JP4020540B2 - オレフィン重合体の製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はオレフィン重合体の製造方法に関し、更に詳しくはメタロセン系触媒の存在下でオレフィンを重合させるに際して、製品の壁への付着や塊状ポリマーの生成が無く、長期間にわたり安定運転を行なうことができるオレフィン重合体の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
エチレン重合体、またはエチレンとα−オレフィンとの共重合体である直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)などに代表されるオレフィン重合体はフィルム成形用材料、射出成形用材料などとして広く利用されている。
このようなオレフィン重合体は従来、溶液重合、懸濁重合、バルク重合あるいは気相重合法によりチタン、マグネシウム、ハロゲンを主成分とする、いわゆるチーグラー系触媒の存在化にオレフィンを重合、または共重合させることによって製造している。
【0003】
特に気相重合やバルク重合、スラリー重合におけるオレフィンの製造は長期に亘る運転を行なう際は壁面や攪拌翼に製品ポリマーが付着し、時には付着したポリマーが溶融してシート状ポリマーや、塊状ポリマーを生成して製品抜き出しラインを閉塞せしめ運転を阻害することがある。
【0004】
これら運転阻害を防止するために、系内にアルコール類、ケトン類等、を添加する方法(特開平1−230607号公報)、水を添加する方法(特公平7−5665号公報)、アルコールフォスフェート塩と四級アンモニウム塩の混合物からなる物質を添加する方法(特開平6−172412号公報)、予め含水粒子を反応器内に充填して反応を開始する方法(特開平4−85307号公報)、予め酸素を含有する粒子を反応器内に充填して反応を開始する方法(特開平4−85308号公報)等が知られている。
【0005】
また、上記チーグラー触媒系の他に、近年注目されている触媒にジルコニウム、チタンなどの長周期律表第4族金属のメタロセン化合物を含む触媒成分からなる触媒系が開発されている(特公平4−12283号公報等)。これらの方法を用いて得たポリマーは低結晶成分が少なくブロッキング性が良い、長鎖分岐を導入して加工物性を制御できる等、従来のチーグラー系触媒を用いて得た製品には無い特徴があるという点から近年注目されている。
【0006】
これらメタロセン系触媒の存在下にオレフィンを気相重合、バルク重合、またはスラリー重合する場合も、壁や攪拌翼への製品ポリマーの付着や、シート状ポリマー、および塊状ポリマーの生成は従来のチーグラー系の触媒を用いた場合と同様であり、安定運転の観点からは共通の問題点である。
【0007】
メタロセン系触媒に関しては水、アルコール類、およびケトン類から選ばれる少なくとも1種の化合物を添加しポリマーの流動性を改良する方法(特開平7−76604号公報)が知られている。しかし、これらの物質を添加してもシート状ポリマー、塊状ポリマーの生成による運転阻害がたびたび確認され、さらなる運転安定化の技術の出現が望まれていた。
本発明者はこのようなメタロセン系遷移金属触媒を用いるオレフィン重合体の製造において、シート状ポリマーや塊状ポリマーの生成が無く、長期に亘り安定して運転する方法を見いだして本発明を完成するに至った。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明はメタロセン系遷移金属触媒の存在下にオレフィンを重合するに際して、ポリマーの反応器壁への付着や、シート状ポリマーや塊状ポリマー等の生成が無く、長期に亘り安定運転を行なうこと、すなわち運転の安定化を目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明はかかる目的を達成するため、鋭意検討した結果なされたもので、
[A]メタロセン系遷移金属触媒と、[B]一般式
【0010】
【化3】
1 nAl(OR2)3-n
【0011】
で表わされる有機アルミニウム化合物(一般式中、R1 はC1-20のアルキル基を表す。R2 はC1-20のアルキル基を表す。nは2を表す)と、[C]トリアルキルアルミニウムとを反応器へ供給し、成分[B]が反応器から排出される製品ポリマー1gに対して0.0001ナノmol〜10000ナノmolの範囲となるように成分[B]を供給し、重合反応器の器壁の温度tw(℃)と重合反応温度tr(℃)とが下記式1の関係を満す条件で、水、アルコール、およびケトンから選ばれる少なくとも1種の化合物を添加せずにオレフィンを重合することを特徴とするオレフィン重合体の製造方法を提供するものである。
【0012】
【数2】
0.5<tr−tw<10 式1
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係わるオレフィンの重合法に関して具体的に説明する。この際、「重合」と記載する場合にはモノマーとして1種類しか用いない場合のみならず、2種類以上のモノマーを使用した共重合をも含んだ意味で用いる。さらに「重合体」と記載する場合には1種類のモノマーを使用した重合体のみならず、2種類以上のモノマーを使用した共重合体の意味も含んで用いる。
また、「運転安定化」とは、オレフィンを重合させるに際してシート状ポリーや塊状ポリマー等の生成が無いばかりでなく、シート状ポリマーや塊状ポリマーのような溶融ポリマーが生成する条件、すなわちポリマーが反応器壁や攪拌翼に付着することなく、長期に亘り運転させる意味で用いる。
【0014】
《触媒》
[A]メタロセン系遷移金属触媒
本発明において成分[A]として用いられるメタロセン系遷移金属触媒は、[a1]メタロセン化合物および[a2]粘土、粘土鉱物、イオン交換性層状化合物、からなる触媒、または[a2]成分の代わりに、[a3]担体に担持された有機アルミニウムオキシ化合物、もしくは[a4]担体に担持されたホウ素アニオン系化合物からなるものである。以下、成分[a1]、[a2]、[a3]、[a4]について説明を行なう。
[a1]メタロセン化合物
本発明で用いられる[a1]メタロセン化合物は、長周期律表第4,5,6族の金属を含むメタロセン遷移金属化合物であり、下記一般式(1)で表される化合物である。
【0015】
【化4】
11 i(CpR12 j)(CpR12 j)MR13 2 ・・・一般式(1)
【0016】
ただし一般式(1)中、各(CpR12 j)は同一でも異なっていても良いシクロペンタジエニル基または置換シクロペンタジエニル基を表し、R11は、炭素、ケイ素、ゲルマニウム等の長周期律表の第14または15族元素を含む共有結合架橋基であり、各R12は、同一または異なっても良い、水素、ハロゲン、珪素含有基、ハロゲン置換基を有しても良い炭素数が1ないし20の炭化水素基、アルコキシ基またはアリールオキシ基であり、2個のR12がシクロペンタジエニル環の隣接する2個の炭素原子に存在する場合には、互いに結合してC4〜C7 の環を形成しても良い。R13は、同一または異なっていても良い、水素、ハロゲン、炭素数1〜20の炭化水素基、ハロゲン含有炭化水素基、珪素含有基、アルコキシ基、アリールオキシ基であり、iは0または1であり、各jはi+j=5となる整数であり、Mは長周期律表第4,5,6族の金属である。
【0017】
上記一般式(1)中、R11は炭素、珪素、ゲルマニウム等の長周期律表の第14または15族元素を含む共有結合架橋基であり、CpR12 jで示される2個のシクロペンタジエニル環含有基を結合するものである。具体的にはメチレン基、エチレン基のようなアルキレン基、エチリデン基、プロピリデン基、イソプロピリデン基、フェニルメチリデン基、ジフェニルメチリデン基のようなアルキリデン基、ジメチルシリレン基、ジエチルシリレン基、ジプロピルシリレン基、ジイソプロピルシリレン基、ジフェニルシリレン基、メチルエチルシリレン基、メチルフェニルシリレン基、メチルイソプロピルシリレン基、メチル−t−ブチルシリレン基のような珪素含有架橋基、ジメチルゲルミレン基、ジイソプロピルゲルミレン基、ジフェニルゲルミレン基、メチルエチルゲルミレン基、メチルフェニルゲルミレン基、メチルイソプロピルゲルミレン基、メチル−t−ブチルゲルミレン基のようなゲルマニウム含有架橋基等、アルキルフォスフィン、アミン等があげられる。これらのうちアルキレン基、アルキリデン基、および珪素含有架橋基が特に好ましく用いられる。
【0018】
各CpR12 j は、同一でも異なっていても良い、シクロペンタジエニル基、または置換シクロペンタジエニル基である。ここでR12は、同一または異なっていても良い、水素、フッ素、塩素、臭素、沃素等のハロゲン、トリメチルシリル、トリエチルシリル、トリフェニルシリル基等の珪素含有基、メチル、エチル、プロピル、ブチル、イソブチル、ペンチル、イソペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、フェニル、クロロメチル、クロロエチル基等のハロゲン基を有していても良い炭素数1〜20の炭化水素基、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ基等のアルコキシ基、またはフェノキシ、メチルフェノキシ、ペンタメチルフェノキシ基等のアリールオキシ基である。
【0019】
なおここで2個のR12がシクロペンタジエニル環の隣接する2個の炭素原子に存在する場合は、互いに結合してC4〜C7 の環を形成し、インデニル、テトラヒドロインデニル、フルオレニル、オクタヒドロフルオレニル、アズレニル、ヘキサヒドロアズレニル基等となっても良い。これらのうちR12として特に好ましいのは、水素、メチル基、および2個のR12が互いに結合してインデニル、テトラヒドロインデニル、フルオレニル、オクタヒドロフルオレニル、アズレニルまたはヘキサヒドロアズレニル基を形成した炭化水素基である。
【0020】
13は、同一または異なっていても良い、水素、フッ素、塩素、臭素、沃素等のハロゲン、トリメチルシリル、トリエチルシリル、トリフェニルシリル基等の珪素含有基、メチル、エチル、プロピル、ブチル、イソブチル、ペンチル、イソペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、フェニル、クロロメチル、クロロエチル基等のハロゲン基を有していても良い炭素数1〜20の炭化水素基、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ基等のアルコキシ基、またはフェノキシ、メチルフェノキシ、ペンタメチルフェノキシ基等のアリールオキシ基であり、特に水素、塩素、メチル基が好ましい。
【0021】
iは2個のシクロペンタジエニル環含有基をR11で結合しない場合は0であり、結合する場合は1である。各jはiが1のとき4であり、iが0のとき5である。Mはチタニウム、ジルコニウム、ハフニウム、バナジウム、ニオブ、タンタル、クロム、モリブデン、タングステン等の長周期律表の第4,5,6族の金属であり、特にチタニウム、ジルコニウム、ハフニウムが好ましい。
【0022】
前述のメタロセン系遷移金属化合物は、具体的にはジルコニウムを例にとれば、一般式(1)に相当するものとしては、イソプロピリデン−ビス(インデニル)ジルコニウムジクロライド、イソプロピリデン−ビス(インデニル)ジルコニウムジメチル、イソプロピリデン−ビス(インデニル)ジルコニウム2水素化物、イソプロピリデン(シクロペンタジエニル)(フルオレニル)ジルコニウムジクロライド、イソプロピリデン(シクロペンタジエニル)(フルオレニル)ジルコニウムジメチル、ジメチルシリル(シクロペンタジエニル)(フルオレニル)ジルコニウムジメチル、イソプロピリデン(シクロペンタジエニル)(フルオレニル)ジルコニウム二水素化物、メチレン−ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロライド、メチレン−ビス(テトラメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロライド、エチレン−ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロライド、イソプロピリデン−ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロライド、ジメチルシリル−ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロライド、メチレン−ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジメチル、メチレン−ビス(テトラメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジメチル、エチレン−ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジメチル、イソプロピリデン−ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジメチル、ジメチルシリル−ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジメチル、メチレン−ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウム二水素化物、エチレン−ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウム二水素化物、イソプロピリデン−ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウム二水素化物、ジメチルシリル−ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウム二水素化物、ビス(n−ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロライド、ビス(n−ブチルメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロライド、ビス(n−ブチルシクロペンタジエニル)ハフニウムジクロライド、ジメチルシリレンビス(4−メチル−4−ヒドロ−アズレニル)ジルコニウムジクロライド、ジメチルシリレンビス(2,4−ジメチル−4−ヒドロ−アズレニル)ジルコニウムジクロライド、ジメチルシリレンビス[1,1’−{2−メチル−4−(4−クロロフェニル)−4−ヒドロ−アズレニル}]ジルコニウムジクロライド、ジメチルシリレンビス{1,1’−(2−メチル−4−フェニル−4−ヒドロ−アズレニル)}ジルコニウムジクロライド、ジメチルシリレンビス{1,1’−(2−メチル−4−フェニル−4−ヒドロ−アズレニル)}ハフニウムジクロライド等が例示できる。
【0023】
チタニウム化合物、ハフニウム化合物等の他の長周期律表第4,5,6族金属化合物についても、上記と同様の化合物が挙げられる。また、一般式(1)で表される[a1]成分は単独で用いても良いし、2種類以上組み合わせて使用してもよい。更に公知の三塩化チタンを主成分とする固体触媒やマグネシウム、チタン、ハロゲンを必須成分として含有する担体担持型触媒と同時に使用することもできる。
【0024】
[a2]粘土、粘土鉱物またはイオン性層状化合物
[a1]成分は、通常、[a2]粘土、粘土鉱物、またはイオン交換性層状化合物と一緒に使用する。ここで粘土とは、通常粘土鉱物を主成分として構成される。また、イオン交換性層状化合物は、イオン結合等によって構成される面が互いに弱い結合力で平行に積み重なった結晶構造をとる化合物であり、含有するイオンが交換可能なものを言う。粘土、粘土鉱物、イオン交換性層状化合物は天然産のものに限らず、人工合成物であっても良い。
【0025】
[a2]成分の具体例としては、ディッカイト、ナクライト、カオリナイト、アノーキサイト、メタハロイサイト、ハロイサイト等のカオリン族、クリソタイル、リザルダイト、アンチゴライト等の蛇紋石族、モンモリロナイト、ザウコナイト、バイデライト、ノントロナイト、サポナイト、テオニライト、ヘクトライト、スチーブンサイト等のスメクタイト族、バーミキュライト等のバーミキュライト族、雲母、イライト、セリサイト、海緑石等の雲母族、アタパルジャイト、セピオライト、パリゴルスカイト、ベントナイト、パイロフィライト、タルク、緑泥石群が挙げられる。これらは混合層を形成していても良い。これらの中では特にモンモリロナイト、ザウコナイト、バイデライト、ノントロナイト、サポナイト、ヘクトライト、スチーブンサイト、ベントナイト、テオニライト等のスメクタイト族、バーミキュライト族、雲母族が好ましい。
【0026】
また、[a2]成分は化学処理を施すことも好ましい。ここで化学処理としては、表面に付着している不純物を除去する表面処理と粘土の結晶構造に影響を与える処理のいずれをも用いる事ができる。具体的には酸処理、アルカリ処理、塩類処理、有機物処理等が挙げられる。酸処理は表面の不純物を取り除くほか、結晶構造中のAl,Fe,Mg等の陽イオンを溶出させることによって表面積を増大させる。アルカリ処理では粘土の結晶構造が破壊され粘土の構造の変化をもたらす。
【0027】
また、塩類処理、有機物処理ではイオン複合体、分子複合体、有機誘導体などを形成し、表面積や層間距離を変えることができる。イオン交換性を利用し、層間の交換性イオンを別の大きな嵩高いイオンと置換することにより層間が拡大した状態の層状物質を得ることもできる。ここで、嵩高いイオンが層状構造を支える支柱的な役割を担っているが、これはピラーと呼ばれる。
【0028】
また層状物質層間に別の物質を導入することをインターカレーションというが、インターカレーションするゲスト化合物としては、TiCl4 、ZrCl4 等の陽イオン性無機化合物、Ti(OR)4 、Zr(OR)4 、PO(OR)4 、B(OR)4 、(Rはアルキル基、またはアリール基)等の金属アルコラート、[Al134(OH)247+、[Zr4(OH)142+、[Fe3O(OCOCH3)6+等の金属水酸化物イオン等が挙げられる。これらの化合物は単独で使用しても、2種類以上組み合わせて使用してもよい。また、これらの化合物をインターカレーションする際に、Si(OR)4 、AL(OR)3 、Ge(OR)4 、等の金属アルコラート等を加水分解して得た重合物、SiO2 等のコロイド状無機化合物等を共存させることもできる。また、ピラーの例としては上記水酸化物イオンを層間にインターカレーションした後に加熱脱水することにより生成する酸化物等が挙げられる。
【0029】
化学処理の中でも特に好ましい化学処理は塩類処理、および/または酸処理である。塩類処理、および/または酸処理によって、固体の酸強度を変えることができる。また、塩類処理は、イオン複合体、分子複合体、有機誘導体等を形成し表面積や層間距離を変えることができる。即ち、イオン交換性を利用し、層間の交換性イオンを別の大きな嵩高いイオンと置換することにより、層間が拡大した状態の層状物質を得ることができる。本発明においては塩類で処理される前のイオン交換性層状化合物からなる群より選ばれた少なくとも1種の化合物の含有する交換性陽イオンの30%以上、好ましくは40%以上、特に好ましくは60%以上を下記に示す塩類より解離した陽イオンとイオン交換することが好ましい。このようなイオン交換を目的とした本発明の塩類処理で用いられる塩類は、2〜14族からなる群より選ばれた少なくとも1種の原子を含む陽イオンを含有する化合物である。
【0030】
具体的には、
(1)CaCl2 、CaSO4 、CaC2 4 、Ca (NO3)2 、Ca3(C6 5 7)2
(2)MgCl2 、MgBr2 、MgSO4 、Mg (PO4)2 、Mg (ClO4)2 、MgC2 4 、Mg (NO3)2 、Mg (OOCCH3)2 、MgC4 4 4
(3)Sc (OOCCH3)2 、Sc (CO3)3 、Sc2(C2 4)3 、Sc (NO3)3 、Sc2(SO4)3 、ScF3 、ScCl3 、ScBr3 、ScI3
(4)Y (OOCCH3)3 、Y (CH3 COCHCOCH3)3 、Y2(CO3)3 、Y2(C2 4)3 、Y (NO3)3 、Y (ClO4)3 、YPO4 、Y2(CO4)3 、YF3 、YCl3
(5)La (OOCCH3)3 、La (CH3 COCHCOCH3)3 、La2(CO3)3 、La (NO3)3 、La (ClO4)3 、La2(C2 4)3 、LaPO4 、La2(SO4)3 、LaF3 、LaCl3 、LaBr3 、LaI3
【0031】
(6)Sm (OOCCH3)3 、Sm (CH3 COCHCOCH3)3 、Sm2(CO3)3 、Sm (NO3)3 、Sm (ClO4)3 、Sm2(C2 4)3 、Sm2(SO4)3 、SmF3 、SmCl3 、SmI3
(7)Yb (OOCCH3)3 、Yb (NO3)3 、Yb (ClO4)3 、Yb (C2 4)3 、Yb2(SO4)3 、YbF3 、YbCl3
(8)TiF4 、TiCl4 、TiBr4 、TiI4 、TiOCl2 、Ti (SO4)2 、Ti (NO3)4 、TiO (NO3)2 、Ti3(PO4)4 、Ti (ClO4)4 、Ti (CO3)2 、Ti (OCOH)4、Ti (OCOCH3)4 、Ti (OCOC2 5)4 、Ti (OCOC3 7)4 、Ti((COO)2)2、Ti (CH2(COO)2)2、TiBrCl3 、TiF3 、TiCl3 、TiBr3 、TiI3 、Ti (NO3)3 、Ti (ClO4)3
(9)Zr (OOCCH3)4 、Zr (CO3)2 、Zr (NO3)4 、Zr (SO4)2 、ZrF4 、ZrCl4 、ZrBr4 、ZrI4 、ZrOCl2 、ZrO (NO3)2 、ZrO (ClO4)2 、ZrO (SO4)、
(10)Hf (OOCCH3)4 、Hf (CO3)2 、Hf (NO3)4 、Hf (SO4)2 、HfOCl2 、HfF4 、HfCl4 、HfBr4 、HfI4
【0032】
(11)V (CH3 COCHCOCH3)3 、VOSO4 、VOCl3 、VCl3 、VBr3
(12)Nb (CH3 COCHCOCH3)5 、Nb2(CO3)5 、Nb (NO3)5 、Nb2(SO4)5 、NbF5 、NbCl5 、NbBr5 、NbI5
(13)Ta (OOCCH3)5 、Ta2(CO3)5 、Ta (NO3)5 、Ta2(SO4)5 、TaF5 、TaCl5 、TaBr5 、TaI5
(14)Cr (CH3 COCHCOCH3)3 、Cr (OOCH)2OH、Cr (NO3)3 、Cr (ClO4)3 、CrPO4 、Cr2(SO4)3 、CrO2 Cl2 、CrF3 、CrCl3 、CrBr3 、CrI3
(15)MoOCl4 、MoCl3 、MoCl4 、MoCl5 、MoF6 、MoI2
【0033】
(16)WCl4 、WCl6 、WF6 、WBr6
(17)Mn (OOCCH3)2 、Mn (CH3 COCHCOCH3)2 、MnCO3 、Mn (NO3)2 、MnO、Mn (ClO4)2 、MnF2 、MnCl2 、MnBr2 、MnI2
(18)Fe (OOCCH3)2 、Fe (CH3 COCHCOCH3)3 、FeCO3 、Fe (NO3)3 、Fe (ClO4)3 、FePO4 、FeSO4 、Fe2(SO4)3 、FeF3 、FeCl3 、FeBr3 、FeI3 、FeC6 5 7
(19)Co (OOCCH3)2 、Co (CH3 COCHCOCH3)3 、CoCO3 、Co (NO3)2 、CoC2 4 、Co (ClO4)2 、Co3(PO4)2 、CoSO4 、CoF2 、CoCl2 、CoBr2 、CoI2
(20)NiCO3 、Ni (NO3)2 、NiC2 4 、Ni (ClO4)2 、NiSO4 、NiCl2 、NiBr2
【0034】
(21)Pb (OOCCH3)2 、PbCO3 、Pb (NO3)2 、PbHPO4 、PbSO4 、Pb (ClO4)2 、PbF2 、PbCl2 、PbBr2 、PbI2
(22)CuCl2 、CuBr2 、Cu (NO3)2 、CuC2 4 、Cu (ClO4)2 、CuSO4 、Cu (OOCCH3)2
(23)Zn (OOCCH3)2 、Zn (CH3 COCHCOCH3)2 、Zn (OOCH)2、ZnCO3 、Zn (NO3)2 、Zn (ClO4)2 、Zn3(PO4)2 、ZnSO4 、ZnF2 、ZnCl2 、ZnBr2 、ZnI2
(24)Cd (OOCCH3)2 、Cd (CH3 COCHCOCH3)2 、Cd (OCOCH2 CH3)2 、Cd (NO3)2 、Cd (ClO4)2 、CdSO4 、CdF2 、CdCl2 、CdBr2 、CdI2
(25)AlF3 、AlCl3 、AlBr3 、AlI3 、Al2(SO4)3 、Al2(C2 4)3 、Al (CH3 COCHCOCH3)3 、Al (NO3)3 、AlPO4
(26)GeCl4 、GeBr4 、GeI4
(27)Sn (OOCCH3)4 、Sn (SO4)2 、SnF4 、SnCl4 、SnBr4 、SnI4
(28)Pb (OOCCH3)4 、PbCO3 、Pb (NO3)2 、PbHPO4 、Pb (ClO4)2 、PbSO4 、PbF2 、PbCl2 、PbBr2 、PbI2
等が挙げられる。
【0035】
好ましくは周期律表4、5、6族遷移金属の陽イオン、即ち、Ti2+、Ti3+、Ti4+、Zr2+、Zr3+、Zr4+、Hf2+、Hf3+、Hf4+、V2+、V3+、V4+、V5+、Nb2+、Nb3+、Nb4+、Nb5+、Ta2+、Ta3+、Ta4+、Ta5+、Cr2+、Cr3+、Cr4+、Cr5+、Cr6+、Mo2+、Mo3+、Mo4+、Mo5+、Mo6+、W2+、W3+、W4+、W5+、W6+を含有する塩類である。これらの塩類は単独で用いても、2種類以上を同時に、および/または連続して用いても良い。
【0036】
酸処理は表面の不純物を取り除くほか、結晶構造のAl、Fe、Mg等の陽イオンの一部、または全てを溶出させる。ここで酸処理で用いられる酸は、好ましくは塩酸、硫酸、硝酸、酢酸、シュウ酸から選択される。処理に用いる塩類、および酸は2種類以上であってもよい。塩類処理と酸処理を組み合わせる場合においては、塩類処理を行なった後、酸処理を行なう方法、酸処理を行なった後、塩処理を行なう方法、および塩類処理と酸処理を同時に行なう方法がある。
【0037】
塩類、および酸による処理条件は特には限定されないが、通常、塩類、および酸濃度は0.1〜30重量%、処理温度は室温〜沸点、処理時間は5分〜24時間の条件を選択して、イオン交換性層状化合物からなる群より選ばれた少なくとも1種の化合物を構成している物質の少なくとも一部を溶出する条件で行なうことが好ましい。また、塩類、および酸は、一般的には水溶液で用いられるが、特にこれらにとらわれない。
【0038】
上記のようにして得られた成分[a2]は、以下の条件(イ)を満たすことにより、流動性が良好な触媒を得ることができ、かつ微粒や粗粒が少くない嵩密度が高いオレフィン重合体が得られると言う点で好ましく、さらには(イ)、(ロ)、(ハ)の条件を同時に満たすことが特に好ましい。
(イ)平均粒径が20μm以上1,000μm以下であり、かつ粒径が10μm以下の粒子の数が全粒子の20%以下であること。
(ロ)微少圧縮試験器で測定した粒子の圧壊強度が0.5MPa以上であること。
(ハ)粒子の嵩密度が0.6g/cm3以上であること。
【0039】
ここで条件(イ)とは、成分[a2]の平均粒径、および粒径が10μm以下の存在比率に関するものであって、具体的には平均粒径が20μm以上1,000μm以下であり、かつ粒径が10μm以下の粒子の数が全粒子の20%以下であること、というものである。平均粒径が20μm以上500μm以下、特に20μm以上100μm以下、のものが好ましく、粒径が10μm以下の粒子が全粒子の15%以下、特に10%以下、であるものが好ましい。
従って条件(イ)は、平均粒径、及び粒径10μm以下の粒子径の存在量に関する上記の好ましい条件のどちらか一方、または両方を満たすものが好ましい。
ここで粒子の測定は、具体的には(株)セイシン企業社のレーザー回折法による粒度分布測定装置(「LMS024」、光源:半導体レーザ(波長670nm))
を用いて行なうことができる。測定はエタノールを分散媒として用い、屈折率1.33、形状係数1.0として粒径分布、および平均粒径を算出した。
【0040】
条件(ロ)は成分[a2]の強度に関するものであって、具体的には微少圧縮試験器で測定した粒子の圧壊強度が0.5MPa以上であること、というものである。好ましくは圧壊強度が1.0MPa以上である。上限は40MPaである。ここで圧壊強度は具体的には島津製作所社製、微少圧縮試験器「MCTM−500」を用いて、任意の10個以上の粒子の圧縮強度を測定し、その平均値を圧壊強度として求めたものである。
条件(ハ)は成分[a2]の嵩密度に関するものであって、具体的にはその値が0.6g/cm3以上であること、というものである。上限は1.5g/cm
3である。
【0041】
条件(イ)、(ロ)、(ハ)を満たす成分[a2]は具体的には、前記に例示した粘土、粘土鉱物、またはイオン交換性層状化合物を、上記塩類処理および/または酸処理を行う場合には、処理前、処理間、処理後に粉砕、造粒、分粒、分別等によって粒子性状を制御することによって製造することができる。その方法は合目的的な任意のものであり得る。特に造粒方法について示せば、例えば噴霧造粒法、転動造粒法、圧縮造粒法、攪拌造粒法、ブリケッティング法、コンパクティング法、押出造粒法、流動層造粒法、乳化造粒法、および液中造粒法等が挙げられる。特に好ましい造粒方法は、上記のうち噴霧造粒法、転動造粒法、および圧縮造粒法である。また、前記の粘土、粘土鉱物、イオン交換性層状化合物は単独で用いても2種以上を混合して用いてもよい。
【0042】
[a3]有機アルミニウムオキシ化合物
次に[a3]有機アルミニウムオキシ化合物の説明を行なう。ここでいう有機アルミニウムオキシ化合物とは下記一般式(2)または一般式(3)で示される化合物である。
【0043】
【化5】
Figure 0004020540
【0044】
上記一般式(2)および一般式(3)において、R21はC1-8 のアルキル基であり、rは0以上の整数である。
これら[a3]成分は、1種類のトリアルキルアルミニウム、または2種類以上のトリアルキルアルミニウムと水との反応により得られる生成物である。具体的には1種類のトリアルキルアルミニウムの場合は、メチルアルモキサン、エチルアルモキサン、ブチルアルモキサン、イソブチルアルモキサン等が挙げられ、2種類以上のトリアルキルアルミニウムを用いる場合は、メチルエチルアルモキサン、メチルブチルアルモキサン、メチルイソブチルアルモキサン等が例示される。
【0045】
これらの中で好ましいものはメチルアルモキサン、イソブチルアルモキサン、メチルイソブチルアルモキサン、およびこれらの混合物である。特に好ましいのは、メチルアルモキサン、およびメチルイソブチルアルモキサンである。
また、これらの有機アルミニウムオキシ化合物はシリカゲルやアルミナに担持させて使用することもでき、特にメチルアルモキサンをシリカゲルに担持させたものが好ましい。
これらのアルモキサンは公知の様々な条件下に調製することができる。具体的には以下の方法が例示できる。
【0046】
(イ)トリアルキルアルミニウムをトルエン、ベンゼン、エーテル等の適当な有機溶剤を用いて直接水と反応させる方法。
(ロ)トリアルキルアルミニウムと結晶水を有する塩水和物、例えば硫酸銅、硫酸アルミニウムの水和物と反応させる方法。
(ハ)トリアルキルアルミニウムとシリカゲル等に含浸させた水分とを反応させる方法。
(ニ)トリメチルアルミニウムとトリイソブチルアルミニウムを混合し、トルエン、ベンゼン、エーテル等の適当な有機溶剤を用いて直接水と反応させる方法。
(ホ)トリメチルアルミニウムとトリイソブチルアルミニウムを混合し、結晶水を有する塩水和物、例えば硫酸銅、硫酸アルミニウムの水和物と加熱反応させる方法。
(ヘ)シリカゲル等に水分を含浸させ、トリイソブチルアルミニウムで処理した後、トリメチルアルミニウムで追加処理する方法。
【0047】
[a4]ホウ素アニオン系化合物
次に、[a4]ホウ素アニオン系化合物を使用した場合について説明する。ホウ素アニオン系化合物を使用した場合、メタロセン系遷移金属触媒は[a1]成分と[a4]成分をあわせて下記一般式(4)で表される。
【0048】
【化6】
[R11 i(CpR12 j)(CpR12 j)MR1314+ 15- ・・・一般式(4)
【0049】
ここでR11 i(CpR12 j)、M、R13は一般式(1)で表されるものと同等である。即ち、R11は、炭素、ケイ素、ゲルマニウム等の長周期律表の第14または15族元素を含む共有結合架橋基であり、R12は、同一または異なってもよい、水素、ハロゲン、ケイ素含有基、ハロゲン置換基を有しても良い炭素数が1〜20の炭化水素基、アルコキシ基またはアリールオキシ基で、R13は、同一または異なっても良い、水素、ハロゲン、炭素数1〜20の炭化水素基、ハロゲン含有炭化水素基、珪素含有基、アルコキシ基またはアリールオキシ基であり、Mは長周期律表第4,5,6族の金属であり、iは0または1、jはi+j=5となる整数である。
【0050】
さらにR14はMに配位するテトラヒドロフラン等中性の配位子である。R15は一般式(4)の金属カチオンを安定化させることのできる対アニオンであり、テトラフェニルボレート、テトラ(p−トリル)ボレート、カルバドデカボレート、ジカルバウンデカボレート等の[a4]成分、即ちホウ素アニオン系化合物である。
【0051】
具体的に一般式(4)に相当するものを例示すると、イソプロピリデン−ビス(インデニル)ジルコニウム(クロライド)(テトラフェニルボレート)テトラヒドロフラン錯体、イソプロピリデン−ビス(インデニル)ジルコニウム(メチル)(テトラフェニルボレート)テトラヒドロフラン錯体、イソプロピリデン−ビス(インデニル)ジルコニウム(ヒドリド)(テトラフェニルボレート)テトラヒドロフラン錯体、イソプロピリデン(シクロペンタジエニル)(フルオレニル)ジルコニウム(クロライド)(テトラフェニルボレート)テトラヒドロフラン錯体、イソプロピリデン(シクロペンタジエニル)(フルオレニル)ジルコニウム(メチル)(テトラフェニルボレート)テトラヒドロフラン錯体、イソプロピリデン(シクロペンタジエニル)(フルオレニル)ジルコニウム(ヒドリド)(テトラフェニルボレート)テトラヒドロフラン錯体、メチレン−ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウム(クロライド)(テトラフェニルボレート)テトラヒドロフラン錯体、エチレン−ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウム(クロライド)(テトラフェニルボレート)テトラヒドロフラン錯体、イソプロピリデン−ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウム(クロライド)(テトラフェニルボレート)テトラヒドロフラン錯体、ジメチルシリル−ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウム(クロライド)(テトラフェニルボレート)テトラヒドロフラン錯体、メチレン−ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウム(メチル)(テトラフェニルボレート)テトラヒドロフラン錯体、エチレン−ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウム(メチル)(テトラフェニルボレート)テトラヒドロフラン錯体、イソプロピリデン−ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウム(メチル)(テトラフェニルボレート)テトラヒドロフラン錯体、ジメチルシリル−ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウム(メチル)(テトラフェニルボレート)テトラヒドロフラン錯体、メチレン−ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウム(ヒドリド)(テトラフェニルボレート)テトラヒドロフラン錯体、エチレン−ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウム(ヒドリド)(テトラフェニルボレート)テトラヒドロフラン錯体、イソプロピリデン−ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウム(ヒドリド)(テトラフェニルボレート)テトラヒドロフラン錯体、ジメチルシリル−ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウム(ヒドリド)(テトラフェニルボレート)テトラヒドロフラン錯体、等が挙げられる。
また、これらのホウ素アニオン系化合物はシリカゲルやアルミナに担持させて使用することもできる。
【0052】
[a5]有機アルミニウム化合物
本発明においては[a5]成分として用いられる有機アルミニウム化合物は、下記一般式(5)で示されるアルミニウム化合物である。
【0053】
【化7】
3 mAl(X3-m) ・・・一般式(5)
【0054】
(式中、R3 はC1-20のアルキル基、Xは水素、ハロゲン、アルコキシ基、アルキルシリル基、アルキルシロキシ基、アルキルアミノ基またはアルキルアミド基を表す。mは0<m<3から選ばれる数。)
【0055】
[a5]成分の具体例としては、例えば、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリプロピルアルミニウム、トリn−ブチルアルミニウム、トリtert−ブチルアルミニウム、トリペンチルアルミニウム、トリオクチルアルミニウム、トリデシルアルミニウム、トリシクロヘキシルアルミニウム、トリシクロオクチルアルミニウムなどのトリアルキルアルミニウム、ジメチルアルミニウムクロリド、ジエチルアルミニウムクロリド、ジエチルアルミニウムブロミド、ジイソブチルアルミニウムクロリドなどのジアルキルアルミニウムハライド、ジエチルアルミニウムハイドライド、ジイソブチルアルミニウムハイドライドなどのジアルキルアルミニウムハイドライドであり、このうち特にトリアルキルアルミニウムが好ましく、その中でも特にトリエチルアルミニウムとトリイソブチルアルミニウムが好ましい。
【0056】
上記において、Xがアルコキシ基の場合は[B]成分と同一になるが、運転安定化のために加える[B]成分とは別に加える。従って、[B]成分の供給量が反応器から排出される製品ポリマー1gに対して0.0001ナノmol〜10000ナノmol、好ましくは0.001ナノmol〜5000ナノmol、さらに好ましくは0.01ナノmol〜1000ナノmolの量を添加するのに加え、さらに[a5]成分を添加することになる。
【0057】
[a5]成分の供給方法は、通常、事前に触媒に接触させる方法と重合中に循環ラインへ供給する2つの方法をあわせて用いるが、その供給方法は特に限定されるものではなく、以下の供給方法でもよい。
▲1▼ 循環ラインに成分[a5]をフィードする。
▲2▼ 原料供給ラインに成分[a5]をフィードする。
▲3▼ メタロセン系遷移金属触媒を供給しているラインに成分[a5]をフィードする。
▲4▼ 触媒成分として、予めメタロセン系遷移金属触媒に成分[a5]を加えておく。
▲5▼ 上記▲1▼〜▲5▼の方法をあわせて行なう。
【0058】
[B]有機アルミニウム化合物(アルコキシ基含有)
成分[B]として用いられる有機アルミニウム化合物は、下記一般式(6)で示されるアルコキシ基含有アルミニウムである。
【0059】
【化8】
1 nAl(OR2)3-n ・・・一般式(6)
【0060】
(式中、R1 はC1-20のアルキル基、アリール基、水素またはハロゲンを表す。R2 はC1-20のアルキル基またはアリール基を表す。nは0≦n<3から選ばれる数。)
【0061】
[B]成分の具体例を挙げると、
(1) ジメチルアルミニウムメトキシド、ジエチルアルミニウムエトキシド、ジ(イソプロピル)アルミニウム(イソプロポキシド)、ジエチルアルミニウム(イソプロポキシド)、ジエチルアルミニウム(フェノキシド)等のモノアルコキシ基含有、またはモノアリールオキシ基含有アルミニウムや、
(2) メチルアルミニウムジ(メトキシド)、エチルアルミニウムジ(エトキシド)、イソプロピルアルミニウムジ(イソプロポキシド)、エチルアルミニウムジ(イソプロポキシド)、エチルアルミニウムジ(フェノキシド)等のジアルコキシ基含有、またはジアリールオキシ基含有アルミニウム、あるいはこれらと、ジアルキルアルミニウム(アルコキシド)、ジアリールアルミニウム(アルコキシド)、ジアルキルアルミニウム(アリールオキシド)、ジアリールアルミニウム(アリールオキシド)等のアルミニウムモノアルコキシドとの混合物や、
(3) アルミニウムトリ(メトキシド)、アルミニウムトリ(エトキシド)、アルミニウムトリ(イソプロポキシド)等のトリアルコキシアルミニウム、またはアルミニウムトリ(フェノキシド)等のトリアリールオキシアルミニウム化合物、またはこれらと、ジアルキルアルミニウム(アルコキシド)、ジアリールアルミニウム(アルコキシド)、ジアルキルアルミニウム(アリールオキシド)、ジアリールアルミニウム(アリールオキシド)、アルキルアルミニウムジ(アルコキシド)、アリールアルミニウムジ(アルコキシド)、アルキルアルミニウムジ(アリールオキシド)、アリールアルミニウムジ(アリールオキシド)等との混合物、等が挙げられる。
これらの中ではジエチルアルミニウムエトキシドが特に好ましい。これらアルコキシ基含有アルミニウム化合物は単独で用いても2種以上を混合しても良い。
【0062】
さらにはこれらのアルミニウムはトリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム等のトリアルキルアルミニウムとの任意の混合物として使用できる。
特にトリアルキルアルミニウムとジアルキルアルミニウム(アルコキシド)の組み合わせが好ましく、特にはトリエチルアルミニウムとジエチルアルミニウムエトキシドの組み合わせが好ましい。
成分[B]の供給量は、反応器から排出される製品ポリマー1gに対して、0.0001ナノmol〜10000ナノmol、好ましくは0.001ナノmol〜5000ナノmol、さらに好ましくは0.01ナノmol〜1000ナノmolの範囲である。
【0063】
成分[a5]として有機アルミニウム化合物を供給する場合、成分[B]の供給量は成分[a5]に対して特に限定されるものではないが、成分[a5]1molに対して、0.001〜100mol、好ましくは0.01〜10molの範囲で供給されることが望ましい。
また、成分[B]の供給量は成分[a1]として反応系に供給されるメタロセン遷移金属化合物に対して特に限定されるものではないが、成分[a1]1molに対して、0.01〜10000mol、好ましくは0.1〜1000molの範囲で供給されることが望ましい。
【0064】
反応器への成分[B]の供給は、通常重合を行なっている反応器付帯の循環ラインへ供給するが、供給点は特に限定されるものではなく、以下の供給方法を採用することができる。
(1)反応器の循環ラインに成分[B]をフィードする。
(2)反応器の原料ラインに成分[B]をフィードする。
(3)メタロセン系遷移金属触媒を供給しているラインに成分[B]をフィードする。
(4)(1)〜(3)の方法をあわせて行なう。
【0065】
《予備重合》
なお、本発明で用いられるメタロセン系触媒は上記成分の他にエチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテン、4−メチル−1−ペンテン等のα−オレフィン、またはこれらの混合したオレフィン混合物が予備的に重合されていても良い。予備重合は予備重合前の触媒1gあたり0.01〜1000gの重合体が生成するようにすることが好ましい。
【0066】
《重合》
本発明に係わるオレフィンの重合方法は、前述のオレフィン重合触媒の存在下にオレフィンを重合させるものであり、気相重合、バルク重合、スラリー重合等が挙げられ、媒体が液体、または超臨界流体の場合はバルク重合、もしくはスラリー重合となり、気体の場合には気相重合となる。これらの重合方法のうち、特に好ましいのは気相重合法である。
上記重合を行なうとこにおこるトラブルとして、重合ポリマーや微粉が静電気力等により反応器壁や攪拌翼に付着滞留し、さらに触媒が存在することにより、器壁や攪拌翼表面でポリマーが溶融し、シート状ポリマーや塊状ポリマーが生成するトラブルが挙げられる。これらのシート状ポリマーや塊状ポリマーは抜き出しラインを閉塞せしめ、重合ポリマーを抜き出せなくなるため、長期に安定して製品を供給する上では大きな障害となる。
【0067】
シート状ポリマーや塊状ポリマーが生成する条件として、器壁や攪拌翼表面に重合ポリマーや微粉が付着滞留することが挙げられる。器壁に付着滞留しているかどうかは、器壁表面を測定する壁面温度計を設置し、壁面温度と重合温度の差を見ることにより監視できる。すなわち、付着滞留が多い場合は、重合ポリマーが厚く付着するために温度降下を生じ、重合温度と器壁温度の差は大きくなる。逆に付着滞留が少ない場合は温度降下が小さいため、重合温度と器壁温度の差は小さくなる。従って、この温度差を監視することにより、シート状ポリマーや塊状ポリマーが生成する条件を早期に検知することができる。
【0068】
また、実際にシート状ポリマーや塊状ポリマーが生成した場合は、壁面温度が上昇するため、トラブルが生じた目安となる。
反応器は外部に熱が逃げていくため、通常、壁面温度(twと記す。単位:℃)は重合温度(trと記す。単位:℃)より低くなる。安定に運転を継続するためには壁面温度と重合温度の差が0.5<tr−tw<10となるように保つ必要があり、好ましくは1.0<tr−tw<7.0の範囲に保つのが良い。
【0069】
《流動床反応器》
以下、本発明の一例として、循環媒体が気体の場合のオレフィン重合方法(気相重合方法)を、図2を参照しながら詳細に説明する。
前述の[A]成分を、図2中に示す、触媒供給ライン1より攪拌式流動床反応器2に供給する。また、重合時は循環ガスライン3中に、原料供給ライン4より原料モノマー、または窒素等の不活性ガスを供給し、成分[B]を供給ライン5より供給し、循環ガス圧送機7を駆動させこれらのガスを循環させる。最終的に循環ガスは再度、攪拌式流動床反応器に再供給される。
【0070】
また、製品、および余剰ガスは抜出しライン9より製品分離器10に導かれる。この分離器下部の製品抜き出しライン12により製品を連続的、または間欠的に抜出し、上部パージライン11より余分なガスを系外にパージする。反応器の圧力はパージライン11に設置した圧力制御弁の開度を調整して一定に保つ。 反応器内は事前に投入した粒子、または重合により生じるポリマー粒子と原料モノマー、不活性ガス等からなる流動ガス、および機械的に攪拌する攪拌翼6により流動床を形成する。この攪拌翼6はモーター14により強制的に攪拌する。
【0071】
また、反応器には器壁の温度を測定するために壁面温度計13を設置し、重合温度と器壁温度の差を監視する。器壁温度を測定する温度計は、器壁より0.5〜10.0mmの範囲で設置することが好ましい。
この場合、流動ガスは不活性ガスが5vol%〜90vol%の範囲、原料モノマーであるエチレン、α−オレフィン等が10vol%〜95vol%の範囲で操作される。
また、反応によって生じる重合熱は、循環ガスライン中に設置した熱交換器8によって除去される。
【0072】
使用ガスの圧力は1kg/cm2 〜100kg/cm2 の範囲、好ましくは5kg/cm2 〜50kg/cm2 の範囲で使用し、温度は10℃〜100℃の範囲、好ましくは30℃〜100℃の範囲、さらに好ましくは50℃〜100℃の範囲で使用する。
攪拌翼としては、リボン型攪拌翼機、錨型攪拌機、スクリュウ型攪拌機等の攪拌翼を用いて行なうことができる。さらに図2に示すような重合反応器を2段以上直列に接続し、多段重合運転で行なうこともできる。
【0073】
本発明では流動床反応部2として攪拌式流動床以外の流動床を用いることができる。この流動床としては循環ガスを反応系に導く際に、分散板を使用する気相流動層が例示できる。
本発明で用いられるオレフィンとしては、炭素数2〜18のα−オレフィンが好ましく、例としてはエチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ペンテン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、1−ウンデセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセンなどが挙げられる。
【0074】
さらにシクロペンテン、シクロヘプテン、ノルボルネン、5−メチル−2−ノルボルネン、スチレン、ビニルシクロヘキサンなども挙げられる。
本重合においてはこれらのオレフィンを重合あるいは共重合させるわけであるが、これらとともにブタジエン、イソプレン、1,4−ヘキサジエン、ジシクロペンタジエン、5−エチリデン−2−ノルボルネンなどのポリエン類を共重合させることもできる。
【0075】
本発明ではこれらのうちエチレンの単独重合、またはエチレンと炭素数3〜18のα−オレフィンと共重合させることが好ましく、特にエチレンと炭素数3〜18のα−オレフィンと共重合体させること、またはプロピレンの単独重合、またはプロピレンとエチレンおよび/または炭素数4〜18のα−オレフィンとの共重合することが好ましい。
また重合モノマーとして例を挙げたエチレン、α−オレフィン等の他に窒素、飽和炭化水素等の不活性ガスも同時に用いることができる。
露点の高いα−オレフィンあるいは不飽和炭化水素を用いる場合は熱交換器8で除熱され凝縮する場合もあるが、流動床反応器2の重合温度はこれ等のα−オレフィン、不飽和炭化水素が気体となる条件が選ばれる。
【0076】
本発明においてメルトインデックス(MI)の測定はJIS規格K7210、密度の測定はK7112に準拠して測定を行なった。また系内ガス濃度はガスクロマトグラフィーを使用し、エチレン、1−ヘキセンの測定は日立製作所163型を使用、水素濃度の測定は島津製作所4C型(検出器TCD方式)と日立製作所263−30型(検出器PID方式)を使用し水素濃度により使い分けた。
【0077】
【実施例】
以下、本発明を実施例によって説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
〔実施例1〕
(1)粘土鉱物の化学処理
市販の膨潤性合性雲母(コープケミカル社製、「ソマシフME−100」)400gと市販の親水性スメクタイト(コープケミカル社製、「SWN」)100gを混合し、これを2.0重量%硝酸クロム(III)水溶液2.8リットル中に分散させ、常温で2時間攪拌した。これを脱塩水にて濾過、洗浄した。得られた固体部に水を添加して、20.0重量%水スラリーを調製し、噴霧乾燥処理を行なった。この結果、平均粒径54μmの粒子が450g得られた。平均粒径10μm以下の粒子の数は全粒子の4%であり、圧壊強度は2.0MPa、嵩密度は0.75g/ccであった。この粒子をさらに200℃で2時間減圧乾燥した。
【0078】
(2)触媒調製
容量10リットルの誘導攪拌装置付き反応器にn−ヘプタン4.4リットル、上記(1)で得られた合成雲母の粒子80gを導入した。これに600ミリリットルのトルエンに溶解したビス(n−ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド6.4mmolの溶液を添加し、室温で10分間攪拌した。
【0079】
(3)予備重合
上記攪拌混合物に、引き続きトリエチルアルミニウム71.5mmolを添加し、系の温度を60℃とした。10分後エチレンガスを導入し、2.5時間反応を続けた。この間に生成したポリエチレンは547gであった。
【0080】
(4)気相重合
上記(3)の予備重合触媒を用いて気相重合を行なった。図2に示すような連続気相重合反応装置において重合を行なった。予めシードポリマーを1.1kg計量して反応器内に充填し、上記で調製した触媒をn−ヘキサンでスラリー状にし、予備重合触媒あたりに換算して300mg/hrで反応器に供給した。同様にn−ヘキサンに希釈したトリエチルアルミニウムを270mg/hrで反応器に供給した。さらにn−ヘキサンで希釈したジエチルアルミニウムエトキシドを30mg/hrで間欠的にフィードした。また、重合反応器は条件を、圧力20kg/cm2 、重合反応温度83℃、平均滞留時間は3.7時間、攪拌翼回転数150rpmとして行なった。系内のガス濃度を定期的にガスクロマトグラフィーを用いて分析し、都度、反応器内のエチレン濃度が84.0〜87.0vol%、1−ヘキセン濃度が3.3〜3.5vol%、水素濃度180〜210ppmの範囲に保たれるようにフィードガス量を調整した。生産量がほぼ一定となった定常状態ではエチレンガスフィード量は5.5kg/hr、1−ヘキセンフィード量は0.6kg/hrであった。この条件下で3日間運転を行なったが、抜出し部ラインでのトラブルもなく、安定に運転することが可能であった。3日間の重合で、重合温度(tr)と器壁温度(tw)の差は3.0〜5.0℃の範囲であった。また、重合終了後に反応器を開放して内部点検を行なったが、シート状ポリマー、塊状ポリマーの生成は認められなく、壁へのポリマー付着もなかった。
重合体の密度は0.926g/cc、メルトインデックス(MI)は1.6g/10分、平均粒径は790μm、嵩密度は0.38g/ccであった。
【0081】
〔比較例1〕
実施例1で得られた予備重合触媒を用いて、ジエチルアルミニウムエトキシドを使用しないで重合を実施した。系内ガス濃度、重合圧力、重合温度、攪拌翼回転数等の重合条件は実施例1と同じ条件になるようにした。触媒を添加する直前の重合温度と器壁温度との差は3.5℃であった。重合開始より半日経た時点で重合温度と器壁温度との温度差が大きくなり始め、1日経た時間で11.5℃となった。さらに運転を継続すると、器壁温度が時々跳ね上がる現象を観察し最大87℃までの上昇を観察した。また、抜出しポリマー中に小さい溶融ポリマーも観察された。そこで触媒供給をストップし、器壁温度が跳ね上がる現象が無くなるまで待ち、安定したところで再供給をしたが、その都度、器壁温度が上昇し、最終的に抜出しトラブルにより運転停止を余儀なくされた。運転停止後に反応器を開放して内部を点検すると、塊状ポリマーが確認された。また、反応器壁には薄膜状のポリマーの付着が大量に観察された。
【0082】
〔実施例2〕
〈触媒調製と予備重合〉
独国Witco社製のM−SiO2(メチルアルモキサンをSiO2 上に担持したもの、Al濃度=22.3wt%)20gを、n−ヘプタン1リットルでスラリー状とし、ここにビス(n−ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリドをAlに対して1/250モル比、トリイソブチルアルミニウム(TiBA)をメチルアルモキサンのAlに対して1/6モル比加え、40℃で10分間攪拌した。その後、40℃に保ちつつエチレンを導入し、1時間反応を続けた。エチレンの供給量はM−SiO2 に対して8倍重量であった。その後、室温で窒素にて12時間パージした後、同じく室温にて2時間減圧乾燥を行った。
【0083】
〈気相重合〉
上記の予備重合触媒を用いて連続気相重合を行った。実施例1と同様にシードポリマー高さになるように、予めシードポリマーを1.2kg計量して反応器内に充填し、上記で調整した触媒をn−ヘキサンでスラリー状にし、予備重合触媒あたりに換算して210mg/hrで反応器に供給した。同様にn−ヘキサンに希釈したトリエチルアルミニウムを100mg/hrで反応器に供給した。また、運転条件を、圧力20kg/cm2 、温度80℃、平均滞留時間は4.1時間、攪拌翼回転数150rpm として重合を行った。系内のガス濃度を定期的にガスクロマトグラフィーを用いて分析し、都度、反応器内のエチレン濃度が84.0〜87.0 vol%、1−ブテン濃度が3.0〜3.5 vol%、水素濃度210〜240ppm の範囲に保たれるようにフィードガス量を調整した。
【0084】
触媒フィード前の重合温度と反応器壁温度の差は3.5℃であった。触媒フィードを開始してから徐々に重合温度と反応器壁温度の差は広がり、1日を経た時点で10℃以上となった。さらに半日を経ると、時々、反応器壁温度が跳ね上がり、重合温度は80℃に保っているにもかかわらず、反応器壁温度は80℃を超える現象が見られるようになった。そのためn−ヘキサンで希釈したジエチルアルミニウムエトキシドを34mg/hrで間欠的にフィードした。すると、反応器壁温度が跳ね上がる現象はおさまり、ジエチルアルミニウムエトキシドを間欠フィードし始めてから約1日を経た時点で重合温度と反応器壁温度の差は3.9℃まで戻った。トータル5日間の運転の後、停止操作を行い、反応器内部の確認を行ったところ、溶融ポリマーの生成は認められなかった。
【0085】
〔比較例2〕
〈気相重合〉
実施例1と同じようにして調整した触媒を用いて、連続気相重合反応器を用いて重合を行った。実施例1でジエチルアルミニウムエトキシドを供給する代わりに、エタノールを供給する以外は同じ条件で重合を行った。
触媒フィード前は重合温度と反応器壁温度の差は3.4℃であった。重合を開始してから徐々に温度差が広がり始めたため、エタノールを供給開始した。エタノールは、25℃、重合圧力+2kg/cm2 の条件下で金属製のポット内にエタノールを入れ、このエタノール中を窒素ガスをバブリングして通過させた後、重合系に供給した。バブリングで通過した窒素ガス中のエタノールが飽和状態であると仮定して、20mg/hrのエタノール供給量となった。
【0086】
この状態で運転を継続していると、約2日後には徐々に重合温度と反応器壁温度との差は小さくなり始めたが、さらに運転を継続すると、突然、反応器壁温度が上昇し、最大98℃までの上昇を観察した。反応器内部のポリマーの抜き出しができなくなったため、運転を停止した。停止後に反応器を開放して内部を点検すると塊状ポリマーが確認された。
【0087】
【発明の効果】
本発明によれば、流動床反応器においてオレフィンの重合を行なう際に、シート状ポリマー、塊状ポリマーの生成によるトラブルがなく、長期に渡り安定に運転が可能であり、工業的に極めて有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の理解を助けるためのフローチャート図。
【図2】本発明に使用される流動床反応器を示すフローチャート図。
【符号の説明】
1 触媒供給ライン
2 攪拌式流動床反応器
3 循環ガスライン
4 原料供給ライン
5 供給ライン
6 攪拌翼
7 循環ガス圧送機
8 熱交換器
9 抜出しライン
10 製品分離器
11 パージライン
12 製品抜き出しライン
13 壁面温度計
14 モーター

Claims (7)

  1. [A]メタロセン系遷移金属触媒と、[B]一般式
    【化1】
    1 nAl(OR2)3-n
    で表わされる有機アルミニウム化合物(一般式中、R1 はC1-20のアルキル基を表す。R2 はC1-20のアルキル基を表す。nは2を表す。)と、[C]トリアルキルアルミニウムとを反応器へ供給し、成分[B]が反応器から排出される製品ポリマー1gに対して0.0001ナノmol〜10000ナノmolの範囲となるように成分[B]を供給し、重合反応器の器壁の温度tw(℃)と重合反応温度tr(℃)とが下記式1の関係を満す条件で、水、アルコール、およびケトンから選ばれる少なくとも1種の化合物を添加せずにオレフィンを重合することを特徴とするオレフィン重合体の製造方法。
    【数1】
    0.5<tr−tw<10 式1
  2. 成分[A]メタロセン系遷移金属触媒が、[a1]メタロセン遷移金属化合物と、[a2]粘土、粘土鉱物またはイオン交換性層状化合物とからなる請求項1記載のオレフィン重合体の製造方法。
  3. 成分[A]メタロセン系遷移金属触媒が、[a1]メタロセン遷移金属化合物と、[a3]担体に担持された有機アルミニウムオキシ化合物とからなる請求項1記載のオレフィン重合体の製造方法。
  4. 成分[A]メタロセン系遷移金属触媒が、[a1]メタロセン遷移金属化合物と、[a4]担体に担持されたホウ素アニオン系化合物とからなる請求項1記載のオレフィン重合体の製造方法。
  5. 成分[B]有機アルミニウム化合物が、ジエチルアルミニウムエトキシドである請求項1〜4のいずれかに記載のオレフィン重合体の製造方法。
  6. 成分[A]メタロセン系遷移金属触媒が、α−オレフィンの予備重合処理をされたものである請求項1〜のいずれかに記載のオレフィン重合体の製造方法。
  7. オレフィンが重合の場では気体である請求項1〜のいずれかに記載のオレフィン重合体の製造方法。
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