JP4002926B2 - ニットウェアの編成方法 - Google Patents
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Description
本発明は、継ぎ目無く筒状に編成された編地を無縫製で接合して形成されるニットウェアの編成方法に関するものである。特に本発明は、セーターやカーディガン等のニットウェアにおける広い衿ぐりを形成することができる編成方法およびそのような編成方法に関する。
従来の技術
本願出願人は、国際公開番号WO 01/55491 A1に明記され、かつ、図7および図8に示すように、左右方向に延び、かつ、前後方向に互いに対向する少なくとも前後一対の針床を有し、前後の針床の少なくとも一方が左右にラッキング可能で、前後の針床間で編目の目移しが可能な横編機を用いて、前下がり状に広い前衿ぐり310が前身頃100aに形成される無縫製のニットウェアの編成方法を提案した。
これは、基本的には、身頃100(100a,100b)と両袖210(210a,210b),220(220a,220b)とをニットウェアの裾から脇下まで筒状に編成した後に、前身頃100aを編成する際、衿ぐり300の形成開始位置(図8において点線L1)以降を衿ぐり300を挟むように前右身頃110aと前左身頃120aに分岐して編成することにより前身頃100aに前衿ぐり310を形成するようにしたものである。
そして、衿ぐりを広く形成するために、前右身頃110aと前左身頃120aの編成過程途中(図8において点線L2以降)において、前右身頃110aまたは前左身頃120aの編目の全てを後身頃の編目が係止される針床に目移しし、目移しした針床をラッキング動作させた後、前身頃の全ての編目を元の針床に戻す動作を繰り返して、前右身頃110aまたは前左身頃120aの編目を身頃中心に対して徐々に外側に移動させる編成を行うことにより、衿ぐり300の周縁に沿って前衿ぐり310の増し目を行っている。
さらに、前右身頃110aと前左身頃120aの最終コースの衿ぐり側端部から数目(図8の点L3)を衿ぐり編成に用いることによりさらに前衿ぐり310の編目を増やすようにしている。
前衿ぐり310をこのようにして形成することで前衿ぐり310のウェール数が増やされ、その結果、これに続けて編まれる衿400は衿ぐりの口径の広いものとなるだけでなく、衿ぐり300は自然と前下がりの状態となって形成される。
このように衿ぐり300が広くなるように編成された前身頃100aを使ってセーターを製造すればファッション性が高く、着用時に容易に頭を衿に通すことができ、衿により締めつけられることもないので着心地も良くすることができる。
しかしながら以上編成方法では、衿ぐりに増し目を形成するために、前右身頃110aまたは前左身頃120aの編目の全てを後身頃の編目が係止される針床に目移しし、目移しした針床をラッキング動作させた後、前身頃の全ての編目を元の針床に戻す動作を繰り返すことにより、前右身頃110aまたは前左身頃120aの編目を身頃中心に対して徐々に外側に移動させる編成を行っているため、前身頃の編目を目移しする際、同じ編目について増し目の数の倍の回数の目移し動作が行われることになる。
このように、同じ編目に対して目移しが何度も行われると糸が損傷しやすくなるという不具合が生じる。
また、前記した衿ぐり編成方法では、前右身頃110aと前左身頃120aの最終コースの衿ぐり側端部から数目(図8の点L3)を衿ぐり編成に用いるようにしているが、前右身頃110aと前左身頃120aの最終コースの一部を衿ぐり編成のために用いるため、その分肩接合部分の長さが短くなり、後身頃100bの後衿ぐり320の長さが横に長くなってしまう。
後身頃100bの後衿ぐり320長さがあまり長くなると、衿ぐり全体が前下がりではなく、横に広がった状態となってしまい見栄えが悪くなってファッション性に欠けるという不具合が生ずる。
発明の開示
本発明は以上の実情に鑑みて開発したものであって、編成時の糸の負担を軽減でき、ファッション性に優れ、かつ、前下がり状の広い衿ぐりを形成することができるニットウェアの編成方法を提供することを目的とする。
以上の目的を達成するために、本発明は、左右方向に延び、かつ、前後方向に互いに対向する少なくとも前後一対の針床を有し、前後の針床の少なくとも一方が左右にラッキング可能で、前後の針床間で編目の目移しが可能な横編機を用いて、ニットウェアを構成する身頃が継ぎ目の無い連続した筒状となるように編成されるニットウェアの編成方法において、
身頃をニットウェアの裾から脇下まで編成した後に、脇下から肩にかけて身頃を編成する際に、前身頃を前衿ぐり形成部分から前右身頃と前左身頃とに分岐させて編成して身頃に衿ぐりを形成する際に以下のステップを含むことをことを特徴とするものである。
1)前右身頃と前左身頃のどちらか一方を除く編目の全てを後身頃の編目が係止される針床に目移しして、後身頃の編目が係止される針床の前身頃が他方の針床に係止される一方の前身頃から遠ざかる方向へ、針床を増し目の数に比例したピッチ数で針床をラッキングするとともに、後身頃の編目が係止される針床における前衿ぐりの他方の針床に係止される前身頃側端部側に、ラッキングのピッチ数に対応させた増し目を形成しながら他方の針床に係止される前身頃を所定コース編成した後に、後身頃の編目が係止されている針床に目移しされている編目を元の針床に目移しする工程と、
この所定コースの編成がされていない前身頃を除く編目の全てを後身頃の編目が係止される針床に目移しして、後身頃の編目が係止される針床の前身頃が他方の針床に係止される前身頃から遠ざかる方向へ、針床を増し目の数に比例したピッチ数で針床をラッキングするとともに、後身頃の編目が係止される針床における前衿ぐりの他方の針床に係止される前身頃側端部側に、ラッキングのピッチ数に対応させた増し目を形成しながら他方の針床に係止される前身頃を所定コース編成した後に、後身頃の編目が係止されている針床に目移しされている編目を元の針床に目移しする工程と、
後身頃を所定コース編成する工程を有する第1ステップ、
2)第1ステップの終了後または第1ステップの途中において、針床のラッキング動作および前後の針床への目移しによる編目の回し動作により、第1ステップにより編成された後身頃の端部の一方と、第1ステップにより編成された前右身頃または前左身頃のどちらか一方の袖ぐり側端部を対向させた後に、肩伏目処理により後身頃と前右身頃または前左身頃のどちらか一方を接合する第2ステップ、
3)第1ステップおよび第2ステップの終了後、針床のラッキング動作および前後の針床への目移しによる編目の回し動作により、肩伏目処理がなされていない後身頃の端部と、肩伏目処理がなされていない前左身頃または前右身頃の袖ぐり側端部を対向させて肩伏目処理により後身頃と前左身頃または前右身頃の一方を接合する第3ステップ。
また本発明は、上述のニットウェアの編成方法において、前記第1ステップは、前右身頃および前左身頃を同じ目数で所定コース編成しながら前衿ぐりの増し目処理を行うとともに、所定コース数で後身頃を編成する第1衿ぐり増し目ステップと、
第1衿ぐり増し目ステップによる前身頃と後身頃の編成に続いて、前右身頃および前左身頃を、袖ぐり側端部を引き返し編みで処理しながら所定コース編成しながら前衿ぐりの増し目処理を行うとともに、所定コース数で後身頃を編成する第2衿ぐり増し目ステップとからなり、
第2衿ぐり増し目ステップによる一方の前身頃の編成の後に、第2ステップ及び第3ステップによる編成を行うようにしている。
好ましくは、編成されるニットウェアは、セットインタイプのセーターに適用することが好ましい。
発明を実施するための最良の形態
以下、本発明にかかるニットウェアの編成方法についての実施形態を図面に基づいて説明する。
本実施形態は、左右方向に延び、かつ、前後方向に互いに対向する前後一対の針床を有し、後針床が左右にラッキング可能で、しかも、前後の針床間で編目の目移しが可能ないわゆる2枚ベッドの横編機を用いてニットウェアを編成する。
2枚ベッドの横編機は、筒状のニットウェアを編成する場合、前後の各針床においてそれぞれ1本おきの針を用いて編成を行うようにしており、例えば、前針床の奇数番目の針を主として前身頃や袖の前部などのニットウェアの前側部分の編地を編成するために用い、後針床の偶数番目の針を主として後身頃や袖の後部などのニットウェアの後側部分を編成するために用いる。さらに、前後の針床は、一方の針床の編成用に用いられる針に対向する他方の針床の針を空針としており、この空針を目移しやリブ編み等をするために用いるようになっている。
これら空針を用いることにより、リンクス、ガーター、リブなどの表目と裏目が混在した組織柄を編成したり、袖や身頃の編目をコース方向に移動させて互いに接合することができるようになっている。
また、2枚ベッドの横編機を用いる場合、前後針床の一方または両方の上位にトランスファージャックを列設したトランスファージャックベッドを設けて編地を編成するようにしてもよい。
なお、本実施形態では、2枚ベッドの横編機を用いてニットウェアを編成するようにしているが、本発明は、上部前針床、下部前針床、上部後針床、そして下部後針床からなる4枚ベッドの横編機を用いて編成することもできる。
4枚ベッドの横編機を用いる場合には、例えば、下部前針床に前側部分を付属させ、下部後針床に後側部分を付属させるとともに、上部後針床を前側部分の編地を編成する際の空針として前側部分の編地の目移し等に用い、上部前針床を後側部分の編地を編成する際の空針として後側部分の編地の目移し等に用いる。
本実施形態は、上記2枚ベッドの横編機を用いて、ニットウェアを構成する身頃および袖を継ぎ目の無い連続した筒状となるようにシームレスにニットウェアを編成する方法である。
本発明の第1実施形態について、図1から図5に基づいて説明する。図1は、本発明の編成方法で編成されるニットウェアとしてセットインセーター1を示している。図2は、セーター1を構成する身頃と袖の型紙(編目配列)を示したもので、セーター着用時に後側に現れる後身頃2bと両袖の右袖後部13bおよび左袖後部3bを上側に示し、セーター着用時に前側に現れる前身頃2aと両袖の右袖前部13aおよび左袖前部3aを下側に示している。
後身頃2b、右袖後部13b、左袖後部3bは、主として後針床BB上の奇数番目の針を使用して編成され、前身頃2a、右袖前部13a、左袖前部3aは、主として前針床FB上の偶数番目の針を使用して編成される。
本実施形態で編成されるセーター1はラウンドネックタイプであり、前身頃2aにおける裾から肩における袖との接合部までの丈の長さ(コース数)と、後身頃2bにおける裾から肩における袖との接合部までの丈の長さ(コース数)とを一致させて、肩ライン上で前身頃2aと後身頃2bが接合されるデザインにしている。
セーター1の身頃および袖の編み組織は、説明の便宜上、平編みの無地としているが、ジャガードやリブ等の組織柄のものであってもよい。
セーター1は、図2に示すように、脇下部となる前身頃2aの各点A,aは、左袖前部3aおよび右袖前部13aの各点P,pと接合され、後身頃2bの各点H,hは左袖後部3bおよび右袖後部13bの各点S,sと接合される。
そして、アームホール23に沿って前身頃2aと左袖前部3aおよび右袖前部13aが接合され、後身頃2bと左袖後部3bおよび右袖後部13bが接合される。
前身頃2aは、衿ぐり4が形成され始める点G,g以降にかけて後身頃2bと異なる形状をしており、図2に示すように、前左身頃21aと前右身頃22aとに分岐して編成される。
さらに、衿ぐり4の形成が開始された後の身頃2a,2bおよび袖3,13の編成は、前左身頃21a、左袖前部3a、左袖後部3b、後身頃2b、右袖後部13b、右袖前部13a、前右身頃22aの順またはその反対の順に編成しながら、アームホール23に沿って、前左身頃21aに左袖前部3aを接合し、後身頃2bに左袖後部3bと右袖後部13bを接合し、前右身頃22aに右袖前部13aを接合していく。
前身頃2aと後身頃2bは、左袖3と右袖13の接合が終了された後、肩部において接合される。
そして、衿5は、線e−y−f−g−G−F−Y−E−K−k−eで形成される環に沿ってリブ編みにより編成される。
なお、本実施形態において、身頃や袖の左右を表す用語、例えば、前右身頃22aや前左身頃21aなどの右と左とは、セーター1を着用した状態の着用者を基準にしている。
図3から図5は、セーター1を裾部分から肩に向けて編成していく際の各段階の編成を詳細に示した編成ステップ図である。
編成ステップ図は、前身頃2aを太い実線で、後身頃2bを細い実線で、袖3,13を二重線で、そして、前身頃2aの前衿ぐり41を点線で表している。
ステップ1は、身頃編成用と袖編成用にそれぞれ用意した給糸口(図示せず)から編糸を前針床FBの各針に供給した後、給糸口を反転させて後針床BBの各針へ編糸を供給する編成を繰り返して、筒状体の身頃の裾部と左右の袖の袖口にゴム編部61,62の編成を開始した状態を示す。
ステップ2は、身頃2の編成と同時に、筒径を広げながら左袖3と右袖13の編成を行い、脇下部(図2の点A,P,a,p,S,H,s,h)の手前まで編成が行われた状態を示す。
ステップ3は、脇下部で身頃2と左袖3および右袖13とを統合させて1つの筒状体とした状態を示す。これは、例えば身頃編成に使用してきた給糸口から編糸を給糸して編成を行う。
ステップ4は、前身頃2aの編成が、衿ぐり4の形成が開始されるG,gの位置まできたときの針床における各編地の係止状態を示す。ここから前身頃2aは前右身頃22aと前左身頃21aとに分岐される。
なお、ステップ3からステップ4に至るまでは、左袖3と右袖13の編成を、身頃2と袖3,13で形成される筒状体の身頃部と袖部のコース編成の比率を例えば3:1として編成しながら各袖3,13を身頃2側へ移動させて編糸を重ねる編成を繰り返すことにより、身頃2と袖3,13で形成される筒状体の口径を徐々に減少させていく。このとき、身頃2の編み幅も同時に減少させる。
ステップ5は、前左身頃21aを図2おける線B−Gの位置から線C−Fの位置まで編成する状態を示す。ステップ5においては、1コースおきに衿ぐり側端部をタックさせることにより線G−Fに沿って衿ぐり4の周縁の編目を順次不作用状態に置く引き返し編成を行うと同時に、左袖前部3aと前左身頃21aの接合を行う。
ステップ5では、左袖前部3aの編目の全てを後身頃2bの編目が係止される後針床BBの空針に目移しする。
前左身頃21aを袖ぐり側から1コース編成し、次のコースを編成する際に、衿ぐり側端部の編目を衿ぐりの編目が係止されている針(編目Gが係止されている針)にタックさせながら1コース編成する。
そして、後針床BBを、図3において左方向へ2ピッチラッキングし、左袖前部3aの前身頃側端部の編目を前左身頃21aの袖側端部の編目に目移しして重ね合わせる。
これら一連の動作を線F−Cの位置に到達するまで所定コース繰り返すことにより、前衿ぐり41を形成しながら左袖前部3aと前左身頃21aの接合をしていき、線F−Cの位置まで編成し終えたら、後針床BBに係止されている左袖前部3aの編目を前針床FBに戻す。
ステップ6は、前右身頃22aを図2における線b−gの位置から線c−fの位置まで編成する状態を示す。ステップ6においても、1コースおきに衿ぐり側端部をタックさせることにより、線g−fに沿って衿ぐり4の周縁の編目を順次不作用状態に置く引き返し編成を行うとともに、右袖前部13aと前右身頃22aの接合を行う。
ステップ6では、前針床FBに係止されている右袖後部13bと右袖前部13aの編目の全部を後身頃2bの編目が係止される後針床BBの空針に目移しする。
前右身頃22aを袖ぐり側から1コース編成し、次のコースを編成する際に、衿ぐり側端部の編目を衿ぐりの編目が係止されている針(編目gが係止されている針)にタックさせながら1コース編成する。
そして、後針床BBを、図3において右方向へ2ピッチラッキングし、右袖前部13aの前身頃側端部の編目を前右身頃22aの袖側端部の編目に目移しして重ね合わせる。
これら一連の動作を線f−cの位置に到達するまで所定コース繰り返すことにより、前衿ぐり41を形成しながら右袖前部13aと前右身頃22aの接合をしていき、線f−cの位置まで編成し終えたら、後針床BBに係止されている右袖前部13aと右袖後部13bの編目の全てを前針床FBに戻す。
そして、ステップ5,6の編成により、線F−G−g−fに沿って前衿ぐり41の最初の部分が形成され、ステップ7に示す状態となる。
ステップ8は、後身頃2bを線I−iの位置から線Z−zの位置まで、左袖後部3bと右袖後部13bとの接合を行いながら編成する状態を示す。
ステップ8では、後身頃2bのみを2コース編成した後、後針床BBに係止される後身頃2bと左袖後部3bの編目の全てを前針床FBの空針に目移しする。
そして、後針床BBを、左袖後部3b側(図3において右方向)へ2ピッチラッキングした後、前針床FBに係止されている後身頃2bの編目の全てを後針床BBに戻す。この動作により、後身頃2bの端部の編目と右袖後部13bの端部の編目が重ね合わされて接合が行われる。
次に、後針床BBを、図3において右方向へさらに2ピッチラッキングし、前針床FBに係止されている左袖後部3bの身頃側端部の編目を後針床BBに目移しする。この動作により、後身頃2bの端部の編目と左袖後部3bの端部の編目が重ね合わされて接合が行われる。
そして、前針床FBに左袖後部3bの編目を係止させたまま、上記と同様の後身頃2bの編成、後針床BBのラッキング動作、後身頃2bの編目の目移し、左袖後部3bの身頃側端部の編目の後針床BBへの目移しの動作を繰り返す。これら一連の動作を所定コース行うことにより、左袖後部3bと後身頃2bの接合をしていく。
また、ステップ8では、続いて、前針床FBの空針に係止されている左袖後部3bの編目の全てを後針床BBに戻し、後身頃2bのみを2コース編成した後、後針床BBに係止される後身頃2bと右袖後部13bの編目の全てを前針床FBの空針に目移しする。
そして、後針床BBを、右袖後部13b側(図3において左方向)へ2ピッチラッキングした後、前針床FBに係止されている後身頃2bの編目の全てを後針床BBに戻す。この動作により、後身頃2bの端部の編目と左袖後部3bの端部の編目が重ね合わされて接合が行われる。
次に、後針床BBを、図3において左方向へさらに2ピッチラッキングし、前針床FBに係止されている右袖後部13bの身頃側端部の編目を後針床BBに目移しする。この動作により、後身頃2bの端部の編目と右袖後部13bの端部の編目が重ね合わされて接合が行われる。
そして、前針床FBに右袖後部13bの編目を係止させたまま、上記と同様の後身頃2bの編成、後針床BBのラッキング動作、後身頃2bの編目の目移し、右袖後部13bの身頃側端部の編目の後針床BBへの目移しの動作を繰り返す。これら一連の動作を所定コース行うことにより、右袖後部13bと後身頃2bの接合をしていく。ステップ8の編成によりステップ9の状態となる。
ステップ10〜15では、本発明の第1ステップの工程における第1衿ぐり増し目ステップの工程を行うのであって、前衿ぐり41の線F−G−g−f以降の前衿ぐり41の編み幅を増やすための編成をする。具体的には線F−Yおよび線f−yの前衿ぐり41の形成のための編成が行われる。
ステップ10は、前左身頃21aのコース編成を示し、前左身頃21aの線C−Fの位置から線D−Yの位置まで編成する状態を示す。このコース編成の間に衿ぐり4の左側部分がさらに形成される。
ステップ10においては、まず、前針床FBに係止されている右袖前部13aと前右身頃22aと前衿ぐり41(線F−G−g−f)と左袖前部3aを後針床BBの空針に目移しておく。
そして、後針床BBを、前針床FBに係止される前左身頃21aから前右身頃22aが遠ざかる方向(図3および図4において左方向)へ2ピッチラッキングする。ラッキングの後、前左身頃21aを1コース編成し、左袖前部3aの前身頃側端部の編目を前左身頃21aの袖側端部の編目に目移して重ね合わせた後、後針床BBに係止される前衿ぐり41の編目における前左身頃21a端部の横の空針に1目増し目を形成しながら前左身頃21aを1コース編成する。
さらに、後針床BBを、前針床FBに係止される前左身頃21aから前右身頃22aが遠ざかる方向(図3および図4において左方向)へ2ピッチラッキングする。ラッキングの後、前左身頃21aを1コース編成し、左袖前部3aの前身頃側端部の編目を前左身頃21aの袖側端部の編目に目移して重ね合わせた後、後針床BBに係止される前衿ぐり41の編目における前左身頃21a端部の横の空針に1目増し目を形成しながら前左身頃21aを1コース編成する。
このように、後針床BBを増し目の数に比例したピッチ数(1目の増し目に対して2ピッチ)でラッキングするとともに、後針床BBに係止される前衿ぐり41の前左身頃21a側端部に、ラッキングのピッチ数に対応させた増し目を形成しながら前左身頃21aを所定コース編成する動作を所定回数繰り返すことにより、前衿ぐり41の増し目を行いながら、左袖前部3aと前左身頃21aの接合をしていくことができる。
ステップ10では、同じ目数で前左身頃21aの編成を8コース行うとともに、左袖前部3aの前左身頃21aへの接合が完了する。
このとき、前左身頃21aの各編成コースの衿ぐり端部側に後針床BBの空針に増し目が形成されることになり、線F−Yに沿って前衿ぐり41の周縁の編目が順次不作用状態で形成され、ステップ10により、前衿ぐり41の編目が4目(ウェール)が増やされる。
ステップ10の編成の後、後針床BBに係止されている右袖前部13aと前右身頃22aと前衿ぐり41(線Y−F−G−g−f)を前針床FBに目移しすることにより、ステップ11に示す状態となり、線F−Yに沿って前衿ぐり41が形成されるとともに、左袖前部3aの前左身頃21aへの接合が完了する。
ステップ12は、前右身頃22aのコース編成を示し、前右身頃22aの線c−fの位置から線d−yの位置まで編成する状態を示す。このコース編成の間に衿ぐり4の右側部分がさらに形成される。
ステップ12においては、まず、前針床FBに係止されている前左身頃21aと前衿ぐり41(線Y−F−G−g−f)と右袖前部13aを後針床BBの空針に目移ししておく。
そして、後針床BBを、前針床FBに係止される前右身頃22aから前左身頃21aが遠ざかる方向(図3および図4において右方向)へ2ピッチラッキングする。ラッキングの後、前右身頃22aを1コース編成し、右袖前部13aの前身頃側端部の編目を前右身頃22aの袖側端部の編目に目移して重ね合わせた後、後針床BBに係止される前衿ぐり41の編目における前右身頃22a端部の横の空針に1目増し目を形成しながら前右身頃22aを1コース編成する。
さらに、後針床BBを、前針床FBに係止される前右身頃22aから前左身頃21aが遠ざかる方向(図3および図4において右方向)へ2ピッチラッキングする。ラッキングの後、前右身頃22aを1コース編成し、右袖前部13aの前身頃側端部の編目を前右身頃22aの袖側端部の編目に目移して重ね合わせた後、後針床BBに係止される前衿ぐり41の編目における前右身頃22a端部の横の空針に1目増し目を形成しながら前右身頃22aを1コース編成する。
このように、後針床BBを増し目の数に比例したピッチ数(1目の増し目に対して2ピッチ)でラッキングするとともに、後針床BBに係止される前衿ぐり41の前右身頃22a側端部に、ラッキングのピッチ数に対応させた増し目を形成しながら前右身頃22aを所定コース編成する動作を所定回数繰り返すことにより、前衿ぐり41の増し目を行いながら、右袖前部13aと前右身頃22aの接合をしていくことができる。
ステップ12では、同じ目数で前右身頃22aの編成を8コース行うとともに、右袖前部13aの前右身頃22aへの接合が完了する。
このとき、前右身頃22aの各編成コースの衿ぐり端部側に後針床BBの空針へ増し目が形成されることになり、線f−yに沿って前衿ぐり41の周縁の編目が順次不作用状態で形成され、ステップ12により、前衿ぐり41の編目が4目(ウェール)が増やされる。
ステップ12の編成の後、後針床BBに係止されている前左身頃21aと前衿ぐり41(線Y−F−G−g−f−y)を前針床FBに目移しすることにより、ステップ13に示す状態となり、線f−yに沿って前衿ぐり41が形成されるとともに、右袖前部13aの前右身頃22aへの接合が完了する。
ステップ14は、後身頃2bを線Z−zの位置から線J−jの位置まで、左袖後部3bと右袖後部13bとの接合を行いながら編成する状態を示す。
ステップ14では、後身頃2bのみを2コース編成した後、後針床BBに係止される後身頃2bと左袖後部3bの編目の全てを前針床FBの空針に目移しする。
そして、後針床BBを、左袖後部3b側(図4において右方向)へ2ピッチラッキングした後、前針床FBに係止されている後身頃2bの編目の全てを後針床BBに戻す。この動作により、後身頃2bの端部の編目と右袖後部13bの端部の編目が重ね合わされて接合が行われる。
次に、後針床BBを、図4において右方向へさらに2ピッチラッキングし、前針床FBに係止されている左袖後部3bの身頃側端部の編目を後針床BBに目移しする。この動作により、後身頃2bの端部の編目と左袖後部3bの端部の編目が重ね合わされて接合が行われる。
そして、前針床FBに左袖後部3bの編目を係止させたまま、上記と同様の後身頃2bの編成、後針床BBのラッキング動作、後身頃2bの編目の目移し、左袖後部3bの身頃側端部の編目の後針床BBへの目移しの動作を繰り返す。これら一連の動作を所定回数行うことにより、左袖後部3bと後身頃2bの接合をしていく。
また、ステップ14では、続いて、前針床FBの空針に係止されている左袖後部3bの編目の全てを後針床BBに戻し、後身頃2bのみを2コース編成した後、後針床BBに係止される後身頃2bと右袖後部13bの編目の全てを前針床FBの空針に目移しする。
そして、後針床BBを、右袖後部13b側(図4において左方向)へ2ピッチラッキングした後、前針床FBに係止されている後身頃2bの編目の全てを後針床BBに戻す。この動作により、後身頃2bの端部の編目と左袖後部3bの端部の編目が重ね合わされて接合が行われる。
次に、後針床BBを、図4において左方向へさらに2ピッチラッキングし、前針床FBに係止されている右袖後部13bの身頃側端部の編目を後針床BBに目移しする。この動作により、後身頃2bの端部の編目と右袖後部13bの端部の編目が重ね合わされて接合が行われる。
そして、前針床FBに右袖後部13bの編目を係止させたまま、上記と同様の後身頃2bの編成、後針床BBのラッキング動作、後身頃2bの編目の目移し、右袖後部13bの身頃側端部の編目の後針床BBへの目移しの動作を繰り返す。これら一連の動作を所定回数行うことにより、右袖後部13bと後身頃2bの接合が完了する。
そして、後針床BBを右方向にラッキングさせるとともに、後針床BBの右端部の編目を前針床FBに目移しし、かつ,前針床FBの左端部の編目を後針床BBに目移しする動作を繰り返す回し動作を行いながら、ステップ15に示すように、前針床FBの針に掛けられている前左身頃21aの袖ぐり側端部の編目と、後針床BBの針に掛けられている後身頃2bの袖ぐり側端部の編目とが対向する状態にする。
ステップ16〜25は、身頃の肩下がりを形成するための編成を行いながら、前衿ぐり41の線y−f−g−G−F−Y以降の前衿ぐり41の編み幅を増やすための編成をして衿ぐり4の形成を終了させるまでを示している。
ステップ16は、前左身頃21aに肩下がり部を形成するために前左身頃21aの線D−Yの位置から線D−Eの位置まで引き返し編成する状態を示す。
ステップ16においては、まず、前針床FBに係止される前右身頃22aの編目と前衿ぐり41(線y−f−g−G−F−Y)の編目を後針床BBの空針に移しておく。
そして、後針床BBを、図4において左方向へ2ピッチラッキングする。ラッキングの後、前左身頃21aを引き返し編みにより2コース編成しながら、後針床BBに係止される前衿ぐり41の編目における前左身頃21a端部の横の空針に1目増し目を形成していくと共に、前針床FBに係止される前左身頃21aの袖ぐり側端部の編目を外側から順に後針床BBの空針に目移して回し動作を行う。
このように、後針床BBを増し目の数に比例したピッチ数(1目の増し目に対して2ピッチ)でラッキングするとともに、後針床BBに係止される前衿ぐり41の前左身頃21a側端部に、ラッキングのピッチ数に対応させた増し目を形成しながら前左身頃21aを所定コース編成する動作を所定回数繰り返すことにより、前衿ぐり41の増し目を行いながら、前左身頃21aを引き返し編成を行うことにより肩下がり部を形成していくことができる。
ステップ16では、前左身頃21aを袖ぐり側を引き返し編みをして8コースの編成を行いながら、線Y−Eに沿って前衿ぐり41の周縁の編目を順次不作用状態にして前衿ぐり41の編目がさらに4目(ウェール)増やされる。
ステップ16の編成を行った後、後針床BBの空針に係止される前右身頃22aの編目と前衿ぐり41(線y−f−g−G−F−Y−E)の編目を前針床FBに移し、後針床BBを右方向にラッキングさせるとともに、後針床BBの右端部の編目を前針床FBに目移しし、かつ,前針床FBの左端部の編目を後針床BBに目移しする動作を繰り返す回し動作を行いながら、ステップ17に示すように、前針床FBの針に掛けられている前左身頃21aの袖ぐり側端部の編目と、後針床BBの針に掛けられている後身頃2bの袖ぐり側端部の編目とが対向する状態にする。
ステップ17により図2に示すように、線Y−Eに沿って前衿ぐり41が形成される。
ステップ18は、後身頃2bを線J−jの位置から線K−kの位置まで、両端を引き返し編成しながら編成する状態を示す。後身頃2bを編成する際は、両端の編目をタック処理などを行って順次不作用状態にして引き返し編みを行っていく。
ステップ18の編成の終了により、前針床FBの針に掛けられている前左身頃21aの袖ぐり側端部と、後針床BBの針に掛けられている後身頃2bの袖ぐり側端部とが対向しているので、ステップ19に示すように、前左身頃21aを後身頃2bに伏せ目処理により接合する。伏せ目処理によって接合された箇所は前後の針床の針から外れる。
そして、前右身頃22aの編目の全てを前針床FBに移すために、後針床BBを左方向にラッキングさせながら前針床FBの右端部の編目を後針床BBに目移し、後針床BBの左端部の編目を前針床FBに目移しする動作を繰り返す回し動作を行って、ステップ20の状態にする。
ステップ21では、ステップ20の状態から、前右身頃22aに肩下がり部を形成するために、前右身頃22aの線d−yの位置から線d−eの位置まで引き返し編成する状態を示す。
ステップ21においては、まず、前針床FBに係止される前衿ぐり41(線y−f−g−G−F−Y−E)の編目の全てを後針床BBの空針に移しておく。
そして、後針床BBを、図4において右方向へ2ピッチラッキングする。ラッキングの後、前右身頃22aを引き返し編みにより2コース編成しながら、後針床BBに係止される前衿ぐり41の編目における前右身頃22a端部の横の空針に増し目を形成していくと共に、、前右身頃22aの袖ぐり側端部の編目を外側から順に後針床BBの空針に目移して回し動作を行う。
このように、後針床BBを増し目の数に比例したピッチ数(1目の増し目に対して2ピッチ)でラッキングするとともに、後針床BBに係止される前衿ぐり41の前右身頃22a側端部に、ラッキングのピッチ数に対応させた増し目を形成しながら前右身頃22aを所定コース編成する動作を所定回数繰り返すことにより、前衿ぐり41の増し目を行いながら、前右身頃22aを目減らしして肩下がり部を形成していくことができる。
ステップ21では、前右身頃22aを袖ぐり側を引き返し編みをして8コースの編成を行いながら、線y−eに沿って前衿ぐり41の周縁の編目を順次不作用状態にして前衿ぐり41の編目がさらに4目(ウェール)増やされる。
ステップ21の編成を行った後、後針床BBの空針に係止される前衿ぐり41(線e−y−f−g−G−F−Y−E)の編目を前針床FBに移し、後針床BBを左方向にラッキングさせるとともに、後針床BBの左端部の編目を前針床FBに目移しし、かつ,前針床FBの右端部の編目を後針床BBに目移しする動作を繰り返す回し動作を行いながら、ステップ22に示すように、前針床FBの針に掛けられている前右身頃22aの袖ぐり側端部の編目と、後針床BBの針に掛けられている後身頃2bの袖ぐり側端部の編目とが対向する状態にする。
ステップ22により図2に示すように、線y−eに沿って前衿ぐり41が形成される。
そして、ステップ23に示すように、前右身頃22aを伏せ目処理により後身頃2bに接合する。伏せ目処理によって接合された箇所は針から外れて、ステップ24の衿ぐり41,42だけが前後の針床の針に掛けられた状態となる。
さらに、衿ぐり4に衿5を形成するため、前身頃2aの前衿ぐり41の中心と後身頃2bの後衿ぐり42の中心が一致するように、後針床BBの右方向のラッキングと移し目を繰り返しながら行う回し動作を行い、ステップ25の状態にする。
このように、前衿ぐり41の編み幅が増え、後衿ぐり42と前衿ぐり41の編み幅に大きな差が出ても、前身頃2aの前衿ぐり41の側端の編目を後針床BBへ送るようにして前後の針床に係止される編地の目数をバランスをとることにより、その境界部の編目同士が離間せず近接した状態を維持することができるので、糸切れが発生するのを防いで筒状体を編成することができる。
そして、ステップ25の状態にして衿5を編成していき、セーター1の編成を終了する。
上記したように前衿ぐり41の形成時に、前身頃2aの前衿ぐり41のみに増し目を行うことで前衿ぐり41の編み幅は後衿ぐり42の編み幅よりも広くなり、前後においてその編み幅に差を生じさせることができる。
しかも、前衿ぐり41の編み幅が後衿ぐり42の編み幅より広くなっても、一方の肩の接合を伏せ目処理で行った後に、前後の針床に係止される編地を回して他方の肩の位置合わせてをして伏せ目処理による肩の接合を行うようにしたので、前衿ぐり41の増し目の数の自由度を広げることができながら、後衿ぐり42の長さが長くなることもないので、ファッション性に優れたデザインにすることができる。
とくに、本実施形態では、前身頃2aと後身頃2bの肩部分に肩下がり部を形成しているので、肩下がり部の形成により、アームホール23の長さを一定にしながら、前衿ぐり41の編み目を所望の数だけ増やすことができる。
しかも、前衿ぐり41の両側の編目を後針床BBに送ることで、衿5を編成する際に前後の針床の編み幅を揃えられ、支障なく衿部分を筒状に編成することができる。
以上のように、本実施形態によれば、編成されたセーター1は、後衿ぐり42の長さが長くなることなく、衿ぐり4に前下がりが形成されたファッション性の優れたものとなり、しかも、広い口径の衿ぐりを有するので着用の際に頭を通しやすく着心地の良いものとなる。
さらに、前記した第1実施形態では、ステップ16〜25に示すように、身頃に肩下がりを形成するようにしたが、図6に示す第2実施形態の型紙図のように、肩下がり部を編成しないようにしてもよい(図2に示す前身頃2aのD−Y−Eおよびd−y−eの三角部分と、後身頃2bのj−k−K−Jの台形部分を除いたもの)。
図6に示す第2実施形態については、図2に示す第1実施形態の前身頃2aのD−Y−Eおよびd−y−eの三角部分と、後身頃2bのj−k−K−Jの台形部分で形成される編成部を除いては、図3から図5に示す編成ステップ図のステップ15までは、同じ形状および編成を行うので説明を省略する。
第2実施形態の場合は、図3から図5に示す編成ステップ図において、ステップ15の状態で前左身頃21aと後身頃2bの肩部分を伏せ目処理により接合した後、前右身頃22aの端部と後身頃2bの端部が対向するように編地を回し、残りの肩部分を伏せ目処理により接合を行う。
そして、衿ぐり4に衿5を形成するため、前身頃2aの前衿ぐり41の中心と後身頃2bの後衿ぐり42の中心が一致するように、後針床BBのラッキングと移し目を繰り返しながら筒状編地の回し動作を行う。
本発明では、前記第1実施形態および第2実施形態で述べたように、前衿ぐり41の形成の際に、編成を行う前身頃を前針床FBに残し、その他の編目を後針床BBの空針に移しておいて、ラッキングしながら後針床BBに増し目を形成するとともに、前身頃の編成を行うようにしているので、編目の目移しの回数をできるだけ少なくできる。その結果、糸の損傷をできるだけ少なくできながら、前衿ぐり41の増し目を行う編成を容易にできる。
本実施形態では、衿5は、ラウンドネックとして編成しているが、スタンドカラーなど所望するデザインの衿を編成することができる。また、衿ぐりをU字状に形成するUネックやV字状に形成するVネックなどを形成することもできる。
なお、本発明は、前身頃と後身頃の接合部が肩ラインを超えて後身頃に進入するようなデザインのセットインタイプのセーターにも適用できるし、セーターに限らずカーディガンにも適用できるし、袖の無いセーター、ベストなどにも適用できる。
以上のごとく本発明によれば、前衿ぐりの形成時に、前身頃の前衿ぐりのみに増し目を行うことで前衿ぐりの編み幅は後衿ぐりの編み幅よりも広くなり、前後においてその編み幅に差を生じさせることができる。
さらに、前衿ぐりの形成の際に、編成を行う前身頃を編成用の針床に残し、その他の編目を他方の針床の空針に移しておいて、ラッキングしながら他方の針床に増し目を形成するようにしているので、編目の目移しの回数をできるだけ少なくして糸の損傷を少なくできながら、前衿ぐりの増し目を行う編成を容易にできる。
しかも、前衿ぐりの編み幅が後衿ぐりの編み幅より広くなっても、一方の肩の接合を伏せ目処理で行った後に、前後の針床に係止される編地を回して他方の肩の位置合わせてをして伏せ目処理による肩の接合を行うようにしたので、前衿ぐりの増し目の数の自由度を広げることができながら、後衿ぐりの長さが長くなることもないので、ファッション性に優れたデザインにすることができる。
また、本発明によれば、前身頃と後身頃の肩部分に肩下がり部を形成することができるので、肩下がり部の形成により、アームホールの長さを一定にしながら、前衿ぐりの編み目を所望の数だけ増やすことができる。
【図面の簡単な説明】
図1は本発明にかかるニットウェアの第1実施形態を示す丸首のセットインセーターを示した図である。
図2は第1実施形態のセーターを構成する各パーツを横編機上で編成される状態を示した図である。
図3は第1実施形態のセーターの編成ステップのステップ1〜9を示した図である。
図4は第1実施形態のセーターの編成ステップのステップ10〜17を示した図である。
図5は第1実施形態のセーターの編成ステップのステップ18〜25を示した図である。
図6は第2実施形態のセーターを構成する各パーツを横編機上で編成される状態を示した図である。
図7は従来の丸首のセットインセーターを示した図である。
図8は従来の丸首のセットインセーターを構成する各パーツを横編機上で編成される状態を示した図である。
Claims (2)
- 左右方向に延び、かつ、前後方向に互いに対向する少なくとも前後一対の針床を有し、前後の針床の少なくとも一方が左右にラッキング可能で、前後の針床間で編目の目移しが可能な横編機を用いて、ニットウェアを構成する身頃が継ぎ目の無い連続した筒状となるように編成されるニットウェアの編成方法において、
身頃をニットウェアの裾から脇下まで編成した後に、脇下から肩にかけて身頃を編成する際に、前身頃を前衿ぐり形成部分から前右身頃と前左身頃とに分岐させて編成して身頃に衿ぐりを形成する際に以下のステップを含むことを特徴とするニットウェアの編成方法;
1)前右身頃と前左身頃のどちらか一方を除く編目の全てを後身頃の編目が係止される針床に目移しして、後身頃の編目が係止される針床の前身頃が他方の針床に係止される一方の前身頃から遠ざかる方向へ、針床を増し目の数に比例したピッチ数で針床をラッキングするとともに、後身頃の編目が係止される針床における前衿ぐりの他方の針床に係止される前身頃側端部側に、ラッキングのピッチ数に対応させた増し目を形成しながら他方の針床に係止される前身頃を所定コース編成した後に、後身頃の編目が係止されている針床に目移しされている編目を元の針床に目移しする工程と、
この所定コースの編成がされていない前身頃を除く編目の全てを後身頃の編目が係止される針床に目移しして、後身頃の編目が係止される針床の前身頃が他方の針床に係止される前身頃から遠ざかる方向へ、針床を増し目の数に比例したピッチ数で針床をラッキングするとともに、後身頃の編目が係止される針床における前衿ぐりの他方の針床に係止される前身頃側端部側に、ラッキングのピッチ数に対応させた増し目を形成しながら他方の針床に係止される前身頃を所定コース編成した後に、後身頃の編目が係止されている針床に目移しされている編目を元の針床に目移しする工程と、
後身頃を所定コース編成する工程を有する第1ステップ、
2)第1ステップの終了後または第1ステップの途中において、針床のラッキング動作および前後の針床への目移しによる編目の回し動作により、第1ステップにより編成された後身頃の端部の一方と、第1ステップにより編成された前右身頃または前左身頃のどちらか一方の袖ぐり側端部を対向させた後に、肩伏目処理により後身頃と前右身頃または前左身頃のどちらか一方を接合する第2ステップ、
3)第1ステップおよび第2ステップの終了後、針床のラッキング動作および前後の針床への目移しによる編目の回し動作により、肩伏目処理がなされていない後身頃の端部と、肩伏目処理がなされていない前左身頃または前右身頃の袖ぐり側端部を対向させて肩伏目処理により後身頃と前左身頃または前右身頃の一方を接合する第3ステップ。 - 前記第1ステップは、
前右身頃および前左身頃を同じ目数で所定コース編成しながら前衿ぐりの増し目処理を行うとともに、所定コース数で後身頃を編成する第1衿ぐり増し目ステップと、
第1衿ぐり増し目ステップによる前身頃と後身頃の編成に続いて、前右身頃および前左身頃を、袖ぐり側端部を引き返し編みで処理して所定コース編成しながら前衿ぐりの増し目処理を行うとともに、所定コース数で後身頃を編成する第2衿ぐり増し目ステップとからなり、
第2衿ぐり増し目ステップによる一方の前身頃の編成の後に、第2ステップ及び第3ステップによる編成を行うようにしている請求項1に記載のニットウェアの編成方法。
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