JP4012595B2 - オリゴ糖組成物の製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、機能性に優れた食品素材として産業上有用な4糖からなるヘテロオリゴ糖もしくは還元オリゴ糖、又は5糖以上からなるオリゴ糖を含むオリゴ糖組成物を製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
糖質は従来、甘味源や栄養源として利用されてきたが、近年、低甘味、低カロリー、難分解性、ビフィズス菌増殖因子、難う蝕性等の機能性を有する糖が開発され、健康食品素材として利用されている。
【0003】
これら新しいオリゴ糖の中で最も生産量の多いものがイソマルトオリゴ糖である。イソマルトオリゴ糖は前述の機能だけでなく、味質改善作用もあり高く評価されている。しかも、澱粉を原料として酵素法により生産されるので、最近開発されたオリゴ糖の中では最も安価であることも高く評価される一因である。
【0004】
イソマルトオリゴ糖の優れた機能性に着目し、先に本発明者の一人である坂野はプルランを分解してパノースを生成する酵素の糖転移反応を調べて新規なオリゴ糖であるイソマルトシルイソマルトース(IMIM)を見出し、特許出願をしている(特開平7−25891号)。
【0005】
一方、最近開発され食品素材として利用されているオリゴ糖の中に、ガラクトオリゴ糖、カップリングシュガー、フルクトオリゴ糖、乳果オリゴ糖、大豆オリゴ糖、ラフィノース等の各種ヘテロオリゴ糖が多くあり、それぞれの機能性を生かして食品に添加されている。
【0006】
大豆オリゴ糖及びラフィノースは、大豆及び甜菜に含まれるオリゴ糖から生産されるのに対して、ガラクトオリゴ糖は、ラクトースにβ−ガラクトシダーゼを作用させて得られるオリゴ糖組成物であり、ガラクトシルラクトースとガラクトース−グルコースnの混合物(nは1〜4個)からなっている。カップリングシュガーは、澱粉とシュクロースにサイクロデキストリン合成酵素(CGTase)を作用させて得られるオリゴ糖組成物であり、グルコースn−シュクロースの混合物(nは1〜4個)からなっている。フルクトオリゴ糖は、砂糖にフルクトフラノシダーゼを作用させて得られるオリゴ糖組成物であり、シュクロース−フルクトースnの混合物(nは1〜4個)からなっている。乳果オリゴ糖は、砂糖とラクトースにフルクトフラノシダーゼを作用させて得られるオリゴ糖組成物であり、ラクトシルフルクトシドを主成分としている。
【0007】
このようにヘテロオリゴ糖の多くは入手の容易な天然のオリゴ糖を原料として酵素法によって生産されており、いくつかの類似した構造を持つオリゴ糖の組成物として利用されている。
【0008】
しかしながら、イソマルトースの一種であるパノースの還元末端にフルクトース、マンノース等のグルコース以外の六炭糖が結合したヘテロオリゴ糖はこれまで知られていない。更に、パノースの還元末端にキシロースやアラビノースの五炭糖が結合したヘテロオリゴ糖も全く知られていない。
【0009】
また、パノースの還元末端にソルビトールがα−1,6−結合した還元オリゴ糖も知られていない。更にまた、パノースの還元末端にソルビトール以外のキシリトール、エリスリトール等の糖アルコールが結合した還元オリゴ糖も知られていない。また、パノースの還元末端にシュクロース、ラクトース、セロビオース、トレハロース等の二糖類が結合した5糖以上のヘテロオリゴ糖も知られていない。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者らは、アミラーゼの酵素作用を詳細に検討している中で、プルラン又はパノースを含む糖液にグルコースを共存させて、プルランを基質としてパノースを生成する酵素を作用させると、新規イソマルトオリゴ糖であるIMIM及び既知のイソマルトシルマルトース(IMM)が生成することを見出し、先に特許出願している(特開平7−25891号)。
【0011】
ところで、パノースにグルコース以外の糖が結合すれば、イソマルトオリゴ糖の性質とヘテロオリゴ糖の性質を併せ持つ新規なオリゴ糖が生成されることになる。そこで、グルコース以外の糖のパノースへの結合性を調べたところ、意外にもグルコースを除く六炭糖、五炭糖、糖アルコールがパノースの還元末端に結合した4糖からなるヘテロオリゴ糖及び還元オリゴ糖が生成することを見出した。更に、二糖類等のオリゴ糖がパノースと結合した五糖類以上のオリゴ糖が生成することも見出し、本発明を完成するに至った。
【0012】
即ち、本発明は産業上食品素材として有用な機能性に優れたイソマルトオリゴ糖の性質とヘテロオリゴ糖の性質を併せ持つ新規なヘテロオリゴ糖や還元オリゴ糖の製造方法を提供することを目的とするものである。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本願第一の発明は、プルラン又はパノースを含む糖液にグルコース以外の単糖を共存させて、これにプルランを基質としてパノースを生成する酵素を加えて作用させ、パノースの還元末端に単糖が結合した4糖からなるヘテロオリゴ糖を含むオリゴ糖組成物を製造する方法である。
【0014】
本願第二の発明は、プルラン又はパノースを含む糖液に糖アルコールを共存させて、これにプルランを基質としてパノースを生成する酵素を加えて作用させ、パノースの還元末端にソルビトールがα−1,6−結合した4糖からなる還元オリゴ糖を含むオリゴ糖組成物を製造する方法である。
【0015】
本願第三の発明は、プルラン又はパノースを含む糖液にソルビトール以外の糖アルコールを共存させて、これにプルランを基質としてパノースを生成する酵素を加えて作用させ、パノースの還元末端に糖アルコールが結合した4糖からなる還元オリゴ糖を含むオリゴ糖組成物を製造する方法である。
【0016】
本願第四の発明は、プルラン又はパノースを含む糖液にオリゴ糖を共存させて、これにプルランを基質としてパノースを生成する酵素を加えて作用させ、パノースの還元末端にオリゴ糖が結合した5糖以上の糖からなるオリゴ糖を含むオリゴ糖組成物を製造する方法である。
【0017】
【発明の実施の形態】
本願第一の発明において、共存させる単糖としては、好ましくはフルクトース、マンノース、キシロース及びアラビノースからなる群から選ばれる少なくとも1種が用いられる。
【0018】
本願第二の発明において、共存させる糖アルコールとしては、ソルビトールが用いられる。
本願第三の発明において、共存させる糖アルコールとしては、好ましくはキシリトール及びエリスリトールからなる群から選ばれる少なくとも1種が用いられる。
【0019】
本願第四の発明において、共存させるオリゴ糖としては、好ましくはラクトース、シュクロース、トレハロース及びセロビオースからなる群から選ばれる少なくとも1種が用いられる。
【0020】
本発明に用いる酵素としては、プルランのα−1,4−グルコシド結合を加水分解してパノースを生成するα−アミラーゼであれば特に制限はない。このようなα−アミラーゼとしては、例えば、高温放線菌 Thermoactinomyces vulgaris R-47の生産する酵素(特開平7−25891号)が挙げられる。
【0021】
清水らは高温放線菌 Thermoactinomyces vulgaris R-47のα−アミラーゼ(TVA I)がプルランを分解してパノースを生成することを見出した (M. Shimizu et al., Agric. Biol. Chem.,42, 1681(1978))。次いで、本発明者の一人、坂野はTVA Iの酵素作用について詳細な研究を行い、その諸性質を明らかにしている (Y. Sakano et al., Agric. Biol. Chem., 46, 1121(1982); Y. Sakano et al., Agric. Biol. Chem., 46, 1423(1982); Y. Sakano et al., Agric. Biol. Chem., 47, 2211(1983); Y. Sakano et al., Agric. Biol. Chem., 49, 3391(1985)) 。
【0022】
更に、坂野は本菌の遺伝子からショットガン方式でプラスミドを分取してクローン化した大腸菌の中にTVA Iとは異なるα−アミラーゼ(TVA II)が生成することを見出した (Y. Sakano et al., Biosci. Biotech. Biochem.,57, 395(1993))。その後、TVA IIの蛋白質合成能を高める発現系を構築して、大腸菌の本酵素生産を大きく増加させると同時に、大腸菌を培養した後、加熱、超音波処理等の抽出操作によって、容易に結晶化する純度の高い酵素の生産方法を開発した(特開平7−25891号)。
【0023】
TVA IIはTVA Iと遺伝子の塩基配列及びアミノ酸配列が異なり、従来の酵素と理化学的性質の異なるα−アミラーゼである(Y. Sakano et al., Biosci. Biotech. Biochem., 57, 395(1993))。
【0024】
TVA IIの理化学的性質は以下のとおりである。
(1)作用
(a)澱粉から主にマルトースを生成する。
(b)プルランからパノースを生成する。
(c)グルコースの存在下でプルランを加水分解し、次式(I):
【0025】
【化1】
Figure 0004012595
【0026】
で示されるイソマルトオリゴ糖及び次式(II):
【0027】
【化2】
Figure 0004012595
【0028】
で示されるイソマルトオリゴ糖を生成する。
【0029】
(2)基質特異性
澱粉及びプルランのα−1,4−グルコシド結合を加水分解し、それぞれマルトース及びパノースを生成する。生成したパノースは分解せず、グルコースの存在下で前記式(I)で示されるイソマルトオリゴ糖及び前記式(II)で示されるイソマルトオリゴ糖を生成する。前記式(II)で示されるイソマルトシルマルトースを分解する。
【0030】
(3)至適pH及びpH安定性
プルランを基質としてpH6〜7に至適pHがあり、pH6〜9で安定である。
【0031】
(4)至適温度及び熱安定性
プルランを基質として45〜55℃に至適温度があり、50℃まで安定である。
【0032】
(5)分子量は約60,000である(SDSポリアクリルアミドゲル・スラブ電気泳動法による)。
TVA IIはグルコースの存在下でプルランを加水分解し、IMIM及びIMMを生成する。即ち、プルランを加水分解して生成するパノースの還元末端に、グルコースがα−1,6−結合したIMIM及びグルコースがα−1,4−結合したIMMの2種類の4糖から構成されるオリゴ糖を生成する。しかも、生成したIMMは本酵素で分解されるが、IMIMは分解されないため、反応液中に蓄積する。
【0033】
即ち、本酵素は澱粉から主にマルトースを生成し、プルランからパノースを生成する酵素であり、本来の生成物ではないグルコースを糖転移反応してパノースの還元末端に結合させるユニークな作用を有する酵素である。
【0034】
本酵素に本来の生成物でないグルコースを糖転移反応できる能力があるのであれば、もしかするとグルコース以外の糖も結合できるかも知れない。そこで、グルコースに代えて、同じ六炭糖であるフルクトースをプルランと共存させてTVA IIを反応させてみた。反応液をシリカゲルによる薄層クロマトグラフにかけると、生成物として Rf=0.68であるパノースの他に、 Rf=0.55及び Rf=0.47の位置にスポットが現れた。
【0035】
なお、生成糖の分離はシリカゲルG60(メルク)を用いて薄層クロマトグラフで行い、展開溶媒はn-ブタノール:エチルアルコール:水=5:5:2. 5を使用して二回展開した。Rfはグルコースの展開距離を1とした時の相対展開距離を示す。
【0036】
ちなみに、グルコースをプルランに共存させた時の主な生成物はIMIM(Rf=0.43) 、パノース(Rf=0.68) 、IMM(Rf=0.61) である。フルクトースの Rf は 0.98 であってグルコースとほぼ同じ展開距離を示すこと及び Rf=0.47のスポットはIMIMとほぼ同じ展開距離であることから、発色率が高く、展開距離の短い生成物はパノースの還元末端にフルクトースがα−1,6−結合した4糖類のヘテロオリゴ糖である。展開距離の長い Rf=0.55のスポットはパノースの還元末端にフルクトースがα−1,6−とは異なる位置に結合した4糖類のヘテロオリゴ糖である。
【0037】
即ち、フルクトースをプルランと共存させてTVA IIを反応させると、パノースの他にパノースの還元末端にフルクトースが結合した4糖からなるヘテロオリゴ糖が2種類生成し、これらのヘテロオリゴ糖を含むオリゴ糖組成物が得られた。
【0038】
次に、グルコースの代わりにマンノースをプルランと共存させてTVA IIを反応させると、フルクトースの場合と同様に、パノースの他に、 Rf=0.62及び Rf=0.47の位置に生成物が認められた。マンノースの Rf は 1.02 であってグルコースとほぼ同じ展開距離を示すこと及び Rf=0.47のスポットはIMIMとほぼ同じ展開距離であることから、発色率が高く、展開距離の短い生成物はパノースの還元末端にマンノースがα−1,6−結合した4糖類のヘテロオリゴ糖である。 Rf=0.62のスポットはIMMよりパノースの展開距離に近いため、パノースとの識別は困難である。しかし、パノースのみに比べて長いスポットが得られていることから、パノースの還元末端にマンノースがα−1,4−結合した4糖類のヘテロオリゴ糖が生成していると思われる。
即ち、パノースの還元末端にマンノースが結合した4糖からなるヘテロオリゴ糖が2種類生成し、これらのヘテロオリゴ糖を含むオリゴ糖組成物が得られた。
【0039】
以上のように、TVA IIはパノースにグルコースを結合してIMIM及びIMMの4糖からなるイソマルトオリゴ糖を生成するだけでなく、グルコース以外のフルクトース、マンノース等の六炭糖をパノースの還元末端側に結合させて4糖からなるヘテロオリゴ糖を生成し、これらヘテロオリゴ糖を主成分として含むオリゴ糖組成物を生産することが明らかとなった。
【0040】
イソマルトオリゴ糖の一つであるパノースにグルコース以外の六炭糖が結合したヘテロオリゴ糖はこれまで全く知られていない。TVA IIは糖転移生成物であるIMIMを分解できないので、これらのヘテロオリゴ糖も分解困難である。TVA IIが分解困難なヘテロオリゴ糖は他の多くのアミラーゼでも分解困難である。オリゴ糖の機能の一つに難分解性が挙げられており、パノースとグルコース以外の単糖が結合したヘテロオリゴ糖は難分解性オリゴ糖としての機能が注目される。
【0041】
フルクトースとマンノースがパノースの還元末端側に結合したヘテロオリゴ糖が生成するだけでなく、ガラクトースもパノースの還元末端側に結合した4糖からなるヘテロオリゴ糖が生成することを認めている。
【0042】
グルコース以外の六炭糖がパノースに結合したのであるから、五炭糖もパノースに結合するかも知れない。次に、五炭糖であるキシロースをグルコースの代わりにプルランと共存させて、TVA IIを反応させると、意外にも Rf=0.59の位置に生成物が認められた。この展開位置はIMM(Rf=0.61 )とほぼ同じ位置であり、パノースの還元末端にキシロースが1,4−結合した4糖からなるヘテロオリゴ糖の生成が確認された。
【0043】
キシロースは五炭糖であるため六位の炭素を持たないので、パノースの還元末端にキシロースが1,4−結合した4糖が生成することとなる。
同様に、アラビノースをプルランと共存させて反応させると、Rf=0.60 の位置に生成物が認められ、パノースの還元末端にアラビノースが結合した4糖からなるヘテロオリゴ糖の生成が確認された。
【0044】
このように、TVA IIはキシロース、アラビノースのような五炭糖をパノースの還元末端に結合させて4糖からなるヘテロオリゴ糖を生成し、これらヘテロオリゴ糖を含むオリゴ糖組成物を生産することが明らかとなった。キシロースとアラビノースがパノースに結合したヘテロオリゴ糖が生成するだけでなく、リボースも同様にパノースの還元末端に結合した4糖からなるヘテロオリゴ糖が生成することを認めている。
【0045】
イソマルトオリゴ糖の一つであるパノースの還元末端に五炭糖が結合したヘテロオリゴ糖はこれまで全く知られていない。これらのヘテロオリゴ糖もTVA IIは分解困難と考えられ、パノースと五炭糖が結合したヘテロオリゴ糖は難分解性オリゴ糖としての機能も注目される。
【0046】
本発明者らは更に、TVA IIが意外なオリゴ糖を生産することに気付いた。グルコースの代わりに糖アルコールであるソルビトールをプルランと共存させてTVA IIを反応させると、Rf=0.41 の位置に生成物が認められた。ソルビトールの展開距離がRf=0.90 であり、IMIMの展開距離がRf=0.43 であることから、Rf=0.41 のオリゴ糖はパノースの還元末端にソルビトールがα−1,6−結合した4糖からなる還元オリゴ糖である。パノースにソルビトールがα−1,6−結合した還元オリゴ糖はこれまで全く知られていない。
【0047】
更に、ソルビトールの代わりに糖アルコールとして、キシリトール、エリスリトールをプルランと共存させて反応させると、キシリトールの場合は Rf= 0.58 とRf=0.47 の位置に生成物が認められ、エリスリトールの場合は展開距離がパノースに近い Rf=0.65とRf=0.56 の位置に生成物が認められた。いずれもパノースの還元末端に糖アルコールが結合した4糖からなる還元オリゴ糖である。イソマルトオリゴ糖の一つであるパノースにソルビトール以外の糖アルコールが結合した還元オリゴ糖はこれまで全く知られていない。
【0048】
このように、TVA IIはソルビトール、キシリトール、エリスリトールのような糖アルコールをパノースの還元末端に結合させて4糖からなる還元オリゴ糖を生成し、これら還元オリゴ糖を含むオリゴ糖組成物を生産することが明らかとなった。
【0049】
パノースの還元末端に糖アルコールが結合すれば、還元性を持たない還元オリゴ糖となり、熱安定性に優れたオリゴ糖が得られる。しかも、これらの還元オリゴ糖も多くのアミラーゼは分解困難と考えられ、パノースと糖アルコールが結合した還元オリゴ糖は難分解性オリゴ糖としての機能が注目される。
【0050】
本発明者らは次に、二糖類もパノースに結合するのではないかと考えて反応を行った。グルコースの代わりにシュクロースをプルランと共存させてTVA IIを反応させると、IMIMのRfと同じRf=0.43 の位置に生成物が認められた。パノースにシュクロースが結合したオリゴ糖は5糖であるにもかかわらず、4糖のIMIMの展開距離と同じである。
【0051】
これはシュクロースの展開距離がグルコースの展開距離に近いRf=0.94 であること、シュクロースはTVA IIによって分解されないこと、後に述べる2糖類の展開距離がシュクロースより短く、得られる糖転移生成物の展開距離がシュクロース糖転移生成物の展開距離より短いこと、等からRf=0.43 の位置に出現するオリゴ糖はIMIMではなく、パノースの還元末端にシュクロースが結合した5糖からなるヘテロオリゴ糖である。
【0052】
更に、二糖類として、ラクトース、トレハロース、セロビオースをプルランと共存させて反応させると、ラクトースの場合はRf=0.29 の位置に、トレハロースの場合は Rf=0.20の位置に、セロビオースの場合は Rf=0.35の位置に生成物が認められた。
【0053】
このように、TVA IIはシュクロース、ラクトース、トレハロース、セロビオースのような二糖類をパノースの還元末端に結合させて5糖からなるヘテロオリゴ糖を生成することが示され、これらヘテロオリゴ糖を成分として含むオリゴ糖組成物を生産することが明らかとなった。
【0054】
マルトース及びイソマルトース以外の二糖類がイソマルトオリゴ糖の一つであるパノースの還元末端に結合したヘテロオリゴ糖はこれまで全く知られていない。パノースの還元末端にシュクロースやトレハロースが結合すれば、還元性を持たないため、熱安定性に優れたオリゴ糖が得られる。しかも、これらのヘテロオリゴ糖も多くのアミラーゼは分解困難であり、パノースとオリゴ糖が結合したヘテロオリゴ糖は難分解性オリゴ糖としての機能が注目される。
【0055】
本願第一の発明は、プルラン又はパノースとフルクトース、マンノース、キシロース、アラビノース等の単糖からなる群から選ばれる糖を溶解して、プルランを基質としてパノースを生成する酵素を作用させることにより、容易に実施することができるヘテロオリゴ糖を含むオリゴ糖組成物の製造方法である。更に、前述の単糖以外にガラクトースやリボースを用いても4糖からなるヘテロオリゴ糖の生成が確認されており、五炭糖や六炭糖だけでなく、グルコースを除くいずれの単糖を用いても、同様に4糖からなるヘテロオリゴ糖を含むオリゴ糖組成物を製造することができる。
【0056】
また本願第二及び第三発明は、プルラン又はパノースとソルビトール、キシリトール、エリスリトール等の糖アルコールからなる群から選ばれる糖を溶解して、プルランを基質としてパノースを生成する酵素を作用させることにより、容易に実施することができる還元オリゴ糖を含むオリゴ糖組成物の製造方法である。更に、前述の糖アルコール以外にマンニトールを用いても還元オリゴ糖の生成が確認されており、いずれの糖アルコールを用いても、同様に4糖からなる還元オリゴ糖を含むオリゴ糖組成物を製造することができる。
【0057】
更に本願第四の発明は、プルラン又はパノースとシュクロース、ラクトース、トレハロース、セロビオース等の二糖類からなる群から選ばれる糖を溶解して、プルランを基質としてパノースを生成する酵素を作用させることにより、容易に実施することができる5糖からなるオリゴ糖を成分として含むオリゴ糖組成物の製造方法である。更に、前述の二糖類以外に三糖類であるラフィノースを用いてもヘテロオリゴ糖の生成が確認されており、いずれのオリゴ糖を用いても、当該オリゴ糖がパノースの還元末端に結合したオリゴ糖を含むオリゴ糖組成物を製造することができる。
【0058】
なお、グルコースの代わりにマルトースを用いると、パノシルマルトースが生成し、イソマルトースを用いるとパノシルイソマルトースが生成することも認めている。また、マルチトールやラクチトール等の2糖アルコールもパノースに結合した5糖からなる還元オリゴ糖が生成することも認めている。
【0059】
ここで用いる酵素としては、前述のTVA IIが挙げられるが、その他にTVA Iやネオプルラナーゼ (N. Kuriki et al., J. Bacteriol.,170, 1554(1988); N. Kuriki et al., J. Bacteriol.,173, 6147(1991)) 等プルランからパノースを生成するα−アミラーゼを用いることができる。
【0060】
例えば、TVA IIを用いる場合、反応の一方の基質であるプルランと他方の基質であるフルクトース等の化合物を50℃で溶解した後、水酸化ナトリウム水溶液でpH6. 5に調節してから基質濃度を調整し、プルランを20重量%、フルクトース等の糖類を10重量%とする。これにTVA IIを加えて50℃で3日間反応させることにより、目的とするオリゴ糖を含むオリゴ糖組成物を高収率で得ることができる。
【0061】
反応の一方の基質はプルラン又はパノースであり、パノースの原料となる澱粉やアミロペクチン等も基質となる。プルラン又はパノースの濃度については、濃度の高い程良いが、均一な反応を進めるには1〜30重量%の範囲が好ましい。勿論、プルラン又はパノースの粉末を反応の途中で添加したり、当初から30重量%以上で一部未溶解の状態で反応を進め、最終的に生成するオリゴ糖の濃度を高くすることもできる。
【0062】
また、他方の基質である前記フルクトース等の糖類は、通常、反応の始めから反応液に添加するが、反応の途中から添加してもさしつかえない。TVA IIはパノースを加水分解できず、前記フルクトース等の化合物等の転移反応はパノースの存在下で進行するため、高濃度のプルラン溶液が酵素分解を受けて粘度が低下してから、前記フルクトース等の化合物等を加えて、目的とするオリゴ糖の濃度を高くすることもできる。
【0063】
酵素反応の条件としては、酵素濃度は酵素の種類によって異なるが、通常、0.0001重量%から5.0 重量%である。反応のpH及び温度は酵素の作用pH及び作用温度範囲であれば、如何なる条件でも使用することができるが、好ましくはpH 4.0〜7.0 で、温度 20 〜80℃の条件が用いられる。反応時間は生成物の利用目的に応じて適宜設定されるが、多くの場合、30分〜96時間が好ましい。
【0064】
反応で得られるオリゴ糖を含む糖液は常法に従い、活性炭による脱色及びイオン交換樹脂による脱塩等の精製操作を経て、そのまま糖液として利用できる。また、得られるオリゴ糖が還元糖の場合は、還元処理により糖アルコールとして利用することもできる。
【0065】
更に、必要に応じてゲル濾過クロマトグラフィー、カーボンカラムクロマトグラフィー、イオン交換樹脂カラムクロマトグラフィーを用いたり、膜処理による分画や晶析法等を用いることにより、目的とするオリゴ糖を高純度で得ることができる。
【0066】
【実施例】
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明は下記実施例により、その技術的範囲が限定されるものではない。
【0067】
(実施例1)
用いた酵素は特開平7−25891号公報に記載の方法に準じて生産した。Thermoactinomyces vulgaris R-47 から切り出したTVA II遺伝子を大腸菌 MV1184 株に形質転換した Escherichia coli NK699311 (FERM P-13717) の1白金耳を培地(1g ペプトン、0.5g酵母エキス、0.5g食塩を含む 100mL培地)に接種し、37℃で16時間培養して種培養を行った。1.6gペプトン、1.0g酵母エキス、0.5g食塩、5mg アンピシリンを含む培地 100mLに、得られた種培養液 1mLを加えて、500mL 容の坂口フラスコで37℃で16時間往復振盪して本培養した。なお、培養5時間で 0.5M イソプロピル−β−D −チオガラクトシド 0.1mLを培地に添加した。培養液を遠心分離(2,000g, 20分)して菌体を回収し、5mM CaCl2 を含む 100mM Tris-HCl 緩衝液(pH 7.5)に懸濁した。懸濁菌体は80℃で30分間加熱処理してから超音波処理により破砕し、遠心分離(7,500g, 10分)により上清液が回収された。得られた上清液は 100mg以上の蛋白質を含んでおり、TVA IIの酵素液として反応に用いた。酵素蛋白質の測定は Lowryの方法により行った。
【0068】
プルラン 112g ( 固形分 (BD) 100g ) に水を加えて 450g とし、よく攪拌しながら50℃に加温して溶解してから、10重量%水酸化ナトリウム水溶液を加えて pH 6.5 に調整した。これにフルクトース 50gを加えて均一に攪拌してから、TVA II 100mgを加えて50℃で72時間反応させてオリゴ糖組成液を得た。
【0069】
図1の薄層クロマトグラムに示すように、フルクトース(Rf=0.98) 、パノース(Rf=0.68) の他にRf=0.55 とRf=0.47 の位置にスポットが認められた。更に、オリゴ糖組成液を高速液体クロマトグラフィー(HPLC)で分析すると、パノースの還元末端にフルクトースが結合した4糖からなるヘテロオリゴ糖は26%、パノシルパノースの還元末端にフルクトースが結合した7糖からなるヘテロオリゴ糖は7%含まれていた。
【0070】
なお、HPLCの分析条件は下記の通りである。
カラム:Shodex SUGAR KS-802 (300×8mm, 2本)
溶 媒:水
流 速:1.0 mL/ 分
温 度:80℃
検出器:示差屈折計
【0071】
(実施例2)
プルラン 112g ( BD 100g ) に水を加えて 450g とし、よく攪拌しながら50℃に加温して溶解してから、10重量%水酸化ナトリウム水溶液を加えて pH 6.5 に調整した。これにマンノース 50gを加えて均一に攪拌してから、TVA II 100mgを加えて50℃で72時間反応させてオリゴ糖組成液を得た。
【0072】
図1の薄層クロマトグラムに示すように、マンノース(Rf=1.02) 、パノース(Rf=0.68) の他にRf=0.62 とRf=0.47 の位置にスポットが認められた。HPLCで分析すると、パノースの還元末端にマンノースが結合した4糖からなるヘテロオリゴ糖は23%、パノシルパノースの還元末端にマンノースが結合した7糖からなるヘテロオリゴ糖は10%含まれていた。
【0073】
(実施例3)
プルラン 112g ( BD 100g ) に水を加えて 450g とし、よく攪拌しながら50℃に加温して溶解してから、10重量%水酸化ナトリウム水溶液を加えて pH 6.5 に調整した。これにキシロース 50gを加えて均一に攪拌してから、TVA II 100mgを加えて50℃で72時間反応させてオリゴ糖組成液を得た。
【0074】
図1の薄層クロマトグラムに示すように、キシロース(Rf=1.11) 、パノース(Rf=0.68) の他にRf=0.59 の位置にスポットが認められた。HPLCで分析すると、パノースの還元末端にキシロースが結合した4糖からなるヘテロオリゴ糖は9%、パノシルパノースの還元末端にキシロースが結合した7糖からなるヘテロオリゴ糖は4%含まれていた。
【0075】
(実施例4)
プルラン 112g ( BD 100g ) に水を加えて 450g とし、よく攪拌しながら50℃に加温して溶解してから、10重量%水酸化ナトリウム水溶液を加えて pH 6.5 に調整した。これにアラビノース 50gを加えて均一に攪拌してから、TVA II 100mgを加えて50℃で72時間反応させてオリゴ糖組成液を得た。
【0076】
図1の薄層クロマトグラムに示すように、アラビノース(Rf=1.00) 、パノース(Rf=0.68) の他にRf=0.60 の位置にスポットが認められた。HPLCで分析すると、パノースの還元末端にアラビノースが結合した4糖からなるヘテロオリゴ糖は3%含まれていた。
【0077】
(実施例5)
プルラン 112g ( BD 100g ) に水を加えて 450g とし、よく攪拌しながら50℃に加温して溶解してから、10重量%水酸化ナトリウム水溶液を加えて pH 6.5 に調整した。これにソルビトール 50gを加えて均一に攪拌してから、TVA II 100mgを加えて50℃で72時間反応させてオリゴ糖組成液を得た。
【0078】
図2の薄層クロマトグラムに示すように、ソルビトール(Rf=0.90) 、パノース(Rf=0.68) の他にRf=0.41 の位置にスポットが認められた。HPLCで分析すると、パノースの還元末端にソルビトールが結合した4糖からなる還元オリゴ糖は15%、パノシルパノースの還元末端にソルビトールが結合した7糖からなる還元オリゴ糖は6%含まれていた。
【0079】
(実施例6)
プルラン 112g ( BD 100g ) に水を加えて 450g とし、よく攪拌しながら50℃に加温して溶解してから、10重量%水酸化ナトリウム水溶液を加えて pH 6.5 に調整した。これにキシリトール 50gを加えて均一に攪拌してから、TVA II 100mgを加えて50℃で72時間反応させてオリゴ糖組成液を得た。
【0080】
図2の薄層クロマトグラムに示すように、キシリトール(Rf=0.97) 、パノース(Rf=0.68) の他にRf=0.58 及びRf=0.47 の位置にスポットが認められた。HPLCで分析すると、パノースの還元末端にキシリトールが結合した4糖からなる還元オリゴ糖は17%、パノシルパノースの還元末端にキシリトールが結合した7糖からなる還元オリゴ糖は9%含まれていた。
【0081】
(実施例7)
プルラン 112g ( BD 100g ) に水を加えて 450g とし、よく攪拌しながら50℃に加温して溶解してから、10重量%水酸化ナトリウム水溶液を加えて pH 6.5 に調整した。これにエリスリトール 50gを加えて均一に攪拌してから、TVA II 100mgを加えて50℃で72時間反応させてオリゴ糖組成液を得た。
【0082】
図2の薄層クロマトグラムに示すように、エリスリトール(Rf=0.97) 、パノース(Rf=0.68) の他にRf=0.65 及びRf=0.56 の位置にスポットが認められた。HPLCで分析すると、パノースの還元末端にエリスリトールが結合した4糖からなる還元オリゴ糖は23%、パノシルパノースの還元末端にエリスリトールが結合した7糖からなる還元オリゴ糖は7%含まれていた。
【0083】
(実施例8)
プルラン 112g ( BD 100g ) に水を加えて 450g とし、よく攪拌しながら50℃に加温して溶解してから、10重量%水酸化ナトリウム水溶液を加えて pH 6.5 に調整した。これにシュクロース 50gを加えて均一に攪拌してから、TVA II 100mgを加えて50℃で72時間反応させてオリゴ糖組成液を得た。
【0084】
図3の薄層クロマトグラムに示すように、シュクロース(Rf=0.94) 、パノース(Rf=0.68) の他にRf=0.43 及びRf=0.21 の位置にスポットが認められた。HPLCで分析すると、パノースの還元末端にシュクロースが結合した5糖からなるヘテロオリゴ糖は15%含まれていた。
【0085】
(実施例9)
プルラン 112g ( BD 100g ) に水を加えて 450g とし、よく攪拌しながら50℃に加温して溶解してから、10重量%水酸化ナトリウム水溶液を加えて pH 6.5 に調整した。これにラクトース 50gを加えて均一に攪拌してから、TVA II 100mgを加えて50℃で72時間反応させてオリゴ糖組成液を得た。
【0086】
図3の薄層クロマトグラムに示すように、ラクトース(Rf=0.77) 、パノース(Rf=0.68) の他にRf=0.29 の位置にスポットが認められた。HPLCで分析すると、パノースの還元末端にラクトースが結合した5糖からなるヘテロオリゴ糖は39%、パノシルパノースの還元末端にラクトースが結合した8糖からなる還元オリゴ糖は18%であった。
【0087】
(実施例10)
プルラン 112g ( BD 100g ) に水を加えて 450g とし、よく攪拌しながら50℃に加温して溶解してから、10重量%水酸化ナトリウム水溶液を加えて pH 6.5 に調整した。これにトレハロース 50gを加えて均一に攪拌してから、TVA II 100mgを加えて50℃で72時間反応させてオリゴ糖組成液を得た。
【0088】
図3の薄層クロマトグラムに示すように、トレハロース(Rf=0.86) 、パノース(Rf=0.68) の他にRf=0.20 の位置にスポットが認められた。HPLCで分析すると、パノースの還元末端にトレハロースが結合した5糖からなるヘテロオリゴ糖は9%であった。
【0089】
(実施例11)
プルラン 112g ( BD 100g ) に水を加えて 450g とし、よく攪拌しながら50℃に加温して溶解してから、10重量%水酸化ナトリウム水溶液を加えて pH 6.5 に調整した。これにセロビオース 50gを加えて均一に攪拌してから、TVA II 100mgを加えて50℃で72時間反応させてオリゴ糖組成液を得た。
【0090】
図3の薄層クロマトグラムに示すように、セロビオース(Rf=0.85) 、パノース(Rf=0.68) の他にRf=0.35 の位置にスポットが認められた。HPLCで分析すると、パノースの還元末端にセロビオースが結合した5糖からなるヘテロオリゴ糖は39%、パノシルパノースの還元末端にセロビオースが結合した8糖からなる還元オリゴ糖は18%であった。
【0091】
【発明の効果】
本発明により製造されるオリゴ糖組成物はイソマルトオリゴ糖の一つであるパノースにグルコースを除く六炭糖や五炭糖、もしくは糖アルコールが結合した4糖からなるオリゴ糖、又は、パノースにオリゴ糖が結合した5糖以上のオリゴ糖を含むものであって、低甘味、低カロリー、難分解性、ビフィズス菌増殖因子、難う蝕性等の機能性を有する健康食品素材として有用性の高い糖組成物である。従って、本発明によれば、機能性が求められる食品工業において利用価値の高いオリゴ糖組成物を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1〜4における生成糖の薄層クロマトグラフである。分離の条件はシリカゲルG60(メルク)を用いて、展開溶媒はn-ブタノール:エチルアルコール:水=5:5:2. 5を使用して二回展開した。
パノース、標準糖(グルコース=G1、マルトース=G2、マルトトリオース=G3、マルトテトラオース=G4)及び各単糖のみと、TVA IIとプルランのみとの反応生成物、TVA IIにプルランとグルコース、フルクトース、マルトース、キシロース及びアラビノースをそれぞれ共存させた反応生成物のクロマトグラムである。
【図2】実施例5〜7における生成糖の薄層クロマトグラフである。分離の条件はシリカゲルG60(メルク)を用いて、展開溶媒はn-ブタノール:エチルアルコール:水=5:5:2. 5を使用して二回展開した。
パノース、標準糖(G1、G2、G3、G4)及び各糖アルコールのみと、TVA IIとプルランのみとの反応生成物、TVA IIにプルランとグルコース、ソルビトール、キシリトール及びエリスリトールをそれぞれ共存させた反応生成物のクロマトグラムである。
【図3】実施例8〜11における生成糖の薄層クロマトグラフである。分離の条件はシリカゲルG60(メルク)を用いて、展開溶媒はn-ブタノール:エチルアルコール:水=5:5:2. 5を使用して二回展開した。
パノース、標準糖(G1、G2、G3、G4)及び各オリゴ糖のみと、TVA IIとプルランのみとの反応生成物、プルランとグルコース、シュクロース、ラクトース、トレハロース及びセロビオースをそれぞれ共存させた反応生成物のクロマトグラムである。

Claims (8)

  1. プルラン又はパノースを含む糖液にグルコース以外の単糖を共存させて、これに、TVA II及び TVA から選ばれる、プルランを基質としてパノースを生成する酵素を加えて作用させ、パノースの還元末端に単糖が結合した4糖からなるヘテロオリゴ糖を含むオリゴ糖組成物を製造する方法。
  2. 結合させる単糖がフルクトース、マンノース、キシロース又はアラビノースである請求項1記載の方法。
  3. プルラン又はパノースを含む糖液にソルビトールを共存させて、これに、TVA II及び TVA から選ばれる、プルランを基質としてパノースを生成する酵素を加えて作用させ、パノースの還元末端にソルビトールが結合した4糖からなる還元オリゴ糖を含むオリゴ糖組成物を製造する方法。
  4. プルラン又はパノースを含む糖液にソルビトール以外の糖アルコールを共存させて、これに、TVA II及び TVA から選ばれる、プルランを基質としてパノースを生成する酵素を加えて作用させ、パノースの還元末端に糖アルコールが結合した4糖からなる還元オリゴ糖を含むオリゴ糖組成物を製造する方法。
  5. 結合させる糖アルコールがキシリトール又はエリスリトールである請求項4記載の方法。
  6. プルラン又はパノースを含む糖液にオリゴ糖を共存させて、これに、TVA II及び TVA から選ばれる、プルランを基質としてパノースを生成する酵素を加えて作用させ、パノースの還元末端にオリゴ糖が結合した5糖以上の糖からなるオリゴ糖を含むオリゴ糖組成物を製造する方法。
  7. 結合させるオリゴ糖がラクトース、シュクロース、トレハロース又はセロビオースである請求項6記載の方法。
  8. プルランを基質としてパノースを生成する酵素がTVA IIである請求項1から7のいずれか1項に記載の方法。
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