JP4019977B2 - 圧力検出装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、圧力検出素子としてピエゾ効果を有する半導体基板を有し、この半導体基板およびこの半導体基板に圧力を伝達する圧力伝達部材をハウジングに収納してなる圧力検出装置に関し、例えばエンジンの燃焼室内の燃焼圧を検出する圧力検出装置に適用することができる。
【0002】
【従来の技術】
ピエゾ効果を有する半導体基板は、表裏両面を隔てる方向すなわち厚さ方向に印加される圧力に応じて電気信号を出力するもので、圧力印加による歪みに応じた抵抗値変化等を利用したものである。
【0003】
このような半導体基板を圧力検出素子として有する圧力検出装置としては、この半導体基板およびこの半導体基板に圧力を伝達する圧力伝達部材を金属製のハウジングに収納してなるものが提案されている(例えば、特許文献1〜3参照)。
【0004】
このような圧力検出装置においては、半導体基板の表面側に検出用の電極を設けるとともに、半導体基板の外周にリード部材を設け、当該電極とリード部材とをワイヤボンディングすることにより、信号の取り出しを行っている。
【0005】
【特許文献1】
特開平7−253364号公報
【0006】
【特許文献2】
特開平7-19981号公報
【0007】
【特許文献3】
特許第3166015号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、例えば、このような圧力検出装置をエンジンの燃焼圧センサに適用する場合、ハウジングにおける圧力伝達部材の収納部をエンジンブロックの穴に挿入し、燃焼室内の圧力を圧力伝達部材で受圧して、半導体基板へ伝えることにより圧力の検出を行う。
【0009】
ここで、エンジンに対しては、小型化や軽量化の要望があり、圧力検出装置の搭載スペースも小さくする必要がある。そのため、圧力検出装置においては細径化すなわちハウジングの細径化が望まれている。
【0010】
しかしながら、上述したように従来の圧力検出装置においては、半導体基板とリード部材とのワイヤボンディングを行うために、リード部材は半導体基板の外周に位置することになる。
【0011】
そのため、リード部材を含めたワイヤボンディング部の大きさは、半導体基板のサイズよりも大きくなり、ハウジングの径は、ハウジング収納部品のなかで最も大きなワイヤボンディング部のサイズによって決められる。言い換えれば、ハウジングの径は、半導体基板よりも大きいワイヤボンディング部の大きさに規定され、圧力検出装置の細径化にとって制約が生じてしまうことになる。
【0012】
そこで、本発明は上記問題に鑑み、ハウジングを細くするのに適切な構成を有する圧力検出装置を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明では、表裏両面を隔てる方向に印加される圧力に応じて電気信号を出力する半導体基板(30、200、300)と、半導体基板の表面側に設けられ半導体基板の表面側に圧力を伝達する圧力伝達部材(20)と、半導体基板および圧力伝達部材を収納するハウジング(10)とを備える圧力検出装置において、圧力伝達部材は導電性を有しており、半導体基板は、表面に第1の電極(35a)、裏面に第2の電極(35b)を有し、圧力が印加されたときに電気信号が第1の電極および第2の電極によって出力されるものであり、第1の電極は、圧力伝達部材と電気的に接続されており、ハウジングとは電気的に独立したリード部材(50)が半導体基板の裏面側にてハウジングに収納されており、このリード部材と第2の電極とが電気的に接続されていることを特徴とする。
【0014】
それによれば、半導体基板を、その表裏両面に電極を設け、導電性の圧力伝達部材およびリード部材によって当該表裏両面を挟む構成とすることにより、半導体基板の表裏各面の電極の取り出しには、ワイヤボンディングが不要となる。そのため、本発明によれば、ハウジングを細くするのに適切な構成を有する圧力検出装置を提供することができる。
【0019】
また、請求項1に記載の発明では、半導体基板は、面方位が(110)面であるN型シリコン基板(30)であって、その表面における中央部に圧力伝達部材(20)からの圧力が伝達されるようになっており、N型シリコン基板の表面における周辺部には、第1のN型拡散層(31)が設けられており、N型シリコン基板の表面には、第1のN型拡散層の近傍からN型シリコン基板の中央部を通って他の周辺部に渡って連続して形成されたP型拡散ゲージ層(32)が設けられており、N型シリコン基板の裏面には第2のN型拡散層(33)が設けられており、P型拡散ゲージ層は、N型シリコン基板の表面における他の周辺部にて第1の電極(35a)と電気的に接続されており、第2のN型拡散層は、N型シリコン基板の裏面にて第2の電極(35b)と電気的に接続されており、さらに、N型シリコン基板の表面における周辺部には、第1のN型拡散層とP型拡散ゲージ層とを電気的に接続する第3の電極(35c)が設けられていることを特徴とする。
【0020】
本発明のような面方位が(110)面であるN型シリコン基板からなる半導体基板によれば、次のようにして圧力検出を行うことができる。
【0021】
圧力伝達部材(20)およびリード部材(50)を介して第2の電極(35b)をプラス電位、第1の電極(35a)をマイナス電位とするように半導体基板すなわちN型シリコン基板(30)に電圧を印加する。
【0022】
すると、電流は、第2の電極(35b)から第2のN型拡散層(33)、N型シリコン基板(30)の内部、第1のN型拡散層(31)、第3の電極(35c)、P型拡散ゲージ層(32)、第1の電極(35a)という順に流れる。このとき、P型拡散ゲージ層では、主として〈110〉結晶軸方向に沿って電流が流れる。
【0023】
そして、N型シリコン基板に対して表裏両面を隔てる方向に圧力が印加され、N型シリコン基板がその厚み方向に歪むと、このP型拡散ゲージ層における〈110〉結晶軸方向に沿った抵抗値が変化する。そのため、この圧力印加による電流もしくは電圧の変化を第1の電極と第2の電極との間から電気信号として取り出すことにより、圧力検出が可能となる。
【0024】
さらに、請求項2に記載の発明では、請求項1に記載のP型拡散ゲージ層(32)が、N型シリコン基板(30)の表面における中央部にて抵抗の長手方向がN型シリコン基板の〈110〉結晶軸方向に沿った形状を有するものであることを特徴とする。
【0025】
それによれば、圧力伝達部材からの圧力が加わるN型シリコン基板の表面における中央部にて、P型拡散ゲージ層における〈110〉結晶軸方向の抵抗値変化を大きくすることができ、精度の良い圧力検出が可能となる。
【0026】
また、請求項3に記載の発明では、半導体基板は、面方位が(110)面であるP型シリコン基板(200)であって、その表面における中央部に圧力伝達部材(20)からの圧力が伝達されるようになっており、P型シリコン基板の表面には、第1の電極(35a)と電気的に接続された第1のP型拡散層(201)が設けられており、P型シリコン基板の裏面には、第2の電極(35b)と電気的に接続された第2のP型拡散層(202)が設けられており、第1のP型拡散層、第2のP型拡散層は、それぞれ、P型シリコン基板における中央部を挟んで〈110〉結晶軸方向に沿って対向する一方の周辺部、他方の周辺部に配置されていることを特徴とする。
【0027】
本発明のような面方位が(110)面であるP型シリコン基板からなる半導体基板によれば、次のようにして圧力検出を行うことができる。
【0028】
圧力伝達部材(20)およびリード部材(50)を介して第1の電極(35a)と第2の電極(35b)との間に電圧を印加する。すると、電流は、P型シリコン基板の内部を第1および第2のP型拡散層(201、202)のうち一方のP型拡散層から他方のP型拡散層へ向かって主として〈110〉結晶軸方向に沿って流れる。
【0029】
そして、P型シリコン基板に対して表裏両面を隔てる方向に圧力が印加され、P型シリコン基板がその厚み方向に歪むと、このP型シリコン基板における〈110〉結晶軸方向に沿った抵抗値が変化する。そのため、この圧力印加による電流もしくは電圧の変化を第1の電極と第2の電極との間から電気信号として取り出すことにより、圧力検出が可能となる。
【0030】
さらに、請求項4に記載の発明では、請求項3に記載のP型シリコン基板(200)は矩形板状であって、その〈110〉結晶軸方向がP型シリコン基板の対角線方向に沿って位置したものとなっており、第1のP型拡散層(201)と第2のP型拡散層(202)とは、P型シリコン基板の対角線方向に沿って対向していることを特徴とする。
【0031】
それによれば、矩形状のP型シリコン基板において、第1のP型拡散層と第2のP型拡散層との距離を長くする、すなわち、〈110〉結晶軸方向に沿った電流経路を長くすることができ、抵抗値変化を大きくできるため、検出感度の向上が図れる。
【0032】
また、請求項5に記載の発明では、半導体基板は、面方位が(110)面であるP型シリコン基板(300)であって、その表面における中央部に圧力伝達部材(20)からの圧力が伝達されるようになっており、P型シリコン基板の表面には、P型シリコン基板の周辺部にて第1の電極(35a)と電気的に接続されたP型拡散ゲージ層(301)が設けられており、このP型拡散ゲージ層は、P型シリコン基板の表面における周辺部から〈110〉結晶軸方向に沿って他の周辺部まで延びる形状を有するものであり、P型シリコン基板の表面における周辺部には、第1の電極と電気的に接続されたN型拡散層(302)が形成されており、このN型拡散層は、P型拡散ゲージ層における他の周辺部側の端部を除く領域にて、P型拡散ゲージ層とP型シリコン基板の内部との間に位置してP型拡散ゲージ層を覆っているものであり、P型シリコン基板の裏面には、第2の電極(35b)と電気的に接続されたP型拡散層(303)が設けられていることを特徴とする。
【0033】
本発明のような面方位が(110)面であるP型シリコン基板からなる半導体基板によれば、次のようにして圧力検出を行うことができる。
【0034】
圧力伝達部材(20)およびリード部材(50)を介して第1の電極(35a)をプラス電位、第2の電極(35b)をマイナス電位とするように半導体基板すなわちP型シリコン基板(300)に電圧を印加する。
【0035】
すると、電流は、第1の電極(35a)からP型拡散ゲージ層(301)、P型シリコン基板(300)の内部、P型拡散層(303)、第2の電極(35b)という順に流れる。このとき、P型拡散ゲージ層では、主として〈110〉結晶軸方向に沿って電流が流れる。
【0036】
また、このとき、P型拡散ゲージ層を覆うN型拡散層(302)は、P型拡散ゲージ層とP型シリコン基板の内部(P型部分)との電気的な絶縁を確保し、上記の電流の流れを正常に維持する。
【0037】
そして、P型シリコン基板に対して表裏両面を隔てる方向に圧力が印加され、P型シリコン基板がその厚み方向に歪むと、このP型拡散ゲージ層における〈110〉結晶軸方向に沿った抵抗値が変化する。そのため、この圧力印加による電流もしくは電圧の変化を第1の電極と第2の電極との間から電気信号として取り出すことにより、圧力検出が可能となる。
【0038】
また、請求項6に記載の発明では、請求項1〜請求項5に記載の半導体基板(30、200、300)の表面において、圧力伝達部材(20)は中央部に対応して配置されており、第1の電極(35a)は圧力伝達部材よりも周辺部側に配置されて圧力伝達部材とは導電性接着材(40)を介して電気的に接続されていることを特徴とする。
【0039】
それによれば、請求項1〜請求項5に記載の発明においても、圧力伝達部材からの圧力は、第1の電極を介さずに半導体基板に直接印加されるため、半導体基板の表面に設けられた第1の電極による圧力の伝達損失を極力抑制することができる。
【0044】
なお、上記各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示す一例である。
【0045】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を図に示す実施形態について説明する。なお、以下の各実施形態相互において、同一の部分には図中、同一符号を付してある。
【0046】
(第1実施形態)
図1は本発明の第1実施形態に係る圧力検出装置S1の全体を示す概略断面図である。この圧力検出装置S1は、例えばエンジンの燃焼室内の燃焼圧を検出する燃焼圧センサとして適用することができる。
【0047】
ハウジング10は、全体として略円筒形状をなすものであり、ステンレス等の金属からなる。ハウジング10の上端には、圧力Fの印加により歪み変位を発生するダイアフラム11が設けられている。このダイアフラム11は、ステンレス等の金属からなり、ハウジング10とは溶接や接着等により接合されている。
【0048】
また、ハウジング10の内部には、半導体基板30に圧力Fを伝達するための圧力伝達部材20が設けられている。この圧力伝達部材20は、ダイアフラム11側に位置する円柱状のロッド21と、このロッド21および半導体基板30に接する介在部材22とからなり、これらはステンレス等の金属からなる。
【0049】
また、半導体基板30は、ハウジング10の内部にて圧力伝達部材20よりもハウジング10の下端側に収納されている。ここで、図1における半導体基板30の上面すなわち圧力伝達部材20側の面が表面であり、当該表面とは反対側の下面が裏面である。そして、半導体基板30は、表裏両面を隔てる方向つまり厚さ方向に印加される圧力に応じて電気信号を出力するものである。
【0050】
半導体基板30の表面は圧力伝達部材20に対して接しており、当該表面には、圧力伝達部材20からの圧力が伝達されるようになっている。本例では、圧力伝達部材20の介在部材22と半導体基板30の表面とが銀ペースト等を用いた導電性接着材40を介して接合されている。
【0051】
また、ハウジング10の内部において、半導体基板30の裏面側には、ハウジング10とは電気的に独立したリード部材50が収納されている。このリード部材50は、金属製の棒状をなすもので、例えばNi−Cu−Co系合金を基材として金メッキが施されたものからなる。
【0052】
このリード部材50は、電気絶縁性のアルミナ等のセラミックからなる円柱状のリード保持部材51に挿入され保持されている。リード保持部材51とリード部材50との間は、ハーメチックガラス等によりシールされている。
【0053】
そして、リード部材50の半導体基板30側の端部は、リード保持部材51から突出しており、半導体基板30の裏面に接して電気的に接続されている。本例では、リード部材50と半導体基板30の裏面とが銀ペースト等からなる導電性接着材40を介して接合されている。
【0054】
また、この半導体基板30の裏面と接しているリード部材50の端部の外周には、セラミック等からなる電気絶縁性のリング52が配置されている。一方、リード部材50における半導体基板30とは反対側の端部は、リード保持部材51から突出して、図示しない外部配線部材と電気的に接続可能となっている。
【0055】
ここで、リード保持部材51は、ハウジング10の内面に設けられた突起部12、13によって、ハウジング10の長手方向および短手方向へずれないように支持されている。
【0056】
このような圧力検出装置S1においては、ダイアフラム11で受圧された圧力Fは、半導体基板30の表面側に位置する圧力伝達部材20から半導体基板30の表面に伝達される。
【0057】
ここで、半導体基板30には、その表裏両面を隔てる方向に圧力が印加されており、上記圧力Fの変化により、半導体基板30から出力される電気信号が変化する。本実施形態における半導体基板30の詳細構成について、図2、図3を参照して述べる。
【0058】
図2は図1中の半導体基板30の近傍部を示す拡大図であり、図3はこの半導体基板30の表面側の各部構成を示す平面図である。なお、図3では、各部の識別容易化のために、第1のN型拡散層31に点ハッチング、第1の電極35aに斜線ハッチングを施してある。
【0059】
本実施形態の半導体基板30は矩形の面方位が(110)面であるN型シリコン基板30であり、このN型シリコン基板30の表裏両面の面内に〈110〉結晶軸を有するものである。
【0060】
そして、図2、図3に示すように、N型シリコン基板30の表面における中央部に圧力伝達部材20の介在部材22からの圧力Fが伝達されるようになっている。
【0061】
このN型シリコン基板30の表面における周辺部には、第1のN型拡散層31が設けられている。この第1のN型拡散層31はリン等の不純物注入や拡散等にて形成されたものであり、ここでは、図3に示すように、N型シリコン基板30の周辺部にて環状に形成されている。
【0062】
また、N型シリコン基板30の表面には、第1のN型拡散層31の近傍からN型シリコン基板30の中央部を通って他の周辺部に渡って連続して形成されたP型拡散ゲージ層32が設けられている。以下、P型拡散ゲージ層32における第1のN型拡散層31側の端部を一端部といい、この一端部とは反対の端部すなわち他の周辺部側の端部を他端部ということにする。
【0063】
ここでは、図3に示すように、矩形状のN型シリコン基板30における一方の隅部から他方の隅部へ連続して形成されている。このP型拡散ゲージ層32はボロン等の不純物注入や拡散等にて形成されたものである。
【0064】
また、このP型拡散ゲージ層32は、図3に示すように、N型シリコン基板30の表面における中央部にて折り返し形状となっている。この折り返し形状の部分はゲージ部32aとして構成されており、この折り返し形状のゲージ部32aにおける長手部分がN型シリコン基板30の〈110〉結晶軸方向に沿っている。
【0065】
このように、このP型拡散ゲージ層32は、N型シリコン基板30の表面における中央部にて抵抗の長手方向がN型シリコン基板30の〈110〉結晶軸方向に沿った形状を有するものになっている。
【0066】
また、図2に示すように、N型シリコン基板30の裏面には、第2のN型拡散層33が設けられている。この第2のN型拡散層33はリン等の不純物注入や拡散等にて形成されたものであり、ここでは、N型シリコン基板30の裏面の略全域に形成されている。
【0067】
また、図2に示すように、N型シリコン基板30の表面上には、当該表面を覆うように、絶縁膜としての熱酸化等にて形成されたシリコン酸化膜34が形成されている。さらに、N型シリコン基板30の表面側では、このシリコン酸化膜34の上に第1の電極35aおよび第3の電極35cが形成され、N型シリコン基板30の裏面側には第2の電極35bが形成されている。
【0068】
これら第1〜第3の電極35a〜35cは、スパッタや蒸着等にて成膜されたアルミ等からなるものであり、N型シリコン基板30の各拡散層31、32、33とオーミックコンタクトにより接続されたオーミック電極として構成されている。
【0069】
ここでは、第1の電極35aは、N型シリコン基板30の表面における周辺部に配置されており、図3に示す例では、第1の電極35aは、中央部に位置する圧力伝達部材20の介在部材22を取り囲むリング形状となっている。
【0070】
つまり、この第1の電極35aは、N型シリコン基板30の中央部に位置するP型拡散ゲージ層32のゲージ部32aを除いた周辺部に位置し、本例では、当該ゲージ部32aを取り囲むリング形状をなしている。そして、この第1の電極35aと圧力伝達部材20の介在部材22とは、上記導電性接着材40を介して電気的に接続されている。
【0071】
また、図2、図3に示すように、N型シリコン基板30の表面側にて、シリコン酸化膜34には、第1のN型拡散層31およびこれに隣り合うP型拡散ゲージ層32の一端部に対応した位置にコンタクトホール34aが形成されている。そして、このコンタクトホール34aを介して、第3の電極35cと、第1のN型拡散層31およびP型拡散ゲージ層32の一端部とがオーミックコンタクトによって電気的に接続されている。
【0072】
さらに、このシリコン酸化膜34には、P型拡散ゲージ層32における第1のN型拡散層31とは反対側の他端部に対応した位置にコンタクトホール34bが形成されている。そして、このコンタクトホール34bを介して、第1の電極35aとP型拡散ゲージ層32の他端部とがオーミックコンタクトによって電気的に接続されている。
【0073】
また、第2の電極35bは、N型シリコン基板30の裏面側の略全域に形成されており、当該裏面側にて第2の電極35bと第2のN型拡散層33とがオーミックコンタクトによって電気的に接続されている。そして、第2の電極35bはリード部材50と上記導電性接着材40を介して接合され電気的に接続されている。
【0074】
このように、N型シリコン基板30は上記各拡散層31、32、33を有し、この基板30の表面には、シリコン酸化膜34、第1の電極35aおよび第3の電極35cが形成され、また、裏面には第2の電極35bが形成されているが、これらは、周知の半導体製造技術を用いて製造することができる。
【0075】
この図2および図3に示すような、面方位が(110)面であるN型シリコン基板30からなる半導体基板30を用いた構成によれば、次のようにして圧力検出を行うことができる。
【0076】
このようなN型シリコン基板30においては、圧力伝達部材20およびリード部材50を介して、第2の電極35bをプラス電位、第1の電極35aをマイナス電位とするように、半導体基板すなわちN型シリコン基板31に電圧を印加する。
【0077】
ここで、本実施形態では、ハウジング10、ダイアフラム11および圧力伝達部材20がいずれも金属からなるものであるため導電性を有するとともに、これら三者10、11、20が互いに電気的に導通したものとしている。そのため、第1の電極35aは圧力伝達部材20を介してハウジング10に電気的に接続されることにより、外部と電気的に接続可能となっている。
【0078】
そこで、上記電圧印加の状態は、図1中におけるハウジング10の一端(図1中の下端)に、コネクタ等の外部配線部材を結合することにより、リード部材50を正電位、ハウジング10をGND電位することにより実現される。
【0079】
そして、この電圧印加状態においては、図2中の矢印に示すように電流が流れる。すなわち、電流は、第2の電極35bから第2のN型拡散層33、N型シリコン基板30の内部、第1のN型拡散層31、第3の電極35c、P型拡散ゲージ層32の一端部からゲージ部32a、そしてP型拡散ゲージ層32の他端部、第1の電極35aという順に流れる。このとき、P型拡散ゲージ層32では、主として〈110〉結晶軸方向に沿って電流が流れる。
【0080】
ここにおいて、上述したように、ダイアフラム11で受圧された圧力Fが、圧力伝達部材20を介して、N型シリコン基板30の表面に伝達されると、N型シリコン基板30には、その表裏両面を隔てる方向に圧力が印加され、歪みが生じる。
【0081】
すると、このN型シリコン基板30の歪みに基づいて、P型拡散ゲージ層32における〈110〉結晶軸方向に沿った抵抗値が変化する。そのため、この圧力印加による抵抗値変化を電流もしくは電圧の変化等として、第1の電極と第2の電極との間から電気信号として取り出すことにより、圧力検出が可能となる。
【0082】
このように、本実施形態では、表裏両面を隔てる方向に印加される圧力に応じて電気信号を出力する半導体基板30に対して、さらに、表面に第1の電極35a、裏面に第2の電極35bを形成し、電気信号を第1の電極35aおよび第2の電極35bによって出力するようにしている。
【0083】
そして、本実施形態の圧力検出装置S1では、半導体基板30を、その表裏両面に電極35a、35bを設け、導電性の圧力伝達部材20およびリード部材50によって当該表裏両面を挟む構成とすることにより、半導体基板30の表裏各面の電極35a、35bの取り出しには、ワイヤボンディングが不要となっている。
【0084】
そのため、従来のように、半導体基板30の外周にワイヤボンディング用のリード部材を配置することが不要となり、より半導体基板30のサイズに近いサイズにまでハウジング10を細径化することができる。このように、本実施形態によれば、ハウジング10を細くするのに適切な構成を有する圧力検出装置を提供することができる。
【0085】
また、本実施形態によれば、図2、図3に示したように、半導体基板30の表面において、圧力伝達部材20(本例では介在部材22)は当該表面の中央部に対応して配置され、当該中央部に圧力伝達部材20からの圧力が伝達されるようになっている。
【0086】
さらに、半導体基板30の表面において、第1の電極35aは圧力伝達部材20よりも当該表面の周辺部側に配置されており、圧力伝達部材20の介在部材22と第1の電極35aとは導電性接着材40を介して電気的に接続されている。
【0087】
このような構成によれば、圧力伝達部材20からの圧力は、第1の電極35aを介さずに半導体基板30の表面に直接印加されるため、半導体基板30の表面に設けられた第1の電極35aによる圧力の伝達損失を極力抑制することができる。
【0088】
第1の電極35aはアルミ等の金属からなり、半導体基板30よりも軟らかいのが通常であるため、第1の電極35aを介さずに半導体基板30への圧力伝達が行われることが好ましい。
【0089】
ここにおいて、図3に示したように、第1の電極35aをリング形状とすれば、半導体基板30の表面における中央部に設けられる圧力伝達部材20の介在部材22を、第1の電極35aが取り囲む形となる。そのため、圧力伝達部材20の介在部材22の任意の側面にて第1の電極35aとの導電性接着材40による接続が可能となる。
【0090】
また、本実施形態では、図2、図3に示したN型シリコン基板30を半導体基板30として用いているが、特に、図3に示したように、P型拡散ゲージ層32を、N型シリコン基板30の表面における中央部にて抵抗の長手方向が〈110〉結晶軸方向に沿った形状、すなわちゲージ部32aを有するものとしている。
【0091】
それによれば、圧力伝達部材20からの圧力が加わるN型シリコン基板30の表面における中央部にて、P型拡散ゲージ層32における〈110〉結晶軸方向の抵抗値変化を大きくすることができ、精度の良い圧力検出が可能となる。
【0092】
また、本実施形態では、第1の電極35aを、圧力伝達部材20を介して導電性を有するハウジング10に電気的に接続することにより、外部と電気的に接続可能としている。それによれば、ハウジング10を端子として用いることができ、圧力検出装置における電気的な接続構成を簡素化することができる。
【0093】
ここで、図示しないが、圧力伝達部材20およびハウジング10に、圧力伝達部材20およびハウジング10よりも電気抵抗の小さい導電層を形成しても良い。例えば、圧力伝達部材20の外面やハウジング10の内面に金メッキを施せば、この金メッキ層は、ステンレス等からなる両部材10、20に比べて導電性に優れた導電層となる。
【0094】
このような導電層を形成することにより、第1の電極35aから圧力伝達部材20、ハウジング、外部までの電流経路において、電気抵抗を小さくすることができるため、好ましい。
【0095】
次に、本実施形態の変形例を示しておく。上記図2、図3の例では、半導体基板30の表面において、第1の電極35aを、中央部に位置する圧力伝達部材20の周辺部に配置している。それにより、半導体基板30の表面の中央部すなわちゲージ部32aに対して、圧力伝達部材20からの圧力が第1の電極35aを介さずに伝達されるようになっている。
【0096】
ここで、半導体基板30の表面の中央部すなわちゲージ部32aに対して、圧力伝達部材20からの圧力を第1の電極35aを介して伝達しても良い場合には、図4、図5に示す変形例のような電極構成を採用することができる。
【0097】
図4は、本実施形態の変形例における半導体基板30の近傍部を示す拡大図であり、図5は、本変形例における半導体基板30の表面側の各部構成を示す平面図である。
【0098】
この変形例では、上記図2、図3に示す構成において、リング状であった第1の電極35aの内部を埋めたものとしている。つまり、第1の電極35aは、半導体基板30の表面において中央部から周辺部に渡って形成されたものであり、図示例では平面形状が略円形となっている。
【0099】
この場合、第1の電極35aと圧力伝達部材20の介在部材22とは、電気的接続がとれれば、直接、接していても良いが、通常は導電性接着材40にて電気的に接続されていることが好ましい。
【0100】
(第2実施形態)
本発明の第2実施形態は、上記実施形態に比べて半導体基板の構成を変形したものである。ここでは、上記実施形態との相違点を中心に述べる。
【0101】
図6は、本発明の第2実施形態に係る圧力検出装置の要部を示す図であり、半導体基板200近傍部の概略断面図である。なお、図6では、リード部材50の周囲のリング52は省略してある。
【0102】
また、図7(a)は、この半導体基板200の表面側の各部構成を示す平面図、図7(b)は半導体基板200の裏面側の各部構成を示す平面図である。そして、図7では、識別容易化のため、拡散層201、202には斜線ハッチングを施してある。
【0103】
本実施形態では、上記圧力検出装置S1における半導体基板として、面方位が(110)面であるP型シリコン基板200を採用する。このP型シリコン基板200も、その表面における中央部に圧力伝達部材20からの圧力Fが伝達されるようになっている。
【0104】
図6、図7に示すように、このP型シリコン基板200の表面における周辺部には、第1のP型拡散層201が設けられている。この第1のP型拡散層201はボロン等の不純物注入や拡散等にて形成されたものである。
【0105】
一方、上記第1のP型拡散層201が位置するP型シリコン基板200の周辺部から中央部を挟んで〈110〉結晶軸方向に沿って対向する他方の周辺部では、P型シリコン基板200の裏面に、第2のP型拡散層202が設けられている。この第2のP型拡散層202もボロン等の不純物注入や拡散等にて形成されたものである。
【0106】
本例では、図7に示すように、矩形状をなすP型シリコン基板200において、〈110〉結晶軸方向が、基板200の一辺とこれに対向する辺を隔てる方向に一致している。そこで、図7においては、第1のP型拡散層201は、P型シリコン基板200の左辺側の周辺部、第2のP型拡散層202は右辺側の周辺部に配置されている。
【0107】
また、図6に示すように、P型シリコン基板200の表面側および裏面側には、それぞれ当該表面および裏面を覆うように、絶縁膜としての熱酸化等にて形成されたシリコン酸化膜203、204が形成されている。
【0108】
さらに、P型シリコン基板200の表面側のシリコン酸化膜203を覆うように、第1の電極35aが形成され、P型シリコン基板200の裏面側のシリコン酸化膜204を覆うように、第2の電極35bが形成されている。
【0109】
ここでは、第1の電極35aおよび第2の電極35bは、P型シリコン基板200の略全域に形成されている。そして、図6に示すように、第1の電極35aは圧力伝達部材20と導電性接着材40を介して接合され電気的に接続され、第2の電極35bはリード部材50と導電性接着材40を介して電気的に接続されている。
【0110】
なお、本実施形態においても、第1の電極35aを、P型シリコン基板200の表面において中央部に位置する圧力伝達部材20の周辺部に配置し、第1の電極35aと圧力伝達部材20とを導電性接着材40にて電気的に接続するようにしても良い。この場合、例えば、図7(a)において、圧力伝達部材20を外して基板200の左辺側に第1の電極35aを形成すればよい。
【0111】
そして、P型シリコン基板200の表面側のシリコン酸化膜203には、第1のP型拡散層201に対応した位置にコンタクトホール203aが形成されている。そして、このコンタクトホール203aを介して、第1の電極35aと、第1のP型拡散層201とがオーミックコンタクトによって電気的に接続されている。
【0112】
また、P型シリコン基板200の裏面側のシリコン酸化膜204には、第2のP型拡散層202に対応した位置にコンタクトホール204aが形成されている。そして、このコンタクトホール204aを介して、第2の電極35bと、第2のP型拡散層202とがオーミックコンタクトによって電気的に接続されている。
【0113】
このように、P型シリコン基板200は上記各拡散層201、202を有し、この基板200の表面には、シリコン酸化膜203および第1の電極35aが形成され、また、裏面にはシリコン酸化膜204および第2の電極35bが形成されているが、これらは、周知の半導体製造技術を用いて製造することができる。
【0114】
この図6および図7に示すような、面方位が(110)面であるP型シリコン基板200からなる半導体基板200を用いた構成によれば、次のようにして圧力検出を行うことができる。
【0115】
第1の電極35aと第2の電極35bとの電位関係はどちらが正でも負でも良いが、ここでは、圧力伝達部材20およびリード部材50を介して、第1の電極35aをプラス電位、第2の電極35bをマイナス電位とするように、半導体基板すなわちP型シリコン基板200に電圧を印加する。
【0116】
この電圧印加の状態は、上記第1実施形態とは逆に、上記図1中におけるハウジング10の一端(図1中の下端)に、コネクタ等の外部配線部材を結合することにより、リード部材50をマイナス電位(またはGND)、ハウジング10をプラス電位とすることにより実現される。
【0117】
そして、この電圧印加状態においては、図6中の矢印に示すように電流が流れる。すなわち、電流は、P型シリコン基板200の内部を第1のP型拡散層201から第2のP型拡散層202へ向かって主として〈110〉結晶軸方向に沿って流れる。
【0118】
そして、P型シリコン基板200に対して表裏両面を隔てる方向に圧力Fが印加され、P型シリコン基板200がその厚み方向に歪むと、このP型シリコン基板200における〈110〉結晶軸方向に沿った抵抗値が変化する。そのため、この圧力印加による電流もしくは電圧の変化を第1の電極35aと第2の電極35bとの間から電気信号として取り出すことにより、圧力検出が可能となる。
【0119】
ところで、本実施形態の圧力検出装置においても、半導体基板200を、その表裏両面に電極35a、35bを設け、導電性の圧力伝達部材20およびリード部材50によって当該表裏両面を挟む構成とすることにより、半導体基板200の表裏各面の電極35a、35bの取り出しには、ワイヤボンディングが不要となっている。
【0120】
そのため、従来のように、半導体基板200の外周にワイヤボンディング用のリード部材を配置することが不要となり、より半導体基板200のサイズに近いサイズにまでハウジング10を細径化することができる。このように、本実施形態によれば、ハウジング10を細くするのに適切な構成を有する圧力検出装置を提供することができる。
【0121】
ここで、本実施形態の変形例を示しておく。上記図6、図7の例では、矩形状をなすP型シリコン基板200において、〈110〉結晶軸方向が基板200の一辺とこれに対向する辺を隔てる方向に一致している。そのため、第1のP型拡散層201と第2のP型拡散層202とは平面的な位置関係において、矩形状のP型シリコン基板200の対向する辺の一方と他方とに位置している。
【0122】
ここで、図8は、本実施形態の変形例における半導体基板の各部の平面的な配置関係を示す図である。図8に示す例では、矩形板状のP型シリコン基板200において、その〈110〉結晶軸方向がP型シリコン基板200の対角線方向に沿って位置したものとなっている。
【0123】
そして、このようなP型シリコン基板200において、第1のP型拡散層201と第2のP型拡散層201とは、P型シリコン基板200の対角線方向に沿って対向している。つまり、両P型拡散層201、202は、P型シリコン基板200の対向する隅部に位置している。
【0124】
それによれば、矩形状のP型シリコン基板200において、第1のP型拡散層201と第2のP型拡散層202との距離を長くとることができる、すなわち、〈110〉結晶軸方向に沿った電流経路を長くすることができる。そのため、抵抗値変化を大きくでき、検出感度の向上が図れる。
【0125】
(第3実施形態)
本発明の第3実施形態は、上記実施形態に比べて半導体基板の構成を変形したものである。ここでは、上記実施形態との相違点を中心に述べる。
【0126】
図9は、本発明の第3実施形態に係る圧力検出装置の要部を示す図であり、半導体基板300近傍部の概略断面図である。なお、図9では、リード部材50の周囲のリング52は省略してある。
【0127】
また、図10は、この半導体基板300の表面側の各部構成を示す平面図である。そして、図10では、識別容易化のため、P型拡散ゲージ層301には斜線ハッチング、N型拡散層302には点ハッチングを施してある。
【0128】
本実施形態では、上記圧力検出装置S1における半導体基板として、面方位が(110)面であるP型シリコン基板300を採用する。このP型シリコン基板300も、その表面における中央部に圧力伝達部材20からの圧力Fが伝達されるようになっている。
【0129】
図9、図10に示すように、このP型シリコン基板300の表面には、P型拡散ゲージ層301が設けられている。このP型拡散ゲージ層301はボロン等の不純物注入や拡散等にて形成されたものである。
【0130】
このP型拡散ゲージ層301は、P型シリコン基板300の一方の周辺部から〈110〉結晶軸方向に沿って他の周辺部まで延びる形状を有する。具体的には、このP型拡散ゲージ層301は、図10に示すように、P型シリコン基板300の表面における中央部にて折り返し形状となっており、この折り返し形状部における長手部分が〈110〉結晶軸方向に沿っている。
【0131】
また、P型シリコン基板300の表面における周辺部には、N型拡散層302が形成されている。このN型拡散層302はリン等の不純物注入や拡散等にて形成されたものである。
【0132】
このN型拡散層302は、P型拡散ゲージ層301における他の周辺部側の端部を除く領域にて、P型拡散ゲージ層301とP型シリコン基板300の内部(P-部)との間に位置してP型拡散ゲージ層301を覆っている。
【0133】
また、図10に示すように、P型シリコン基板300の裏面には、P型拡散層303が設けられている。このP型拡散層303もボロン等の不純物注入や拡散等にて形成されたものである。
【0134】
また、図10に示すように、P型シリコン基板300の表面上には、当該表面を覆うように、絶縁膜としての熱酸化等にて形成されたシリコン酸化膜304が形成されている。さらに、P型シリコン基板300の表面側では、このシリコン酸化膜304の上に第1の電極35aが形成され、P型シリコン基板300の裏面側には第2の電極35bが形成されている。
【0135】
ここでは、第1の電極35aおよび第2の電極35bは、P型シリコン基板300の略全域に形成されている。そして、図9に示すように、第1の電極35aは圧力伝達部材20と導電性接着材40を介して接合され電気的に接続され、第2の電極35bはリード部材50と導電性接着材40を介して電気的に接続されている。
【0136】
なお、本実施形態においても、第1の電極35aを、P型シリコン基板300の表面において中央部に位置する圧力伝達部材20の周辺部に配置し、第1の電極35aと圧力伝達部材20とを導電性接着材40にて電気的に接続するようにしても良い。この場合、例えば、図10(a)において、基板300の左辺側にのみ、第1の電極35aを形成すればよい。
【0137】
そして、P型シリコン基板300の表面側にて、シリコン酸化膜304には、N型拡散層302およびこれに覆われたP型拡散ゲージ層301の一端部に対応した位置にコンタクトホール304aが形成されている。そして、このコンタクトホール304aを介して、第1の電極35aと、N型拡散層302およびP型拡散ゲージ層301の一端部とがオーミックコンタクトによって電気的に接続されている。
【0138】
また、第2の電極35bは、P型シリコン基板300の裏面側の略全域に形成されており、当該裏面側にて第2の電極35bとP型拡散層303とがオーミックコンタクトによって電気的に接続されている。
【0139】
このように、P型シリコン基板300は上記各拡散層301、302、303を有し、この基板300の表面には、シリコン酸化膜304および第1の電極35aが形成され、また、裏面には第2の電極35bが形成されているが、これらは、周知の半導体製造技術を用いて製造することができる。
【0140】
この図9および図10に示すような、面方位が(110)面であるP型シリコン基板300からなる半導体基板300を用いた構成によれば、次のようにして圧力検出を行うことができる。
【0141】
圧力伝達部材20およびリード部材50を介して第1の電極35aをプラス電位、第2の電極35bをマイナス電位とするように半導体基板すなわちP型シリコン基板300に電圧を印加する。この電圧印加の状態は上記第2実施形態と同様である。
【0142】
そして、この電圧印加状態においては、図9中の矢印に示すように電流が流れる。すなわち、電流は、第1の電極35aからP型拡散ゲージ層301、P型シリコン基板300の内部(P-部)、P型拡散層303、第2の電極35bという順に流れる。このとき、P型拡散ゲージ層301では、主として〈110〉結晶軸方向に沿って電流が流れる。
【0143】
また、このとき、P型拡散ゲージ層301を覆うN型拡散層302は、P型拡散ゲージ層301とP型シリコン基板300の内部(P-型部分)との電気的な絶縁を確保し、上記の電流の流れを正常に維持する。
【0144】
そして、P型シリコン基板300に対して表裏両面を隔てる方向に圧力Fが印加され、P型シリコン基板300がその厚み方向に歪むと、このP型拡散ゲージ層301における〈110〉結晶軸方向に沿った抵抗値が変化する。そのため、この圧力印加による電流もしくは電圧の変化を第1の電極と第2の電極との間から電気信号として取り出すことにより、圧力検出が可能となる。
【0145】
ところで、本実施形態の圧力検出装置においても、半導体基板300を、その表裏両面に電極35a、35bを設け、導電性の圧力伝達部材20およびリード部材50によって当該表裏両面を挟む構成とすることにより、半導体基板200の表裏各面の電極35a、35bの取り出しには、ワイヤボンディングが不要となっている。
【0146】
そのため、従来のように、半導体基板300の外周にワイヤボンディング用のリード部材を配置することが不要となり、より半導体基板300のサイズに近いサイズにまでハウジング10を細径化することができる。このように、本実施形態によれば、ハウジング10を細くするのに適切な構成を有する圧力検出装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態に係る圧力検出装置の全体概略断面図である。
【図2】図1中の半導体基板の近傍部を示す拡大図である。
【図3】図1中の半導体基板の表面側の各部構成を示す平面図である。
【図4】上記第1実施形態の変形例における半導体基板の近傍部を示す拡大図である。
【図5】上記第1実施形態の変形例における半導体基板の表面側の各部構成を示す平面図である。
【図6】本発明の第2実施形態に係る圧力検出装置における半導体基板の近傍部の概略断面図である。
【図7】(a)は図6に示す半導体基板の表面側の各部構成を示す平面図、(b)は図6に示す半導体基板の裏面側の各部構成を示す平面図である。
【図8】上記第2実施形態の変形例における半導体基板の各部の平面的な配置関係を示す図である。
【図9】本発明の第3実施形態に係る圧力検出装置における半導体基板の近傍部の概略断面図である。
【図10】図9に示す半導体基板の表面側の各部構成を示す平面図である。
【符号の説明】
10…ハウジング、20…圧力伝達部材、
30…半導体基板としてのN型シリコン基板、31…第1のN型拡散層、
32…P型拡散ゲージ層、33…第2のN型拡散層、35a…第1の電極、
35b…第2の電極、35c…第3の電極、40…導電性接着材、
50…リード部材、200…半導体基板としてのP型シリコン基板、
201…第1のP型拡散層、202…第2のP型拡散層、
300…半導体基板としてのP型シリコン基板、
301…P型拡散ゲージ層、302…N型拡散層、303…P型拡散層。
Claims (6)
- 表裏両面を隔てる方向に印加される圧力に応じて電気信号を出力する半導体基板(30、200、300)と、
前記半導体基板の表面側に設けられ前記半導体基板の表面側に圧力を伝達する圧力伝達部材(20)と、
前記半導体基板および前記圧力伝達部材を収納するハウジング(10)とを備える圧力検出装置において、
前記圧力伝達部材は導電性を有しており、
前記半導体基板は、表面に第1の電極(35a)、裏面に第2の電極(35b)を有し、圧力が印加されたときに前記電気信号が前記第1の電極および前記第2の電極によって出力されるものであり、
前記第1の電極は、前記圧力伝達部材と電気的に接続されており、
前記ハウジングとは電気的に独立したリード部材(50)が前記半導体基板の裏面側にて前記ハウジングに収納されており、
このリード部材と前記第2の電極とが電気的に接続されており、
前記半導体基板は、面方位が(110)面であるN型シリコン基板(30)であって、その表面における中央部に前記圧力伝達部材(20)からの圧力が伝達されるようになっており、
前記N型シリコン基板の表面における周辺部には、第1のN型拡散層(31)が設けられており、
前記N型シリコン基板の表面には、前記第1のN型拡散層の近傍から前記N型シリコン基板の中央部を通って他の周辺部に渡って連続して形成されたP型拡散ゲージ層(32)が設けられており、
前記N型シリコン基板の裏面には第2のN型拡散層(33)が設けられており、
前記P型拡散ゲージ層は、前記N型シリコン基板の表面における前記他の周辺部にて前記第1の電極(35a)と電気的に接続されており、
前記第2のN型拡散層は、前記N型シリコン基板の裏面にて前記第2の電極(35b)と電気的に接続されており、
さらに、前記N型シリコン基板の表面における前記周辺部には、前記第1のN型拡散層と前記P型拡散ゲージ層とを電気的に接続する第3の電極(35c)が設けられていることを特徴とする圧力検出装置。 - 前記P型拡散ゲージ層(32)は、前記N型シリコン基板(30)の表面における中央部にて抵抗の長手方向が前記N型シリコン基板の〈110〉結晶軸方向に沿った形状を有するものであることを特徴とする請求項1に記載の圧力検出装置。
- 表裏両面を隔てる方向に印加される圧力に応じて電気信号を出力する半導体基板(30、200、300)と、
前記半導体基板の表面側に設けられ前記半導体基板の表面側に圧力を伝達する圧力伝達部材(20)と、
前記半導体基板および前記圧力伝達部材を収納するハウジング(10)とを備える圧力検出装置において、
前記圧力伝達部材は導電性を有しており、
前記半導体基板は、表面に第1の電極(35a)、裏面に第2の電極(35b)を有し、圧力が印加されたときに前記電気信号が前記第1の電極および前記第2の電極によって出力されるものであり、
前記第1の電極は、前記圧力伝達部材と電気的に接続されており、
前記ハウジングとは電気的に独立したリード部材(50)が前記半導体基板の裏面側にて前記ハウジングに収納されており、 このリード部材と前記第2の電極とが電気的に接続されており、
前記半導体基板は、面方位が(110)面であるP型シリコン基板(200)であって、その表面における中央部に前記圧力伝達部材(20)からの圧力が伝達されるようになっており、
前記P型シリコン基板の表面には、前記第1の電極(35a)と電気的に接続された第1のP型拡散層(201)が設けられており、
前記P型シリコン基板の裏面には、前記第2の電極(35b)と電気的に接続された第2のP型拡散層(202)が設けられており、
前記第1のP型拡散層、前記第2のP型拡散層は、それぞれ、前記P型シリコン基板における中央部を挟んで〈110〉結晶軸方向に沿って対向する一方の周辺部、他方の周辺部に配置されていることを特徴とする圧力検出装置。 - 前記P型シリコン基板(200)は矩形板状であって、その〈110〉結晶軸方向が前記P型シリコン基板の対角線方向に沿って位置したものとなっており、
前記第1のP型拡散層(201)と前記第2のP型拡散層(202)とは、前記P型シリコン基板の対角線方向に沿って対向していることを特徴とする請求項3に記載の圧力検出装置。 - 表裏両面を隔てる方向に印加される圧力に応じて電気信号を出力する半導体基板(30、200、300)と、
前記半導体基板の表面側に設けられ前記半導体基板の表面側に圧力を伝達する圧力伝達部材(20)と、
前記半導体基板および前記圧力伝達部材を収納するハウジング(10)とを備える圧力検出装置において、
前記圧力伝達部材は導電性を有しており、
前記半導体基板は、表面に第1の電極(35a)、裏面に第2の電極(35b)を有し、圧力が印加されたときに前記電気信号が前記第1の電極および前記第2の電極によって出力されるものであり、
前記第1の電極は、前記圧力伝達部材と電気的に接続されており、
前記ハウジングとは電気的に独立したリード部材(50)が前記半導体基板の裏面側にて前記ハウジングに収納されており、 このリード部材と前記第2の電極とが電気的に接続されており、
前記半導体基板は、面方位が(110)面であるP型シリコン基板(300)であって、その表面における中央部に前記圧力伝達部材(20)からの圧力が伝達されるようになっており、
前記P型シリコン基板の表面には、前記P型シリコン基板の周辺部にて前記第1の電極(35a)と電気的に接続されたP型拡散ゲージ層(301)が設けられており、
このP型拡散ゲージ層は、前記P型シリコン基板の表面における前記周辺部から〈110〉結晶軸方向に沿って他の周辺部まで延びる形状を有するものであり、
前記P型シリコン基板の表面における周辺部には、前記第1の電極と電気的に接続されたN型拡散層(302)が形成されており、
このN型拡散層は、前記P型拡散ゲージ層における前記他の周辺部側の端部を除く領域にて、前記P型拡散ゲージ層と前記P型シリコン基板の内部との間に位置して前記P型拡散ゲージ層を覆っているものであり、
前記P型シリコン基板の裏面には、前記第2の電極(35b)と電気的に接続されたP型拡散層(303)が設けられていることを特徴とする圧力検出装置。 - 前記半導体基板(30、200、300)の表面において、前記圧力伝達部材(20)は中央部に対応して配置されており、前記第1の電極(35a)は前記圧力伝達部材よりも周辺部側に配置されて前記圧力伝達部材とは導電性接着材(40)を介して電気的に接続されていることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか一つに記載の圧力検出装置。
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