JP4026775B2 - 光学機能性フィルムの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、低屈折率層を塗布により形成できる樹脂を用いて、最表面に低屈折率層を形成した光学機能性フィルムの製造方法に関する。本発明の光学機能性フィルムの製造方法により製造される光学機能性フィルムは反射防止機能を有し、該光学機能性フィルムは偏光板、液晶表示装置に有用である。
従来、紫外線遮断効果、帯電防止効果、反射防止効果等の特定の性質を有する機能性超微粒子が分散された透明樹脂組成物を透明プラスチック基材フィルムに塗布して機能性塗膜を形成することにより、紫外線遮断性、帯電防止性又は反射防止性等の機能が付与された透明機能性フィルムを製造することが知られている。特に、反射防止フィルム等の光学機能性フィルムにおいては、最表面層には低屈折率層を設けることが従来行われている。
従来、光の反射防止技術には、例えば、次のような技術があった。すなわち、ガラスやプラスチック表面に反射防止塗料を塗布する方法、ガラス等の透明基板の表面に膜厚0.1μm程度のMgF2 等の極薄膜や金属蒸着膜を設ける方法、プラスチックレンズ等のプラスチック表面に電離放射線硬化型樹脂を塗工し、その上に蒸着によりSiO2 やMgF2 の膜を形成する方法、電離放射線硬化型樹脂の硬化膜上に低屈折率の塗膜を形成する方法があった。
前記ガラス上に形成された膜厚0.1μm程度のMgF2 の薄膜をさらに説明する。入射光が薄膜に垂直に入射する場合に、特定の波長をλ0 とし、この波長に対する反射防止膜の屈折率をn0 、反射防止膜の厚みをh、および基板の屈折率をng とすると、反射防止膜が光の反射を100%防止し、光を100%透過するための条件は、次の式(1)および式(2)の関係を満たすことが必要であることは既に知られている(サイエンスライブラリ 物理学=9「光学」70〜72頁、昭和55年,株式会社サイエンス社発行)。
0 =√ng 式(1)
0 h=λ0 /4 式(2)
ガラスの屈折率ng =約1.5であり、MgF2 膜の屈折率n0 =1.38、入射光の波長λ0 =5500Å(基準)と既に知られているので、これらの値を前記式(2)に代入すると、反射防止膜の厚みhは約0.1μmが最適であると計算される。
前記式(1)によれば、光の反射を100%防止するためには、上層塗膜の屈折率がその下層塗膜の屈折率の約平方根の値になるような材料を選択すればよいことが分かり、このような原理を利用して、上層塗膜の屈折率を、その下層塗膜の屈折率よりも若干低い値として光の反射防止を行なうことが従来行なわれていた。
反射防止フィルム等の光学機能性フィルムの最表面に、樹脂の塗布により低屈折率層を設ける場合には、前記条件を満たすような十分に薄い薄膜を形成することが困難であり、得られた低屈折率層の塗膜は耐擦傷性が十分でなく、しかも、十分に低い低屈折率とすること、十分な透明度とすることは困難であり、これら全ての条件を満足するものは従来存在していなかった。
そこで、本発明は、樹脂の塗布により低屈折率層を形成した光学機能性フィルムの製造において、その低屈折率層を十分な薄膜とすることができ、十分な耐擦傷性を持ち、その屈折率を十分に低い値とすることができ、得られる光学機能性フィルムを十分な透明とすることができる光学機能性フィルムの製造方法を提供することを目的とする。
本発明の光学機能性フィルムの製造方法には、次の3種類の製造方法がある。
本発明の一番目の光学機能性フィルムの製造方法は、透明基材フィルムと極在化した微粒子層を含んだ樹脂塗膜との接着に接着剤を使用する方法であり、(1)工程紙上に、溶剤で希釈した低屈折率樹脂組成物を用いて塗布し、溶剤を乾燥させて膜厚200nm以下の薄膜であって且つ屈折率1.60未満の低屈折率層を形成し、 (2)得られた低屈折率層を未硬化状態のまま、又は低屈折率層を加熱処理及び/又は電離放射線処理を行ってハーフキュアー又はフルキュアーさせ、(3)得られた低屈折率層上に、屈折率1.60以上の微粒子層を光学膜厚がλ/4又はλ/2(450<λ<600nm)となるように形成し、(4)得られた微粒子層上に樹脂を塗布することにより、樹脂塗膜中に微粒子層が極在化した微粒子層を含んだ樹脂塗膜を形成し、加熱処理及び/又は電離放射線処理を行って、この塗膜を他の塗膜の硬化も含めてフルキュアーし、(5)得られた工程紙に形成されたフルキュアーされた樹脂層上に接着剤層を形成するか、又は別に用意した透明基材フィルムに接着剤層を形成し、(6)前記(5)で得られた接着剤層を有する工程紙と、透明基材フィルムを、該接着剤層を介してラミネートした後、又は、前記(5)で得られた接着剤層を有する透明基材フィルムと、前記(4)で得られた樹脂層を有する工程紙を、該接着剤層と該樹脂層を内側にして該接着剤層を介してラミネートした後、工程紙を剥離し、(7)前記微粒子層は、微粒子層を構成する各微粒子自身の結着力により、或いは各微粒子が完全に埋没されない程度の量のバインダー樹脂の結着力により相互に結着されて形成されたものであることを特徴とする。
本発明の二番目の光学機能性フィルムの製造方法は、透明基材フィルムと極在化した微粒子層を含んだ樹脂塗膜との接着に接着剤を使用しない方法であり、(1)工程紙上に、溶剤で希釈した低屈折率樹脂組成物を塗布し、溶剤を乾燥させて膜厚200nm以下の薄膜であって且つ屈折率1.60未満の低屈折率層を形成し、(2)得られた低屈折率層を未硬化状態のまま、又は低屈折率層を加熱処理及び/又は電離放射線処理を行ってハーフキュアー又はフルキュアーさせ、(3)得られた低屈折率層上に、屈折率1.60以上の微粒子層を光学膜厚がλ/4又はλ/2(450<λ<600nm)となるように形成し、(4)一方、透明基材フィルム上に樹脂を塗布して樹脂塗膜を形成し、(5)前記工程紙上に形成された低屈折率層及び微粒子層と、前記透明基材フィルム上の樹脂塗膜が接するように工程紙と透明基材フィルム両者を圧着してラミネートすることにより、樹脂塗膜中に前記微粒子層の一部又は全部を埋没させて極在化した微粒子層を含んだ樹脂塗膜を形成し、(6)得られたラミネート物に対して加熱処理及び/又は電離放射線処理を行って他の塗膜の硬化も含めてフルキュアーし、次いで工程紙を剥離して低屈折率層及び高屈折率微粒子層を転写し、(7)前記微粒子層は、微粒子層を構成する各微粒子自身の結着力により、或いは各微粒子が完全に埋没されない程度の量のバインダー樹脂の結着力により相互に結着されて形成されたものであることを特徴とする。
本発明の三番目の光学機能性フィルムの製造方法は、透明基材フィルムと極在化した微粒子層を含んだ樹脂塗膜との接着に接着剤を使用しない方法であり、(1)工程紙上に、溶剤で希釈した低屈折率樹脂組成物を塗布し、溶剤を乾燥させて膜厚200nm以下の薄膜であって且つ屈折率1.60未満の低屈折率層を形成し、(2)得られた低屈折率層を未硬化状態のまま、又は低屈折率層を加熱処理及び/又は電離放射線処理を行ってハーフキュアー又はフルキュアーさせ、(3)得られた低屈折率層上に、屈折率1.60以上の微粒子層を光学膜厚がλ/4又はλ/2(450<λ<600nm)となるように形成し、(4)得られた微粒子層上に樹脂を塗布することにより、樹脂塗膜中に微粒子層が極在化した微粒子層を含んだ樹脂塗膜を形成し、(5)別に透明基材フィルムを用意し、前記工程紙と前記透明基材フィルムを工程紙上に形成された樹脂層を内側にしてラミネートし、(6)得られたラミネート物に対して、加熱処理及び/又は電離放射線処理を行って他の塗膜の硬化も含めてフルキュアーし、次いで工程紙を剥離し、(7)前記微粒子層は、微粒子層を構成する各微粒子自身の結着力により、或いは各微粒子が完全に埋没されない程度の量のバインダー樹脂の結着力により相互に結着されて形成されたものであることを特徴とする。
前記3種類の製造方法において、極在化した微粒子層を含んだ樹脂塗膜は、樹脂塗膜を構成するバインダー樹脂の屈折率よりも微粒子の屈折率が高く、且つ、最終製品としての光学機能性フィルムの層構成における、該極在化した微粒子層を含んだ樹脂塗膜の屈折率が直接接する接着剤層又は透明基材フィルムの屈折率よりも高いものであることが望ましく、前記光学機能性フィルムの機能は反射防止であることが望ましい。
本発明の前記3種類の光学機能性フィルムの製造方法により得られる光学機能性フィルムは、低屈折率層に直接接する層が、樹脂塗膜中に微粒子層が極在化した微粒子層を含んだ樹脂塗膜を有し、該樹脂塗膜中の微粒子層は屈折率1.60以上の微粒子が、該低屈折率層との界面から該樹脂塗膜の内部にかけて極在化して固定されたものである。該光学機能性フィルムにおいては、前記樹脂を主体とする塗膜の屈折率は、透明基材フィルムの屈折率よりも高い屈折率であることが望ましい。
本発明の製造方法により得られる光学機能性フィルムの下面には、粘着剤が塗布されていてもよく、この反射防止フィルムは反射防止すべき対象物、例えば、偏光素子に貼着して用いることができる。
本発明の光学機能性フィルムの製造方法は、塗装による簡単な製造方法により、層間密着性のよい反射防止性に優れた光学機能性フィルムを製造することができる。
本発明の製造方法により得られる光学機能性フィルムにおいては、透明基材フィルムと低屈折率層との間の1層以上の層のうち、低屈折率層に直接接する層(極在化した微粒子層を含んだ樹脂塗膜)との界面から該層の内部にかけて屈折率1.60以上の微粒子が極在化して固定されているため、微粒子が樹脂中に分散されている場合に比べ微粒子を多量に使用することなく、少量で微粒子の機能を発現し易いという利点が生じ、さらに、微粒子が樹脂塗膜中に埋め込まれているため、微粒子層を樹脂塗膜上に形成するよりも、微粒子と樹脂との密着性が良いという効果がある。
光学機能性フィルムの製造方法
図1は、本発明の一番目の光学機能性フィルムの製造方法のフロー図である。図1(a)は、工程紙5上に、本発明で使用される低屈折率樹脂組成物の薄膜である低屈折率層3が塗布により形成され、加熱処理及び/又は電離放射線処理を行って該塗膜をフルキュアー又はハーフキュアーした状態を示す。図1(b)は、この低屈折率層3上に微粒子7を主体とした微粒子層4を形成した状態を示す。図1(c)は、この微粒子層4上に樹脂を塗布して樹脂塗膜2中に微粒子層4が極在化した微粒子層4を含んだ樹脂塗膜2を形成し、この樹脂塗膜をフルキュアーしている状態を示す。図1(d)は、前記(c)で得られたフィルムの極在化した微粒子層4を含んだ樹脂塗膜2側と、透明基材フィルム1とを接着剤層6を介してラミネートした状態を示す。図1(e)は、ラミネート物から工程紙5を剥離している状態を示す。
図2は、本発明の二番目の光学機能性フィルムの製造方法のフロー図である。図2(a)は、工程紙5上に、本発明で使用される低屈折率樹脂組成物の薄膜である低屈折率層3が塗布により形成され、加熱処理及び/又は電離放射線処理を行って該塗膜をフルキュアー又はハーフキュアーした状態を示す。図2(b)は、この低屈折率層3上に微粒子7を主体とした微粒子層4を形成した状態を示す。図2(c)は、透明基材フィルム1を用意し、この透明基材フィルム1上に樹脂塗膜2を形成した状態である。図2(d)は、前記(c)で得られた透明基材フィルム1上の、樹脂塗膜2側と、工程紙5上の微粒子層4側とを合わせてラミネートすることにより、樹脂塗膜2中に前記微粒子層4の一部又は全部を埋没させて極在化した微粒子層4を含んだ樹脂塗膜2を形成している状態である。図2(e)は、ラミネート物から工程紙5を剥離している状態を示す。
図3は、本発明の三番目の光学機能性フィルムの製造方法のフロー図である。図3(a)は、工程紙5上に、本発明で使用される低屈折率樹脂組成物の薄膜である低屈折率層3が塗布により形成され、加熱処理及び/又は電離放射線処理を行って該塗膜をフルキュアー又はハーフキュアーした状態を示す。図3(b)は、この低屈折率層3上に微粒子7を主体とした微粒子層4を形成した状態を示す。図3(c)は、この微粒子層4上に樹脂を塗布することにより、樹脂塗膜2中に微粒子層4が極在化した微粒子層4を含んだ樹脂塗膜2を形成している状態を示し、この樹脂塗膜2は未だフルキュアーされていない。図3(d)は、前記(c)で得られた工程紙5上の極在化した微粒子層4を含んだ樹脂塗膜2側と、別に用意した透明基材フィルム1とを合わせてラミネートし、該極在化した微粒子層4を含んだ樹脂塗膜2の硬化も含めてフルキュアーしている状態を示す。図3(e)は、ラミネート物から工程紙5を剥離している状態を示す。
本発明の上記の各製造方法により得られる光学機能性フィルムにおいて、微粒子層4は、各微粒子7自身の結着力により、或いは微粒子7が完全に埋没されない程度の量のバインダー樹脂の結着力により相互に結着されて形成されている。本発明の製造方法により得られる光学機能性フィルムは、微粒子7を樹脂中に均一に分散させずに、微粒子層4を樹脂塗膜2中に極在化して固定させているので、微粒子7の機能を高めることができ、また、特に微粒子7として高屈折率微粒子を使用し、低屈折率層3と接する周辺に極在化させたときには、反射防止効果が高まる利点がある。
本発明の上記の各製造方法において、塗膜を形成した後にハーフキュアーとし、さらに塗膜を形成する意義は、各塗膜間の密着性を増加させるためである。
本発明の上記の各製造方法により得られる光学機能性フィルムの最表面には、微細な凹凸が形成されていてもよく、このような場合には、光学機能性フィルムに、反射防止効果及び防眩効果をさらに高める機能が付与される。
本発明の前記一番目〜三番目の光学機能性フィルムの製造方法において使用される低屈折率樹脂組成物には、フッ化ビニリデン30〜90重量%及びヘキサフルオロプロピレン5〜50重量%を含有するモノマー組成物が共重合されてなるフッ素含有割合が60〜70重量%であるフッ素含有共重合体100重量部と、エチレン性不飽和基を有する重合性化合物30〜150重量部からなる樹脂組成物が好ましく、特に、そのフッ素含有共重合体中においてヘキサフルオロプロピレン5〜50重量%のモノマー成分を含んでいる場合、この樹脂組成物の塗布により形成される低屈折率層において1.45以下の低屈折率を実現することができ、また、特に、そのフッ素含有共重合体中においてフッ化ビニリデン30〜90重量%のモノマー成分を含んでいる場合、得られる樹脂組成物の溶剤溶解性が増し、塗布適性が良好となり、その膜厚を反射防止に適した200nm以下の薄膜とすることができる。さらに、塗布される樹脂組成物中に、エチレン性不飽和基を有する重合性化合物30〜150重量部が含まれている場合、得られる塗膜は耐擦傷性の機械的強度の優れたものとなる。また、各樹脂成分は透明性が高いため、これらの成分を含有した樹脂組成物を用いて形成された低屈折率層は、透明性に優れている。
ハーフキュアー
本発明の透明機能性フィルムの製造方法において、ハーフキュアーとは、次のa.電離放射線硬化型樹脂半架橋型ハーフキュアー、b.電離放射線硬化型樹脂・熱硬化型樹脂(又は熱可塑性樹脂)ブレンド型ハーフキュアー、及びc.溶剤乾燥型・ハーフキュア型複合ハーフキュアーが挙げられる。
a.電離放射線硬化型樹脂半架橋型ハーフキュアー
通常の電離放射線硬化型樹脂を用いて塗布し、塗膜に紫外線又は電子線等の電離放射線の照射条件を調整して半架橋を行うことにより形成されるハーフキュアーの状態をいう。
b.電離放射線硬化型樹脂・熱硬化型樹脂(又は熱可塑性樹脂)ブレンド型ハーフキュアー
電離放射線硬化型樹脂に、熱硬化型樹脂又は熱可塑性樹脂を混合して樹脂組成物を塗布し、熱硬化型樹脂を用いた場合、塗膜に熱を加えることにより形成されるハーフキュアーの状態をいう。
c.溶剤乾燥型・ハーフキュア型複合ハーフキュアー
通常の電離放射線硬化型樹脂に溶剤を加えたものを塗布し、溶剤を乾燥させることによって形成される塗膜に、さらに電離放射線を照射してハーフキュアーする状態をいう。このハーフキュアーの状態は、特開平1−20249号公報に説明されている半硬化状態と同じである。
低屈折率層
本発明において光学機能性フィルムの低屈折率層に使用される樹脂組成物について、次に詳述する。
本発明において用いられる低屈折率層用の樹脂組成物は、フッ化ビニリデン30〜90重量%及びヘキサフルオロプロピレン5〜50重量%を含有するモノマー組成物が共重合されてなるフッ素含有割合が60〜70重量%であるフッ素含有共重合体100重量部と、エチレン性不飽和基を有する重合性化合物30〜150重量部からなる樹脂組成物であることが望ましい。この樹脂組成物を用いることにより、膜厚200nm以下の薄膜であって且つ耐擦傷性が付与された屈折率1.60未満(好ましくは1.45以下)の低屈折率層を形成することができる。
この低屈折率層に用いられる前記フッ素含有共重合体は、フッ化ビニリデンとヘキサフルオロプロピレンとを含有するモノマー組成物を共重合することによって得られる共重合体であり、当該モノマー組成物における各成分の割合は、フッ化ビニリデンが30〜90重量%、好ましくは40〜80重量%、特に好ましくは40〜70重量%であり、またヘキサフルオロプロピレンが5〜50重量%、好ましくは10〜50重量%、特に好ましくは15〜45重量%である。このモノマー組成物は、さらにテトラフルオロエチレンを0〜40重量%、好ましくは0〜35重量%、特に好ましくは10〜30重量%含有するものであってもよい。
また、このフッ素含有共重合体を得るためのモノマー組成物は、本発明の目的および効果が損なわれない範囲において、他の共重合成分が、例えば、20重量%以下、好ましくは10重量%以下の範囲で含有されたものであってもよい。ここに、当該他の共重合成分の具体例としては、例えばフルオロエチレン、トリフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレン、1,2−ジクロロ−1,2−ジフルオロエチレン、2−ブロモ−3,3,3−トリフルオロエチレン、3−ブロモ−3,3−ジフルオロプロピレン、3,3,3−トリフルオロプロピレン、1,1,2−トリクロロ−3,3,3−トリフルオロプロピレン、α−トリフルオロメタクリル酸などのフッ素原子を含有する重合性モノマーを挙げることができる。
このようなモノマー組成物から得られるフッ素含有共重合体は、そのフッ素含有割合が60〜70重量%であることが必要であり、好ましいフッ素含有割合は62〜70重量%、特に好ましくは64〜68重量%である。
このフッ素含有共重合体は、特にそのフッ素含有割合が上述の特定の範囲であることにより、後述の溶剤に対して良好な溶解性を有する。また、本発明の光学機能性フィルムに使用されるフッ素系樹脂組成物は、このようなフッ素含有共重合体を成分として含有することにより、種々の基材に対して優れた密着性を有し、高い透明性と低い屈折率を有すると共に十分に優れた機械的強度を有する薄膜を形成するので、基材の表面の耐傷性などの機械的特性を十分に高いものとすることができ、反射防止膜形成にきわめて好適である。
このフッ素含有共重合体は、その分子量がポリスチレン換算数平均分子量で5000〜200000、特に10000〜100000であることが好ましい。このような大きさの分子量を有するフッ素含有共重合体を用いることにより、得られるフッ素系樹脂組成物の粘度が好適な大きさとなり、従って、確実に好適な塗布性を有するフッ素系樹脂組成物とすることができる。
さらに、フッ素含有共重合体は、それ自体の屈折率が1.45以下、特に1.42以下、さらに1.40以下であるものが好ましい。屈折率が1.45を越えるフッ素含有共重合体を用いた場合には、得られるフッ素系塗料により形成される薄膜が反射防止効果の小さいものとなり、十分に良好な反射防止膜を形成することができない場合が生ずる。
本発明において用いられる重合性化合物は、光重合開始剤の存在下または非存在下で活性エネルギー線が照射されることにより、または熱重合開始剤の存在下で加熱されることにより、付加重合を生ずるエチレン性不飽和基を有する化合物である。
このような重合性化合物の具体例としては、例えば次の(a)〜(v)に挙げるものを使用することができる。
(a)スチレン、α−メチルスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、ジビニルベンゼン、ジイソプロペニルベンゼン、o−クロロスチレン、m−クロロスチレン、p−クロロスチレン、1、1−ジフェニルスチレン、p−メトキシスチレン、N,N−ジメチル−p−アミノスチレン、N,N−ジエチル−p−アミノスチレン、ビニルピリジンなどの芳香族ビニル化合物類;
(b)(メタ)アクリロニトリル、α−クロロアクリロニトリル、α−クロロメチルアクリロニトリル、α−メトキシアクリロニトリル、α−エトキシアクリロニトリル、クロトン酸ニトリル、ケイ皮酸ニトリル、イタコン酸ジニトリル、マレイン酸ジニトリル、フマル酸ジニトリルなどの不飽和ニトリル類;
(c)メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、sec−ブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、n−アミル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル−(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、2−エトキシエチル(メタ)アクリレート、2−(n−プロポキシ)エチル(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリル酸エステル類;
(d)2,2,2−トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピル(メタ)アクリレート、2−(パーフルオロブチル)エチル(メタ)アクリレート、2−(パーフルオロヘキシル)エチル(メタ)アクリレート、2−(パーフルオロオクチル)エチル(メタ)アクリレート、2−(パーフルオロデシル)エチル(メタ)アクリレートなどのフッ素含有(メタ)アクリル酸エステル類;
(e)クロトン酸メチル、クロトン酸エチル、クロトン酸プロピル、クロトン酸ブチル、ケイ皮酸メチル、ケイ皮酸エチル、ケイ皮酸プロピル、ケイ皮酸ブチル、イタコン酸ジメチル、イタコン酸ジエチル、マレイン酸ジメチル、マレイン酸ジエチル、フマル酸ジメチル、フマル酸ジエチルなどの不飽和カルボン酸エステル類;
(f)2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートなどの水酸基含有(メタ)アクリル酸エステル類;
(g)ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールなどのポリアルキレングリコールの(メタ)アクリル酸モノエステル類;
(h)シアノエチル(メタ)アクリレート、シアノプロピル(メタ)アクリレートなどのシアノ基含有(メタ)アクリル酸エステル類;
(i)2−フェノキシエチル(メタ)アクリレート、2−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリル酸アリーロキシアルキルエステル類;
(j)メトキシポリエチレングリコール、エトキシポリエチレングリコール、メトキシポリプロピレングリコール、エトキシポリプロピレングリコールなどのアルコキシポリアルキレングリコールの(メタ)アクリル酸モノエステル類;
(k)フェノキシポリエチレングリコール、フェノキシポリプロピレングリコールなどのアリーロキシポリアルキレングリコールの(メタ)アクリル酸モノエステル類;
(l)エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオールなどのアルキレングリコールの(メタ)アクリル酸ジエステル類;
(m)ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールなどのポリアルキレングリコール(アルキレングリコール単位数が例えば2〜23のもの)の(メタ)アクリル酸ジエステル、両末端ヒドロキシポリブタジエン、両末端ヒドロキシポリイソプレン、両末端ヒドロキシブタジエン−アクリロニトリル共重合体、両末端ヒドロキシポリカプロラクトンなどの両末端に水酸基を有する重合体の(メタ)アクリル酸ジエステル類;
(n)グリセリン、1,2,4−ブタントリオール、トリメチロールアルカン(アルカンの炭素数は例えば1〜3である。)、テトラメチロールアルカン(アルカンの炭素数は例えば1〜3である。)、ペンタエリスリトールの如き3価以上の多価アルコールの(メタ)アクリル酸ジエステル、(メタ)アクリル酸トリエステルまたは(メタ)アクリル酸テトラエステルなどの(メタ)アクリル酸オリゴエステル類;
(o)3価以上の多価アルコールのポリアルキレングリコール付加物の(メタ)アクリル酸トリエステルまたは(メタ)アクリル酸テトラエステルなどの(メタ)アクリル酸オリゴエステル類;
(p)1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−ベンゼンジオール、1,4−ジヒドロキシエチルベンゼンなどの環式多価アルコールの(メタ)アクリル酸オリゴエステル類;
(q)ポリエステル(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、アルキド樹脂(メタ)アクリレート、シリコーン樹脂(メタ)アクリレート、スピラン樹脂(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリル酸オリゴエステルプレポリマー類;
(r)(メタ)アクリル酸、クロトン酸、ケイ皮酸、イタコン酸、無水イタコン酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、メサコン酸などの不飽和カルボン酸類;
(s)イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、メサコン酸の如き不飽和多価カルボン酸のモノメチルエステル、モノエチルエステル、モノプロピルエステル、モノブチルエステル、モノヘキシルエステル、モノオクチルエステルなどの遊離カルボキシル基含有エステル類;
(t)イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、メサコン酸の如き不飽和多価カルボン酸のジメチルエステル、ジエチルエステル、ジプロピルエステル、ジブチルエステル、ジヘキシルエステル、ジオクチルエステルなどの多価エステル類;
(u)(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−(2−ヒドロキシエチル)(メタ)アクリルアミド、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)(メタ)アクリルアミド、N,N’−メチレンビス(メタ)アクリルアミド、N,N’−エチレンビス(メタ)アクリルアミド、N,N’−ヘキサメチレンビス(メタ)アクリルアミド、クロトン酸アミド、ケイ皮酸アミドなどの不飽和アミド類;
(v)酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、ビバリン酸ビニル、カプロン酸ビニル、バーサチック酸ビニル、ステアリン酸ビニルなどのカルボン酸ビニルエステル類。
以上のうち、好ましい重合性化合物は、エチレン性不飽和基を1分子中に3以上、特に4以上、さらには4〜15含有するものである。このような重合性化合物の具体例としては、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、「U−15HA」(商品名、新中村化学社製)などを挙げることができる。
さらに、これらの化合物のうち、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、及びカプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートが特に好ましい。
用いる重合性化合物が、エチレン性不飽和基を1分子中に3個以上含有するものである場合には、得られるフッ素系樹脂組成物は、特に、基材に対する密着性および基材の表面の耐傷性などの機械的特性がきわめて良好な薄膜を形成するものとなる。
重合性化合物の使用量は、フッ素含有共重合体100重量部に対して30〜150重量部、好ましくは35〜100重量部、特に好ましくは40〜70重量部である。
この重合性化合物の使用割合が過小であると、得られる塗料によって形成される薄膜は、基材に対する密着性が低いものとなり、一方、使用割合が過大であると、形成される薄膜は屈折率の高いものとなって良好な反射防止効果を得ることが困難となる。
本発明の光学機能性フィルムの製造方法に使用される低屈折率層用樹脂組成物中においては、フッ素含有共重合体および重合性化合物を含む重合体形成成分の合計量におけるフッ素含有割合が30〜55重量%、特に35〜50重量%であることが好ましい。このような条件が満足される場合には、本発明の目的及び効果をさらに十分に達成する薄膜を確実に形成することができる。フッ素含有割合が過大であるフッ素系樹脂組成物によって形成される薄膜は、基材に対する密着性が低いものとなる傾向と共に、基材の表面の耐傷性などの機械的特性が若干低下するものとなり、一方、フッ素含有割合が過小であるフッ素系樹脂組成物により形成される薄膜は、屈折率が大きいものとなって反射防止効果が低下する傾向が生じる。
本発明の光学機能性フィルムの製造方法に使用される低屈折率層用樹脂組成物中において溶剤は、当該フッ素系樹脂組成物の塗布性及び形成される薄膜の基材に対する密着性の点から、760ヘクトパスカルの圧力下における沸点が50〜200℃の範囲内のものが好ましい。
このような溶剤の具体例としては、例えばアセトン、ジエチルケトン、ジプロピルケトン、メチルエチルケトン、メチルブチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、ギ酸メチル、ギ酸エチル、ギ酸プロピル、ギ酸イソプロピル、ギ酸ブチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、酢酸第二ブチル、酢酸アミル、酢酸イソアミル、酢酸第二アミル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、酪酸メチル、酪酸エチル、乳酸メチルなどのケトン類またはカルボン酸エステル類よりなる溶剤を挙げることができる。これらの溶剤は単一でも2成分以上の混合物でもよく、さらに上記に例示したもの以外の溶剤を、樹脂組成物の性能が損なわれない範囲で加えることもできる。
溶剤の使用量は、フッ素含有共重合体と重合性化合物との合計量100重量部に対して、通常200〜10000重量部、好ましくは1000〜10000重量部、特に好ましくは1200〜4000重量部である。
溶剤の使用量をこの範囲とすることにより、フッ素系樹脂組成物の粘度の大きさを、樹脂組成物として好ましい塗布性が得られる0.5〜5cps(25℃)、特に0.7〜3cps(25℃)の範囲のものとすることが容易であり、その結果、当該フッ素系樹脂組成物により、可視光線の反射防止膜として実用上好適な均一で塗布ムラのない厚さ100〜200nmの薄膜を容易に形成することができ、しかも基材に対する密着性が特に優れた薄膜を形成することができる。
本発明の上記各製造方法に使用されるフッ素系樹脂組成物は、含有される重合性化合物のエチレン性不飽和基が重合反応することによって硬化するものであり、従って、当該樹脂組成物が塗布されて形成された塗膜に対し、当該重合性化合物を重合反応させる硬化処理が施されて固体状の薄膜が形成される。
このような硬化処理の手段として、当該フッ素樹脂系組成物の塗膜に活性エネルギー線を照射する手段または塗膜を加熱する手段が利用され、これにより、本発明が目的とする硬化状態の薄膜を確実にかつ容易に形成することができるので、実際上きわめて有利であり、薄膜形成操作の点においても便利である。
本発明の光学機能性フィルムの製造方法に使用される低屈折率層用樹脂組成物を活性エネルギー線の照射によって硬化処理する場合において、活性エネルギー線として電子線を用いるときは、当該フッ素系樹脂組成物には特に重合開始剤を添加することなしに、所期の硬化処理を行うことができる。
また、硬化処理のための活性エネルギー線として、紫外線あるいは可視光線の如き光線を用いる場合には、当該活性エネルギー線の照射を受けて分解して例えばラジカルを発生し、それによって重合性化合物の重合反応を開始させる光重合開始剤がフッ素系樹脂組成物に添加される。
このような光重合開始剤の具体例としては、例えばアセトフェノン、アセトフェノンベンジルケタール、アントラキノン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、カルバゾール、キサントン、4−クロロベンゾフェノン、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、1,1−ジメトキシデオキシベンゾイン、3,3’−ジメチル−4−メトキシベンゾフェノン、チオキサントン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、1−(4−ドデシルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、2−メチル−1−〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルフォリノ−プロパン−1−オン、トリフェニルアミン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、フルオレノン、フルオレン、ベンズアルデヒド、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインプロピルエーテル、ベンゾフェノン、ミヒラーケトン、3−メチルアセトフェノン、3,3’,4,4’−テトラ(tert−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン(BTTB)、2−(ジメチルアミノ)−1−〔4−(モルフォリニル)フェニル〕−2−フェニルメチル−1−ブタノン、4−ベンゾイル−4′−メチルジフェニルサルファイド、ベンジル、またはBTTBとキサンチン、チオキサンチン、クマリン、ケトクマリン、その他の色素増感剤との組合せなどを挙げることができる。
これら光重合開始剤のうち、2、2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシルシクロヘキシルフェニルケトン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、2−メチル−1−〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルホリノプロパン−1−オン、2−(ジメチルアミノ)−1− 〔4−(モルフォリニル)フェニル〕−2−フェニルメチル)−1−ブタノンなどが好ましく、さらに好ましくは、1−ヒドロキシルシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−1−〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルホリノプロパン−1−オン、2−(ジメチルアミノ)−1−〔4−(モルフォリニル)フェニル〕−2−フェニルメチル)−1−ブタノンなどを挙げることができる。
さらに、硬化処理のために加熱手段が利用される場合には、加熱により例えばラジカルを発生して重合性化合物の重合を開始させる熱重合開始剤がフッ素系樹脂組成物に添加される。
熱重合開始剤の具体例としては、例えばベンゾイルパーオキサイド、tert−ブチル−オキシベンゾエート、アゾビスイソブチロニトリル、アセチルパーオキサイド、ラウリルパーオキサイド、tert−ブチルパーアセテート、クミルパーオキサイド、tert−ブチルパーオキサイド、tert−ブチルハイドロパーオキサイド、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)などを挙げることができる。
本発明の光学機能性フィルムの製造方法に使用される低屈折率層用樹脂組成物における光重合開始剤または熱重合開始剤の添加量は、フッ素含有共重合体と重合性化合物との合計100重量部に対し、通常、0.5〜10重量部、好ましくは1〜8重量部、特に好ましくは2〜7重量部である。この添加量が10重量部を越えると樹脂組成物の取り扱い並びに形成される薄膜の機械的強度などに悪影響を及ぼすことがあり、一方、添加量が0.5重量部未満では硬化速度が小さいものとなる。
本発明の光学機能性フィルムの製造方法に使用されるフッ素系樹脂組成物には、必要に応じて、本発明の目的および効果が損なわれない範囲において、各種添加剤、例えば、トリエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、トリエチルアミン、ジエチルアミンなどのアミン系化合物から成る増感剤もしくは重合促進剤;エポキシ樹脂、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリウレタン、ポリブタジエン、ポリクロロプレン、ポリエーテル、ポリエステル、スチレン−ブタジエンスチレンブロック共重合体、石油樹脂、キシレン樹脂、ケトン樹脂、シリコーン系オリゴマー、ポリスルフィド系オリゴマーなどのポリマーあるいはオリゴマー;フェノチアジン、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノールなどの重合禁止剤;その他にレベリング剤、漏れ性改良剤、界面活性剤、可塑剤、紫外線吸収剤、シランカップリング剤、無機充填剤、樹脂粒子、顔料、染料などを配合することができる。
極在化した微粒子層を含む樹脂塗膜
本発明の製造方法により得られる光学機能性フィルムにおいて、透明基材フィルムと低屈折率層との間に存在し、低屈折率層と直接接している層の屈折率は、低屈折率微粒子の屈折率よりも高く、かつ透明プラスチック基材フィルムの屈折率よりも高くすることが好ましい。このような屈折率を持つ層構成とすることにより、反射防止効果を高め、該層と接する層の間の界面の反射を防ぐことができる。この極在化した微粒子層を含む樹脂塗膜の屈折率は、好ましくは1.60以上である。
本発明の製造方法により得られる光学機能性フィルムにおいては、透明基材フィルムと低屈折率層との間に極在化した微粒子層を含む樹脂塗膜が存在する。該極在化した微粒子層を含む樹脂塗膜は、低屈折率層に直接接する層との界面から該極在化した微粒子層を含む樹脂塗膜の内部にかけて屈折率1.60以上の微粒子が極在化して固定されているため、微粒子が樹脂中に分散されている場合に比べ微粒子を多量に使用することなく、少量で微粒子の機能を発現し易いという利点が生じ、さらに、微粒子樹脂塗膜中に埋め込まれているため、微粒子層を含まない樹脂塗膜の上に微粒子層を形成するよりも、微粒子と樹脂との密着性が良いという効果がある。
また、本発明の光学機能性フィルムの製造方法において、極在化した微粒子層を含む樹脂塗膜のうち、微粒子が存在していない箇所の屈折率を、透明基材フィルムの屈折率よりも高い屈折率とすることが、透明基材フィルムと樹脂を主体とする塗膜との間の界面の反射を防止するために好ましい。
低屈折率層との界面から、該極在化した微粒子層を含む樹脂塗膜の内部にかけて極在化して固定されている屈折率1.60以上の微粒子は、その光学膜厚が、λ/4又はλ/2(450nm<λ<600nm)であるので、反射防止効果に優れる。
極在化した微粒子層を含む樹脂塗膜の屈折率を高める方法には、該樹脂塗膜のバインダーとして高屈折率を持つバインダー樹脂を使用するか、高屈折率微粒子層を、樹脂塗膜中に極在化させるか、或いはこれらの方法を併用して行う。
前記高屈折率微粒子を樹脂塗膜中に極在化させる方法に用いられる高屈折率の微粒子の例には、例えば、ZnO(屈折率1.90)、TiO2 (屈折率2.3〜2.7)、CeO2 (屈折率1.95)、Sb2 5 (屈折率1.71)、SnO2 、ITO(屈折率1.95)、Y2 3 (屈折率1.87)、La2 3 (屈折率1.95)、ZrO2 (屈折率2.05)、Al2 3 (屈折率1.63)等が挙げられる。
これらの高屈折率微粒子のうち、ZnO、TiO2 、CeO2 、Sb2 5 等を用いることにより、光学機能性フィルムにUV遮蔽効果がさらに付与されるので好ましい。また、アンチモンがドープされたSnO2 或いはITOを用いることにより、電子伝導性が向上し、帯電防止効果によるホコリの付着防止、或いは光学機能性フィルムをCRTに用いた場合の電磁波シールド効果が得られるので好ましい。高屈折率微粒子の粒径は、極在化した微粒子層を含む樹脂塗膜を透明とするためには400nm以下であることが好ましい。特に、反射防止性を付与するにはMgF2 やSiO2 等の低屈折率微粒子やSb2 5 、ZnO、ITO、SnO2 、TiO2 等の高屈折率微粒子が使用される。
微粒子層に使用される微粒子には、200nm以下の超微粒子で、紫外線遮断性、導電性、帯電防止性、反射防止性等の機能を有するものが挙げられる。
これらの機能性を有する微粒子は、その表面がカップリング剤で疎水化処理されていてもよく、このような疎水化処理により微粒子表面への疎水性基の導入が行われるので、電離放射線硬化型樹脂に馴染みやすくなり、電離放射線硬化型樹脂との結合がより強固となる。このようなカップリング剤には、シランカップリング剤、チタネート系カップリング剤、アルミナ系カップリング剤等が用いられる。そのカップリング剤の添加量は0(0を含まず)〜30重量部、望ましくは0(0を含まず)〜10重量部である。
また、微粒子がMgF2 のように表面が不活性な場合、予めSiO2 ゾルを添加し、微粒子の表面をSiO2 でコーティングした後、カップリング剤で処理してもよい。このようなSiO2 の皮膜処理により、微粒子の表面に親水性基を多く導入させることができ、その後のカップリング剤での処理により疎水性基を確実により多く導入でき、したがって、微粒子が樹脂へさらに馴染みやすくなり結合性が増す。
前記高屈折率を持つバインダー樹脂には、1)芳香環を含む樹脂、2)F以外のハロゲン化元素、例えば、Br、I、Cl等を含む樹脂、3)S、N、P等の原子を含む樹脂等があげられ、これらの少なくとも一つの条件を満足する樹脂が高屈折率となるために望ましい。前記1)の樹脂の例には、ポリスチレン等のスチロール系樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリビニルカルバゾール、ビスフェノールAのポリカーボネート等が挙げられる。前記2)の樹脂の例には、ポリ塩化ビニル、ポリテトラブロモビスフェノールAグリシジルエーテル等が挙げられる。前記3)の樹脂の例には、ポリビスフェノールSグリシジルエーテル、ポリビニルピリジン等が挙げられる。
極在化した微粒子層を含む樹脂塗膜に用いることができる樹脂には、透明性のあるものであればどのような樹脂(例えば、熱可塑性樹脂、熱硬化型樹脂、電離放射線硬化型樹脂)でも使用することができる。しかしながら、本発明の製造方法により得られる光学機能性フィルムにおいて、低屈折率層を形成する樹脂に、電離放射線硬化型樹脂が混入されているので、極在化した微粒子層を含む樹脂塗膜に電離放射線硬化型樹脂を使用した場合には、各塗膜の硬化を電離放射線により同時に硬化できるという利点がある。
極在化した微粒子層を含む樹脂塗膜にハード性能を付与するためには層の厚みを0.5μm以上、好ましくは、3μm以上とすることにより、硬度を維持することができ、ハード性能を付与することができる。
なお、本発明において、「ハード性能を付与する」とは、JIS K5400で示される鉛筆硬度試験で、H以上の硬度を与えることをいう。
また、極在化した微粒子層を含む樹脂塗膜の硬度をより向上させるために、そのバインダー樹脂には、反応硬化型樹脂、即ち、熱硬化型樹脂及び/又は電離放射線硬化型樹脂を使用することが好ましい。前記熱硬化型樹脂には、フェノール樹脂、尿素樹脂、ジアリルフタレート樹脂、メラミン樹脂、グアナミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、アミノアルキッド樹脂、メラミン−尿素共縮合樹脂、珪素樹脂、ポリシロキサン樹脂等が使用され、これらの樹脂に必要に応じて、架橋剤、重合開始剤等の硬化剤、重合促進剤、溶剤、粘度調整剤等を加えて使用する。
前記電離放射線硬化型樹脂には、好ましくは、アクリレート系の官能基を有するもの、例えば、比較的低分子量のポリエステル樹脂、ポリエーテル樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、アルキッド樹脂、スピロアセタール樹脂、ポリブタジエン樹脂、ポリチオールポリエン樹脂、多価アルコール等の多官能化合物の(メタ)アクリレート等のオリゴマーまたはプレポリマーおよび反応性希釈剤としてエチル(メタ)アクリレート、エチルヘキシル(メタ)アクリレート、スチレン、メチルスチレン、N−ビニルピロリドン等の単官能モノマー並びに多官能モノマー、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオール(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、1、6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート等を比較的多量に含有するものが使用できる。
特に好適には、ポリエステルアクリレートとポリウレタンアクリレートの混合物が用いられる。その理由は、ポリエステルアクリレートは塗膜が非常に硬くてハードコートを得るのに適しているが、ポリエステルアクリレート単独ではその塗膜は衝撃性が低く、脆くなるので、塗膜に耐衝撃性及び柔軟性を与えるためにポリウレタンアクリレートを併用する。ポリエステルアクリレート100重量部に対するポリウレタンアクリレートの配合割合は30重量部以下とする。この値を越えると塗膜が柔らかすぎてハード性がなくなってしまうからである。
さらに、上記の電離放射線硬化型樹脂組成物を紫外線硬化型樹脂組成物とするには、この中に光重合開始剤として、アセトフェノン類、ベンゾフェノン類、ミヒラーベンゾイルベンゾエート、α−アミロキシムエステル、テトラメチルチウラムモノサルファイド、チオキサントン類や、光増感剤としてn−ブチルアミン、トリエチルアミン、トリーn−ブチルホスフィン等を混合して用いることができる。特に本発明では、オリゴマーとしてウレタンアクリレート、モノマーとしてジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等を混合するのが好ましい。
極在化した微粒子層を含む樹脂塗膜に、特に、屈曲性を付与するためには、電離放射線硬化型樹脂100重量部に対し溶剤乾燥型樹脂を10重量部以上100重量部以下含ませてもよい。前記溶剤乾燥型樹脂には、主として熱可塑性樹脂が用いられる。電離放射線硬化型樹脂に添加する溶剤乾燥型熱可塑性樹脂の種類は通常用いられるものが使用されるが、特に、電離放射線硬化型樹脂にポリエステルアクリレートとポリウレタンアクリレートの混合物を使用した場合には、使用する溶剤乾燥型樹脂にはポリメタクリル酸メチルアクリレート又はポリメタクリル酸ブチルアクリレートが塗膜の硬度を高く保つことができる。しかも、この場合、主たる電離放射線硬化型樹脂との屈折率が近いので塗膜の透明性を損なわず、透明性、特に、低ヘイズ値、高透過率、また相溶性の点において有利である。
また、透明基材フィルムとして、特にトリアセチルセルロース等のセルロース系樹脂を用いるときには、電離放射線硬化型樹脂に含ませる溶剤乾燥型樹脂には、ニトロセルロース、アセチルセルロース、セルロースアセテートプロピオネート、エチルヒドロキシエチルセルロース等のセルロース系樹脂が塗膜の密着性及び透明性の点で有利である。
その理由は、上記のセルロース系樹脂に溶媒としてトルエンを使用した場合、透明基材フィルムであるトリアセチルセルロースの非溶解性の溶剤であるトルエンを用いるにもかかわらず、透明基材フィルムにこの溶剤乾燥型樹脂を含む樹脂組成物の塗布を行っても、透明基材フィルムと塗膜樹脂との密着性を良好にすることができ、しかもこのトルエンは、透明基材フィルムであるトリアセチルセルロースを溶解しないので、透明プラスチック基材フィルムの表面は白化せず、透明性が保たれる利点があるからである。
極在化した微粒子層を含む樹脂塗膜におけるバインダー樹脂として電離放射線硬化型樹脂が使用される場合には、その硬化方法は通常の電離放射線硬化型樹脂の硬化方法、即ち、電子線または紫外線の照射によって硬化することができる。例えば、電子線硬化の場合にはコックロフトワルトン型、バンデグラフ型、共振変圧型、絶縁コア変圧器型、直線型、ダイナミトロン型、高周波型等の各種電子線加速器から放出される50〜1000KeV、好ましくは100〜300KeVのエネルギーを有する電子線等が使用され、紫外線硬化の場合には超高圧水銀灯、高圧水銀灯、低圧水銀灯、カーボンアーク、キセノンアーク、メタルハライドランプ等の光線から発する紫外線等が利用できる。
極在化した微粒子層を含む樹脂塗膜が複数層ある場合にはそのうちの一つの層は、透明基材フィルムと接する接着剤層としてもよい。
微粒子層の形成方法
微粒子層の形成方法は、微粒子のゾル自体又は微粒子のゾルにバインダー樹脂を含有させたものを塗布して形成する。例えば、工程紙上に微粒子層を形成する場合には、バインダー樹脂を使用しなくても、微粒子自身の持つ結着作用により形成することができるが、その結着作用が弱いような場合には必要に応じて、バインダー樹脂を混合使用してもよい。そのバインダー樹脂の量は、微粒子がバインダー樹脂中に完全に埋没されない程度の量とすることが、微粒子の表面が露出された状態で微粒子相互が結着されるので、微粒子の機能性を発現するのに、特に、反射防止膜に利用する場合に好ましい。
このようなバインダー樹脂には、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、電離放射線硬化型樹脂等の一般的なものが用いられるが、本発明における低屈折率層に電離放射線硬化型樹脂が含まれているので、この低屈折率層との密着性を考慮すると電離放射線硬化型樹脂が望ましく、その電離放射線硬化型樹脂は溶剤乾燥半硬化型樹脂であることが望ましい。また、このようなバインダー樹脂に着色剤を混入してもよい。
透明基材フィルム
本発明の光学機能性フィルムの製造方法に用いられる透明基材フィルムに適した材料は、透明性のあるフィルムであればよく、例えば、トリアセチルセルロースフィルム、ジアセチルセルロースフィルム、アセテートブチレートセルロースフィルム、ポリエーテルサルホンフィルム、ポリアクリル系樹脂フィルム、ポリウレタン系樹脂フィルム、ポリエステルフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリスルホンフィルム、ポリエーテルフィルム、トリメチルペンテンフィルム、ポリエーテルケトンフィルム、(メタ)アクリロニトリルフィルム等が使用できるが、特に、トリアセチルセルロースフィルム、及び一軸延伸ポリエステルが透明性に優れ、光学的に異方性が無い点で好適に用いられる。その厚みは、通常は8μm〜1000μm程度のものが好適に用いられる。
工程紙
離型フィルムとも呼ばれ、一般的にシート上にシリコン、フッ素、アクリル−メラミンなど離型処理を施したもの、または、未処理のものが使用される。その表面は平滑でも凹凸を有していてもよく、凹凸を有している場合、最終製品の表面に凹凸が形成されるので、得られる光学機能性フィルムに、反射防止効果又は防眩効果を付与することができる。
偏光板及び液晶表示装置
本発明の製造方法により得られる光学機能性フィルムは、偏光素子にラミネートすることによって、反射防止性の改善された偏光板とすることができる。この偏光素子には、よう素又は染料により染色し、延伸してなるポリビニルアルコールフィルム、ポリビニルホルマールフィルム、ポリビニルアセタールフィルム、エチレン−酢酸ビニル共重合体系ケン化フィルム等を用いることができる。このラミネート処理にあたって接着性を増すため及び静電防止のために、光学機能性フィルムの基材フィルムが例えば、トリアセチルセルロースフィルムである場合には、トリアセチルセルロースフィルムにケン化処理を行う。このケン化処理はトリアセチルセルロースフィルムにハードコートを施す前または後のどちらでもよい。
図4に本発明の製造方法により得られた光学機能性フィルムが使用された偏光板の一例を示す。図中14は反射防止性を有する光学機能性フィルムであり、該光学機能性フィルム14が偏光素子11上にラミネートされており、一方、偏光素子11の他面にはトリアセチルセルロースフィルム(略:TACフィルム)12がラミネートされている。また偏光素子11の両面に光学機能性フィルム14がラミネートされてもよい。
図5に本発明の製造方法により得られた光学機能性フィルムが使用された液晶表示装置の一例を示す。液晶表示素子13上に、図4に示した偏光板、即ち、TACフィルム/偏光素子/光学機能性フィルムからなる層構成の偏光板がラミネートされており、また液晶表示素子13の他方の面には、TACフィルム/偏光素子/TACフィルムからなる層構成の偏光板がラミネートされている。なお、STN型の液晶表示装置には、液晶表示素子13と偏光板との間に、位相差板が挿入される。
離型フィルム(MC−19:商品名、麗光製、表面にアクリル−メラミン処理が施されている)上に屈折率1.43の電離放射線硬化型フッ素系樹脂(KZ:商品名、日本合成ゴム製)を膜厚100nm/dryになるように塗工し、電子線を1Mrad照射して樹脂をハーフキュアーした。
この樹脂層上に屈折率1.90のZnO超微粒子分散液(ZS−300:商品名、住友セメント製、粒径10nm)と屈折率1.53の電子線硬化型樹脂(HN−5A:商品名、三菱油化製)を重量比で45:1の割合で配合した溶液を膜厚72nm/dryになるように塗工した。
上記の方法で形成された超微粒子膜上に屈折率1.50の電離放射線硬化型樹脂(EXG:商品名、大日精化工業製)を膜厚3μ/dryになるように塗工し、電子線を5Mrad照射し、下層の樹脂を含め全樹脂層をフルキュアーした。
この硬化樹脂層上に接着剤(タケラック:商品名、武田薬品製、硬化剤:14%添加)を4μ/dryになるように塗工し、屈折率1.49のトリアセチルセルロースフィルム(FFUV−80:商品名、富士フィルム製、膜厚80μ)とラミネートし、40℃で3日間エージングした後、離型フィルムを剥離した。
このようにして得られた反射防止フィルムの全光線透過率は95.3%であり、550nmの反射率は0.3%であった。また、鉛筆硬度は2H、耐スチールウール試験の結果は250g荷重で10回ラビングしても傷つかなかった。また、密着性試験については、1mm角のごばん目を入れ、透明粘着テープで同一箇所を5回急速剥離後、塗膜の剥離は無かった。
離型フィルム(MC−19:商品名、麗光製、表面にアクリル−メラミン処理が施されている)上に屈折率1.43の電離放射線硬化型フッ素系樹脂(KZ:商品名、日本合成ゴム製)を膜厚100nm/dryになるように塗工し、電子線を2Mrad照射して樹脂をハーフキュアーした。
この樹脂層上に屈折率1.90のZnO超微粒子分散液(ZS−300:商品名、住友セメント製、粒径10nm)と屈折率1.53の電子線硬化型樹脂(HN−5A:商品名、三菱油化製)を重量比で45:1の割合で配合した溶液を膜厚72nm/dryになるように塗工する。
この超微粒子層上に屈折率1.90のZnO超微粒子分散液(ZS−300:商品名、住友セメント製、粒径10nm)と屈折率1.53の電子線硬化型樹脂(HN−5A:商品名、三菱油化製)を重量比で2:1の割合で混合した屈折率1.65の樹脂を膜厚3μ/dryになるように塗工し、電子線を5Mrad照射して樹脂を完全に硬化した。
この樹脂層上に接着剤(タケラック:商品名、武田薬品製、硬化剤:14%添加)を4μ/dryになるように塗工し、屈折率1.49のトリアセチルセルロースフィルム(FFUV−80:商品名、富士フィルム製、膜厚80μ)とラミネートし、40℃で3日間エージングした後、離型フィルムを剥離した。
このようにして得られた反射防止フィルムの全光線透過率は95.8%であり、550nmの反射率は0.1%であった。また、鉛筆硬度は2H、耐スチールウール試験の結果は250g荷重で10回ラビングしても傷つかなかった。また、密着性試験については、1mm角のごばん目を入れ、透明粘着テープで同一箇所を5回急速剥離後、塗膜の剥離は無かった。
本発明の光学機能性フィルムの製造方法により製造される光学機能性フィルムは反射防止機能を有し、該光学機能性フィルムは偏光板、液晶表示装置に有用である。
本発明の一番目の光学機能性フィルムの製造方法のフロー図である。 本発明の二番目の光学機能性フィルムの製造方法のフロー図である。 本発明の三番目の光学機能性フィルムの製造方法のフロー図である。 本発明の製造方法により得られた光学機能性フィルムが使用された偏光板の一例を示す。 本発明の製造方法により得られた光学機能性フィルムが使用された液晶表示装置の一例を示す。
符号の説明
1 透明基材フィルム
樹脂塗膜
3 低屈折率層
4 微粒子層
5 工程紙
6 接着剤層
7 微粒子
8 TACフィルム
9 高屈折率ハードコート層
10 低屈折率層
11 偏光素子
12 TACフィルム
13 液晶表示素子
14 光学機能性フィルム

Claims (4)

  1. (1)工程紙上に、溶剤で希釈した低屈折率樹脂組成物を用いて塗布し、溶剤を乾燥させて膜厚200nm以下の薄膜であって且つ屈折率1.60未満の低屈折率層を形成し、 (2)得られた低屈折率層を未硬化状態のまま、又は低屈折率層を加熱処理及び/又は電離放射線処理を行ってハーフキュアー又はフルキュアーさせ、
    (3)得られた低屈折率層上に、屈折率1.60以上の微粒子層を光学膜厚がλ/4又はλ/2(450<λ<600nm)となるように形成し、
    (4)得られた微粒子層上に樹脂を塗布することにより、樹脂塗膜中に極在化した微粒子層を含んだ樹脂塗膜を形成し、加熱処理及び/又は電離放射線処理を行って、この塗膜を他の塗膜の硬化も含めてフルキュアーし、
    (5)得られた工程紙に形成されたフルキュアーされた樹脂層上に接着剤層を形成するか、又は別に用意した透明基材フィルムに接着剤層を形成し、
    (6)前記(5)で得られた接着剤層を有する工程紙と、透明基材フィルムを、該接着剤層を介してラミネートした後、
    又は、前記(5)で得られた接着剤層を有する透明基材フィルムと、前記(4)で得られた樹脂層を有する工程紙を、該接着剤層と該樹脂層を内側にして該接着剤層を介してラミネートした後、工程紙を剥離し、
    (7)前記微粒子層は、微粒子層を構成する各微粒子自身の結着力により、或いは各微粒子が完全に埋没されない程度の量のバインダー樹脂の結着力により相互に結着されて形成されたものであることを特徴とする光学機能性フィルムの製造方法。
  2. (1)工程紙上に、溶剤で希釈した低屈折率樹脂組成物を塗布し、溶剤を乾燥させて膜厚200nm以下の薄膜であって且つ屈折率1.60未満の低屈折率層を形成し、
    (2)得られた低屈折率層を未硬化状態のまま、又は低屈折率層を加熱処理及び/又は電離放射線処理を行ってハーフキュアー又はフルキュアーさせ、
    (3)得られた低屈折率層上に、屈折率1.60以上の微粒子層を光学膜厚がλ/4又はλ/2(450<λ<600nm)となるように形成し、
    (4)一方、透明基材フィルム上に樹脂を塗布して樹脂塗膜を形成し、
    (5)前記工程紙上に形成された低屈折率層及び微粒子層と、前記透明基材フィルム上の樹脂塗膜が接するように工程紙と透明基材フィルム両者を圧着してラミネートすることにより、樹脂塗膜中に前記微粒子層の一部又は全部を埋没させて極在化した微粒子層を含んだ樹脂塗膜を形成し、
    (6)得られたラミネート物に対して加熱処理及び/又は電離放射線処理を行って他の塗膜の硬化も含めてフルキュアーし、次いで工程紙を剥離して低屈折率層及び高屈折率微粒子層を転写し、
    (7)前記微粒子層は、微粒子層を構成する各微粒子自身の結着力により、或いは各微粒子が完全に埋没されない程度の量のバインダー樹脂の結着力により相互に結着されて形成されたものであることを特徴とする光学機能性フィルムの製造方法。
  3. (1)工程紙上に、溶剤で希釈した低屈折率樹脂組成物を塗布し、溶剤を乾燥させて膜厚200nm以下の薄膜であって且つ屈折率1.60未満の低屈折率層を形成し、
    (2)得られた低屈折率層を未硬化状態のまま、又は低屈折率層を加熱処理及び/又は電離放射線処理を行ってハーフキュアー又はフルキュアーさせ、
    (3)得られた低屈折率層上に、屈折率1.60以上の微粒子層を光学膜厚がλ/4又はλ/2(450<λ<600nm)となるように形成し、
    (4)得られた微粒子層上に樹脂を塗布することにより、樹脂塗膜中に極在化した微粒子層を含んだ樹脂塗膜を形成し、
    (5)別に透明基材フィルムを用意し、前記工程紙と前記透明基材フィルムを工程紙上に形成された樹脂層を内側にしてラミネートし、
    (6)得られたラミネート物に対して、加熱処理及び/又は電離放射線処理を行って他の塗膜の硬化も含めてフルキュアーし、次いで工程紙を剥離し、
    (7)前記微粒子層は、微粒子層を構成する各微粒子自身の結着力により、或いは各微粒子が完全に埋没されない程度の量のバインダー樹脂の結着力により相互に結着されて形成されたものであることを特徴とする光学機能性フィルムの製造方法。
  4. 前記極在化した微粒子層を含んだ樹脂塗膜は、樹脂塗膜を構成するバインダー樹脂の屈折率よりも微粒子の屈折率が高く、且つ、最終製品としての光学機能性フィルムの層構成における、該極在化した微粒子層を含んだ樹脂塗膜の屈折率が直接接する接着剤層又は透明基材フィルムの屈折率よりも高いものであり、前記光学機能性フィルムの機能は反射防止であることを特徴とする請求項1、2又は3記載の光学機能性フィルムの製造方法。
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