Triton X-100を含むTBSで3回洗浄した。洗浄後、パーオキシダーゼ基質溶液で発色させた。この結果を、発色バンドの位置として図1のAに示すが、モノクローナル抗体PA−313は、PSAに対して特異的に反応し、hK2には反応しないことが証明された。
【0030】
また、hK2の特異的なC末端配列(配列番号4)を認識する抗体9D5(Dube等により精製)を用いてウェスタンブロットを行った。
PSA(タンパク量5μg、1μg)およびDube等により精製されたhK2(タンパク量1ng、5ng、25ng)を前記と同様に還元処理、電気泳動展開、PVDF膜へのブロッキングを行った。1μg/mlの1次抗体9D5を、室温で2時間反応させ、0.05%(v/v)Triton X-100を含むTBSで3回洗浄し、2次抗体として、0.05%(v/v)Triton X-100 、5 %(w/v)BSAを含むTBSで2000倍希釈した(1μg/mlとした)ペルオキシダーゼ標識化ヤギ抗マウス抗体(Jackson社製)を添加し、室温で1時間反応させ、同様に洗浄した。洗浄後、パーオキシダーゼ基質溶液で発色させた。この結果を、発色バンドの位置として図1のBに示すが、抗体9D5は、hK2に対して特異的に反応し、PSAには反応しないことが証明された。
【0031】
実施例3(合成ペプチドとPA−313との相互作用);
Pharmacia社より提供されているBIAcoreは蛋白−蛋白間等の相互作用を放射線等の標識をせずに、直接測定することが可能な装置である(実験医学,第3巻,第5号,1997年)。
合成ペプチド(PSA:配列番号5(C末端配列)、hK2:配列番号6(C末端配列))をそれぞれセンサーチップに固定化し(なお、ふたつの合成ペプチドのN末端のシステイン残基はセンサーチップに固定化する際に利用するために本来のシークエンス以外に導入したものである)、モノクローナル抗体PA−313との相互作用を検討した。
その結果を図2に示す。PSAとPA−313との間では相互作用が大きく、hK2との間では小さいことが分かった。
【0032】
実施例4(免疫学的測定試薬の調製)
西洋ワサビペリオキシダーゼを結合させたモノクローナル抗体溶液を10%FCSを含むPBS、Tris-HCl、Hepes-HCl (pH 7.0)等により調製した。
実施例5(免疫学的測定)
モノクローナル抗体PA−313が認識するPSAの抗原決定部位とは異なる抗原決定部位を認識する抗体を固定化する。PSA標準溶液を添加し、インキュベートする。PBS等により洗浄後、実施例4にて調製した免疫学的測定試薬を用いて結合量を測定し、検量線の作成と最低検出感度の検討を行った。
図3に示すように、PSA濃度0〜100ng/mlの範囲の間で、ほぼ比例関数的になる検量線を得ることができた。
また、最低検出感度の検討はPSA濃度0〜1.00ng/mlの範囲の間で行ったが、図4に示すように、0点における測定値(平均値)+2SD(標準偏差)と、0.1ng/mlにおける測定値(平均値)−2SDとは有意差があるので、最低検出感度は0.1ng/ml以下である。
【0033】
【発明の効果】
本発明のモノクローナル抗体は、ヒトPSAのC末端配列(配列番号1)を認識しhK2のC末端配列(配列番号2)を認識しないことにより、PSA量を正確に測定することができ、臨床検査上大変有用であり、特に前立腺癌の診断等に応用が期待される。
また、本発明のモノクローナル抗体に対して酵素標識等を行い、かつ、適当な媒質分と混合することにより、容易に、溶液状または乾燥状の免疫学的測定試薬に調製することができる。
さらに、本発明のモノクローナル抗体や、この抗体から調製した免疫学的測定試薬を用いることにより、正確かつ簡易な免疫学的測定を行うことができる。
また本発明のモノクローナル抗体は、受託番号FERM P−16526のハイブリドーマにより容易に産生することができる。
【0034】
【配列表】
Figure 0004028925
【0035】
Figure 0004028925
【0036】
Figure 0004028925
【0037】
Figure 0004028925
【0038】
Figure 0004028925
【0039】
Figure 0004028925

【図面の簡単な説明】
【図1】ウエスタンブロッティング法による、ヒトPSAおよびhK2に対するモノクローナル抗体PA−313の反応性を示す写真である。
【図2】 BIAcoreによる、ヒトPSAおよびhK2とモノクローナル抗体PA−313との相互作用を示すグラフである。
【図3】実施例4の免疫学的測定試薬を用いて作成した、PSA濃度測定のための検量線である。
【図4】実施例4の免疫学的測定試薬を用いた、最低検出感度(0.1 ng/ml以下)の検討結果を示すグラフである。

Claims (6)

  1. ヒト性腺カリクレンの存在下において、ヒト前立腺特異抗原を特異的に測定する免疫学的測定試薬であって、配列番号3で示されるヒト前立腺特異抗原のC末端アミノ酸を認識する標識されたモノクローナル抗体を含有する、ヒト前立腺特異抗原の免疫学的測定試薬。
  2. 標識されたモノクローナル抗体と異なる抗原決定部位を認識する抗体が固定化された担体をさらに含有する、請求項1に記載の免疫学的測定試薬。
  3. 標識されたモノクローナル抗体が、酵素標識されたモノクローナル抗体である、請求項1又は2に記載の免疫学的測定試薬。
  4. 酵素が西洋ワサビペルオキシダーゼである、請求項3に記載の免疫学的測定試薬。
  5. モノクローナル抗体が、受託番号FERM P−16526のハイブリドーマより産生されるモノクローナル抗体である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の免疫学的測定試薬。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の免疫学的測定試薬を用いた、ヒト性腺カリクレンの存在下におけるヒト前立腺特異抗原の特異的な測定方法。
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