JP4025414B2 - スピン処理装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は回転テーブルによって基板を回転させて処理するスピン処理装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
たとえば液晶表示装置の製造過程においては、ワークとしてのガラス製の基板に回路パターンを形成するための成膜プロセスやフォトプロセスがある。これらのプロセスでは、上記基板の処理と洗浄とが繰り返し行われる。洗浄された基板を乾燥させたり、基板にレジストを均一に塗布するためには、上記基板を回転テーブルに保持し、この回転テーブルとともに回転させ、それによって生じる遠心力を利用する、スピン処理装置が用いられている。
【0003】
一般に、スピン処理装置はカップを有する。このカップは上面が開放したお椀状に形成され、その底部中心部分には通孔が形成されている。
上記カップの底部に形成された通孔からそのカップの内部へはモータの駆動軸が挿通されている。この駆動軸の上端には十字状の回転テーブルが取付けられている。この回転テーブルの上面には支持ピンおよびガイドピンが設けられ、上記支持ピンには回転テーブルの上面に供給される、矩形状のガラス基板の下面四隅部が支持され、上記ガイドピンは上記ガラス基板の四隅部の外周面に係合してそのガラス基板が回転テーブル上で動くのを阻止している。
【0004】
上記カップの底部には周方向に所定間隔で複数の排気口が形成され、各排気口には図示しない吸引ポンプに連通した排気管が接続されている。
このような構成のスピン処理装置によれば、上記ガラス基板をたとえば乾燥処理する場合、上記モータに通電し、その駆動軸に取付けられた回転テーブルを回転させる。
【0005】
回転テーブルを回転させて遠心力を発生させれば、その遠心力によってガラス基板の上面に付着した洗浄液が飛散するから、そのガラス基板を乾燥処理することができる。
【0006】
ところで、回転テーブルを回転させると、その回転によって遠心力が発生するだけでなく、カップ内には回転テーブルの回転にともない空気の流れが生じることが避けられない。その空気流はカップ内の径方向周辺部からその底部に設けられた排気口へ向かう円滑な流れだけでなく、カップの径方向内方で、上記回転テーブルの下面側において渦を巻く乱気流も発生する。
【0007】
このような乱気流が発生すると、その気流によってガラス基板からカップの内底部に滴下する洗浄液が巻き込まれ、ミストとなって上記ガラス基板の下面に付着することがある。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
このように、従来のスピン処理装置においては、回転テーブルの下面側において乱気流が発生すると、その乱気流によって上記回転テーブルに保持された基板の下面にミストが付着し、基板が汚染されるということがあった。
【0009】
この発明は、回転テーブルを回転させることで、この回転テーブルの下面側に乱気流が発生しても、その乱気流で基板の下面をミストなどによって汚染するのを防止できるようにしたスピン処理装置を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために請求項1の発明は、基板を回転させることで、この基板に所定の処理を行うスピン処理装置において、
カップと、
このカップの底部中心部に形成された通孔から内部へ挿通された回転駆動される駆動体と、
この駆動体に連結されて回転されるとともに上面に上記基板が保持される回転テ−ブルと、
この回転テーブルの下面側に設けられ周壁が上記カップの中心部から径方向外方に向かって低く傾斜した第1の傾斜面に形成された上記通孔を覆うカバーと、
上記カップの内底部に設けられこのカップ内部を上記回転テーブルの下面側で、かつ上記カップの内底部付近の第1の空間部およびそれ以外の第2の空間部とに隔別するとともに上面が上記カップの径方向中心部に向かって低く傾斜し先端が上記第1の傾斜面に間隔を介して対向する第2の傾斜面に形成された仕切り体と、
上記カップの底部に上記第1の空間部と第2の空間部との両方にまたがって開口形成された排気口を有し、連通して設けられ上記回転テーブルの回転によって発生する空気流を排出する排出手段とを具備し、
上記排出手段は、上記排気口に接続された排気管を有し、この排気管内には上記第1の空間部あるいは第2の空間部に連通する制御管が収納され、この制御管には上記各空間部からの排気量を調整する制御弁が設けられていることを特徴とする。
【0012】
請求項1の発明によれば、カップ内を第1の空間部と第2の空間部とに隔別する仕切り体の上面をカップの径方向中心部に向かって低く傾斜した第2の傾斜面に形成したことで、カップ内の回転テーブルの下面側に滴下する洗浄液を上記仕切り体の第2の傾斜面に沿って円滑に流すことができるから、その洗浄液が回転テーブルの下面側で発生する乱気流に巻き込まれてミストとなり、基板の下面に付着するのを防止することができ、また第1の空間部と第2の空間部とは、これらの両方に排気手段が連通して設けられているから、各空間部で発生するミストが確実に排出されるばかりか、2つの空間部を同時に排気できるため、別々に排気する場合に比べて構成を簡略化することができる。
【0013】
しかも、第1の空間部と第2の空間部とに連通する排気管に、どちらか一方の空間部に連通する制御管を設け、その制御管に排気量を調整する制御弁を設けることで排気手段を構成したから、第1の空間部と第2の空間部とからの排気量を最適な割合になるよう調整することができる。
【0014】
【実施の形態】
以下、この発明の一実施の形態を図1と図2を参照して説明する。図1に示すスピン処理装置は、たとえば液晶表示装置のガラス製の基板1を乾燥処理するためのもので、その装置はベースB上に配置されたカップ2を備えている。このカップ2は下カップ2aおよびこの下カップ2aの上端に連結された上カップ2bによって上面が開放したお椀状に形成されている。
【0015】
上記下カップ2aの底壁中心部には通孔3が形成されている。この通孔3には、モータ4の回転軸5に連結された取付体6が挿通され、カップ2内に突出した上記取付体6の上端は平面形状がT字状をなした回転テーブル7の下面中心部分に連結されている。この回転テーブル7には、上記基板1の下面を支持する支持ピン7aと、上記基板1の周辺部に係合する係合ピン7bとが突設されている。
【0016】
なお、上記回転軸5と上記取付体6とでこの発明の駆動体を構成している。
上記通孔3は周壁がカップ2の中心部から径方向外方に向かって低く傾斜した第1の傾斜面9に形成された断面形状が円錐台状のカバー11によって覆われている。このカバー11は上記回転テーブル7の中心部の下面側をシールするシール部材12に取付けられている。
【0017】
上記カップ2の内底部には仕切り体15が支持柱16によって保持されている。この仕切り体15は環状の周壁17およびこの周壁17の上端に折曲形成された上部壁18とから形成されている。この上部壁18の上面はカップ2の径方向中心に向かって低く傾斜した第2の傾斜面19となっており、その先端は上記第1の傾斜面9とわずかな隙間を介して対向している。
【0018】
上記仕切り体15によってカップ2内の空間部は、上記仕切り体15の内面側、
つまり上記回転テーブル7の下面側で、カップ2の内底部の部分となる第1の空間部21と、それ以外の部分である第2の空間部22とに隔別している。第2の空間部22は上記カップ2の上面開口に連通している。
【0019】
上記カップ2の底部には周方向に所定間隔、この実施の形態では90度間隔で4つの排気口23(2つのみ図示)が形成されている。各排気口23は上記第1の空間部21と第2の空間部22との両方にまたがって開口形成されている。つまり、仕切り体15の側壁17の下端が上記排気口23を分割する状態で位置している。
【0020】
上記排気口23には排気管24の一端が取付板31を介して接続されている。この排気管24は上記取付板31を介して上記第1 の空間部21に連通している。この取付板31には図2に示すように上記排気口23と対応する通孔31aが形成されている。
【0021】
上記排気管24内には、上記第1の空間部21に連通する短管状の制御管25が図示しない支持部材によって支持されている。この制御管25には上記排気管24の外部から角度調整可能な制御弁26が設けられている。
【0022】
上記排気管24の他端には排気ホース27の一端が接続され、この排気ホース27の他端は図示しない排気ポンプに連通している。したがって、上記排気ポンプが作動すれば、上記排気管24を介して上記第1の空間部21と第2の空間部22とに吸引力を作用させ、これら空間部内の雰囲気を排出できるようになっている。その際、上記制御弁26の開き角度を変えることで、第1の空間部21と第2の空間部22からの排気量を制御できるようになっている。
【0023】
つぎに、上記構成のスピン処理装置によって洗浄後の基板1を乾燥処理する場合について説明する。回転テーブル7に洗浄液によって洗浄処理されて濡れた状態にある基板1が供給されると、モータ4に通電されて上記回転テーブル7が回転駆動される。それによって、基板20に付着した洗浄液に遠心力が作用し、その遠心力で洗浄液が飛散し、基板1が乾燥処理される。
【0024】
上記回転テーブル7を回転させる場合には、排気ホース27に接続された排気ポンプを作動させてカップ2内の雰囲気を排気する。つまり、回転テーブル7を回転させることでカップ2内に気流が生じるとともに、基板1に付着した洗浄液が回転にともなう遠心力でカップ2の内面に衝突することでミストが発生するから、ミストを含む第2の空間部22内の雰囲気が排気管24を通じて上記排気ホース27から排出されることになる。
【0025】
上記カップ2内は仕切り体15によって第1の空間部21と第2の空間部22とに隔別されている。上記仕切り体15の上記第1の空間部21を覆う上部壁18はカップ2の径方向内方に向かって低く傾斜した第2の傾斜面19に形成されている。
【0026】
そのため、回転テーブル7に保持された基板1からその下面側に滴下する洗浄液は上記仕切り体15の第2の傾斜面19に沿って円滑に流れ、この第2の傾斜面19からカバー11の第1の傾斜面9を伝わって第1の空間部21へ滴下し、この第1の空間部21から排気管24へ排出されることになる。
【0027】
そのため、回転テーブル7が回転駆動されることで、この回転テーブル7の下面側に乱気流が発生しても、回転テーブル7の下面側に滴下する洗浄液は、仕切り体15によって覆われた第1の空間部21に円滑に流入するから、第1 の空間部21へ流入した洗浄液が上記乱気流によってミスト化されて基板1の下面に付着するのを防止することができる。
【0028】
つまり、第1の空間部21は仕切り体15によって覆われているため、その第1の空間部21に滴下した洗浄液が仕切り体15の上面側で発生する乱気流によってミスト化されるということがほとんどない。
【0029】
さらに、回転テーブル7の回転によって周囲に飛散する洗浄液はカップ2の内周面に衝突してミスト化するものの、上記カップ2内の周辺部、つまり第2の空間部22には排気ポンプの吸引力が確実に作用する。
【0030】
そのため、カップ2の内周部で発生するミストが回転テーブル7の下面側に回り込むのが阻止されるばかりか、仕切り体15の周壁17によっても回転テーブル7の下面側に回り込むのが阻止されるから、基板1から飛散する洗浄液がカップ2の内周面に衝突することでミストが発生しても、そのミストが回転テーブル7に保持された基板1の下面側に回り込んで付着するということも防止される。
【0031】
カップ2の底部に接続された排気管24は、第1の空間部21と第2の空間部22との両方に連通している。そのため、カップ2内を仕切り体15によって2つの空間部21,22に分けても、各空間部21,22を排気するために別々に排気管を接続するということをせずにすむから、その分、排気管24や排気ホース27の数を少なくし、構成の簡略化を計ることができる。
【0032】
上記第1の空間部21に連通した制御管25には制御弁26が設けられ、この制御弁26の開度を調整することで、上記制御管25からの排気量、つまり第1の空間部21の排気量を制御することができる。
【0033】
上記第1の空間部21は仕切り体15によって覆われた閉塞空間であり、第2の空間部22はカップ2の上面開口に連通した開放空間であるから、第1の空間部21からの排気量が第2の空間部22からの排気量よりも少なくなるよう上記制御管25の制御弁26の開度を制御することで、各空間部21,22からの排気度合(各空間部の雰囲気の置換度合)が同じようになるよう制御できる。また、第1の空間部21と第2の空間部22におけるミストの発生度合に応じて制御弁26の開度を設定し、それによって各空間部からの排気度合を設定することもできる。
【0034】
この発明は上記一実施の形態に限定されず、種々変形可能である。たとえば、上記一実施の形態では制御管を第1の空間部に連通させて設けたが、第2の空間部に連通させて設けてもよく、要は第1の空間部と第2の空間部からの排気量を制御できる構成であればよい。
【0035】
【発明の効果】
請求項1の発明によれば、カップ内を第1の空間部と第2の空間部とに隔別する仕切り体の上面をカップの径方向中心部に向かって低く傾斜した第2の傾斜面に形成した。
【0036】
そのため、カップ内の回転テーブルの下面側に滴下する洗浄液を上記仕切り体の第2の傾斜面に沿って上記仕切り体で覆われた第1の空間部へ円滑に流すことができるから、回転テーブルの下面側で乱気流が発生しても、その乱気流によって回転テーブルの下方の第1の空間部に流入した洗浄液がミスト化されて基板の下面に付着するのを防止することができる。
【0037】
また、第1の空間部と第2の空間部とには、これらの両方にわたる排気手段が連通して設けられているから、各空間部で発生するミストが確実に排出されるばかりか、2つの空間部を同時に排気できるため、別々に排気する場合に比べて構成を簡略化することができる。
【0038】
しかも、第1の空間部と第2の空間部とに連通する排気管およびどちらか一方の空間部に連通する制御管、さらにその制御管に排気量を調整する制御弁を設けることで排気手段を構成した。
【0039】
そのため、上記制御弁の開度を制御することで、第1の空間部と第2の空間部とからの排気量が最適な割合になるよう制御できるから、それぞれの空間部にミストを含む雰囲気が滞留するのを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施の形態を示す装置の縦断面図。
【図2】同じく排気管の拡大断面図。
【符号の説明】
1…基板
2…カップ
5…回転軸(駆動体)
6…取付体(駆動体)
7…回転テーブ
15…仕切り体
19…第2の傾斜面
21…第1の空間部
22…第2の空間部
23…排気口(排出手段)
24…排気管(排出手段)
25…制御管(排出手段)
26…制御弁(排出手段)
Claims (1)
- 基板を回転させることで、この基板に所定の処理を行うスピン処理装置において、
カップと、
このカップの底部中心部に形成された通孔から内部へ挿通された回転駆動される駆動体と、
この駆動体に連結されて回転されるとともに上面に上記基板が保持される回転テ−ブルと、
この回転テーブルの下面側に設けられ周壁が上記カップの中心部から径方向外方に向かって低く傾斜した第1の傾斜面に形成された上記通孔を覆うカバーと、
上記カップの内底部に設けられこのカップ内部を上記回転テーブルの下面側で、かつ上記カップの内底部付近の第1の空間部およびそれ以外の第2の空間部とに隔別するとともに上面が上記カップの径方向中心部に向かって低く傾斜し先端が上記第1の傾斜面に間隔を介して対向する第2の傾斜面に形成された仕切り体と、
上記カップの底部に上記第1の空間部と第2の空間部との両方にまたがって開口形成された排気口を有し、連通して設けられ上記回転テーブルの回転によって発生する空気流を排出する排出手段とを具備し、
上記排出手段は、上記排気口に接続された排気管を有し、この排気管内には上記第1の空間部あるいは第2の空間部に連通する制御管が収納され、この制御管には上記各空間部からの排気量を調整する制御弁が設けられていることを特徴とするスピン処理装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP8349198A JP4025414B2 (ja) | 1998-03-30 | 1998-03-30 | スピン処理装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP8349198A JP4025414B2 (ja) | 1998-03-30 | 1998-03-30 | スピン処理装置 |
Publications (2)
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---|---|
JPH11276971A JPH11276971A (ja) | 1999-10-12 |
JP4025414B2 true JP4025414B2 (ja) | 2007-12-19 |
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Family Applications (1)
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Country Status (1)
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JP (1) | JP4025414B2 (ja) |
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KR101677037B1 (ko) * | 2015-10-16 | 2016-11-17 | 주식회사 케이씨텍 | 스핀식 헹굼 건조 장치 |
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