JP4008373B2 - 放電灯点灯装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、放電灯点灯装置に関し、特にメタルハライドランプ、高圧ナトリウムランプ、水銀ランプなどの高輝度放電ランプの点灯を制御する放電灯点灯装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
メタルハライドランプや高圧ナトリウムランプ、水銀ランプなどの高輝度放電ランプは、フィラメントを有するランプのように電圧を印加しただけでは点灯せず、またランプが安定状態に達するのに時間を費やすので、点灯を制御する点灯装置を必要とする。この点灯装置は、ランプの電極間に放電経路を作って放電経路の電流を維持しつつ増大させてアーク放電に移行させる始動器としての役割と、アーク放電が安定したらランプの特性に従ってランプの電力を制御する安定器としての役割とを備えている。
【0003】
一般に、点灯装置は、例えば、図8に示すように、直流電源1と、直流電源1からの直流電力を調整するコンバータ2と、調整された直流電力を交流電力に変換するインバータ3と、ランプ4内で生じた放電をグロー放電からアーク放電に移行させるイグナイタ5とからなる。また、コントローラ6が、コンバータ2とインバータ3とに接続されて、コンバータ2及びインバータ3をそれぞれ制御するようになっている。
【0004】
コントローラ6は、コンバータ2のスイッチング素子Q1にゲート制御信号を供給して、コンバータ2の入力に対してPWM(pulse width modulation)制御を行い、その出力をインバータ3を介して交流に変換してランプ4に供給することで、ランプ4の電力を制御している。
【0005】
近年、プロジェクタやOHP、自動車用ヘッドライトなど、高輝度放電灯を使用する電子機器に対して、小型・軽量・低コストなどの要求が市場からあり、高輝度放電灯の点灯を制御する点灯装置に対しても同様な要求がある。点灯装置そのものを小型化するためには、コンバータ2のスイッチング素子Q1のスイッチング周波数を高くすることが簡単な方法の1つである。ところが、スイッチング周波数の高周波化は、ランプに固有な音響共鳴現象を招く恐れがあるのでランプとのマッチングを考慮する必要があり、コンバータ回路そのものだけでは実現が困難である。
【0006】
そこで、例えば特開平7−263166号には、フルブリッジタイプのインバータ回路において、高電位側と低電位側との間に、2本のアームが並列に接続され、一方のアームに接続された2つのスイッチング素子にてインバータ回路の出力電力の極性を低周波数で切り替えて電流の向きを変更し、他方のアームに接続された2つスイッチング素子を高周波数で開閉すると共にPWM制御を行い出力電力の平均値を調整する構成が開示されている。この構成では、従来はコンバータが行っていた出力電力の調整をインバータで行えるので、点灯装置を構成する部品点数を減らすとともに点灯装置を小型化できる。
【0007】
また、高輝度放電ランプは、ランプの点灯開始直後の過渡期から安定器に至るまで、ランプの瞬時の状態に応じたきめの細かい電力制御を必要とする。そこで、通常は、ランプに印加される電圧は、ランプと並列に抵抗を挿入して分圧することによって検出し、ランプを流れる電流は、点灯装置の回路中に微小抵抗を挿入して電流・電圧変換することで検出していた。
【0008】
【特許文献1】
特開平7−263166号公報(図1及び図5)
【非特許文献1】
第9次 次世代エネルギーエレクトロニクス研究会 第3回定例研究会 予稿集 2002年3月14日 社団法人 日本能率協会
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
通常、インバータ回路のスイッチング素子は、MOS−FETなどの半導体素子からなるため、スイッチング動作のためには、MOS−FETのソース・ゲート間に所定の電圧を印加する必要がある。例えば、特開平7−263166号記載のインバータ回路では、回路内を流れる電流の向きによっては、PWM制御を行うスイッチング素子が、極性切替を行うスイッチング素子に対して高電位側に位置することがなり、PWM制御用スイッチング素子のスイッチング動作のためには、MOS−FETのゲート信号の電位を、低電位側に位置する場合に比較して入力電圧分だけ高くする必要がある。そのために、絶縁型パルストランスやハイサイドドライバなどをPWM制御用スイッチング素子のためにインバータ回路に組み込む必要があり、全体として点灯装置の部品点数を増加させると共に大型化を招くことになっていた。
【0010】
本発明の目的は、上記問題点に鑑みて、従来の点灯装置の特性を維持しつつ構成部品点数を削減した放電灯点灯装置を提供することである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明の請求項1記載の放電灯点灯装置は、放電灯の点灯を制御する放電灯点灯装置であって、電源の高電位側に接続される高電位端子と前記電源の低電位側に接続される低電位端子とを介して入力される直流電力を交流電力に変換して前記放電灯に第1及び第2の出力端子を介して出力するインバータ回路と、前記インバータ回路を制御する制御回路とを有し、前記インバータ回路は、前記高電位端子と前記低電位端子との間に第1のアームと第2のアームとが並列に接続されたフルブリッジ構成を採り、前記第1のアームは、高電位側に第1のスイッチング素子を有すると共に低電位側に第2のスイッチング素子を有し、前記第2のアームは、高電位側に第3のスイッチング素子を有すると共に低電位側に第4のスイッチング素子を有し、前記第1の出力端子は、前記第1のスイッチング素子と前記第2のスイッチング素子との間に位置し、前記第2の出力端子は、前記第3のスイッチング素子と前記第4のスイッチング素子との間に位置し、前記制御回路は、前記第1及び第3のスイッチング素子の開閉を交互に行って前記交流電力の第1の周波数を確定し、前記第1のスイッチング素子を閉成する時、前記第2および第3のスイッチング素子の開放を維持しつつ、前記第4のスイッチング素子の開閉を前記第1の周波数よりも高い第2の周波数で行って前記交流電力を制御し、前記第3のスイッチング素子を閉成する時、前記第1および第4のスイッチング素子の開放を維持しつつ、前記第2のスイッチング素子の開閉を前記第2の周波数で行って前記交流電力を制御し、さらに、前記インバータ回路に印加される入力電圧を検出する第1の電圧検出回路と、前記インバータ回路に入力される入力電流を検出する電流検出回路と、前記インバータ回路から出力される出力電圧を検出する第2の電圧検出回路とを有し、検出された入力電圧と検出された電流とから前記インバータ回路への入力電力を算出し、算出した入力電力を検出された出力電圧で除算して前記放電灯電流を算出し、前記放電灯電流の値に応じて前記交流電力を制御することを特徴とする。
【0012】
上記構成によって、インバータ回路は、出力電圧の極性の切替に加え、出力電力のPWM制御による増減を行うことができるので、放電灯点灯装置の小型化を図ることができ、作製時のコストを低減できる。また、PWM制御は、第2及び第4のスイッチング素子で交互に行われるので、回路の熱分散を行うことができる。さらに、フルブリッジ構成において、高電位側のスイッチング素子にて出力の極性を第1の周波数で切り替え、低電位側のスイッチング素子で交流電力の制御を行うので、電力の制御に必要なドライバを簡単にすることができる。
【0013】
また、インバータ回路への入力電圧及び入力電流を検出することによってインバータ回路への入力電力を算出し、算出した入力電力を検出された出力電圧で除算することによって放電灯電流を正確に算出でき、実際に放電灯を流れる放電灯電流に基づいてインバータ回路への入力電力の制御を高精度で実行できる。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を、図面を参照して以下に説明する。図1に、本発明の放電灯点灯装置の一実施例を示す。図1において、放電灯点灯装置10は、電力供給装置20と、インバータ回路30と、ローパスフィルタ回路40と、電圧検出回路50と、電流検出回路60と、コントローラ70とを有し、ランプLを点灯して制御する装置である。なお、本発明において、ランプLとは、金属蒸気中の放電によって発光するメタルハライドランプ、高圧ナトリウムランプ、水銀ランプなどの高輝度放電ランプを指す。また、放電灯点灯装置10は、図示した部材以外にもイグナイタなどを有しているが、本発明には直接関係しないので省略する。
【0015】
直流電力供給装置20は、例えば直流電源からなり、ラインA及びBの間に電圧V0を印加する。なお、ラインBを基準電位とする。ラインAとラインBとの間に、コンデンサC1が接続され、電圧V0の変動を平滑にしている。なお、直流電力供給装置20としては、直流電源に替えて、商用電源などの交流を直流に変換して平滑に出力する電力装置を用いることもできる。
【0016】
インバータ回路30は、ラインAとラインBとの間に接続され、入力された直流電圧を、矩形波の高周波電圧が重畳された低周波電圧に変換して、ラインCとラインDとの間に出力する。インバータ回路30は、ラインA上の端子Mと、ラインB上の端子Nとの間に2本のアーム311、312が並列に接続されたフルブリッジ構成を採る。第1のアーム311には、高電位側に第1のスイッチング素子SW1が挿入され、低電位側には第2のスイッチング素子SW2が挿入されている。第2のアーム312には、高電位側に第3のスイッチング素子SW3が挿入され、低電位側には第4のスイッチング素子SW4が挿入されている。さらに、第1のスイッチング素子SW1と第2のスイッチング素子SW2との間の端子OにラインCが接続され、第3のスイッチング素子SW3と第4のスイッチング素子SW4との間の端子PにラインDが接続され、ラインCとラインDとの間に出力が現れる。本実施例において、スイッチング素子SW1、SW2は、トランジスタにて構成され、スイッチング素子SW3、SW4は、MOS−FETにて構成される。しかしながら、スイッチング素子SW1、SW2、SW3、SW4は、適宜の半導体スイッチング素子にて構成でき、各々は図示せぬボディダイオードを有する。
【0017】
また、インバータ回路30では、ダイオードD1が、アノードを端子Oに接続しカソードを端子Mに接続するように挿入され、ダイオードD2が、アノードを端子Pに接続しカソードを端子Mに接続するように挿入されている。ダイオードD1、D2は、第2及び第4のスイッチング素子がオフとなる時に転流ダイオードになる。
【0018】
ローパスフィルタ回路40は、ラインCに直列に挿入されたインダクタL1と、ラインC及びDの間に接続されたコンデンサC2とからなり、インバータ回路30が出力する高周波変調された低周波電力の高周波変調成分を除去して、ランプLに適切な低周波矩形電圧を出力する。
【0019】
電圧検出回路50は、ラインAとラインBとの間に接続された第1の電圧検出回路51と、ラインCとラインDとの間に接続された第2の電圧検出回路52とからなる。第1の電圧検出回路51は、インバータ回路30の入力側に設けられ、インバータ回路30の入力電圧Vinを検出する。第1の電圧検出回路51は、ラインAとラインBとの間に直列に接続された抵抗R1、R2からなり、抵抗R1、R2によって測定する電圧Vinを分圧して検出する。一方、第2の電圧検出回路52は、インバータ回路30の出力側に設けられ、インバータ回路30の出力端子O、P間の出力電圧Voutを検出する。
【0020】
電流検出回路60は、ラインD上にて、直流電力供給装置20とインバータ回路30との間に挿入された抵抗R3からなり、インバータ回路30に流れる電流Iを検出する。また、電流Iの検出は、インバータ回路30の入力側のラインDに挿入した抵抗R4によって行っても良い。
【0021】
コントローラ70は、主としてマイクロコンピュータにて構成され、電圧検出回路50及び電流検出回路60からの出力に基づいてランプLに供給される電力を算出し、その結果をPWMドライバ71に出力する。
【0022】
PWMドライバ71は、インバータ回路30の各スイッチング素子SW1〜SW4にゲートパルスを出力し、インバータ回路30が出力する交流電力に対する極性切替とPWM制御とを行う。すなわち、PWMドライバ71は、インバータ回路30から出力される交流電力の極性を切り替える極性切替パルスA、Bを、第1及び第3のスイッチング素子SW1、SW3に出力するとともに、インバータ回路30が出力する交流電力をPWM制御するPWMゲートパルスA、Bを、コントローラ70からの出力に基づいて生成して第2及び第4のスイッチング素子SW2、SW4に出力する。以上のように、放電灯点灯装置10は構成されている。
【0023】
次に、上記放電灯点灯装置10の動作を、図2を参照しながら説明する。ランプLは、図示せぬイグナイタ回路によって放電が始動させられ、インバータ回路30から交流電力が供給されて点灯を継続する。
【0024】
インバータ回路30は、直流電力供給装置20からの直流電力に対して、高電位側の第1及び第3のスイッチング素子SW1、SW3のスイッチィング動作により直流を交流に変換する極性切り替えを行い、低電位側の第2及び第4のスイッチング素子SW2、SW4のスイッチィング動作により出力電力のPWM制御を行うことによって、目標の交流電力をランプLに供給する。
【0025】
インバータ回路30の極性の切替は、例えば200〜300Hz等の低周波数で行われるようになっている。従って、インバータ回路30では、フルブリッジ回路の高電位側にある第1及び第3のスイッチング素子SW1、SW3を交互にオンとするように、PWMドライバ71は、周期T0となる極性切替パルスA、Bを生成する。なお、インバータ回路30の極性の切替周波数(1/T0)は、ランプLに音響共鳴現象が生じる周波数に対しかなり低く設定されている。
【0026】
PWM制御は、PWMドライバ71から第2のスイッチング素子SW2に供給されるPWMゲートパルスAと、第4のスイッチング素子SW4に供給されるPWMゲートパルスBとのデューティを変更することによって行われる。PWMゲートパルスA、Bの周期T1は、インバータ回路30から出力される周期T0の低周波電圧に重畳される矩形波の高周波電圧の周期である。また、PWMゲートパルスA、Bの周期T1は、極性切替の周期T0よりもかなり短く設定されている。さらに、PWMゲートパルスA、Bにおいて、パルスレベルがハイとなる期間T2の周期T1に対する比率がデューティである。デューティは、インバータ回路30の出力電力に応じて可変であり、コントローラ70からの出力に応じてPWMドライバ71が適宜変更し得る。
【0027】
次に、インバータ回路30におけるPWM制御及び極性切替を詳細に説明する。図2に示すように、時刻t1から時刻t2までの期間Aでは、極性切替パルスAがオンとなり且つ極性切替パルスBがオフとなり、次の時刻t3から時刻t4間での期間Bでは、極性切替パルスAがオフとなり且つ極性切替パルスBがオンとなる。この期間A及び期間Bを含んで1周期とする周期T0で、インバータ回路30の出力電力の極性は切り替えられている。なお、例えば時刻t2から時刻t3などの期間Aと期間Bとの間の期間Cは、各スイッチィング素子SW1〜SW4のスイッチィング動作を確実になすために設けられたデッドタイム期間であり、各スイッチィング素子SW1〜SW4への全てのパルスの供給が停止される。この期間Cは、周期T0の一部であるが、期間A、Bの長さに比較するとかなり短く設定されているので、実際にはほとんど無視して差し支えないので、以下この期間Cは無視することにする。
【0028】
例えば、時刻t1から始まる期間Aにおいて、PWMドライバ71から、極性切り替えパルスAが第1スイッチィング素子SW1へ供給されて、第1スイッチィング素子SW1がオンとなり、第4スイッチィング素子SW4は、PWMゲートパルスBによって高周波数でオン・オフされる。すなわち、第2及び第3スイッチィング素子SW2、SW3はオフを維持して、第1スイッチィング素子SW1はオン状態を維持しつつ第4のスイッチング素子SW4のスイッチング動作が周期T1で行われる(図2(a)〜(d)参照)。故に、期間Aにおいて、インバータ回路30では、図3に示す電流路が形成される。従って、電流IAは、端子Mから、第1のスイッチング素子SW1、端子O、インダクタL1、ランプL、端子P、第4のスイッチング素子SW4の順に流れる。
【0029】
図3において、第4のスイッチィング素子SW4がオンになるとき、インバータ回路30に印加された電圧Vinと同じ電圧がインバータ回路30から出力されて、ランプ電圧VLとしてランプLに印加される。この状態から、第4のスイッチィング素子SW4がオフになると、ダイオードD2が転流ダイオードとして機能する。従って、第4のスイッチィング素子SW4にてPWM制御を行ってインバータ回路30の出力電力を変えることによって、ランプLに目標電力に応じたランプ電流を供給できる。
【0030】
次に、期間Bにおいて、PWMドライバ71から、極性切替パルスBが第3スイッチィング素子SW3へ供給されて第3スイッチィング素子SW3がオンとなり、第2スイッチィング素子SW2へPWMゲートパルスAが供給されて高周波数でオン・オフされる。すなわち、第1及び第4スイッチィング素子SW1、SW4はオフを維持しつつ、第3のスイッチング素子SW3はオンになり第2のスイッチィング素子SW2のスイッチング動作が周期T1で行われる(図2(a)〜(d)参照)。故に、期間Bにおいて、インバータ回路30では、図4に示す電流路が形成される。すなわち、第3のスイッチング素子SW3がオンとなる時、電流IBは、端子Mから、第3のスイッチング素子SW3、端子P、ランプL、インダクタL1、端子O、第2のスイッチング素子SW2の順に流れる。
【0031】
図4において、第3のスイッチィング素子SW3がオンになるとき、インバータ回路30に印加された電圧Vinと同じ大きさの電圧がインバータ回路30から出力されて、期間Aとは逆極性の電圧VLとしてランプLに印加される。この状態から、第2のスイッチィング素子SW2がオフになると、ダイオードD1が転流ダイオードとして機能する。従って、第2のスイッチィング素子SW2にてPWM制御を行ってインバータ回路30の出力電力を変えることによって、ランプLに目標電力に応じたランプ電流を供給できる。
【0032】
上記のように、インバータ回路30において、期間A及び期間Bが交互に現れることによって、ランプに印加されたランプ電圧VLは、図2(e)に示すように、周期T1の矩形波交流電圧となる。
【0033】
上記構成によって、インバータ回路30のみによって、出力電力のPWM制御と極性変換との両方を行うことができ、放電灯点灯装置10を構成する部品点数を減少させることができる。さらに、放電灯点灯装置を簡単な回路により構成でき、装置の小型化及びコストダウンに寄与する。
【0034】
また、PWM制御を行うためのスイッチング素子SW2、SW4をインバータ回路30の低電位側に設けることによって、スイッチング素子SW2、SW4のスイッチング動作用に供給されるゲートパルスの電位を、スイッチング素子が存在する部位での電位分だけ増加させる必要をなくすことができる。従って、絶縁型パルストランスやハイサイドドライバなど従来ゲートパルスの電位増大のために使用されてきた部品を、放電灯点灯装置10は必要としないので、放電灯点灯装置10の部品点数を減らして小型化できると共に、放電灯点灯装置10を構成する回路を簡単にできる。
【0035】
また、出力電力のPWM制御は、インバータ回路30内の第1及び第3スイッチィング素子SW1、SW3で交互に行われるので、従来の1つのスイッチィング素子で行っていたPWM制御で生じていた電力損失を、2つのスイッチィング素子で分担するために、1つのスイッチィング素子にかかる負担を低減することができる。故に、電力損失の熱分散を効率良く行うことができる。
【0036】
さらに、上記の回路構成により、従来は、コンバータのPWM制御を行う制御部の基準電位と、インバータ回路側に設けていた電力制御部の基準電位との2つに分離して構成していた放電灯点灯装置の2電源方式に代えて、基準電位を1つとする1電源方式を採用できる。従って、2電源方式の放電灯点灯装置において2つの制御部間での信号の受け渡しに必要であったフォトカプラを不要にできる。このように、放電灯点灯装置10の基準電位を1箇所にすることによって、放電灯点灯装置10を簡単に構成できる。
【0037】
次に、ランプLの電力制御について詳細に説明する。ランプLの電力を制御して所望の輝度で発光させるためには、ランプLに印加されたランプ電圧と、ランプLを流れるランプ電流とを正確に検出し、目標電力となるようにランプの電力を増減することが必要である。そこで、図5に示すように、ステップS1にて、電圧検出回路51によってインバータ回路に入力される電圧Vinを検出すると共に、電流検出回路60によってインバータ回路30に入力される電流Iinを検出する(図2(f)参照)。ステップS2にて、上記検出された電圧Vin及び電流Iinを用いてインバータ回路30に入力された入力電力Pinを演算する(図2(g)参照)。一方、ステップS3にて、電圧検出回路52によってインバータ回路30の出力電圧VoutをランプL電圧として検出する(図2(e)参照)。次のステップS4にて、入力電力Pinを出力電圧Voutで除算してインバータ回路30の出力電流Ioutを算出する。
【0038】
次に、ステップS5にて、出力電流Ioutを、ランプLに流す目標の電流値と比較する。そして、ステップS6にて、ステップS5での比較結果に応じてランプ電流を増減させるために、PWM制御のデューティを変更し、インバータ回路30の出力電力を制御する。このように、ランプLの点灯中は、ランプLが消灯されるまで(ステップS7)、ステップS1〜S6を繰り返して、ランプに供給される電力を制御し、ランプLを所望の輝度に調整して安定させる。なお、入力電力Pinを演算する際、インバータ回路30を構成する各スイッチング素子SW1〜SW4で生じる損失を予め考慮することによって、電力制御の精度を向上させることができる。
【0039】
上記の動作において、電圧検出回路52は、ランプに印加される電圧を直接モニタできるので、ランプLの寿命末期に生じるランプの電圧上昇を精度良く検出できる。この場合は、電力演算器71に、検出されたランプ電圧をランプの寿命到来を示す所定電圧と比較する比較回路を設けることによって、ランプ寿命の到来をユーザに知らせるアラーム信号を出力させてもよい。また、ランプ電圧を直接モニタしているので、放電灯点灯装置10内の回路による過電圧保護機能などの保護機能の動作も可能である。
【0040】
また、インバータ回路30からランプLへの出力電流Ioutを演算しながらモニタしているので、ランプL点灯時の過渡期から安定時に至るまでの、きめの細かい電力制御が可能となると共に、過電流によって生じる回路故障を未然に防ぐことができる。
【0041】
次に、本発明による放電灯点灯装置の第2の実施例を図6に示す。この構成では、ローパスフィルタ回路40において、ラインC及びDの両方にインダクタL1、L2を挿入している。なお、ローパスフィルタ回路40以外の構成は、図1に記載のものと同一であり、同一の参照符号を付してその説明を省略する。図6に示す構成では、インダクタが二分割されているので点灯装置全体を小型化できる。
【0042】
次に、本発明による放電灯点灯装置の第3の実施例を図7に示す。この構成では、ローパスフィルタ回路40において、ラインC及びDにインダクタL1、L2を挿入し、さらにインダクタL1、L2を磁性体からなる磁路によって一体化したものである。なお、ローパスフィルタ回路40以外の構成は、図1に記載のものと同一であり、同一の参照符号を付してその説明を省略する。図7に示す構成では、インダクタが二分割されているので点灯装置全体を小型化できる。
【0043】
上記のように、記載した実施例は、インバータ回路30への入力電圧及び入力電流と、インバータ回路30からの出力電圧とを用いて、ランプLに供給される電力を高精度で制御するものである。上記実施例に加えて、インバータ回路30への入力電圧及び入力電流のみで、ランプLに供給される電力を制御することもできる。また、インバータ回路30への入力電流及び出力電圧のみで、ランプLに供給される電力を制御することもできる。
【0044】
なお、上記実施例は、本発明の好ましい実施例の一部を例示するのみであり、本発明は、上記記載の構成に限定されるものではない。
【0045】
【発明の効果】
本発明の請求項1記載の放電灯点灯装置によれば、インバータ回路が、出力電圧の極性を切り替えるとともに、出力電力のPWM制御を行うので、放電灯点灯装置を構成する部品点数を減らして装置の小型化を図ることができ、作製時のコストを低減できる。また、PWM制御は、2つのスイッチング素子で交互に行われるので、回路の熱分散を行うことができる。さらに、フルブリッジ構成において、高電位側のスイッチング素子にて交流出力の極性を切り替えて、低電位側のスイッチング素子で出力する交流電力の制御を行うので、低電位側のスイッチング素子のスイッチング動作に必要なドライバを簡単に構成できる。
【0046】
また、インバータ回路への入出力電圧と、インバータ回路に入力される入力電流とを検出することによって、放電灯を流れる放電灯電流を求めることができるので、放電灯に供給される電力を精度良く制御できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による放電灯点灯装置の一実施例を示す構成図である。
【図2】図1に示す放電灯点灯装置の動作を示すタイムチャートである。
【図3】第1のスイッチング素子SW1がオンとなる期間Aにインバータ回路30に形成される電流路の図である。
【図4】第3のスイッチング素子SW3がオンとなる期間Bにインバータ回路30に形成される電流路の図である。
【図5】電力制御を示すフローチャートである。
【図6】本発明による放電灯点灯装置の第2の実施例を示す構成図である。
【図7】本発明による放電灯点灯装置の第3の実施例を示す構成図である。
【図8】従来の放電灯点灯装置を示す構成図である。
【符号の説明】
L 放電灯
M 高電位端子
N 低電位端子
O、P 出力端子
SW1、SW3 高電位側スイッチング素子
SW2、SW4 低電位側スイッチング素子
10 放電灯点灯装置
30 インバータ回路
311 第1のアーム
312 第2のアーム
50 電圧検出回路
60 電流検出回路
70 制御回路
Claims (1)
- 放電灯の点灯を制御する放電灯点灯装置であって、
電源の高電位側に接続される高電位端子と前記電源の低電位側に接続される低電位端子とを介して入力される直流電力を交流電力に変換して第1及び第2の出力端子を介して前記放電灯に放電灯電流を流すインバータ回路と、
前記インバータ回路を制御する制御回路と
を有し、
前記インバータ回路は、前記高電位端子と前記低電位端子との間に第1のアームと第2のアームとが並列に接続されたフルブリッジ構成を採り、前記第1のアームは、高電位側に第1のスイッチング素子を有すると共に低電位側に第2のスイッチング素子を有し、前記第2のアームは、高電位側に第3のスイッチング素子を有すると共に低電位側に第4のスイッチング素子を有し、前記第1の出力端子は、前記第1のスイッチング素子と前記第2のスイッチング素子との間に位置し、前記第2の出力端子は、前記第3のスイッチング素子と前記第4のスイッチング素子との間に位置し、
前記制御回路は、
前記第1及び第3のスイッチング素子の開閉を交互に行って前記交流電力の第1の周波数を確定し、
前記第1のスイッチング素子を閉成する時、前記第2および第3のスイッチング素子の開放を維持しつつ、前記第4のスイッチング素子の開閉を前記第1の周波数よりも高い第2の周波数で行って前記交流電力を制御し、
前記第3のスイッチング素子を閉成する時、前記第1および第4のスイッチング素子の開放を維持しつつ、前記第2のスイッチング素子の開閉を前記第2の周波数で行って前記交流電力を制御し、さらに、
前記インバータ回路に印加される入力電圧を検出する第1の電圧検出回路と、
前記インバータ回路に入力される入力電流を検出する電流検出回路と、
前記インバータ回路から出力される出力電圧を検出する第2の電圧検出回路と
を有し、検出された入力電圧と検出された入力電流とから前記インバータ回路への入力電力を算出し、算出した入力電力を検出された出力電圧で除算して前記放電灯電流を算出し、前記放電灯電流の値に応じて前記交流電力を制御することを特徴とする放電灯点灯装置。
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