JP4009876B2 - 測定誤差の補正方法及び電子部品特性測定装置 - Google Patents

測定誤差の補正方法及び電子部品特性測定装置 Download PDF

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Description

本発明は、測定誤差の補正方法及び電子部品特性測定装置に関し、詳しくは、高周波信号の印加または検出に係わる信号ラインに接続される信号ラインポートと、信号ラインポート以外の非信号ラインポートとを有する電子部品の電気特性を、試験治具に実装した状態で信号ラインポート及び非信号ラインポートを測定した結果から、その電子部品を信号ラインポートのみ測定可能である基準治具に実装して測定したならば得られるであろう電気特性の推定値を算出する、測定誤差の補正方法及び電子部品特性測定装置に関する。
従来、上記電子部品のように同軸コネクタを有しない表面実装型電子部品は、同軸コネクタを有する治具に実装し、治具と測定装置の間を同軸ケーブルを介して接続して、電気特性が測定されることがある。このような測定においては、個々の治具の特性のばらつきや、個々の同軸ケーブル及び測定装置の特性のばらつきが、測定誤差の原因となる。
同軸ケーブル及び測定装置については、基準特性を有する標準器を同軸ケーブルを介して測定装置に接続して測定することにより、標準器を接続した同軸ケーブル先端よりも測定装置側の誤差を同定することができる。
しかし、治具については、電子部品を実装する端子と同軸ケーブルに接続する同軸コネクタとの間の電気特性の誤差を精度よく同定することができない。また、治具間の特性が一致するように調整することは容易ではない。特に広い帯域幅で、治具間の特性を一致するように治具を調整することは、極めて困難である。
そこで、補正データ取得用試料を複数の治具に実装して測定し、治具間における測定値のばらつきから、ある治具(これを、「基準治具」と言う。)と他の治具(これを、「試験治具」と言う。)との間の相対的な誤差を補正する数式を予め導出しておき、この数式を用いて、任意の電子部品を試験治具に実装した状態で測定した結果から、その電子部品を基準治具に実装して測定したならば得られるであろう電気特性の推定値を算出することが提案されている。例えば、基準治具はユーザに対して電気特性を保証するために用い、試験治具は電子部品の製造工程における良品選別のための測定に用いる(例えば、非特許文献1、2参照)。
GAKU KAMITANI(Murata manufacturing Co.,Ltd.) "A METHOD TO CORRECT DIFFERENCE OF IN−FIXTURE MEASUREMENTS AMONG FIXTURES ON RF DEVICES" APMC Vol.2, p1094−1097, 2003 J.P.DUNSMORE, L.BETTS (Agilent Technologies) "NEW METHODS FOR CORRELATING FIXTURED MEASUREMENTS" APMC Vol.1, p568−571, 2003
このような手法は、測定対象の電子部品が信号ラインポート(測定装置を用いて電子部品が有する任意の電気特性を測定するための高周波信号の印加または検出に係わる信号ラインに接続されるポート)のみを有する場合には対応できる。
しかし、測定対象の電子部品が信号ラインポート以外のポート(電源ラインやGNDライン等、電気特性測定に係わらない非信号ラインに接続されるポート。以下、「非信号ラインポート」と言う。)を有する場合、非信号ラインポートに接続される治具特性によって、電子部品そのものの電気特性が変化してしまう。そのため、例えば図1に示したように、試験治具では非信号ラインポートについても測定装置に接続して測定を行い、基準治具では非信号ラインポートは非信号ラインポートのままで(すなわち、測定装置に接続しないで)特性保証を行うような場合には、対応することができない。
例えば図29(a)に示すように、非信号ラインポートが何らかの素子を介して高周波的なグランドに接続される電子部品2(このような電子部品を、以下では「シャントタイプ」と言う。)の場合、基準治具4は、電子部品2の信号ラインポートに接続される同軸コネクタ4a,4bと、電子部品2の非信号ラインポートに接続される素子4sとを備える。一方、図29(b)に示すように、試験治具6は、電子部品2の信号ラインポートに接続される同軸コネクタ6a,6bと、電子部品2の非信号ラインポートに接続される同軸コネクタ6cとを備える。
また、図30(a)に示すように、非信号ラインポート間に素子が接続される電子部品3(このような電子部品を、以下では「フロートタイプ」と言う。)の場合、基準治具5は、電子部品3の信号ラインポートに接続される同軸コネクタ5a,5bと、電子部品3の非信号ラインポート間に接続される素子5sとを備え、非信号ラインポートについてはRF測定を行っていない。一方、図30(b)に示すように、試験治具7は、電子部品3の信号ラインポートに接続される同軸コネクタ7a,7bと、非信号ラインポートに接続される同軸コネクタ7c,7dとを備え、信号ラインポートのみならず非信号ラインポートについてもRF測定を行っている。
本発明は、上記実情に鑑み、信号ラインポート以外に非信号ラインポートを有しその電気特性が非信号ラインポートに接続される治具の特性によって変化してしまう電子部品について、高い精度で対応することができる、測定誤差の補正方法及び電子部品特性測定装置を提供しようとするものである。
本発明は、上記課題を解決するために、以下のように構成した測定誤差の補正方法を提供する。
この測定誤差の補正方法は、高周波信号の印加または検出に係わる信号ラインに接続される信号ラインポートと、該信号ラインポート以外の非信号ラインポートとを有する電子部品について、前記電子部品を試験治具に実装した状態で前記信号ラインポートおよび前記非信号ラインポートを測定した結果から、当該電子部品を前記信号ラインポートのみ測定可能である基準治具に実装した状態で前記信号ラインポートを測定したならば得られるであろう前記電子部品の電気特性の推定値を算出するものである。前記測定誤差の補正方法は、第1ないし第5のステップを備える。前記第1のステップにおいて、少なくとも3種類の補正データ取得用試料を前記試験治具に実装した状態と前記基準治具に実装した状態とで、前記補正データ取得用試料の各々の信号ラインポートの少なくとも一つについて、電気特性を測定する。前記第2のステップにおいて、信号ラインポートの少なくとも一つと非信号ラインポートの少なくとも一つとが電気的に接続された補正データ取得用スルーデバイスを用意し、前記補正データ取得用スルーデバイスを前記試験治具に実装した状態で当該信号ラインポート及び当該非信号ラインポートを測定し、かつ、前記補正データ取得用スルーデバイスを前記基準治具に実装した状態で当該信号ラインポートを測定する。前記第3のステップにおいて、前記第1及び第2のステップで得られた測定値に基づいて導出される前記信号ラインポートに対する補正を行うための項と、前記非信号ラインポートに対する補正を行うための項とを含み、前記電子部品を前記試験治具に実装した状態で前記信号ラインポートおよび前記非信号ラインポートを測定した結果から当該電子部品を前記基準治具に実装した状態で前記信号ラインポートを測定したならば得られるであろう前記電子部品の電気特性の推定値を算出するための数式を決定する。前記第4のステップにおいて、任意の前記電子部品について、前記試験治具に実装した状態で前記信号ラインポートおよび前記非信号ラインポートを測定する。前記第5のステップにおいて、前記第4のステップで得られた測定値に基づいて、前記第3のステップで決定した前記数式を用いて、当該電子部品を前記基準治具に実装した状態で前記信号ラインポートを測定したならば得られるであろう前記電子部品の電気特性の推定値を算出する。
上記構成において、第1のステップの測定値により、信号ラインポートについて、基準治具と試験治具との間の相対的な測定誤差の補正を行うことができる。この信号ラインポートについての補正結果と、第2のステップの測定値とから、非信号ラインポートについても、基準治具と試験治具との間の相対的な測定誤差の補正が可能となる。
上記構成によれば、信号ラインポートのみならず非信号ラインポートについても測定誤差を補正することができるので、任意の電子部品について、試験治具に実装した状態で信号ラインポート及び非信号ラインポートを測定した結果から、基準治具に実装した場合の電気特性を、精度よく推定することができる。
好ましくは、前記第3のステップにおいて、前記非信号ラインポートに対する補正を行うための前記項は、前記第2のステップにおいて前記補正データ取得用スルーデバイスを前記試験治具に実装した状態で当該信号ラインポート及び当該非信号ラインポートを測定した結果を、前記第1のステップで得られた測定値から得られる「前記信号ラインポートに対する補正を行うための前記項を含み、前記電子部品を前記試験治具に実装した状態で前記信号ラインポートを測定した結果から、前記基準治具に実装した状態で前記信号ラインポートを測定したならば得られるであろう前記電子部品の電気特性の推定値を算出するための数式」に代入し得られる散乱行列S(各要素を、S11I、S12I、S21I、S22Iとする)と、前記第2のステップで得られる前記補正データ取得用スルーデバイスを前記基準治具に実装した状態における当該信号ラインポートの測定値S11Dとを用いて次式
Figure 0004009876
のように示される。
すなわち、「シャントタイプ」の非信号ラインポートを有する電子部品の場合、任意の前記電子部品について、前記試験治具に実装した状態で測定される電気特性を、前記基準治具に実装した状態で測定される電気特性に変更する特性を有する相対補正アダプタを想定した上で、第1のステップで得られた測定値から、前記信号ラインポートに関して相対補正アダプタを求める。この相対補正アダプタを第2のステップにおいて得られる補正データ取得用スルーデバイスを試験治具に実装した状態で測定し得られた散乱行列と合成すれば、補正データ取得用スルーデバイスを試験治具に実装した状態における測定値から、前記信号ラインポートのみを前記基準治具に実装した場合の電気特性を推定した散乱行列Sが決まる。第2のステップにおいて、補正データ取得用スルーデバイスを基準治具に実装した場合の測定値は、前記Sの当該非信号ラインポート側の端子対に対し前記非信号ラインポートに関する相対補正アダプタを合成した推定値と対応する。このことから、上記の式を導出することができる。
上記の式により導出した非信号ラインポートの相対補正アダプタを用いることにより、非信号ラインポートを測定しない基準治具に実装した場合の電気特性を、精度よく推定することができる。
好ましくは、前記電子部品は、少なくとも2つの第1及び第2の前記信号ラインポートと、少なくとも2つの第1及び第2の前記非信号ラインポートとを有し、該第1及び第2の前記非信号ラインポートの間に素子が接続される。前記電子部品の前記第1及び第2の非信号ラインポートにより影響を受ける前記第1及び第2の信号ラインポート間の電気特性の推定値の算出については、前記第1のステップにおいて、前記電子部品の前記第1及び第2の信号ラインポートに対応する前記補正データ取得用試料の各々の信号ラインポートについて、電気特性を測定する。前記第2のステップにおいて用いる前記補正データ取得用スルーデバイスは、前記電子部品の前記第1の信号ラインポートに対応する前記補正データ取得用スルーデバイスの信号ラインポートと前記電子部品の前記第1の非信号ラインポートに対応する前記補正データ取得用スルーデバイスの非信号ラインポートとの間が電気的に接続され、かつ、前記電子部品の前記第2の信号ラインポートに対応する前記補正データ取得用スルーデバイスの信号ラインポートと前記電子部品の前記第2の非信号ラインポートに対応する前記補正データ取得用スルーデバイスの非信号ラインポートとの間が電気的に接続される。前記第3のステップにおいて、前記電子部品の前記第1及び第2の非信号ラインポートにより影響を受ける前記第1及び第2の信号ラインポート間の電気特性の推定値を算出するための前記数式に含まれる前記非信号ラインポートに対する補正を行うための前記項は、前記第2のステップにおいて前記補正データ取得用スルーデバイスを前記試験治具に実装した状態で当該信号ラインポート及び当該非信号ラインポートを測定した結果を、前記第1のステップで得られた測定値から得られる「前記信号ラインポートに対する補正を行うための前記項を含み、前記電子部品を前記試験治具に実装した状態で前記信号ラインポートを測定した結果から、前記基準治具に実装した状態で前記信号ラインポートを測定したならば得られるであろう前記電子部品の電気特性の推定値を算出するための数式」に代入し得られる、前記電子部品の前記第1の信号ラインポートに対応する当該信号ラインポートと前記電子部品の前記第1の非信号ラインポートに対応する当該非信号ラインポートとの間に対する伝送係数行列(T1thru)及び前記電子部品の前記第2の信号ラインポートに対応する当該信号ラインポートと前記電子部品の前記第2の非信号ラインポートに対応する当該非信号ラインポートとの間に対する伝送係数行列(T2thru)と、前記第2のステップで得られる前記補正データ取得用スルーデバイスを前記基準治具に実装した状態における、前記電子部品の前記第1及び第2の信号ラインポートに対応する当該信号ラインポート間の伝送係数行列(Dthru)とを用いて次式
(CA)=(T1thru−1・(Dthru)・(T2thru−1 ・・・(a)
のように示される伝送係数行列又は該伝送係数行列を変換した散乱係数行列を用いる。
すなわち、「フロートタイプ」の非信号ラインポートを有する電子部品の場合、任意の前記電子部品について、前記試験治具に実装した状態で測定される電気特性を、前記基準治具に実装した状態で測定される電気特性に変更する特性を有する相対補正アダプタを想定した上で、第1のステップで得られた測定値から、前記信号ラインポートに関して相対補正アダプタを求める。この相対補正アダプタを第2のステップにおいて得られる補正データ取得用スルーデバイスを試験治具に実装した状態で測定し得られた散乱行列と合成する。すなわち、前記電子部品の第1の信号ラインポートに対応する当該信号ラインポートと電子部品の第1の非信号ラインポートに対応する当該非信号ラインポートとの間の散乱行列に対して上記合成を行った伝送係数行列(T1thru)、及び前記電子部品の第2の信号ラインポートに対応する当該信号ラインポートと前記電子部品の第2の非信号ラインポートに対応する当該非信号ラインポートとの間の散乱行列に対して上記合成を行った伝送係数行列(T2thru)が決まる。第2のステップにおいて、補正データ取得用スルーデバイスを基準治具に実装した場合の測定値から、補正データ取得用スルーデバイスを基準治具に実装した状態における、前記電子部品の第1及び第2の信号ラインポートに対応する当該信号ラインポート間の伝送係数行列(Dthru)が決まる。前記電子部品の第1及び第2の非信号ラインポートに対応する当該非信号ラインポート間の相対補正アダプタを(CA)とすると、次式(b)が成り立つ。
(Dthru)=(T1thru)・(CA)・(T2thru) ・・・(b)
この式(b)の両辺に左右から、逆行列(T1thru−1,(T2thru−1を掛けると、上記の式(a)を導出することができる。
上記の式(a)により導出した非信号ラインポートの相対補正アダプタを用いることにより、非信号ラインポートを測定しない基準治具に実装した場合の電気特性を、精度よく推定することができる。
好ましくは、前記第5のステップにおいて、前記算出方法は、任意の前記電子部品について、前記試験治具に実装した状態で測定される電気特性を、前記基準治具に実装した状態で測定される電気特性に変更する特性を有する相対補正アダプタを想定した上で、前記非信号ラインポートにおいては、前記第3のステップにおける前記非信号ラインポートに対する補正を行うための前記項を前記相対補正アダプタとして用い推定する。
好ましくは、前記第2のステップにおいて測定する前記補正データ取得用スルーデバイスは、当該信号ラインポートと当該非信号ラインポートとの間の伝達係数が−10dB以上である。
この場合、信号ラインポートと非信号ラインポートとの間で、出力信号は入力信号より1桁小さくなる程度であるので、測定誤差の補正を精度よく行うことができる。
好ましくは、前記第2のステップにおいて測定する前記補正データ取得用スルーデバイスは、当該信号ラインポートと当該非信号ラインポートとの間の伝達係数が往復で−20dB以上である。
この場合、例えば前記基準治具における非信号ラインポートにおいて信号を全反射する場合、前記信号ラインポートから入力される信号に対し測定される信号は1桁小さくなる程度であるので、前記非信号ラインポートの相対補正アダプタを精度良く求めることができる。
また、本発明は、上記課題を解決するために、以下のように構成した電子部品特性測定装置を提供する。
この電子部品特性測定装置は、高周波信号の印加または検出に係わる信号ラインに接続される信号ラインポートと、該信号ラインポート以外の非信号ラインポートとを有する電子部品について、前記電子部品を試験治具に実装した状態で前記信号ラインポートおよび前記非信号ラインポートを測定し、その測定結果から、当該電子部品を前記信号ラインポートのみ測定可能である基準治具に実装した状態で前記信号ラインポートを測定したならば得られるであろう前記電子部品の電気特性の推定値を算出するものである。前記電子部品特性測定装置は、測定手段と、記憶手段と、数式決定手段と、電気特性推定手段とを備える。前記測定手段は、前記電子部品を前記試験治具に実装した状態で前記信号ラインポートおよび前記非信号ラインポートを測定する。前記記憶手段は、前記試験治具に実装した状態と前記基準治具に実装した状態とで、前記信号ラインポートの少なくとも一つについて、少なくとも3種類の補正データ取得用電子部品を測定した第1の測定データと、信号ラインポートの少なくとも一つと非信号ラインポートの少なくとも一つとが電気的に接続された補正データ取得用スルーデバイスを、前記試験治具に実装した状態で当該信号ラインポート及び当該非信号ラインポートを測定した第2の測定データと、前記補正データ取得用スルーデバイスを前記基準治具に実装した状態で当該信号ラインポートを測定した第3の測定データとを格納する。前記数式決定手段は、前記記憶手段に格納された前記第1ないし第3の測定データに基づいて導出される前記信号ラインポートに対する補正を行うための項と、前記非信号ラインポートに対する補正を行うための項とを含み、前記電子部品を前記試験治具に実装した状態で前記信号ラインポートおよび前記非信号ラインポートを測定した結果から当該電子部品を前記基準治具に実装した状態で前記信号ラインポートを測定したならば得られるであろう前記電子部品の電気特性の推定値を算出するための数式を決定する。前記電気特性推定手段は、任意の前記電子部品について、前記測定手段で測定して得られた測定値から、前記数式決定手段が決定した前記数式を用いて、当該電子部品を前記基準治具に実装した状態で前記信号ラインポートを測定したならば得られるであろう前記電子部品の電気特性の推定値を算出する。
上記構成において、第1の測定データにより、信号ラインポートについて基準治具と測定治具との間の相対的な測定誤差の補正を行うことができる。この信号ラインポートについての補正結果と、第2及び第3の測定データとから、非信号ラインポートについても基準治具と測定治具との間の相対的な測定誤差の補正が可能となる。
上記構成によれば、信号ラインポートのみならず非信号ラインポートについても測定誤差を補正することができるので、任意の電子部品について、試験治具に実装した状態で信号ラインポート及び非信号ラインポートを測定した結果から、基準治具に実装した場合の電気特性を、精度よく推定することができる。
なお、第1ないし第3の測定データは、上記構成の電子部品特性測定装置の測定手段によって測定されても、上記構成の電子部品特性測定装置以外の他の測定装置によって測定されてもよい。後者の場合には、他の測定装置によって測定された測定データは、上記構成の電子部品特性測定装置の記憶手段に格納される。
好ましくは、前記数式決定手段が決定する前記非信号ラインポートに対する補正を行うための前記項は、前記第2の測定データを、前記第1の測定データから得られる「前記信号ラインポートに対する補正を行うための前記項を含み、前記電子部品を前記試験治具に実装した状態で前記信号ラインポートを測定した結果から、前記基準治具に実装した状態で前記信号ラインポートを測定したならば得られるであろう前記電子部品の電気特性の推定値を算出するための数式」に代入し得られる散乱行列S(各要素を、S11I、S12I、S21I、S22Iとする)と、前記第3のデータである前記補正データ取得用スルーデバイスを前記基準治具に実装した状態における当該信号ラインポートの測定値S11Dとを用いて次式
Figure 0004009876
のように示される。
すなわち、「シャントタイプ」の非信号ラインポートを有する電子部品の場合、任意の前記電子部品について、前記試験治具に実装した状態で測定される電気特性を、前記基準治具に実装した状態で測定される電気特性に変更する特性を有する相対補正アダプタを想定した上で、第1の測定データから、前記信号ラインポートに関して相対補正アダプタを求める。この相対補正アダプタを第2の測定データから得られる補正データ取得用スルーデバイスを試験治具に実装した状態で測定し得られた散乱行列と合成すれば、補正データ取得用スルーデバイスを試験治具に実装した状態における測定値から、前記信号ラインポートのみを前記基準治具に実装した場合の電気特性を推定した散乱行列Sが決まる。第3の測定データである補正データ取得用スルーデバイスを基準治具に実装した場合の測定値は、前記Sの当該非信号ラインポート側の端子対に対し前記非信号ラインポートに関する相対補正アダプタを合成した推定値と対応する。このことから、上記の式を導出することができる。
上記の式により導出した非信号ラインポートの相対補正アダプタを用いることにより、非信号ラインポートを測定しない基準治具に実装した場合の電気特性を、精度よく推定することができる。
好ましくは、前記電子部品は、少なくとも2つの第1及び第2の前記信号ラインポートと、少なくとも2つの第1及び第2の前記非信号ラインポートとを有し、該第1及び第2の前記非信号ラインポートの間に素子が接続される。前記第1の測定データは、前記電子部品の前記第1及び第2の信号ラインポートに対応する前記補正データ取得用試料の各々の信号ラインポートについて、電気特性を測定される。前記第2及び第3の測定データを測定するときに用いる前記補正データ取得用スルーデバイスは、前記電子部品の前記第1の信号ラインポートに対応する前記補正データ取得用スルーデバイスの信号ラインポートと前記電子部品の前記第1の非信号ラインポートに対応する前記補正データ取得用スルーデバイスの非信号ラインポートとの間が電気的に接続され、かつ、前記電子部品の前記第2の信号ラインポートに対応する前記補正データ取得用スルーデバイスの信号ラインポートと前記電子部品の前記第2の非信号ラインポートに対応する前記補正データ取得用スルーデバイスの非信号ラインポートとの間が電気的に接続される。前記数式決定手段が決定する、前記電子部品の前記第1及び第2の非信号ラインポートにより影響を受ける前記第1及び第2の信号ラインポート間の電気特性の推定値を算出するための前記数式に含まれる前記非信号ラインポートに対する補正を行うための前記項は、前記第2の測定データを、前記第1の測定データから得られる「前記信号ラインポートに対する補正を行うための前記項を含み、前記電子部品を前記試験治具に実装した状態で前記信号ラインポートを測定した結果から、前記基準治具に実装した状態で前記信号ラインポートを測定したならば得られるであろう前記電子部品の電気特性の推定値を算出するための数式」に代入し得られる、前記電子部品の前記第1の信号ラインポートに対応する当該信号ラインポートと前記電子部品の前記第1の非信号ラインポートに対応する当該非信号ラインポートとの間に対する伝送係数行列(T1thru)及び前記電子部品の前記第2の信号ラインポートに対応する当該信号ラインポートと前記電子部品の前記第2の非信号ラインポートに対応する当該非信号ラインポートとの間に対する伝送係数行列(T2thru)と、前記第3の測定データから得られる、前記補正データ取得用スルーデバイスを前記基準治具に実装した状態における、前記電子部品の前記第1及び第2の信号ラインポートに対応する当該信号ラインポート間の伝送係数行列(Dthru)とを用いて次式
(CA)=(T1thru−1・(Dthru)・(T2thru−1 ・・・(a)
のように示される伝送係数行列又は該伝送係数行列を変換した散乱係数行列を用いる。
すなわち、「フロートタイプ」の非信号ラインポートを有する電子部品の場合、任意の前記電子部品について、前記試験治具に実装した状態で測定される電気特性を、前記基準治具に実装した状態で測定される電気特性に変更する特性を有する相対補正アダプタを想定した上で、第1の測定データから、前記信号ラインポートに関して相対補正アダプタを求める。この相対補正アダプタを、第2の測定から得られる補正データ取得用スルーデバイスを試験治具に実装した状態で測定し得られた散乱行列と合成する。すなわち、前記電子部品の第1の信号ラインポートに対応する当該信号ラインポートと電子部品の第1の非信号ラインポートに対応する当該非信号ラインポートとの間の散乱行列に対して上記合成を行った伝送係数行列(T1thru)、及び前記電子部品の第2の信号ラインポートに対応する当該信号ラインポートと前記電子部品の第2の非信号ラインポートに対応する当該非信号ラインポートとの間の散乱行列に対して上記合成を行った伝送係数行列(T2thru)が決まる。第3の測定データである補正データ取得用スルーデバイスを基準治具に実装した場合の測定値から、補正データ取得用スルーデバイスを基準治具に実装した状態における、前記電子部品の第1及び第2の信号ラインポートに対応する当該信号ラインポート間の伝送係数行列(Dthru)が決まる。前記電子部品の第1及び第2の非信号ラインポートに対応する当該非信号ラインポート間の相対補正アダプタを(CA)とすると、次式(b)が成り立つ。
(Dthru)=(T1thru)・(CA)・(T2thru) ・・・(b)
この式(b)の両辺に左右から、逆行列(T1thru−1,(T2thru−1を掛けると、上記の式(a)を導出することができる。
上記の式(a)により導出した非信号ラインポートの相対補正アダプタを用いることにより、非信号ラインポートを測定しない基準治具に実装した場合の電気特性を、精度よく推定することができる。
好ましくは、前記電気特性推定手段は、任意の前記電子部品について、前記試験治具に実装した状態で測定される電気特性を、前記基準治具に実装した状態で測定される電気特性に変更する特性を有する相対補正アダプタを想定した上で、前記非信号ラインポートにおいては、前記数式決定手段が決定した前記非信号ラインポートに対する補正を行うための前記項を前記相対補正アダプタとして用い推定する。
好ましくは、前記第2及び第3の測定データを取得するための前記補正データ取得用スルーデバイスは、当該信号ラインポートと当該非信号ラインポートとの間の伝達係数が−10dB以上である。
この場合、信号ラインポートと非信号ラインポートとの間で、出力信号は入力信号より1桁小さくなる程度であるので、測定誤差の補正を精度よく行うことができる。
好ましくは、前記第2及び第3の測定データを取得するための前記補正データ取得用スルーデバイスは、当該信号ラインポートと当該非信号ラインポートとの間の伝達係数が往復で−20dB以上である。
この場合、例えば前記基準治具における非信号ラインポートにおいて信号を全反射する場合、前記信号ラインポートから入力される信号に対し測定される信号は1桁小さくなる程度であるので、前記非信号ラインポートの相対補正アダプタを精度良く求めることができる。
また、本発明は、上記課題を解決するために、以下のように構成した電子部品特性測定装置を提供する。
この電子部品特性測定装置は、高周波信号の印加または検出に係わる信号ラインに接続される信号ラインポートと、該信号ラインポート以外の非信号ラインポートとを有する電子部品について、前記電子部品を試験治具に実装した状態で前記信号ラインポートおよび前記非信号ラインポートを測定し、その測定結果から、当該電子部品を前記信号ラインポートのみ測定可能である基準治具に実装した状態で前記信号ラインポートを測定したならば得られるであろう前記電子部品の電気特性の推定値を算出するものである。前記電子部品特性測定装置は、測定手段と、数式記憶手段と、電気特性推定手段とを備える。前記測定手段は、前記電子部品を前記試験治具に実装した状態で前記信号ラインポートおよび前記非信号ラインポートを測定する。前記数式記憶手段は、前記信号ラインポートに対する補正を行うための項と、前記非信号ラインポートに対する補正を行うための項とを含み、前記電子部品を前記試験治具に実装した状態で前記信号ラインポートおよび前記非信号ラインポートを測定した結果から当該電子部品を前記基準治具に実装した状態で前記信号ラインポートを測定したならば得られるであろう前記電子部品の電気特性の推定値を算出するための数式を格納する。この数式は、少なくとも3種類の補正データ取得用試料を前記試験治具に実装した状態と前記基準治具に実装した状態とで、前記補正データ取得用試料の各々の信号ラインポートの少なくとも一つについて、電気特性を測定した第1の測定データと、信号ラインポートの少なくとも一つと非信号ラインポートの少なくとも一つとが電気的に接続された補正データ取得用スルーデバイスを、前記試験治具に実装した状態で当該信号ラインポート及び当該非信号ラインポートを測定した第2の測定データと、前記補正データ取得用スルーデバイスを前記基準治具に実装した状態で当該信号ラインポートを測定した第3の測定データとに基づいて決定される。前記電気特性推定手段は、任意の前記電子部品について、前記測定手段で測定して得られた測定値から、前記数式記憶手段に格納された前記数式を用いて、当該電子部品を前記基準治具に実装した状態で前記信号ラインポートを測定したならば得られるであろう前記電子部品の電気特性の推定値を算出する。
第1の測定データにより、信号ラインポートについて基準治具と試験治具との間の相対的な測定誤差の補正を行うことができる。この信号ラインポートについての補正結果と、第2及び第3の測定データとから、非信号ラインポートについても、基準治具と試験治具との間の相対的な測定誤差の補正が可能となる。上記構成では、信号ラインポートのみならず非信号ラインポートについても測定誤差を補正して電子部品の電気特性の推定値を算出するための数式が数式記憶手段に格納されており、その数式を用いることにより、任意の電子部品について、試験治具に実装した状態で信号ラインポート及び非信号ラインポートを測定した結果から、基準治具に実装した場合の電気特性を、精度よく推定することができる。
上記構成において、電子部品の電気特性の推定値を算出するための数式は、電子部品特性測定装置又は他の測定装置で、試験治具及び基準治具を用いて測定を行って、予め決めておく。
上記構成によれば、試験治具について予め数式を決定しておけば、その数式を電子部品特性測定装置の数式記憶手段に格納することにより、その試験治具を任意の電子部品測定装置で用いることができる。したがって、試験治具と電子部品測定装置とを自由に組み合わせて用いることができる。
好ましくは、前記数式記憶手段に格納される前記非信号ラインポートに対する補正を行うための前記項は、前記第2の測定データを、前記第1の測定データから得られる「前記信号ラインポートに対する補正を行うための前記項を含み、前記電子部品を前記試験治具に実装した状態で前記信号ラインポートを測定した結果から、前記基準治具に実装した状態で前記信号ラインポートを測定したならば得られるであろう前記電子部品の電気特性の推定値を算出するための数式」に代入し得られる散乱行列S(各要素を、S11I、S12I、S21I、S22Iとする)と、前記第3のデータである前記補正データ取得用スルーデバイスを前記基準治具に実装した状態における当該信号ラインポートの測定値S11Dとを用いて次式
Figure 0004009876
のように示される。
すなわち、「シャントタイプ」の非信号ラインポートを有する電子部品の場合、任意の前記電子部品について、前記試験治具に実装した状態で測定される電気特性を、前記基準治具に実装した状態で測定される電気特性に変更する特性を有する相対補正アダプタを想定した上で、第1の測定データから、前記信号ラインポートに関して相対補正アダプタを求める。この相対補正アダプタを第2の測定データから得られる補正データ取得用スルーデバイスを試験治具に実装した状態で測定し得られた散乱行列と合成すれば、補正データ取得用スルーデバイスを試験治具に実装した状態における測定値から、前記信号ラインポートのみを前記基準治具に実装した場合の電気特性を推定した散乱行列Sが決まる。第3の測定データである補正データ取得用スルーデバイスを基準治具に実装した場合の測定値は、前記Sの当該非信号ラインポート側の端子対に対し前記非信号ラインポートに関する相対補正アダプタを合成した推定値と対応する。このことから、上記の式を導出することができる。
上記の式により導出した非信号ラインポートの相対補正アダプタを用いることにより、非信号ラインポートを測定しない基準治具に実装した場合の電気特性を、精度よく推定することができる。
好ましくは、前記電子部品は、少なくとも2つの第1及び第2の前記信号ラインポートと、少なくとも2つの第1及び第2の前記非信号ラインポートとを有し、該第1及び第2の前記非信号ラインポートの間に素子が接続される。前記第1の測定データは、前記電子部品の前記第1及び第2の信号ラインポートに対応する前記補正データ取得用試料の各々の信号ラインポートについて、電気特性を測定される。前記第2及び第3の測定データを測定するときに用いる前記補正データ取得用スルーデバイスは、前記電子部品の前記第1の信号ラインポートに対応する前記補正データ取得用スルーデバイスの信号ラインポートと前記電子部品の前記第1の非信号ラインポートに対応する前記補正データ取得用スルーデバイスの非信号ラインポートとの間が電気的に接続され、かつ、前記電子部品の前記第2の信号ラインポートに対応する前記補正データ取得用スルーデバイスの信号ラインポートと前記電子部品の前記第2の非信号ラインポートに対応する前記補正データ取得用スルーデバイスの非信号ラインポートとの間が電気的に接続される。前記数式記憶手段に格納される、前記電子部品の前記第1及び第2の非信号ラインポートにより影響を受ける前記第1及び第2の信号ラインポート間の電気特性の推定値を算出するための前記数式に含まれる前記非信号ラインポートに対する補正を行うための前記項は、前記第2の測定データを、前記第1の測定データから得られる「前記信号ラインポートに対する補正を行うための前記項を含み、前記電子部品を前記試験治具に実装した状態で前記信号ラインポートを測定した結果から、前記基準治具に実装した状態で前記信号ラインポートを測定したならば得られるであろう前記電子部品の電気特性の推定値を算出するための数式」に代入し得られる、前記電子部品の前記第1の信号ラインポートに対応する当該信号ラインポートと前記電子部品の前記第1の非信号ラインポートに対応する当該非信号ラインポートとの間に対する伝送係数行列(T1thru)及び前記電子部品の前記第2の信号ラインポートに対応する当該信号ラインポートと前記電子部品の前記第2の非信号ラインポートに対応する当該非信号ラインポートとの間に対する伝送係数行列(T2thru)と、前記第3の測定データから得られる、前記補正データ取得用スルーデバイスを前記基準治具に実装した状態における、前記電子部品の前記第1及び第2の信号ラインポートに対応する当該信号ラインポート間の伝送係数行列(Dthru)とを用いて次式
(CA)=(T1thru−1・(Dthru)・(T2thru−1 ・・・(a)
のように示される伝送係数行列又は該伝送係数行列を変換した散乱係数行列を用いる。
すなわち、「フロートタイプ」の非信号ラインポートを有する電子部品の場合、任意の前記電子部品について、前記試験治具に実装した状態で測定される電気特性を、前記基準治具に実装した状態で測定される電気特性に変更する特性を有する相対補正アダプタを想定した上で、第1の測定データから、前記信号ラインポートに関して相対補正アダプタを求める。この相対補正アダプタを、第2の測定から得られる補正データ取得用スルーデバイスを試験治具に実装した状態で測定し得られた散乱行列と合成する。すなわち、前記電子部品の第1の信号ラインポートに対応する当該信号ラインポートと電子部品の第1の非信号ラインポートに対応する当該非信号ラインポートとの間の散乱行列に対して上記合成を行った伝送係数行列(T1thru)、及び前記電子部品の第2の信号ラインポートに対応する当該信号ラインポートと前記電子部品の第2の非信号ラインポートに対応する当該非信号ラインポートとの間の散乱行列に対して上記合成を行った伝送係数行列(T2thru)が決まる。第3の測定データである補正データ取得用スルーデバイスを基準治具に実装した場合の測定値から、補正データ取得用スルーデバイスを基準治具に実装した状態における、前記電子部品の第1及び第2の信号ラインポートに対応する当該信号ラインポート間の伝送係数行列(Dthru)が決まる。前記電子部品の第1及び第2の非信号ラインポートに対応する当該非信号ラインポート間の相対補正アダプタを(CA)とすると、次式(b)が成り立つ。
(Dthru)=(T1thru)・(CA)・(T2thru) ・・・(b)
この式(b)の両辺に左右から、逆行列(T1thru−1,(T2thru−1を掛けると、上記の式(a)を導出することができる。
上記の式(a)により導出した非信号ラインポートの相対補正アダプタを用いることにより、非信号ラインポートを測定しない基準治具に実装した場合の電気特性を、精度よく推定することができる。
好ましくは、前記電気特性推定手段は、任意の前記電子部品について、前記測定手段により測定される電気特性を、前記基準治具に実装した状態で測定される電気特性に変更する特性を有する相対補正アダプタを想定した上で、前記非信号ラインポートにおいては、前記数式記憶手段に格納された前記非信号ラインポートに対する補正を行うための前記項を前記相対補正アダプタとして用い推定する。
好ましくは、前記第2及び第3の測定データを取得するための前記補正データ取得用スルーデバイスは、当該信号ラインポートと当該非信号ラインポートとの間の伝達係数が−10dB以上である。
この場合、信号ラインポートと非信号ラインポートとの間で、出力信号は入力信号より1桁小さくなる程度であるので、測定誤差の補正を精度よく行うことができる。
好ましくは、前記第2及び第3の測定データを取得するための前記補正データ取得用スルーデバイスは、当該信号ラインポートと当該非信号ラインポートとの間の伝達係数が往復で−20dB以上である。
この場合、例えば前記基準治具における非信号ラインポートにおいて信号を全反射する場合、前記信号ラインポートから入力される信号に対し測定される信号は1桁小さくなる程度であるので、前記非信号ラインポートの相対補正アダプタを精度良く求めることができる。
本発明の測定誤差の補正方法及び電子部品特性測定装置によれば、信号ラインポート以外に非信号ラインポートを有しその電気特性が非信号ラインポートに接続される治具の特性によって変化してしまう電子部品について、高い精度で対応することができる。
これにより、例えば、信号ラインポート及び非信号ラインポートを有する電子部品について、製造工程における試験治具を用いた測定結果から、基準治具を用いるユーザ保証状態と等しい条件でデバイス特性の推定が可能になり、より高精度な電気特性のユーザ保証が可能となる。また、良否判定精度が高くなるので、製造工程における良品率も向上する。さらに、基準治具や試験治具の調整は不要であるので、電子部品の帯域幅が広い場合においても、問題なく適用できる。
以下、本発明の実施の形態について、図2a〜図28を参照しながら説明する。
(第1の実施形態)
「シャントタイプ」の非信号ラインポートを有する電子部品について、図2a〜図13、図30〜図34を参照しながら説明する。
まず、測定誤差の補正方法について説明する。
図2a及び図2bに示すように、電子部品10は、異なる治具20,30を用いて測定することができる。一方の治具20(以下、「基準治具20」と言う。)は、例えばユーザに対して電気特性を保証するために用いる。他方の治具30(以下、「試験治具30」と言う。)は、例えば電子部品の製造工程における良品選別のための測定に用いる。
詳しくは後述するが、予め、治具20,30間の相対的な測定誤差を補正する数式を導出しておく。そして、任意の電子部品について、試験治具30に実装して測定を行い、導出した数式を用いて、その電子部品を基準治具20に実装して測定したならば得られるであろう電気特性を推定する。
図2a及び図2bは、電子部品10が3つの信号ラインポートと1つの非信号ラインポートを有する場合の例を示している。
図2aに示したように、基準治具20には、電子部品10を実装する実装部と、同軸コネクタ20a,20b,20cとが設けられている。図示していないが、実装部には電子部品10の端子に圧着する接続端子が設けられ、接続端子と同軸コネクタ20a,20b,20cとが電気的に接続されている。電子部品10の3つの信号ラインポートは、それぞれ、同軸コネクタ20a,20b,20c及び3本の同軸ケーブル25を介して、測定装置26に接続される。つまり、電子部品10を基準治具20に実装したときには、測定装置26を用いて、信号ラインポートのみを測定する。
図2bに示したように、電子部品10を他方の治具30、すなわち試験治具30に実装したときには、測定装置36を用いて信号ラインポート及び非信号ラインポートの測定を行う。試験治具30には、電子部品10を実装する実装部と、同軸コネクタ30a,30b,30c,30dとが設けられている。図示していないが、実装部には電子部品10の端子に圧着する接続端子が設けられ、接続端子と同軸コネクタ30a,30b,30c,30dとが電気的に接続されている。電子部品10の3つの信号ラインポート及び一つの非信号ラインポートは、それぞれ、同軸コネクタ30a,30b,30c,30d及び4本の同軸ケーブル35を介して、測定装置36に接続される。
同軸ケーブル25及び測定装置26は、予め、同軸ケーブル25の先端(同軸コネクタ20a,20b,20cと接続する部分)に、既知の電気特性を有する標準器を接続して校正しておく。同様に、同軸ケーブル35及び測定装置36は、同軸ケーブル35の先端(同軸コネクタ30a,30b,30c,30dと接続する部分)に標準器を接続して校正しておく。
測定装置26,36には、例えばネットワークアナライザを用いる。ネットワークアナライザは、複数のポートを有し高周波で用いられる電子部品の電気特性を単に測定するだけでなく、任意に設定したプログラムにより測定した生データを演算して出力する機能も備えている。
次に、電子部品を試験治具に実装したときの測定結果から、基準治具に実装したときの電気特性を推定する方法の基本原理について、説明する。
以下では、簡単のため、一つの信号ラインポートと一つの非信号ラインポートとを有する2ポートの試料(DUT)についての2端子対回路を例に説明するが、図2a及び図2bで示した4端子対回路のようなn端子対回路(nは、3以上の整数)に対しても拡張することができる。
図3aに示すように、一つの信号ラインポートと一つの非信号ラインポートとを有する電子部品11を実装する基準治具70には、信号ラインポートの同軸コネクタ70aのみが設けられている。電子部品11の信号ラインポートのみが、同軸コネクタ70a及び同軸ケーブル75を介して測定装置76に接続され、信号ラインポートについてのみ測定される。
図3bに示すように、一つの信号ラインポートと一つの非信号ラインポートとを有する電子部品11を実装する試験治具80には、信号ラインポートの同軸コネクタ80aと非信号ラインポートの同軸コネクタ80bとが設けられている。電子部品11の信号ラインポート及び非信号ラインポートは、同軸コネクタ80a,80b及び同軸ケーブル85を介して測定装置86に接続され、信号ラインポート及び非信号ラインポートについて測定される。
図5(a)は、基準治具70に、一つの信号ラインポートと一つの非信号ラインポートとを有する電子部品11(以下、「試料11」とも言う。)を実装したときの2端子対回路を示す。試料11の信号ラインポートに接続される基準治具70の一方のポート側21(端子対00'側)の誤差特性を散乱行列(ED1)、試料11の特性を散乱行列(SDUT)で表す。端子対00'は、基準治具70の同軸コネクタに相当する。信号ラインポート側の端子0'からは、基準治具70に試料11を実装したときの測定値S11Dが得られる。試料11を基準治具70に実装したときには、信号ラインポートのみの測定を行うため、試料11の非信号ラインポートに接続される基準治具70の他方のポート側22の誤差特性は、反射係数ΓD2のみとなる。
図5(b)は、試験治具80に試料11を実装したときの2端子対回路を示す。試料11の信号ラインポートに接続される試験治具80の一方のポート側31(端子対11'側)の誤差特性を散乱行列(ET1)、試料11の特性を散乱行列(SDUT)とする。信号ラインポート側の端子1'からは、試験治具80に試料11を実装したときの測定値S11Tが得られる。試料11を試験治具80に実装したときには、非信号ラインポートについても測定を行うため、試料11の非信号ラインポートに接続される試験治具80の他方のポート側32の誤差特性を、散乱行列(ET2)で表す。非信号ラインポート側の端子2からは、試験治具80に試料11を実装したときの測定値S21Tが得られる。端子対11'、22'は、それぞれ、測定装置86の校正が同軸ケーブル85の先端で行われた同軸コネクタ接続部に相当する。
図6(a)は、図5(b)の回路の両側に、符号33,34で示すように、試験治具80の誤差特性(ET1),(ET2)を中和するアダプタ(ET1−1,(ET2−1を接続した状態を示す。このアダプタ(ET1−1,(ET2−1は、理論上は、誤差特性の散乱行列(ET1),(ET2)を伝送行列に変換し、その逆行列を求め、再度散乱行列に変換することにより得られる。誤差特性(ET1),(ET2)とアダプタ(ET1−1,(ET2−1との間の境界部分38,39を、以下、「校正面38,39」と言う。校正面38,39においては、試験治具80に試料11を実装したときの測定値S11T,S21Tが得られる。この回路では、試験治具80の誤差は除去されるので、回路の両側の端子からは、試料11そのものの測定値S11DUT,S21DUTが得られる。
図6(a)の回路は、試料11のみと等価であるので、図5(a)と同様に、両側に、基準治具70の信号ラインポート側21の誤差特性の散乱行列(ED1)と、基準治具70の非信号ラインポート側22の誤差特性である反射係数ΓD2を接続すると、図6(b)のようになる。
図6(b)において、回路全体の散乱行列は、端子0'の値S11Dが既知であるので、求めることができる。端子対00'と校正面38の間の部分41の2端子対回路を考えると、両側の端子の値S11D,S11Tが既知であるので、(ED1)と(ET1−1とを合成した散乱行列を求めることができる。校正面38,39の間の部分の2端子対回路を考えると、両側の端子の値S11T,S21T,S12T,S22Tが校正面から直接測定できるので、その散乱行列を求めることができる。端子対00'と校正面38の間の部分41の散乱行列と、校正面38,39の間の部分の散乱行列とを合成することにより、端子対00'から校正面39までの散乱行列を求めることができる。残った部分、すなわち校正面39よりも右側の部分42について、(ET2−1とΓD2とを合成した散乱行列は、図6(b)に示した回路全体の散乱行列と、端子対00'と校正面39との間の合成した散乱行列とから、求めることができる。
つまり、端子対00'と校正面38の間の部分41について合成した散乱行列を(C1)、校正面39よりも右側の部分42について(ET2−1とΓD2とを合成した反射係数をC2Γとすると、図7に示すようになる。
この(C1)は、いわゆる「相対補正アダプタ」であり、ポート毎に独立して求めることができる。(C1)の各要素をC100,C101,C110,C111とすると、相反定理によりC101=C110となる。したがって、相対補正アダプタ(C1)は、対象となるポートについて電気特性の異なる少なくとも3つの補正データ取得用試料を用意し、それぞれ、基準治具70と試験治具80に実装した状態で測定することにより、決定することができる。
すなわち、散乱係数(C100,C101,C110,C111)は、3つの補正データ取得用試料について、試験治具80に実装したときのS11T、基準治具70に実装したときのS11Dの測定値を、それぞれ、S11Ti、S11Di(i=1,2,3)とすると、次の式(1)により求めることができる。ここまでが第1のステップであり、S 11Ti 、S 11Di (i=1,2,3)が第1の測定データである。
Figure 0004009876
非信号ラインポートの相対補正アダプタC2Γについては、このようにして求めた散乱係数(C100,C101,C110,C111)と、信号ラインポートと非信号ラインポートが接続されたスルーデバイスの測定値とから求める。
すなわち、スルーデバイスを基準治具70に実装した状態で測定することにより、測定値S11Dを求める。また、スルーデバイスを試験治具80に実装した状態で測定することにより、試験治具80に実装した状態の散乱係数(S11T,S12T,S21T,S22T)を求める。ここまでが第2のステップである。散乱係数(S 11T ,S 12T ,S 21T ,S 22T )が第2の測定データである。測定値S 11D が第3の測定データである。
そして、図7において校正面39より左側の部分について、図8に示すように、散乱係数(C100,C101,C110,C111)と散乱係数(S11T,S12T,S21T,S22T)とを合成した散乱係数(S11I,S12I,S21I,S22I)を求める。
C2Γは、測定値S11D及び散乱係数(S11I,S12I,S21I,S22I)とを用いて、次の式(2)により求める。
Figure 0004009876
以上のようにして決定した信号ラインポートの相対補正アダプタ(C100,C101,C110,C111)と、非信号ラインポートの相対補正アダプタC2Γを用いて、任意の電子部品の電気特性を推定するための数式(後述する式(3))を決定する。ここまでが第3のステップである
一つの信号ラインポートと一つの非信号ラインポートを有する2ポートの試料11については、試験治具80に実装した状態で測定を行い、試験治具80に電子部品を実装した状態での散乱係数(S11T,S12T,S21T,S22T)を求める。ここまでが第4のステップである。
次いで、下記の(3)式を用いて、基準治具70に実装した状態で測定したならば得られる測定値S11Dを算出することができる。ここまでが第5のステップである。
Figure 0004009876
式(3)は、「前記信号ラインポートに対する補正を行うための項」である信号ラインポートについての相対補正アダプタ(C1 00 ,C1 01 ,C1 10 ,C1 11 )と、「前記非信号ラインポートに対する補正を行うための項」である非信号ラインポートの相対補正アダプタC2Γとを含む、「前記電子部品を前記試験治具に実装した状態で前記信号ラインポートおよび前記非信号ラインポートを測定した結果から当該電子部品を前記基準治具に実装した状態で前記信号ラインポートを測定したならば得られるであろう前記電子部品の電気特性の推定値を算出するための数式」である。
以上の第1〜第5のステップを実行することにより、任意のMポートの非信号ラインポートを持つNポートの電子部品(M<N)についても、前記電子部品を試験治具に実装した状態で測定を行い散乱係数を求め、各信号ラインポート、各非信号ラインポートにそれぞれ対応する相対補正アダプタを合成することによって、前記電子部品を基準治具に実装した状態で測定したならば得られる測定値を算出することができる。
試験治具30,80を用いる測定装置36,86は、非信号ラインポートについて上述したような測定誤差の補正を行うことができるように構成されている。基準治具20,70を用いる測定装置26,76は、非信号ラインポートについて測定を行わないので、特に測定装置36,86と同じ構成とする必要はない。もっとも、測定装置36,86と同じ構成のものであっても、使用可能である。
次に、非信号ラインポートについて測定可能な測定装置36,86の構成について、図4のブロック図を参照しながら説明する。
測定装置36,86は、電子部品特性測定装置であり、表示部52と、操作部54と、測定部56と、制御部58と、記憶部60と、演算部62と、インターフェース部64とを備える。
表示部52は、表示パネル等を含み、測定装置36,86の動作状況や操作指示などを表示する。操作部54は、ボタンやスイッチなどを含み、オペレータからの電子部品測定装置36,86に対する操作を受け付ける。測定部56は、同軸ケーブル35,85及び試験治具30,80を介して、電子部品10,11の端子に接続される。測定部56は、電子部品10,11の端子を適宜に選択して信号を入力し出力信号を測定する。制御部58は、測定装置36,86全体の制御を統括する。記憶部60には、制御部58や演算部62を動作させるためのプログラム、測定部56からの測定データ、演算部62の演算結果データなどが格納される。演算部62は、測定部56からのデータや記憶部60に格納されたデータを用い、所定のプログラムに従って演算を行う。インターフェース部64は、外部機器とデータを送受信するためのインターフェースであり、記憶部60に格納するためのデータやプログラムや、演算部62からの演算結果データなどを受け付け、入出力を行う。
測定装置36,86は、記憶部60に格納されたプログラムに従って動作する。電子部品測定装置36,86は、校正モードと測定モードを含む複数の動作モードで動作させることができる。
校正モードでは、基準治具20,70と試験治具30,80との間の相対的な測定誤差を補正するためのデータを取得し、電気特性を推定するための数式を決定する。すなわち、測定部56は、基準治具20,70や試験治具30,80にデータ取得用試料やスルーデバイス(標準試料)が実装された状態で、順次、測定を行う。このとき、例えば表示部52に測定対象が表示される。オペレータは、表示された測定対象の準備が完了すると、操作部54を操作する。この操作を操作部54が受け付けると、測定部56は測定を開始し、測定データは記憶部60に格納される。演算部62は、記憶部60に格納された測定データを、適宜なタイミングで読み出して、前述した補正アダプタ(C100,C101,C110,C111)、C2Γなどを演算し、電気特性を推定するための数式を決定する。このようにして決定されて数式は、記憶部60に格納される。このように、測定部56は測定手段として動作し、演算部62は数式決定手段として動作し、記憶部60は記憶手段として動作する。
測定モードでは、試験治具30,80を用いた測定データから、基準治具20,70を用いて測定した場合の電気特性を推定する。すなわち、測定部56は、試験治具30,80に任意の電子部品10,11が実装された状態で測定を行う。演算部62は、測定部56からの測定データから、電子部品10,11の電気特性の推定値を算出する。このとき、演算部62は、校正モードで決定された数式を記憶部60から読み出し、その数式を用いて、電子部品10,11の電気特性の推定値を算出する。算出された推定値は、表示部52に表示されたり、インターフェース部64から外部機器に出力されたりする。このように、測定部56は測定手段として動作し、演算部62は電気特性推定手段として動作する。
なお、記憶部60に、別途決定した電気特性を推定するための数式を予め格納しておき、演算部62がその数式を用いるようにすれば、校正モードを省略しても、試験治具30,80に実装した任意の電子部品10,11の電気特性の推定を行うことが可能である。この場合、記憶部60は、記憶手段ではなく、数式記憶手段として動作する。また、演算部62は、電気特性推定手段として動作するが、数式決定手段としては動作しない。試験治具30,80と電子部品特性測定装置との組み合わせを自由に変えることができるので、柔軟に測定作業を行うことができる。
次に、RF測定を利用した断線検出方法について説明する。
セラミックの多層を利用したLCチップバンドパスフィルターのように、能動素子のバランス出力(2ポート)の断線チェック用として、非信号ラインポート(DC電源ポート)が内蔵されている電子部品が主流になりつつある。断線検出方法としては、図31に示すように、DUT300のDCポートに直流(DC)電源304を接続し、バランス出力ポート(ポート2,3)の後にそれぞれバイアスT回路310を接続して、インダクタ312,316とキャパシタ314,318で、DCとRF信号を分離し、バイアスT回路310のDC出力を検出することで、バランス出力ポートの断線チェックを行っている。また、DCポートに接続されるDC電源304の影響を無くすために、DCポートにおいてDUT300の近傍に100pF程度のパスコン302を接続している。
現在、ユーザーに対しては、DCポートがない治具(基準治具)で保証し、実際の工程ではDCポートを使用した試験治具で測定を行っている。試験治具測定値から基準治具測定値を推定するために、DCポートをRF測定し、非特許文献1等に開示された相対補正法を応用することが考えられる。その場合、先行技術をそのまま使用すると、DCポートをRF測定し試験治具を補正した後、電源を接続することで、補正特性に散乱誤差が生じたり、DCポートラインの容量によって、DCポートのRF測定自体が困難になり、基準治具と試験治具の補正ができなくなったりする。DCポートラインのパスコン容量の影響として、DCポートからのRF信号がDUTに到達することなくパスコンで全反射するために、RF測定が困難になるためである。DCポートのパスコン容量とLoad標準試料の特性(S44)は、例えば図32に示したようになる。パスコン容量4pFでは、Load抵抗試料のRF特性がshort標準試料と同一特性を示してしまい、相対補正に必要な標準試料の測定が困難になる。また、断線チェックのために、DC電源やバイアスT回路も必要になり、システムだけでなく、特性保証のための管理方法も複雑になる。
そこで、ネットワークアアナライザを用いてRF測定を行い、断線を検査する。非信号ラインポート(DCポート)を含む試験治具において、DCポートにRFコネクタを実装し、ネットワークアナライザにおいてRF測定可能な状態とする。デバイスを試験治具に実装した状態で、DCポートから低周波(1点)のRF信号を出力し、バランス出力ポートヘの伝送特性を測定して、伝送特性レベルの大きさで出力ポート間の断線、非断線を判断する。ただし、高周波領域で相対補正を行うためには、DCポートに接続可能なパスコン容量は2pF以下であることが望ましい。
基準治具と試験治具の間の補正を行うために、試験治具では非信号ラインポートのRF測定を行うが、試験治具が補正されたままの状態で、DUTの出力断線チェックを行うことができる。つまり、非信号ラインポートを有さないユーザー保証状態と等しい条件で測定可能な試験治具(非信号ラインポートを含む)において、試験治具の補正環境と同一状態で、DC電源を接続せずに出力ポートの断線チェックを行うことができる。試験治具に断線チェックのための電源やバイアスTの接続が不要となり、試験治具の補正環境を保ったまま、断線チェックができる。そのため、より高精度な電気特性のユーザー保証を可能にすることができる。
断線チェック用のRF信号は、ネットワークアナライザの最低周波数(例えば、300KHz)にすればデバイスの保証帯域に対して十分低い周波数となるのでDCに近い測定が可能であり、1点測定でよいために、断線チェック時問も短時間で済み、タクトダウンの障害とはならない。
ネットワークアナライザのみで信号ラインポートの測定と出力断線チェックを両立することができ、DC電源やバイアスT回路が不要となるために、シンプルな測定システムとなり、経済性効果も大きい。
また、DCポートに不可欠なパスコン容量を必要としないため、基準治具と試験治具間の補正も適切に行うことができる。
この断線検出方法を一般化して記載すると次のようになる。
電子部品の試験治具測定値から基準治具実装時の電気特性が推定可能な状態で、電子部品内部の断線検出を行う方法であって、
試験治具のDCポートから電子部品に低周波のRF信号を入力する第1のステップと、
DCポートと出力ポート間の伝送特定を測定する第2のステップと、
前記第2のステップで得られた伝送特性と予め設定した閾値とを比較することにより、出力ポートの断線検出を行う第3のステップとを備えることを特徴とする、電子部品の断線検出方法。
上記方法によれば、DC電源やバイアスT回路を接続せず、ネットワークアナライザのみで出力ポートの断線検出を行うことにより、試験治具の補正環境と同一状態が維持され、高精度の電気特性保証を行うことができる。また、シンプルな測定系であり、測定時間も短くて済むため、経済的な効果も高い。
上記電子部品の断線検出は、試験治具実装状態での電気特性の測定が無駄にならなよう、電子部品の試験治具実装状態での電気特性の測定に先立って行うことが好ましい。
次に、本発明の実施例について説明する。
電子部品10には、図9に示す不平衡入力−平衡出力2.4GHz帯LCフィルタを用いる。このデバイスは、信号ラインポートであるポート1〜3と、非信号ラインポートであるDCポートを備えている。ポート1は不平衡入力ポート、ポート2及び3は平衡出力ポートである。DCポートは、製造時の特性選別工程においてマルチメータで直流的なチェックを行うため、マルチメータに接続するためのポートである。DCポートは、製品としては使用されないため、ユーザ使用時には開放状態となる。
図2bに示すように、試験治具30は、ポート1〜3と測定装置36とを接続する同軸コネクタ30a,30b,30c以外に、DCポートにマルチメータを接続するための同軸コネクタ30dを有している。つまり、信号ラインポート(ポート1〜3)と非信号ラインポート(DCポート)が測定される。
一方、ユーザ保証状態となる基準治具20において、DCポートは開放状態となっていて、図2aに示すように、信号ラインポート(ポート1〜3)のみが測定され、非信号ラインポート(DCポート)は測定されない。このような治具20,30間の非信号ラインポートの違いにより、試験治具30と基準治具20とでデバイス測定値が変化する。
具体的な実験条件は、次の通りである。
・DUT 不平衡入力−平衡出力2.4GHz帯LCフィルタ
・測定器 ADVANTEST R3767CG(8GHz 4ポートネックワークアナライザ)
・周波数範囲 500MHz〜3.5GHz
・データ点数 801点
・IF帯域幅 1kHz
・基準治具 DCポートを省いた3ポート治具
・試験治具 DCポートにSMAコネクタを取り付け、ポート1(不平衡入力)、ポート2(平衡出力)に3dBのアッテネータ、ポート3(平衡出力)にディレイを取り付けた4ポート治具
・標準試料 非信号ラインポートに対する標準試料として、ポート1、ポート4間をスルーする標準試料を1つ用意した。真値は不明である。
・評価内容 SDS21、SSS22、SDD22、SCS21、S21/S31、Phase Differentia1
・DUTの簡易的な回路図を図9に示す。
図10〜13に、本発明を用いて試験治具測定値から基準治具測定値を推定した結果を示す。図中、本発明の手法を用い非信号ラインポートの相対補正アダプタを導出した場合については「非RFポート補正」、従来の手法を用い非信号ラインポートの相対補正アダプタを導出しなかった場合については「非RFポート無視」としてデータを示している。
図10及び図11では平衡度のよい試料を使用しているため、SDS21、SSS11、SDD22では、非信号ラインポートの補正アダプタの効果が見えてきていない。
図11及び図12から平衡度の違いに大きく影響されるパラメータSCS21、S21/S31、Phase Differentia1においてはその効果が確認できる。
CS21、S21/S31では、DUTのバランスが取れていない低周波側でその効果が確認でき、またPhase Differentia1では通過域においてもその効果が確認できる。
また、本発明の実施例の説明で用いたDUTについて、ポート2,3とDCポート(ポート4)間の断線検出を行った。そのためには、試験治具測定値から基準治具測定値を推定可能な試験治具基板状態において、非信号ラインポート(DCポート)をネットワークアナライザのポート4に接続する。このとき、DCポートラインに実装されるパスコン容量は2pF以下であることが望ましい。測定回路を、図33に示す。300kHzの周波数をDCポート(ポート4)から出力し、バランス出力ポート(ポート2,3)への伝送特性(S24,S34)レベルを測定した。
出力ポート2,3が断線している場合(不良)と、非断線の場合(良品)のS24,S34の伝送特性レベルを測定した結果を、図34に示す。この結果から、明らかに、断線、非断線時のレベルに有意性があり、適宜な閾値を設定することによりネットワークアナライザで出力ポートの断線を検出できることが確認できる。
非信号ラインポート(DCポート)にパスコンや電源を接続せずに信号ラインポートとして扱うことで、試験治具の補正環境を維持したままで、出力ポートの断線チェックが可能となる。試験RF信号300kHzは、デバイスの周波数帯域2.4GHzに比べて十分に低い周波数のため、略DCとして扱うことができる。
(第2の実施形態)
「フロートタイプ」の非信号ラインポートを有する電子部品について、図14〜図27を参照しながら説明する。
例えば図14に示すように、電子部品110は、信号ラインポート112,114(入出力用のポート1、ポート2)以外に、インダクタ100を並列接続する2つの非信号ラインポート116,118を有する。電子部品110は、キャパシタ111をπ型に結合した共振回路の特性(Q値)を改善するため、インダクタ100を接続して使用される。
図15に示すように、電子部品110は、第1の実施形態と同様に、基準治具120及び試験治具130にそれぞれ実装した状態で、測定装置126,136を用いて測定することができる。
図15(a)に示すように、基準治具120は、電子部品110の信号ラインポート112,114に接続される同軸コネクタ120s,120tと、電子部品110の非信号ラインポート112,114間に接続されるインダクタ121とを備える。同軸コネクタ120s,120tには、それぞれ同軸ケーブル125が接続され、電子部品110の信号ラインポート112,114について測定装置126で測定する。
図15(b)に示すように、試験治具130は、電子部品110の信号ラインポート112,114に接続される同軸コネクタ130s,130tと、電子部品110の非信号ラインポート116,118に接続される同軸コネクタ130m,130nとを備える。同軸コネクタ112,124,126,128には、それぞれ同軸ケーブル135が接続され、電子部品110の信号ラインポート112,114及び非信号ラインポート116,118について、測定装置136で測定する。
測定装置126,136は、電子部品特性測定装置であり、第1実施形態の測定装置26,36と同様に構成する。測定装置126,136に接続された同軸ケーブル125,135の先端は、第1の実施形態と同様に、標準器を用いて校正しておく。
次に、電子部品110を試験治具130に実装した状態で測定した結果から、その電子部品110を基準治具120に実装した状態で測定したならば得られるであろう電気特性を推定する基本原理について説明する。
図16は、図15(a)のように、電子部品110を基準治具120に実装したときのシグナルフローダイヤグラムである。端子対11',22'は、基準治具120の同軸コネクタ120s,120t(測定装置126の校正が同軸ケーブル125の先端で行われた同軸コネクタ接続部)に対応する。基準治具120の同軸コネクタ120s,120tと電子部品110の2つの信号ラインポート112,114との間の部分122,124の電気特性を、(E),(F)とする。インダクタ121が接続されている電子部品110の2つの非信号ラインポート116,118間の部分の電気特性を(L)とする。
図17は、図15(b)のように、電子部品110を試験治具130に実装したときのシグナルフローダイヤグラムである。端子対11',22',33',44'は、試験治具130の同軸コネクタ130a,130b,130c,130d(測定装置136の校正が同軸ケーブル135の先端で行われた同軸コネクタ接続部)に対応する。試験治具130の同軸コネクタ130s,130tと、電子部品110の2つの信号ラインポート112,114との間の部分132,134の電気特性を(E),(F)とする。電子部品110の2つの非信号ラインポート116,118と、試験治具130の同軸コネクタ130m,130nとの間の部分136,138の電気特性を(G),(H)とする。
図18は、スルーデバイス140を基準治具120に実装したときのシグナルフローダイヤグラムである。スルーデバイス140は、電子部品110のポート112,114,116,118に対応するポート142,144,146,148を有し、信号ラインポートに対応するポート142,144と非信号ラインポートに対応するポート146,148との間が、それぞれ電気的に接続されたものである。一方のポート142,146間の部分140aの電気特性を(T)、他方のポート144,148間の部分140bの電気特性を(T)とする。
スルーデバイス140を基準治具120に実装した状態で測定される値は、図中の符号を伝送係数行列であるとすると、次式(4)のように表すことができる。
(Dthru)=(E)・(T)・(L)・(T)・(F) ・・・(4)
図19は、スルーデバイス140を試験治具130に実装したときのシグナルフローダイヤグラムである。ここで、簡単のため、試験治具130のポート1、ポート2の誤差要因については、前述した信号ラインポートについての相対補正アダプタを用いることにより、基準治具120の誤差要因(E),(F)に補正しておく。つまり、端子対11',22'は、基準治具120の同軸コネクタ120s,120tに相当する。
スルーデバイス140を試験治具130に実装した状態で測定される値は、図中の符号を伝送係数行列であるとすると、端子対11'−33'間については、次式(5)のように表すことができる。
(T1thru)=(E)・(T)・(G) ・・・(5)
また、端子対22'−44'間については、次式(6)のように表すことができる。
(T2thru)=(H)・(T)・(F) ・・・(6)
図19に示した端子対33',44'に、図20に示すように、それぞれ、誤差特性(G)、(H)を中和するアダプタ(G−1、(H−1を接続し、その先にインダクタ121を接続する場合を考える。これは、図18に示したスルーデバイス140を基準治具120に実装した状態と等価となる。基準治具120の非信号ラインポート間の相対補正アダプタを(CA)とすると、次式(7),(8)が成り立つ。
(CA)=(G−1・(L)・(H−1 ・・・(7)
(Dthru)=(T1thru)・(CA)・(T2thru) ・・・(8)
式(8)の両辺に、左右から逆行列(T1thru−1,(T2thru−1を掛けると、
(CA)=(T1thru−1・(Dthru)・(T2thru−1 ・・・(9)
となる。
この式(9)に、式(4)〜(6)を代入すると、
(CA)={(E)・(T)・(G)}−1・{(E)・(T)・(L)・(T)・(F)}・{(H)・(T)・(F)}−1
=(G-1・(T−1・(E-1・(E)・(T)・(L)・(T)・(F・(F-1・(T-1・(H−1
=(G−1・(L)・(H−1 ・・・(10)
となり、式(7)と一致する。
つまり、信号ラインポートについて、図21に示す相対補正アダプタ(C1),(C2)を予め求めておき、非信号ラインポートについては、スルーデバイス140を基準治具120に実装した状態で測定して求めた(Dthru)と、スルーデバイス140を試験治具130に実装した状態で測定して求めた(T1thru),(T2thru)とを用いて、非信号ラインポートについての相対補正アダプタ(CA)を決めることができる。すなわち、第1のステップにおいて、信号ラインポートについて、図21に示す相対補正アダプタ(C1),(C2)を求める。第2のステップにおいて、スルーデバイス140を基準治具120に実装した状態と試験治具130に実装した状態とで測定する。第3のステップにおいて、第1のステップで求めた相対補正アダプタ(C1),(C2)を用いて、第2のステップでの測定結果を信号ラインポートについて基準治具120での誤差要因(E ),(F )に補正したスルーデバイス140の電気特性(D thru )と(T1 thru ),(T2 thru )とを求め、式(9)により相対補正アダプタ(CA)を決める。
任意の電子部品110を試験治具130に実装した状態で測定すると、図21に示したように、試験治具130と相対補正アダプタ(C1),(C2),(CA)との境界における値が得られる。相対補正アダプタ(C1),(C2),(CA)の値が決まれば、基準治具120の同軸コネクタ120s,120tに相当する端子対11',22'の値を算出することができる。つまり、第4のステップにおいて、任意の電子部品110を試験治具130に実装した状態で測定する。次いで、第5のステップにおいて、第4のステップでの測定結果から、その電子部品110を基準治具120に実装したならば得られるであろうその電子部品110の電気特性の推定値を算出することができる。
次に、上記方法の実施例として、数値解析を示す。
図22(a)は、基準治具120について誤差要因を想定した電気回路図である。試料実装部120xとの間の各素子120a〜120cの値を次の通り設定した。
・キャパシタ120a:0.1pF
・インダクタ120b:0.1nH
・インダクタ120c:1.0nH
図22(b)は、試験治具130について誤差要因を想定した電気回路図である。試料実装部130xとの間の各素子130a〜130dの数値を次の通り設定した。
・インダクタ130a:0.2nH
・キャパシタ130b:0.2pF
・インダクタ130c:0.1nH
・インダクタ130d:0.1nH
図23(a)は、非信号ラインポートについて相対補正アダプタを算出するために用いるスルーデバイス140の電気回路図である。ポート1,3間と、ポート2,4間とに、それぞれ、インダクタ140a,140bが接続されている。設定した数値は次の通りである。
・インダクタ140a:0.05nH
・インダクタ140b:0.075nH
図23(b)は、電気特性を測定する電子部品110の電気回路図である。キャパシタ110a〜110cによりπ型共振子を構成している。設定した数値は次の通りである。
・キャパシタ110a:0.3pF
・キャパシタ110b:0.3pF
・キャパシタ110c:0.2pF
以上のように数値を設定した基準治具120及び試験治具130に、スルーデバイス140及び電子部品110を実装して測定した場合について、測定周波数を10GHzとして電気特性を計算した。
まず、ポート1、ポート2の相対補正アダプタを求めると、試験治具130での測定値は、図24のような状態で測定した値に変換される。つまり、試験治具130のポート1(130s)、ポート2(130t)が相対補正法の効果によって基準治具120のポート1(120s)、ポート2(120t)に置き換わった場合の測定値が得られる。
次に、スルーデバイス140を基準治具120と試験治具130の両方で測定する。試験治具130の測定結果のうち、ポート1、ポート2については、相対補正を行う。これによって、図25の状態の測定結果が得られる。基本原理の説明では伝送係数行列を用いたが、ここでは直感的な分かりやすさのために散乱係数行列で表し、基準治具120のポート1−2間の散乱係数行列を(Sthru)、試験治具130のポート1−3間の散乱係数行列を(S1thru)、試験治具130のポート2−4間の散乱係数行列を(S2thru)とすると、それぞれの状態の測定値は、次のようになる。
Figure 0004009876
Figure 0004009876
Figure 0004009876
以上の結果から、式(7)を用いると、「フロートタイプ」の非信号ラインポート間についての相対補正アダプタ(CA)は、散乱係数行列(SA)で表すと、次のようになる。
Figure 0004009876
このようにして求めた相対補正アダプタを用いて、電子部品110を試験治具130に実装したときの測定値から、基準治具120に実装したときの測定値を推定する。図26(b)は、電子部品110を試験治具130に実装して測定した状態を示す。この測定結果に、ポート1、ポート2の相対補正を行うと、次の散乱係数行列が得られる。
Figure 0004009876
この散乱係数行列に、(数9)のフロート相対補正アダプタ(SA)を接続した状態を計算した結果は、次のようになる。
Figure 0004009876
この散乱係数行列が、電子部品110を基準治具120に実装して測定した場合の測定値の推定値である。
次に、図26(a)に示すように、同じ電子部品110を基準治具120に接続して測定した場合について計算すると、散乱係数行列は次のようになる。
Figure 0004009876
上記の散乱係数行列(11),(12)を比較すると、推定値と測定値とは完全に一致しており、フロートタイプの電子部品にも相対補正法が適用できることが確認できる。
次に、図27に、デュプレクサの試料について、その電気特性の実測値と、第2の実施形態の相対補正法による推定値のグラフを示す。デュプレクサの試料を試験治具に実装して測定した値(Prod.)と、基準治具に実装して測定した値(Std.)と、第2の実施形態の手法を用いて、試験治具に実装して測定した値から基準治具に実装した場合の特性値を計算した推定値(Corrected.)とを示している。図27(a)は、デュプレクサの反射特性を示すパラメータS11について示している。図27(b)は透過特性を示すパラメータS21,S31について示している。
図27から、反射特性についても、透過特性についても、推定値(Corrected.)は実測値(Prod.)と略一致しており、「フロートタイプ」についても相対補正の効果が確認できる。
(まとめ)
以上に説明したように、非信号ラインポートを有するデバイスは、ユーザ保証状態において非信号ラインポートはユーザ使用状態を推定して特性保証しなければならないため、基準治具における非信号ラインポートのRF測定は不可能である。そのため、非信号ラインポートもRF測定可能な試験治具の測定値から、非信号ラインポートのRF測定ができない基準治具の測定値を推定する手法が必要であるが、本発明はこの要求を満足するものである。
本発明によれば、ユーザ保証状態と等しい条件でのデバイス特性の推定が可能になり、より高精度な電気特性のユーザ保証を可能になり、良品の向上などの効果も得られる。また、治具間の相対的な誤差を測定して補正するため、治具の調整は全く必要ないので、デバイスの帯域幅が広い場合においても問題なく適用できる。
本発明は、「シャントタイプ」の非信号ラインポートを有するモジュール商品(電源ラインを有する能動素子全般、外部付属部品のパラメータ変化により動作領域を制御するデバイス)に加え、「フロートタイプ」の非信号ラインポートを有する高周波デバイス(フィルタ、デュプレクサ等)にも適用することができる。
さらには、「シャントタイプ」と「フロートタイプ」とが混成された電子部品についても、前述した基本原理を組み合わせることにより、本発明を適用可能である。
例えば図28に示すように、複数の共振子210sで構成したデュプレクサ210は、信号ラインポート210a〜210cと、「シャントタイプ」の非信号ラインポート210f,210gと、「フロートタイプ」の非信号ラインポート210d,210e,210h,210iとを有する。このようなデュプレクサ210についても、本発明を適用可能である。この場合、図28(a)に示すように、デュプレクサ210を基準治具220に実装した状態では、非信号ラインポート210d〜210iには基準治具220の素子222,224,226,228が接続され、信号ラインポート210a〜210c、すなわちポート1〜ポート3についてのみ測定を行う。図28(b)に示すように、デュプレクサ210を試験治具230に実装した状態では、ポート1〜ポート9、すなわち信号ラインポート210a〜210c及び非信号ラインポート210d〜210iの測定を行う。
なお、本発明は、上記実施形態や実施例に限定されるものではなく、種々の変形を加えて実施することができる。
基準治具と試験治具の説明図である。 基準治具を用いて測定する場合の全体構成図である。 試験治具を用いて測定する場合の全体構成図である。 基準治具を用いて測定する場合の全体構成図である。 試験治具を用いて測定する場合の全体構成図である。 測定装置のブロック図である。 本発明の誤差補正の基本原理を示す2端子対回路図である。 本発明の誤差補正の基本原理を示す2端子対回路図である。 本発明の誤差補正の基本原理を示す2端子対回路図である。 本発明の誤差補正の基本原理を示す2端子対回路図である。 非信号ラインポートを有する電子部品の回路図である。 図9の電子部品の電気特性図である。 図9の電子部品の電気特性図である。 図9の電子部品の電気特性図である。 図9の電子部品の電気特性図である。 「フロートタイプ」の電子部品の回路図である。 (a)基準治具、(b)試験治具を用いて測定する場合の全体構成図である。 電子部品を基準治具に実装して測定する場合のシグナルフローダイヤグラムである。 電子部品を試験治具に実装して測定する場合のシグナルフローダイヤグラムである。 スルーデバイスを基準治具に実装して測定する場合のシグナルフローダイヤグラムである。 信号ラインポート相対補正後においてスルーデバイスを試験治具に実装して測定する場合のシグナルフローダイヤグラムである。 相対補正アダプタを想定したときのシグナルフローダイヤグラムである。 相対補正アダプタを想定したときのシグナルフローダイヤグラムである。 (a)基準治具、(b)試験治具の回路図である。 (a)スルーデバイス、(b)被検体の回路図である。 信号ラインポートの相対補正後の試験治具の回路図である。 信号ラインポート相対補正後のスルーデバイス測定時の回路図である。 被検体測定時の回路図である。 電子部品の電気特性図である。 (a)基準治具、(b)試験治具にデュプレクサを実装したときの電気回路図である。 「シャントタイプ」の電子部品に用いる基準治具と試験治具の説明図である。 「フロートタイプ」の電子部品に用いる基準治具と試験治具の説明図である。 断線検出方法を示す電気回路図である。 DCパスコン容量とRF特性の関係を示すグラフである。 断線測定時の回路図である。 断線測定結果の表である。
符号の説明
10,11 電子部品
20 基準治具
26 測定装置
30 試験治具
36 測定装置(電子部品特性測定装置)
52 表示部
54 操作部
56 測定部(測定手段)
58 制御部
60 記憶部(記憶手段、数式記憶手段)
62 演算部(数式決定手段、電気特性推定手段)
64 インターフェース部
76 測定装置
86 測定装置(電子部品特性測定装置)
100 インダクタ(素子)
110 電子部品
112 ポート(第1の信号ラインポート)
114 ポート(第2の信号ラインポート)
116 ポート(第1の非信号ラインポート)
118 ポート(第2の非信号ラインポート)
120 基準治具
126 測定装置
130 試験治具
136 測定装置(電子部品特性測定装置)
140 スルーデバイス
210 電子部品
220 基準治具
230 試験治具(電子部品特性測定装置)

Claims (15)

  1. 高周波信号の印加または検出に係わる信号ラインに接続される信号ラインポートと、該信号ラインポート以外の非信号ラインポートとを有する電子部品について、前記電子部品を試験治具に実装した状態で前記信号ラインポートおよび前記非信号ラインポートを測定した結果から、当該電子部品を前記信号ラインポートのみ測定可能である基準治具に実装した状態で前記信号ラインポートを測定したならば得られるであろう前記電子部品の電気特性の推定値を算出する、測定誤差の補正方法であって、
    少なくとも3種類の補正データ取得用試料を前記試験治具に実装した状態と前記基準治具に実装した状態とで、前記補正データ取得用試料の各々の信号ラインポートの少なくとも一つについて、電気特性を測定する第1のステップと、
    信号ラインポートの少なくとも一つと非信号ラインポートの少なくとも一つとが電気的に接続された補正データ取得用スルーデバイスを用意し、前記補正データ取得用スルーデバイスを前記試験治具に実装した状態で当該信号ラインポート及び当該非信号ラインポートを測定し、かつ、前記補正データ取得用スルーデバイスを前記基準治具に実装した状態で当該信号ラインポートを測定する第2のステップと、
    前記第1及び第2のステップで得られた測定値に基づいて導出される前記信号ラインポートに対する補正を行うための項と、前記非信号ラインポートに対する補正を行うための項とを含み、前記電子部品を前記試験治具に実装した状態で前記信号ラインポートおよび前記非信号ラインポートを測定した結果から当該電子部品を前記基準治具に実装した状態で前記信号ラインポートを測定したならば得られるであろう前記電子部品の電気特性の推定値を算出するための数式を決定する第3のステップと、
    任意の前記電子部品について、前記試験治具に実装した状態で前記信号ラインポートおよび前記非信号ラインポートを測定する第4のステップと、
    前記第4のステップで得られた測定値に基づいて、前記第3のステップで決定した前記数式を用いて、当該電子部品を前記基準治具に実装した状態で前記信号ラインポートを測定したならば得られるであろう前記電子部品の電気特性の推定値を算出する第5のステップとを備えたことを特徴とする、測定誤差の補正方法。
  2. 前記第3のステップにおいて、前記非信号ラインポートに対する補正を行うための前記項は、前記第2のステップにおいて前記補正データ取得用スルーデバイスを前記試験治具に実装した状態で当該信号ラインポート及び当該非信号ラインポートを測定した結果を、前記第1のステップで得られた測定値から得られる「前記信号ラインポートに対する補正を行うための前記項を含み、前記電子部品を前記試験治具に実装した状態で前記信号ラインポートを測定した結果から、前記基準治具に実装した状態で前記信号ラインポートを測定したならば得られるであろう前記電子部品の電気特性の推定値を算出するための数式」に代入し得られる散乱行列S(各要素を、S11I、S12I、S21I、S22Iとする)と、前記第2のステップで得られる前記補正データ取得用スルーデバイスを前記基準治具に実装した状態における当該信号ラインポートの測定値S11Dとを用いて次式
    Figure 0004009876
    のように示されることを特徴とする、請求項1に記載の測定誤差の補正方法。
  3. 前記電子部品は、少なくとも2つの第1及び第2の前記信号ラインポートと、少なくとも2つの第1及び第2の前記非信号ラインポートとを有し、該第1及び第2の前記非信号ラインポートの間に素子が接続され、
    前記電子部品の前記第1及び第2の非信号ラインポートにより影響を受ける前記第1及び第2の信号ラインポート間の電気特性の推定値の算出については、
    前記第1のステップにおいて、前記電子部品の前記第1及び第2の信号ラインポートに対応する前記補正データ取得用試料の各々の信号ラインポートについて、電気特性を測定し、
    前記第2のステップにおいて、前記補正データ取得用スルーデバイスは、前記電子部品の前記第1の信号ラインポートに対応する前記補正データ取得用スルーデバイスの信号ラインポートと前記電子部品の前記第1の非信号ラインポートに対応する前記補正データ取得用スルーデバイスの非信号ラインポートとの間が電気的に接続され、かつ、前記電子部品の前記第2の信号ラインポートに対応する前記補正データ取得用スルーデバイスの信号ラインポートと前記電子部品の前記第2の非信号ラインポートに対応する前記補正データ取得用スルーデバイスの非信号ラインポートとの間が電気的に接続され、
    前記第3のステップにおいて、前記電子部品の前記第1及び第2の非信号ラインポートにより影響を受ける前記第1及び第2の信号ラインポート間の電気特性の推定値を算出するための前記数式に含まれる前記非信号ラインポートに対する補正を行うための前記項は、前記第2のステップにおいて前記補正データ取得用スルーデバイスを前記試験治具に実装した状態で当該信号ラインポート及び当該非信号ラインポートを測定した結果を、前記第1のステップで得られた測定値から得られる「前記信号ラインポートに対する補正を行うための前記項を含み、前記電子部品を前記試験治具に実装した状態で前記信号ラインポートを測定した結果から、前記基準治具に実装した状態で前記信号ラインポートを測定したならば得られるであろう前記電子部品の電気特性の推定値を算出するための数式」に代入し得られる、前記電子部品の前記第1の信号ラインポートに対応する当該信号ラインポートと前記電子部品の前記第1の非信号ラインポートに対応する当該非信号ラインポートとの間に対する伝送係数行列(T1thru)及び前記電子部品の前記第2の信号ラインポートに対応する当該信号ラインポートと前記電子部品の前記第2の非信号ラインポートに対応する当該非信号ラインポートとの間に対する伝送係数行列(T2thru)と、前記第2のステップで得られる前記補正データ取得用スルーデバイスを前記基準治具に実装した状態における、前記電子部品の前記第1及び第2の信号ラインポートに対応する当該信号ラインポート間の伝送係数行列(Dthru)とを用いて次式
    (CA)=(T1thru−1・(Dthru)・(T2thru−1
    のように示される伝送係数行列又は該伝送係数行列を変換した散乱係数行列を用いることを特徴とする、請求項1に記載の測定誤差の補正方法。
  4. 前記第5のステップにおいて、前記算出方法は、任意の前記電子部品について、前記試験治具に実装した状態で測定される電気特性を、前記基準治具に実装した状態で測定される電気特性に変更する特性を有する相対補正アダプタを想定した上で、前記非信号ラインポートにおいては、前記第3のステップにおける前記非信号ラインポートに対する補正を行うための前記項を前記相対補正アダプタとして用い推定することを特徴とする、請求項1、2又は3に記載の測定誤差の補正方法。
  5. 前記第2のステップにおいて測定する前記補正データ取得用スルーデバイスは、当該信号ラインポートと当該非信号ラインポートとの間の伝達係数が−10dB以上であることを特徴とする、請求項1乃至4のいずれか一つに記載の測定誤差の補正方法。
  6. 高周波信号の印加または検出に係わる信号ラインに接続される信号ラインポートと、該信号ラインポート以外の非信号ラインポートとを有する電子部品について、前記電子部品を試験治具に実装した状態で前記信号ラインポートおよび前記非信号ラインポートを測定し、その測定結果から、当該電子部品を前記信号ラインポートのみ測定可能である基準治具に実装した状態で前記信号ラインポートを測定したならば得られるであろう前記電子部品の電気特性の推定値を算出する、電子部品特性測定装置であって、
    前記電子部品を前記試験治具に実装した状態で前記信号ラインポートおよび前記非信号ラインポートを測定する測定手段と、
    少なくとも3種類の補正データ取得用試料を前記試験治具に実装した状態と前記基準治具に実装した状態とで、前記補正データ取得用試料の各々の信号ラインポートの少なくとも一つについて、電気特性を測定した第1の測定データと、信号ラインポートの少なくとも一つと非信号ラインポートの少なくとも一つとが電気的に接続された補正データ取得用スルーデバイスを、前記試験治具に実装した状態で当該信号ラインポート及び当該非信号ラインポートを測定した第2の測定データと、前記補正データ取得用スルーデバイスを前記基準治具に実装した状態で当該信号ラインポートを測定した第3の測定データとを格納する、記憶手段と、
    前記記憶手段に格納された前記第1ないし第3の測定データに基づいて導出される前記信号ラインポートに対する補正を行うための項と、前記非信号ラインポートに対する補正を行うための項とを含み、前記電子部品を前記試験治具に実装した状態で前記信号ラインポートおよび前記非信号ラインポートを測定した結果から当該電子部品を前記基準治具に実装した状態で前記信号ラインポートを測定したならば得られるであろう前記電子部品の電気特性の推定値を算出するための数式を決定する、数式決定手段と、
    任意の前記電子部品について、前記測定手段で測定して得られた測定値から、前記数式決定手段が決定した前記数式を用いて、当該電子部品を前記基準治具に実装した状態で前記信号ラインポートを測定したならば得られるであろう前記電子部品の電気特性の推定値を算出する、電気特性推定手段とを備えたことを特徴とする、電子部品特性測定装置。
  7. 前記数式決定手段が決定する前記非信号ラインポートに対する補正を行うための前記項は、
    前記第2の測定データを、前記第1の測定データから得られる「前記信号ラインポートに対する補正を行うための前記項を含み、前記電子部品を前記試験治具に実装した状態で前記信号ラインポートを測定した結果から、前記基準治具に実装した状態で前記信号ラインポートを測定したならば得られるであろう前記電子部品の電気特性の推定値を算出するための数式」に代入し得られる散乱行列S(各要素を、S11I、S12I、S21I、S22Iとする)と、前記第3のデータである前記補正データ取得用スルーデバイスを前記基準治具に実装した状態における当該信号ラインポートの測定値S11Dとを用いて次式
    Figure 0004009876
    のように示されることを特徴とする、請求項6に記載の電子部品特性測定装置。
  8. 前記電子部品は、少なくとも2つの第1及び第2の前記信号ラインポートと、少なくとも2つの第1及び第2の前記非信号ラインポートとを有し、該第1及び第2の前記非信号ラインポートの間に素子が接続され、
    前記第1の測定データは、前記電子部品の前記第1及び第2の信号ラインポートに対応する前記補正データ取得用試料の各々の信号ラインポートについて、電気特性を測定され、
    前記第2及び第3の測定データを測定するときに用いる前記補正データ取得用スルーデバイスは、前記電子部品の前記第1の信号ラインポートに対応するデータ取得用スルーデバイスの信号ラインポートと前記電子部品の前記第1の非信号ラインポートに対応するデータ取得用スルーデバイスの非信号ラインポートとの間が電気的に接続され、かつ、前記電子部品の前記第2の信号ラインポートに対応するデータ取得用スルーデバイスの信号ラインポートと前記電子部品の前記第2の非信号ラインポートに対応するデータ取得用スルーデバイスの非信号ラインポートとの間が電気的に接続され、
    前記数式決定手段が決定する、前記電子部品の前記第1及び第2の非信号ラインポートにより影響を受ける前記第1及び第2の信号ラインポート間の電気特性の推定値を算出するための前記数式に含まれる前記非信号ラインポートに対する補正を行うための前記項は、
    前記第2の測定データを、前記第1の測定データから得られる「前記信号ラインポートに対する補正を行うための前記項を含み、前記電子部品を前記試験治具に実装した状態で前記信号ラインポートを測定した結果から、前記基準治具に実装した状態で前記信号ラインポートを測定したならば得られるであろう前記電子部品の電気特性の推定値を算出するための数式」に代入し得られる、前記電子部品の前記第1の信号ラインポートに対応する当該信号ラインポートと前記電子部品の前記第1の非信号ラインポートに対応する当該非信号ラインポートとの間に対する伝送係数行列(T1thru)及び前記電子部品の前記第2の信号ラインポートに対応する当該信号ラインポートと前記電子部品の前記第2の非信号ラインポートに対応する当該非信号ラインポートとの間に対する伝送係数行列(T2thru)と、前記第3の測定データから得られる、前記補正データ取得用スルーデバイスを前記基準治具に実装した状態における、前記電子部品の前記第1及び第2の信号ラインポートに対応する当該信号ラインポート間の伝送係数行列(Dthru)とを用いて次式
    (CA)=(T1thru−1・(Dthru)・(T2thru−1
    のように示される伝送係数行列又は該伝送係数行列を変換した散乱係数行列を用いることを特徴とする、請求項6に記載の電子部品特性測定装置。
  9. 前記電気特性推定手段は、任意の前記電子部品について、前記試験治具に実装した状態で測定される電気特性を、前記基準治具に実装した状態で測定される電気特性に変更する特性を有する相対補正アダプタを想定した上で、前記非信号ラインポートにおいては、前記数式決定手段が決定した前記非信号ラインポートに対する補正を行うための前記項を前記相対補正アダプタとして用い推定することを特徴とする、請求項6、7又は8に記載の電子部品特性測定装置。
  10. 前記第2及び第3の測定データを取得するための前記補正データ取得用スルーデバイスは、当該信号ラインポートと当該非信号ラインポートとの間の伝達係数が−10dB以上であることを特徴とする、請求項6乃至9のいずれか一つに記載の電子部品特性測定装置。
  11. 高周波信号の印加または検出に係わる信号ラインに接続される信号ラインポートと、該信号ラインポート以外の非信号ラインポートとを有する電子部品について、前記電子部品を試験治具に実装した状態で前記信号ラインポートおよび前記非信号ラインポートを測定し、その測定結果から、当該電子部品を前記信号ラインポートのみ測定可能である基準治具に実装した状態で前記信号ラインポートを測定したならば得られるであろう前記電子部品の電気特性の推定値を算出する、電子部品特性測定装置であって、
    前記電子部品を前記試験治具に実装した状態で前記信号ラインポートおよび前記非信号ラインポートを測定する測定手段と、
    少なくとも3種類の補正データ取得用試料を前記試験治具に実装した状態と前記基準治具に実装した状態とで、前記補正データ取得用試料の各々の信号ラインポートの少なくとも一つについて、電気特性を測定した第1の測定データと、信号ラインポートの少なくとも一つと非信号ラインポートの少なくとも一つとが電気的に接続された補正データ取得用スルーデバイスを、前記試験治具に実装した状態で当該信号ラインポート及び当該非信号ラインポートを測定した第2の測定データと、前記補正データ取得用スルーデバイスを前記基準治具に実装した状態で当該信号ラインポートを測定した第3の測定データとに基づいて決定された「前記信号ラインポートに対する補正を行うための項と、前記非信号ラインポートに対する補正を行うための項とを含み、前記電子部品を前記試験治具に実装した状態で前記信号ラインポートおよび前記非信号ラインポートを測定した結果から当該電子部品を前記基準治具に実装した状態で前記信号ラインポートを測定したならば得られるであろう前記電子部品の電気特性の推定値を算出するための数式」を格納する、数式記憶手段と、
    任意の前記電子部品について、前記測定手段で測定して得られた測定値から、前記数式記憶手段に格納された前記数式を用いて、当該電子部品を前記基準治具に実装した状態で前記信号ラインポートを測定したならば得られるであろう前記電子部品の電気特性の推定値を算出する、電気特性推定手段とを備えたことを特徴とする、電子部品特性測定装置。
  12. 前記数式記憶手段に格納される前記非信号ラインポートに対する補正を行うための前記項は、前記第2の測定データを、前記第1の測定データから得られる「前記信号ラインポートに対する補正を行うための前記項を含み、前記電子部品を前記試験治具に実装した状態で前記信号ラインポートを測定した結果から、前記基準治具に実装した状態で前記信号ラインポートを測定したならば得られるであろう前記電子部品の電気特性の推定値を算出するための数式」に代入し得られる散乱行列S(各要素を、S11I、S12I、S21I、S22Iとする)と、前記第3のデータである前記補正データ取得用スルーデバイスを前記基準治具に実装した状態における当該信号ラインポートの測定値S11Dとを用いて次式
    Figure 0004009876
    のように示されることを特徴とする、請求項11に記載の電子部品特性測定装置。
  13. 前記電子部品は、少なくとも2つの第1及び第2の前記信号ラインポートと、少なくとも2つの第1及び第2の前記非信号ラインポートとを有し、該第1及び第2の前記非信号ラインポートの間に素子が接続され、
    前記第1の測定データは、前記電子部品の前記第1及び第2の信号ラインポートに対応する前記補正データ取得用試料の各々の信号ラインポートについて、電気特性を測定され、
    前記第2及び第3の測定データを測定するときに用いる前記補正データ取得用スルーデバイスは、前記電子部品の前記第1の信号ラインポートに対応する前記補正データ取得用スルーデバイスの信号ラインポートと前記電子部品の前記第1の非信号ラインポートに対応する前記補正データ取得用スルーデバイスの非信号ラインポートとの間が電気的に接続され、かつ、前記電子部品の前記第2の信号ラインポートに対応する前記補正データ取得用スルーデバイスの信号ラインポートと前記電子部品の前記第2の非信号ラインポートに対応する前記補正データ取得用スルーデバイスの非信号ラインポートとの間が電気的に接続され、
    前記数式記憶手段に格納される、前記電子部品の前記第1及び第2の非信号ラインポートにより影響を受ける前記第1及び第2の信号ラインポート間の電気特性の推定値を算出するための前記数式に含まれる前記非信号ラインポートに対する補正を行うための前記項は、
    前記第2の測定データを、前記第1の測定データから得られる「前記信号ラインポートに対する補正を行うための前記項を含み、前記電子部品を前記試験治具に実装した状態で前記信号ラインポートを測定した結果から、前記基準治具に実装した状態で前記信号ラインポートを測定したならば得られるであろう前記電子部品の電気特性の推定値を算出するための数式」に代入し得られる、前記電子部品の前記第1の信号ラインポートに対応する当該信号ラインポートと前記電子部品の前記第1の非信号ラインポートに対応する当該非信号ラインポートとの間に対する伝送係数行列(T1thru)及び前記電子部品の前記第2の信号ラインポートに対応する当該信号ラインポートと前記電子部品の前記第2の非信号ラインポートに対応する当該非信号ラインポートとの間に対する伝送係数行列(T2thru)と、前記第3の測定データから得られる、前記補正データ取得用スルーデバイスを前記基準治具に実装した状態における、前記電子部品の前記第1及び第2の信号ラインポートに対応する当該信号ラインポート間の伝送係数行列(Dthru)とを用いて次式
    (CA)=(T1thru−1・(Dthru)・(T2thru−1
    のように示される伝送係数行列又は該伝送係数行列を変換した散乱係数行列を用いることを特徴とする、請求項11に記載の電子部品特性測定装置。
  14. 前記電気特性推定手段は、任意の前記電子部品について、前記測定手段により測定される電気特性を、前記基準治具に実装した状態で測定される電気特性に変更する特性を有する相対補正アダプタを想定した上で、前記非信号ラインポートにおいては、前記数式記憶手段に格納された前記非信号ラインポートに対する補正を行うための前記項を前記相対補正アダプタとして用い推定することを特徴とする、請求項11、12又は13に記載の電子部品特性測定装置。
  15. 前記第2及び第3の測定データを取得するための前記補正データ取得用スルーデバイスは、当該信号ラインポートと当該非信号ラインポートとの間の伝達係数が−10dB以上であることを特徴とする、請求項11乃至14のいずれか一つに記載の電子部品特性測定装置。
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