JP4010967B2 - 農業用ポリオレフィン系樹脂フィルム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は農業用フィルムに関し、詳しくは、耐候性、耐農薬性、保温性に優れ、特に硫黄燻蒸、硫黄系の農薬散布による耐候性の低下を抑制し、長期間にわたって使用し得る耐久性に優れた農業用ポリオレフィン系樹脂フィルムに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、農業用作物を促成栽培あるいは抑制栽培してその市場性、生産性を高めるために、農業用樹脂フィルムによるハウス栽培やトンネル栽培が盛んに行われてきている。このようなハウス、トンネル栽培は近年益々大型化しており、ハウスあるいはトンネルを覆うためのフィルム展張には多くの人手を必要とする。しかしながらその一方で、農業従事者の減少あるいは高齢化のため、毎年のフィルム展張作業に人手を確保することが困難な状況になってきている。
【0003】
そのため、ハウス等に展張する農業用樹脂フィルムとして、展張作業が容易であり、また張替えを行うまでの使用期間が長く、長期間にわたり機能的な性能を保持し得る高性能な農業用フィルムの開発が求められている。このような農業用フィルムとしては、その使用目的に応じて、赤外線吸収性(保温性)、透明性、耐農薬性、耐候性などの種々の性能が付与されたものである。
【0004】
しかしながら、これらの樹脂フィルムは、使用に伴い紫外線により劣化し、透明性の低下や、破損を来たし、長期の使用には耐えない欠点を有している。このようなフィルムの劣化は、例えば、酸化防止剤、紫外線吸収剤、ヒンダートアミン系化合物、ハイドロタルサイト類等の種々の改質剤を添加することにより抑制することができることが知られている。
【0005】
これらの改質剤の添加による効果はある程度認められているが、いまだ十分満足し得るものではなく、特に、ハウス内で散布する農薬等の影響によりフィルムの耐候性が低下することが認められている。また、長期間の使用により改質剤がフィルム表面に内部から拡散して析出したり、滲み出たりしてフィルム表面を汚染させ、さらに紫外線吸収剤が拡散して耐候性を持続させるのが困難であるといった問題を含んでいる。すなわち、樹脂フィルムを農業用フィルムとして使用する場合において、硫黄系、リン酸系、ハロゲン系などの酸性物質からなる農薬が多く使用されており、これら農薬が作用して、例えばヒンダートアミン系化合物などの作用効果を低下させ、耐候性が低下し、その結果樹脂の劣化によりフィルムが破れる現象が観察されている。
【0006】
そのため農業用フィルムについては種々の改良が行われており、例えば、農薬耐性を付与した農業用フィルムとして、熱可塑性樹脂に光安定剤であるヒンダートアミン系化合物とハイドロタルサイト類化合物とを配合した農業用フィルムが提案されており(特許文献1)、また、立体障害アミンおよび金属酸化物または水酸化物を含有させ、耐候性および有害生物防除剤耐性を付与したポリオレフィン(コポリマー)フィルムが提案されており(特許文献2)、さらに無機硫黄系化合物で土壌または植物を処理する施設園芸ハウス・トンネル栽培に使用するポリオレフィン系樹脂被覆フィルムとして、ヒンダートアミン系化合物、ハイドロタルサイト類化合物および紫外線吸収剤を含有させたフィルムが提案されている(特許文献3)。
【0007】
また、最近に至り、さらに樹脂フィルムの改質化が検討され、例えば、硫黄燻蒸や酸性雨によるフィルムの耐候性の低下を防止するために、重合体にニトロキシ化合物を付加した特異的な高分子量ヒンダートアミン安定化剤を添加した合成樹脂フィルム(特許文献4)、あるいは従来の塩化ビニル系樹脂フィルムに使用されている改質剤を改良するものとして、リン酸エステル化合物を添加した塩化ビニル系樹脂フィルム(特許文献5)などが提案されている。
【0008】
【特許文献1】
特開昭63−175072号公報
【特許文献2】
特開平8−48822号公報
【特許文献3】
特開平8-224049号公報
【特許文献4】
特開2001−139821号公報
【特許文献5】
特許第3238471号
【0009】
これらで提案されている農業用フィルムについては、それぞれ目的とした改質が得られている。しかしながら、最近農業用ハウスあるいはトンネル内で行われる硫黄燻蒸、あるいは硫黄系の農薬散布による耐候性の劣化に対しては、いまだ十分に満足するものではない。例えば、特許文献4に記載の農業用フィルムは、硫黄燻蒸や酸性雨によるフィルムの耐候性の低下を防止するために、重合体にニトロキシ化合物を付加した特異的な高分子量ヒンダートアミン安定化剤を添加したものであるが、その劣化防止効果は必ずしも十分なものとはいえない。また、特許文献5に記載の農業用フィルムは、一般的な農業用塩化ビニル系樹脂フィルムの改質には効果はあるものの、硫黄燻蒸、あるいは硫黄系の農薬散布による耐候性の劣化を防止する点では不十分なものである。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
したがって本発明は、ハウスやトンネルに使用する農業用樹脂フィルムのなかでも、特にポリオレフィン系の樹脂フィルムについて、硫黄燻蒸、あるいは硫黄系の農薬散布による耐農薬性、耐久性に優れ、その結果耐候性の劣化を抑制し、長期間にわたって使用し得るポリオレフィン系農業用フィルムを提供することを課題とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するために、本発明者らは鋭意検討した結果、ポリオレフィン樹脂組成物に、特異的なリン酸エステル化合物を添加することにより、その目的を達成し得ることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0012】
したがって、本発明は、ポリオレフィン系樹脂100重量部に対し、次式(I):
【化3】
(式中、R1〜R4は、それぞれ同一または異なって、炭素数6〜18のアルキル基、シクロアルキル基、アリール置換アルキル基、アリール基またはアルキル置換アリール基を表わす)
で示されるリン酸エステル化合物を0.1〜5重量部添加したことを特徴とする農業用ポリオレフィン系樹脂フィルムである。
【0013】
すなわち本発明は、ポリオレフィン系樹脂に対して、特に上記式(I)で示される特異的なリン酸エステル化合物を添加することにより、一般的な耐候性の劣化の防止は勿論のこと、硫黄燻蒸、あるいは硫黄系の農薬散布などによる耐候性の低下を抑制させた点に、一つの特徴を有するものである。
【0014】
また、これまでの耐候性の低下抑制として種々のヒンダートアミン系化合物を必須として添加していたが、本発明の化合物(I)で示される特異的リン酸エステル化合物を配合することにより、ヒンダートアミン系化合物を添加・併用しなくても、耐候性の低下を抑制し得るものである。その上、その効果はヒンダートアミン系化合物を添加する以上のものである点に、また一つの特徴を有するものである。
【0015】
【発明の実施の形態】
本発明におけるポリオレフィン系樹脂としては、α−オレフィン系の単独重合体、α−オレフィンを主成分とする異種単量体との共重合体、α−オレフィンと共役ジエンまたは非共役ジエン等の多不飽和化合物、アクリル酸、メタクリル酸、酢酸ビニル等との共重合体があげられ、例えば、高密度、低密度または直鎖状低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−ブテン共重合体、エチレン−4−メチル−1−ペンテン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン−アクリル酸共重合体等があげられる。これらのうち、密度が0.910〜0.935の低密度ポリエチレンや、エチレン−α−オレフィン共重合体および酢酸ビニル含有量が30重量%以下のエチレン−酢酸ビニル共重合体が、透明性あるいは耐候性および価格の点から、農業用フィルムとして特に好ましいものである。
【0016】
また、本発明においては、ポリオレフィン系樹脂の少なくとも一成分としてメタロセン触媒で共重合して得られるエチレン−α−オレフィン共重合体樹脂を使用することができる。これは、通常、メタロセンポリエチレンと称されるものであり、エチレンとブテン−1、ヘキセン−1,4−メチルペンテン−1、オクテンなどのα−オレフィンとの共重合体であり、公知の方法により得ることができる。
【0017】
本発明においては、これらのポリオレフィン系樹脂の単独または複数種を使用することができる。また、本発明で使用するポリオレフィン系樹脂としてのエチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂は、酢酸ビニル含有量が10〜25重量%の範囲のものであり、好ましくは12〜20重量%の範囲にあるのがよい。酢酸ビニルの含有量がこれより低いものであると、得られる樹脂フィルムが硬くなり、ハウス等への展張に際してシワやタルミが生じやすく、そこから結露した水滴が落ちるため、実用的ではない。また、酢酸ビニルの含有量がこれより多いと、樹脂の融点が低くなり、ハウス等の夏場における高温化での使用時にフィルムが融着を起こしやすく、好ましいものではない。
【0018】
一方、本発明で使用する、上記したポリオレフィン系樹脂に含有されるリン酸エステル化合物である式(I)で表わされる化合物において、R1〜R4で表わされる置換基としては、炭素数6〜18のアルキル基、シクロアルキル基、アリール置換アルキル基、アリール基またはアルキル置換アリール基である。炭素数が6未満のものであると十分な効果を得ることができず、また炭素数が18を超えるものは高価となり、あまり実用的ではない。
【0019】
そのなかでも置換基R1〜R4が下記式:
【化4】
で表わされる置換基であるリン酸エステルが好ましい。
【0020】
この式(I)で表わされるリン酸エステル化合物のポリオレフィン系樹脂に対する添加量は、ポリオレフィン系樹脂100重量部に対して0.1〜5重量部である。0.1重量部未満であると十分な効果を得ることができず、また5重量部を超えてもあまり効果の増強は認められず、かえって無駄となるばかりか、フィルムのブリード性を低下させる恐れがあり、好ましいものとはいえない。
【0021】
本発明が提供する農業用ポリオレフィン系樹脂フィルムを構成する樹脂組成物は、ポリオレフィン系樹脂に上記した式(I)で表わされるリン酸エステル化合物を添加したことを基本とし、さらに農業用フィルムが適用される作物の育成条件にあわせ、必要に応じて種々の添加剤を添加することができる。そのような添加剤としては、酸化防止剤、紫外線吸収剤、ヒンダートアミン系化合物、造核剤、ハイドロタルサイト、防曇剤、防霧剤、防滴剤、金属石鹸、エポキシ化合物、過塩素酸塩、滑剤、改質剤、保温剤としての赤外線吸収剤、充填剤、顔料、帯電防止剤などである。
【0022】
酸化防止剤としては、例えば、ステアリル−β−(3,5−ジ第3級ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、1,6−ヘキサメチレンビス[β−(3,5−ジ第3級ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]等のフェノール系酸化防止剤;ジラウリル−チオジプロピオネート、ジミリスチル−チオジプロピオネート等のチオエーテル系酸化防止剤;トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、ビス(2,4−ジ第3級ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト等のリン系酸化防止剤などをあげることができる。これらの酸化防止剤は、ポリオレフィン系樹脂100重量部に対して0.01〜3重量部の範囲内で添加されるのが好ましい。
【0023】
紫外線吸収剤は、透明性の低下を抑制すると共に、耐農薬性の低下をも抑制するものであり、さらに耐候性を向上させるために好ましいものでもある。そのような紫外線吸収剤としては、例えば、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクトキシベンゾフェノン、5,5’−メチレンビス(2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン)等の2−ヒドロキシベンゾフェノン類;2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ第3級ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5−ジ第3級ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−第3級ブチル−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−第3級オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール等のベンゾトリアゾール類があげられる。
【0024】
これらの紫外線吸収剤はその一種または二種以上で使用することができる。またその使用量は、ポリオレフィン系樹脂100重量部に対して0.001〜5重量部の範囲内で添加されるのが好ましい。0.001重量部未満では効果の発揮が得られず、また5重量部を超えても、それ以上の効果の向上が図れず、かえって着色等を生じ好ましいものではない。
【0025】
ヒンダートアミン系化合物としては、例えばビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)−2−ブチル−2−(3,5−ジ第3級ブチル−4−ヒドロキシベンジルマロネートに代表されるピペリジン環含有ヒンダートアミン系化合物が好ましく使用され、その含有量は、ポリオレフィン系樹脂100重量部に対して0.001〜20重量部、好ましくは0.01〜5重量部である。含有量が0.001重量部未満であると十分な効果が得られず、また20重量部を超えて使用しても効果の向上は得られず、かえってフィルムの物性を低下させることとなる。
【0026】
このヒンダートアミン系化合物は、これまで光安定剤として農業用フィルムについて、その耐候性低下の抑制のために配合されているものであるが、本発明においてはかかるヒンダートアミン系化合物を配合しなくとも、耐候性の低下を抑制し得る点に特徴がある。しかしながら本発明にあっては、このヒンダートアミン系化合物を併用することにより、より一層の耐候性低下抑制を図れるものである。
【0027】
また、滑剤としては、例えば、ポリエチレンワックス、脂肪酸アミド、ステアリン酸、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸カルシウム、有機亜リン酸エステルのようなキレート剤、エポキシ樹脂等をあげることができる。これらの滑剤の使用量は、ポリオレフィン樹脂100重量部に対して、好ましくは0.001〜5重量部である。
【0028】
防曇剤または界面活性剤としては、通常使用されている防曇剤等、任意のものを使用することができる。例えば、多価アルコールと高級脂肪酸類からなるエステル化合物を使用するのが好ましい。具体的には、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノベヘネート、ソルビタンとグリセリンの縮合物と高級脂肪酸とのエステル、ソルビタンとアルキレングリコールの縮合物と高級脂肪酸とのエステルなどのソルビタン系界面活性剤;グリセリンモノラウレート、グリセリンモノステアレート、ジグリセリンモノステアレート、ジグリセリンモノラウレート、ジグリセリンモノパルミテート、トリグリセリンモノステアレート、トリジグリセリンモノステアレートなどのグリセリン系界面活性剤;ポリエチレングリコールモノステアレート、ポリエチレングリコールモノパルミテート、ポリエチレングリコールアルキルフェニルエーテルなどのポリエチレングリコール系界面活性剤;その他のトリメチロールプロパンモノステアレートなどのトリメチロールプロパン系界面活性剤;ペンタエリスリトールモノパルミテート、ペンタエリスリトールモノステエアレート、ジペンタエリスルトールモノステアレートなどのペンタエリスリトール系界面活性剤などをあげることができる。
【0029】
また、防霧剤としては、例えば、パーフロロアルキル基をまたはパーフルオロアルケニル基を有する高分子化合物、あるいは低分子のフッ素系界面活性剤等をあげることができる。これらの防曇剤、防霧剤等の使用量は、ポリオレフィン樹脂100重量部に対して、好ましくは0.001〜0.5重量部である。
【0030】
さらに、フィルムのベタツキを抑制したり、あるいは保温性を付与したりするために、各種充填剤を配合することもでき、そのようなものとしては、シリカ、タルク、長石、水酸化アルミニウム、ハイドロタルサイト、硫酸カルシウム、珪酸カルシウム、珪酸アルミニウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、アルミン酸ソーダなどをあげることができる。これらの充填剤は、その種類、ならびに農業用フィルとして成形した場合のフィルムの厚さにより異なるが、ポリオレフィン系樹脂100重量部に対して、好ましくは0.01〜10重量部の範囲内で用いられる。
【0031】
本発明の農業用樹脂フィルムは、ポリオレフィン系樹脂に式(I)のリン酸エステル化合物、さらに上記した各種の充填剤等を秤量・配合し、例えば、リボンブレンダー、バンバリーミキサー、ヘンシェルミキサー、スーパーミキサー等の従来から知られている配合機、混合機に仕込み混練し、自体公知の方法によりフィルム状に成形することにより得ることができる。
【0032】
フィルム成形にあたっては、カレンダー法、押出成形法、インフレーション法、Tダイ法、ロール法等、自体公知の方法が採用されるが、好ましくはカレンダー法で成形するのがよい。
【0033】
フィルムの厚さは、あまり薄いと強度が不十分となるため好ましいものではなく、逆に厚すぎるとフィルム成形操作、ハウス、トンネルへの展張操作等に不便をきたすので、一般的には、0.03〜0.3mm、好ましくは0.05〜0.2mmの範囲とするのがよい。
【0034】
【実施例】
以下に本発明を、具体的実施例ならびに比較例により詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0035】
実施例1〜6:
下記表1に記載の配合による樹脂組成物を、カレンダー法により0.1mm厚を有する農業用フィルムに成形した。
得られたフィルムについて、その耐候性、ブリード性を評価し、その結果をあわせて表中に示した。
【0036】
【表1】
【0037】
*1:PE:0138N(出光社製)
*2:EVA:ウルトラセン630(東ソー社製)
*3:FP500(旭電化社製)
*4:アルカマイザー4(協和化学社製)
*5:バイオソーブ130(共同薬品社製)
*6:HALS:キマソーブ944LD(チバスペシャリティーケミカルズ社製)
*7:イルガノックス1010(チバスペシャリティーケミカルズ社製)
【0038】
各耐候性試験は以下のようにして実施した。
*8:硫黄燻蒸耐候性試験
屋外に、間口2m、高さ3mのトンネルハウスを作成し、1日に8時間ホットプレート上に硫黄粉末を乗せ、加熱して硫黄燻蒸を連続して毎日行った。ハウスの展張を12ヶ月行い、展張終了後、展張したフィルムについて、下記の測定を行い、耐候性をフィルムの残存伸び率で評価した。
【0039】
【数1】
【0040】
評価は以下の基準に従った。
◎:80%以上
○:60%以上/80%未満
□:40%以上/60%未満
△:20%以上/40%未満
×:20%未満
【0041】
*9:一般耐候性試験(硫黄燻蒸なし)
屋外に、間口2m、高さ3mのトンネルハウスを作成し、ハウスの展張を36ヶ月行い、展張終了後、展張したフィルムについて、下記の測定を行い、耐候性をフィルムの残存伸び率で評価した。
【0042】
【数2】
【0043】
評価は硫黄耐候性試験と同様、以下の基準に従った。
◎:80%以上
○:60%以上/80%未満
□:40%以上/60%未満
△:20%以上/40%未満
×:20%未満
【0044】
*10:ブリード性評価
フィルムを空気接触させ、室温放置(25±2℃)にて3ヶ月放置後のブリード性を目視により評価した。
評価は、以下の基準に従った。
○:使用上問題のないブリードの程度
△:若干ブリードが多く、使用上問題となる
×:ブリード物が多く、フィルムの透明感が全くない
【0045】
比較例1〜6:
下記表2に記載の配合による樹脂組成物を、カレンダー法により0.1mm厚を有する農業用フィルムに成形した。
得られたフィルムについて、その耐候性を評価し、その結果をあわせて表中に示した。
【0046】
【表2】
【0047】
*1〜*10:表1と同様である。
注1:フィルムへの成形加工ができず、測定は不可能であった。
【0048】
比較例7および8:
下記表3中に記載のポリ塩化ビニルを使用した樹脂組成物を、カレンダー法により0.1mm厚を有する農業用フィルムに成形した。得られたフィルムについて、上記実施例に記載の方法によりその耐候性、ブリード性を評価し、その結果をあわせて表中に示した。
なお、耐候性試験、ブリード性の評価は、上記実施例と同様の評価によった。
【0049】
【表3】
【0050】
以上の実施例および比較例を対比してみると、本発明のポリオレフィン系樹脂の農業用フィルムにあっては、式(I)で表わされるリン酸エステル化合物を配合することにより、極めて効果的に耐候性を改良しているものであり、特に硫黄燻蒸による耐候性の低下を顕著に改良していることが判明する。
すなわち、これまで耐候性を向上させる添加剤としてヒンダートアミン系化合物が配合されていたが、ヒンダートアミン系化合物ではそれほどの効果は得られていないものの、ヒンダートアミン系化合物を使用しなくても、式(I)で表わされるリン酸エステル化合物を配合することによっても、耐候性低下の抑制効果が図られていることが判明する。
そのうえ、その効果はヒンダートアミン化合物を配合することにより得られる効果以上のものであった。
【0051】
また、ポリ塩化ビニル系樹脂フィルム(比較例7、8)との対比からみれば、式(I)で表わされるリン酸エステル化合物を配合することによる耐候性の向上効果は、ポリオレフィン系樹脂フィルムに特有のものであり、特異に優れたものであることが判明する。
【0052】
【発明の効果】
以上記載のように、本発明の農業用ポリオレフィン系樹脂フィルムは、ポリオレフィン系樹脂に式(I)で表わされる特異的リン酸エステル化合物を配合することによって得られるものであり、特に硫黄燻蒸あるいは硫黄系の農薬の散布に起因する耐候性の効果的に抑制させているものである。
【0053】
したがって、本発明により得られる農業用ポリオレフィン系樹脂フィルムは、展張作業が容易であると共に、張替えを行うまでの展張期間を長くすることができ、長期間にわたり機能的な性能を保持し、耐久性を有するため、ハウスやトンネル栽培用のフィルムとして好適に使用し得る利点を有している。
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