JP4018940B2 - 多孔質材料の製造方法及び多孔質材料 - Google Patents

多孔質材料の製造方法及び多孔質材料 Download PDF

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Description

【発明の属する技術分野】
本発明は、熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂とを原料として製造される多孔質材料及びその製造方法に関する。詳しくは、多数の連通孔を有する多孔質材料及びその製造方法に関する。
【0001】
【従来技術】
多孔質材料は、吸着剤、分離材、触媒担体、電池の電極材料や固体電解質などの幅広い領域で利用可能な材料である。特に、多孔質材料の特徴である細孔を、その目的に応じて適切な性状となる様に設計する技術が、種々提案されてきた。
【0002】
中でも、複数種の樹脂を成分としてブレンドすることにより構成される高分子ブレンド系の多孔質材料は、メソ孔やマクロ孔と呼ばれる半径5nm以上、500nm以下程度の比較的大きな細孔を形成することが可能で、相分離の過程や延伸条件、ブレンド成分の適当な選択により細孔の大きさを種々変えることが出来、また形状の自由度も高いことから、様々な用途に用いられている。
【0003】
一方では、物質の拡散、輸送や細孔内の化学的修飾などの要請から、連通した細孔(以下、適宜「連通孔」と略称する。)を有する多孔質材料が求められている。例えば、連通孔を有する多孔質材料を膜状に形成すれば、反応性の膜、分離膜、電解質膜などへの応用が可能となる。
【0004】
ところが、上述した従来の高分子ブレンド系の多孔質材料では、耐熱性などの必要な特性を損なうことなく、メソ孔からマクロ孔の領域に制御された比較的大きな細孔を、この様な連通孔として形成することは極めて困難であった。
【0005】
例えば、熱可塑性樹脂同士のブレンドでは、ポリメチルメタクリレート/ポリエチレンオキサイド(ポリメチルメタクリレートのガラス転移温度:110℃付近)、ポリエーテルサルフォン/ポリオキサゾリン(ポリエーテルサルフォンのガラス転移温度:225℃付近)などの組み合わせが知られている。しかしながら、この様な多孔構造を形成しうる組み合わせで相分離をさせた場合、一方の成分のみを除去することは難しい場合が多く、上手く除去できた場合でも残った多孔膜のガラス転移温度が低かったり、焼成などの高温処理によって多孔構造が破壊したり、完全に分解することによって気化したりするなどの問題があった。
【0006】
一方、熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂とをブレンド成分として組み合わせた多孔質材料に関する例としては、ノボラック樹脂とポリビニルブチラール(易分解性ポリマー)とのブレンド物を作成し、焼成によりポリビニルブチラールを除去する方法が報告されている(Carbon, 1997, 35, 1031)。しかしながら、このブレンドは互いに非相溶性のポリマーブレンドであるために、ブレンド時に双方の樹脂成分が海島構造を形成してマトリックスとドメインとに分離してしまい、連通した細孔を形成できないという問題がある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
以上の背景から、分離、吸着、電池電極材、電解質等の用途への利用を目的として、メソ孔からマクロ孔の領域に制御された半径5nm以上、500nm以下程度の比較的大きな連通孔を有するとともに、耐熱性等の特性にも優れた多孔質材料が望まれていた。
【0008】
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものである。即ち、本発明の目的は、炭素質からなり、メソ孔からマクロ孔の領域に制御された連通孔を有するとともに、耐熱性等の特性にも優れた多孔質材料を製造することにある。
【0009】
【課題の解決する手段】
本発明者らは、熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂とを均一に混合した後、熱硬化性樹脂成分を硬化させて均一混合状態から相分離状態へと移行させ、更に焼成による手法を用いて熱可塑性樹脂成分を除去することによって、炭素質からなり、メソ孔からマクロ孔の領域に制御された連通孔構造が形成され、且つ優れた耐熱性を有する多孔質材料が得られることを見出し、本発明に至った。
【0010】
すなわち、本発明の要旨は、熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂とを均一に混合した後、前記熱硬化性樹脂を硬化させ、更に焼成による手法を用いて前記熱可塑性樹脂を除去することにより、炭素質からなり、且つ、連通孔を有する多孔質材料を製造する方法に存する。
【0011】
また、本発明の別の要旨は、炭素質又は熱硬化性樹脂からなる多孔質材料であって、半径5nm以上、500nm以下の、スピノーダル分解に起因する連通孔を有することを特徴とする、多孔質材料に存する。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明に係る多孔質材料の製造方法(以下、適宜「本発明の製造方法」と略称する。)は、熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂とを均一に混合した後、熱硬化性樹脂成分を硬化させ、更に熱可塑性樹脂成分を除去することにより、連通孔を有する多孔質材料を製造することを特徴とする。
【0013】
・熱硬化性樹脂
熱硬化性樹脂は、後述する熱可塑性樹脂と混合した際に、相分離を起こさず均一に混和した状態(相溶ブレンド状態)となるものであれば、その種類は特に限定されないが、通常140℃以上で硬化するものが好ましく用いられる。また、分子内にベンゼン環やヘテロ環を有するもの、又は熱処理によりこれらの環を生成するものが好ましく用いられる。
【0014】
具体的には、フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、ユリア−メラミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、ケイ素樹脂、ジアリルフタレート樹脂、リグニン樹脂、ウレタン樹脂及びこれらを構造の中に含む重合物のうち、少なくとも1種以上を含むものが挙げられる。
【0015】
これらの中でも、フェノールノボラック、クレゾールノボラック、フェノールレゾール、クレゾールレゾール、リグニン樹脂、イミド樹脂及びこれらの誘導体樹脂が好ましい。これらの樹脂は分子内に極性の官能基を有しており、熱可塑性樹脂と水素結合などの相互作用により比較的相溶しやすい。また、これらの樹脂は熱処理により分子間もしくは分子内での縮合が進行するので、高温熱処理後の残存物も多く、多孔性の炭素材料を調製するときには非常に有利である。
【0016】
また、これらの熱硬化性樹脂に官能基を付加した誘導体を用いることも可能である。官能基の種類としては、フェノール性の水酸基や水素結合性の官能基、例えば、カルボキシル基、ニトロ基、アミノ基、アミド基、ハロゲン基、スルホニル基などを有するものが好ましい。
【0017】
以上の熱硬化性樹脂は、何れか一種を単独で用いても良く、何れか二種以上を任意の組み合わせで混合して用いても良いが、通常単独で用いるのが好ましい。
【0018】
均一なブレンド物を生成するためには、熱可塑性樹脂とのブレンド時における熱硬化性樹脂の重量平均分子量を、通常10000以下、好ましくは5000以下とする。熱硬化性樹脂の重量平均分子量が高過ぎると、ブレンド時に熱可塑性樹脂と均一に混ざり難くなる上に、例えば混合に溶剤を使用した場合には、混合後に溶剤を除去した時点で既に相分離などの現象が起こってしまい、連通孔を得ることが困難となる。
【0019】
・熱可塑性樹脂
熱可塑性樹脂は、上述した熱可塑性樹脂と混合した際に相溶ブレンド状態となるものであれば、その種類は特に限定されないが、混合する熱硬化性樹脂の分解温度より低い温度で分解するものが用いられる。中でも、通常500℃以下の温度で分解するものが好ましい。
【0020】
具体的には、アクリルエステル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリスチレン樹脂、ビニルアルコール樹脂、アクリルアミド樹脂、ビニルピロール樹脂、アクリロニトリル樹脂及びこれらの共重合体のうち、少なくとも1種以上を含むものが挙げられる。
【0021】
中でも、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、ポリエチルメタクリレート、ポリエチルアクリレート、ポリイソプロピルメタクリレート、ポリビニルメチルエーテル、ポリエチレンオキサイド、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミドなどが好ましい。これらの樹脂は、分子内にカルボニル基やシアノ基を有しており、熱硬化性樹脂中の極性官能基との間で水素結合を作るために、熱硬化性樹脂と相溶しやすい。
【0022】
これら熱可塑性樹脂に官能基を付加した誘導体を用いることも可能で、官能基の種類としては、熱硬化性樹脂がフェノール樹脂であれば、フェノール性の水酸基と水素結合性の官能基、例えば、カルボキシル基、ニトロ基、アミノ基、アミド基、ハロゲン基、スルホニル基などを有するものが好ましい。
【0023】
以上の熱可塑性樹脂は、何れか一種を単独で用いても良く、何れか二種以上を任意の組み合わせで混合して用いても良いが、通常単独で用いるのが好ましい。
【0024】
・熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂の好ましい組み合わせ
本発明では、熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂とを混合した場合に、これらの樹脂が均一に溶解して混和した状態となる(即ち、相溶ブレンド状態になる)様に、適切な組み合わせでこれらの樹脂を選択する。適切な組み合わせの樹脂を用いることで均一混合状態の樹脂の混合物が得られるが、この状態で熱硬化性樹脂成分を硬化させると、均一混合状態から相分離状態への移行が生じるとともに、熱可塑性樹脂成分が連通した状態となる。ここから熱可塑性樹脂成分を除去することにより、メソ孔からマクロ孔の領域に制御された連通孔構造が形成されるのである。
【0025】
熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂との好ましい組み合わせとしては、フェノールノボラック/ポリメチルメタクリレート、フェノールノボラック/ポリエチルメタクリレート、フェノールノボラック/スチレン−アクリロニトリル共重合体、フェノールノボラック/ポリアクリロニトリル、フェノールノボラック/ポリカーボネート、フェノールノボラック/ポリエチレンオキサイド、フェノールノボラック/ポリアクリルアミド、フェノールレゾール/ポリメチルメタクリレート、フェノールレゾール/ポリエチルメタクリレート、フェノールレゾール/スチレン−アクリロニトリル共重合体、フェノールレゾール/ポリアクリロニトリル、フェノールレゾール/ポリカーボネート、フェノールレゾール/ポリエチレンオキサイド、フェノールレゾール/ポリアクリルアミド、クレゾールノボラック/ポリメチルメタクリレート、クレゾールノボラック/ポリエチルメタクリレート、クレゾールノボラック/ポリブチルアクリレート、クレゾールノボラック/スチレン−アクリロニトリル共重合体、クレゾールノボラック/ポリアクリロニトリル、クレゾールノボラック/ポリカーボネート、クレゾールノボラック/ポリエチレンオキサイド、クレゾールノボラック/ポリアクリルアミド、クレゾールレゾール/ポリメチルメタクリレート、クレゾールレゾール/ポリエチルメタクリレート、クレゾールレゾール/ポリブチルアクリレート、クレゾールレゾール/スチレン−アクリロニトリル共重合体、クレゾールレゾール/ポリアクリロニトリル、クレゾールレゾール/ポリカーボネート、クレゾールレゾール/ポリエチレンオキサイド、クレゾールレゾール/ポリアクリルアミド等が挙げられる。
【0026】
・熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂との混合
本発明の製造方法では、まず、熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂とを混合して均一に溶解させ、相溶ブレンド状態の混合物を作成する。
【0027】
ここで、これらの樹脂が均一に溶解したか否か(即ち、相溶ブレンド状態か否か)は、簡易的には、熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂との混合物を目視し、透明性が有るか否かに基づいて判定(即ち、透明性が有れば均一に溶解したと判定)しても良いが、厳密には、示差走査熱量計(Differential Scanning Calorimeter:DSC)を用いてガラス転移温度を測定し、その結果に基づいて判定することが好ましい。
【0028】
通常、熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂との間に相溶性がある場合には、これらの樹脂を均一に溶解させた混合樹脂のガラス転移温度は、母材である熱硬化性樹脂及び熱可塑性樹脂のガラス転移温度とは異なる値になる。特に、これらの樹脂が完全に相溶する場合には、ガラス転移温度は1つだけ観測される。従って、混合後の樹脂のガラス転移温度を測定し、その測定値が混合前の熱硬化性樹脂及び熱可塑性樹脂のガラス転移温度と異なっている場合、又はその値が単一である場合に、これらの樹脂が均一に溶解していると判定すれば良い。
【0029】
なお、DSC測定によりガラス転移温度の変化を観測し易くするためには、熱硬化性樹脂のガラス転移温度と熱可塑性樹脂のガラス転移温度とが少なくとも同一でない組み合わせとなる様に、これらの樹脂を選択することが好ましい。
【0030】
・混合方法
熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂とを混合して均一に溶解させる手法としては、これらの樹脂をそれぞれ溶剤に溶解させてから混合する手法と、これらの樹脂を直接混合する手法とが挙げられる。
【0031】
(1)溶剤を用いた混合
熱硬化性樹脂を溶解させる溶剤は、熱硬化性樹脂を溶解するものであれば特に限定されないが、熱硬化性樹脂を完全に溶解するものが好ましい。具体的には、アセトン、メタノール、テトラヒドロフラン、クロロフォルム、水、ジメチルフォルムアミドなどが挙げられるが、中でもアセトン又はメタノールが好ましい。これらの溶媒は、何れか一種を単独で用いても良く、何れか二種以上を任意の組み合わせで混合して用いても良い。熱硬化性樹脂をこれらの溶剤に溶解させた熱硬化性樹脂溶液の濃度は、通常40重量%以下、好ましくは30重量%以下となる様にする。熱硬化性樹脂を溶解させる際の温度は、熱硬化性樹脂が硬化しない温度であれば特に限定されないが、通常は室温で行なう。
【0032】
熱可塑性樹脂を溶解させる溶剤も、熱可塑性樹脂を溶解するものであれば特に限定されないが、熱可塑性樹脂を完全に溶解させるものが好ましい。具体的には、アセトン、メタノール、テトラヒドロフラン、クロロフォルム、水、ジメチルフォルムアミドなどが挙げられるが、中でもアセトン又はメタノールが好ましい。これらの溶媒は、何れか一種を単独で用いても良く、何れか二種以上を任意の組み合わせで混合して用いても良い。熱可塑性樹脂をこれらの溶剤に溶解させた熱可塑性樹脂溶液の濃度は、通常40重量%以下、好ましくは30重量%以下となる様にする。熱可塑性樹脂を溶解させる際の温度は特に限定されないが、通常室温で行なう。
【0033】
なお、熱硬化性樹脂に使用する溶剤と熱可塑性樹脂に使用する溶剤とは、同一でも異なっていても良い。同一の場合、これらの樹脂を個別に溶剤に溶解させた後、これらの溶液を混合しても良く、これらの樹脂の何れか一方を溶剤に溶解させた後、この溶液に他方の樹脂を更に溶解させて混合しても良い。
【0034】
(2)機械的な混合
上記溶剤による混合以外に、機械的な混合も可能である。この場合、硬化剤を添加していない熱硬化性樹脂及び熱可塑性樹脂をニーダーなどで十分に混合させればよい。但し、硬化速度の速い熱硬化性樹脂を用いる場合には、混合中に熱硬化性樹脂が硬化してしまわない様に注意する必要がある。従って、機械的な混合を採用するのは、硬化速度の遅い熱硬化性樹脂や、硬化するのに硬化剤が必要な熱硬化性樹脂を用いる場合が好ましい。
【0035】
・熱硬化性樹脂及び熱可塑性樹脂の混合割合
熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂との混合割合は特に限定されないが、熱硬化性樹脂/熱可塑性樹脂の割合が重量%比で90/10〜30/70の範囲となる様にするのが好ましい。熱硬化性樹脂が90重量%よりも多いと、共連続構造の形成が困難である。熱硬化性樹脂が通常90重量%以下であれば良いが、好ましくは80重量%以下、更に好ましくは70重量%以下である。また、熱硬化性樹脂が30重量%よりも少ないと、熱可塑性樹脂を除去する際に共連続構造を保持するのが難しいため、通常30重量%以上が良く、好ましくは40重量%以上、更に好ましくは50重量%以上である。
【0036】
・樹脂の硬化
こうして得られた熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂との相溶ブレンド状態の混合物を加熱して、熱硬化性樹脂成分を硬化させる。
【0037】
・乾燥
混合に溶剤を使用した場合には、混合物を硬化させる前に、該混合物のガラス転移温度以下で乾燥させる。乾燥させる方法は特に限定されないが、例えばオーブン中で乾燥させることができる。例として、フェノール樹脂/ポリメチルメタクリレートのブレンド物の場合、室温で3日間減圧乾燥した後、40℃で2日間減圧乾燥すれば溶媒を除去できる。こうして得られた乾燥物は、ガラス状の透明茶色の固形物となる。
【0038】
・硬化
熱硬化性樹脂成分を硬化させるためには、混合物をガラス転移温度以上の温度で熱処理する。熱処理の手法は特に限定されず、プレス成型、射出成形、ディッピング+熱処理、スピンコート+熱処理等、公知の各種手法を用いて行なうことが可能である。例えば、最終的な形状を特定の成型形状としたい場合などは、一般的なプレス成型機を使用すれば良い。プレス成形は大気下、短時間で行なうことが望ましい。また、熱処理温度は通常140℃以上、好ましくは160℃以上、より好ましくは180℃以上であって、通常300℃以下、好ましくは250℃以下、より好ましくは200℃以下である。
【0039】
なお、熱処理の温度及び時間は、通常、作製される多孔質材料の細孔構造に影響を及ぼす。熱処理温度が低い場合には、熱硬化性樹脂の硬化反応が不十分になることがあり、熱可塑性樹脂成分の抽出後、再度熱処理を行なうことで細孔構造が変化する場合がある。従って、熱処理温度に合わせて硬化反応時間を調整することが望ましい。例えば、180℃以上の温度で硬化させる場合には、通常は数分から数十分程度の硬化時間で充分である。また、プレス成型機を用いる場合、硬化反応時間は成形温度やサンプルの厚み等によっても異なるが、通常、縦×横×厚み=5cm×5cm×0.5cmの平板であれば、成形圧力10kgf/cm2、温度180℃の条件で、10分程度で成形可能である。
【0040】
硬化剤が必要な熱硬化性樹脂を用いた場合には、硬化剤未添加の熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂とを十分にガラス転移温度以上で混合した後、最後に硬化剤を添加して熱硬化性樹脂成分を硬化させればよい。また、選択した熱硬化性樹脂の種類によっては、硬化剤の添加と加熱とを組み合わせて、より確実に硬化を行なっても良い。
【0041】
・硬化して得られるもの
この様にして成形された熱硬化性樹脂/熱可塑性樹脂の混合物は、初めの相溶ブレンド状態から熱硬化性樹脂の架橋反応(硬化反応)に伴い相分離が進行することにより、双方の樹脂成分が何れも三次元的に連通した共連続構造を形成する。共連続構造は、熱硬化性樹脂成分の架橋反応(硬化反応)が終了に近づき、運動性が制限された状態で固定される。従って、硬化反応の終了後に熱処理時間を長くしても、作製された構造は影響を受けない。共連続構造の周期(熱可塑性樹脂成分を除去した場合における細孔の大きさ)は、同一組成のブレンド物であれば、ブレンド物中の熱硬化性樹脂成分の硬化速度が速いほど小さくすることが出来る。また、熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂との組み合わせの選択によっても制御することが出来る。
【0042】
・熱可塑性樹脂の除去
こうして熱硬化性樹脂成分を硬化させた混合樹脂から熱可塑性樹脂成分を除去することにより、熱硬化性樹脂成分のみからなる多孔体を得る。熱可塑性樹脂成分を除去する手法は特に限定されないが、例としては抽出による手法と焼成による手法とが挙げられる。これらの手法は、製造する多孔質材料の用途に応じて適宜選択すれば良いが、例えば、熱硬化性樹脂成分をそのままの状態で残したい場合には抽出による手法が好ましく用いられ、炭素質のみからなる多孔質材料としたい場合には焼成による手法が好ましく用いられる。勿論、抽出や焼成の条件を適宜調整したり、抽出と焼成とを組み合わせて用いたりすることにより、種々の特性を有する多孔質材料を製造することが可能である。
【0043】
・抽出方法
抽出による手法を用いる場合、その方法は特に限定されず、常法により抽出することができる。例えば、加熱による硬化後の熱硬化性樹脂成分は溶剤に溶解しないので、熱硬化性樹脂成分を硬化させた後の混合樹脂を、熱可塑性樹脂成分を溶解できる溶剤中で撹拌抽出すればよい。抽出溶媒としては、熱可塑性樹脂成分を溶解できるものであれば特に制限されないが、通常の熱可塑性樹脂を広く溶解できるのでアセトンが特に好ましい。また、熱可塑性樹脂としてポリカーボネートを用いる場合にはクロロフォルムが、熱可塑性樹脂としてポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドンやポリエチレンオキサイド等を用いる場合には、水が好適に用いられる。撹拌抽出の時間も特に制限されないが、一例として、フェノールノボラック/ポリメチルメタクリレート=63/37(重量%)のブレンド物であって、縦×横×厚み=1cm×1cm×0.5cmの平板形状であれば、アセトン中で数時間撹拌すればポリメチルメタクリレート成分を抽出可能できる。なお、複数回にわたって溶媒を取り替えながら繰り返し洗浄抽出を行なえば、効果的に抽出できるので好ましい。
【0044】
・焼成方法
焼成による手法を用いる場合も、その方法は特に限定されず、目的に応じて温度、時間、圧力、雰囲気等の焼成条件を適宜、選択して実施することが出来る。熱可塑性樹脂は通常、500℃以上の温度で適宜加熱することにより除去できる。
【0045】
なお、熱硬化性樹脂成分を炭化させて炭素質の多孔質材料とする場合にも、焼成による手法を用いることができる。一例としては、熱硬化性樹脂/熱可塑性樹脂のブレンド物において熱可塑性樹脂を抽出したサンプルを不活性ガス雰囲気下、目的温度まで2℃/minの昇温速度で上げ、目的温度で1〜2時間程度保持した後、室温まで冷却することによって、目的の炭素質多孔質材料が得られる。この場合、熱可塑性樹脂成分を予め抽出等の手法で除去した後に、残った熱硬化性樹脂成分を焼成することが好ましいが、熱可塑性樹脂の分解温度が熱硬化性樹脂の分解炭化温度よりも低い場合には、焼成により熱可塑性樹脂成分の除去と同時に熱硬化性樹脂成分の炭化を行なうことも可能である。
【0046】
・抽出と焼成の特徴
以上説明した抽出及び/又は焼成の条件を適宜調整することによって、得られる多孔質材料に所望の特性を付与することも可能である。
【0047】
例えば、導電性などを付与したい場合には、焼成温度を700℃以上で行なうのが好ましい。抽出により作成された熱硬化性樹脂の多孔体を化学修飾など後処理を施して用いたい場合には、熱硬化性樹脂中の様々な官能基を残すために、600℃以下の比較的低温で焼成するか、又は焼成を行なわないことが好ましい。例えばフェノール樹脂の場合、700℃以上の温度で焼成することにより半導電性を付与することが出来、また、600℃程度の温度で焼成した後に化学修飾を行なうことによりスルホニル基を導入することが出来る。
【0048】
・多孔質材料
以上説明した方法により製造される多孔質材料(以下、適宜「本発明の多孔質材料」と呼ぶ。)は、熱硬化性樹脂又は炭素質からなる多孔質材料であって、半径が5nm以上、500nm以下に制御された連通孔を有することを特徴とする。ここで、IUPAC(International Union of Pure and Applied Chemistry)が定義している分類に従えば、直径2nm以下の細孔はミクロ孔、直径2nm〜50nmの細孔はメソ孔、直径50nm以上の細孔はマクロ孔と呼ばれていることから、本発明の多孔質材料が有する連通孔はメソ孔からマクロ孔の領域に存在することが判る。
【0049】
具体的には、本発明の多孔質材料が有する連通孔の半径は、通常5nm以上、好ましくは10nm以上、特に好ましくは17nm以上、また、通常500nm以下、好ましくは300nm以下、特に好ましくは150nm以下の範囲にある。この範囲に半径が制御された連通孔構造の製造は、従来のメソポーラスシリカ及びメソポーラス炭素材料、熱可塑性樹脂ブレンドを用いた多孔質材料、高分子の延伸などによる多孔質材料等の技術では極めて困難であったものである。
【0050】
なお、これらの連通孔の半径の値は、製造過程における焼成の有無で変動する場合がある。例えば、溶剤により熱可塑性樹脂成分を抽出する場合には形成された連通孔の大きさは変化しないが、焼成する場合には、熱硬化性樹脂成分の分解によって連通構造の再構築が行なわれたり、収縮が生じたりすることで連通細孔の大きさが変化する。この変化の大きさは、通常は数十nm程度であり、対象とする熱硬化性樹脂の種類に依存する。
【0051】
更に、製造過程で焼成を行なった場合には、本発明の多孔質材料には、上述のメソ孔からマクロ孔の領域に存在する連通孔に加えて、1nm以下程度のミクロ孔も形成される。このミクロ孔は、何もブレンドしてない場合の通常のミクロ孔と比較して、その細孔容積は2倍程度増加する。ミクロ孔は主に物質の吸着に関与するので、吸着容量の増加も見込める。この原因に関しては明らかではないが、熱硬化性樹脂が硬化、相分離が生じる過程で熱可塑性樹脂の濃度勾配が熱硬化性樹脂中に形成され、熱分解の際にこの熱可塑性樹脂の分解が影響するためと考えられる。
【0052】
更に、本発明の多孔質材料における連通孔の比容量は、通常0.2ml/g以上、好ましくは0.5ml/g以上、特に好ましくは1.0ml/g以上であり、また、連通孔の比表面積は、通常20m2/g以上、好ましくは50m2/g以上、特に好ましくは100m2/g以上である。
【0053】
なお、これらの連通孔の評価(細孔の半径、比容量及び比表面積)は、公知の任意の手法を用いて行なえば良い。具体例としては、水銀圧入法による方法や、窒素、アルゴン、二酸化炭素吸着測定による方法などが挙げられるが、後者では評価できる細孔の大きさは10nm以下程度であるために、より大きな細孔を評価できる前者による方法の方が好ましい。
【0054】
また、細孔が連通した構造を有することを確認する方法としては、SEM等での観察による直接的な評価方法と、ガス透過性測定等による間接的な評価方法があるが、ガス透過性測定の場合には、サンプルを膜状等の一定の形状に成形しなければならず、サンプルが粉体等の場合には評価が難しいという問題点がある上に、膜状にする場合にもピンホールなどの穴があってはならない等の制約が多く実施が困難であるので、一般的にはより簡易的な方法として、SEM等での観察による直接的な評価方法が有効に用いられる。
【0055】
以上、本発明の多孔質材料の製造方法によれば、熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂を相溶ブレンド状態とした後に熱硬化性樹脂成分を硬化させて相分離を生じさせることによって、メソ孔からマクロ孔の領域に制御された連通孔、具体的には半径5nm以上、500nm以下程度の連通孔を有するとともに、耐熱性にも優れた多孔質材料を容易に製造することが可能となる。
【0056】
特に、熱可塑性樹脂成分を抽出によって除去すれば、熱硬化性樹脂成分のみからなる半径5nm以上、500nm以下程度の連通孔を有する多孔質材料が製造できる。この熱硬化性樹脂からなる多孔質材料は、融点を持たないために高温下での使用も可能で、従来の高分子ブレンド系の多孔質材料等と比較して温度などの使用条件の制限を受け難い。また、焼成によって熱硬化性樹脂成分を炭素化させることにより、同様の連通孔構造を有する炭素質の多孔質材料を得ることができる。この炭素質からなる多孔質材料は、従来の無機系のゼオライトやメソポーラスシリカ等と比較して耐久性に優れている。
【0057】
本発明の多孔質材料は、メソ孔からマクロ孔の領域に制御された連通孔構造と、優れた耐熱性とを兼ね備えているので、高い吸着性能を有するのは勿論のこと、従来困難であった物質の拡散や含浸、輸送、更には細孔壁への化学修飾等を容易に行なうことができる。よって、吸着分離材、触媒担体などに有用である。また、平板状や膜状等に成形すればそのまま透過性の膜として使用できるばかりか、各種の触媒を担持させることによって反応性の膜としても使用可能である。更には、電解質を含浸させることによって、燃料電池等の電池における電極材料や固体電解質としての応用も考えられる。
【0058】
【実施例】
以下、実施例を挙げて具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0059】
・実施例1〜3
群栄化学(株)社製フェノールレゾール(グレード:PL2211)の50重量%メタノール溶液100gに和光純薬(株)社製ポリメチルメタクリレート(PMMA)30g、アセトン100gを加えて撹拌し、PMMAを溶解した。作製した溶液をポリテトラフルオロエチレン製の皿に注ぎ、室温で3日乾燥した。更に、真空オーブン中、23℃で2日溶媒を除去した後、オーブンの温度を40℃に設定し完全に溶媒を除去するために2日間乾燥を行なった。得られた琥珀色の固形サンプルを37tプレス成型機で縦×横×高さ=50mm×50mm×5mmの平板を成形圧力10kgf/cm2、温度180℃で10分成形した。このサンプルをアセトン中で2日間撹拌洗浄してPMMA成分を完全に除去した。その後、シリコニット炉で1L/minの窒素流通下、昇温速度2℃/minで500℃(実施例1)、600℃(実施例2)、700℃(実施例3)まで昇温後、その温度で1時間保持して焼成を行ない、サンプル(多孔質材料)を作製した。
【0060】
作製されたサンプルについて、水銀圧入法(Micromeritics社製、オートポアIII9420型)による細孔評価(5nm〜500nmの範囲のメジアン細孔半径、細孔半径5nm〜500nmの細孔面積及び細孔容量)を行なった。実施例1〜3の細孔評価の結果を表1に示す。また、日本電子(株)社製の走査型電子顕微鏡(JSM−6300F)を用いて実施例3の細孔構造を観察した。観察結果を図1に示す。表1及び図1から明らかな様に、作製された熱硬化性樹脂のサンプルは、5nm〜500nmの範囲に網目状の細孔構造を形成しており、細孔容量、細孔面積ともに大きいことが判る。
【0061】
・実施例4〜6
実施例1において、フェノールレゾールを群栄化学(株)社製m,p−クレゾールレゾール(グレード:PL2407)にした点を除けば同様の条件でサンプル(多孔質材料)を調製した(実施例4:500℃焼成、実施例5:600℃焼成、実施例6:700℃焼成)。作成したサンプルについて、実施例1と同様の手法で細孔評価及び細孔構造観察を行なった。実施例4〜6の細孔評価の結果を表1に、実施例6の細孔構造観察結果を図2に示す。表1及び図2から明らかな様に、作製された熱硬化性樹脂のサンプルは、5nm〜500nmの範囲に網目状の細孔構造を形成しており、細孔容量、細孔面積ともに大きいことが判る。
【0062】
・実施例7〜9
群栄化学(株)社製フェノールノボラック(グレード:PSM4327)50g及び和光純薬(株)社製PMMA30gをメタノール/アセトン=1/1の混合溶媒200gに完全に溶解した。更に、和光純薬(株)社製ヘキサメチレンテトラミン7.5gを添加、溶解した。作製した溶液をポリテトラフルオロエチレン製の皿に注ぎ、室温で3日乾燥した。更に、真空オーブン中、23℃で2日溶媒を除去した後、オーブンの温度を40℃に設定し完全に溶媒を除去するために2日間乾燥を行った。得られた琥珀色の固形サンプルを37tプレス成型機で縦×横×高さ=50mm×50mm×5mmの平板を成形圧力10kgf/cm2、温度180℃で10分成形した。このサンプルをアセトン中で2日間撹拌洗浄してPMMA成分を完全に除去した。その後、シリコニット炉で1L/minの窒素流通下、昇温速度2℃/minで500(実施例7)、600(実施例8)、700℃(実施例9)まで昇温後、その温度で1時間保持して焼成を行ない、サンプル(多孔質材料)を作製した。
【0063】
作成したサンプルについて、実施例1と同様の手法で細孔評価及び細孔構造観察を行なった。実施例7〜9の細孔評価の結果を表1に、実施例9の細孔構造観察結果を図3に示す。表1及び図3から明らかな様に、作製されたサンプルは5nm〜500nmの範囲に熱硬化性樹脂が網目状の細孔構造を形成しており、細孔容量、細孔面積ともに大きいことが判る。
【0064】
・比較例1
群栄化学(株)社製フェノールレゾール(グレード:PL2211)の50重量%メタノール溶液をポリテトラフルオロエチレン製の皿に注ぎ、室温で3日乾燥した。更に、真空オーブン中、23℃で2日溶媒を除去した後、オーブンの温度を40℃に設定し完全に溶媒を除去するために2日間乾燥を行った。得られた琥珀色の固形サンプルを37tプレス成型機で縦×横×高さ=50mm×50mm×5mmの平板を成形圧力10kgf/cm2、温度180℃で10分成形した。その後、シリコニット炉で1L/minの窒素流通下、昇温速度2℃/minで700℃まで昇温後、その温度で1時間保持して焼成を行ない、サンプルを作製した。サンプルの細孔評価を実施例と同様に行なった。結果を表1に示す。表1から明らかな様に、熱硬化性樹脂単独で調製されたサンプルは、細孔半径5nm〜500nmの範囲に細孔を有していないことが判る。
【0065】
・比較例2
代表的な活性炭として、三菱化学社製ダイヤソーブWAを用い、実施例と同様の条件で細孔評価を行なった。結果を表1に示す。表1から明らかな様に、通常の活性炭は半径5nm〜500nmの範囲に細孔を有していないことが判る。
【0066】
【表1】
Figure 0004018940
【0067】
以上の結果から明らかな様に、実施例1〜9のサンプルの何れもが、17〜150nmの範囲に細孔半径の中心を有していた。また、通常の活性炭などでは存在しない5nm以上の細孔についても、比表面積が20m2/g以上、比容量が0.2ml/g以上という大きな値を示した。更に、77Kでの窒素吸着測定では、PMMAをブレンドしていないフェノール樹脂に比較して、ミクロ細孔の容量も約2倍に増加していた。加えて、形成された細孔は、スピノーダル分解に起因すると考えられる連通構造を有していることが確認された。
【0068】
【発明の効果】
本発明によれば、熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂とを均一に混合した後、熱硬化性樹脂成分を硬化させて、更に焼成による手法を用いて熱可塑性樹脂成分を除去することにより、炭素質からなり、メソ孔からマクロ孔の領域(具体的には半径5nm〜500nmの範囲)に制御された連通孔構造が形成され、且つ優れた耐熱性を有する多孔質材料を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例3の多孔質材料のSEM写真である。
【図2】実施例6の多孔質材料のSEM写真である。
【図3】実施例9の多孔質材料のSEM写真である。

Claims (8)

  1. 熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂とを均一に混合した後、前記熱硬化性樹脂を硬化させ、更に焼成による手法を用いて前記熱可塑性樹脂を除去することにより、炭素質からなり、且つ、連通孔を有する多孔質材料を製造する方法。
  2. 前記熱硬化性樹脂が、フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、ユリア−メラミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、ケイ素樹脂、ジアリルフタレート樹脂、リグニン樹脂、ウレタン樹脂及びこれらを構造の中に含む重合物のうち、少なくとも1種以上を含むことを特徴とする、請求項1記載の多孔質材料の製造方法。
  3. 前記熱可塑性樹脂が、アクリルエステル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリスチレン樹脂、ビニルアルコール樹脂、アクリルアミド樹脂、ビニルピロール樹脂、アクリロニトリル樹脂及びこれらの共重合体のうち、少なくとも1種以上を含むことを特徴とする、請求項1又は請求項2に記載の多孔質材料の製造方法。
  4. 前記熱硬化性樹脂の全樹脂に対する混合割合が、30重量%以上、90重量%以下であることを特徴とする、請求項1〜3の何れか一項に記載の多孔質材料の製造方法。
  5. 前記熱可塑性樹脂を除去する際に、抽出を行なった後に焼成を行なうことを特徴とする、請求項1〜4の何れか一項に記載の多孔質材料の製造方法
  6. 炭素質からなる多孔質材料であって、半径5nm以上、500nm以下の、スピノーダル分解に起因する連通孔を有することを特徴とする、多孔質材料。
  7. 前記連通孔の比容量が、0.2ml/g以上であることを特徴とする、請求項6記載の多孔質材料。
  8. 前記連通孔の比表面積が、20m2/g以上であることを特徴とする、請求項6又は請求項7に記載の多孔質材料。
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