JP4009762B2 - トラクタの変速装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はトラクタの変速装置に関するものであり、特に、走行系の変速装置のレイアウトに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
トラクタの走行系の変速装置は、前後進変速装置と主変速装置と副変速装置からなり、前後進変速装置で前進と後進を切り換え、主変速装置のギヤの組合せと副変速装置のギヤの組合せによって多数段(例えば16段)の変速位置を設定している。これらの変速装置には、シンクロメッシュ機構で構成されたものと、油圧クラッチ機構で構成されたものがある。
【0003】
シンクロメッシュ機構による構成は、油圧クラッチ機構による構成に比べて構造が簡単でコストが安いという利点があるが、伝動側と被伝動側の回転を円滑に同調させるためには、伝動を断つクラッチ(例えば機械式の主クラッチ等)が必要であり、シフト時に該クラッチの入切り操作が増えるので、素早い変速操作を行えないという難点がある。
【0004】
これに対して、油圧クラッチ機構による構成は、伝動側から被伝動側への伝動を瞬時に入切りすることができるので、別途クラッチを設けることなく変速操作を迅速且つ円滑に行うことができる。しかし、油圧クラッチ機構による構成は、作動油を送る油路を伝動軸内に設けなければならず、構造が複雑となってコスト高になり、また、各変速装置を前後に並べて配置する場合は、全体の前後長が長くなるという問題がある。
【0005】
従来の変速装置は、設置スペースの制限とコスト面での制約から、シンクロメッシュ機構による構成と油圧クラッチ機構による構成を組み合わせて配置することが多い。例えば前後進変速装置を油圧クラッチ機構による構成として、その後部にシンクロメッシュ機構による構成で主変速装置を配置したものが知られている。この構成では、油圧クラッチ機構による前後進変速装置を切った状態で、シンクロメッシュ機構による主変速装置をシフトすることにより、別途クラッチを設けることなく、主変速装置の変速操作を可能にしている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
前述した従来の変速装置は、前後進変速装置を油圧クラッチ機構による構成としているので、その後部に設けられた主変速装置がシンクロメッシュ機構による構成であっても、主変速装置だけは他のクラッチを入切り操作することなくシフトできる。
【0007】
しかし、更に後方に設けられた副変速装置がシンクロメッシュ機構による構成である場合は、副変速装置をシフトする際に別途クラッチを入切り操作しなければならない。他のクラッチの入切り操作なしに副変速装置をシフトさせるには、副変速装置を油圧クラッチ機構による構成にしなければならず、油圧クラッチ機構がもう一つ必要となってコスト高になる。
【0008】
そこで、トラクタの変速装置を構成するに際して、一つの油圧クラッチ機構だけで、前後進変速装置と主変速装置と副変速装置とを他のクラッチの入切りなしに変速操作可能にするために解決すべき技術的課題が生じてくるのであり、本発明はこの課題を解決することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記目的を達成するために提案されたものであり、主クラッチ(29)の後部に設けられた走行系の変速装置であって、前方より前後進変速装置(A)、第1副変速装置(B)、主変速装置(C)、第2副変速装置(D)の順に配置され、且つ、前後進変速装置(A)及び主変速装置(C)をシンクロメッシュ機構に構成するとともに、第1副変速装置(B)を油圧クラッチ機構に構成し、更に、前後進変速装置(A)、第1副変速装置(B)、主変速装置(C)は、アクチュエータ(63,64、74)の作動によりシフトされ、第2副変速装置(D)はレバー(19)操作にてシフトされるように形成したトラクタ(10)の変速装置に於いて、
上記第1副変速装置(B)に作業時頻繁に使用される領域を組み込み、第2副変速装置(D)には超低速モード領域を組み込み、且つ、上記前後進変速装置(A)のシンクロメッシュ機構、及び第1副変速装置(B)の油圧クラッチ機構を順次連続的に第1駆動軸(32)上に配置すると共に、前記主変速装置(C)のシンクロメッシュ機構を前記第1駆動軸(32)の後方且つ同軸位置に枢着された第4駆動軸(51)上、同軸に配置してなるトラクタの変速装置を提供するものである。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に従って詳述する。図1はトラクタ10を示し、機体11の後部にリンク機構12を介して作業機13が連結されている。エンジン14の動力はミッションケース15内の変速装置で減速され、前輪16と後輪17へ伝達される。運転席18の側部には、変速レバー19や各操作スイッチが配設されており、運転席18の前方に設けられたステアリングホイール20の近傍位置に前後進切換レバー21が設置されている。
【0011】
図2はレバーガイドボックス22を示し、I形のガイド溝23に沿って前記変速レバー19を中立位置から前後へシフトするように形成されている。該変速レバー19のグリップ部には増速スイッチ26と減速スイッチ27が設けられており、増速スイッチ26または減速スイッチ27を押すことにより、後述する第1副変速装置Bの油圧クラッチ機構がコントローラ62からの指令信号によって作動し、該第1副変速装置Bが高速位置または低速位置に切り換わるとともに、主変速装置Cのシンクロメッシュ機構がコントローラ62からの指令信号により作動して、主変速装置Cが第1段から第4段まで切り換わる。
【0012】
また、変速レバー19を中立位置から後方(図中下方)へシフトすれば、後述する第2副変速装置Dのセレクタ66が機械的に低位置へ移動して、該第2副変速装置Dが低速位置に切り換わり、変速レバー19を中立位置から前方(図中上方)へシフトすれば、第2副変速装置Dのセレクタ66が機械的に高位置へ移動して、該第2副変速装置Dが高速位置に切り換わる。
【0013】
従って、主変速4段と第1副変速2段を組み合わせた8段階の変速位置が、前記増速スイッチ26と減速スイッチ27にて変速可能であり、更に、変速レバー19を前後へシフトして第2副変速を高低どちらかに変速することにより、表1に示すように、合計16段階の変速が可能となっている。
【0014】
【表1】
Figure 0004009762
【0015】
図3乃至図7はミッションケース15の内部を示し、入力軸28の回転は主クラッチ29を経て出力軸30へ伝達される。主クラッチ29の後部には走行系の変速装置が設けられており、前方より前後進変速装置A、第1副変速装置B、主変速装置C、第2副変速装置Dが順次配置されている。
【0016】
前後進変速装置Aはシンクロメッシュ機構に構成され、第1駆動軸32上に第1ギヤ33と第2ギヤ34が遊嵌されており、第1駆動軸32と平行に枢着された第2駆動軸35上に第3ギヤ36と第4ギヤ37が一体に遊嵌されている。また、第1駆動軸32及び第2駆動軸35と平行にカウンタ軸38が枢着され、このカウンタ軸38にカウンタギヤ39が嵌着されている。
【0017】
前記出力ギヤ31の回転は先ず第2駆動軸35の第3ギヤ36に伝達され、第3ギヤ36の回転は第1ギヤ33に伝達される。また、第3ギヤ36と一体に形成した第4ギヤ37とカウンタ軸38のカウンタギヤ39が噛合しており、第4ギヤ37の回転はカウンタギヤ39を経て第2ギヤ34に伝達される。従って、第1ギヤ33と第2ギヤ34は第1駆動軸32上を夫々反対方向へ遊転する。
【0018】
前述した前後進切換レバー21を前後へ押し引き操作すれば、前後進切換レバー21の基部に設けられた前進スイッチ48または後進スイッチ49がオンとなり、このスイッチオンを検出してコントローラ62から電動若しくは油圧駆動のアクチュエータ63へ指令信号が出力される。従って、第1駆動軸32にスプライン嵌合するセレクタ40が、該アクチュエータ63の作動により前後動する。該セレクタ40がシンクロナイザを介して第1ギヤ33に係合したときは、第1駆動軸32に正回転が伝達されて前進回転となり、該セレクタ40がシンクロナイザを介して第2ギヤ34に係合したときは、第1駆動軸32に逆回転が伝達されて後進回転となる。この前進回転または後進回転の動力は、前後進変速装置Aの後部に設けられた第1副変速装置Bへ伝達される。
【0019】
後述するように、第1副変速装置Bには多板クラッチ42及び43が設けられており、前後進変速装置Aの変速時には該多板クラッチ42,43が入または切の何れの状態であっても、前進スイッチ48または後進スイッチ49のスイッチオンの検出により、先ず、双方の多板クラッチ42,43が一旦切になる。そして、前後進変速装置Aの変速が行われた後は、該多板クラッチ42,43が再び元の状態に復帰する。
【0020】
第1副変速装置Bは油圧クラッチ機構に構成され、第1駆動軸32と一体に回転するドラム41の前後に夫々多板クラッチ42,43が設けられている。多板クラッチ42の前部には第1ギヤ44が遊嵌され、多板クラッチ43の後部には第2ギヤ45が遊嵌されている。第2駆動軸35には第3ギヤ46と第4ギヤ47が嵌着され、前記第1ギヤ44と第3ギヤ46が噛合し、第2ギヤ45と第4ギヤ47が噛合している。
【0021】
図示した状態では、双方の多板クラッチ42,43は切状態であり、第1駆動軸32の回転は第2駆動軸35へ伝達されない。従って、第2駆動軸35をはじめとして、後方の第3駆動軸50,第4駆動軸51,第5駆動軸65,第6駆動軸69等、主変速装置C及び第2副変速装置Dの各駆動軸は回転しない。また、前記第3ギヤ36及び第4ギヤ37は第2駆動軸35上を遊転する。
【0022】
前述した変速レバー19のグリップ部に設けられた増速スイッチ26または減速スイッチ27の押圧操作に基づき、コントローラから指令信号が出されて多板クラッチ42或いは多板クラッチ43に作動油が送られ、多板クラッチ42または43のどちらかが入状態となる。
【0023】
前記多板クラッチ42が入となったときは、第1駆動軸32と一体に回転するドラム41の回転が第1ギヤ44へ伝達され、第3ギヤ46を介して第2駆動軸35が駆動される。一方、前記多板クラッチ43が入となったときは、ドラム41の回転が第2ギヤ45へ伝達され、第4ギヤ47を介して第2駆動軸35が駆動される。
【0024】
ここで、第1ギヤ44と第3ギヤ46の減速比より第2ギヤ45と第4ギヤ47の減速比の方が大きいため、多板クラッチ42が入となったときは第1副変速装置Bが高速位置に変速されることになり、多板クラッチ43が入となったときは第1副変速装置Bが低速位置に変速されることになる。第1副変速装置Bにて変速された動力は、第1副変速装置Bの後部に設けられた主変速装置Cへ伝達される。
【0025】
主変速装置Cはシンクロメッシュ機構に構成され、前記第2駆動軸35の後端に第3駆動軸50が同軸にスプライン結合され、該第3駆動軸50と平行に第4駆動軸51が枢着されている。第4駆動軸51は前記第1駆動軸32の後方且つ同軸位置に枢着されており、該第4駆動軸51上にはセレクタ52を挟んで第1ギヤ53と第2ギヤ54が遊嵌され、その後方に、セレクタ55を挟んで第3ギヤ56と第4ギヤ57が遊嵌されている。
【0026】
また、前記第3駆動軸50には前方から第5ギヤ58、第6ギヤ59、第7ギヤ60、第8ギヤ61が嵌着されている。そして、前記第1ギヤ53と第5ギヤ58が噛合するとともに第2ギヤ54と第6ギヤ59が噛合し、且つ、第3ギヤ56と第7ギヤ60が噛合するとともに第4ギヤ57と第8ギヤ61が噛合している。
【0027】
前述した変速レバー19のグリップ部に設けられた増速スイッチ26または減速スイッチ27を押圧することにより、コントローラ62からアクチュエータ64または74へ指令信号が出力され、セレクタ52または55がアクチュエータ64または74の油圧駆動にて前後動する。尚、一方のセレクタが前後動するときは、他方のセレクタはニュートラル位置に保持される。例えば、セレクタ52がシンクロナイザを介して第1ギヤ53に係合したときは、第1ギヤ53と第5ギヤ58のギヤ比が主変速装置Cの中で最も大きい減速比であることにより、第3駆動軸50の回転が最も減速されて第4駆動軸51に伝達され、主変速装置Cが第1段に変速されることになる。
【0028】
これに対して、セレクタ52が第2ギヤ54に係合したときは、第2ギヤ54と第6ギヤ59のギヤ比が前記第1段に次いで大きい減速比であることにより、主変速装置Cが第2段に変速されることになる。同様に、セレクタ55が第3ギヤ56に係合したときは主変速装置Cが第3段に変速されることになり、セレクタ55が第4ギヤ57に係合したときは主変速装置Cが第4段に変速されることになる。主変速装置Cにて変速された動力は、主変速装置Cの後部に設けられた第2副変速装置Dへ伝達される。
【0029】
主変速装置Cの変速時には前記多板クラッチ42,43が入または切の何れの状態であっても、増速スイッチ26または減速スイッチ27のスイッチオンの検出により、先ず、双方の多板クラッチ42,43が一旦切になる。そして、主変速装置Cの変速が行われた後は、該多板クラッチ42,43が再び元の状態に復帰する。
【0030】
第2副変速装置Dは爪クラッチ機構に構成され、前記第4駆動軸51の後端に第5駆動軸65が同軸にスプライン結合され、第5駆動軸65上にセレクタ66を挟んで第1ギヤ67と第2ギヤ68が遊嵌されている。また、第5駆動軸65と平行に枢着された第6駆動軸69上には、前部に第3ギヤ70が嵌着され、中間部に第4ギヤ71と第5ギヤ72が一体に遊嵌され、その後部に第6ギヤ73が嵌着されている。前記第1ギヤ67と第3ギヤ70が噛合し、前記第2ギヤ68と第5ギヤ72が噛合している。
【0031】
また、第6駆動軸69と平行に枢着された第2PTO軸81の後部に回転スリーブ75が遊嵌されており、該回転スリーブ75の前部には一体的に形成されたアイドルギヤ76,77を遊嵌して、前記第3ギヤ70と一方のアイドルギヤ76を噛合する。そして、回転スリーブ75の中間部から後部にかけて第7ギヤ78と第8ギヤ79を嵌着し、第7ギヤ78と前記第4ギヤ71が噛合し、第8ギヤ79と前記第6ギヤ73が噛合している。更に、第2PTO軸81と平行に枢着された前駆入力軸90に前駆入力ギヤ91を嵌着し、この前駆入力ギヤ91に他方のアイドルギヤ77を噛合させる。
【0032】
クラッチペダルの踏み込み操作で(或いはスイッチ操作で)主クラッチ29を切状態にし、前述した変速レバー19を中立位置から前方へシフトすれば、該変速レバー19の動きがリンク機構(図示せず)を介して前記セレクタ66に作用し、該セレクタ66が前方へ移動して第1ギヤ67の爪クラッチに係合する。爪クラッチを係合した後は、再度主クラッチ29を入にする。このときは、第5駆動軸65の回転が第1ギヤ67と第3ギヤ70の噛合により減速されて第6駆動軸69に伝達され、第2副変速装置Dが高速位置に変速されることになる。
【0033】
これに対して、変速レバー19を中立位置から後方へシフトすれば、リンク機構を介して前記セレクタ66が後方へ移動し、第2ギヤ68の爪クラッチに係合する。このときは、第5駆動軸65の回転が第2ギヤ68と第5ギヤ72の噛合により、第4ギヤ71から第7ギヤ78を経て回転スリーブ75に伝達され、第2PTO軸81上で回転スリーブ75が遊転する。そして、回転スリーブ75の回転は第8ギヤ79と第6ギヤ73の噛合により第6駆動軸69に伝達され、前記高位置のときよりも第6駆動軸69が更に減速されて、第2副変速装置Dが低速位置に変速されることになる。
【0034】
従って、変速レバー19を後方へシフトして第2副変速装置Dが低速位置に変速された状態で、変速レバー19の増速スイッチ26または減速スイッチ27を押圧操作すれば、表1に示した総段数1段目から8段目までの8段階の変速が可能であり、変速レバー19を前方へシフトして第2副変速装置Dが高速位置に変速された状態で、変速レバー19の増速スイッチ26または減速スイッチ27を押圧操作すれば、表1に示した総段数9段目から16段目までの8段階の変速が可能である。即ち、複数本のレバーを設置することなく、1本の変速レバー19だけで主変速4段と第1副変速2段と第2副変速2段を組み合わせた16段階の変速操作を行うことができる。第2副変速装置Dにて変速された動力は、第6駆動軸69の後端部に設けられたピニオンギヤ85から、ディファレンシャル装置89を介して後輪17へ伝達される。
【0035】
本発明では、副変速装置を二つに分け、作業時に頻繁に使用される領域を第1副変速装置Bに組み込んで変速装置の前段部に配置し、クリープ走行等の超低速モードの領域を第2副変速装置Dに組み込んで変速装置の後段部に配置してある。比較的使用頻度の高い第1副変速装置Bを、減速比の小さい変速装置の前段部に設置したことにより、変速操作時のシフトフィーリングを良好にすることができる。また、第1副変速装置Bは油圧クラッチ機構に構成され、該第1副変速装置Bをシフトする場合は、多板クラッチ42または43が徐々に摩擦力を増加させながら入となるので、クラッチペダルを踏み込んで主クラッチ29を切ることなく、第1副変速装置Bを迅速且つ円滑に高速位置または低速位置へシフトすることができ、使用頻度の高い変速操作を極めて容易に行うことができる。
【0036】
そして、油圧クラッチ機構に構成された第1副変速装置Bの前後に、シンクロメッシュ機構に構成された前後進変速装置Aと主変速装置Cを配置してあるので、第1副変速装置Bの多板クラッチ42及び43の双方を切にすることにより、エンジン14側の駆動力と後輪17側の慣性力が一時的に切り離される。従って、クラッチペダルを踏み込んで主クラッチ29を切ることなく、前後進変速装置A或いは主変速装置Cを他の位置へシフトすることができる。これにより、第1副変速装置Bの2段と主変速装置Cの4段を組み合わせた8段階の変速が、クラッチペダルの踏み込み操作なしに、前記変速レバー19のシフト操作だけで行うことが可能になる。
【0037】
そして、前記第1副変速装置Bを伝達トルクが比較的小さい前段部に配置したので、油圧クラッチ機構をコンパクトに形成することができ、ミッションケース15の小型化に寄与できる。また、前後進変速装置A並びに主変速装置Cのシンクロメッシュ機構と、第1副変速装置Bの油圧クラッチ機構とを連続的に同軸上に配置してあるので、変速装置の全長を短くできるとともに、サブアッセンブリ単位の管理が容易となる。
【0038】
ここで、前記前駆入力ギヤ91には、アイドルギヤ76,77を介して前記第3ギヤ70の回転が伝達され、第6駆動軸69の回転で前駆入力軸90が駆動される。前駆入力軸90の前端には第1前輪駆動軸92が同軸にスプライン結合されており、該第1前輪駆動軸92に四駆切換装置Eが装着されている。
【0039】
四駆切換装置Eには等速四駆クラッチ93と前輪倍速クラッチ94が設けられており、第1前輪駆動軸92の前端に四駆切換装置Eを介して第2前輪駆動軸95が同軸に枢着されている。また、第1前輪駆動軸92と平行に補助軸96が枢着されており、第1前輪駆動軸92の前端に遊嵌した補助ギヤ97と補助軸96の後部に嵌着した補助ギヤ98が噛合し、補助軸96の前部に嵌着した補助ギヤ99と第2前輪駆動軸95の後端に嵌着した補助ギヤ100が噛合している。
【0040】
いま、オペレータの指示に基づき、コントローラ62からの指令信号で等速四駆クラッチ93が入になると、第1前輪駆動軸92の回転が等速で第2前輪駆動軸95に伝達され、前輪16と後輪17が略等速で駆動される。また、ステアリングホイール20を操作して前輪16を回向させた場合、ピットマンアームの角度が操舵角センサ(図示せず)にて検出され、コントローラ62では機体11が旋回状態になったと判別する。然るときは、コントローラ62からの指令信号で前輪倍速クラッチ94が入になり、補助ギヤ97と98並びに補助ギヤ99と100の組合せにより、第1前輪駆動軸92の回転が約2倍に増速されて第2前輪駆動軸95に伝達され、前輪16の周速が後輪17の周速に対して約2倍で駆動される。
【0041】
次に、PTO系の動力の伝達経路について説明すれば、前記入力軸28と平行に中間軸110及び第1PTO軸80が枢着されており、中間軸110の前後に中間ギヤ111,112を嵌着する。第1PTO軸80の後端にはジョイント83を介して前記第2PTO軸81が同軸にスプライン結合されている。入力軸28の後端に分配ギヤ113を嵌着し、分配ギヤ113と中間ギヤ111を噛合させる。また、第1PTO軸80の前端にPTOクラッチ84を装着し、PTO入力ギヤ85を遊嵌して前記中間ギヤ112に噛合させる。
【0042】
入力軸28の回転は、分配ギヤ113と中間ギヤ111の噛合により中間軸110へ伝達され、更に、中間ギヤ112からPTO入力ギヤ85へ伝達される。PTOクラッチ84が切状態であればPTO入力ギヤ85の回転は第1PTO軸80に伝達されず、PTO入力ギヤ85が第1PTO軸80上を遊転する。そして、PTOクラッチ84が入となったときは、PTO入力ギヤ85の回転が第1PTO軸80へ伝達され、第2PTO軸81を経て後方の作業機13へ正転のPTO動力が伝達される。
【0043】
ここで、前記第2駆動軸35と平行にカウンタ軸120が枢着されており、このカウンタ軸120にカウンタギヤ121を嵌着する。また、第1PTO軸80上に逆転PTO入力ギヤ86を遊嵌する。前記カウンタギヤ121は逆転PTO入力ギヤ86に噛合するとともに、第2駆動軸35に遊嵌された第4ギヤ37と噛合している。
【0044】
逆転のPTO動力を得る場合は、前記PTOクラッチ84を切状態にしたうえで、第1PTO軸80に設けられたセレクタ87を後方へ移動して逆転PTO入力ギヤ86の爪クラッチに係合させる。然るときは、第4ギヤ37の回転がカウンタギヤ121により反転されて逆転PTO入力ギヤ86に伝達され、第1PTO軸80が逆転することになり、第2PTO軸81を経て後方の作業機13へ逆転のPTO動力が伝達される。
【0045】
尚、本発明は、本発明の精神を逸脱しない限り種々の改変を為すことができ、そして、本発明が該改変されたものに及ぶことは当然である。
【0046】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明では副変速装置を二つに分け、作業時に頻繁に使用される領域を第1副変速装置に組み込んで油圧クラッチ機構に構成し、該第1副変速装置の前後にシンクロメッシュ機構に構成された前後進変速装置と主変速装置を配置してある。従って、油圧クラッチを備えた第1副変速装置の変速操作勿論のこと、前後進変速装置と主変速装置についても、クラッチペダルを踏込むことなく変速操作を行うことができる。
つまり、使用頻度の高い第1副変速装置を減速比の小さい変速装置の前段部に配置したことにより、変速操作時のシフトフィーリングを良好にすることができるとともに、該第1副変速装置は油圧クラッチ機構に構成され、該第1副変速装置をシフトするときは多板クラッチが徐々に摩擦力を増加させながら入となるので、主クラッチを切ることなく、第1副変速装置を迅速円滑に高速位置または低速位置へシフトすることができ、使用頻度の高い変速操作を極めて容易に行うことができる。
【0047】
斯くして、一つの油圧クラッチ機構だけで、前後進変速装置と主変速装置と第1副変速装置とが他のクラッチの入切りなしに変速操作可能になり、低コスト操作性の向上を図ることができる。また、第1副変速装置を伝達トルクの小さい前段部に配置したので、油圧クラッチ機構をコンパクトに形成することができ、ミッションケースの小型化に寄与できる。
更に、前後進変速装置のシンクロメッシュ機構、第1副変速装置の油圧クラッチ機構を、順次連続的に第1駆動軸上に配置すると共に、主変速装置のシンクロメッシュ機構を前記第1駆動軸の後方且つ同軸位置に枢着された第4駆動軸上に、同軸に配置したので、変速装置の全長を短くすることができるとともに、サブアッセンブリ(sub−assembly:組立部品部分)単位の管理が容易となる。
【図面の簡単な説明】
図は本発明の実施の形態を示すものである。
【図1】トラクタの側面図。
【図2】レバーガイドボックスの平面図。
【図3】ミッションケース内部の各変速装置の展開縦断面図、その1。
【図4】ミッションケース内部の各変速装置の展開縦断面図、その2。
【図5】ミッションケース内部の各変速装置の展開縦断面図、その3。
【図6】ミッションケース内部の各軸の配置を示す正面図。
【図7】ミッションケース内部の各ギヤとアクチュエータの配置を示す正面図。
【符号の説明】
10 トラクタ
19 変速レバー
21 前後進切換レバー
26 増速スイッチ
27 減速スイッチ
29 主クラッチ
40,52,55 セレクタ
42,43 多板クラッチ
48 前進スイッチ
49 後進スイッチ
62 コントローラ
63,64 アクチュエータ
66 セレクタ
74 アクチュエータ
A 前後進変速装置
B 第1副変速装置
C 主変速装置
D 第2副変速装置

Claims (1)

  1. 主クラッチ(29)の後部に設けられた走行系の変速装置であって、前方より前後進変速装置(A)、第1副変速装置(B)、主変速装置(C)、第2副変速装置(D)の順に配置され、且つ、前後進変速装置(A)及び主変速装置(C)をシンクロメッシュ機構に構成するとともに、第1副変速装置(B)を油圧クラッチ機構に構成し、更に、前後進変速装置(A)、第1副変速装置(B)、主変速装置(C)は、アクチュエータ(63,64、74)の作動によりシフトされ、第2副変速装置(D)はレバー(19)操作にてシフトされるように形成したトラクタ(10)の変速装置に於いて、
    上記第1副変速装置(B)に作業時頻繁に使用される領域を組み込み、第2副変速装置(D)には超低速モード領域を組み込み、且つ、上記前後進変速装置(A)のシンクロメッシュ機構、及び第1副変速装置(B)の油圧クラッチ機構を順次連続的に第1駆動軸(32)上に配置すると共に、前記主変速装置(C)のシンクロメッシュ機構を前記第1駆動軸(32)の後方且つ同軸位置に枢着された第4駆動軸(51)上、同軸に配置してなることを特徴とするトラクタの変速装置。
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