JP3998667B2 - ポリトリメチレンテレフタレート異型糸 - Google Patents
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Description
紡糸口金孔のY字型孔又はT字型孔の三箇所の末端部に対応する三箇所の先端部を有する点は共通であるが、厳密にはトリローバル型の形状も様々ある。例えば、(i) トリローバル型断面の外周線が3箇所の先端部を除いて断面の外部に向けてすべて凹の曲線(内側へ凹んだ曲線)からなるもの(図3)、(ii)三箇所の先端部を含み断面の外部に向けてすべて凸の曲線(外へ向けて膨らんだ曲線)からなるもの(図1)、或は、(iii)ほぼ三角形のものなどがある(図2)。
上記のとおり、PET異型糸は工業的にも大量に生産されており、その断面形状についても種々検討されているのに対し、3GT異型糸に関する先行技術は極めて少ない。特許文献5には、トリローバル型断面を有する3GT異型糸が記載されているが、該公報に記載のトリローバル型断面異型糸はカーペット用BCFヤーンで、その単糸繊度が15デニール(16.7デシテックス)以上であり、衣料用には適さない。また、その断面形状についてはトリローブとの記載があるのみで、形状の詳細については何ら記載や示唆はない。
PET異型糸の場合は、シルキーな光沢を得るためには、トリローバル型断面でその外周線が断面外部に向けて凹の曲線とすることが好ましいことが知られている。しかし、この断面型のトリローバル型異型断面糸は、グリッターと称するぎらつき感が発現するために、その光沢は上品さに欠けるものである。したがって、PET異型糸の場合、上品なシルキー光沢を得るためにはトリローバル型では不十分であり、五葉型や八葉型などの複雑な多葉型を採用する必要があった。(繊維学会編「繊維の形態」、第170頁〜173頁(1982年)参照)
また、ポリエステルやナイロンの溶融紡糸においては、一定時間紡糸を継続すると、ポリマー分解物などからなる汚れが紡糸口金孔周辺に付着すること(通称、目白現象又は目やに現象と言う)が知られている。かかる汚れは円滑な繊維形成を阻害するため、断糸が増大し、ついには紡糸を続行することが不可能となる。そのため、工業的には、円滑な紡糸状態を保つために一定周期で紡糸口金表面をワイピングして汚れを除去するのが普通である。ワイピングを行うためには、紡糸を一旦中断しなければならないので、生産に支障となる。したがって、作業の効率及び原料ポリマーの効率等からは、ワイピング周期は長い方が良い。
3GT繊維の場合は、上記の目白現象が特に顕著であるため、例えば、特許文献6では、目白現象を軽減させるために、紡糸口金表面温度を特定の温度に保つこと、離型剤を塗布すること、及び紡糸口金の単一孔当たりのポリマー表面積を特定値に設定すること等が提案されている。しかし、上記公報には、異型糸における目白現象の発生状況及びその軽減策については何ら記載が無く、示唆すらもない。
本発明の第2の目的は、単糸断面形状が均一で、その製造工程及び仮撚や編織り等の加工工程で毛羽発生が少なく、衣料用に適したシルキーな3GT異型糸、即ち単糸繊度8.9デシテックス(8デニール)以下のブライト3GT異型糸を提供すること、及びこの異型糸を長時間連続して紡糸することが可能な製造方法、即ち工業生産可能な製造方法を提供することである。
3GTは、PETに比べて、溶融紡糸中に紡糸口金孔周辺へのポリマー付着あるいは汚れ(いわゆる、目白現象又は目やに現象)が起こり易い。従って、従来技術では、紡糸開始後極めて短時間で糸切れし、連続した紡糸が難しい傾向にある。また、目白現象が起こった状態では、得られる異型糸の単糸断面の形状が変化する傾向や単糸切れのための毛羽発生が多い傾向がある。図7に示す変形タイプのY字型孔を有する紡糸口金を利用してもこれらの問題は解消されない。
また、3GT繊維は、PET繊維に比べて特異な摩擦特性を示し、繊維−繊維間、繊維−金属間、及び繊維−セラミックス間の静摩擦係数及び動摩擦係数が高い。そのため、延伸工程や加工工程で摩擦による糸切れや毛羽が発生しやすい。特に、艶消し剤として使われる酸化チタンの含有率の低い、いわゆるブライトポリマーにその傾向が顕著である。
また、本発明の製造方法により得られる異型糸は、単糸断面形状が均一であり、加工時に毛羽の発生が少ないことを見出した。特に、3GT中の酸化チタンの含有量を特定の範囲とすることにより、ブライトポリマーを用いた場合の摩擦特性を適切にし、トリローバル型断面異型糸の延伸及び後加工における糸切れや毛羽の発生を抑制すると同時に、シルキーな光沢を発現しうることを見出した。
1.95モル%以上のトリメチレンテレフタレート繰り返し単位と5モル%以下のその他のエステル繰り返し単位から構成され、固有粘度[η]が0.7〜1.3(dl/g)である3GTからなり、かつ、トリローバル型断面を有し、該トリローバル型断面の外周線がすべて断面外部へ向けて凸の曲線からなるか、又は、該トリローバル型断面の外周線が断面外部に向けて凸の曲線及び直線からなることを特徴とする3GT異型糸。
2.酸化チタンを0.03〜0.15wt%含有し、且つ単糸繊度が8.9デシテックス(8デニール)以下である上記1記載の3GT異型糸。
3.異型度が1.15〜1.35である上記1又は2記載の3GT異型糸。
4.光沢度が50〜75である上記1、2又は3記載の3GT異型糸。
5.95モル%以上のトリメチレンテレフタレート繰り返し単位と5モル%以下のその他のエステル繰り返し単位から構成され、固有粘度[η]が0.7〜1.3(dl/g)の3GTを、トリローバル型孔を有する紡糸口金を通して押出し、かつ、
i)該トリローバル型孔の断面外周線が半円状の三つの先端部とその間を結ぶ孔外部へ向けて凹の円弧状曲線からなり、且つd/Dのいずれもが0.70〜1.0であること、
(但し、Dはトリローバル型孔の吐出中心から孔断面外周線の外接三角形の一つの辺へ向けて引いた垂線の長さ(mm)であり、dは吐出中心と該垂線と円弧状曲線との交点間の距離(mm)である。)
ii)紡糸温度が255〜275℃であること、
iii)紡糸口金表面温度が250〜275℃であること、
iv)紡糸口金孔からの吐出線速度Vと3GTの固有粘度[η]との積V×[η]が4〜13(m/分)(dl/g)であること、
を特徴とする3GT異型糸の製造方法。
6.3GTの酸化チタン含有率が0.03〜0.15wt%である上記5記載の3GT異型糸の製造方法。
7.上記5又は6記載の製造方法により得られる3GT異型糸。
したがって、本発明により、紡糸口金孔へのポリマー付着や汚れが抑制され、特に衣料用として優れたトリローバル型3GT異型糸を、工業的に安定して連続紡糸することが初めて可能となった。
なお、本発明において、異型糸の断面形状に関する説明は、後述する断面形状の顕微鏡写真撮影法に従って得た写真に基づくものである。
本発明の3GT異型糸は、95モル%以上のトリメチレンテレフタレート繰り返し単位と5モル%以下のその他のエステル繰り返し単位から構成され、固有粘度[η]が0.7〜1.3(dl/g)である3GTからなるトリローバル型断面を有する3GT異型糸であって、該トリローバル型断面の外周線がすべて断面外部へ向けて凸の曲線からなるか、又は、トリローバル型断面の外周線が断面外部に向けて凸の曲線及び直線からなる3GT異型糸である。本発明の異型糸は、マルチフィラメント及びそれをカットして得られる短繊維を包含する。
本発明における3GTは、その95モル%以上がトリメチレンテレフタレート繰り返し単位からなり、5モル%以下がその他のエステル繰り返し単位からなる。即ち、本発明における3GTは、3GTホモポリマー、5モル%以下のその他のエステル繰り返し単位を含むホモ3GT及び共重合3GTを包含する。
酸成分としては、イソフタール酸や5−ナトリウムスルホイソフタール酸に代表される芳香族ジカルボン酸、アジピン酸、イタコン酸に代表される脂肪族ジカルボン酸等々であり、グリコール成分としてはトリメチレングリコール、エチレングリコール、ポリエチレングリコール等々である。また、ヒドロキシ安息香酸等のヒドロキシカルボン酸もその例である。さらに、複数の共重合成分を含むことを妨げない。
本発明における3GTの固有粘度[η]は0.7〜1.3(dl/g)である。固有粘度[η]は後述の方法により測定される。固有粘度[η]が0.7(dl/g)未満では、破断強度が2.65cN/デシテックス(3g/デニール)以下となり実用的でない。また、固有粘度[η]が1.3(dl/g)を越えると、マルチフィラメント糸の熱に対する寸法安定性が悪くなり、且つ原料の3GTの製造コストが高くなる。衣料用途向けには、固有粘度[η]は0.8〜1.1(dl/g)であることが好ましい。
本発明の3GT異型糸は、風合いやシルキーな光沢面などからトリローバル型断面を有することが必要である。更に、本発明の3GT異型糸の断面は、その断面の外周線がすべて断面外部へ向けて凸の曲線からなるか、或は外周線が断面外部に向けて凸の曲線及び直線からならなる形状(このような断面形状を以下、おにぎり型と呼ぶ)を有する。図1、図2におにぎり型断面形状の一例を示す。
図3に示すような、断面の外周線が断面外部に向けて凹の曲線部を有するトリローバル型断面では、異型糸の製造の際に目白現象が顕著であり、連続した紡糸が実質的に不可能であるばかりか、得られた異型糸は毛羽発生が多く、編み織り等の後加工も難しい。また、光沢感においても、PETと屈折率の異なる3GTは、PET異型糸で多く見られる図3に示すような断面の異型糸では、ぎらつきが強く衣料用途には適さない。
おにぎり型断面の形状は、三箇所の先端部の頂点を結ぶ三角形の形状が正三角形(図1)、二等辺三角形(図4)、三辺不等長三角形(図5)となる形状のいずれでも良く、おにぎり型の膨らみ具合は円形に近いものより、三角形に近いものが好ましい。
本発明の3GT異型糸の単糸繊度は特に限定されないが、衣料用異型糸の場合には8.9デシテックス(8デニール)以下であることが好ましい。単糸繊度が8.9デシテックスを越えると、風合いが堅くなる傾向がある。衣料用として好ましい柔らかさを示す単糸繊度の好ましい範囲は6.7デシテックス(6デニール)以下であり、更に好ましい範囲は0.6〜3.3デシテックス(0.5〜3デニール)である。
本発明の3GT異型糸は、後述の方法により測定される光沢度が50〜75であることが好ましい。光沢度が50未満では光沢が弱くなり、丸断面との差が小さくなる。また、光沢度が75を越えると光沢が強くなりすぎ、衣料用に適さない場合がある。より好ましい範囲は55〜70であり、さらに好ましい範囲は60〜70である。この光沢度は、酸化チタン含有率と異型度の適切な組み合わせにより達成される。
i)該トリローバル型孔の断面外周線が半円状の三つの先端部とその間を結ぶ孔外部へ向けて凹の円弧状曲線からなり、且つd/Dのいずれもが0.70〜1.0であること、
(但し、Dはトリローバル型孔の吐出中心から孔断面外周線の外接三角形の一つの辺へ向けて引いた垂線の長さ(mm)であり、dは吐出中心と該垂線と円弧状曲線との交点間の距離(mm)である。)
ii)紡糸温度が255〜275℃であること、
iii)紡糸口金表面温度が250〜275℃であること、
iv) 紡糸口金孔からの吐出線速度Vと3GTの固有粘度[η]との積が4〜13(m/分)(dl/g)であること、
を特徴とする3GT異型糸の製造方法により好適に得られる。
本発明の製造方法においては、紡糸温度は255〜275℃である。ここで、紡糸温度とは、紡糸直前の3GT溶融体の温度である紡糸口金パック5(図8参照)内の温度のことである。一般に、3GTはPETに比べて熱分解性が高いために、PETで行われるような275℃を越える紡糸温度では、糸曲がりや分解ガスによる気泡発生のために順調な紡糸ができないばかりか、得られる繊維の物性も劣ったものになる。一方、紡糸温度が255℃未満では、その他の要件を如何に整えてもメルトフラクチャー等のため順調な紡糸が困難となる。この理由は、255℃未満の紡糸温度では3GTの融点に近いので、溶融粘度が急激に高くなるためである。紡糸温度の好ましい範囲は、メルトフラクチャー及び熱分解共に完全に問題がない255〜270℃である。
図8から分かるように、紡糸口金6はスピンパック5に結合して装着されており、通常、スピンパック5はスピンヘッド4内に装着されているので、紡糸口金表面温度は紡糸温度(スピンヘッド温度)と連動して変化し、それより5〜15℃ほど低いのが普通である。
紡糸口金又は紡糸口金直下の雰囲気を積極的に加熱することによって、紡糸口金表面温度を紡糸温度と独立に調節する方法をとっても良い。
ここで、紡糸口金孔からの吐出線速度Vとは、紡糸口金の吐出面積と孔当たりのポリマー吐出量の関数であり、下記の式(1)を用いて算出される。
V(cm/分)=(X/ρ)/Y ・・・(1)
(式中、Xは孔当たりポリマー吐出量(g/分)、Yは孔の吐出面積(cm2 )を表す。また、ρは溶融した3GTの密度(g/cm3 )であり、ρ=1.15g/cm3 である。)
通常、所定の単糸繊度、即ち、孔当たりポリマー吐出量Xが先に決まるので、紡糸口金孔からの吐出線速度Vの調節は、孔の吐出面積で調節する。
本発明の製造方法においては、3GT中の酸化チタンの含有率が0.03〜0.15wt%であることが好ましい。その理由及び含有率の好ましい範囲については、前記の異型糸の場合で説明したのと同じである。
まず、図8に示すように、本発明で規定する3GTペレットを、連続的に連続ポリマーペレット乾燥機1に投入して、熱風を用いて水分率が30ppmになるように乾燥する。乾燥されたペレットは、引き続き255〜265℃に設定された押出機2に供給され、3GTの融点以上の温度に加熱されて溶融される。溶融された3GTは、その後、ベンド3を経て所定の温度に保たれたスピンヘッド4に供給され、スピンパック5内で紡糸温度に調整され且つ濾過される。
その後、溶融した3GTは、スピンパック5内に装着されたトリローバル型孔を有する紡糸口金6を通して、異型糸となるべく吐出されて、吐出フィラメント7となる。吐出された3GTのフィラメント7は、次いで、冷却ゾーンに導入され、冷却風8によって室温まで冷却されつつ、500m/分以上の周速で回転しているゴデットロール11の引き取り力によって、所定の繊度まで細化され、その途中で、オイリングノズル9によって仕上げ剤が付与され、マルチフィラメント異型糸の未延伸糸10となる。未延伸糸10は、巻取機12で巻取られて未延伸糸パッケージ13が形成される。
次に、この未延伸糸パッケージ13は、図9に示す延伸機に送られる。未延伸糸10は、供給ロール14で45〜65℃に加熱された後、所定の延伸比で延伸され、100〜150℃に設定されたホットプレート15で熱処理された後、延伸糸16となる。延伸比は、供給ロール14と延伸ロール17との速度比で設定される。得られた延伸糸16は、必要に応じて有撚のパーン形状18あるいは無撚のチーズ形状に巻き取られる。
(a)固有粘度[η]
固有粘度[η] は、下記式(2)の定義に基づいて求められる値である。
[η]=lim(ηr−1)/C ・・・(2)
C→0
(但し、ηrは、純度98%以上のo−クロロフェノールに3GTポリマーを溶解し、所定のポリマーの濃度C(g/100ml)に希釈した溶液の35℃で測定した粘度を、同一温度で測定した上記溶剤の粘度で除した値であり、相対粘度と呼ばれるものである。)
数点のCについて相対粘度を測定し、Cを0に外挿して固有粘度[η]を求める。
糸を溶融したパラフィンで包埋し、約5分間放置して固化させる。その後、包埋試料をミクロトームで繊維軸に直角に切り、厚み5〜7ミクロンの切片を得る。次いで、切片試料をスライドグラスに載せ、スライドグラスを加熱してパラフィンを溶解させる。その後、オリーブ油を一滴落としカバーグラスで押さえる。 次に、光学顕微鏡(オリンパス光学工業株式会社製;商品名「BH−2」、型式B071)で単糸断面を観察・撮影し、断面写真を得る。倍率は必要に応じて200〜500倍に設定する。
前記(b)の方法で撮影した断面写真より、断面の最大内接円径rと最小外接円径Rを測定し、下記の式(3)より求める。
異型度=R/r ・・・(3)
(d)光沢度
長さ7cm、幅5cm、厚さ1mmのアルミニウム板に西洋紙を貼り付け、その上から0.1cN/デシテックスの荷重をかけて試料繊維を6重に巻きつけた。巻き付けのピッチは隙間のないよう100本/cmでおこなった。
該繊維試料板を、スガ試験機社製のデジタル変角光沢度計(UGV−4D型)を用いて、JIS−1013(B法)に準じて測定角度60°の光沢度を測定した。試験は試料板の表と裏についてそれぞれ測定をおこない、両者の平均値を繊維の光沢度とした。
酸化チタンを0.05wt%含む固有粘度[η]が0.90(dl/g)のブライト3GTペレットを、図8及び図9に示されるような紡糸機及び延伸機(延撚機)を用いて、38.9デシテックス(35デニール)/24フィラメントのトリローバル型断面のマルチフィラメント異型糸の製造テストを行った。
このテストでは、紡糸口金のY字型孔からの吐出線速度Vと3GTの固有粘度[η]との積V×[η]が、マルチフィラメント異型糸の単糸断面の形状、目白現象の発生状況及び安定紡糸時間に与える影響について調べた。
この紡糸機では、紡糸口金が同時に16個装着可能である。
各例では、同時に16本の未延伸糸を紡糸し、その間、5kg巻き4切替えの巻き取りを行なうプログラムでテストした。これは途中、糸切れが起きなければ26時間の連続紡糸となる。
これに続く延伸においては、同一切替えの16本の未延伸糸パッケージを同時に延伸機にかけ、2.5kg巻き2切り替えの延伸を行い、4回繰り返す(巻き取りの4回の切り替えに相当)プログラムとなる。従って、延伸は切替となる。 各例では、表1に示す8種類(A〜H)の異なる紡糸口金についてテストした。
各紡糸口金は正三角型のものであり、三つ存在するd/Dの値は表1に示す通りである。
(1)マルチフィラメント異型糸の断面形状、異型度
(2)紡糸開始から24時間後の紡糸口金孔周辺の汚れの程度(目白現象の程度)
(3)延伸の各ドッフの延伸収率
(4)得られた糸の光沢度、光沢感
(5)得られた糸の製編性
<紡糸条件>
ペレット乾燥温度及び到達水分率:130℃、25ppm
押出機温度:260℃
紡糸温度 :265℃
ポリマー吐出量:12.9g/分/エンド
紡糸口金表面温度:253℃
冷却風条件:温度22℃、相対湿度90%
仕上げ剤:10wt%水エマルジョン
仕上げ剤付着率:0.8wt%
未延伸糸引取り速度(ゴデットロール周速):1500m/分
巻取り速度:巻取り張力が0.07cN/デシテックス(0.08g/デニール)となるように調節
未延伸糸の巻き質量:5kg/1ボビン
<延伸条件>
供給ロール温度:55℃
ホットプレート温度:130℃
延伸ロール温度:非加熱(室温)
延伸比:異型糸の破断伸度が約40%となるように設定
巻取り速度:800m/分
延伸糸の巻き質量:2.5kg/1パーン
本テストの結果、得られたマルチフィラメント異型糸の断面形状は、紡糸口金A、B、C、G(比較例1、2、3、4)では図3型、紡糸口金F(実施例3)では図2型、紡糸口金D、E、H(実施例1、2、4)では図1型であった。なお、図1型とは、図1に示すような断面形状であることを言う。他も同様。
紡糸口金孔周辺の汚れの肉眼観察では、観察結果は、紡糸口金A及びBでは、紡糸開始直後から汚れが付き始めて時間と共に次第に成長し、目白現象が顕著になって紡糸2ドッフ目では糸切れが激しく紡糸の続行が不可能になった。
紡糸口金C及びGでは、紡糸開始後3時間頃から汚れが付き始めて時間と共に成長し、顕著な目白現象のため紡糸3ドッフ目で糸切れが激しくなり、紡糸の続行が不可能になった。
紡糸口金D、E、F及びHでは、25.6時間以内では目白現象は比較的軽微で、紡糸は少なくとも4ドッフまで可能であった。
採取できた未延伸糸の延伸結果、即ち延伸収率を表2に示す。
延伸収率(%)=100×〔16−(糸切れ数)〕/16 ・・・(4)
延伸収率の評価基準としては、12.8時間目の収率である延伸ドッフ2−2の収率が93.8%以上を良好、81.3%以上を可、81.3%未満を不可とした。
比較例1〜4では、紡糸開始後12時間未満で紡糸の続行が不可能になるか、又は、延伸収率が大幅に低下しているので、A、B、C、Gの紡糸口金を用いる場合には、ワイピング周期を12時間以上とすることは不可能である。
これに対して、実施例1〜4では、紡糸開始後24時間以上の紡糸においても、糸切れが無く、15時間以上経過後の延伸収率も87.5%以上である。
実施例1〜4の条件では、ワイピング周期を12時間以上とすることが可能であると言えるので、このような条件で工業生産が可能である。
また、これらの糸を用いて経編みを実施したところ、実施例1〜4は停台回数が少なかったが、比較例1〜4は停台回数が多く、実用的でないことがわかった。
製編性の評価は、下記のトリコット編成条件で1日運転した時の停台回数を、良(○)、普通(△)、悪い(×)で評価した。
編機:トリコット編機28ゲージ
編組織:ハーフ
ランナー長:フロント筬=132cm/480コース
バック筬 =100cm/480コース
実施例3において、紡糸温度と表面温度を変更した以外は、実施例3と同様にして実験を行った。結果を表3に示す。
紡糸温度が低い比較例5はメルトフラクチャーが発生し、紡糸不能であり、紡糸口金表面温度も低いため、紡糸直後から紡糸口金孔の汚れが発生した。
また、紡糸温度の高い比較例6は、紡糸口金孔の汚れはないものの、糸曲がりが大きく紡糸中の糸切れが多発した。
紡糸温度を270℃とした実施例5は、紡糸状態、紡糸口金孔の汚れ共に良好であった。
紡糸口金ヒーターを使用して紡糸口金表面温度を高くした比較例7は、紡糸口金孔の汚れはないものの、糸切れが多く、また、U%も悪かった。
実施例3において、酸化チタンの含有率を変えた以外は、実施例3と同様にして紡糸テストを行い、得られた異型糸について光沢度、光沢感及び延伸収率(延伸ドッフ2−2)の評価を行った。結果を表4に示す。
表4に示すように、酸化チタン含有率が0.01wt%の実施例6は、酸化チタン含有率が0.05wt%の実施例7に比べて、光沢度が高く光沢感がぎらぎらしており、延伸収率もやや悪かった。また、酸化チタン濃度が高い実施例8は、延伸収率は良好であるものの、実施例7に比べて光沢感がやや劣っていた。
Claims (1)
- 95モル%以上のトリメチレンテレフタレート繰り返し単位と5モル%以下のその他のエステル繰り返し単位から構成され、固有粘度[η]が0.7〜1.3(dl/g)であるポリトリメチレンテレフタレートを紡糸口金孔からの吐出線速度Vとポリトリメチレンテレフタレートの固有粘度[η]との積V×[η]が4〜13(m/分)(dl/g)を満たす条件で製造して得られ、得られた糸がトリローバル型断面を有し、該トリローバル型断面の外周線がすべて断面外部へ向けて凸の曲線からなるか、又は、該トリローバル型断面の外周線が断面外部に向けて凸の曲線及び直線からなり、かつ、下記(1)〜(3)の要件を満足することを特徴とするポリトリメチレンテレフタレート異型糸。
(1) 酸化チタンを0.03〜0.15wt%含有し、且つ単糸繊度が8.9デシテックス(8デニール)以下であること
(2)異型度が1.15〜1.35であること
(3)光沢度が50〜75であること
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