JP4014188B2 - 炎検出装置及び炎検出方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、火災によって生じた物理現象(熱、煙、炎)を利用し、自動的に火災の発生を検出する検出装置のうちの炎検出装置及び炎検出方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の赤外線式炎検出装置(以下、単に「炎検出装置」という)としては、例えば、図9に示すようなものが知られている。図9において、1は検知素子、2は周波数フィルタ、3は比較器、4は光学波長バンドパスフィルタである。なお、実際には、信号増幅用のアンプなども含まれるが、説明の簡単化のために省略する。
【0003】
この従来の炎検出装置においては、監視エリア内の赤外線エネルギーが検知素子1で電気信号に変換され、周波数フィルタ2によって、その電気信号の「所定の低域周波数成分」が取り出される。そして、その低域周波数成分のレベルが基準レベルを越えた場合に、火災検出信号が出力される。ここで、「所定の低域周波数成分」とは、炎から放射される赤外線エネルギーのゆらぎ(又はちらつき)の周波数fcを含む成分であり、fcは、数Hz以下のきわめて低い周波数である。
【0004】
図10は、炎の燃え方の模式図である。一般に炎は着火直後に小さく、だんだんと大きくなった後、可燃物の燃え尽きに伴って小さくなり、遂には消えるという成長過程をたどる。しかし、短い時間で見た場合、炎の大きさはある周期で大きくなったり小さくなったりを繰り返している。すなわち、図10に示すように、燃え上がった炎は周りの酸素を取り込んで大きく成長するものの、周囲の酸素が少なくなると一瞬小さくなり、再びその外側からの酸素供給を受けて大きく成長するという変動を周期的に繰り返している。そして、この繰り返しのサイクル(周波数fc)は、可燃物、例えば液体燃料にあっては、その火炎長(の平方根)に反比例するという性質をもっていることが明らかにされている。例えば、「消防研究報告,第53号24(1982)」(山下邦博著)によれば、次式▲1▼のとおり示されている。
【0005】
fc=k/√L〔Hz〕・・・・・ ▲1▼
但し、kは燃料の種類に応じた係数、Lは火炎の大きさ(火炎長)を表す値である。一般的な火災モデルにあっては、fcは、例えば、約2.5Hzや約1.8Hzとなる。したがって、図9の構成において、周波数フィルタ2の通過周波数を、2.5Hzや1.8Hz若しくはこの両方に合わせておけば、火災による「炎」を検出できる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来の炎検出装置にあっては、式▲1▼で与えられる単一の周波数fcを含む「所定の低域周波数成分」のレベルのみに基づいて炎の検出判定を行っていた。したがって、以下の理由から、火災と関係のない物理現象にも誤って反応することがあり、信頼性の点で充分でないという問題点があった。
【0007】
図11は、赤外線エネルギーの時間変動を示す図であり、(a)は炎、(b)は水銀灯、(c)は回転灯の図である。なお、炎は炎検出装置である以上当然の監視対象であるが、水銀灯は道路などの照明によく用いられる。また、回転灯は緊急自動車をはじめ、駐車場の出入り口や道路工事の警告表示又は店舗の誘導案内などによく用いられている。これらの水銀灯及び回転灯は、いずれも日常的に目にする赤外線エネルギー放射体の例である。
【0008】
図11は、炎、水銀灯及び回転灯の赤外線エネルギーを、チョッパを介して取り出した出力を示している。図11(a)において、炎の赤外線エネルギーはきわめて低い周波数fcを含む周波数帯の周波数でゆらいでおり、その理由は先の説明のとおりである。これに対して、水銀灯の赤外線エネルギーは、図11(b)に示すように、一定レベル(電源変動やノイズ分を無視)で推移し、そのゆらぎの周波数はほぼ0Hz(直流分のみ)である。一方、回転灯の赤外線エネルギーは、図11(c)に示すように、明らかな周期的変動を伴っており、その周波数は回転灯の回転に同期している。なお、回転灯の種類は様々であり、1個のランプを定速度で一方向に回転(毎秒2回転程度)させるものから、複数のランプを同期若しくは非同期で回転させるものまでいろいろあり、その周波数成分も様々である。しかし、いかなる種類の回転灯であっても周期的性質をもつ点では同一である。
【0009】
ここで、炎、水銀灯及び回転灯の赤外線エネルギー(例えば、チョッパを介して温度情報として取り出した出力)を周波数軸で観察してみると、図12のようになる。図11と同様に(a)は炎、(b)は水銀灯、(c)は回転灯である。横軸は周波数であり、原点が0Hz(直流分)である。なお、(a)、(b)及び(c)において、原点付近のレベルは相当大きく、グラフに納まりきらないため、図示の都合上ピークを省略してある。
【0010】
今、(a)の炎と(b)の水銀灯に着目すると、両者の差は一目瞭然である。すなわち、炎は0Hzを越える周波数域6において若干のレベルをもつ一方、水銀灯の同等周波数域7におけるレベルはほぼゼロである。したがって、従来技術における周波数fcを用いて両者のレベルを比較すれば、炎と水銀灯を識別できる。
【0011】
しかしながら、(c)の回転灯にあっては、0Hzを越える周波数域8において若干のレベルをもつ点で、(a)の炎との類似性が高い。したがって、従来技術における周波数fcを用いて、「炎」、「水銀灯」及び「回転灯」のレベルを比較した場合、炎と水銀灯又は水銀灯と回転灯を識別できるものの、炎と回転灯の明確な識別は困難であった。このことは、従来の炎検出装置を設置した場所に、例えば、回転灯を点灯した緊急自動車が接近すると、誤って火災検出信号を出力する可能性のあることを示唆している。したがって、防災設備の信頼性の点で、是非とも解決しておかなければならない技術課題があることを意味している。
【0012】
この課題を解決するための炎検出装置も提案されている。これは、炎を伴う赤外線放射物体から放射される赤外線のスペクトル分布は、CO2共鳴放射として知られる現象より4.4μm近辺にピークが現れるという現象を利用したものである。このような装置は、例えば、検出素子の前面に、4.4μmを中心とする波長を通過する中心抽出用のバンドパスフィルタと、4.4μm近辺を含まない波長を通過する1又は複数の周辺抽出用のバンドパスフィルタとを配置して、これらバンドパスフィルタを回転板等の切替機構にて切替え可能として構成されている(例えば、特開昭50−2497号公報、特開昭53-44937号公報)。
あるいは、中心抽出用のバンドパスフィルタを前面に配置した検出素子と、周辺抽出用のバンドパスフィルタを前面に配置した検出素子とを備えて構成されているものもある。
そして、これらの炎検出装置においては、中心抽出用のバンドパスフィルタを通過した赤外線と、周辺抽出用のバンドパスフィルタを通過した赤外線との強度レベル差が所定値以上の場合に火災と判定する。
【0013】
しかしながら、この装置にあっても、精度はよくなるものの、完全に炎と回転灯を識別することは困難であった。
また、挟帯域のバンドパスフィルタは高価であることから、複数設ける場合には、製品全体の価格が高くなってしまい、さらに、製品が大型化してしまう問題点がある。
しかも、複数のバンドパスフィルタを切替える切替機構や、複数の検出素子を設ける必要があり、製品価格の上昇や製品の大型化が一層顕著になるという問題点がある。
【0014】
なお、以上の説明では、炎以外の赤外線エネルギー放射体として、「水銀灯」と「回転灯」を示したが、これは代表例である。すなわち、「水銀灯」はエネルギー変動のないものの代表例であり、「回転灯」はエネルギー変動の周期が上式▲1▼で与えられる周波数fcに近い周波数成分をもつものの代表例である。
【0015】
以上の従来技術の他に、炎のゆらぎ周波数スペクトルを用いた火災検出方法として、U.S.P4,866,420がある。このU.S.P4,866,420においては、標準化された理想スペクトル曲線P(f)と実時間スペクトルとが2秒以上にわたって、以下の三つの条件A〜Cで判定される。
【0016】
(A)実時間スペクトルの標準偏差が理想スペクトル曲線P(f)に対して規定量、特に7.5dBより少ないこと。この条件は実時間スペクトルが概略的に実際の炎の傾向に従っているか否かを調べるためのものである。
(B)20dBのウィンドウ(Window:枠)を外れて存在する理想スペクトル曲線P(f)の点または部分の数が25Hz帯域幅の所定量(例えば19%)より少ないこと。この条件は開放炎における傾向は連続的で極端な値が存在しないことを前提としている。
(C)二つの最大偏差が25dBよりも少ないこと。
【0017】
U.S.P4,866,420では、これらの三つの条件A〜Cをすべて満たしている場合に真火災であると判定し、一つでも満たしていない場合に誤報と判定する。
したがって、U.S.P4,866,420の火災検出方法は、検出のアルゴリズムが複雑で、火災検出までに長時間を要するという問題点がある。特に、条件(B)は複数のポイント(2秒であれば24ポイント)の各々について、20dBのウィンドウから外れているか否かの判断をしなければならないため、複雑さと時間の問題は顕著である。
しかし、実際の火災検出は人命の救助などを考慮して、迅速且つ確実に行われなければならないため、U.S.P4,866,420の検出方法は、実際の火災に適用することが困難であり、実用的な検出方法であるとは言えなかった。
【0018】
そこで本発明は、炎と他の赤外線エネルギー放射体との識別性能、特に、炎の赤外線エネルギー変動と類似性の高い他の赤外線エネルギー放射体との識別性能を向上し、以って防災設備の信頼性改善に寄与する社会生活上有益な炎検出装置及び炎検出方法の提供を目的とする。
また、本発明は、バンドパスフィルタや検出素子を増設することなく、信頼性の高い火災検出を行うことにより、製品価格の上昇や装置の大型化を防止することのできる炎検出装置及び炎検出方法の提供を目的とする。
また、本発明は、迅速な火災判定を行うことにより、実用化に適した炎検出装置及び炎検出方法の提供を目的とする。
【0019】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の発明は、赤外線エネルギーを電気信号に変換する検知素子と、
前記検知素子の出力信号から、炎の赤外線エネルギーのゆらぎ周波数を含む第一の所定周波数域の信号を抽出する第一抽出手段と、前記検知素子の出力信号から、炎の赤外線エネルギーのゆらぎ周波数を含まず且つ前記第一の所定周波数域の高周波側に隣接し、前記第一の所定周波数域に相当する帯域幅を少なくとも有する第二の所定周波数域の信号を抽出する第二抽出手段と、前記第一抽出手段の抽出信号と前記第二抽出手段の出力信号とに基づいて、火災が発生しているか否かの判定を行なう判定手段と、を備えたことを特徴とする。
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、前記判定手段は、前記第一抽出手段にて抽出された信号が第一の所定値以上のレベルを持ち、且つ前記第二抽出手段にて抽出された信号が第二の所定値以上のレベルを持たない場合に、火災が発生していると判定する、ことを特徴とする。
請求項3記載の発明は、請求項1記載の発明において、前記判定手段は、前記第一抽出手段にて抽出された信号と、前記第二抽出手段にて抽出された信号との比が、第三の所定値を越えた場合に、火災が発生していると判定する、ことを特徴とする。
請求項4記載の発明は、請求項1記載の発明において、前記第一抽出手段及び第二抽出手段は、ディジタルフィルタ、高速フーリエ変換法、又は最大エントロピー法を用いて周波数解析を行い、信号の抽出を行う、ことを特徴とする。
請求項5記載の発明は、請求項1記載の発明において、前記第一の所定周波数域を、前記検知素子の出力信号の直流成分を含まないように設定する、ことを特徴とする。
請求項6記載の発明は、請求項1記載の発明において、前記第二の所定周波数域は、少なくとも前記第一の所定周波数域の各周波数の倍数の周波数を含む、ことを特徴とする。
請求項7記載の発明は、請求項1乃至請求項6記載の発明において、前記第一の所定周波数域は0.5Hz〜8.0Hzであり、前記第二の所定周波数域は8.5Hz〜16.0Hzである、ことを特徴とする。
請求項8記載の発明は、請求項1乃至請求項6記載の発明において、前記第一の所定周波数域は0.25Hz〜8.0Hzであり、前記第二の所定周波数域は8.25Hz〜16.0Hzである、ことを特徴とする。
請求項9記載の発明は、赤外線エネルギーを電気信号に変換する検知素子と、
前記検知素子の出力信号から、該出力信号の直流成分を含まず且つ炎の赤外線エネルギーのゆらぎ周波数を含む第一の所定周波数域である0.5Hz〜8.0Hzの信号を高速フーリエ変換法にて抽出する第一抽出手段と、前記検知素子の出力信号から、炎の赤外線エネルギーのゆらぎ周波数を含まず且つ前記第一の所定周波数域に隣接し、前記第一の所定周波数域に相当する帯域幅を有した第二の所定周波数域である8.5Hz〜16.0Hzの信号を高速フーリエ変換法にて抽出する第二抽出手段と、前記第一抽出手段にて抽出された信号が第一の所定値以上のレベルを持ち、且つ前記第二抽出手段にて抽出された信号が第二の所定値以上のレベルを持たない場合に、火災が発生していると判定する判定手段と、を備えたことを特徴とする。
請求項10記載の発明は、赤外線エネルギーを電気信号に変換する検知素子の出力信号から、炎の赤外線エネルギーのゆらぎ周波数を含む第一の所定周波数域の信号と、炎の赤外線エネルギーのゆらぎ周波数を含まず且つ前記第一の所定周波数域の高周波側に隣接し、前記第一の所定周波数域に相当する帯域幅を少なくとも有する第二の所定周波数域の信号とを抽出する第一ステップと、前記第一ステップで抽出した二つの信号に基づいて、火災が発生しているか否かの判定を行う第二ステップと、を含むことを特徴とする。
請求項11記載の発明は、請求項10記載の発明において、前記第二ステップは、前記第一ステップで抽出した第一の所定周波数域の信号が第一の所定値以上のレベルを持ち、且つ前記第一ステップで抽出した第二の所定周波数域の信号が第二の所定値以上のレベルを持たない場合に、火災が発生していると判定する、ことを特徴とする。
請求項12記載の発明は、請求項10記載の発明において、前記第二ステップは、前記第一ステップで抽出した第一の所定周波数域の信号と第二の所定周波数域の信号との比が、第三の所定値を越えた場合に、火災が発生していると判定する、ことを特徴とする。
請求項13記載の発明は、請求項10記載の発明において、前記第一ステップは、ディジタルフィルタ、高速フーリエ変換法、又は最大エントロピー法を用いて周波数解析を行い、信号の抽出を行う、ことを特徴とする。
請求項14記載の発明は、請求項10記載の発明において、前記第一の所定周波数域を、前記検知素子の出力信号の直流成分を含まないように設定する、ことを特徴とする。
請求項15記載の発明は、請求項10記載の発明において、前記第二の所定周波数域は、少なくとも前記第一の所定周波数域の各周波数の倍数の周波数を含む、ことを特徴とする。
請求項16記載の発明は、請求項10乃至請求項15記載の発明において、前記第一の所定周波数域は0.5Hz〜8.0Hzであり、前記第二の所定周波数域は8.5Hz〜16.0Hzである、ことを特徴とする。
請求項17記載の発明は、請求項10乃至請求項15記載の発明において、前記第一の所定周波数域は0.25Hz〜8.0Hzであり、前記第二の所定周波数域は8.25Hz〜16.0Hzである、ことを特徴とする。
請求項18記載の発明は、赤外線エネルギーを電気信号に変換する検知素子の出力信号から、該出力信号の直流成分を含まず且つ炎の赤外線エネルギーのゆらぎ周波数を含む第一の所定周波数域である0.5Hz〜8.0Hzの信号と、炎の赤外線エネルギーのゆらぎ周波数を含まず且つ前記第一の所定周波数域に隣接し、前記第一の所定周波数域に相当する帯域幅を有した第二の所定周波数域である8.5Hz〜16.0Hzの信号とを高速フーリエ変換法にて抽出する第一ステップと、前記第一ステップで抽出した第一の所定周波数域の信号が第一の所定値以上のレベルを持ち、且つ前記第一ステップで抽出した第二の所定周波数域の信号が第二の所定値以上のレベルを持たない場合に、火災が発生していると判定する第二ステップと、を含むことを特徴とする。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の第1〜第5の実施の形態を、赤外線式炎検出装置(以下、単に「炎検出装置」)に適用した実施例として図面を参照しながら説明する。
【0021】
(イ)第1の実施の形態
図1は、本発明の第1の実施の形態における炎検出装置の概念的な構成図である。この図において、10は赤外線エネルギー11を電気信号12に変換する検知素子(特に限定しないが、例えば、焦電体を用いたもの)、13は第一周波数フィルタ、14は第二周波数フィルタ、15は判定回路、16は光学波長バンドパスフィルタである。
【0022】
第一周波数フィルタ13は、炎の赤外線エネルギーのゆらぎ周波数(冒頭の周波数fc)に相当する周波数を中心とした第一の所定周波数域fCL1〜fCH1(以下、第一周波数域Aという)の信号を選択的に通過させる特性を持つものである。また、第二周波数フィルタ14は、第一周波数域Aに隣接する高周波数側の第二の所定周波数域fCL2〜fCH2(以下、第二周波数域Bという)の信号を選択的に通過させる特性を持つものである。第一周波数域A(fCL1〜fCH1)としては、例えば、0.5〜8.0Hz、また、第二周波数域B(fCL2〜fCH2)としては、例えば、8.5〜16.0Hzの範囲である。
【0023】
これらの周波数域は、理論上または実験等によって定められたものであり、一般的な炎を最も迅速且つ正確に検出できる周波数域である。
具体的には、第一周波数域Aの0.5〜8.0Hzは、消防検定規格における一般的条件の下でのゆらぎ周波数fc=2.5Hz、1.8Hzの双方を含み、また、その他の火災条件の相違による周波数のバラツキと、ゆらぎ周波数の時間的な推移傾向(時間が経つにつれて揺らぎ周波数が低くなる傾向)とを考慮して決定されている。これは、本件発明者らの様々な実験の結果、実質的な炎のゆらぎ周波数は8.0Hzまでの範囲であることが判明したためである。
また、第二周波数域Bの8.5〜16.0Hzは、炎のゆらぎ周波数を含まず、また、第一の周波数域Aと同様の周波数のバラツキと、時間的な推移傾向とを考慮して決定されている。
なお、この周波数範囲は、環境等に対応するよう変更可能である。
【0024】
図2は、燃焼炎からの赤外線を観測し周波数解析して得られた信号強度と周波数の関係を示す図であり、縦軸は通過信号のレベル、横軸は周波数である。図2において、周波数軸の原点近くのハッチングは、第一周波数フィルタ13を通過した第一周波数域Aの信号を表している。また、その右側のハッチングは、第二周波数フィルタ14を通過した第二周波数域Bの信号を表している。図2からも理解されるように、燃焼炎においては、第一周波数域Aでは所定の信号が得られるが、第二周波数域Bでは信号がほとんど得られず、さらにその信号は第一周波数域Aの信号に比べて極めて小さいことがわかる。なお、図2では第一周波数域Aと第二周波数域Bを不連続にしているが、連続させることも、あるいは一部をオーバラップさせることも可能である。また、第二周波数域Bは、一つの周波数域に限らず、複数の周波数域であってもよい。重要なことは、第一周波数域Aに炎の赤外線エネルギーのゆらぎ周波数(冒頭の周波数fc)が含まれていて、且つ、第二周波数域Bに同周波数(fc)が含まれておらず、第一周波数域Aよりも高い周波数を含むことである。これ以外の事項は検出性能などの要求に合わせて適宜に調整すればよい。
【0025】
判定回路15は、第一周波数域Aの信号と第二周波数域Bの信号とに基づいて火災の判定を行う部分であり、その好ましい判定のアルゴリズムは、図3のように示される。なお、図3のアルゴリズムはフローチャートで示してあるが、これは、ソフトウェア処理への限定的適用のみを意味するものではない。
光学波長バンドバスフィルタ16は、炎に固有のCO2共鳴放射により高いピークを持つ波長4.4μmを中心とする波長帯域の通過特性を設定しており、必要に応じて設けられる。
【0026】
図3において、WHは高周波側の第二周波数域Bの信号レベル積分値を示し、WLは低周波側の第一周波数域Aの信号レベル積分値を示している。なお、積分値に限らず平均値であってもよい。要はそれぞれの周波数域における雑音成分を取り除いた信号レベルのエネルギー総括値であればよい。
このフローチャートでは、まず、WHが所定のしきい値SLHを越えているか否かを判定する(S10)。ここで、SLHのレベルは、炎のWHよりも高く、且つ、炎と同様に赤外線エネルギーの変動をもつ他の赤外線エネルギー放射体、例えば、冒頭の「回転灯」のWHよりも低い適宜のレベルである。したがって、S10でYES判定となった場合は、炎と同様に赤外線エネルギーの変動をもつ他の赤外線エネルギー放射体、例えば、冒頭の「回転灯」であることがわかり、この場合は火災でないためフローを終了する。
【0027】
一方、S10でNO判定となった場合は、例えば、冒頭の「回転灯」でないことが明らかとなる。しかし、この判定だけでは「炎」であるか否かは完全に識別できない。例えば、赤外線エネルギー変動のない他の赤外線エネルギー放射体、例えば、冒頭の「水銀灯」であるかなどを識別できない。したがって、これを識別するために、WLが所定のしきい値SLLを越えているか否かを判定する(S20)。ここで、SLLのレベルは、炎のWLよりも低く、且つ、赤外線エネルギー変動のない他の赤外線エネルギー放射体、例えば、冒頭の「水銀灯」のWLより高い適宜のレベルである。したがって、S20でNO判定となった場合は、例えば、直流分のみの赤外線エネルギーをもつ他の赤外線エネルギー放射体、例えば、冒頭の「水銀灯」であることがわかり、この場合も火災でないためフローを終了する。一方、S20でYES判定となった場合は、SLLを越えるWLをもつ赤外線エネルギー放射体、すなわち、「炎」であり、火災であるから、火災検出信号を出力して(S30)フローを終了する。
【0028】
以上のとおり、本実施の形態(第1の実施の形態)によれば、赤外線エネルギーの検知素子10の出力信号を二つの周波数フィルタ(第一周波数フィルタ13及び第二周波数フィルタ14)に通して、炎の赤外線エネルギーのゆらぎ周波数(冒頭の周波数fc)に相当する周波数を中心とした第一周波数域Aの信号成分(WL)と、この第一周波数域Aに隣接する高周波数側の第二周波数域Bの信号成分(WH)とを抽出し、判定回路15で、これら二つの信号成分(WL、WH)に基づいて火災の判定を行うようにした。したがって、従来技術のように、単一の信号成分に基づく判定に比べて、特に、炎と同様に赤外線エネルギーの変動をもつ他の赤外線エネルギー放射体、例えば、冒頭の「回転灯」と「炎」との識別性能を向上できるという格別有利な効果が得られる。
【0029】
なお、本発明の実施の形態は、以上の例(第1の実施の形態)に限定されないことはもちろんであり、その思想の範囲内において、様々な変形が可能である。
【0030】
(ロ)第2の実施の形態
次に、図4に示す本発明の第2の実施の形態について説明する。
本実施の形態の炎検出装置は、上記第1の実施の形態と同様の検知素子20や第一周波数フィルタ21及び第二周波数フィルタ22を備えるとともに、第一周波数フィルタ21から取り出された第一周波数域Aの信号(WL)を増幅する第一増幅部23と、第二周波数フィルタ22から取り出された第二周波数域Bの信号(WH)を増幅する第二増幅部24と、これら二つの周波数域の信号(WL、WH)に基づいて火災を判定する比較部25と、判定の結果に応じて火災検出信号を発する出力部26とを備えて構成されている。
【0031】
ここで、比較部25は、WLとWHの比(WL/WH)が所定のしきい値(第三の所定値)を越えた場合に火災と判定する。この判定方法によっても、「炎」と「水銀灯」及び「炎」と「回転灯」を識別できる。これは、発明者らの実験によれば、ある条件下で「炎」の場合はWL/WH≧4.0となり、「水銀灯」や「回転灯」の場合はWL/WH≦3.0となることが確認されているからであり、実験結果や環境等に応じてしきい値を適切に設定することにより、「炎」と他の二つのケースを正確に識別することができるからである。例えば、所定のしきい値を4.0と設定することにより、炎を検出することができる。もちろん、環境条件等に適合するように、しきい値を自動的又は手動で変更するようにしてもよい。
【0032】
(ハ)第3の実施の形態
次に、図5に示す本発明の第3の実施の形態について説明する。
本実施の形態の炎検出装置は、上記実施の形態(第1または第2の実施の形態)と同様の検知素子30を備えるとともに、少なくとも、上述の第二周波数域Bを越える周波数域の信号をカットする前置フィルタ31と、この前置フィルタ31の出力信号を増幅する増幅部32と、増幅部32の出力信号をディジタル信号に変換するAD変換部33と、図4の第一周波数フィルタ21及び第二周波数フィルタ22に相当する機能を有するディジタル信号処理部34と、このディジタル信号処理部34の出力信号----図4の第一周波数フィルタ21及び第二周波数フィルタ22の各出力信号、すなわち、第一周波数域Aの信号(WL)と第二周波数域Bの信号(WH)に相当----に基づいて火災を判定する判断部35と、判断部35の判定結果に応じて火災検出信号を出力する出力部36とを備えて構成されている。
ここで、判断部35では、上記第2の実施の形態と同様に、WLとWHの比(WL/WH)が所定のしきい値の範囲に納まっている場合に火災を判定する。
【0033】
また、この例においては、第一周波数域Aの信号と第二周波数域Bの信号を取り出すための重要な二つのフィルタ(図4の第一周波数フィルタ21及び第二周波数フィルタ22に相当)の機能をディジタル的に実現している。したがって、理想的なフィルタ特性を容易に作ることができるという格別な効果が得られる。すなわち、これら二つのフィルタには、きわめて低い周波数(1.8Hzや2.5Hz付近)の信号を正確に取り出すことが求められるが、実際上、このような低い周波数で急峻なカットオフ特性を持つアナログフィルタの設計は相当困難を極める。また、そもそも、炎検出装置に使用するフィルタは安価なことが条件であるので、仮に所望の特性のフィルタを入手又は製造できたとしても、とても採用は叶わない。これに対して、ディジタル的に実現されたフィルタの場合は、その実現手段が汎用のデータ処理装置であればソフト(プログラム)を設計するだけで、若しくは、その実現手段がプログラマブルロジック回路であれば論理設計を行うだけで、所望のフィルタ特性を低コストで容易に得ることができる。したがって、上記の低い周波数の信号を正確に取り出せることはもちろんのこと、さらに、直流分のカット特性を持たせることも可能であり、より一層の炎検出性能の向上を図ることができる。
【0034】
具体的には、例えば、0〜0.5Hzの範囲の信号や、0.〜1.0Hzの範囲の信号をカットするようにしてもよい。また、このように0〜1.0Hzの信号をカットする場合、第一周波数域Aの0.5〜8.0Hzは、カットする直流分よりも上側の範囲、例えば、1.0〜8.0Hzに設定し直してもよい。
【0035】
(ニ)第4の実施の形態
次に、図6に示す本発明の第4の実施の形態について説明する。
本実施の形態は、上記第3の実施の形態の変形例であり、第一周波数域Aの信号と第二周波数域Bの信号を取り出すために、高速フーリエ変換(FFT:fast Fourier transformation)の手法をディジタル信号処理部40に採用した点に相違がある。FFTとは、離散型のフーリエ変換演算における演算の手続きを適当に分解し、級数のもつ周期性や対称性を考慮することにより、本来であればN2回程度にもなる計算回数をNlogN回程度まで減らすようにした算法のことである。このFFTは、特に、非周期時間関数x(t)の周波数スペクトルX(ω)をディジタル的に分析できる手法として多用されているものである。かかるFFTアルゴリズムを利用しても、上記第3の実施の形態と同様の効果が得られる。また、最大エントロピー法(MEM:maximum entropy method)の手法をディジタル信号処理部40に採用してもよい。MEMとは、短い測定時間でFFTより更に高分解能でスペクトル推定する手法である。
なお、第3の実施の形態及び第4の実施の形態において、信号のサンプリングは、AD変換部33の内部あるいはAD変換部33の前段にサンプリング部を設けて行われる。
【0036】
(ホ)第5の実施の形態
次に、図7に示す本発明の第5の実施の形態について説明する。
本実施の形態は、上記第4の実施の形態の変形例であり、増幅部32の後ろにマイクロプロセッサ(第一抽出手段、第二抽出手段、判定手段)41を接続し、このマイクロプロセッサ41を用いて、第4の実施の形態のAD変換部33、ディジタル信号処理部40、判断部35及び出力部36の機能を実現している点で、第4の実施の形態と相違する。
【0037】
すなわち、マイクロプロセッサ41は内部に記憶されたプログラムを実行することによって、増幅部32から出力された信号のサンプリング、サンプリングされた信号のAD変換、FFT演算、火災判断及び火災検出信号の出力などの機能をソフト的に実現する。上記第4の実施の形態のように各機能をハードウェアで構成するのに比べて、設計に柔軟性があり、しかも組み立てや部品のコストも削減できるので、最もシンプルで安価な構成とすることができる。
【0038】
なお、前置フィルタ31の機能もマイクロプロセッサ41で実現可能であるが、第二周波数域Bよりも高域の周波数を含んだ信号が増幅部32に入力して、この増幅部32が飽和し易くなる可能性があるため、本実施の形態では前置フィルタ31をマイクロプロセッサ41で実現せずに独立して設けている。
【0039】
(ヘ)好適な検出条件例
次に、ディジタル信号処理を行う第3〜第5の実施の形態における好適な検出条件について説明する。
図8に、二つの検出条件の例(検出条件1、検出条件2)を示す。なお、この検出条件は、周波数解析法としてFFT演算を用いた場合に適用する。
【0040】
まず、サンプリング期間を検討する。一般的火災の炎のゆらぎ周波数には1Hz以下の成分が含まれることから、その周波数を捉えるためには、少なくとも2秒以上のサンプリングを行うことが望ましい。
次に、サンプリング点数を検討する。FFT演算を行うためには、通常、FFT演算の対象となるデータ点数が2n個であることが必要である。このデータ点数が多いほど検出精度は向上するが、あまり多すぎるとマイクロプロセッサ41の負担が過大になるとともに、火災判定までの時間が長くなるため好ましくない。本件発明者らの実験によれば、実用上の検出精度を得るためには、サンプリング点数は最低でも64個以上必要であり、且つ、128個を越えるとマイクロプロセッサ41の負担が課題になることが判明した。したがって、かかる実験によると、サンプリング点数は64個以上128個以下の範囲にあることが好ましい。
【0041】
次に、サンプリング周波数を検討する。まず、前提として、周波数分布が得られる周波数の最大はサンプリング周波数の1/2となる。一方、実際の燃焼炎の周波数強度は実質的に8Hz以下に分布している。また、変動周期がこの周波数帯にある人工光源(代表例として回転灯)では、8Hz〜16Hzまでの範囲に高調波成分が少なくとも一つ存在する。なお、8Hzよりも速い変動周期を持つ人口光源は、そもそも8Hz以下の成分が小さいとみなせるので、炎ではないと判断できる。
【0042】
したがって、第二周波数域Bは、少なくとも第一周波数域Aの各周波数の倍数を含むように設定される必要がある。すなわち、第二周波数域Bの幅は、第一周波数域Aの幅と同一またはそれ以上に設定されている必要がある。これらのことを考慮すると、燃焼炎と誤報要因とを識別するためには、少なくとも0〜16Hzまでの範囲の周波数を検出することが必要であり、そのためには、サンプリング周波数を32Hzまたは32Hz以上にしなければならない。但し、32Hzを越える場合には、検知素子の応答性能が問題になり、また、50Hzや60Hz若しくはそれらの倍数では交流電源ノイズ等の問題が生じてくるため、32Hzがサンプリング周波数として望ましい。
【0043】
以上の検討結果、並びに、「サンプリング周波数=サンプリング点数/サンプリング期間」の関係から、図8に示す二つの適切な検出条件を設定することができる。
検出条件1は、サンプリング期間=2秒、サンプリング周波数=32Hz、サンプリング点数=64個である。また、検出条件2は、サンプリング期間=4秒、サンプリング周波数=32Hz、サンプリング点数=128個である。
【0044】
また、FFT演算を行った結果として得られる周波数分布の周波数ピッチ(周波数分解能)は、サンプリング期間の逆数となることから、検出条件1の周波数ピッチは0.5Hz、検出条件2の周波数ピッチは0.25Hzとなる。
【0045】
ここで、FFT演算の結果の第1の値(0Hzの値)は、それ以降の値に比べて直流成分を含むために大きな値となる。このため、高周波側の第二周波数域B(この場合8Hzより大きく16Hzまで )と低周波側の第一周波数域A(この場合8Hz以下)の信号強度積分値比に与える影響が大きくなり、結果の差が見えにくくなる。したがって、あらかじめ直流成分を取り除いておくことが望ましい。また、直流成分を取り除くことにより、変動のない人工光源(代表例として水銀灯)による周波数成分は、どの周波数においても(もちろん第1の値を除く8Hz以下においても)ほぼゼロとすることができる。
【0046】
これらのことから、検出条件1においては、第1の値を除いた最小ピッチの周波数(0.5Hz)をfCL1としている。また、fCH1とfCH2は、上述した周波数分析から、それぞれ8Hz、16Hzとしている。また、fCL2は、fCH1に周波数ピッチを加えて8.5Hzとしている。また、同様の理由により、検出条件2においては、fCL1、fCH1、fCL2、fCH2をそれぞれ0.25Hz、8Hz、8.25Hz、16Hzとしている。
【0047】
また、サンプリング周波数やサンプリング点数等によっては、第2の値(検出条件1の場合には0.5Hz、検出条件2の場合には0.25Hz)まで、それ以降の値に比べて大きい値が出ることがあるので、その場合は、第2の値まで取り除くようにすればよい。この場合、検出条件1においては、fCL1=1.0Hz、検出条件2においては、fCL1=0.5Hzに設定する。
【0048】
なお、信号処理部、判断部、または、マイクロプロセッサ等の処理負担や電力消費軽減するために、サンプリング値があらかじめ設定したレベル以上になったときに、FFT演算等の処理を開始するようにすることが望ましい。また、この第一周波数域A及び第二周波数域Bの設定方法については、前記第1の実施の形態や第2の実施の形態にも同様に適用することができる。
【0049】
【発明の効果】
請求項1、請求項9、請求項10または請求項18記載の発明によれば、検知素子の出力信号から炎の赤外線エネルギーのゆらぎ周波数を含む第一の所定周波数成分と、炎の赤外線エネルギーのゆらぎ周波数を含まず且つ前記第一の所定周波数成分の高周波側に隣接し、前記第一の所定周波数域に相当する帯域幅を少なくとも有する第二の所定周波数成分の二つの周波数成分を抽出し、この二つの周波数成分に基づいて火災の判定を行うようにしたので、従来技術のような単一の周波数成分のみに基づく判定に比べて判定の精度向上を図ることができる。
また、光学波長バンドパスフィルタや検出素子はそれぞれ一つずつ設けるだけでよく、特に信号の抽出や火災の判定をマイクロプロセッサで行った場合には極めてシンプルに装置を構成することができる。したがって、製品価格の上昇や装置の大型化を防止することができる。
さらに、第一と第二の所定周波数成分のみに基づいて火災の判定を行うため、火災判定を極めて迅速に行うことができ、例えば、U.S.P4,866,420のような多数のポイントでの判断を行う必要がなく、判定を短時間に行うことができる。したがって、実際の火災検出に適した装置を構成することができる。
請求項2、請求項3、請求項11または請求項12記載の発明によれば、特に、炎と類似する赤外線エネルギーの変動傾向を示す、例えば、「回転灯」を「炎」と誤認することがない。
請求項4または請求項13記載の発明によれば、所望の周波数抽出特性を安価に且つ自在に得ることができる。
また、火災判定を一層迅速に行うことができ、より実際的な火災検出を行うことができる。
請求項5または請求項14記載の発明によれば、赤外線エネルギーの変動がない赤外線エネルギー放射体、例えば、「水銀灯」の成分を除去することができ、誤報を回避できるため、炎検出を一層容易且つ確実に行うことができる。
請求項6または請求項15記載の発明によれば、第一の所定周波数域の高調波成分が現れる帯域幅を第二の所定周波数域として設定することにより、燃焼炎と、周期的変動を伴う人工的な赤外線エネルギー放射体、例えば、「回転灯」とを確実に識別することができる。
請求項7、請求項8、請求項16または請求項17記載の発明によれば、設定された周波数域が理論上または実験等によって適正に定められたものであるため、一般的な炎を最も迅速且つ正確に検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施の形態の概念的な構成図である。
【図2】燃焼炎から赤外線を観測し周波数解析して得られた信号強度と周波数の関係を示す図である。
【図3】判定回路に適用して好ましいフローチャートである。
【図4】第2の実施の形態の概念的な構成図である。
【図5】第3の実施の形態の概念的な構成図である。
【図6】第4の実施の形態の概念的な構成図である。
【図7】第5の実施の形態の概念的な構成図である。
【図8】ディジタル信号処理を行う際の好適な検出条件を示す図である。
【図9】従来例の炎検出装置の概念的な構成図である。
【図10】炎の燃え方の模式図である。
【図11】炎を含む赤外線エネルギー放射体の特性図(時間軸)である。
【図12】炎を含む赤外線エネルギー放射体の特性図(周波数軸)である。
【符号の説明】
10 検知素子
13 第一周波数フィルタ(第一抽出手段)
14 第二周波数フィルタ(第二抽出手段)
15 判定回路(判定手段)
20 検知素子
21 第一周波数フィルタ(第一抽出手段)
22 第二周波数フィルタ(第二抽出手段)
25 比較部(判定手段)
30 検知素子
34 ディジタル信号処理部(第一抽出手段、第二抽出手段)
35 判断部(判定手段)
40 ディジタル信号処理部(第一抽出手段、第二抽出手段)
41 マイクロプロセッサ(第一抽出手段、第二抽出手段、判定手段)

Claims (18)

  1. 赤外線エネルギーを電気信号に変換する検知素子と、
    前記検知素子の出力信号から、炎の赤外線エネルギーのゆらぎ周波数を含む第一の所定周波数域の信号を抽出する第一抽出手段と、
    前記検知素子の出力信号から、炎の赤外線エネルギーのゆらぎ周波数を含まず且つ前記第一の所定周波数域の高周波側に隣接し、前記第一の所定周波数域に相当する帯域幅を少なくとも有する第二の所定周波数域の信号を抽出する第二抽出手段と、
    前記第一抽出手段の抽出信号と前記第二抽出手段の出力信号とに基づいて、火災が発生しているか否かの判定を行なう判定手段と、
    を備えたことを特徴とする炎検出装置。
  2. 前記判定手段は、
    前記第一抽出手段にて抽出された信号が第一の所定値以上のレベルを持ち、且つ前記第二抽出手段にて抽出された信号が第二の所定値以上のレベルを持たない場合に、火災が発生していると判定する、
    ことを特徴とする請求項1記載の炎検出装置。
  3. 前記判定手段は、
    前記第一抽出手段にて抽出された信号と、前記第二抽出手段にて抽出された信号との比が、第三の所定値を越えた場合に、火災が発生していると判定する、
    ことを特徴とする請求項1記載の炎検出装置。
  4. 前記第一抽出手段及び第二抽出手段は、
    ディジタルフィルタ、高速フーリエ変換法、又は最大エントロピー法を用いて周波数解析を行い、信号の抽出を行う、
    ことを特徴とする請求項1記載の炎検出装置。
  5. 前記第一の所定周波数域を、
    前記検知素子の出力信号の直流成分を含まないように設定する、
    ことを特徴とする請求項1記載の炎検出装置。
  6. 前記第二の所定周波数域は、
    少なくとも前記第一の所定周波数域の各周波数の倍数の周波数を含む、
    ことを特徴とする請求項1記載の炎検出装置。
  7. 前記第一の所定周波数域は0.5Hz〜8.0Hzであり、
    前記第二の所定周波数域は8.5Hz〜16.0Hzである、
    ことを特徴とする請求項1乃至請求項6記載の炎検出装置。
  8. 前記第一の所定周波数域は0.25Hz〜8.0Hzであり、
    前記第二の所定周波数域は8.25Hz〜16.0Hzである、
    ことを特徴とする請求項1乃至請求項6記載の炎検出装置。
  9. 赤外線エネルギーを電気信号に変換する検知素子と、
    前記検知素子の出力信号から、該出力信号の直流成分を含まず且つ炎の赤外線エネルギーのゆらぎ周波数を含む第一の所定周波数域である0.5Hz〜8.0Hzの信号を高速フーリエ変換法にて抽出する第一抽出手段と、
    前記検知素子の出力信号から、炎の赤外線エネルギーのゆらぎ周波数を含まず且つ前記第一の所定周波数域に隣接し、前記第一の所定周波数域に相当する帯域幅を有した第二の所定周波数域である8.5Hz〜16.0Hzの信号を高速フーリエ変換法にて抽出する第二抽出手段と、
    前記第一抽出手段にて抽出された信号が第一の所定値以上のレベルを持ち、且つ前記第二抽出手段にて抽出された信号が第二の所定値以上のレベルを持たない場合に、火災が発生していると判定する判定手段と、
    を備えたことを特徴とする炎検出装置。
  10. 赤外線エネルギーを電気信号に変換する検知素子の出力信号から、炎の赤外線エネルギーのゆらぎ周波数を含む第一の所定周波数域の信号と、炎の赤外線エネルギーのゆらぎ周波数を含まず且つ前記第一の所定周波数域の高周波側に隣接し、前記第一の所定周波数域に相当する帯域幅を少なくとも有する第二の所定周波数域の信号とを抽出する第一ステップと、
    前記第一ステップで抽出した二つの信号に基づいて、火災が発生しているか否かの判定を行う第二ステップと、
    を含むことを特徴とする炎検出方法。
  11. 前記第二ステップにおいて、
    前記第一ステップで抽出した第一の所定周波数域の信号が第一の所定値以上のレベルを持ち、且つ前記第一ステップで抽出した第二の所定周波数域の信号が第二の所定値以上のレベルを持たない場合に、火災が発生していると判定する、
    ことを特徴とする請求項10記載の炎検出方法。
  12. 前記第二ステップにおいて、
    前記第一ステップで抽出した第一の所定周波数域の信号と第二の所定周波数域の信号との比が、第三の所定値を越えた場合に、火災が発生していると判定する、
    ことを特徴とする請求項10記載の炎検出方法。
  13. 前記第一ステップにおいて、
    ディジタルフィルタ、高速フーリエ変換法、又は最大エントロピー法を用いて周波数解析を行い、信号の抽出を行う、
    ことを特徴とする請求項10記載の炎検出方法。
  14. 前記第一の所定周波数域を、
    前記検知素子の出力信号の直流成分を含まないように設定する、
    ことを特徴とする請求項10記載の炎検出方法。
  15. 前記第二の所定周波数域は、
    少なくとも前記第一の所定周波数域の各周波数の倍数の周波数を含む、
    ことを特徴とする請求項10記載の炎検出方法。
  16. 前記第一の所定周波数域は0.5Hz〜8.0Hzであり、
    前記第二の所定周波数域は8.5Hz〜16.0Hzである、
    ことを特徴とする請求項10乃至請求項15記載の炎検出方法。
  17. 前記第一の所定周波数域は0.25Hz〜8.0Hzであり、
    前記第二の所定周波数域は8.25Hz〜16.0Hzである、
    ことを特徴とする請求項10乃至請求項15記載の炎検出方法。
  18. 赤外線エネルギーを電気信号に変換する検知素子の出力信号から、該出力信号の直流成分を含まず且つ炎の赤外線エネルギーのゆらぎ周波数を含む第一の所定周波数域である0.5Hz〜8.0Hzの信号と、炎の赤外線エネルギーのゆらぎ周波数を含まず且つ前記第一の所定周波数域に隣接し、前記第一の所定周波数域に相当する帯域幅を有した第二の所定周波数域である8.5Hz〜16.0Hzの信号とを高速フーリエ変換法にて抽出する第一ステップと、
    前記第一ステップで抽出した第一の所定周波数域の信号が第一の所定値以上のレベルを持ち、且つ前記第一ステップで抽出した第二の所定周波数域の信号が第二の所定値以上のレベルを持たない場合に、火災が発生していると判定する第二ステップと、
    を含むことを特徴とする炎検出方法。
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