JP4022266B2 - ステンレス鋼の溶製方法 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
この発明は、ステンレス鋼の溶製方法、とくに上底吹き転炉やAODを使ったステンレス鋼の溶製に当たり、その吹錬末期におけるクロム酸化ロスの低減に有効に作用すると共にフェロアロイの無駄な消費を避けてコスト低下を図るのに有効な溶製方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ステンレス鋼の溶製に当たって、コスト低減を図る上で重要なことは、還元用フェロアロイ(Fe−Si) の原単位の低減を図ることである。それと同時に、クロム酸化ロスの低減を図ることもまた重要であり、そのために、例えば「鉄鋼便覧II」:第3版;日本鉄鋼協会編、第719 頁の表13.22 では、ように脱炭レベルに応じて羽口から吹き込まれる酸素を不活性ガス(アルゴンあるいは窒素)にて希釈する方法を提案している。
【0003】
その他、CrをFe−Siで還元する前に、含クロム溶鋼の浴面に上吹きランスを通じて窒素を吹き付け、CO分圧を低下させることにより、Cr酸化ロスを低減させる方法(特開平4−329818号公報参照)なども提案されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、脱炭レベルに応じてガス希釈を行う上記刊行物(鉄鋼便覧)記載の方法は、依然としてクロムの酸化ロスが多く、しかも還元用Fe−Si原単位が相変わらず高いためにコスト低減につながらなかった。
【0005】
一方、前記特開平4−329818号公報に開示された方法では、上吹きを実施する前のスラグ中の酸化クロムは非常に高融点でかつ滓化性が悪いため、上吹きを実施しても十分なFe−Si原単位の低下につながらず、コスト低減に有効とは言えなかった。
【0006】
本発明の目的は、クロムの酸化ロスが少なくかつ還元用Fe−Siの原単位を低く抑えてコストダウンに有効なステンレス鋼の溶製技術を提案することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記目的を実現する方法として開発した溶製方法であって、その特徴とするところは、酸素ガスまたはこのガスと不活性ガスとの混合ガスを底吹きする手段と上吹きランスとを有する精錬炉によってステンレス鋼を溶製する際、還元前の吹錬末期に、酸素ガスまたはこのガスと不活性ガスとの混合ガスを底吹きして脱炭すると共に、上吹きランスからの酸素含有ガス上吹きを停止した後も引き続き不活性ガスのみを上吹きすると同時に、これにあわせて鋼浴中には、スラグ滓化剤を単独もしくは酸化クロム還元剤とともに添加するようにしたことにある。
また、本発明において、上記吹錬末期とは、脱炭末期から仕上げ脱炭期にかけての段階を指し、いわゆる吹き止めC%に達して還元段階に入る前までを言う。
【0008】
【作用】
図1は、各吹錬段階における上吹き、底吹きの酸素の希釈比率の推移を示すものである。
この図に明らかなように、一般的なステンレス鋼の溶製では、まず、脱炭初期(C:1%程度まで)においては、底吹きガスとして酸素/不活性ガスを比率を3:1とし、酸素濃度の比較的高い混合ガスを吹き込む。また、この時期においては、上吹きランスからは、酸素あるいは酸素と不活性ガスとの混合ガス(1:1)を吹き込んでもよい。
【0009】
次に、脱炭中期(C:1.0 〜0.6 %) においては、底吹きガスの酸素/不活性ガスの比率を2:1とし、脱炭初期と比較して酸素の濃度の低い混合ガスを使用する。また、この時期についても、上吹きランスから、酸素あるいは酸素と不活性ガスとの混合ガス(2:1)を吹き込んでもよい。
【0010】
次に、脱炭末期(C:0.6 〜0.3 %) においては、底吹きガスの酸素/不活性ガスの比率は1:2として、酸素の濃度のさらに低い混合ガスを吹き込み、または、上吹きランスからのガスは、酸素と不活性ガスとの混合ガスを使用するかあるいは、送酸を停止する。
【0011】
そして、仕上げ脱炭期(C:0.3 〜0.1 %) については、底吹きガスの酸素/不活性ガスの比率を1:3としてさらに低濃度の酸素とし、そして吹き止めCに達したら還元工程へ移行する。この時期では、上吹きランスからの送酸は完全に停止する。
なお、還元工程では、不活性ガスのみを底吹きガスとして使用し、同時に還元用Fe−Siを投入することにより酸化したCrを下記の(1) 式により還元する。
2Cr2O3 +3Si=4Cr+3SiO2 (1)
【0012】
次に、本発明溶製方法について説明する。
図2は、従来溶製方法を示す図1と同様に、本発明方法の下での送酸パターンを示すものである。本発明方法と従来方法との違いは、吹錬末期、即ち脱炭末期から仕上げ脱炭期において、上吹き酸素を停止するのに引き続いて、不活性ガスのみを上吹きしながら、同時にこの上吹きガスと共にスラグ滓化剤を単独もしくは酸化クロム還元剤とともに添加することにある。このことによって本発明によれば、スラグ中の酸化クロムを低下させつつ脱炭を行うことができるようになる。
【0013】
図3は、SUS304鋼を吹錬した場合の本発明と従来法とのクロム酸化ロスと吹止Cとの関係を示す。この図より明らかなように、吹止Cの低下に伴ってクロム酸化ロスが増大することがわかる。即ち、一般的な既知の溶製方法や上記特開平4−329818号公報に開示の従来方法に比べ、本発明方法のクロム酸化ロスは明らかに少なくなっていることがわかる。
【0014】
本発明方法の適用によってクロム酸化ロスが減少する理由は、
▲1▼精錬末期に不活性ガスを上吹きすることにより、COガスの分圧を低下させることで脱炭が促進されること、
▲2▼上吹き不活性ガスとスラグ滓化剤(あるいはスラグ滓化剤を酸化クロム還元剤とともに)を添加することにより、スラグの融点を低下させると同時にそのスラグを溶鋼内に巻き込ませることにより、下記(2) 式に示されるような溶鋼のCとの反応を促進すること、
2Cr2O3 +6C=4Cr+6CO (2)
にあるものと考えられる。
【0015】
なお、上記のスラグ滓化剤としては、ホタル石やマグネシア,氷晶石などのスラグの融点を低下させるものが用いられる。
また、還元剤としては、コークスやカーボンなどを用いることができるが、この還元剤は、上吹き酸素量を低下させたときにクロム酸化ロスが大きくなるようなときに、積極的に添加することによって還元の促進を図るときに有効である。
なお、かかるスラグ滓化剤および上記還元剤の使用量は、クロム酸化ロスに応じて適宜に決定することが望ましい。
また、添加の方法は、上吹きガスとともに吹き込むかシュートを介して投入してもよい。
【0016】
図4は、実操業のときにおける従来法と本発明法の還元用Fe−Si原単位の比較を示す。この図に明らかなように、本発明方法の方が、クロム酸化ロスと同様に還元用Fe−Si原単位が平均値で(14.8→12.5kg/t) に低下していることがわかる。
【0017】
【実施例】
この実施例は、使用鋼種としてSUS304鋼を用い、これを上底吹転炉を使って吹錬したときのクロム酸化ロスとFe−Si原単位について試験したものである。その結果を表1に示す。
なお、各ヒートサイズは100 〜120t/ch とし、本発明方法の適合例No.1, No.2、従来方法No.3, No.4につき、それぞれの装入C%は4.1 wt%、4.2 wt%、4.0 wt%、3.9 wt%のものを用いた。吹錬パターンを脱炭初期(C≦1.0 wt%) 、中期(C:1.0 〜0.6 wt%) 、末期(C≦0.3 wt%) および仕上げ脱炭期に分けて、上底吹きガスのO2 ならびにN2 ガスの流量を制御した。
【0018】
また、本発明方法については、仕上げ脱炭期にスラグ滓化剤としてホタル石をそして還元剤としてはコークスをそれぞれ所定量を上吹きランスを通じて吹き込み添加した。
以上の試験結果によれば、No. 1,2の本発明例の場合、比較例に比べると、クロム酸化ロスが少ないと共にFe−Si原単位も小さく、本発明方法の優位が実証された。
【0019】
【表1】
【0020】
【発明の効果】
以上説明したように本発明法によれば、ステンレス鋼溶製時のクロム酸化ロスが少なくかつFe−Si原単位の低下を確実に実現でき、ステンレス鋼製造コストを低下させることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】一般的なステンレス鋼溶製方法の吹錬パターンを示す図である。
【図2】本発明の方法に基づくステンレス鋼の吹錬パターンを示す図である。
【図3】本発明方法と従来方法とのクロム酸化ロスと吹止Cとの関係を示す図である。
【図4】従来方法と本発明方法の還元用Fe−Si原単位の比較グラフである。
Claims (1)
- 酸素ガスまたはこのガスと不活性ガスとの混合ガスを底吹きする手段と上吹きランスとを有する精錬炉によってステンレス鋼を溶製する際、還元前の吹錬末期に、酸素ガスまたはこのガスと不活性ガスとの混合ガスを底吹きして脱炭すると共に、上吹きランスからの酸素含有ガス上吹きを停止した後も引き続き不活性ガスのみを上吹きすると同時に、これにあわせて鋼浴中には、スラグ滓化剤を単独もしくは酸化クロム還元剤とともに添加することを特徴とするステンレス鋼の溶製方法。
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