JP2015057373A - 多孔質炭素及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】三次元網目構造が保持され、且つ、メソ孔やミクロ孔の孔径を容易に制御しうる多孔質炭素及びその製造方法を提供することを目的としている。【解決手段】炭素前駆体としてのポリアミック酸樹脂1と、鋳型粒子としての酸化マグネシウム2とを混合有するステップと、この混合物を窒素雰囲気中1000℃で1時間熱処理してポリアミック酸樹脂を熱分解させるステップと、得られた試料を1mol/lの割合で添加された硫酸溶液で洗浄して、MgOを溶出させるステップと、を有することを特徴とする。【選択図】図1

Description

本発明は多孔質炭素及びその製造方法に関し、特に、炭素収率が比較的高い原料を用いて作製された多孔質炭素及びその製造方法に関するものである。
多孔質炭素である活性炭の製造方法としては、木材パルプ、のこ屑、ヤシ殻、綿実殻、もみ殻などのセルロース質や粟、稗、とうもろこし等の澱粉質、リグニン、などの植物性原料、石炭やタール、石油ピッチなどの鉱物性原料、更にはフェノール樹脂やポリアクリロニトリルなどの合成樹脂などを原料とし、これを非酸化性雰囲気下で加熱して炭素化する方法が周知であり、また、これらの炭素化物を薬剤で処理して賦活化する方法もよく知られている。
また最近では、賦活用の薬剤として水酸化カリウムを使用し、これを有機質樹脂と混合して非酸化性雰囲気下で加熱すれば、3000m/gにも達する高い比表面積の活性炭が得られることが確認され、注目を集めている(下記特許文献1参照)。
ところがこの方法では、有機質樹脂に対して4倍量以上の賦活剤を必要とすること、そのためカリウムの回収再利用が試みられているものの回収率が低くコスト高となること、しかも、賦活のための加熱工程でアルカリ金属が揮発して加熱炉を汚染乃至損傷し、且つ各種工業材料として使用する際にも浸食を起こす原因になること、更にはアルカリ金属化合物で処理した活性炭は可燃性が高く発火し易いこと等、工業的規模での実用化には多くの問題を残している。
このようなことを考慮して、下記に示す提案がなされている。
(1)有機質樹脂を、アルカリ土類金属の酸化物、水酸化物、炭酸塩、有機酸塩よりなる群から選択されるアルカリ土類金属化合物の少なくとも1種と混合し、非酸化性雰囲気で加熱焼成する工程を含む活性炭の製造方法(下記特許文献2参照)。
(2)構造式でCが6以上の有機酸Mg(例えばクエン酸Mg)を原料とし、この有機酸Mgを、不活性雰囲気下で300℃以上に加熱し、その後、冷却して酸洗浄することを特徴とする活性炭の製造方法(下記特許文献3参照)。
特開平9−86914号公報 特開2006−062954号公報 特開2008−013394号公報
しかしながら、上記(1)の提案の如く、炭素原料として有機質樹脂を用いた場合には、炭素収率が低いため、空洞部分が多くなってメソ孔が形成されない。この結果、三次元網目構造を有しない炭素粉末となる。特に、実施例に記載の如く、有機質樹脂としてPVA(ポリビニルアルコール)粉末を用いた場合には、熱処理時に約98%程度がガスとして蒸発するため、メソ孔は全く形成されず、完全な炭素粉末となる。
また、上記(2)の提案でも同様の課題を有しており、また当該提案では有機酸塩を用いていることから、その用途が電池の電極材料等、極めて限定されるという課題もある。
そこで本発明は、三次元網目構造が保持され、且つ、メソ孔やミクロ孔の孔径を容易に制御しうる多孔質炭素及びその製造方法を提供することを目的としている。
上記目的を達成するために本発明は、メソ孔とこのメソ孔より小さなミクロ孔とを備えた多孔質炭素であって、上記メソ孔の外郭を構成する炭素質壁が3次元網目構造を成し、且つ、上記メソ孔の大きさが略同等となるように構成されていると共に、上記炭素質壁における上記メソ孔に臨む位置に上記ミクロ孔が形成され、比表面積が、600〜2000m/gであることを特徴とする。
上記構成の如く、メソ孔の外郭を構成する炭素質壁が3次元網目構造を成し、且つ、炭素質壁におけるメソ孔に臨む位置にミクロ孔が形成されていれば、単位量あたりの吸着有効面積を大きくする、或いは、細孔における毛管凝集量を増大することができる。また、メソ孔の大きさが略同等となるように構成されていれば、精製や触媒等を目的として使用された場合に、その目的を十分に達成することができる。加えて、メソ孔の外郭を構成する炭素質壁が3次元網目構造を成していれば、その用途が弾力性を必要とする場合にも適応することができる。
尚、本明細書では、細孔径が2nm未満のものをミクロ孔、細孔径が2〜50nmのものをメソ孔、細孔径が50nmを超えるものをマクロ孔、と称し、またこれらの孔を総称して細孔と称する場合がある。
上記炭素質壁は炭素部分と空孔部分とから成り、炭素質壁全体の体積に対する炭素部分の体積の割合が40%以上であることが望ましい。
炭素質壁全体の体積に対する炭素部分の体積の割合が40%以上であれば、ミクロ孔がより発達し易くなるので、炭素質壁に微細な空孔が生じる。
上記メソ孔は開気孔であって、気孔部分が連続するような構成となっていることが望ましい。
気孔部分が連続するような構成であれば、ガスの流れが円滑になるので、よりガスを補足し易くなる。
上記メソ孔及びミクロ孔を含む細孔における孔径(細孔径)が0.3〜100nmであることが望ましい。
細孔径が0.3nm未満のものは作製が困難である一方、細孔径が100nmを超えると、単位体積あたりの炭素質壁の量が少なくなって、3次元網目構造を保持できなくなる恐れがある。
比表面積が600〜2000m/gであることが望ましい。
比表面積が600m/g未満では気孔の形成量が不十分であり三次元網目構造を形成しないという問題がある一方、比表面積が2000m/gを超えると炭素質壁の形状が保てなくなり粒子として崩壊してしまうという問題がある。
尚、上記表面積時における全細孔容量は0.2〜3.0ml/gであることが望ましい。
有機質樹脂を含み炭素収率が40%以上85%以下の流動性材料と、アルカリ土類金属の酸化物、水酸化物、炭酸塩、有機酸塩よりなる群から選択されるアルカリ土類金属化合物の少なくとも1種から成り、略同じ径を有する鋳型粒子と、を混合して混合物を作製するステップと、上記混合物を非酸化性雰囲気で加熱焼成して焼成物を作製するステップと、上記焼成物中の上記鋳型粒子を除去するステップと、を有することを特徴とする。
上記の如く鋳型粒子として粒径が略同一のものを用いれば、鋳型粒子はマトリックス中(焼成物中)に均一に分散されるので、鋳型粒子間の間隔のバラツキが小さくなる。したがって、炭素質壁の厚みが均一に近い三次元網目構造となる。但し、流動性材料の炭素収率が余り小さかったり大きかったりすると(具体的には、流動性材料の炭素収率が40%未満であったり、85%を超えていると)三次元網目構造が保持されない炭素粉末となるが、本発明では、炭素収率が40%以上85%以下の流動性材料を用いているので、鋳型粒子を除去した後には、鋳型粒子が存在した場所が連続孔となる三次元網目構造を有する多孔質炭素を得ることができる。また、鋳型粒子として粒径が略同一のものを用いれば、同一サイズの連続孔が形成されるので、スポンジ状且つ籠伏の多孔質炭素を作製することができる。
また、鋳型粒子の径や有機質樹脂の種類を変えることによって、細孔の径、多孔質炭素の細孔分布、及び、炭素質壁の厚みを調整することができる。したがって、鋳型粒子の径と有機質樹脂の種類とを適宜選択することによって、より均一な細孔径を有し、より大きな細孔容量を有する多孔質炭素を作製することも可能となる。更に、炭素源に有機質樹脂を含む流動性材料を用い、しかも、賦活処理工程を経ることなく多孔質炭素を作製できるので、得られた多孔質炭素は非常に高純度なものとなる。
また、流動性材料の炭素収率が上記範囲であれば、ミクロ孔が非常に発達するので、比表面積が大きくなる。但し、流動性材料の炭素収率が上記範囲であっても、鋳型粒子を用いない場合にはミクロ孔は発達しない。
尚、アルカリ土類金属化合物を鋳型粒子として用いるのは、アルカリ土類金属化合物は弱酸或いはお湯により除去することができる(即ち、強酸を用いることなく鋳型粒子を取り除くことができる)ので、鋳型粒子を除去するステップにおいて、多孔質炭素自体の性状が変化するのを抑制することができるからである。尚、弱酸を用いた場合には、除去スピードが早くなるという利点がある一方、お湯を用いた場合には、酸が残留して不純物となるという不都合を防止できるという利点がある。また、鋳型粒子を除去するステップにおいて、溶出した酸化物溶液は再び原料として使用が可能であり、多孔質炭素の製造コストを低減できる。
ここで、上記流動性材料として、200℃以下の温度で流動性を生じるものを用いることが望ましく、具体的には、単位構造中に少なくとも一つ以上の窒素もしくはフッ素原子を含むポリイミド、フェノール樹脂、及びピッチからなる群から選択される少なくとも1種が例示される。
但し、流動性材料としては、200℃以下の温度で流動性を生じるものに限定するものではなく、200℃以下の温度で流動性が生じなくても、水或いは有機溶媒に可溶な高分子材料であれば本発明に使用できる。
上記鋳型粒子を除去するステップにおいて、除去後の鋳型粒子の残留率が0.5%以下となるように規制することが望ましい。
除去後の鋳型粒子の残留率が0.5%を超えると、メソ孔内に残る鋳型粒子が多くなって、細孔としての役割を発揮できない部位が広く生じるからである。
本発明によれば、三次元網目構造が保持され、且つ、細孔径を容易に制御しうるといった優れた効果を奏する。
本発明炭素の製造工程を示す図であって、同図(a)はポリアミック酸樹脂と酸化マグネシウムとを混合した状態を示す説明図、同図(b)は混合物を熱処理した状態を示す説明図、同図(c)は多孔質炭素を示す説明図である。 本発明炭素A1のSTEM(走査透過電子顕微鏡)写真。 本発明炭素A1のSEM(走査電子顕微鏡)写真。 本発明炭素の状態を示す説明図。 本発明炭素A2のSTEM(走査透過電子顕微鏡)写真。 本発明炭素A2のSEM(走査電子顕微鏡)写真。 本発明炭素A1、A2及び比較炭素Z1、Z2の相対圧力とN2吸着量との関係を示すグラフ。 本発明炭素A1、A2の細孔径とその割合との関係を示すグラフ。
以下、本発明の実施形態を以下に説明する。
本発明の炭素化物は、単位構造中に少なくとも一つ以上の窒素もしくはフッ素原子を含むポリイミドもしくは炭素化収率が40wt%を越える樹脂、例えばフェノール樹脂やピッチを、酸化物と溶液または粉末状態において湿式もしくは乾式混合し、混合物を非酸化性雰囲気下又は減圧下133Pa(1torr)以下で、500℃以上の温度で炭化し、得られた炭素と酸化物を洗浄処理することで得られた炭素化物の窒素吸着法で得られる比表面積が600m/g以上の炭素化物である。
ここで、上記単位構造中に少なくとも一つ以上の窒素もしくはフッ素原子を含むポリイミドは、酸成分とジアミン成分との重縮合により得ることができる。但し、この場合、酸成分及びジアミン成分のいずれか一方又は両方に、一つ以上の窒素原子もしくはフッ素原子を含む必要がある。
具体的には、ポリイミドの前駆体であるポリアミド酸を成膜し、溶媒を加熱除去することによりポリアミド酸膜を得る。次に、得られたポリアミド酸膜を200℃以上で熱イミド化することによりポリイミドを製造することができる。
前記ジアミンとしては、2,2−ビス(4−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン〔2,2−Bis(4−aminophenyl)hexafluoropropane〕、2,2−ビス(トリフルオロメチル)−ベンジジン〔2,2’−Bis(trifluoromethyl)−benzidine〕、4,4’−ジアミノオクタフルオロビフェニルや、3,3’−ジフルオロ−4,4’−ジアミノジフェニルメタン,3,3’−ジフルオロ−4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジ(トリフルオロメチル)−4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジフルオロ−4,4’−ジアミノジフェニルプロパン、3,3’−ジフルオロ−4,4’−ジアミノジフェニルヘキサフルオロプロパン、3,3’−ジフルオロ−4,4’−ジアミノベンゾフェノン、3,3’,5,5’−テトラフルオロ−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’,5,5’−テトラ(トリフルオロメチル)−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’,5,5’−テトラフルオロ−4,4’−ジアミノジフェニルプロパン、3,3’,5,5’−テトラ(トリフルオロメチル)−4,4’−ジアミノジフェニルプロパン、3,3’,5,5’−テトラフルオロ−4,4−ジアミノジフェニルヘキサフルオロプロパン、1,3−ジアミノ−5−(パーフルオロノネニルオキシ)ベンゼン、1,3−ジアミノ−4−メチル−5−(パーフルオロノネニルオキシ)ベンゼン、1,3−ジアミノ−4−メトキシ−5−(パーフルオロノネニルオキシ)ベンゼン、1,3−ジアミノ−2,4,6−トリフロオロー5−(パ−フルオロノネニルオキシ)ベンゼン、1,3−ジアミノ−4−クロロ−5−(パーフルオロノネニルオキシ)ベンゼン、1,3−ジアミノ−4−プブロモ−5−(パーフルオロノネニルオキシ)ベンゼン、1,2−ジアミノ−4−(パーフルオロノネニルオキシ)ベンゼン、1,2−ジアミノ−4−メチル−5−(パーフルオロノネニルオキシ)ベンゼン、1,2−ジアミノ−4−メトキシ−5−(パーフルオロノネニルオキシ)ベンゼン、1,2−ジアミノ−3,4,6−トリフルオロー5−(パーフルオロノネニルオキシ)ベンゼン、1,2−ジアミノ−4−クロロー5−(パーフルオロノネニルオキシ)ベンゼン、1,2一ジアミノ−4−ブロモ−5−(パーフルオロノネニルオキシ)ベンゼン、1,4−ジアミノ−3−(パーフルオロノネニルオキシ)ベンゼン、1,4−ジアミノ−2−メチル−5−(パーフルオロノネニルオキシ)ベンゼン、1,4−ジアミノ−2−メトキシ−5−(パーフルオロノネニルオキシ)ベンゼン、1,4−ジアミノ−2,3,6−トリフルオロ−5−(パーフルオロノネニルオキシ)ベンゼン、1,4−ジアミノ−2−クロロ−5−(パーフルオロノネニルオキシ)ベンゼン、1,4一ジアミノ−2−プブロモ−5−(パーフルオロノネニルオキシ)ベンゼン、1,3−ジアミノ−5−(パーフルオロヘキセニルオキシ)ベンゼン、1,3−ジアミノ−4−メチル−5−(パーフルオロヘキセニルオキシ)ベンゼン、1,3−ジアミノ−4−メトキシ−5−(パーフルオロヘキセニルオキシ)ベンゼン、1,3−ジアミノ−2,4,6−トリフルオロ−5−(パーフルオロヘキセニルオキシ)ベンゼン、1,3−ジアミノ−4−クロロー5一(パーフルオロヘキセニルオキシ)ベンゼン、1,3一ジアミノ−4−ブロモ−5−(パーフルオロヘキセニルオキシ)ベンゼン、1,2−ジアミノ−4−(パーフルオロヘキセニルオキシ)ベンゼン、1,2−ジアミノ−4−メチル−5−(パーフルオロヘキセニルオキシ)ベンゼン、1,2−ジアミノ−4−メトキシ−5−(パーフルオロヘキセニルオキシ)ベンゼン、1,2−ジアミノ−3,4,6−トリフルオロ−5−(パーフルオロヘキセニルオキシ)ベンゼン、1,2−ジアミノ−4−クロロ−5−(パーフルオロヘキセニルオキシ)ベンゼン、1,2−ジアミノ−4−ブロモ−5−(パーフルオロヘキセニルオキシ)ベンゼン、1,4−ジアミノ−3−(パーフルオロヘキセニルオキシ)ベンゼン、1,4−ジアミノ−2−メチル−5−(パーフルオロヘキセニルオキシ)ベンゼン、1,4−ジアミノー2−メトキシ−5−(パーフルオロヘキセニルオキシ)ベンゼン、1,4−ジアミノ−2,3,6−トリフルオロ−5−(パーフルオロヘキセニルオキシ)ベンゼン、1,4−ジアミノ−2−クロロ−5−(パーフルオロヘキセニルオキシ)ベンゼン、1,4−ジアミノ−2−プロモ−5−(パーフルオロヘキセニルオキシ)ベンゼンやフッ素原子を含まないp−フェニレンジアミン(PPD)、ジオキシジアニリンなどの芳香族ジアミンが例示できる。また、上記ジアミン成分は上記各芳香族ジアミンを2種以上組み合わせて使用してもよい。
一方、酸成分としては、フッ素原子を含む4,4−ヘキサフルオロイソプロピリデンジフタル酸無水物(6FDA)、およびフッ素原子を含まない3,4,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)、ピロメリット酸二無水物(PMDA)等が挙げられる。
また、ポリイミド前駆体の溶媒として用いる有機溶媒は、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルホルムアミド等が挙げられる。
イミド化の手法としては公知の方法〔例えば高分子学会編「新高分子実験学」共立出版、1996年3月28日、第3巻高分子の合成・反応(2)158頁参照〕に示されるように、加熱あるいは化学イミド化のどちらの方法に従ってもよく、本発明はこのイミド化の方法には左右されない。
更に、ポリイミド以外の樹脂としては、石油系タールピッチ、アクリル樹脂など40%以上の炭素収率を持つものが使用できる。
一方、上記酸化物として用いる原料はアルカリ土類金属酸化物(酸化マグネシウム、酸化カルシウム等の他に、熱処理により熱分解過程で酸化マグネシウムへと状態が変化する、金属有機酸(クエン酸マグネシウム、シュウ酸マグネシウム、クエン酸カルシウム、シュウ酸カルシウム等)を使用することもできる。
また、酸化物を取り除く洗浄液としては、塩酸、硫酸、硝酸、クエン酸、酢酸、ギ酸など一般的な無機酸を使用し、2mol/l以下の希酸として用いるのが好ましい。また、80℃以上の熱水を使用することも可能である。
更に、本発明の多孔質炭素を得るには、非酸化雰囲気下で、500℃以上、1500℃以下の温度で炭化することが好ましい。高炭素収率の樹脂は高分子であるため、600℃未満では炭素化が不十分で細孔の発達が十分ではない場合がある一方、1500℃以上では収縮が大きく、酸化物が焼結し粗大化するため、細孔サイズが小さくなって比表面積が小さくなるからである。
(実施例1)
先ず、図1(a)に示すように、炭素前駆体としてのポリアミック酸樹脂(イミド系樹脂)1と、鋳型粒子としての酸化マグネシウム(MgO、平均結晶子径は100nm)2とを、90:10の重量比で混合した。次に、図1(b)に示すように、この混合物を窒素雰囲気中1000℃で1時間熱処理を行って、ポリアミック酸樹脂を熱分解させることにより炭素3を作製した。最後に、図1(c)に示すように、得られた炭素3を1mol/lの割合で添加された硫酸溶液で洗浄して、MgOを完全に溶出させることにより多数の孔4を有する多孔質炭素5を得た。
このようにして作製した多孔質炭素を、以下、本発明炭素A1と称する。
本発明炭素A1のSTEM(走査透過電子顕微鏡)写真とSEM(走査電子顕微鏡)写真とを、各々、図2及び図3に示す。両図から明らかなように、本発明炭素A1は3次元網目構造(スポンジ状のカーボン形状)であることがわかる。より具体的には、図4に示すように、本発明炭素A1の構造は、大きさが略同等である多数のメソ孔10を有しており、炭素質壁12におけるメソ孔10に臨む位置にミクロ孔11が形成されるような構造となっている。
また、本発明炭素A1においては、炭素質壁全体の体積に対する炭素部分の体積の割合は40%、ミクロ孔の孔径は10nm、比表面積は700m/gであった。尚、ミクロ孔の孔径はHK法を用いて計算し、メソ孔の孔径はBJH法を用いて計算した。
(実施例2)
酸化マグネシウムの平均結晶子径を5nmとした他は、上記実施例1と同様にして多孔質炭素を作製した。
このようにして作製した多孔質炭素を、以下、本発明炭素A2と称する。
本発明炭素A2のSTEM(走査透過電子顕微鏡)写真とSEM(走査電子顕微鏡)写真とを、各々、図5及び図6に示す。両図から明らかなように、本発明炭素A2は3次元網目構造(スポンジ状のカーボン形状)であることがわかる。
(比較例1)
鋳型粒子としての酸化マグネシウムを添加しない他は、上記実施例1と同様にして多孔質炭素を作製した。
このようにして作製した多孔質炭素を、以下、比較炭素Z1と称する。
(比較例2)
炭素前駆体として、ポリアミック酸樹脂の代わりPVA(ポリビニルアルコール)を用いた他は、上記実施例1と同様にして多孔質炭素を作製した。
このようにして作製した多孔質炭素を、以下、比較炭素Z2と称する。
(実験1)
上記本発明炭素A1、A2及び比較炭素Z1、Z2における圧力とN吸着量との関係を調べたので、その結果を図7に示す。
図7から明らかなように、相対圧力が1.0の場合には、本発明炭素A1、A2と比較炭素Z2とにおけるN吸着量に大差はないが、相対圧力が0〜0.1の範囲においては、本発明炭素A1、A2ではN吸着量が多くなっているのに対して、比較炭素Z2では殆どNを吸着していないことが認められる。また、比較炭素Z1では、全ての範囲においてN吸着量が極めて少ないことがわかる。
これは、本発明炭素A1、A2では、メソ孔と、このメソ孔に臨む位置に配置されたミクロ孔とが形成されているので、相対圧力が低い場合にはミクロ孔でNを吸着し、相対圧力が高い場合にはメソ孔でNを吸着することができる。これに対して、比較炭素Z2ではメソ孔は形成されているので、相対圧力が1.0の場合にはN吸着量が多くなるが、マクロ孔は形成されていないので、相対圧力が0〜0.1の場合にはN吸着量が少なくなる。また、比較炭素Z1では、メソ孔もミクロ孔も形成されていないので、いずれの相対圧力でもN吸着量が少なくなるものと考えられる。
また、本発明炭素A1、A2を比較した場合、各相対圧力でのN吸着量が異なっていることが認められる。これは、鋳型サイズの違いにより、細孔サイズが異なることに起因するものと考えられる。
尚、本発明炭素A1、A2の気孔サイズ分布(メソ孔のサイズ分布)をBJH法で調べたので、その結果を図8に示す。
図8から明らかなように、鋳型粒子のサイズが100nmの本発明材料A1では気孔サイズが100nm近傍での割合が多くなっており、また、鋳型粒子のサイズが5nmの本発明材料A2では気孔サイズが5nm近傍での割合が多くなっていることが認められる。以上のことから、鋳型粒子のサイズと得られた気孔サイズとは略同値となることがわかる。
(実験2)
流動性材料と鋳型粒子との混合比率を変化させたときのBET比表面積について調べたので、その結果を表1に示す。鋳型粒子のサイズは、5nmのものと80nmのものとを用いた。尚、BET比表面積の測定は、得られた炭素を、ベルソープ(日本ベル株式会社製)にて窒素のガス吸脱着測定を行い、得られた吸着等温線から解析することにより求めた。このことは、以下も同様である。
Figure 2015057373
表1から明らかなように、鋳型粒子のサイズが小さいとBET比表面積が大きくなり、また、MgOの割合が多くなると、BET比表面積が大きくなっていることが認められる。このことから、鋳型粒子のサイズ及び/又は流動性材料と鋳型粒子との混合比率を変化させることにより、BET比表面積を変えることが可能であり、任意の表面積を持つ多孔質炭素を作製することが可能である。
(実験3)
鋳型粒子の大きさと、流動性材料の種類とを変化させたときのBET比表面積について調べたので、その結果を表2に示す。
Figure 2015057373
表2から明らかなように、鋳型粒子の大きさと流動性材料の種類とを変化させることにより、BET比表面積を制御することか可能であることがわかる。
(実験4)
上記本発明材料A1、A2と市販活性炭との不純物の割合を蛍光エックス線により分析したので、その結果を表3に示す。
尚、市販活性炭1および2は、ヤシ殻を主原料とし、炭素化および水蒸気賦活を用い比面積を拡大させたものを用いた。
Figure 2015057373
表3から明らかなように、本発明材料A1、A2は、市販活性炭1、2と比べて、不純物が格段に減少していることが認められる。
本発明はガス吸着材料等として用いることができる。
1:ポリアミック酸樹脂(イミド系樹脂)
2:酸化マグネシウム
3:炭素
4:孔
5:多孔質炭素

Claims (9)

  1. メソ孔とこのメソ孔より小さなミクロ孔とを備えた多孔質炭素であって、
    上記メソ孔の外郭を構成する炭素質壁が3次元網目構造を成し、且つ、上記メソ孔の大きさが略同等となるように構成されていると共に、上記炭素質壁における上記メソ孔に臨む位置に上記ミクロ孔が形成され、
    比表面積が、600〜2000m/gであることを特徴とする多孔質炭素。
  2. 上記炭素壁は炭素部分と空孔部分とから成り、炭素壁全体の体積に対する炭素部分の体積の割合が40%以上である、請求項1に記載の多孔質炭素
  3. 上記メソ孔は開気孔であって、気孔部分が連続するような構成となっている、請求項1又は2に記載の多孔質炭素。
  4. 上記メソ孔及びミクロ孔を含む細孔における孔径が0.3〜100nmである、請求項1〜3の何れか1項に記載の多孔質炭素。
  5. 全細孔容積が0.2〜3.0mlである、請求項1〜4の何れか1項に記載の多孔質炭素。
  6. 有機質樹脂を含み炭素収率が40%以上85%以下の流動性材料と、アルカリ土類金属の酸化物、水酸化物、炭酸塩、有機酸塩よりなる群から選択されるアルカリ土類金属化合物の少なくとも1種から成り、同じ径を有する鋳型粒子と、を混合して混合物を作製するステップと、
    上記混合物を非酸化性雰囲気で加熱焼成して焼成物を作製するステップと、
    上記焼成物中の上記鋳型粒子を除去するステップと、
    を有することを特徴とする多孔質炭素の製造方法。
  7. 上記流動性材料として、200℃以下の温度で流動性を生じるものを用いる、請求項6に記載の多孔質炭素の製造方法。
  8. 上記流動性材料として、単位構造中に少なくとも一つ以上の窒素もしくはフッ素原子を含むポリイミド、フェノール樹脂、及びピッチからなる群から選択される少なくとも1種である、請求項7に記載の多孔質炭素の製造方法。
  9. 上記鋳型粒子を除去するステップにおいて、除去後の鋳型粒子の残留率が0.5%以下となるように規制する、請求項6〜8の何れか1項に記載の多孔質炭素の製造方法。
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