本発明の一実施形態について図1ないし図38に基づいて説明すると以下の通りである。
(実施の形態1)
<装置全体の構成説明>
図1は、実施の形態1に係る欠陥修復装置(液滴吐出描画装置)1の外観を示す斜視図である。図2は、欠陥修復装置1の模式的断面図である。
欠陥修復装置1は、基体16を備えている。欠陥修復装置1には、基体16上に搭載されて基板搬入及び搬出時に移動する基板載置台17と、基板載置台17の上方を該基板載置台17に接触することなく横断しているヘッドガントリーユニット4とが設けられている。ヘッドガントリーユニット4は、基体16に連結しているガントリースライド機構5により、一方向(図1のY方向に平行な方向)に沿って往復移動できる構成となっている。
ヘッドガントリーユニット4の側面には、複数個の液滴吐出ユニット3が設けられている。各液滴吐出ユニット3は、ヘッドガントリーユニット4の移動方向(図1のY方向に平行な方向)とは異なる方向(図1のX方向に平行な方向)に液滴吐出ユニット3を移動させることのできる吐出ユニットスライド機構24の上に搭載されている。吐出ユニットスライド機構24上に搭載された液滴吐出ユニット3は、吐出ユニットスライド機構24上の移動可能領域の範囲内で、ヘッドガントリーユニット4の移動方向と異なる方向(図1のX方向に平行な方向)にスライド可能となっている。
液滴吐出ユニット3は、ヘッドガントリーユニット4の側面に、複数個(図1では9個)搭載され、それぞれに個別の吐出ユニットスライド機構24を有している。そして、複数の液滴吐出ユニット3は、それぞれの吐出ユニットスライド機構24上を、欠陥修復装置からの制御指令に基づいて、個別に独立して図1のX方向に平行な方向にスライドする。
また、液滴吐出ユニット3は、その下側にヘッド吐出面を有している。ヘッド吐出面は、基板載置台17に略平行であって、かつ、ヘッド吐出面には液滴を吐出するためのノズル孔が形成されている。液滴吐出ユニット3は、欠陥修復装置からの制御指令に基づいて、基板載置台17上に載置した対象基板にヘッド吐出面から液滴を滴下する。
装置基体16上には、基板載置台17の他に、液滴吐出ユニット3に対して、非使用時に吐出面をキャップする機構、不良吐出口を検出する機構、不良吐出口を回復する機構、などを有するメンテナンス機構18が設けられている。メンテナンス時は、ガントリースライド機構5により、ヘッドガントリーユニット4が、メンテナンス機構18の直上に移動し、液滴吐出ユニット3に対して各種メンテナンス動作を行う。
<装置基体16の説明>
装置基体16の構成について図2を用いて説明する。
装置基体16は、中央に位置するメインステージ16aを有しており、メンテナンス機構18を有するサブステージ16cと、サブステージ16bとをメインステージ16aの両脇に機械的に連結している。
メインステージ16aは、御影石製の高精度のステージであり、液滴吐出ユニット3から基板載置台17上の対象基板に向けて液滴が吐出される間は、基板載置台17を正確に固定するものである。
サブステージ16cは、メンテナンス機構18を搭載するもので、メインステージ16aに比べ精度良く製造する必要はない。
サブステージ16bは、基板載置台17上に基板を搬入、または基板載置台17上から基板を搬出する際に、基板載置台17を装置端部に移動させる際に使用するステージである。
それぞれのステージには、メインステージ用ガントリーガイド20a、及びサブステージ用ガントリーガイド20b・20cがそれぞれ搭載されており、ガントリーガイド20a・20b・20cは、ヘッドガントリーユニット4が異なるガントリーガイド20a・20b・20c間を跨いで自由にスライドできるように、それぞれの間に繋ぎ目を有しつつ連結されている。
図1では、ヘッドガントリーユニット4は、浮上スライド機構22とガントリースライド機構5との間で常時エアー浮上しており、ガントリースライド機構5上の磁石式リニアスケール21と浮上スライド機構22との間のリニアモータ制御により、ヘッドガントリーユニット4の移動を可能としている。
そして、ガントリースライド機構5及びリニアスケール21は、ヘッドガントリーユニット4がそれぞれのステージ16a・16b・16cを跨って自由に移動できるよう連続的に構成されている。また、装置基体16の地面側には図示しない従来技術の除振機構が設けられている。
<基板載置台17の説明>
基板載置台17の上面には、図示しない微小な孔が複数形成されており、その孔の全てが図示しない吸引/送風機構に連結され、吸引/送風制御を行うことにより、基板載置台17上に載置された対象基板の吸着固定、もしくは基板載置台17からの対象基板の解放を行うことが可能となっている。
図3は、欠陥修復装置1に設けられたヘッドガントリーユニット4及び基板載置台17の動作を説明するための模式的断面図である。基板載置台17は、装置基体16上に設けられた図示しないスライドレール上をリニアモータ制御により移動することが可能であり、基板搬入若しくは基板搬出時には、図3に示すように基板載置台17は、矢印r1の方向に沿ってメンテナンス機構18と反対方向の装置端部に移動する。
さらに、基板載置台17には、図示しないθ回転機構が内在しており、スライドレール上をリニアモータ制御により一方向に移動することが可能となっており、また、載置した基板を面内方向に自在に回転させることが可能となっている。
さらに、基板載置台17は、スライドレールと直交する方向にも微調移動できる機構を有している。また、基板載置台17の上面は、平坦性が良い石定盤によって形成されており、液滴吐出ユニット3の吐出面と平行である。
<ヘッドガントリーユニット4の説明>
図4(a)は、ヘッドガントリーユニット4の構成を説明するためのZ方向から見た要部平面図であり、図4(b)は、X方向から見た要部正面図である。ヘッドガントリーユニット4の構成について、図4(a)(b)を参照して説明する。
ヘッドガントリーユニット4は、一対のガントリー23を浮上スライド機構16により連結した構成となっている。ガントリー23の一方の装置外側に向いた側面には、液滴吐出ユニット3及び吐出ユニットスライド機構24が複数個設けられている(図1に示す例では4ユニット)。
その反対面で、かつ2本のガントリー23の間に位置する部分には、基板の面内回転制御用のアライメントカメラ25が2台固定設置されている。図4では1台のみ図示されているが、同等のカメラ25が図4(a)の上方にさらに一台設置されている。
ガントリー23の他方は、装置外側に向いた側面に、ガントリー23の一方と同様に液滴吐出ユニット3及び吐出ユニットスライド機構24とを複数有する(図1に示す例では5ユニット)。その反対面で、かつ2本のガントリー23に挟まれた部分に、観察用カメラユニット27が、観察用カメラユニット27をガントリー23の長手方向に移動可能にするカメラスライド機構26を介して移動可能に取り付けられている。
<ガントリースライド機構5の説明>
ガントリースライド機構5は、浮上スライド機構16との間でヘッドガントリーユニット4をエアー浮上させるとともに、浮上スライド機構16との間のリニア駆動制御により、欠陥修復装置1本体からの制御信号に従って、ヘッドガントリーユニット4を図1のY方向に平行な方向に沿って任意の位置に移動させることが可能である。
<液滴吐出ユニット3の説明>
図5は、液滴吐出ユニット3の構成を説明するための図1のY方向から見た要部側面図である。液滴吐出ユニット3は、ヘッドガントリーユニット4上に設置された吐出ユニットスライド機構24に搭載されており、矢印r3方向に沿ってそれぞれ独立して移動可能である。
液滴吐出ユニット3は、吐出素子29と、駆動制御回路30と、電気接続ケーブル31と、インクタンク32aと、インク配管32bと、それらを収納する筺体28とを有している。筺体28が、吐出ユニットスライド機構24上をスライドする。
吐出素子29の基板載置台17の上面との平行面には、ノズルプレート33が接着されており、ノズルプレート33には複数のノズル孔12が形成されている。このノズル孔12の直径は、10〜20μmである。
吐出素子29は、圧電体基板に複数のインク室となる溝を形成した後、隔壁側面の一部に電極を形成して、隔壁の両側面の間に電界を印加して隔壁自体をせん断変形させて吐出エネルギーを発生させる公知の構成を使用した。駆動制御回路30は、図示しないケーブルにより、図示しない駆動制御システムに接続されて吐出制御が行われる。基板載置台17上に対象基板を載置した場合、ノズルプレート33の最下面である液滴吐出面と対象基板の上面との間の隙間は、0.5〜1mmになるように予め調整されている。
<吐出ユニットスライド機構24の説明>
図6は、吐出ユニットスライド機構24の構成を説明するための図1のX方向から見た要部正面図である。図6を参照して吐出ユニットスライド機構24の構成を説明する。
吐出ユニットスライド機構24は、2列のLMガイド35(株式会社THK製)と、2列のLMガイド35の間に設置したガントリーリニアスケール36からなり、液滴吐出ユニット3に取り付けられているリニア駆動機構34を駆動制御することで、図1のX方向に平行な方向(図6において紙面に垂直な方向)の所定の位置に液滴吐出ユニット3を摺動させることが可能である。リニアスケール36は、小型のN極及びS極の永久磁石を交互に規則配列させたものである。
リニア駆動機構34は、交流制御でN極及びS極を自在に発生できるものであり、リニアスケール36とリニア駆動機構34との間の磁石力により吐出ユニットスライド機構24上の液滴吐出ユニット3の位置制御を可能としている。なお、LMガイド35の有効移動ストロークは250mmであり、この有効ストローク以上の範囲でリニアスケール36は設置されている。吐出ユニットスライド機構24による液滴吐出ユニット3の摺動は、基板載置台17の上面と、液滴吐出ユニット3の液滴吐出面であるノズルプレート33との間のギャップが常に一定となるように予め調整されている。このギャップは、例えば0.2mm以上0.8mm以下に調整される。一般にこのギャップを0.2mm以下に設定すると、基板面にヘッドが接触して装置を故障させる可能性が高まるとともに、液滴を基板へ着弾させたときに生じる微小な跳ね返り滴がノズル面に到達し、ノズル面上に蓄積されて結果的に大滴化してしまう恐れがある。一方、0.8mm以上とすると、液滴が飛翔する時に風の影響を受け、着弾精度が悪化する。なお、他のガントリー23の側面に設けられている吐出ユニットスライド機構24も同様の構成であるため説明を除く。
<カメラスライド機構38の説明>
カメラスライド機構38の構成を、図6を用いて説明する。観察カメラユニット27は、ガントリースライド機構5に設けられたY方向に平行な方向の情報取得機能と、カメラスライド機構38に設けられたX方向に平行な方向の情報取得機能とにより、アライメントマークに対する対象基板のアドレス情報を出力することが可能である。観察カメラユニット27は、主に液滴吐出ユニット3から基板上に着弾した液滴の着弾画像を観察し、それぞれの液滴吐出ユニット3の吐出状態、若しくはアライメントマーク基準の着弾位置のアドレスを出力することができる。
観察カメラユニット27で得た着弾位置座標を用いて、それぞれの液滴吐出ユニット3について、Y方向に対しては吐出タイミングの補正により、X方向に対しては吐出ユニットスライド機構24の移動量の補正により、対象基板上の所望の位置に液滴を着弾させることができる。
カメラスライド機構38は、前述の吐出ユニットスライド機構24と同様に、2列のLMガイド39(株式会社THK製)と、2列のLMガイド39の列間に設置したカメラ用リニアスケール40とからなり、観察カメラユニット27に取り付けられているリニア駆動機構37を駆動制御することで、図1のX方向(図6における紙面に垂直な方向)の所定の位置に観察カメラユニット27を移動させることが可能である。なお、LMガイド39の有効移動ストロークは2500mmであり、この有効ストローク以上の範囲でリニアスケール40は設置されている。
<ノズル列の配列>
図7(a)は、液滴吐出ユニット3の構成を説明するための要部下面図であり、図7(b)は、他の構成の液滴吐出ユニット3aを説明するための要部下面図である。液滴吐出ユニット内のノズル孔の配列を図7(a)(b)を用いて説明する。図7(a)は、1種類の液体を吐出する液滴吐出ユニット3を複数搭載した装置を示す。ヘッドガントリーユニット4には、吐出ユニットスライド機構24を介して、液滴吐出ユニット3が矢印X方向(図1)に移動可能に取り付けられている。液滴吐出面であるノズルプレート33に形成されたノズル孔12は一列に配列し、矢印Bに対して直角な方向から数度傾いている。配列しているノズル孔12からは全て同一の液滴材料が吐出する。
図7(b)は、3種類の液体を吐出するノズルプレートを複数搭載した液滴吐出ユニット3aを有する装置を示す。液滴吐出ユニット3aには、第一の液滴材料を吐出するノズル孔12Rの列、第二の液滴材料を吐出するノズル孔12Gの列、及び第三の液滴材料を吐出するノズル孔12Bの列を有し、それぞれのノズル孔列が方向Bに対して直角な方向から数度傾いており、それぞれの列のB方向への投影領域はほぼ一致するように構成されている。また、それぞれのノズル孔列は、液滴吐出ユニット3a内でB方向に微小に移動可能となっていてもよい。
A方向からのノズル孔列の傾きをθとし、ノズルピッチをpとすると、B方向に投影したノズルピッチQは、
Q=p×sinθ、
となるため、実際のノズルピッチに比べてB方向のピッチQを高密度化できる利点がある。ピッチQを高密度化することで、複数のヘッドを組み合わせて1つのユニットを作製する際に、各ヘッドの位置合わせを厳密に行わなくとも、少なくともピッチQの精度以内で配列させることが可能となる。
なお、100〜200DPI(1インチ幅に100〜200個の孔が等ピッチで配列)のノズル孔ピッチで、1吐出素子あたり20〜80孔の吐出素子をθ=3〜10°傾斜させて用いることが好ましく、これは、吐出素子あたりの孔数が小さいほど、複数の素子を配列させてなる液滴吐出ユニットの全幅が小さくなり、不能領域が小さくすることができるためである。また、製造コストが安価な100〜200DPIの吐出素子をθ=3〜10°の範囲で傾斜させることにより、複数の吐出素子間の位置合わせを厳密に行わなくても、一度、試験吐出を行って吐出タイミング制御を行えば、B方向に投影したノズルピッチを5〜35μmにまで高密度化でき、カラーフィルタや、有機EL表示装置などの、画素サイズよりも高密度の配列を実現することができる。
<基板搬入動作の説明>
図8(a)〜図8(c)は、ヘッドガントリーユニット4及び基板載置台17の動作を説明するための図1のX方向から見た模式的断面図である。
従来技術では、同一基板上の有効画素部以外の領域に、インクのダミー吐出を行うことにより、不吐出検査を行っているのに対し、本実施の形態の欠陥修復装置は、不吐出検出器を含むメンテナンス機構18を、基板に塗布処理を行う領域以外の領域であるサブステージ16cに設けた構成を有している。
図8(a)は対象基板2を処理した後の状態を示す。基板処理後は図8(b)に示すように、欠陥修復装置の基板載置台17は矢印r1の方向に沿って紙面左側(サブステージ16b側)にスライドすると共に、ヘッドガントリーユニット4は、矢印r2の方向に沿ってメンテナンス機構18の直上に移動する。そして、基板載置台17は、処理済の対象基板2の吸着を解放した後に、図示しない搬送ロボットに受け渡す。その後、搬送ロボットは次の対象基板2aを基板載置台17に載せる。そして、載せられた対象基板2aは、即座に基板載置台17にエアー吸着され、基板載置台17は図8(c)の矢印r4に示す方向に沿って元の位置(図8(a)に示す位置)に戻る。
基板載置台17から対象基板2が搬出され、次の対象基板2aが搬入されて、基板載置台17が元の位置に戻る間に、並行して液滴吐出ユニット3に対して、通常のメンテナンス動作が行われる。メンテナンス動作では、ヘッドガントリーユニット4は、メンテナンス機構18上に移動し、移動を完了した後はメンテナンス作業を行う。具体的には、液滴吐出ユニット3のノズルプレート面は、図8(b)に示すように、ゴム製のキャップ部材19によりキャップされる。また、キャップされた後、キャップ部材19の底部にある通気口より負圧吸引されて、ノズルプレートのノズル孔から液を強制排出することによりノズル孔のダスト等を除去する。その後、ノズルプレート面を図示しないワイプブレードでワイプする。そして、後述する不吐出検出器により、ノズル孔からの吐出状態をチェックする。これら一連のメンテナンス動作の順序は、前述した順序と異なっていても良い。
新たな対象基板2aが載置された基板載置台17と、液滴吐出ユニット3のメンテナンス動作が完了したヘッドガントリーユニット4とは、ほぼ同時に図8(c)に示す矢印r4・r5の方向にそれぞれ移動し、図8(a)に示す位置に到達する。
<メンテナンス動作の説明>
基板の搬出及び搬入を実行する間、または基板への液滴吐出動作を長期間実施しないときは、液滴吐出ユニット3に対してメンテナンス動作を実行する。このメンテナンス動作は、不吐出検出動作と、キャップ動作と、キャップ内吸引パージ動作と、ワイピング動作とを含む。先の対象基板を処理した後に、次の対象基板の処理を直ちに行う場合、先の対象基板の搬出動作の命令が与えられるのと同時に、液滴吐出ユニット3を搭載したヘッドガントリーユニット4は、メンテナンス機構18の直上への移動命令が与えられる。
図9(a)は、不吐出検出器13の構成を説明するための図1のX方向から見た正面図であり、図9(b)は、図1のZ方向から見たその下面図である。メンテナンス機構18は、レーザー発光素子41とレーザー受光素子42とを有する不吐出検出器13を有している。この不吐出検出器13は、液滴吐出ユニット3a毎に設置されている。
図示しないレーザー発光回路に接続されたレーザー発光素子41は、不吐出検出の指令を受けると、レーザー受光素子42に向けてレーザー光を連続的に照射する。レーザー受光素子42に接続された受光量計測回路は、通常の受光量を記憶している。レーザー照射方向は、図9(a)(b)に示すように基板面及びノズルプレート33(・33R・33G・33B)の表面に略平行で、かつノズル孔12R・12G・12Bの列に略平行である。レーザー光は直径1mmであり、一つの液滴吐出ユニット3aの全てのノズル孔12R・12G・12Bから吐出される液滴は、このレーザー光軸内を通過するように配置されている。
レーザー発光素子41及びレーザー受光素子42は、微動機構を有しており、万一レーザー光軸内を液滴が通過しない場合は、位置を調整する。まず初めに第一番目のノズル孔12Rから液滴を一定時間吐出させて受光量計測回路からの光量を読み取り、通常の受光量と比較して、遮光量を計測し、その値が予め設定した設定値の範囲内にあるか判断し、設定値の範囲内の場合は正常吐出とみなし、それ以外は吐出不良とみなす。
次に2番目、3番目と順次同様の吐出制御及び遮光量計測を行い、液滴吐出ユニット3aの全てのノズル孔12R・12G・12Bについて、吐出不良の有無を確認する。吐出不良が無ければ、液滴吐出ユニット3aをキャップ位置に移動させて、基板搬入動作が完了する直前までキャッピングを行う。
吐出不良がある場合、従来技術で行われている回復動作を実行する。例えば、液滴吐出ユニット3aをキャップ位置に移動させ、そして、キャッピングし、次に、キャップを負圧に引いてノズル孔から強制排出させ、その後、キャップ解除して、ワイピングを行い、再度、不吐出検出を行う。
この不吐出検出と回復動作とを、吐出不良が無くなるまで数回を限度に繰り返して実行する。そして、吐出不良が回復しない場合は、その旨を欠陥修復装置に出力する。なお、先の対象基板を処理する直前の不吐出検出結果と、先の対象基板を搬出中に行う不吐検出結果とを比較して、吐出状態に変化が認められる場合には、先の対象基板の処理が不適として廃棄するか、修復工程に回すことができる。
図10は、従来の欠陥修復装置の不吐出検査と基板の搬出入とのタイミングを説明するための図である。図11は、本実施の形態に係る欠陥修復装置の不吐出検査と基板の搬出入とのタイミングを説明するための図である。
本実施の形態に係る欠陥修復装置のように、不吐出検出器を含むメンテナンス機構18を、基板に塗布処理を行う領域以外の領域であるサブステージ16cに設けて構成することにより、基板のロードと不吐出検査とをほぼ同時に行うことが可能となり、基板処理のタクトタイムが短縮できることを、図10・11に示すタイムチャートに従って、以下に説明する。
まず、従来技術では、図10に示すように、基板搬出指令(P1)が出た後に、同図のように、基板載置台17が移動を開始する(P2)。この時、メンテナンス機構は、次の基板が新たに搬入されるまで、動作に入れないために、待機状態となっている。
そして、基板載置台17の移動が完了した後、基板吸着が解除されて(P3)、基板が搬出される(P4)。この間、メンテナンス機構は、依然として待機状態である。
基板が搬出された後、次の基板が基板載置台17の上に新たに搬入されて(P5)、さらに同図のように、次の基板が基板載置台17の上に吸着される(P6)。この間、メンテナンス機構は、依然として待機状態である。
次の基板が吸着された後、基板載置台17が移動を開始する(P7)。この間、メンテナンス機構は、依然として待機状態である。
基板載置台17が移動した後、最初の画素を着色する前に、液滴吐出ユニットは同一基板上の有効画素部以外の領域にインクのダミー吐出を行い、不吐出検査を行う(P8)。このように従来の構成では、基板上でなければ、不吐出検査ができないために、メインステージ16a上の基板載置台17に基板が存在しない搬出・搬入中はメンテナンス機構が動作に入れず待機状態となっている。
そして、次の基板を載置した基板載置台17が移動した後、次の基板処理の前に、メンテナンス動作を行うために、図10に示すメンテナンス時間Tm1は、基板処理のタクトタイムとして加算される。
次に、本実施の形態に係る基板処理のタイムチャートを図11に従って説明する。基板処理後に、基板搬出指令(P1)と不吐検出指令(メンテナンス指令)(P11)とを同時に発令する。そして、基板載置台17の移動(P2)とヘッドガントリーユニット4の不吐出検出位置への移動(P12)とが同時に開始する。
図8(b)に示すように、欠陥修復装置の基板載置台17は矢印r1の方向に沿って紙面左側にスライドすると共に、ヘッドガントリーユニット4は、矢印r2の方向に沿ってメンテナンス機構18の直上に移動する。本実施の形態の欠陥修復装置の構成のように、不吐出検出器を含むメンテナンス機構18を、基板に液滴吐出処理を行う領域以外の領域に設けることにより、このような並行動作が可能となる。
そして、液滴吐出処理済の対象基板の吸着を解放する(P3)。その後、図示しない搬送ロボットに対象基板を受け渡して搬出する(P4)。
次に、搬送ロボットは、次の対象基板を基板載置台17に載せる(P5)。そして、基板載置台17に載せられた次の対象基板は、即座に基板載置台17にエアー吸着される(P6)。その後、次の対象基板を載せた基板載置台17は元の位置(図8(a)の位置)に戻る。
図11に示す(P3)・(P4)・(P5)・(P6)・(P8)のように、基板載置台17から対象基板が吸着解除・搬出され、新たな対象基板が搬入されて、基板載置台17によって吸着されるまでの間に、並行して液滴吐出ユニット3は、通常の不吐出検出を含むメンテナンス動作が行われる。したがって、従来のメンテナンス時間(図10のTm1)に比べて、メンテナンス時間(図11のTm2)を長く取ることができ、十分な検査を行うことができる。
ヘッドガントリーユニット4は、メンテナンス機構18の上に移動し(P12)、移動を完了後に、不吐出検出を含むメンテナンス作業を行う(P8)。図8(a)(b)(c)に示すように、メンテナンス機構18は、基板処理を行う領域が設けられたメインステージ16aを挟んで、搬送ロボットにより基板を搬出入するサブステージ16bと反対側の領域に存在する。不吐出検査では、ダミー吐出により液滴が周囲へ飛散する恐れがあるため、基板と離れたサブステージ16c上の位置でダミー吐出を行うことで、基板汚染を防止する効果がある。
メンテナンス機構18は、レーザー発光機能とレーザー受光機能とを有する不吐出検出器を有している。この不吐出検出器は、各液滴吐出ユニット毎に設置されている。各液滴吐出ユニットの不吐出検出は、液滴吐出ユニット毎に設置された不吐出検出器により並行して行う。これにより、各液滴吐出ユニットの不吐出検査にかけられる時間が増えるために、十分な不吐出検査を行うことができる。
新たに搬入された次の基板が基板載置台17によって吸着される(P6)までの間に、液滴吐出ユニット3のメンテナンス動作(P8)が完了する。したがって、従来技術と比べ、メンテナンス時間(図10のTm1)だけ、タクトタイムを短縮することができる。
図11に示す(P7)(P13)のように、次の対象基板が搭載された基板載置台17と、液滴吐出ユニット3のメンテナンス動作が完了したヘッドガントリーユニット4とは、ほぼ同時に図8(c)に示す矢印r4・r5方向に移動し、図8(a)に示す位置に到達する。基板載置台17とヘッドガントリーユニット4とが図8(a)に示す位置に戻るタイミングが同時になるようにメンテナンス時間を調整することで、最も効果的にタクトアップを図り、かつメンテナンス時間を長くとることができる。
図12は、本実施の形態に係る欠陥修復装置1のシステム構成を示すブロック図である。欠陥修復装置1は、基板処理指令制御ユニット48と、ガントリースライド機構制御ユニット44と、メンテナンス機構制御ユニット45と、基板搬送機構制御ユニット46と、基板搬出入機構制御ユニット47と、アライメント動作指令制御ユニット49とを備えている。
欠陥修復装置1には、吐出ノズル決定部15が設けられている。吐出ノズル決定部15は、対象基板2に点在する欠陥の位置データに基づいて、液滴吐出ユニットのノズルの中から、液滴を対象基板2上の欠陥に吐出するノズルを決定する。メンテナンス機構制御ユニット45は、判別部14を有している。判別部14は、吐出ノズル決定部15によって決定されたノズルの不吐出検出器13による不吐出の検出結果に基づいて基板不良の有無を判別する。
ガントリースライド機構制御ユニット44は、移動方向反転部6を有している。移動方向反転部6は、ガントリースライド機構5の移動方向を反転させる。
ガントリースライド機構制御ユニット44には、反転回数決定部7が設けられている。反転回数決定部7は、欠損部の位置データに基づいて、移動方向反転部6の反転回数を決定する。反転回数決定部7は、個別算出部8を有している。個別算出部8は、欠損部の位置データに基づいて、移動方向反転部6による反転回数を各液滴吐出ユニット3毎に個別に算出する。反転回数決定部7には、最終決定部9が設けられている。最終決定部9は、個別に算出した反転回数のうちの最大値以上の値を、移動方向反転部6による反転回数として決定する。
基板処理指令制御ユニット48は、基板への液滴吐出処理が完了すると、ガントリースライド機構制御ユニット44に設けられた移動指令部44aと、基板搬送機構制御ユニット46に設けられた移動開始部46aとに、基板処理指令を与える。
そして、移動指令部44aは、ガントリースライド機構5をメンテナンス機構18の上に移動させる。次に、メンテナンス位置移動確定部44bは、ガントリースライド機構5がメンテナンス機構18の上に到達したことを確認して、メンテナンス機構制御ユニット45に設けられた不吐出検出開始部45aに通知する。
その後、不吐出検出開始部45aは、不吐出検出器13により各液滴吐出ユニット3の不吐出検出を開始する。そして、不吐出データ処理部45bは、不吐出検出器13による各液滴吐出ユニット3の不吐出検出データを処理する。次に、回復動作指令部45cは、不吐出検出器13により不吐出が検出された液滴吐出ユニット3の回復動作の実行を指令する。その後、キャップ指令部45dは、液滴吐出ユニット3のノズル孔をキャッピングするキャップ指令を発行する。そして、キャップ時間管理部45eは、液滴吐出ユニット3のノズル孔をキャッピングしているキャップ時間を管理する。次に、キャップ解除指令部45fは、キャップ時間が経過した後、キャッピングを解除するための指令を、ガントリースライド機構制御ユニット44に設けられた移動指令部44cに与える。
その後、移動指令部44cは、ヘッドガントリーユニット4をアライメント位置に移動させる。そして、アライメント位置移動確定部44dは、ヘッドガントリーユニット4がアライメント位置に到達したことを確認してアライメント動作指令制御ユニット49に通知する。
基板処理指令制御ユニット48から基板処理指令を与えられた基板搬送機構制御ユニット46の移動開始部46aは、対象基板を載置した基板載置台17をサブステージ16b側に移動させる。そして、停止位置検出部46bは、基板載置台17がサブステージ16b側の搬出位置に到達して停止したことを検出する。次に、吸着解除部46cは、基板載置台17による対象基板の吸着を解除して、基板搬出入機構制御ユニット47に設けられた搬出指令部47aに通知する。
搬出指令部47aは、基板載置台17上の対象基板のロボットによる搬出を指令する。そして、搬出確定部47bは、対象基板が搬出されたことを確認する。次に、搬入指令部47cは、次の対象基板のロボットによる基板載置台17上への搬入を指令する。その後、搬入確定部47dは、次の対象基板が基板載置台17上に搬入されたことを確認して、基板搬送機構制御ユニット46に設けられた吸着指令部46dに通知する。
吸着指令部46dは、次の対象基板の基板載置台17への吸着指令を発行する。そして、移動開始部46eは、対象基板を吸着した基板載置台17をメインステージ16a側に移動させる。次に、停止位置検出部46fは、基板載置台17のメインステージ16a上の所定の停止位置を検出して基板載置台17を停止させる。その後、所定位置停止確定部46gは、基板載置台17が所定の停止位置に到達して停止したことを確認してアライメント動作指令制御ユニット49に通知する。
アライメント動作指令制御ユニット49は、アライメント位置移動確定部44dからの通知と所定位置停止確定部46gからの通知とを受け取ると、アライメント動作を指令するアライメント動作指令を発行する。
<不吐出検出の手順>
図13は、液滴吐出ユニットの不吐出検出の概略手順を示すフローチャートである。まず、液滴吐出ユニットの不吐出検出の基本的概念を説明する。欠陥修復装置は、液滴吐出ユニットが基板上に液滴を吐出する基板処理の前に各液滴吐出ユニットの不吐出を検出する処理前不吐出検出器と、基板処理の後に各液滴吐出ユニットの不吐出を検出する処理後不吐出検出器とを備えている。本実施の形態に係る欠陥修復装置1の不吐出検出器13のように、処理前不吐出検出器と処理後不吐出検出器とは、同一の不吐出検出器によって構成することが好ましい。
まず、液滴吐出ユニットを、処理前不吐出検出器に移動させる(ステップS21)。そして、処理前不吐出検出器により、液滴吐出ユニットに形成された各ノズルの不吐出検出を行う(ステップS22)。次に、液滴吐出ユニットにより、基板上に点在する欠陥に液滴を塗布する(ステップS23)。その後、液滴吐出ユニットを、処理後不吐出検出器に移動させる(ステップS24)。そして、処理後不吐出検出器により、液滴吐出ユニットの各ノズルの不吐出検出を行う(ステップS25)。
次に、処理前不吐出検出器による各ノズルの不吐出検出結果と、処理後不吐出検出器による各ノズルの不吐出検出結果とを比較する(ステップS26)。比較結果が一致しない場合には、比較結果が一致しなかったノズルが異常であると判断し(ステップS28)、液滴を塗布した基板を修復(リペア)工程に搬送する。比較結果が一致した場合には、ノズルは正常であると判断し(ステップS27)、次の処理工程に基板を搬送する。
図14は、液滴吐出ユニットの不吐出検出の詳細手順を示すフローチャートである。この図14は、基板載置台17側の動き(フローチャート左側)と、ガントリーユニット10の動き(フローチャート右側)とに分かれている。N−1番目(Nは2以上の整数)の基板の塗布処理が完了した時点(ステップS51)で、N−1番目の基板は搬出されて、その後、次のN番目の基板が基板載置台17に載置されて所定位置まで移動する(S64からS70)。具体的には、N−1番目の基板の搬出指令が発行されると(ステップS64)、基板載置台17は、サブステージ16b側に移動し(ステップS65)、基板の吸着を解除して(ステップS66)、N−1番目の基板を搬出する(ステップS67)。そして、次の次のN番目の基板を基板載置台17上に搬入し(ステップS68)、この次のN番目の基板を吸着して(ステップS69)、基板載置台17は、メインステージ16a上の定位置に移動する(ステップS70)。
一方、液滴吐出ユニット3を搭載したガントリーユニット4は、不吐出検出指令を受け(ステップS52)、その後メンテナンス機構18の直上まで移動する。(ステップS53)。
そして、N−1番目の不吐出検出を実行する(ステップS54)。不吐検出の方法は、前述したとおりである。この不吐出検出では、ノズルの全数について吐出の有無を観測し、不吐出のノズル番号を記憶手段に記憶させる(ステップS55)。吐出ノズル決定部15(図12)は、処理基板(ここではN番目の基板)について、予め決定している塗布データに基づいて吐出させるべきノズル番号、そのノズル番号ごとの吐出タイミング及び吐出量を決定している。
そして、不吐出のノズル番号と、吐出させるべきノズル番号とを照合し、吐出させるべきノズルに不吐出がないか判断する(ステップS56)。吐出させるべきノズルに不吐出がない場合には、基板載置台17が定位置に移動するまで、ノズル面をキャップして(ステップS60)、待機させる(ステップS61)。
一方、吐出させるべきノズルに不吐出がある場合には、不吐ノズル情報を元に、ステップS56において、第2候補、第3候補のノズル群を選定し、所望の位置への所望パターンの描画の可否を判断する。
描画不可との判断が出た場合、回復動作指令が発行されて(ステップS57)、キャッピング、及び負圧吸引の回復動作がなされ(ステップS58)、その後、ワイピング動作が実行される(ステップS59)。
そして、再度、ステップS54の不吐出検出が実行され、ステップS54〜S56の判断、及び不可の場合は、ステップS57〜ステップS59までの動作を繰り返す。
ステップS56による不可の判断が一定回数以上(n回以上)繰り返されると、液滴吐出ユニットが不良と判断されて装置停止命令が出され、装置は停止して(ステップS62)、液滴吐出ユニットの交換が実施される。
なお、ステップS56による不可の判断n回は、ステップS64〜ステップS70が行われる時間以内に、ステップS54〜ステップS59が実行可能な最大回数とすることで、装置を効率よく稼動させることができる。
キャップ待機している液滴吐出ユニット3を搭載したガントリーユニットは、基板載置台17の定位置移動(ステップS70)とほぼ同時期に、所定のアライメント位置まで移動する(ステップS63)。そして、N番目基板のアライメント動作を実行し(ステップS71)、N番目基板の所定位置に液滴を塗布する作業を実行する(ステップS72)。ステップS51からステップS72の動作を繰り返し実行することで、複数の処理基板に対して連続的に液滴を塗布することが可能となる。
図15は、液滴吐出ユニットのメンテナンス動作と基板搬出入動作との手順を示すフローチャートであり、不吐出検出と不吐出ノズル情報に着目したフローチャートである。
複数の処理基板が連続的に処理される中、N−1番目、N番目、及びN+1番目の処理基板に注目する。N−1番目の基板の処理(ステップS31)が完了すると、最初の不吐出検出が実行される(ステップS32)。そして、吐出すべきノズルが不吐出である場合は、n回を限度として回復動作、不吐出検出を繰り返す(ステップS33)。
吐出すべきノズルに不吐出が無いとの判断が行われた場合、全ノズルの吐出/不吐出のデータである不吐出ノズル情報Aが記憶手段に記憶される。(ステップS34)。
ここで、ステップS32において、吐出すべきノズルに不吐出が無いとの判断が行われると、ステップS32における全ノズルの吐出/不吐出のデータが不吐出ノズル情報Aとして記憶手段に記憶される。
そして、N番目の基板への塗布作業を行う(ステップS35)。その後、N番目の不吐検出の1回目が行われる(ステップS36)。ステップS36において得られた全ノズルの吐出/不吐出のデータは、不吐出ノズル情報Bとして記憶手段に記憶され(ステップS37)、不吐出ノズル情報Aと不吐出ノズル情報Bとの間で照合、比較が行われる(ステップS38)。
この比較において、不吐出ノズル情報Aと不吐出ノズル情報Bとの間に差が無い場合、若しくは殆ど差が無い場合は、N番目の基板の処理は良と判断される。
一方、不吐出ノズル情報Aと不吐出ノズル情報Bとの間に大きな差が見られた場合は、N番目の基板の処理は不良と判断する。
なお、不吐出ノズル情報Aと不吐出ノズル情報Bとの間の差による良否の判断基準は、描画パターンによって異なり、両者の間が完全一致する必要のあるもの(微小パターンを少数のノズルで受け持つ場合など)や、概ね一致してれば良いものもある。
そして、ステップS36にて、吐出すべきノズルが不吐出の場合は、n回を限度として回復動作、不吐検出を繰り返す(ステップS39)。吐出すべきノズルに不吐出が無いとの判断が行われた場合、全ノズルの吐出/不吐出のデータである不吐出ノズル情報Cが記憶手段に記憶される(ステップS40)。
なお、S36において、吐出すべきノズルに不吐出が無いとの判断が行われると、S39の全ノズルの吐出/不吐出のデータが不吐出ノズル情報Cとして記憶手段に記憶される。
インクジェット方式の製造装置においては、連続して基板を処理する場合、不吐出ノズルが徐々に増加することは少なく、S32及びS33、S36及びS39は同一となる場合が殆どであり、この場合、不吐ノズル情報B及び不吐ノズル情報Cは同一となる。
そして、N+1番目の基板への塗布作業を行う(ステップS41)。その後、N+1番目の不吐出検出の1回目が行われる(ステップS42)。ステップS42において得られた全ノズルの吐出/不吐出のデータは、不吐出ノズル情報Dとして記憶手段に記憶され(ステップS43)、不吐出ノズル情報Cと不吐出ノズル情報Dとの間で照合、比較が行われる(ステップS44)。この比較において、不吐出ノズル情報Cと不吐出ノズル情報Dとの間に差が無い場合、若しくは殆ど差が無い場合は、N+1番目の基板の処理は良と判断される。
前述したように、不吐出ノズル情報Aと不吐出ノズル情報Bとの間の差による良否の判断基準は、描画パターンによって異なるが、この判断基準の具体例を示す。例として、液晶表示装置に用いる、カラーフィルタ基板の修正を例として説明する。
カラーフィルタ基板の1画素に欠損(ダストなどにより本来色を表示しないもの)が見られた部分については、YAGレーザ等で欠損画素領域を矩形に除去した後、インクジェット技術で、欠損領域に液滴を滴下し、その後固化することが行われる。画素領域は、液晶表示装置の解像度、パネルサイズにより異なるが、一例として、1色画素サイズ300×100μm、厚み2μmのカラーフィルタ基板の修復について、説明する。
液滴材料の固形分10%の液滴材料を用いると、2μm厚の固形膜を形成するためには、約10倍の液滴量を塗布したのち硬化させる必要がある。よって、300×100μm、厚み2μmのカラーフィルタ基板を修復するためには、約600plの液滴を滴下する必要があり、1滴あたり4plの液滴を吐出可能な液滴吐出ユニットでは150滴を滴下する。なお、1plとは、ピコリットル(=10−12リットル)を意味する。
なお、カラーフィルタ基板は、一般に色再現性の観点から、厚みの許容値が設定されており、厚み許容値2±0.2μmとすると、液滴数の許容値は概ね150±15滴となる。この滴下を1ノズルで行う場合、このノズルが不吐出だと判断されると、その基板もNG(不良)と判断される。
一方、全15ノズルで液滴を吐出するとき、1ノズル辺りの受け持ち数が均等であれば、1ノズルあたり150滴の15分の1の10滴を吐出することとなる。よって、この場合、使用する15ノズル中の1ノズルが、基板処理後に、不吐出になったと判断されても、処理された基板は良と判断されてもよい。
逆に、使用前にOKであった使用ノズルのうち、1ノズルでも不吐となった場合には、上記判断とは別にNG(不良)と判断してもよく、その判断は処理後の基板の望まれる姿に依存する。
また、3ノズルを使用して、ノズルAが100滴、ノズルBが40滴、ノズルCが10滴を受け持つ場合、ノズルCが不吐出となった場合にはOK(良)と判断してもよい(ノズルA+ノズルBで、必要最小限である135滴を超える140滴を満足するため)。
また、不吐出確率が高くなるような液滴を用いる場合には、目標の液滴吐出数を多めに設定しておき、不吐出ノズル数の許容数を多くしてもよい。例えば、150滴の欠損を15ノズルで埋める場合には、11滴/ノズルとして、目標値165滴に設定しておき不良ノズルの限界数を2ノズルとする(そのままでは1ノズルのみ)。
図16は、欠陥修復装置1の液滴吐出制御ユニット50を説明するためのブロック図である。本実施の形態の液滴吐出制御ユニット50は、情報入力部50aと、巡回欠陥修復シーケンス処理部50bと、インク吐出制御部50fとを有している。上記巡回欠陥修復シーケンス処理部50bは、データ入力部50cと、判定部50dと順番決定部50eと分担決定部10とを有している。
本実施の形態の欠陥修復装置1では、上記液滴吐出ユニット3は、対象基板2(図8(a)(b)(c))に対して相対的に移動可能である。言い換えれば、本実施の形態の欠陥修復装置では、(1)固定部材によって固定された対象基板(媒体)に対して、移動部材によって液滴吐出ユニット3が移動可能となっている構成、あるいは、(2)固定部材によって固定された液滴吐出ユニット3に対して、移動部材によって対象基板が移動可能になっている構成、さらには、(3)移動部材によって、液滴吐出ユニット3および対象基板の双方が移動可能になっている構成の何れであってもよい。なお、固定部材や移動部材の具体的構成は特に限定されるものではなく、本発明の技術分野において公知の構成を適宜採用することができる。
対象基板に対する液滴吐出ユニット3の相対的な移動は、インク吐出制御部50fによって制御される。例えば、上記(1)の構成であれば、移動部材による液滴吐出ユニット3の移動が制御され、上記(2)の構成であれば、移動部材による対象基板の移動が制御され、上記(3)の構成であれば、移動部材による液滴吐出ユニット3および対象基板の双方の移動が制御される。上記(1)の構成の場合は、図12に示されるガントリースライド機構制御ユニット44が、インク吐出制御部50fに相当する。なお、具体的な移動の制御と、対象基板に対する液滴吐出ユニット3の位置を決定する制御とについては、上記(1)の構成を挙げて後述する。
本実施の形態の欠陥修復装置では、情報入力部50aからインク吐出対象(欠損部)に関する情報などが入力される。上記情報入力部50aは、点在する複数のインク吐出対象に関する情報などを、データ入力部50cへ入力する。情報としては、媒体上に点在する複数のインク吐出対象へインクを吐出する順番を決定するための情報であればよく、特に限定するものではない。例えば、インク吐出対象のCFパネル上での位置情報などが挙げられる。また、情報入力部50aとしては、公知の構成を用いることが可能であり、特に限定するものではないが、例えば、カメラを搭載する画像認識装置などによってインク吐出対象を認識し、その位置情報を得、その位置情報をデータ入力部50cへ入力する構成であってもよい。
データ入力部50cは、上記情報入力部50aからの情報を受信する。受信された情報は、判定部50dへ入力される。データ入力部50cとしては、特に限定するものではなく、公知の構成を適宜使用することができるものとする。
分担決定部10は、情報入力部50aに入力された情報に基づいて、複数個のインク吐出対象(吐出標的)を各液滴吐出ユニット3に分担させる。
判定部50dは、データ入力部50cから入力される情報に基づいて、液滴吐出ユニット3が最初にインクを吐出するインク吐出対象を決定し、それを始点とする。上記始点の選択方法としては特に限定するものではない。例えば、媒体上に点在する複数のインク吐出対象の中で、Y座標値が1番大きなものを選択してもよいし、1番小さなものを選択してもよい。あるいは、液滴吐出ユニット3から1番近い位置に存在するインク吐出対象を始点として選択することも可能である。
また、判定部50dは、データ入力部50cから入力される情報に基づいて、任意のインク吐出対象を、第1のインク吐出標的とする場合、上記液滴吐出ユニット3が上記第1のインク吐出標的から他のインク吐出対象へ移動する場合における主走査方向移動時間(Yt)と副走査方向移動時間(Xt)とを計算し、該副走査方向移動時間(Xt)が主走査方向移動時間(Yt)以下となるインク吐出対象を次順のインク吐出標的候補として判定する。
また、上記判定部50dは、データ入力部50cから入力される情報に基づいて、任意のインク吐出対象を、第1のインク吐出標的とする場合、上記第1のインク吐出標的から近い位置に存在するインク吐出対象から順番に、上記液滴吐出ユニット3が上記第1のインク吐出標的から他のインク吐出対象へ移動する場合における主走査方向移動時間(Yt)と副走査方向移動時間(Xt)とを計算し、該副走査方向移動時間(Xt)が主走査方向移動時間(Yt)以下となるか否かを判定し、かつXt≦Ytの条件を満たすインク吐出対象を、次順のインク吐出標的として決定する。
順番決定部50eは、上記次順のインク吐出標的候補の中から、上記第1のインク吐出標的から最も短い時間で到達できるインク吐出対象を次順のインク吐出標的として決定する。なお、上記順番決定部50eは、上記判定部50dが、上記第1のインク吐出標的からより近い位置に存在するインク吐出対象から順番に判定を行う場合には、一番始めに次順のインク吐出標的候補として判定されたものを、次順のインク吐出標的候補として決定する。したがって、この場合には、上記順番決定部50eは、省略されることも可能である。
インク吐出制御部50fは、インクを吐出する順番にしたがって、液滴吐出ユニット3をインク吐出対象に対して移動させたり、液滴吐出ユニット3をインク吐出対象に対向させた状態で、主走査方向または副走査方向に傾けることが可能である。また、インク吐出制御部50fは、液滴吐出ユニット3を移動させることもできるし、インク吐出対象を含む基板を移動させることも可能であり、特に限定するものではない。
液滴吐出ユニット3は、インクをインク吐出対象に対して吐出する。上記液滴吐出ユニット3としては、特に限定するものではなく、適宜、公知の構成を用いることが可能である。
図17は、液滴吐出制御ユニット50の動作を説明するためのフローチャートである。
(ステップS81の処理について)
まず、情報入力部50aは、媒体上に点在する複数のインク吐出対象へインクを吐出する順番を決定するための情報を入手する(ステップS81)。先ず基板上に点在した各インク吐出対象について、基板上の各XY座標値、インク吐出対象を矩形とした場合の上記インク吐出対象のX座標軸方向およびY座標軸方向の長さ、並びに液滴吐出ユニット3がX座標軸方向およびY座標軸方向に移動する速度などを入力情報とする。さらに、インク吐出対象にインクを吐出する際、Y座標軸方向に移動する距離(上記インク吐出対象のY座標軸方向の長さ)に加え、液滴吐出ユニット3がインク吐出位置のX座標値に到達したときに停止に要する時間と、その停止に要する時間でY座標軸方向に移動する距離と、X座標軸方向に向かって移動する際の加減速とも加味するものとする。
インク吐出順番が未決定であるインク吐出対象の集合を集合R1とし、その要素をP(i),i=1〜n(nはインク吐出対象箇所数)で示す。また、液滴吐出ユニット3が、Y座標軸方向の一方向に向かって移動する間にインク吐出可能な対象としてインク吐出順を決定したインク吐出対象の集合を集合R2とし、その要素をPP(j)(k),j=1〜s、k=1〜mで示す。なお、液滴吐出ユニット3が、Y座標軸の一方向に向かって移動を開始し、次に移動方向を変えるまでの移動を「1回の主走査方向への移動」と規定した場合、上記jは、PP(j)(k)にインクが吐出されるときの、液滴吐出ユニット3の移動回数を示し、sは、全移動回数を表す。また、kは、jによって規定される移動中にインクが吐出されるインク吐出対象のインク吐出順を示し、mは、jによって規定される移動中にインクが吐出されるインク吐出対象の個数を示す。なお、jとkとの初期値を、それぞれ1とする。
(ステップS82の処理について)
次いで、判定部50dによって、入力された情報に基づいて始点を決定する(ステップS82)。始点の決定方法としては、例えば、各インク吐出対象の基板上でのY座標値に基づいて、各インク吐出対象を並び替える。このとき、例えば、Y座標値の大きな順または小さな順でデータを並べ替えることが可能である。このとき、Y座標軸のマイナス方向を主走査方向とする場合はY座標値を大きなものから順に並べ、Y座標軸のプラス方向を主走査方向とする場合はY座標を小さいものから順に並べるものとする。また、各インク吐出対象を並び替える方法として、液滴吐出ユニット3から直線距離として近いものから順に、並べ替えることも可能である。なお、インク吐出対象を並べ替える基準には様々な基準があり、特に限定するものではない。
並べ替えたインク吐出対象全体を含む集合を集合R1とすると、各インク吐出対象は、集合R1の要素としてP(i),i=1〜n(nはインク吐出対象箇所数)として並び替えられる。そして、この集合R1の中から、最初の要素P(1)を選択して取り出し、集合R1から取り除き、新たに集合R2に入れる。このとき、集合R1の要素は、P(i)、i=2〜nとなり、集合R2の要素は、PP(j)(k)=P(1)となる。そして、このPP(j)(k)を始点とする。
(ステップS83の処理について)
次いで、判定部50dによって、インク吐出標的候補の選択のためにXt及びYtを算出する(ステップS83)。具体的には、液滴吐出ユニットが、PP(j)(k)から、集合R1の要素である各インク吐出対象、つまりP(i)、i=2〜nに向かって移動して到達するために要する、X座標軸方向およびY座標軸方向への移動時間を算出する。そして、X座標軸方向への移動時間がY座標軸方向への移動時間以下となる集合R1中の要素を、インク吐出標的候補と判定する。
なお、このとき、集合R1の要素である各インク吐出対象が判定される順番は、特に限定するものではない。判定する順番として、上記始点から近いものから順に判定してもよい。この場合、全てのインク吐出対象についてXt≦Ytの条件を満たすか否かを判定する必要がなく、最初にXt≦Ytの条件を満たすものが、次順のインク吐出標的として決定される。
以下に、PP(j)(k)から、集合R1の各要素に向かって移動して到達するために要する、X座標軸方向およびY座標軸方向への移動時間の算出方法を示す。
まず、Y座標軸方向への移動時間の算出方法について示す。ここで、Y座標軸方向への移動時間をYt(秒)、Y座標軸方向への移動距離をY1(mm)、Y座標軸方向への等速移動速度をa(mm/秒)とすると、Ytは、以下の(1)式によって示される。
Yt=Y1/a (1)式
次に、X座標軸方向への移動時間の算出方法について示す。X座標軸方向への移動は、加速、等速移動、減速、および停止の4種類の過程を含む。X座標軸方向への移動時間をXtとすると、Xtは、加速、等速移動、減速、および停止の4種類の過程に要する時間の和である。そこで以下に、それぞれの過程に要する時間を示す。なお、ここで停止とは減速が終了したインク吐出部16が、X座標軸方向に対して静止する過程である。
まず、加速、減速および停止に要する時間をそれぞれd1、d2およびc(秒)とし、加速および減速時にX座標軸方向へ移動する距離をともにX2(mm)とする。このときX座標軸方向への移動距離をX1とすると、等速移動する距離X3は(2)式によって示される。
X3=X1−2×X2 (2)式
このとき、等速移動を行うときの速度をb(mm/秒)とすると、等速移動を行う時間d3は(3)式によって示される。
d3=(X1−2×X2)/b (3)式
ここでXtは、加速、等速移動、減速、および停止の4種類の過程に要する時間の和であり、(4)式によって示される。
Xt=d3+d1+d2+c=(X1−2×X2)/b+(d1+d2)+c (4)式
したがって、(1)式および(4)式によって示されるYtおよびXtが、(5)式の条件を満たすものが、インク吐出標的候補として選択される。
Xt≦Yt (5)式
なお、X座標軸方向に対する速度が等速度b(mm/秒)に到達するまでの時間d1は、X座標軸方向への加速度をK1(mm/秒2)とすると(6)式によって示される。
d1=b/K1 (6)式
同様に、減速に要する時間d2は、X座標軸方向への減速度をK2(mm/秒2)とすると(7)式によって示される。
d2=b/K2 (7)式
また、停止に要する時間cは、実際に本発明のインク吐出装置を動作させ、その値を実験的に測定することによって求めることが可能である。
なお、X座標軸方向への移動時間およびY座標軸方向への移動時間は、上記変数を用い、(1)式〜(7)式によって算出したが、その算出方法は、これに限定されるものではない。例えば、他の変数をも考慮し、X座標軸方向への移動時間およびY座標軸方向への移動時間を算出することも可能である。あるいは、上記d1、d2、d3およびcのうち、その値が非常に小さいものに関しては、省略することも可能である。
(ステップS84の処理について)
次いで、順番決定部50eが、上記インク吐出標的候補の中から、上記始点から最も短い時間で到達できるインク吐出対象を次順の始点として決定する(ステップS84)。なお、ステップS83において、上記始点から近いインク吐出対象から順に判定した場合、最初にXt≦Ytの条件を満たすものが、次順のインク吐出標的として決定される。この場合には、上記判定部50dが、次順のインク吐出標的を決定することも可能である。
(ステップS85の処理について)
ステップS84において、選択できる要素が集合R1に存在する場合は、その選択されたインク吐出対象の要素P(j),(2≦j≦n)を集合R1から取り除き、集合R2に追加する(PP(j)(k),(k=k+1))。そして、その要素を新たな始点とし、ステップS85の処理に進む。
ステップS85において、選択できる要素が集合R1に存在しない場合は、1回の主走査方向への移動中にインクを吐出することが可能なインク吐出対象が無くなったことになり、ステップS86の処理に進む。選択できる要素が集合R1に存在する場合は、ステップS83に戻る。
(ステップS86の処理について)
全てのインク吐出対象が集合R2の要素として選択された場合、全ての点在するインク吐出対象の処理順が決定したことになり、ステップS81からステップS85の処理を終了し、ステップS87の処理に進む。一方、集合R2に選択されていないインク吐出対象が存在する場合は、ステップS82に戻る。ステップS82に戻り、新たな始点を決定したあと、液滴吐出ユニット3が、主走査方向に対して前回とは逆向きに移動しながらインクを吐出することのできるインク吐出対象を選択する。その際、液滴吐出ユニット3の主走査方向への移動回数を示すjの値を加算し、j=j+1とする。また、インク吐出順番を示すkを初期値に戻し、k=1とする(ステップS86)。
以上のように、上記ステップS82からステップS86までの処理を、順番決定部50eが行う。順番決定部50eは、全ての点在するインク吐出対象にインクを順次吐出する際に、処理時間を最小化するように、点在するインク吐出対象へのインク吐出順番を決定する。
(ステップS87の処理について)
インク吐出制御部50fおよび液滴吐出ユニット3は、ステップS81〜ステップS86によって決定した集合R2に含まれる要素の順番にしたがって、主走査方向への移動回数に応じてインク吐出対象にインクを吐出する(ステップS87)。その結果、例えば図18に示すように複数の欠損部11(インク吐出対象)が対象基板2上に点在する場合、図18の矢印で示す順番にしたがってインクを吐出する。
図18は、本実施の形態の液滴吐出ユニットおよびインク吐出制御方法によるインクの吐出順路を示す模式図である。対象基板2上には、点在した複数の欠損部11(画素印字対象部)が存在する。液滴吐出ユニットは、同図中、矢印によって示される経路を通りながら、欠損部11に向かってインクを吐出する。上記液滴吐出ユニットは、2つの欠損部11(インク吐出対象)間を移動する場合、主走査方向Yへの移動を終了するまえに副走査方向Xへの移動を終了する。したがって、本実施の形態の液滴吐出ユニットおよびインク吐出制御方法では、液滴吐出ユニットがインクを吐出するとき、上記液滴吐出ユニットは主走査方向Yへ等速移動を行っており、それゆえ欠損部11(画素印字対象部)へ、正確にインクを吐出することが可能となる。
図19は、液滴吐出ユニットが欠損部に液滴を塗布する態様を示す図であり、図20は、欠損部に液滴を塗布する他の態様を示す図である。液滴吐出ユニット3R・3G・3Rは、インク吐出部58を構成する。液滴吐出ユニット3Rには、赤色の液滴を吐出する複数個のノズル孔12Rが所定の間隔を空けて形成されている。液滴吐出ユニット3Gには、緑色の液滴を吐出する複数個のノズル孔12Gが所定の間隔を空けて形成されている。液滴吐出ユニット3Bには、青色の液滴を吐出する複数個のノズル孔12Bが所定の間隔を空けて形成されている。対象基板2には、互いに隣接する赤色の欠陥画素47Rと緑色の欠陥画素47Gと青色の欠陥画素47Bとが形成されている。図19において、一番左側のノズル孔12Rは、画素47Rに液滴を吐出する。左から2番目のノズル孔12Gは、画素47Gに液滴を吐出する。左から3番目のノズル孔12Bは、画素47Bに液滴を吐出する。
このとき、図20に示すように、インク吐出制御部50f(図16)によって、インク吐出部58を、インク吐出対象に対向した状態で、主走査方向または副走査方向に傾けることが可能である。これによって、副走査方向における各ノズル間の距離を小さくすることが可能となる。その結果、同一のインク吐出対象に対して、複数個のノズルを用いてインクを吐出することができる。副走査方向における各ノズル間の距離は、インク吐出部58の傾き角度によって決定することができる。なお、インク吐出部58の傾き角度は、特に限定するものではなく、選択可能である。例えば、上記傾き角度は、インク吐出対象の大きさ、特にX座標軸方向の長さとインク液滴の大きさとに応じて設定することができる。
例えば、図20に示すように、本実施の形態の液滴吐出ユニットおよびインク吐出制御方法は、インク吐出部58を、インク吐出対象に対向した状態で、主走査方向または副走査方向に傾けることが可能である。以下に、インク吐出部58を、主走査方向または副走査方向に傾ける前後のノズルの配置について説明する。
図19に示すように、インク吐出部58は、ノズル孔12R・12G・12Bを有し、対象基板2に対向して配置されている。なお、インク吐出部58は、矢印A3に示される方向に移動しながらインクを吐出するものとする。また、対象基板2は、互いに隣接して配置された画素47R・47G・47Bを有している。このなかで、赤色(R)のインクを吐出される画素は画素47Rであり、緑色(G)のインクを吐出される画素は画素47Gであり、青色(B)のインクを吐出される画素は画素47Bである。インク吐出部58は、赤色(R)、緑色(G)および青色(B)のインクを吐出するために、それぞれ複数のノズル孔12R・12G・12Bを有している。上記ノズルのなかで、画素47R・47G・47Bに対してインクを吐出するノズルは、黒塗りの円にて示されている。つまり、図19に示すように、画素47R・47G・47Bは、それぞれ1個のノズル12R・12G・12Bによって、インクが吐出される。
また、図20に示すように、インク吐出部58は、対象基板2に対向した状態で、主走査方向または副走査方向に傾けることが可能である。図20に示すように、インク吐出部58を傾けることによって、画素47R・47G・47Bは、それぞれ2個のノズル孔12R・12G・12Bによって、インクを吐出されることが可能となる。
一方、インク吐出部58の傾きを例えば80度と固定している場合は、隣接するインク滴の間隔は一定であるため、吐出させる液滴数を各ノズル単位で調整し、欠陥画素を穴埋めさせるためのインク滴量を決定する。ちなみに、150dpi相当のノズル間隔を有すインク吐出装置のインク吐出部58を約80度傾けることで、副走査方向におけるノズル間の距離は約30μmとなる。図21(a)に示すように、画素幅を100μmとすると、少なくとも2個のノズルからインクを吐出することにより、同一画素内を印字することができる。この2個のノズルから吐出される液滴数を制御して欠陥画素を生めるために必要な液滴総量を確保することも可能である。
また、図21(b)に示すように、画素幅が300μmになると、上記の場合、9個のノズルが画素幅内に収まることとなる。この場合、9個のノズルの内、例えば1個のノズルの状態が不良状態となった場合でも残り8個のノズルを用いて所望の液滴量のインクを吐出することが可能となる。なお、図21(b)において、インク吐出部58が走査する方向は、矢印A3にて示す。
また、図22及び図23に示すように、本実施の形態のインク吐出装置を用いれば、欠陥画素を修復する際、例えばRGB画素のうち、画素色抜けなど1色の欠陥画素を修正する場合のほか、図22に示すように、ダストなどの異物による画素間の色リークなどによって生じるRGやGB、BRなどの隣接した2個の欠陥画素、または図23に示すように、RGB、GBR、BRGなど隣接した3個の欠陥画素の修正を同時に行うことが可能となる。
そのため、インク吐出部58の各色用の液滴吐出ユニット12R・12G・12Bを互いに近接させ、少なくとも主走査方向に対して各液滴吐出ユニット12R・12G・12Bのノズル位置がオーバラップするようにし、さらに前述のようにインク吐出部58を傾けることで、副走査方向におけるインク吐出間隔を仮想的に狭くすることができる。隣接する欠陥画素を異なる色のインクを用いて修復できるように隣接画素位置に合わせてインク吐出部58のノズル位置を微調整し、複数の異なるインクを用いて同一走査中に欠陥画素を修復することが可能である。
例えば、図22に示すように、本実施の形態の液滴吐出ユニットおよびインク吐出制御方法は、隣接する2個の画素47R・47Gを、同一走査中に修復することができる。この場合、隣接する画素47R・47Gを、それぞれノズル12R・12Gを用いて修復することが可能となる。また、図23に示すように、本実施の形態の液滴吐出およびインク吐出制御方法は、隣接する3個の画素47R・47G・47Bを、同一走査中に修復することができる。この場合、インク吐出部58を傾けることによって、隣接する画素47R・47G・47Bを、それぞれノズル12R・12G・12Bを用いて修復することが可能となる。
図24(a)は、ヘッドガントリーユニットに設けられた液滴吐出ユニットの反転動作を説明するための模式平面図であり、図24(b)はヘッドガントリーユニットに設けられた液滴吐出ユニットの反転動作を説明するためのグラフである。
図24(a)に示す例では、欠陥修復装置の担持体であるヘッドガントリーユニット4上に、3個の液滴吐出ユニット3a・3b・3cが搭載されている。液滴吐出ユニット3aは基板受け持ち領域46aの内にある欠損部を順次巡回しながら液滴を吐出する。液滴吐出ユニット3bは基板受け持ち領域46bの内にある欠損部を順次巡回しながら液滴を吐出する。液滴吐出ユニット3cは基板受け持ち領域46cの内にある欠損部を順次巡回しながら液滴を吐出する。従って、ヘッドガントリーユニット4が基板上を反転走査するごとに、基板上に残る未修復箇所は減少していく。
ある基板上の全ての修復箇所を複数回の反転走査により修復する場合、複数回の走査の後半では、残修復箇所が減少するために、必ずしも基板の一端から他端までの全領域を走査する必要がなくなる。
例えば、複数の液滴吐出ユニット3a・3b・3cが一つのヘッドガントリーユニット4に搭載されているような本装置では、受け持つ修復箇所の数、及び修復箇所の配置は、液滴吐出ユニット3a・3b・3c毎に異なり、1つの液滴吐出ユニットでも1走査毎に修復する修復箇所の数、及び修復箇所が異なる。
ヘッドガントリーユニット4の必要な走査幅は、基板上の修復箇所の分布に応じて異なり、図24(a)に示す例では、ヘッドガントリーユニット4の走査方向を紙面上下として、少なくとも、最上及び最下の修復箇所上に液滴吐出ユニットが到達できるような範囲をヘッドガントリーユニット4は走査すればよい。
なお、1回の走査においても液滴吐出ユニット毎に必要な走査領域は異なるために、複数の液滴吐出ユニットのそれぞれの必要な走査幅を包含する総和の幅を、ヘッドガントリーユニット4の走査幅として決定する(例えば2つの走査幅があれば、それぞれの重複領域に加えて、重複していない領域も加えた領域を走査すべき領域として決定する)。
本実施の形態では、液滴吐出ユニットによる液滴吐出動作の実行前に、基板毎の修復箇所情報を予め取得し、その修復箇所情報に基づいて、液滴吐出ユニット毎に受け持つべき修復箇所を決定しその受け持ち修復箇所情報をもとに、液滴吐出ユニット毎にヘッドガントリーユニット4の走査方向について、必要な反転回数、及び走査領域を決定する。
また、実施の形態中に記載している巡回のアルゴリズムでは、初期走査段階で基板端部近傍の修復箇所が修復されることが多くなる。
これは、実施の形態の巡回アルゴリズムでは、ヘッドガントリーユニット4の反転動作位置近傍に位置する修復箇所が優先的に処理されるために、結果としてヘッドガントリーユニット4の反転動作位置である、基板端部近傍に位置する修復箇所から先に修復されて、ガントリー反転動作を重ねるにつれて、基板中央部に修復箇所が残る場合が多いためである。
図24(b)は、横軸は修復動作の時間(ヘッドガントリーユニット4が基板上を繰り返し反転走査する時間)を示す。縦軸はヘッドガントリーユニット4の走査位置(図24(a)の紙面上方向をプラス)を示す。期間T1は1回目の走査期間(図24(a)の紙面下側から上側にヘッドガントリーユニット4が走査する期間)を表す。期間T2は2回目の走査期間(図24(a)の紙面上側から下側にヘッドガントリーユニット4が走査する期間)を表す。期間T3は3回目の走査期間(図24(a)の紙面下側から上側に走査する期間)を表す。期間T4は4回目の走査期間(図24(a)の紙面上側から下側に走査する期間)を表す。初期の走査期間T1・T2よりも、後期の走査期間T3・T4の方が、1回の走査におけるヘッドガントリーユニット4の移動量が少ない。一走査当たりのヘッドガントリーユニット4の移動量は、期間T1・T2・T3・T4とヘッドガントリーユニット4の反転回数が増えるに従って、少なくなっていく。
ヘッドガントリーユニット4が基板上を反転して走査する総走査距離が、基板1枚当たりの修復時間であり、ヘッドガントリーユニット4の走査領域を上述のように限定することで、総走査距離を短くすることができ、結果としてタクトタイムを削減することが可能となる。
このように、反転回数が増えるに従って、ヘッドガントリーユニット4の走査領域を上述のように限定すると、基板サイズ、修復数等に応じて、効果は変わるが、発明者らの検討では、最大40%のタクトタイム削減が可能であった。
本実施の形態では、まず、最初に、ヘッドガントリーユニット4を基板の端から端まで全体的に移動させ、その後、徐々に中央付近に収束する修復アルゴリズムで行う例を示したが、本発明はこれに限定されない。他のパターンであっても、タクトタイムを短縮することができる。他のパターンとしては、(1)ヘッドガントリーユニット4を反転させるまでの移動量を徐々に大きくするように修復する移動方法、(2)修復箇所が多い場合に、多い箇所において集中してヘッドガントリーユニット4を反転させる方法、(3)反転の移動量をほぼ一定にして、ヘッドガントリーユニット4の移動範囲を徐々にシフトさせていく方法などがある。
上記修復における移動パターンにおいては、欠陥箇所(修復箇所)がどのような場所に存在しているかに応じて最適な修復パターンは変わる。すなわち、修復箇所が均一に点在している場合(修復箇所が集中していない場合)は、本実施の形態で示した修復アルゴリズムで修復することが好ましい。基板によって修復箇所の配置が大きく異なっているような場合は、修復パターンデータに応じて、修復アルゴリズムを変更し、修復を行ってもよい。
<液滴吐出ユニット3の配列>
図25(a)(b)は、欠陥修復装置1のアライメント動作を説明するための平面図である。図25(a)(b)は欠陥修復装置1を上方から見た図であり、ヘッドガントリーユニット4上に計9個の液滴吐出ユニット3が搭載されている。
液滴吐出ユニット3毎に設けられている吐出ユニットスライド機構24は、ヘッドガントリーユニット4の両外側に向いた両側面にそれぞれ設けられている。ヘッドガントリーユニット4の紙面左側面には4対の液滴吐出ユニット3と吐出ユニットスライド機構24とが一定間隔を空けて取り付けられている。ヘッドガントリーユニット4の紙面右側面は、5対の液滴吐出ユニット3と吐出ユニットスライド機構24とが一定間隔を空けて取り付けられている。そして、基板載置台17の上面に対して、それぞれの吐出ユニットスライド機構24は千鳥状に配列されている。すなわち、ガントリー移動方向である矢印r3に直交する方向に互いに隣接する2つの吐出ユニットスライド機構24は、吐出ユニットスライド機構24のスライド可能方向である矢印r3の方向に沿って、それぞれのスライド可能領域の端部が一部重複するように構成されている。なお、重複する移動可能領域はその領域が大きいほど好ましく、吐出ユニットスライド機構24の長手方向の長さの三分の一以上重複していることが望ましい。
<基板アライメント動作の説明>
対象基板のアライメント動作を図25(a)(b)及び図26(a)(b)を用いて説明する。図26(a)(b)は、ヘッドガントリーユニット4に設けられたアライメントカメラ25の構成を説明するための要部平面図である。基板載置台17上で吸着固定された対象基板2の基板端近傍には、対象基板2の面内回転方向を補正するためのアライメントマーク43が2箇所設けられている。
ヘッドガントリーユニット4に固定されている2個のアライメントカメラ25は、図25(a)に示す位置からヘッドガントリーユニット4と一体的に図25(b)に示す位置に移動する。そして、アライメントカメラ25の画像情報を元に、対象基板2の面内回転方向のずれを算出し、前述の基板載置台17のθ回転機構と矢印r3の方向の微動機構により、図25(b)に示す回転矢印r6の方向に基板の姿勢を補正する。
対象基板2には、予め高精度の2つのアライメントマーク43が設けられており、対象基板2の液滴塗布位置は、このアライメントマーク43を基準として、予め決定されている。このアライメントマーク43は、同心円状のマークであり、対象基板2上の2つのアライメントマーク43のピッチずれは2μm以内である。2つのアライメントマーク43のピッチと同ピッチで2つのアライメントカメラ25はヘッドガントリーユニット4上に設置されている。また、アライメントカメラ25は、複数の広視野モード部25aと狭視野モード部25bとを有し、広視野モード部25aでθ回転機構及び微動機構によりアライメントしたのち、狭視野モード部25bで再度同様なアライメント動作を行う。
図27(a)(b)は、欠陥修復装置1のアライメント動作を説明するための要部平面図である。図28(a)(b)は、欠陥修復装置1のアライメント動作を説明するための要部拡大平面図である。図28(a)(b)は、広視野モードでのアライメントカメラ25による撮像画像を示す模式図であり、図27(a)は一対のアライメントカメラ25の一方による画像、図27(b)は一対のアライメントカメラ25の他方による画像である。
アライメントカメラ25の広視野モードは、搬送ロボットの基板載置台17への基板の配置精度以上の視野を有するように設計されている。この広視野モードでは、まず、同心円のアライメントマーク43の外側円環部43aを用いて、アライメントマーク43と基準位置とのずれを計測し、アライメントマーク43と基準位置とが一致するように、θ回転機構及び微調整機構により基板載置台17を調整し、対象基板2の姿勢を制御する。外側円環部43aの外径は、例えば2mmであり、内側円部43bの外径は、例えば0.2mmである。
次に図28(a)(b)に示すように、アライメントカメラ25を狭視野モードに切り替え、アライメントマーク43の同心円の内側円部43bを用いてアライメントマーク43と基準位置とのずれを計測し、アライメントマーク43と基準位置とが一致するように、θ回転機構及び微調整機構により基板載置台17を調整し、対象基板2の姿勢を制御する。また、一対のアライメントカメラ25による観察位置と液滴吐出ユニット3の液滴吐出位置は、液滴吐出ユニット3を取り付けた後の調整工程で予め計測されている。
図29は、欠陥修復装置1のアライメント動作を示すフローチャートである。まず、欠陥修復装置1に設けられた制御ユニットからアライメント開始指令が発行されると(ステップS1),サブステージ16b側に移動した基板載置台17上に対象基板2が搬入される(ステップS2)。そして、対象基板2を載置した基板載置台17は、メインステージ16a上の定位置に移動する(ステップS3)。
これと同時に、図25(a)に示すようにメンテナンス機構18上に位置していたヘッドガントリーユニット4は、図25(b)に示すアライメント位置に移動する(ステップS4)。そして、アライメントカメラ25の広視野モード部25aをアライメントマーク43上の標準位置に移動させる(ステップS5)。
次に、アライメントカメラ25の広視野モード部25aは、アライメントマーク43の外側円環部43aを撮像し(ステップS6)、アライメント量を算出する(ステップS7)。その後、算出したアライメント量に基づいて、基板載置台17の位置を粗く調整する粗アライメント動作を実行する(ステップS9)。
そして、アライメントカメラ25の狭視野モード部25bをアライメントマーク43上の標準位置に移動させる(ステップS8)。その後、アライメントカメラ25の狭視野モード部25bは、アライメントマーク43の内側円部43bを撮像し(ステップS10)、アライメント量を算出する(ステップS11)。その後、算出したアライメント量に基づいて、基板載置台17の位置を精密に調整する本アライメント動作を実行する(ステップS12)。
その後、再び、アライメントカメラ25の狭視野モード部25bは、アライメントマーク43の内側円部43bを撮像し(ステップS13)、基板載置台17の位置精度を確認する(ステップS14)。そして、アライメント動作を確認する(ステップS15)。
<観察カメラユニット27による液滴着弾位置の計測>
図30(a)(b)は、欠陥修復装置1に設けられた観察カメラユニット27による液滴着弾位置の計測動作を説明するための平面図である。観察カメラユニット27は、液滴吐出ユニット3の液滴吐出素子29(図5)を交換して着弾位置補正を行うための情報を取得する場合や、使用中の着弾位置を再確認する際に用いる。観察カメラユニット27は、ガントリースライド機構5とカメラスライド機構38とにより、欠陥修復装置1上面の任意の位置を撮像することができ、また、欠陥修復装置1上面の任意の位置を割り出すことが可能である。観察カメラユニット27の撮像位置は、ガントリースライド機構5とカメラスライド機構38とに内在しているスケールにより、その位置情報を出力することが可能である。
液滴着弾位置を観察する場合、基板として、通常の対象基板2と同様の所定のアライメントマーク43が付与されたダミー基板44を欠陥修復装置1に搬入し、通常通りの基板姿勢制御を行う。次に、観察カメラユニット27は、ダミー基板44上の2つのアライメントマーク43をそれぞれ撮像し、その位置情報を取得する。
図30(a)に示すように、ヘッドガントリーユニット4は、ダミー基板44上の任意の位置まで移動する。そして、それぞれの液滴吐出ユニット3のノズル孔からダミー基板44に向けて液滴を吐出する。このとき、全てのノズル孔から液滴を吐出しても良い。また、それぞれの液滴吐出ユニット3は、ガントリースライド機構5とそれぞれの吐出ユニットスライド機構24に内在しているスケールに基づいて、仮想の着弾位置(理想的な着弾位置)をそれぞれ認識する。
次に、図30(b)に示すように、観察カメラユニット27は、ガントリースライド機構5とカメラスライド機構38とにより移動しながら、液滴着弾位置45を順次撮像して、アライメントマーク43に対する実際の着弾位置を割り出す。そして、仮想の着弾位置と実際の着弾位置との間の差分をそれぞれの液滴吐出ユニット3の補正データとして保管する。ずれ(差分)は、X方向、及びY方向に分解される。Y方向のずれは、ヘッドガントリーユニット4がY方向に移動しながら液滴吐出を行うため、吐出タイミングを調整することによって補正することができる。X方向のずれに関しては、吐出ユニットスライド機構24の移動量をオフセット補正する。この観察カメラユニット27の動作により、ノズル毎の不吐出を検出し、ノズル毎の着弾よれを検出することも可能である。
<ヘッドガントリーユニット4の往復動作/液滴吐出ユニット3の移動動作>
図31(a)(b)は、ヘッドガントリーユニット4の往復動作を説明するための平面図である。姿勢制御が完了した対象基板2に対して、アライメントマーク43基準の所望位置に液滴を滴下する方法を以下に示す。
図31(a)は、対象基板2に液滴を滴下する作業において、ヘッドガントリーユニット4が図31(a)において最も右に移動した状態を示している。一方、図31(b)は、最も左に移動した状態を示している。ヘッドガントリーユニット4は、矢印r7によって示される範囲を1回〜複数回往復する。ヘッドガントリーユニット4に搭載されている複数の液滴吐出ユニット3は、図31(a)の矢印r3に示す方向にそれぞれ独立して移動可能である。ヘッドガントリーユニット4自体は、対象基板2上を、紙面左右方向(矢印r7の方向)に往復動作する。それぞれの液滴吐出ユニット3は、液滴吐出動作を実行する前に、矢印r3に示す方向に沿って所望のアドレスに移動し停止する。そして、ヘッドガントリーユニット4が矢印r7の方向に往復動作する過程で、矢印r7方向及び矢印r3方向の所望位置のアドレスが一致した時点で、液滴を吐出する。複数の液滴吐出ユニット3は、その動作を、それぞれ独立して制御される。
図31(b)において、矢印r7によって示されるヘッドガントリーユニット4の移動範囲は、液滴吐出ユニット3が移動する方向の直交方向の基板幅よりも大きく、基板幅の中心線をヘッドガントリーユニット4の移動範囲の略中心としている。
このように基板幅よりも大きい範囲を液滴吐出ユニット3が移動できることにより、着目した液滴吐出ユニット3は、その液滴吐出ユニット3のヘッドガントリーユニット4の移動ストロークの範囲内の基板の所望の位置(帯状の領域)に対して、液滴を滴下することが可能となる。
<吐出動作の具体例>
図32(a)(b)は、ヘッドガントリーユニット4の対象基板2に対する動作を説明するための平面図である。ヘッドガントリーユニット4には、X方向に独立して移動可能な9個の液滴吐出ユニット3a・3b・3c・3d・3e・3f・3g・3h・3iが搭載されており、それぞれの液滴吐出ユニット3a〜3iには、対象基板2上の受け持ち領域46a・46b・46c・46d・46e・46f・46g・46h・46iが設定されている。
約2.2m×2.8mの対象基板2には、約30個から約300個の吐出箇所(欠陥)11が点在している。なお、基板サイズにもよるが、欠陥が30個以上の場合には、複数の液滴吐出ユニットが搬送方向と異なる方向に個別に移動する構成とすることにより、液滴吐出ユニットが1つの場合に比べてタクトタイム短縮の効果が大きくなる。一方、欠陥が300個以下の場合では、修復されたカラーフィルタ基板及び有機EL表示基板の修復部分に起因する色むらが、実使用上問題のないレベルとなり、高品位な前記基板を得ることができる。
それぞれの液滴吐出ユニット3a〜3iには紙面横方向に帯状に伸びた受け持ち領域46a〜46iが割り当てられている。液滴吐出ユニット3aは、領域46aを受け持つ。液滴吐出ユニット3bは、領域46bを受け持つ。それぞれの液滴吐出ユニット3a〜3iは、受け持ち領域46a〜46iに点在する吐出箇所(欠陥)11に対して液滴吐出動作を行う。
ヘッドガントリーユニット4を紙面左右方向に繰り返し往復移動させる過程で、それぞれの液滴吐出ユニット3a〜3iはそれぞれ受け持つ吐出箇所11の直上に移動すべく、X方向に個別に移動しX方向のアドレスが一致した場所で停止し、ヘッドガントリーユニット4の移動に伴って、Y方向のアドレスが一致するまで待機する。そして、処理基板2上の所望位置が直下に来るタイミングで、液滴吐出ユニットを駆動し吐出口から液滴を処理基板2上の所望位置に吐出させる。
図32(a)(b)に示すように、9個の液滴吐出ユニット3a〜3iを2列の千鳥状に配列すると、図の点線によって示すように対象基板2を9個の領域46a〜46iに分割して、それぞれの液滴吐出ユニット3a〜3i毎にその受け持ち領域を決定することができる。
図33(a)〜図33(d)は、液滴吐出ユニット3の欠損部に対する吐出動作を説明するための模式的平面図である。液滴吐出ユニット3が、ヘッドガントリーユニット4の往復移動の過程で、複数の長方形状凹部に液滴を吐出させる工程を説明する。このような工程は、例として、一部に欠損を有するカラーフィルタ基板をこの欠陥修復装置を用いて欠損部分を修復する場合が相当する。一例として、カラーフィルタ基板の画素の1色が欠損した場合の修復装置としての説明を行う。
ここでの欠損部分とは、製造工程でダストが混入した部分、空白の窪みが形成された部分等について、レーザー等により不良部分を一定形状に凹み修正した部分である。液滴吐出ユニット3は、全て同一種類の液滴材料を吐出するものとして、1種類の画素(レッド、ブルー及びイエローのいずれか)の欠損について、その修復方法を示している。よって、全ての色の欠損部を修復するには、本実施の形態の欠陥修復装置を色材毎に3台設けて逐次処理するか、実施の形態2において例示するように、液滴吐出ユニットを、複数色の液滴を吐出可能とするように構成することで可能となる。
図33(a)〜図33(d)は、ヘッドガントリーユニット4上に搭載されている複数の液滴吐出ユニット3のうちの1つに着目して、1つの液滴吐出ユニット3に含まれる液滴吐出面から複数の吐出箇所に吐出を行う動作を時系列に沿って示している。
図33(a)を参照すると、処理基板上の欠損部(欠陥)11a・11b・11cは、深さ2μm程度の凹部であり、開口部はヘッドガントリーユニット4の移動方向を長辺とした200μm×70μm程度の長方形状をしている。図33(a)〜図33(d)では、欠損部(欠陥)11a・11b・11cの長辺は、ヘッドガントリーユニット4の移動方向Aに対して平行であるように描いているが、実際には図7(a)(b)に示すように数度傾いている。液滴吐出ユニット3のノズル吐出面は、対向する搬送ステージ面と平行にしており、ノズルプレート33には複数のノズル孔12が形成されている。この複数のノズル孔12は、ヘッドガントリーユニット4の移動方向である紙面左右方向に配列しており、個々のノズル孔12はそれぞれ、その背面側に液滴吐出制御可能な図示しない個別のインク加圧室と加圧制御手段とを有している。また、1列に配列しているノズル孔12は、同一の液滴材料を吐出することが可能となっている。
ヘッドガントリーユニット4は、液滴吐出ユニット3の移動や吐出動作によらず、常に紙面左右方向に略等速度(100mm/秒〜500mm/秒)で往復移動している。欠損部11aに液滴を吐出して修復するために、液滴吐出ユニット3は吐出ユニットスライド機構24を用いて高速移動させてノズル孔12を欠損部11aの中心線上に合わせて停止する。なお、液滴吐出ユニット3の移動時間は、実際に移動する時間に加えて、停止した後に吐出ユニットスライド機構24による残留振動が液滴吐出に悪影響を与えないレベルまで低減するまでの静定時間を含んだ時間をも考慮する必要がある。
搬送ステージの進行方向側において、欠損部11aの中心線上まで予め移動させた液滴吐出ユニット3は、搬送ステージの等速移動により相対的に矢印D方向に移動し、欠損部11a上にあるノズル孔12から液滴が吐出される。このとき、使用するノズル孔12は、欠損部11aの直上にある複数のノズル孔12を使用することができるため、1つのノズル孔を使用する場合に比べて搬送ステージの等速移動速度を上げることができ、基板全体の処理速度を向上させることが可能となる。
次に欠損部11a上に液滴を吐出した液滴吐出ユニット3は、図33(b)に示すように、欠損部11cを修復するために、吐出ユニットスライド機構24を駆動して矢印E方向に移動して、欠損部11cの中心線がノズル孔12に一致する位置で停止する。このとき、ヘッドガントリーユニット4も一定速度で紙面左方向に移動しているため、液滴吐出ユニット3は、図33(c)の矢印F方向に相対的に移動し停止する。そして、ヘッドガントリーユニット4の移動により液滴吐出ユニット3は、相対的に矢印G方向に移動しながら、欠損部11cの直上にあるノズル孔12から液滴を吐出し、欠損部11cの修復を行う。
そして、ヘッドガントリーユニット4は、一方向の移動を完了した後に反対方向に移動を始める。図33(d)に示すように液滴吐出ユニット3は、欠損部11bを修復するために、吐出ユニットスライド機構24を用いて矢印K方向に移動し、欠損部11bの中心線上にノズル孔12を合わせて停止する。そして、ヘッドガントリーユニット4の移動により、液滴吐出ユニット3は相対的に矢印L方向に移動して、欠損部11bの直上にあるノズル孔12で液滴を吐出する。
このように、ヘッドガントリーユニット4の往復動作を利用して、3つの欠損部11a・11b・11cの修復を、欠損部11a、欠損部11b、欠損部11cの順で行っており、本実施の形態の欠陥修復装置の構成上の利点を最大限活用するものである。即ち、図33(c)に示すように、欠損部11aに複数のノズル孔12で吐出する際に、実際に吐出を行う紙面右端のノズル孔12が欠損部11a直上から離れるまでは、移動させることはできず、少なくとも使用するノズル孔12の両端間距離に相当する領域では、液滴吐出ユニット3を紙面上下方向に移動させて、次の欠損部の修復に向かうことはできない。
この不能範囲Hは、処理直後の欠損部端から使用するノズル孔12の両端間距離に相当する帯状の範囲に加えて、搬送ステージの移動速度と、矢印E方向(図33(b))の移動に要する時間及び移動後の残留振動の静定に要する時間の和、を掛け合わせた領域も含まれる。
図33(c)に示すように、欠損部11bは欠損部11aに対する不能範囲Hに入る場所に位置しているため、欠損部11aの修復の直後に欠損部11bの処理を行なわず、不能範囲Hに属さない欠損部11cの修復を行っている。そして、ヘッドガントリーユニット4の復路移動に伴って、欠損部11cの修復後に、その不能範囲Hに属さない欠損部11bの修復を行っている。
以上は、1つの液滴吐出ユニット3の移動動作について説明を行ったが、欠陥修復装置は複数の液滴吐出ユニット3を有し、それぞれが独立して動作している。なお、本実施の形態に係る欠陥修復装置は、カラーフィルタ基板の欠陥修復装置に限るものではなく、基板上に点在する所望箇所に液滴を吐出させることが可能である。
図34(a)〜図34(c)は、3種類の液滴材料を滴下する液滴吐出ユニット3aの移動方向が、画素47R・47G・47Bの長手方向と直交する場合の液滴吐出ユニットの吐出動作を示す模式平面図である。図35(a)〜図35(c)は、3種類の液滴材料を滴下する液滴吐出ユニット3aの移動方向が、画素47R・47G・47Bの長手方向と平行な場合の液滴吐出ユニットの吐出動作を示す模式平面図である。ダスト等の原因によって製造途中にR及びGの画素間において混色が発生してしまい、所望の色を示さない画素ができた際に、その部分を矩形状にレーザーで除去し、本欠陥修復装置を用いて矩形部に液滴を滴下する。
図34(a)〜図34(c)及び図35(a)〜図35(c)では、液滴吐出ユニット3aとその液滴吐出ユニット3aが修復すべき画素47R・47G・47Bを示しており、画素47R及び画素47Gが混色リークしたために、あらかじめレーザーにより、混色箇所を除去して凹みを形成している。
図34(a)は、修復前の状態を示しており、液滴吐出ユニット3aは図の矢印方向に沿って画素47R・47G・47Bに向かって移動している。図35(b)は画素47Rに液滴を滴下した直後の図であり、次に、図35(c)に示すように画素47Gに液滴を滴下する。
画素47R・47G・47Bの長手方向がヘッドガントリーユニット(液滴吐出ユニット3a)の移動方向の場合についても同様に、図35(a)は修復前の状態を示しており、図35(b)、図35(c)の順にしたがって、画素47R、画素47Gを修復する。
(実施の形態2)
図36(a)は、実施の形態2に係る欠陥修復装置のヘッドガントリーユニットの構成を示す平面図であり、図36(b)は、その動作を説明するための平面図である。
実施の形態2に係る欠陥修復装置は、所定の間隔を空けて設けられた2個のヘッドガントリーユニット4を有している。各ヘッドガントリーユニット4には、4個の液滴吐出ユニット3が設けられている。従って、液滴塗布装置には計8個の液滴吐出ユニット3が搭載されている。
1本目のヘッドガントリーユニット4に搭載された4個の液滴吐出ユニット3をスライドさせる吐出ユニットスライド機構24の移動可能領域は、互いに重複している。このため、4個の液滴吐出ユニット3は、そのいずれかが基板の任意の位置に移動可能である。2本目のヘッドガントリーユニット4にも、同様に4個の液滴吐出ユニット3が搭載されている。
1つの液滴吐出ユニット3は吐出ユニットスライド機構24の移動範囲Pだけ移動可能であり、千鳥状に隣接する吐出ユニットスライド機構24の移動範囲は、液滴吐出ユニット3が移動する方向に沿って、一部を重複させている。このため、1つのガントリー上にある4つの液滴吐出ユニット3のいずれかが、ヘッドガントリーユニット4の長手方向に沿った位置に必ず移動することが可能である。互いに補完しながら搬送ステージ移動方向の直交方向に沿った全ての位置への移動を網羅できる液滴吐出ユニット3の集合をユニット列とすると、本実施の形態では、2本のユニット列が存在することとなる。そして、1ユニット列は4つの液滴吐出ユニットから構成されている。
対象基板2には、図中黒点で示す複数の欠損部11がある。対象基板2の領域は、ユニット列数を列数、ユニット列毎の液滴吐出ユニット数を行数として均等分割されて、具体的には、4行×2列の領域に分割して、それぞれの液滴吐出ユニット3の受け持ち領域となる。例えば、左側のヘッドガントリーユニット4に設けられた左上の液滴吐出ユニット3は、図中のハッチングで示されている受け持ち領域46に点在する欠損部11のみを修復する。なお、図32で前述したユニット配列では、ユニット列数は1となるために、図32に示すように9行×1列に分割されている。
図36(b)は、ヘッドガントリーユニット4の移動による対象基板2の往復動作の往路の半分の状態を示す図であり、図中の白矢印方向までヘッドガントリーユニット4は移動して往路を終える。その後、ヘッドガントリーユニット4は復路に転換し、図36(a)に示す状態まで戻る。この往復動作を1往復として、欠損部11の多少に応じて1〜数往復を繰り返すことにより、対象基板2全体の欠損部11を修復する。ここで、合計8領域ある液滴吐出ユニット3毎の受け持ち領域で欠損部11の多少の差のために、液滴吐出ユニット3毎に完了・未完了の差が生じるが、全ての液滴吐出ユニット3が欠損部11を修復するまでヘッドガントリーユニット4は往復を繰り返す。
ここで図36(b)に示すように、前述のユニット列は1本のヘッドガントリーユニット4上に搭載された4個の液滴吐出ユニット3であり、このユニット列の中心線は、Y2−Y2、及びY3−Y3となる。本実施形態では、この2本のユニット列(ヘッドガントリーユニット4)の中心線Y2−Y2及び中心線Y3−Y3間の距離が、対象基板2の搬送方向に沿った長さの略2分の1になっている。そして、図36(b)に示すように、2本のヘッドガントリーユニット4の中心線Y2−Y2、及び中心線Y3−Y3との間の間隔が、対象基板2の幅の略半分となるように配置し、その配置位置を中心に両振幅を基板の幅の略半分の移動量で移動する。
このように、ユニット列(ヘッドガントリーユニット4)数毎に基板幅を分割し、それぞれのユニット列がその分割領域内で走査することにより、効率よく修復作業を行うことが可能となる。なお、図32のようユニット列数が1本の場合、基板中間線をユニット列中心として、両振幅を基板幅とする。
図37は、実施の形態2に係る欠陥修復装置のヘッドガントリーユニットの他の構成を示す平面図である。図37には、3列のユニット列(ヘッドガントリーユニット4)を有する構成の例が示されている。この場合、1ユニット当り4個の液滴吐出ユニット3が搭載され、計3列のユニット列を形成している。よって、対象基板2は4行×3列に分割されている。
n本のユニット列を有する欠陥修復装置においては、対象基板をn分割し、そのn分割領域の中間線を中心として、それぞれのユニット列を基板幅のn分の1の両振幅で複数回走査すると良い。このようにすることにより、往復動作によるヘッドガントリーユニット4の移動総距離を最小にすることが可能となり、基板の処理時間を最も短縮することができる。この比率は厳密に適用することなくとも、±20%程度の誤差以内であれば、時間短縮の効果は大きい。
ここで、対象基板2の幅をD、ユニット列の走査幅をd、ユニット列数をnとしたとき、
0.8d≦D/n≦1.2d、
の範囲にあると、基板の処理時間を短縮することができる。
修復が終えられた処理基板は図示しない搬送ロボットにより取り出される。カラーフィルタ基板の場合は、基板は焼成炉に入れられて液滴材料は固化、完成する。実施形態2では2個のユニット列、及び、3個のユニット列を有する欠陥修復装置について説明したことから、n個のユニット列を有する場合、基板導入方向の基板サイズDに対して、基板をn分割し、ユニット列を分割したそれぞれの領域の中間線を中心に、基板のD/2nの振幅で往復走査することが良いことがわかる。また、dをD/nと略一致させることで、装置サイズの最小化を図ることが可能となるが、±10%程度の差異であれば、装置サイズが大幅に増加することは無く装置の占有面積を小さくすることができる。また、dとD/nは一致することが望ましいが、±20%までの差異であれば、基板一枚当たりに要する処理時間が大幅に増加することはなく、タクトタイムの短縮を実現することができる。
図38(a)(b)は、は、実施の形態2に係る欠陥修復装置のヘッドガントリーユニットのさらに他の構成を示す平面図である。ガントリー23の一方の側面には、液滴吐出ユニット3を搭載した吐出ユニットスライド機構24が設けられており、ガントリー23の他方の側面にも、液滴吐出ユニット3を搭載した吐出ユニットスライド機構24が設けられている。ガントリー23の一方の側面は、基板載置台17に垂直であり、ガントリー23の他方の側面は、基板載置台17に対して傾斜している。
ガントリー23の一方の側面の液滴吐出ユニット3のスライド方向は、ヘッドガントリーユニットのスライド方向(図1のY方向に平行な方向)に垂直な方向から若干傾斜しており、ガントリー23の他方の側面の液滴吐出ユニット3のスライド方向も、ヘッドガントリーユニットのスライド方向(図1のY方向に平行な方向)に垂直な方向から若干傾斜している。このように基板搬送方向に対して液滴吐出ユニットのスライド方向が垂直でなくとも、本発明は適用可能である。また、複数のスライド機構において、搬送方向に対するそれぞれのスライド方向が異なっていても、その移動軌跡を予め把握し、スライド位置座標に基づいて液滴吐出ユニットの吐出タイミングを補正することができる。
前述した実施の形態1及び2では、CFパネルに生じた欠陥画素の例を説明したが、本発明はこれに限定されない。マトリクス状またはストライプ状に並んだ複数の被吐出部を有するエレクトロルミネッセンス(EL)表示装置の製造に対しても本発明を適用することができる。また、プラズマ表示装置の背面基板の製造に対しても本発明を適用することができ、電子放出素子を備えた画像表示装置の製造、および配線の製造に対しても本発明を適用することができる。
なお、本発明では、搬送方向の略等速の移動は、緩やかな加速、減速状態も含まれる。
また、不吐出検査器を、メインステージ以外の領域に設けた例を示したが、本発明はこれに限定されない。メインステージの下側に不吐出検査器を設け、基板の搬出入時に不吐出検査器が液滴塗布ユニットまで上昇して不吐出検査を行うように構成してもよい。
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。