JP3999028B2 - 光学活性2−アシル化1,2−ジオール化合物誘導体の製造方法 - Google Patents

光学活性2−アシル化1,2−ジオール化合物誘導体の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、dl体の1,2−ジオール化合物の、一方の異性体の片方の水酸基のみをカルボン酸ハライド化合物によって選択的に保護することで二つの異性体を分割し、光学活性2−アシル化1,2−ジオール化合物誘導体または光学活性1,2−ジオール化合物を得る方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
隣り合う二つの不斉炭素の絶対配置が同一の光学活性ジオール化合物(以下、光学活性ジオール化合物と称す。)は、例えば医農薬の中間体として或いは触媒の不斉配位子として重要な化合物である。
【0003】
従来、これらの光学活性ジオール化合物の合成方法としては、様々な方法が知られているが、最も簡便な製造方法の一つとして、(dl)−1,2−ジオール化合物の光学分割による製造が考えられる。光学分割剤を用いたdl体の光学分割方法としては、光学活性ジアミン触媒、三級アミン化合物、ベンゾイルクロライド存在下、dl体の1,2−ジオール化合物の一方の異性体の片方の水酸基をベンゾイル化する方法が知られている(エナンチオマー、5巻、119−123頁(2000年))。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、かかる方法においては、β−ハロヒドリンのdl体の光学分割のみが実施されているだけで、(dl)−1,2−ジオール体の光学分割の実施例はない。即ち、dl体の光学分割法は既に知られている方法ではあるものの、(dl)−1,2−ジオール体の光学分割法については知られていない。また、上記方法においては、光学活性ジアミンによってベンゾイルクロライドを活性化させることによって反応系中に光学活性なベンゾイル化剤を生成させ、アルコールのベンゾイル化反応を行わせているため、仮に、ジオール化合物のモノベンゾイル化を行った場合、もし反応系中にモノアルコール化合物のような不純物が存在した時には、モノアルコール化合物へのベンゾイル化反応が優先的に進行し、反応収率が低下することが予測される。このため、反応収率を向上させるためには、純度の高いdl体のジオール化合物を使用する必要がある。
【0005】
したがって、原料の純度をあまり気にせずに、且つ簡便な方法で、dl体の1,2−ジオール化合物を光学分割し、光学活性な1,2−ジオール化合物を高収率に製造する方法を開発することが望まれていた。
【0006】
【課題を解決するための手段】
かかる実情に鑑み、本発明者らは鋭意検討した結果、従来、不斉ディールスアルダー反応等の不斉炭素−炭素結合反応の触媒として利用されてきた、光学活性オキサゾリン−銅錯体触媒を光学分割剤として利用することで、dl体の1,2−ジオール化合物を高収率に光学分割できることを見いだし、本発明を完成させるに至った。
【0007】
即ち、本発明は、下記一般式(I)
【0008】
【化2】
Figure 0003999028
【0009】
(但し、Rは、それぞれ独立に炭素数1~5のアルキル基、フェニル基、ベンジル基を示す。)
で示される光学活性オキサゾリン−銅錯体触媒、及び塩基存在下、(dl)−1,2−ジオール化合物とカルボン酸ハライド化合物とを反応させ、反応液から光学活性2−アシル化1,2−ジオール化合物誘導体を分離することを特徴とする光学活性2−アシル化1,2−ジオール化合物誘導体の製造方法である。
【0010】
また、本発明は、上記方法により得られた反応液から光学活性1,2−ジオール化合物を分離することを特徴とする光学活性1,2−ジオール化合物の製造方法も提供する。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明において使用されるdl体の1,2−ジオール化合物としては、隣り合った炭素原子に水酸基が結合している化合物であれば何ら制限無く使用できる。好適には、一般式(III)
【0012】
【化3】
Figure 0003999028
【0013】
(但し、Rは、炭素数1〜5のアルキル基、置換および無置換のフェニル基を示し、2つのRは一緒になって環を形成してもよい。)
で示される化合物が使用される。
【0014】
ここで、炭素数1〜5のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、tert−アミル基等を挙げることができ、置換されたフェニル基としてはp−クロロフェニル基、p−フルオロフェニル基、p−メチルフェニル基、p−tert−ブチルフェニル基、p−ジメチルアミノフェニル基等を挙げることができる。2つのRが一緒になって環を形成する場合、該環としては、シクロペンタン環、シクロヘキサン環、シクロオクタン環等が挙げられる。
【0015】
これらの1,2−ジオール化合物を具体的に例示すると、ヒドロベンゾイン、p−フルオロヒドロベンゾイン、p−クロロヒドロベンゾイン、p−メチルヒドロベンゾイン、p−tert−ブチルヒドロベンゾイン、p−ジメチルアミノヒドロベンゾイン、p−メトキシヒドロベンゾイン等の芳香族1,2−ジオール化合物、2,3−ブタンジオール、3,4−ヘキサンジオール、2,5−ジメチル−3,4−ヘキサンジオール、2,2,5,5、−テトラメチル−3,4−ヘキサンジオール、シクロヘキサンジオール、シクロペンタンジオール等の脂肪族1,2−ジオール化合物のdl体を挙げることができる。
【0016】
これらの1,2−ジオール化合物のdl体の中でも、特に好適に使用される1,2−ジオール化合物を具体的に例示すると、ヒドロベンゾイン、p−フルオロヒドロベンゾイン、p−クロロヒドロベンゾイン、p−メチルヒドロベンゾイン、p−tert−ブチルヒドロベンゾイン、p−メトキシヒドロベンゾイン等の芳香族1,2−ジオール化合物、シクロヘキサンジオール、シクロペンタンジオール等の脂肪族1,2−ジオール化合物のdl体が、高選択的に分割できるため有効である。
【0017】
これらの(dl)−1,2−ジオール化合物の幾つかは試薬として入手可能であるが、入手できない場合は(dl)−1,2−ジオール化合物の前駆体である1,2−ジケトン化合物をボラン・メチルサルファイド錯体を用いて還元する、或いはスチルベン誘導体を四酸化オスミウムによって酸化することによって容易に調整することが可能である。
【0018】
本発明において使用されるカルボン酸ハライド化合物としては、通常、試薬として入手可能なカルボン酸ハライド化合物が何ら制限無く使用できる。該カルボン酸ハライド化合物は、前記dl体の1,2−ジオール化合物における、一方の異性体の片方の水酸基のみを選択的に保護し、光学活性2−アシル化1,2−ジオール化合物誘導体を生成させる。
【0019】
これらのカルボン酸ハライド化合物を具体的に例示すると、アセチルクロライド、プロピオニルクロライド、ブチリルクロライド、バレリルクロライド等の好適には炭素数2〜7の脂肪族カルボン酸ハライド化合物、ベンゾイルクロライド、ベンゾイルブロマイド、2−メチルベンゾイルクロライド、3−メチルベンゾイルクロライド、4−メチルベンゾイルクロライド、4−エチルベンゾイルクロライド、4−ブチルベンゾイルクロライド、4−tert−ブチルベンゾイルクロライド等の好適には炭素数7〜11の芳香族カルボン酸ハライド化合物を挙げることができる。これらの中でも特に、高い選択性を発現するということで、アセチルクロライド、プロピオニルクロライド等の脂肪族カルボン酸ハライド化合物、ベンゾイルクロライド、4−メチルベンゾイルクロライド等の芳香族カルボン酸ハライド化合物が好適に使用される。
【0020】
上記カルボン酸ハライド化合物の使用量は特に限定されないが、量が少ないと未反応物が残り効率的でない。(dl)−1,2−ジオール化合物1モルに対して0.5モルが理論当量であるため、反応効率及びカルボン酸ハライド化合物の過剰使用を避ける観点から、通常この量が使用される。
【0021】
本発明で使用される塩基類は、反応で発生する塩化水素の捕捉剤として作用するばかりでなく、助触媒としても作用も期待される。該塩基類としては、通常試薬として入手可能な塩基類が何ら制限なく使用できる。
【0022】
これらの塩基類を具体的に例示すると、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセ−7−エン、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラエチルエチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルプロパンジアミン、N,N,N’,N’−テトラエチルプロパンジアミン等の脂肪族3級アミン化合物、ピリジン、N,N−ジメチルベンジルアミン、4−N,N−ジメチルアミノピリジン、N−メチルピロール、N−エチルピロール、N−メチルイミダゾール、N−エチルイミダゾール等の芳香族三級アミン化合物、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸リチウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素リチウム等の無機炭酸塩、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム等の水酸化物を挙げることができる。これらの中でも特に、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、等の脂肪族3級アミン化合物、ピリジン、N,N−ジメチルベンジルアミン、等の芳香族三級アミン化合物、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸リチウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素リチウム等の無機炭酸塩が、高い選択性と収率を示すために好適に採用される。
【0023】
本発明に用いる塩基の量としては特に制限は無いが、あまり量が多いと後処理工程が煩雑となる上に、生成物の分解反応に寄与する可能性が高くなり、あまり量が少ないと反応の転化率が低くなるため、通常、(dl)−1,2−ジオール化合物1モルに対して0.5〜5モル、好ましくは0.5〜4モルの範囲から選択するのが良い。
【0024】
下記一般式(I)
【0025】
【化4】
Figure 0003999028
【0026】
(但し、Rは、それぞれ独立に炭素数1~5のアルキル基、フェニル基、ベンジル基を示す。)
で示される光学活性オキサゾリン−銅錯体触媒において、Rで示される炭素数1~5のアルキル基としては、メチル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、tert−アミル基等が挙げられる。この光学活性オキサゾリン−銅錯体触媒は、下記一般式(II)
【0027】
【化5】
Figure 0003999028
【0028】
(但し、Rは、それぞれ独立に炭素数1~5のアルキル基、フェニル基、ベンジル基を示す。)
で示される光学活性オキサゾリン誘導体と塩化銅(II)を塩化メチレン溶媒中で反応させた後、未反応の塩化銅(II)を濾別し、残渣を再結晶する(以下反応Aと称する。)ことで容易に合成することができる。
【0029】
反応Aで使用する光学活性オキサゾリン誘導体としては、試薬として入手できる光学活性オキサゾリン誘導体が何ら制限無くしようできる。それらを具体的に例示すると、2,2−イソプロピリデンビス[(4R)−4−フェニル−2−オキサゾリン]、2,2−イソプロピリデンビス[(4R)−4−メチル−2−オキサゾリン]、2,2−イソプロピリデンビス[(4R)−4−イソプロピル−2−オキサゾリン]、2,2−イソプロピリデンビス[(4R)−4−tert−ブチル−2−オキサゾリン]、2,2−イソプロピリデンビス[(4R)−4−ベンジル−2−オキサゾリン]、2,2−イソプロピリデンビス[(4S)−4−フェニル−2−オキサゾリン]、2,2−イソプロピリデンビス[(4S)−4−メチル−2−オキサゾリン]、2,2−イソプロピリデンビス[(4S)−4−イソプロピル−2−オキサゾリン]、2,2−イソプロピリデンビス[(4S)−4−tert−ブチル−2−オキサゾリン]、2,2−イソプロピリデンビス[(4S)−4−ベンジル−2−オキサゾリン]等を挙げることができる。
【0030】
これらの中でも特に、銅錯体とした際に高い選択性を発現する2,2−イソプロピリデンビス[(4R)−4−フェニル−2−オキサゾリン]、2,2−イソプロピリデンビス[(4R)−4−tert−ブチル−2−オキサゾリン]、2,2−イソプロピリデンビス[(4R)−4−ベンジル−2−オキサゾリン]、2,2−イソプロピリデンビス[(4S)−4−フェニル−2−オキサゾリン]、2,2−イソプロピリデンビス[(4S)−4−tert−ブチル−2−オキサゾリン]、2,2−イソプロピリデンビス[(4S)−4−ベンジル−2−オキサゾリン]等が特に好適である。
【0031】
本反応で使用される光学活性オキサゾリン−銅錯体の使用量としては、触媒として使用するため(dl)−1,2−ジオール化合物1モルに対して当量以下であれば特に制限は無いが、通常(dl)−1,2−ジオール化合物1モルに対して0.001〜0.5モル、好ましくは0.005〜0.1モルの範囲から選択すればよい。
【0032】
本発明は、通常有機溶媒中で実施される。本発明で使用される有機溶媒としては、(dl)−1,2−ジオール化合物及びカルボン酸ハライド化合物等と反応しない溶媒であれば何等制限無く使用できる。これらの有機溶媒を具体的に例示すると、テトラハイドロフラン、1,4−ジオキサン、ジエチルエーテル、tert−ブチルメチルエーテル等のエーテル類、ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素等のハロゲン化炭化水素類、アセトニトリル、プロピオニトリル等のニトリル類、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、ジメチルカーボネート等のカーボネート類、酢酸エチル、酢酸プロピル等のエステル類、へキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素類等を挙げることができる。
【0033】
これらの有機溶媒の中でも特に、高い収率と反応速度が期待できる、テトラハイドロフラン、1,4−ジオキサンのエーテル類、ジクロロメタン、クロロホルムのハロゲン化炭化水素類、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、酢酸エチル等のエステル類等が好適に採用される。
【0034】
本発明において使用される有機溶媒の量としては、特に制限は無いが、あまり量が多いとバッチあたりの収量が減少するため経済的でなく、あまり量が少ないと撹拌等に支障をきたすため、通常、反応溶媒中の(dl)−1,2−ジオール化合物の濃度が0.1〜70重量%、さらには1〜60重量%となるように、有機溶媒を使用するのが好ましい。
【0035】
本発明における反応方法は特に限定されないが、反応器に(dl)−1,2−ジオール化合物、塩基、光学活性オキサゾリン−銅錯体触媒、有機溶媒を仕込み、撹拌しながらカルボン酸ハライド化合物を添加することにより好適に行うことができる。
【0036】
このとき、反応温度としては、用いる(dl)−1,2−ジオール化合物、塩基及びカルボン酸ハライド化合物の種類によって異なるため、一概には言えないが、あまり温度が低いと反応温度が著しく小さくなり、あまり温度が高いと副反応を助長するため、通常、−50〜20℃、好ましくは、−30〜0℃の範囲で実施するのが良い。
【0037】
また、反応時間としては特に制限は無いが、0.1〜40時間もあれば充分である。
【0038】
本発明における上記反応は、常圧、減圧、加圧のいずれの状態でも実施可能である。また、該反応は、空気中で実施してもよいし、或いは窒素、ヘリウム、アルゴン等の不活性気体雰囲気下で実施してもよい。
【0039】
このようにして、(dl)−1,2−ジオール化合物のどちらか一方の異性体の水酸基がアシル化された化合物が生成する。こごて、光学活性オキサゾリン−銅錯体として、R体の化合物を用いた場合は、1,2−ジオール化合物において(S,S)体が選択的にアシル化され、(S,S)−2−アシル化1,2−ジオール化合物誘導体と(R,R)−1,2−ジオール化合物が生成する。他方、光学活性オキサゾリン−銅錯体として、S体の化合物を用いた場合は、1,2−ジオール化合物において(R,R)体が選択的にアシル化され、(R,R)−2−アシル化1,2−ジオール化合物誘導体と(S,S)−1,2−ジオール化合物が生成する。
【0040】
上記反応生成物の単離生成方法としては、既知の方法が何等制限無く採用できる。例えば、反応溶液を水にあけた後、塩化メチレンで抽出し、得られた有機溶媒を硫酸マグネシウム等の乾燥剤で乾燥した後、溶媒留去、残渣をシリカゲルクロマトグラフィーによって、光学活性2−アシル化1,2−ジオール化合物誘導体を分離生成することができる。得られた該化合物は、必要に応じてアシル基を脱離させ、光学活性な1,2−ジオール化合物として医農薬中間体等の種々な用途に使用すればよい。
【0041】
この際に、未反応のもう一方の異性体である光学活性2−アシル化1,2−ジオール化合物は有機相に抽出されている。このため、もう該アシル化されていない異性体が必要であるならば、シリカゲルクロマトグラフィーによる分離操作をさらに続けることによって分離精製することができる。
【0042】
【実施例】
以下、実施例を掲げて本反応を具体的に説明するが、本発明はこれらによって何等制限されるものではない。
実施例1
30mlの茄子型フラスコに、(dl)−ヒドロベンゾイン0.214g(1mmol)、ジイソプロピルエチルアミン0.129g(1mmol)、2,2−イソプロピリデンビス[(4R)−4−フェニル−2−オキサゾリン]銅錯体0.023g(0.05mmol)を5mlの塩化メチレンに溶解し、撹拌した。この溶液を0℃に冷却し、ベンゾイルクロライド0.070g(0.5mmol)を滴下し、薄層クロマトグラフィー上で、ベンゾイルクロライドのスポットが消失するまで0℃で反応させた。反応終了後、反応液を10mlの水にあけ、塩化メチレン5mlで3回抽出した。抽出液を集め、硫酸マグネシウムを用いて乾燥させた後、塩化メチレンを減圧留去し、得られた残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(展開液:n−ヘキサン:酢酸エチル=3:1)で分離精製したところ、2−ベンゾイルオキシ−1,2−ジフェニルエタノールを0.148g(収率96%)取得した。また、本化合物を光学分割カラム(ダイセル化学工業製キラルパックOJ)を用いて液体クロマトグラフィー(展開液:n−ヘキサン:イソプロピルアルコール=5:1)で光学純度を測定したところ、99%ee以上であり、絶対配置は(S,S)であった。
【0043】
さらに、上記化合物取得後、さらにシリカゲルカラムトグラフィーでの分離操作を続けた結果、(R,R)−ヒドロベンゾインを0.107g(収率100%)取得することができた。また、本化合物を光学分割カラム(ダイセル化学工業製キラルパックOJ)を用いて液体クロマトグラフィー(展開液:n−ヘキサン:イソプロピルアルコール=5:1)で光学純度を測定したところ、96%eeであった。
【0044】
実施例2〜6
表1に示した、(dl)−1,2−ジオール化合物を用いた以外は実施例1と同様の操作を行った。その結果を表2に示した。
【0045】
【表1】
Figure 0003999028
【0046】
実施例7〜10
表2に示した光学活性オキサゾリン−銅錯体を触媒に用いた以外は、実施例1と同様の操作を行った。その結果を表2に示した。
【0047】
【表2】
Figure 0003999028
【0048】
実施例11〜12
表3に示した塩基を用いた以外は実施例1と同様の操作を行った。その結果を表3に示した。
【0049】
【表3】
Figure 0003999028
【0050】
実施例13
30mlの茄子型フラスコに、(dl)−ヒドロベンゾイン0.214g(1mmol)、1,2−ジフェニルエタノール0.010g(0.05mmol)、ジイソプロピルエチルアミン0.129g(1mmol)、2,2−イソプロピリデンビス[(4R)−4−フェニル−2−オキサゾリン]銅錯体0.023g(0.05mmol)を5mlの塩化メチレンに溶解し、撹拌した。この溶液を0℃に冷却し、ベンゾイルクロライド0.070g(0.5mmol)を滴下し、薄層クロマトグラフィー上で、ベンゾイルクロライドのスポットが消失するまで0℃で反応させた。反応終了後、反応液を10mlの水にあけ、塩化メチレン5mlで3回抽出した。抽出液を集め、硫酸マグネシウムを用いて乾燥させた後、塩化メチレンを減圧留去し、得られた残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(展開液:n−ヘキサン:酢酸エチル=3:1)で分離精製したところ、2−ベンゾイルオキシ−1,2−ジフェニルエタノールを0.149g(収率97%)取得した。また、本化合物を光学分割カラム(ダイセル化学工業製キラルパックOJ)を用いて液体クロマトグラフィー(展開液:n−ヘキサン:イソプロピルアルコール=5:1)で光学純度を測定したところ、98%eeであり、絶対配置は(S,S)であった。また、1,2−ジフェニルエタノールがベンゾイル化された化合物は全く検出されなかった。
【0051】
比較例1
実施例13において、2,2−イソプロピリデンビス[(4R)−4−フェニル−2−オキサゾリン]銅錯体0.023gを(S)−1−メチル−2−[(ジヒドロイソインドール−2−イル)メチル]ピロリジン0.001g(0.05mmol)に代える以外は、実施例13と同様の操作をした。
【0052】
その結果、(S,S)−2−ベンゾイルオキシ−1,2−ジフェニルエタノールの収量は、0.134g(収率87%)に低下した。また、1−ベンゾイルオキシ−1,2−ジフェニルエタンが0.015g取得された。
【0053】
【発明の効果】
本発明によれば、医農薬中間体或いは触媒の配位子として重要な化合物である光学活性ジオール化合物を、片方の水酸基のみがアシル化された光学活性な誘導体と、このようなアシル化がなされていない1,2−ジオール化合物とに効率的に光学分割できる。その際、各光学活性化合物は、高収率、且つ高い光学純度で得ることができる。しかも、原料として用いる(dl)−1,2−ジオール化合物にモノアルコールが存在しても反応には何等影響を与えない。
【0054】
即ち、本発明は、光学活性ジオール化合物を得る極めて有用な分割方法である。

Claims (3)

  1. 下記一般式(I)
    Figure 0003999028
    (但し、Rは、それぞれ独立に炭素数1~5のアルキル基、フェニル基、ベンジル基を示す。)
    で示される光学活性オキサゾリン−銅錯体触媒、及び塩基存在下、(dl)−1,2−ジオール化合物とカルボン酸ハライド化合物とを反応させ、反応液から光学活性2−アシル化1,2−ジオール化合物誘導体を分離することを特徴とする光学活性2−アシル化1,2−ジオール化合物誘導体の製造方法。
  2. 請求項1記載の方法により得られた反応液から光学活性1,2−ジオール化合物を分離することを特徴とする光学活性1,2−ジオール化合物の製造方法。
  3. 上記一般式(I)で示される光学活性オキサゾリン−銅錯体からなる光学分割剤。
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