JP4012043B2 - パティキュレートフィルタの再生方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、パティキュレートフィルタの再生方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ディーゼルエンジンから排出されるパティキュレート(Particulate Matter:粒子状物質)は、炭素質から成る煤と、高沸点炭化水素成分から成るSOF分(Soluble Organic Fraction:可溶性有機成分)とを主成分とし、更に微量のサルフェート(ミスト状硫酸成分)を含んだ組成を成すものであるが、この種のパティキュレートの低減対策としては、排気ガスが流通する排気管の途中に、パティキュレートフィルタを装備することが従来より行われている。
【0003】
この種のパティキュレートフィルタは、コージェライト等のセラミックから成る多孔質のハニカム構造となっており、格子状に区画された各流路の入口が交互に目封じされ、入口が目封じされていない流路については、その出口が目封じされるようになっており、各流路を区画する多孔質薄壁を透過した排気ガスのみが下流側へ排出されるようにしてある。
【0004】
そして、排気ガス中のパティキュレートは、前記多孔質薄壁の内側表面に捕集されて堆積するので、目詰まりにより排気抵抗が増加しないうちにパティキュレートを適宜に燃焼除去してパティキュレートフィルタの再生を図る必要があるが、通常のディーゼルエンジンの運転状態においては、パティキュレートが自己燃焼するほどの高い排気温度が得られる機会が少ない為、例えばアルミナに白金を担持させたものに適宜な量のセリウム等の希土類元素を添加して成る酸化触媒を一体的に担持させた触媒再生型のパティキュレートフィルタの実用化が進められている。
【0005】
即ち、このような触媒再生型のパティキュレートフィルタを採用すれば、捕集されたパティキュレートの酸化反応が促進されて着火温度が低下し、従来より低い排気温度でもパティキュレートを燃焼除去することが可能となるのである。
【0006】
ただし、斯かる触媒再生型のパティキュレートフィルタを採用した場合であっても、排気温度の低い運転領域では、パティキュレートの処理量よりも捕集量が上まわってしまうので、このような低い排気温度での運転状態が続くと、パティキュレートフィルタの再生が良好に進まずに該パティキュレートフィルタが過捕集状態に陥る虞れがあり、パティキュレートの堆積量が増加してきた段階でパティキュレートフィルタより上流側の排気ガス中に燃料を添加してパティキュレートフィルタを強制再生することが考えられている。
【0007】
つまり、パティキュレートフィルタより上流側で燃料を添加すれば、その添加された燃料がパティキュレートフィルタの酸化触媒上で酸化反応し、その反応熱により触媒床温度が上げられてパティキュレートが燃やし尽くされ、パティキュレートフィルタの再生化が図られることになる。
【0008】
尚、この種のパティキュレートフィルタの積極的な再生を図る方法に関しては、未公開の先行出願である下記の特許文献1や特許文献2にもとりあげられており、これらの文献中の説明では、エンジンの燃料噴射装置に対し圧縮上死点付近で行われる燃料のメイン噴射に続いて圧縮上死点より遅い非着火のタイミングでポスト噴射を行うことで燃料添加を実行するようにしている。
【0009】
【特許文献1】
特願2001−355061号
【特許文献2】
特願2002−20374号
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、近年においては、低公害を目的としてアイドリング停車時に自動的にエンジンを停止して排出ガス量を減らすアイドルストップ制御を採用した路線バスやトラックが増えてきているので、このようなアイドルストップ制御を採用した車両では、パティキュレートフィルタの再生制御を実施している最中に交差点の信号待ち等でアイドルストップ制御によりエンジンが停止してしまい、排気管内を排気ガスが流れなくなってパティキュレートフィルタの触媒床温度が著しく低下してしまう結果、パティキュレートフィルタの再生を完了するのに多大な時間を要するという問題があった。
【0011】
本発明は上述の実情に鑑みてなしたもので、アイドルストップ制御を採用した車両であっても短時間でパティキュレートフィルタの再生を完了し得るようにすることを目的としている。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明は、排気管途中に装備した触媒再生型のパティキュレートフィルタより上流側で排気ガス中に燃料を添加し、その添加燃料がパティキュレートフィルタの酸化触媒上で酸化反応した時の反応熱により捕集済みパティキュレートを燃焼させてパティキュレートフィルタの強制再生を図る方法において、圧縮上死点付近で行われる燃料のメイン噴射に続いて圧縮上死点より遅い非着火のタイミングでポスト噴射を追加することで燃料添加を実行し、車両のアイドリング停車時にエンジンを停止するアイドルストップ制御に優先して前記ポスト噴射での燃料添加による強制再生を実行することを特徴とするものである。
【0013】
而して、このようにすれば、パティキュレートフィルタの再生制御を実施している最中に交差点の信号待ち等で車両がアイドリング停車しても、アイドルストップ制御に優先してパティキュレートフィルタの強制再生が実行されるので、エンジン停止が回避されてアイドリング停車中も排気管内を排気ガスが流れ続け、これによりパティキュレートフィルタの触媒床温度が所定温度以上に維持されて触媒活性が保たれる結果、パティキュレートフィルタの強制再生がアイドルストップ制御による中断なく継続されて短時間のうちに完了することになる。
【0014】
即ち、ポスト噴射により排気ガス中に未燃の燃料が添加され、この未燃の燃料がパティキュレートフィルタの酸化触媒上で酸化反応し、その反応熱により触媒床温度が上昇してパティキュレートフィルタ内のパティキュレートが強制的に燃焼除去され、このパティキュレートの強制的な燃焼除去がアイドルストップ制御による中断なく継続されて短時間のうちに完了する。
【0015】
更に、本発明においては、パティキュレートフィルタの強制再生時に通常のアイドリング時よりエンジンの回転数を上げるべく燃焼のメイン噴射の一回当たりの噴射量を増加させることが好ましい。
【0016】
つまり、アイドリング停車時にパティキュレートフィルタの強制再生を行う場合には、排気ガスの温度及び流量が低すぎて良好にパティキュレートの燃焼除去を行うことが難しいため、メイン噴射の一回当たりの噴射量を増加することで通常のアイドリング時より回転数を上げれば、エネルギー投入量を増やして排気ガスの温度及び流量を強制再生に適したレベルまで引き上げることが可能となる。
【0017】
また、本発明においては、アイドリング状態でのパティキュレートフィルタの強制再生時にエンジンからの排気流量を適宜に絞り込むようにしても良く、このようにすれば、排気流量が絞り込まれて上流側の排気ガスが昇圧されることで排気温度の上昇が図られ、しかも、エンジンの排気抵抗が高まることにより気筒内に比較的温度の低い吸気が流入し難くなって比較的温度の高い排気ガスの残留量が増加し、この比較的温度の高い排気ガスを多く含む気筒内の空気が次の圧縮行程で圧縮されて爆発行程を迎えることでも更なる排気温度の上昇が図られる。
【0018】
更に、本発明においては、アイドリング状態でのパティキュレートフィルタの強制再生時にメイン噴射直後の燃焼可能なタイミングでアフタ噴射を追加するようにしても良く、このようにすれば、アフタ噴射の燃料が出力に転換され難いタイミングで燃焼することによりディーゼルエンジンの熱効率が下がり、燃料の発熱量のうちの動力に利用されない熱量が増えて排気温度がより一層上昇されることになる。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下本発明の実施の形態を図面を参照しつつ説明する。
【0020】
図1〜図4は本発明を実施する形態の一例を示すもので、図1中における1はターボチャージャ2を装備したディーゼルエンジンを示しており、エアクリーナ3から導かれた吸気4が吸気管5を通し前記ターボチャージャ2のコンプレッサ2aへと送られ、該コンプレッサ2aで加圧された吸気4がインタークーラ6へと送られて冷却され、該インタークーラ6から更に吸気マニホールド7へと吸気4が導かれてディーゼルエンジン1の各気筒8(図1では直列6気筒の場合を例示している)に分配されるようになっている。
【0021】
更に、このディーゼルエンジン1の各気筒8から排出された排気ガス9は、排気マニホールド10を介しターボチャージャ2のタービン2bへと送られ、該タービン2bを駆動した排気ガス9が排気管11を介し車外へ排出されるようにしてある。
【0022】
また、この排気管11の途中には、酸化触媒を一体的に担持して成る触媒再生型のパティキュレートフィルタ12がフィルタケース13に抱持されて装備されており、図2に拡大して示す如く、このパティキュレートフィルタ12は、セラミックから成る多孔質のハニカム構造となっており、格子状に区画された各流路12aの入口が交互に目封じされ、入口が目封じされていない流路12aについては、その出口が目封じされるようになっており、各流路12aを区画する多孔質薄壁12bを透過した排気ガス9のみが下流側へ排出されるようにしてある。
【0023】
そして、フィルタケース13の出口部分には、パティキュレートフィルタ12を通過した排気ガス9の温度を触媒床温度の代用値として計測する温度センサ14が装備されており、該温度センサ14の温度信号14aがエンジン制御コンピュータ(ECU:Electronic Control Unit)を成す制御装置15に対し入力されるようになっている。
【0024】
この制御装置15は、エンジン制御コンピュータを兼ねていることから燃料の噴射に関する制御も担うようになっており、より具体的には、アクセル開度をディーゼルエンジン1の負荷として検出するアクセルセンサ16(負荷センサ)からのアクセル開度信号16aと、ディーゼルエンジン1の機関回転数を検出する回転センサ17からの回転数信号17aとに基づき、ディーゼルエンジン1の各気筒8に燃料を噴射する燃料噴射装置18に向け燃料噴射信号18aが出力されるようになっていて、この燃料噴射信号18aの出力に際し、ディーゼルエンジン1の運転状態が制御装置15に常時把握されるようになっている。
【0025】
ここで、前記燃料噴射装置18は、各気筒8毎に装備される複数のインジェクタ19により構成されており、これら各インジェクタ19の電磁弁が前記燃料噴射信号18aにより適宜に開弁制御されて燃料の噴射タイミング(開弁時期)及び噴射量(開弁時間)が適切に制御されるようになっている。
【0026】
他方、前記制御装置15では、アクセル開度信号16a及び回転数信号17aに基づき通常モードの燃料噴射信号18aが決定されるようになっている一方、パティキュレートフィルタ12の再生制御を行う必要が生じた際に、通常モードから再生モードに切り替わり、圧縮上死点(クランク角0゜)付近で行われる燃料のメイン噴射に続いて圧縮上死点より遅い非着火のタイミングでポスト噴射を行うような噴射パターンの燃料噴射信号18aが決定されるようになっている。
【0027】
つまり、このようにメイン噴射に続いて圧縮上死点より遅い非着火のタイミングでポスト噴射が行われると、このポスト噴射により排気ガス9中に未燃の燃料(主としてHC:炭化水素)が添加されることになり、この未燃の燃料がパティキュレートフィルタ12表面の酸化触媒上で酸化反応し、その反応熱により触媒床温度が上昇してパティキュレートフィルタ12内のパティキュレートが燃焼除去されることになる。
【0028】
ただし、再生モードに切り替わった際に車両がアイドリング状態にある時は、通常のアイドリング時より回転数を上げるべく圧縮上死点(クランク角0゜)付近で行われていたメイン噴射の一回当たりの噴射量を増加するようにもなっている。
【0029】
つまり、アイドリング停車時にパティキュレートフィルタ12の強制再生を行う場合には、排気ガス9の温度及び流量が低すぎて良好にパティキュレートの燃焼除去を行うことが難しいため、メイン噴射の一回当たりの噴射量を増加することで通常のアイドリング時より回転数を上げ、これによりエネルギー投入量を増やして排気ガス9の温度及び流量を強制再生に適したレベルまで引き上げるようにしてある。
【0030】
更に、このようなディーゼルエンジン1の回転数を上昇させる制御に加えて、必要に応じメイン噴射直後の燃焼可能なタイミングでアフタ噴射を行わしめるようにしても良く、このようにメイン噴射直後の燃焼可能なタイミングでアフタ噴射が行われると、該アフタ噴射の燃料が出力に転換され難いタイミングで燃焼することによりディーゼルエンジン1の熱効率が下がり、燃料の発熱量のうちの動力に利用されない熱量が増えて排気温度の更なる上昇を図ることが可能となる。
【0031】
また、この制御装置15においては、回転センサ17からの回転数信号17aに基づきディーゼルエンジン1の回転数を抽出すると共に、アクセルセンサ16からのアクセル開度信号16aに基づく燃料噴射信号18aの決定時に判明している燃料の噴射量を抽出し、これら回転数と噴射量とによるパティキュレートの発生量マップからディーゼルエンジン1の現在の運転状態に基づくパティキュレートの基本的な発生量を推定し、この基本的な発生量に対しパティキュレートの発生にかかわる各種の条件を考慮した補正係数を掛け且つ現在の運転状態におけるパティキュレートの処理量を減算して最終的な発生量を求め、この最終的な発生量を時々刻々積算してパティキュレートの堆積量を推定するようになっており、この堆積量が所定の目標値に達したものと推定された時に通常モードから再生モードへの切り替えが成されるようになっている。
【0032】
尚、このようなパティキュレートの堆積量を推定する方法には各種の考え方があり、ここに例示した推定方法以外の手法を用いてパティキュレートの堆積量を推定することも勿論可能である。
【0033】
また、先に説明したアクセルセンサ16,回転センサ17のほか、ギヤ位置がニュートラルポジションにあることを検出するニュートラルスイッチ20、サイドブレーキが引かれていることを検出するサイドブレーキスイッチ21、車速を検出する車速センサ22の夫々からの検出信号20a,21a及び車速信号22aも制御装置15に入力されるようになっており、これらの信号に基づき車両がアイドリング状態にあるか否かが前記制御装置15にて判定されるようになっている。
【0034】
即ち、前記制御装置15においては、回転センサ17により比較的低い所定の回転数域であることが確認され、アクセルセンサ16によりアクセルオフ(負荷が零)が確認され、ニュートラルスイッチ20によりギヤ位置がニュートラルポジションにあることが確認され、サイドブレーキスイッチ21によりサイドブレーキが引かれていることが確認され、車速センサ22により車速が零であることが確認された時に現在の運転状態がアイドリング状態にあると判定するようになっている。
【0035】
尚、アイドリング状態の判定にあたっては、これらのセンサ類やスイッチ類からの信号を必ずしも全て必要とするわけではなく、少なくとも回転センサ17と、アクセルセンサ16,ニュートラルスイッチ20,サイドブレーキスイッチ21,車速センサ22の何れかとの組み合わせによりアイドリング判定手段を構成することが可能である。
【0036】
また、パティキュレートフィルタ12より上流側の適宜位置には、排気管11の流路を適宜な開度に絞り込む開度調整可能な排気ブレーキ23が装備されており、該排気ブレーキ23は、制御装置15からの開度指令信号23aにより開度制御されるようになっているが、本形態例においては、制御装置15にて車両がアイドリング状態にある条件下で再生モードが選択された際に、排気ブレーキ23に対し本来の作動から独立した別の作動を指令し、後述する如き排気温度を上げるための排気絞り手段として排気ブレーキ23を活用できるようにしてある。
【0037】
そして、以上に述べた如き制御装置15により通常モードと再生モードとを切り替えるようにした排気浄化装置に関し、本形態例においては、低公害を目的としてアイドリング停車時に自動的にエンジンを停止するアイドルストップ制御を採用しており、前述したアイドリング判定手段により車両のアイドリング停車が制御装置15で判定された際に、該制御装置15からの開度指令信号24aにより吸気管5の吸気バルブ24が閉じられ且つ燃料噴射装置18による燃料噴射が停止されてディーゼルエンジン1が停止されるようになっているが、制御装置15にて再生モードが選択されている場合には、アイドルストップ制御に優先して燃料添加による強制再生が実行されるようになっており、より具体的には、図3にフローチャートで示す如き再生制御に関する基本的な制御ロジックが制御装置15内に組み込まれている一方、図4にフローチャートで示す如きアイドルストップ制御に優先して再生制御を実行する制御ロジックも制御装置15内に組み込まれている。
【0038】
即ち、図3のフローチャートにおけるステップS1で制御装置15の現在の制御モードが通常モードであることが確認されると、ステップS2にて制御装置15内で計算により推定されたパティキュレートの堆積量が所定値(目標値)以上となってるか否かが判定され、パティキュレートの堆積量が所定値に達していない場合には、「NO」へと進んで同じ判定が繰り返され、パティキュレートの堆積量が所定値以上となっている場合には、「YES」へと進んでステップS3にて再生モードへ切り替えが成されるようになっている。
【0039】
次いで、再生モードに切り替えられた際には、ステップS4へと進んで温度センサ14の温度信号14aに基づきパティキュレートフィルタ12の触媒床温度が所定温度以上に維持されたまま所定時間(再生に必要な時間)以上経過したか否かが判定され、所定時間に満たない場合には、「NO」へと進んで同じ判定が繰り返され、所定時間以上の経過が確認された場合には、パティキュレートフィルタ12の再生が完了したものとして「YES」へと進み、ステップS1へと戻されて通常モードに復帰するようにしてある。
【0040】
他方、図4のフローチャートでは、ステップS11にて前述のアイドリング判定手段によりアイドリング停車が確認された場合に、次のステップS12にて現在の制御モードが再生モードか否かが判定され、再生モードが選択されている場合には、「YES」へと進んでステップS13にてアイドルストップ制御が無効となり、通常モードが選択されている場合には、「NO」へと進んでステップS14にてアイドルストップ制御が実行されるようになっている。
【0041】
尚、アイドルストップ制御にて吸気バルブ24を閉じるようにしているのは、ディーゼルエンジン1を滑らかに停止するためであり、燃料噴射の停止だけでは、ディーゼルエンジン1が惰性で数回転した時に吸入された空気が圧縮され、その反動でディーゼルエンジン1が身震いするように振動してしまうからである。
【0042】
而して、制御装置15でパティキュレートの堆積量が所定の目標値に達したものと推定されて前記制御装置15による燃焼噴射制御が通常モードから再生モードへ切り替えられると、メイン噴射に続いて圧縮上死点より遅い着火しないタイミングでポスト噴射が実行され、このポスト噴射により未燃のまま排気ガス9中に添加された燃料がパティキュレートフィルタ12の酸化触媒上で酸化反応し、その反応熱により触媒床温度が上昇してパティキュレートフィルタ12内のパティキュレートが強制的に燃焼除去されることになる。
【0043】
そして、このようなパティキュレートフィルタ12の再生制御を実施している最中に交差点の信号待ち等で車両がアイドリング停車しても、先の図4の制御ロジックに従いアイドルストップ制御が無効となり、エンジン停止が回避されてアイドリング停車中も排気管11内を排気ガス9が流れ続け、これによりパティキュレートフィルタ12の触媒床温度が所定温度以上に維持されて触媒活性が保たれる結果、パティキュレートフィルタ12の強制再生がアイドルストップ制御による中断なく継続されて短時間のうちに完了することになる。
【0044】
しかも、このようなアイドリング状態にある条件下での再生制御では、制御装置15により燃料噴射装置18のメイン噴射の一回当たりの噴射量が増加されてディーゼルエンジン1の回転数が通常のアイドリング時より高くなるので、排気ガス9の温度及び流量が再生制御に適したレベルまで引き上げられ、更には、制御装置15から閉作動指令を開度指令信号23aとして受けた排気ブレーキ23により排気流量が絞り込まれ、これより上流側の排気ガス9が昇圧されることで排気温度の上昇が図られる。
【0045】
即ち、排気ガス9の温度Tと、排気圧力Pと、流量Vとには、下記の関係式
【数1】
P・V/T=一定
が決まっており、排気流路を絞り込んで排気圧力Pを大きくして流量Vを一定に保てば、所定の運転状態に関して排気ガス9の温度Tが大きく上昇することになる。
【0046】
また、ディーゼルエンジン1の排気抵抗が高まることにより気筒内に比較的温度の低い吸気が流入し難くなって比較的温度の高い排気ガス9の残留量が増加し、この比較的温度の高い排気ガス9を多く含む気筒内の空気が次の圧縮行程で圧縮されて爆発行程を迎えることでも更なる排気温度の上昇が図られる。
【0047】
従って、上記形態例によれば、車両のアイドリング停車時にディーゼルエンジン1を停止するアイドルストップ制御に優先して燃料添加による強制再生を実行するようにしているので、パティキュレートフィルタ12の強制再生をアイドルストップ制御による中断なく継続することができ、アイドルストップ制御を採用した車両であっても短時間でパティキュレートフィルタ12の再生を完了することができる。
【0048】
尚、本発明のパティキュレートフィルタの再生方法は、上述の形態例にのみ限定されるものではなく、排気流量を適宜に絞り込む排気絞り手段には必ずしも排気ブレーキを利用しなくても良く、排気管の途中に排気絞り弁を別途配設するようにしても良いこと、その他、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【0049】
【発明の効果】
上記した本発明のパティキュレートフィルタの再生方法によれば、下記の如き種々の優れた効果を奏し得る。
【0050】
(I)本発明の請求項1に記載の発明によれば、車両のアイドリング停車時にエンジンを停止するアイドルストップ制御に優先して燃料添加による強制再生を実行するようにしているので、パティキュレートフィルタの強制再生をアイドルストップ制御による中断なく継続することができ、アイドルストップ制御を採用した車両であっても短時間でパティキュレートフィルタの再生を完了することができる。
【0051】
(II)本発明の請求項2に記載の発明によれば、排気ガスの温度及び流量が低すぎて良好にパティキュレートの燃焼除去を行うことが難しいアイドリング停車時に、メイン噴射の一回当たりの噴射量を増加することで通常のアイドリング時より回転数を上げてエネルギー投入量を増やすことができるので、排気ガスの温度及び流量を強制再生に適したレベルまで引き上げることができる。
【0052】
(III)本発明の請求項3に記載の発明によれば、アイドリング状態でのパティキュレートフィルタの強制再生時に排気絞り手段により排気流量を絞り込むことで排気温度の更なる上昇を図ることができる。
【0053】
(IV)本発明の請求項4に記載の発明によれば、アイドリング状態でのパティキュレートフィルタの強制再生時にアフタ噴射を追加し、該アフタ噴射の燃料が出力に転換され難いタイミングで燃焼することによりエンジンの熱効率を下げて、燃料の発熱量のうちの動力に利用されない熱量を増やすことで排気温度をより一層上昇させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を実施する形態の一例を示す概略図である。
【図2】図1のパティキュレートフィルタの詳細を示す断面図である。
【図3】再生制御に関する基本的な制御ロジックを示すフローシートである。
【図4】アイドルストップ制御に優先して再生制御を実行する制御ロジックを示すフローシートである。
【符号の説明】
1 ディーゼルエンジン(エンジン)
9 排気ガス
11 排気管
12 パティキュレートフィルタ
15 制御装置
18 燃料噴射装置
23 排気ブレーキ
Claims (4)
- 排気管途中に装備した触媒再生型のパティキュレートフィルタより上流側で排気ガス中に燃料を添加し、その添加燃料がパティキュレートフィルタの酸化触媒上で酸化反応した時の反応熱により捕集済みパティキュレートを燃焼させてパティキュレートフィルタの強制再生を図る方法において、圧縮上死点付近で行われる燃料のメイン噴射に続いて圧縮上死点より遅い非着火のタイミングでポスト噴射を追加することで燃料添加を実行し、車両のアイドリング停車時にエンジンを停止するアイドルストップ制御に優先して前記ポスト噴射での燃料添加による強制再生を実行することを特徴とするパティキュレートフィルタの再生方法。
- アイドリング状態でのパティキュレートフィルタの強制再生時に通常のアイドリング時よりエンジンの回転数を上げるべく燃焼のメイン噴射の一回当たりの噴射量を増加させることを特徴とする請求項1に記載のパティキュレートフィルタの再生方法。
- アイドリング状態でのパティキュレートフィルタの強制再生時にエンジンからの排気流量を適宜に絞り込むことを特徴とする請求項1又は2に記載のパティキュレートフィルタの再生方法。
- アイドリング状態でのパティキュレートフィルタの強制再生時にメイン噴射直後の燃焼可能なタイミングでアフタ噴射を追加することを特徴とする請求項1、2又は3に記載のパティキュレートフィルタの再生方法。
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