JP2608512B2 - 火災検知方法 - Google Patents

火災検知方法

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JP2608512B2 JP4260548A JP26054892A JP2608512B2 JP 2608512 B2 JP2608512 B2 JP 2608512B2 JP 4260548 A JP4260548 A JP 4260548A JP 26054892 A JP26054892 A JP 26054892A JP 2608512 B2 JP2608512 B2 JP 2608512B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、火源から放射される赤
外線を検出して火災を検知する火災検知方法に関するも
のであり、特に多波長の赤外線を同時に検出して火災と
非火災の区別を明確化する火災検知方法に関する。本発
明は、燻焼火災や発炎火災などの火災の状態に関わり無
く有効な火災検知を行う方法を提供する。
【0002】
【従来の技術】従来より、火炎から放射される赤外線を
検知する炎検知方法は実用化されている。また、これら
の炎検知方法では、炎から放射される特有のスペクトル
線(4.4μm帯;CO2の共鳴放射帯)を検出するものが主
流であるが、炎以外の赤外線源による誤動作を減らすい
くつかの試みが提案されている。例えば、特開昭50−
2497号は、4.3μmとその前後の2波長における
放射線量を検出し、4.3μmと他の2波長における放
射線量が一定値以上になった場合に炎として判断してい
る。特開昭57−96492号は、2つの凸部間に谷間
が存在するか否かを判別して炎の発生を感知することを
提唱している。
【0003】その他、特開昭61−32195号は、近
赤外線域の波長の放射線を検出する第1の放射線検出手
段と、写真赤外領域の波長の放射線を検出する第2の放
射線検出手段と、前記第1および第2放射線検出手段か
らの出力信号を受信し、これらの出力信号のレベル差と
同期性とにより出力信号の論理的組み合せを演算する演
算手段と、演算手段からの組み合わせ出力信号により火
災信号とノイズ信号とを判別する検出手段を具備する火
災感知装置を開示する。これは、発炎火災と可視光ノイ
ズが2.3μmと0.9μmの赤外線の相関関係に同期
性を有し、燻焼火災は同期性を示さず、又発炎火災と燻
焼火災は近赤外線強度が写真赤外線強度より大きく、可
視光ノイズは近赤外線強度が写真赤外線強度より小さい
ことを利用し、上記2種の放射線を比較して火災と可視
光ノイズの区別、および発炎火災と燻焼火災を区別する
ものである。
【0004】しかしながら、電灯等赤外域の輻射強度に
比較して可視又は近赤外域の輻射強度が大きい場合は非
火災と判断する方式では、通常的な電灯による誤報を少
なくはしたが、火災以外の発熱体であっても可視又は近
赤外線を放射しないものあるいはそれが弱いものであれ
ば火災と判断し、誤報を発する。すなわち、電熱器等で
は誤報を発し、その適用に制約が大きい。また、4.3
μmとその前後の2波長における放射線量を検出し、
4.3μmと他の2波長における放射線量が一定値以上
になった場合に炎として判断する方法では、炎を検知す
ることはできてもその炎が火災に由来するものかあるい
は有益な熱源に由来するものかは検知できない。すなわ
ち、ガスレンジ、ガスストーブ等の炎で誤報を発する欠
点がある。さらに、2.3μmと0.9μmの2種の放
射線のレベル差と同期性とを比較して火災と可視光ノイ
ズの区別、および発炎火災と燻焼火災を区別するもので
は、火災の種類、燃え方によっては必ずしもここでいう
同期性がみられるとの補償はなく、信頼性を欠く。
【0005】本発明者らはこのような状況に対して、赤
外線源から放射される赤外線を複数の波長帯で検知し、
赤外線検出器の検知出力および該検知出力の比の時間的
変化に基づいて火災か否かを判断する信号処理回路を具
備することによって信頼性の高い火災検知方法を確立し
ている。
【0006】たとえば本発明者らは特願平03−348
547(特開平05−159174)で、比較的高温の
発熱を主に検出する短波長の赤外波長帯と比較的低温の
発熱を主に検出する長波長の赤外波長帯、さらに炎の有
無を検出するCO2の共鳴放射帯を各々検出する手法を
とり、これらの波長帯は、燻焼状態における可燃物の放
射スペクトル、赤外線が大気中を伝播するうえにおいて
の各種の損失、火災検知器の構成するうえで必要な筐体
における損失等を考慮したうえで、2.8μm〜3.
2μm,4.2μm〜4.6μm,4.6μm〜
5.5μm,8.0μm〜10.0μmの4波長帯を
特定し、各々検出する火災検知方法を提供した。これら
の波長帯は、まず高温の発熱を検出するための波長対と
して,の2波長帯、低温の発熱を検出するための波
長対として,の2波長帯、さらに炎の有無を検出す
るの波長帯である。
【0007】特願平03−348547(特開平05−
159174)では、上記それぞれの波長帯の赤外線強
度の比に基づいて赤外線源の温度を算出し、この温度か
ら上記いずれかの波長帯の赤外線強度を求めこの赤外線
放射強度およびその波長帯を検出する赤外線検知器の出
力とに基づいて発熱面積を以下のようにして算出するこ
とにより火災の状況判定を行なう。
【0008】検知波長帯をλ1,λ2,…λn(n=2以上
の整数)とし、赤外線検知部Dにおいて検出されたそれ
ぞれの波長帯の検出出力をV1,V2,…Vnとする。そ
してこれらの検出出力は赤外線検知部Dに入射した各波
長帯の赤外線強度を正確に反映しているものとする。と
ころで、プランクの放射則により、ある温度Tの物体が
波長λで半空間内に放射する赤外線の単位面積当たりの
放射強度は次式で表される。
【0009】
【数1】
【0010】なお、ここでC1,C2は、C1=2πh
,C2=hc/kで決まる定数である。ただし、h
はプランク定数、cは光速度、kはボルツマン定数であ
る。
【0011】上記の(1)式に2つの検出波長帯λ1,
λ2とその波長帯での放射赤外線強度P1,P2を代入
し、温度Tを求める近似式を導くと、
【数2】 ここで、赤外線源Sから赤外線検知部Dまでの間の吸収
がλ1,λ2ともに無いとすれば上記(2)式のP1,
P2はV1,V2に置き換えることができる。すなわ
ち、
【数3】 となる。(3)式より、異なった2波長の赤外線を各々
検出することによって赤外線源の温度が求められる。
【0012】次に、上式(3)によって求めた温度Tか
らλ1或はλ2における単位面積当たりの黒体輻射強度
(これをP1’或はP2’とする)がプランクの輻射則
すなわち(1)式より求まる。一方、赤外線検知部Dに
入射する赤外線の強度は赤外線源Sとの距離Lによっ
て、1/2πLになる。実際にはsは未知であるか
ら、便宜上、P1”とP2”の計算値としては、赤外線
源からの赤外線検知部DTに入射する赤外線強度を用い
る。赤外線検知部の出力が入射赤外線強度を正確に反映
していると仮定しているので、V1或はV2からP1或
はP2がわかる。したがって、上記求めた温度Tのある
面積を持った(単位面積のs倍)赤外線源から赤外線検
知部Dに入射すべき赤外線強度P1”或はP2”は、P
1’或はP2’に2πLとsを乗じた値となる。即
ち、 P1”=P1’×2πL×s (4) P2”=P2’×2πL×s (5) となる。ここで赤外線検知部の出力が入射赤外線強度を
正確に反映していると仮定しているので、V1或はV2
から上記式(3)、(2)を用いてP1或はP2がわか
る。従って、距離Lを既知とすれば実際に検出された入
射赤外線強度P1或はP2と計算によって求めた入射赤
外線強度P1’或はP2’との比は式(4)、(5)か
ら判るように赤外線源Sの面積sを表していることにな
る。
【0013】さらに、CO2の共鳴放射帯域を検出する波
長帯を用いて、上記手段で求めた赤外線源の温度および
発熱面積から式(1)によってCO2の共鳴放射帯域における
黒体放射の赤外線強度Pco2’を算出し、上記P1などと
同様に赤外線検知部に入射すべき赤外線強度Pco2”を
求め、これと実際に観測されたPco2との比を算出す
る。ここで、Pco2”》Pco2であれば赤外線源は炎を伴
うものである。このようにして火災の状況を把握し、火
災の警報を発する。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら上記の火
災検知方法では、炎を伴わない発熱体と炎を伴う発熱体
とでは検知結果に若干の差異があった。すなわち、炎を
伴う発熱体では炎に特有な放射といわれるCO2の共鳴放
射(4.4μm帯)が非常に強くでるが、その他にもH2Oの
放射などによって5μm付近にもさまざまな放射が現れる
ことが判明してきた。その結果、炎を伴う発熱体の場合
には発熱体の規模を正確に判断できなくなるといった問
題点が生じていた。
【0015】
【問題点を解決するための手段】上記目的を達成するた
めに本発明では、(1)被検知体からのCOの共鳴放
射帯を含む複数の赤外線放射帯における赤外線強度を検
出して、その検出値の相対比及び絶対値及びそれらの時
間的変化から火災か否かを判定する火災検知器におい
て、検出した赤外線の強度から炎の特徴的な放射成分を
差し引いた値の相対値または絶対値から被検知体の温
度、面積を算出することを特徴とする火災検知方法。
(2)前記複数の赤外線放射帯が2.8μm〜3.2
μm,4.2μm〜4.6μm,4.6μm〜5.
5μm,8.0μm〜10.0μmであることを特徴
とする上記(1)記載の火災検知方法。(3)前記
4.2μm〜4.6μmの赤外線の強度と4.6μm
〜5.5μmの赤外線の強度から炎の特徴的な放射成分
を差し引いた値を用いて、被検知体の温度、面積を算出
することを特徴とする上記(2)の火災検知方法。を発
明した。
【0016】
【本発明の具体的説明】以下、本発明を具体的に説明す
る。図1は本発明が適用される火災検知器の一つの構成
例である。この例では、火源または類似の発熱源から放
射された赤外線をチョッパーによって周期的に分断し、
4個の焦電型赤外線センサーで各々異なった4波長帯を
検出する。これらのセンサーには、あらかじめ定まった
波長帯を透過するバンドパスフィルターが内蔵されてい
る。ただし、4個以下の焦電型赤外線センサーであって
も、切替手段を用いて4つに分割した波長を検知する方
式としてもよい。また、ただ4個以下の焦電型赤外線セ
ンサーであっても、切替手段を用いて4種の波長帯を検
知する方式としてもよい。各々のセンサーで検出した信
号は、増幅回路で増幅した後にA/D変換器によってデ
ジタル信号に変換される。マイクロプロセッサはこのデ
ジタル信号に対してチョッパーの分断周期による同期検
波およびろ波を行ない、チョッパーによって分断されて
いた信号を連続的な信号系列に戻している。さらに、こ
こで得られた信号系列を通信用の信号系列に変換し、ホ
ストコンピュータにデジタル伝送を行なっている。
【0017】図1の例で検出している赤外線の波長帯
は、図2に示すごとく低温域から高温域までの発熱体の
放射を効率良く検出する波長帯とする。すなわち、中
心波長3μm半値幅0.4μm,中心波長4.4μm半値幅0.4
μm,中心波長5.5μm半値幅0.8μm,中心波長8.5μ
m半値幅1.0μmである。上記波長帯については、主に
高温域の発熱体の放射を検出し、波長帯で検出した赤
外線強度と組み合せて400℃以上の高温域の発熱体を監
視する。波長帯については炎の有無を監視する。波長
帯は低温域から高温に到るまで効率良く検出する波長
帯で、波長帯と組み合せて高温域の発熱体の監視と、
波長帯と組み合せて低温域の発熱体の監視を行なう。
波長帯は、400℃以下の低温の発熱体の放射を効率良
く検出し、波長帯と組み合せて400℃以下の低温域の
発熱体の監視を行なう。燻焼状態から火災に到る過程で
は、低温の発熱体が次第に高温になりながら拡大してい
く。従って、低温から高温までの幅広い温度範囲で発熱
源の温度を監視できることが必要となる。
【0018】炎特有の放射成分は、その波長帯の成分が
炎の大きさ、質によらずほぼ一定のものであるが、放射
全体に含まれる量は炎の大きさ、質などによって異な
る。炎の放射は、炎の中の黒体の放射部分と炎特有の放
射の部分とに分けられ、黒体の部分の放射と炎特有の部
分との放射の和になっている。さらに炎特有の放射成分
の放射全体に含まれる量は炎の大きさによってその量が
変化する。ここで、炎特有の放射が現れる波長帯は主に
COの共鳴放射体である波長帯であるが、波長帯
にも炎特有の放射が現れる。波長帯に現れる放射は燃
焼にともなって発生した水分と考えられる。
【0019】図3は、被検知体の温度を少なくともCO2
の共鳴放射域にある赤外線の強度を含む複数の赤外線放
射帯の強度の相対比を示す一例であり、図1に示す構成
の火災検知器においてさまざまな発熱体を検出する実験
を行ったときの各波長帯のセンサー出力の相対比を示し
たものである。炎特有の放射成分は波長帯と波長帯
において図3のFR点の成分比を持っている。この点を中
心としてそれぞれ異なった可燃物の燃焼によるセンサー
出力の比が直線上に乗る。すなわちあらゆる種類の炎
の、波長帯と波長帯における炎特有の放射成分はFR
点で表される成分比となっている。その炎が持っている
分だけ差し引くと、炎の大きさに関係なく黒体放射のラ
イン上のある一点に集まる。
【0020】炎の放射とは、燃焼によって発生したC
O2、H2O等の分子振動による共鳴放射と、燃焼によって
発生した黒鉛等の固体粒子による熱放射が重畳したもの
である。固体粒子の放射はおおむね炎全体に分布し、気
体中に分散されている粒子による放射であるので半透明
体の放射である。そしてこの部分が半透明体としても、
炎がある程度大きいならば放射率はほぼ1と考えること
ができる。また、CO2、H2O等による炎特有の放射は放射
効率が非常に高く、炎の表面からの放射となる。従っ
て、例えばノルマルヘプタンの燃焼に伴う放射は、燃焼
によって発生した黒鉛等の固体粒子による熱放射である
a点とCO2、H2O等による炎特有の放射であるFR点との間
に引いた直線上の放射成分を持つ。同様にメタノールの
燃焼に伴う放射はb点とFR点間の直線上の放射成分とな
る。
【0021】炎の温度は炎の外層のガス体が最も高くな
る。従って熱放射をおこす温度は炎の最高温度ではない
場合が多いが、炎全体を包括して規模を考える場合に
は、上記の考えに従って炎全体の放射、すなわち燃焼に
よって発生した黒鉛等の固体粒子による熱放射を考えた
方がよい。
【0022】以下でこの温度を求める計算方法を検討す
る。図3の例では、ノルマルヘプタンとメタノールのそ
れぞれの炎の特徴を示す直線の原点であるFR点は、波長
帯:波長帯=74:26の成分比を持つ。従ってこの点を
頂点とした形の相図を考えれば良い。
【0023】このように考えると、実際に検出された炎
の放射成分からFR点で表される炎特有の放射を差し引け
ば炎中の熱放射の成分を分離することができ、これは図
中の黒体放射の曲線上に乗ることになる。このような処
理を行えば通常の黒体放射の温度計算と同様に波長帯
と波長帯の比率から式(3)の計算によって温度を求め
られる。従って波長帯から炎の放射成分を差し引けば
良い。
【0024】以下、具体的な計算例を示す。この計算例
では、計算の簡略化をはかるために、近似計算を行って
いる。これは、図3等を検討すると、黒体放射の曲線の
特徴として、波長帯の割合が温度に対して変化が少な
く3波長合計の2割程度であることがわかる。従って波長
帯の割合が、波長帯−波長帯−波長帯の3波長
合計の約20%となるように炎特有の成分を差し引くこと
で、ほぼ黒体の放射成分を残すことができる。ここで、
差し引いた後の波長帯の割合の基準を700℃〜1000℃
の黒体放射に合わせておくことで誤差を少なくできる。
この場合に温度の計算結果に与える誤差は大きくても20
℃程度である。これを500℃以下の黒体放射に合わせた
場合は高温での誤差が大きくなる。
【0025】以下にその計算手順を述べる。まず被検知
体の温度を少なくともCOの共鳴放射域にある赤外線
の強度を含む複数の赤外線放射帯の強度の相対比を求め
る前に、炎特有の放射成分を差し引く。例えば、3つの
波長帯の各成分〜のセンサーの出力値をそれぞれV
1,V2,V3とし、炎特有の成分として差し引く値を
Vxとする。Vxは波長帯及び波長帯の炎特有の成
分の合計であり、Vx全体のそれぞれの割合をVf2,
Vf3とする。図4のc点においては、VxはFR点か
らc点への直線の延長上のc点から黒体放射の曲線まで
の長さに相当し、そのうちの波長帯の成分がVf2,
波長帯の成分がVf3である。また、基準となる黒体
放射での波長帯の割合をR2とすれば、 従って、 となる。ここで求めたVxを用いて波長帯と波長帯
から炎の放射成分を差し引けば良い。波長帯の値とこ
こで補正された波長帯の値を(3)式に当てはめるこ
とによって炎の温度が求まる。そして面積、CO比の
計算はここで求めた温度から、面積は波長帯に対し
て、CO比は波長帯に対して式(4)、(5)を適
用して求める。
【0026】前記した手段によって赤外線源の温度およ
び面積が求められる。ところで、赤外線源の温度が高い
場合でもその大きさ、すなわち面積が小さければ火災で
はなく、また逆に温度が低くとも面積の大きい場合は火
災の可能性が高い。このようにあらゆる状態の熱源を考
える上で重要となるのは、その熱源が周囲に与える熱量
である。すなわち、周囲に与える熱量が大きければ延焼
の危険性が増大し、拡大速度も大きくなる。火源が周囲
に与える熱量はすなわち火源の放射エネルギー量によっ
て定まる。従って、放射エネルギー量を火源の規模と考
えることができる。ある温度T、面積sの熱源の放射エ
ネルギーWはステファンーボルツマンの法則から、 W=Tσ・s (W) (8) と表される。ここでσはステファン−ボルツマンの定数
で、σ=5.673×10−12(W/cm・deg
)である。従って、赤外線源の温度、面積から火源の
規模が求まる。
【0027】本実施例では上記手段によって求めた放射
エネルギー量がその対象とする空間における危険状態の
発熱量を越えた場合に警報を発する。一般的な火災につ
いては、火源の発熱量が5kW〜20kWで危険な状態、すな
わちその空間に居合せた人間が危険と感じる状態になる
とされている。もちろんこの値は、対象とする空間の大
きさ、用途などによって変えられる性格のものである。
また、前記危険状態の発熱量より小さい値に1つ以上
の小区分を設け、放射エネルギー量がそれぞれの区分を
越える毎に危険性を段階的に区分して警報を発すること
で、火災の初期状態から、警戒の警報を発報することが
でき、より確度の高い火災の検知が可能となるのみなら
ず初期対応が容易となる。
【0028】さらに、放射エネルギー量の増加に着目す
ることで火災の状態変化をより正確に把握することがで
きる。すなわち、放射エネルギー量が大きくかつ放射エ
ネルギー量が増加傾向にある場合には火災の可能性が非
常に高い。また、放射エネルギー量が大きくともその時
間的な変化がない場合には火災ではなく、暖房などの有
用炎である場合が多い。従って、放射エネルギー量の増
加率によって警報の発令を行なうことでさらに早い段階
から確実な火災の検知が可能になる。
【0029】放射エネルギーの増加率は、算出した放射
エネルギー量の一定時間の変化率から求める。この方法
として、放射エネルギーの算出値を時系列的に一定時間
記憶し、その時系列値に移動平均などの高域遮断フィル
タ処理を施した後に一定時間はなれた2つの放射エネル
ギー値を比較する方法や、一定時間記憶された時系列値
をもとに、これらの値から最小2乗法によって変化の傾
向を求める方法などを用いる。増加率を算出する際の記
憶時間は、10秒以上であることが望ましいが、警報の遅
れを避けるために3分以下であることが望ましい。
【0030】火災判断の基準は、放射エネルギー量の増
加率があらかじめ決められた一定値を越えた場合、あら
かじめ決めた1つ以上の段階的区分に分ける場合、放射
エネルギーの増加率がその発熱源の放射エネルギー量の
一定割合以上の増加を示す場合、そしてその増加率がそ
の発熱源の放射エネルギーのあらかじめ決めた1つ以上
の段階的区分の割合に分ける場合などがある。これら
は、その空間などによって決まる要求に応じて適宜選択
される。通常、この区分は1〜5程度が適当である。警
報は放射エネルギー量の増化率が上記基準を越えた場合
または上記区分の中に該当する場合に発熱源を火災と判
定する場合と、増加率の各段階に応じて例えば放射エネ
ルギー量で決まる6段階の区分の警報を上位の警報に移
行させる場合があり、これも対象とする空間の仕様によ
って適宜選択される。
【0031】
【実施例】実施例として、図1に示す構成の火災検知器
において本発明による火災検知方法を適応した例を示
す。本実施例では図1に示す検知部の各センサ−の検知
波長帯は、3.0±0.2μm,4.4±0.2μm,5.0±0.4μ
m,8.5±0.5μmとなっている。ホストコンピュ−タに
は計算式(1)〜(8)が記憶され、発熱体の温度、面積、炎
の有無ならびに放射熱量が算出される。また、ホストコ
ンピュ−タではセンサ−の出力がノイズレベルの100倍
以下の場合には雑音低減化のろ波処理を行う。ろ波処理
の時定数は差センサ−の出力がノイズレベルの100倍以
下の場合に8秒であり、センサ−の出力が小さい場合に
は時定数を大きくし、10倍以下の場合に64秒としてい
る。火災の判定は放射熱量から6段階の区分でなされ
る。さらに放射熱量の増加率を最小自乗法によって求
め、これが1W/sec以上の場合には発熱体が拡大中とし、
10W/sec以上の場合には急激に拡大中としている。拡大
中の場合には上記火災判定の区分を1段階危険側に進
め、急激に拡大中の場合には2段階危険側に進めてい
る。最小自乗法を行う際の記憶時間は、センサ−の出力
値がノイズレベルの100倍以上の場合には20秒であるが
センサ−の出力が小さい場合には記憶時間を長くし、セ
ンサ−の出力がノイズレベルの10倍以下である場合には
3分間としている。本実施例では図3のFR点を、波長
帯:波長帯:=74:26と設定している。また、(6)式のR
2を700℃の黒体放射を基準に設定している。
【0032】図5は、従来の火災検知方法と本発明の火
災検知方法とで発熱体の規模をどのように判断するかを
実験によって比較したものである。この実験にはノルマ
ルヘプタンの燃焼を利用している。様々な大きさの正方
形の皿に入れたノルマルヘプタンを燃焼させて、10m
の距離から検知した場合である。従来の火災検知方法で
は、発熱体の規模が小さいときに大きな誤差が生じてい
るが、本実施例では誤差が小さくなっていることがわか
る。このような誤差が生じると火災の初期過程での燃焼
規模が把握できず、初期対応の遅れる原因となる。これ
に対して本発明の火災検知方法によれば発熱体の規模が
小さい場合でも誤差が少ないことがわかる。
【0033】
【発明の効果】本発明による火災検知方法によって炎を
伴う発熱体の規模を正確に判断できるようになった。図
5は、従来の火災検知方法と本発明の火災検知方法とで
発熱体の規模をどのように判断するかを実験によって比
較したものである。この実験にはノルマルヘプタンの燃
焼を利用している。様々な大きさの正方形の皿に入れた
ノルマルヘプタンを燃焼させて、10mの距離から検知し
た場合である。従来の火災検知方法では、発熱体の規模
が小さいときに大きな誤差が生じていることがわかる。
このような誤差が生じると火災の初期過程での燃焼規模
が把握できず、初期対応の遅れる原因となる。これに対
して本発明の火災検知方法によれば発熱体の規模が小さ
い場合でも誤差が少ないことがわかる。従って火災の初
期過程において適切な対応を取ることができるようにな
った。
【図面の簡単な説明】
【図1】は、本発明による検知器の一例を示す。
【図2】は、本発明における検出波長帯域を示す。
【図3】は、図1に示す構成の火災検知器においてさま
ざまな発熱体を検出する実験を行ったときの各波長帯の
センサー出力の相対比を示す。
【図4】は、本発明における処理手続き数式の参考図。
【図5】は、ノルマルヘプタンの燃焼規模の判断を、従
来の火災検知方法と本発明による火災検知方法との比
較。

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 被検知体からのCOの共鳴放射帯を含
    む複数の赤外線放射帯における赤外線強度を検出して、
    その検出値の相対比及び絶対値及びそれらの時間的変化
    から火災か否かを判定する火災検知器において、検出し
    た赤外線の強度から炎の特徴的な放射成分を差し引いた
    値の相対値または絶対値から被検知体の温度、面積を算
    出することを特徴とする火災検知方法。
  2. 【請求項2】 前記複数の赤外線放射帯が2.8μm
    〜3.2μm,4.2μm〜4.6μm,4.6μ
    m〜5.5μm,8.0μm〜10.0μmであるこ
    とを特徴とする請求項1記載の火災検知方法。
  3. 【請求項3】 前記4.2μm〜4.6μmの赤外線
    の強度と4.6μm〜5.5μmの赤外線の強度から
    炎の特徴的な放射成分を差し引いた値を用いて、被検知
    体の温度、面積を算出することを特徴とする請求項2記
    載の火災検知方法。
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