JP3992783B2 - 踏切制御装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、軌道の踏切に設けた警報機や遮断機等の踏切装置を制御する踏切制御装置、特に踏切警報が出力されている時間の短縮化に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
複線区間の駅中間に設けられた踏切の警報制御を行うため、図7に示すように、踏切1より適当な距離だけ手前の警報開始点には閉電路式の踏切制御子A,B,D,Eを設け、踏切1の後方の警報終了点には開電路式の踏切制御子C,Fを設けて踏切警報区間を構成している。そしてX方からY方に進行する下りの列車2が踏切制御子Aの制御区間内に進入すると警報を開始して所定時間後に踏切1を閉扉し、列車2が踏切制御子Cの制御区間外に進出すると警報を解除して開扉して、踏切道を通行する人や車の安全を図っている。なお、図7において、閉電路式の踏切制御子B,Eは制御区間に先行列車と続行列車が進入する無閉そく運転対策用として設置されたものである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上記のように踏切制御子A,Dと踏切制御子C,Fで踏切警報区間を構成し、この区間に下り方向の列車2又は上り方向の列車が在線しているときに踏切警報を発生していると、踏切の保安は確実に保たれるが、列車の本数が多い都市近郊の高密度運転線区では、朝夕のラッシュ・アワ−に長時間にわたって閉扉される踏切がある。踏切が長時間閉扉していると道路側の交通渋滞の原因になるため、踏切の保安を保ちながら踏切閉扉の時間をできるだけ短縮することが要望されている。このため、例えば特公平2−41466号公報に示されたように、踏切を閉扉してから列車の先頭が踏切に到達するまでの時間を一定にした警報定時間制御が採用されている。この警報定時間制御は、図8に示すように、踏切1の手前の始動点に2台1組の車軸検知器21,22を設置し、踏切1の進出側の終始点には1台の車軸検出器23を設置する。そして処理器24は始動点の車軸検知器21,22から入力する列車2の車軸検知信号により車輪の通過方向を検出し、車輪の進入,進出の軸数から列車の速度と通過列車長を検出し、検出した通過列車長から列車の先頭と踏切までの距離を算出し、算出した踏切までの距離と列車の速度から列車の先頭が踏切に到達するまでの時間を一定なるように制御して、警報開始時期を適正にして、開かずの踏切で長時間閉扉されることを防いでいる。
【0004】
しかしながら、警報終了時期を定める開電路式の踏切制御子は、レ−ルを車軸が短絡することにより帰還回路の一部が構成され、発振条件を満足したときに発振してリレ−のコイルを励磁するものであり、踏切道の近端を短絡しても動作しないようにするために踏切道近端から20m以上離れた位置に設置する必要がある。また、開電路式の踏切制御子は電源電圧や周囲温度の変動により制御区間長が20m〜40mと変化する。このため警報終了時期を適正に制御することは困難であり、上記のように警報開始時期を適正に制御しても、踏切警報時間を短縮することには限界があった。
【0005】
この発明はかかる点を改善するためになされたものであり、警報終了時期を適正に制御して踏切警報時間をより短縮することができる踏切制御装置を得ることを目的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
この発明に係る踏切制御装置は、踏切の列車進入側から一定距離隔てた警報開始点に設けられ、警報開始点に進入した列車を検出する閉電路式の踏切制御子と、踏切の列車進行側から一定距離隔てた警報終了点に設けられ、警報終了点を列車が進出したことを検出する開電路式の踏切制御子及び踏切制御部とを有する踏切制御装置において、踏切の列車進出側と前記開電路式の踏切制御子の設置位置との間で踏切の列車進出側の近傍位置に設けられたループコイルと、該ループコイルのインダクタンス変化に伴う周波数変化することを利用して列車を検知するループコイル式列車検知処理部とからなるループコイル式列車検知装置を有し、前記踏切制御部は前記閉電路式の踏切制御子で列車を検知すると踏切警報を出力し、列車が進行して前記ループコイル式列車検知装置で列車を検知してから前記開電路式の踏切制御子で列車を検知した後、前記ループコイル式列車検知装置で列車を検知しなくなったとき踏切警報を解除することを特徴とする。
【0007】
【発明の実施の形態】
この発明の踏切制御装置は、閉電路式の踏切制御子とル−プコイル式列車検知装置と踏切制御部とを有する。閉電路式の踏切制御子は踏切の列車進入側から一定距離隔てた警報開始点に設けられ、警報開始点に進入した列車を検出し、ル−プコイル式列車検知装置はル−プコイルとル−プコイル式列車検知処理部とを有する。ル−プコイルは踏切の列車進出側の近傍の警報終止点に設けられ、ル−プコイル式列車検知処理部はル−プコイルのインダクタンス変化に伴う周波数変化を検知して、列車が警報終止点から進出したことを検出する。踏切制御部は複数のリレ−回路を有し、閉電路式の踏切制御子からの列車検知情報により、列車が踏切制御区間に進入したことを検知して踏切警報信号を出力し、ル−プコイル式列車検知装置からの列車検知情報により、列車が踏切制御区間から進出したことを検知して踏切警報信号の出力を停止する。
【0008】
このように列車が踏切制御区間から進出したことを検出する警報終止点にル−プコイルを設けることにより、警報終止点を踏切の近傍に設けることができる。また、ル−プコイルはル−プコイルの長さが制御区間長となり、気温等により制御区間長が変動しないから、列車が踏切制御区間から進出したことを精度良く検出することができる。
【0009】
また、ル−プコイルは列車が制御区間を通過しているとき、レ−ルの浮き等により踏切制御子に発生するような2段動作(あおり)が生じないため、不正動作を防止するために一定時間を遅延させる緩動ユニットを使用する必要がなく、列車が制御区間から進出したときに、直ちに踏切警報を終了させることができる。
【0010】
【実施例】
図1はこの発明の一実施例の踏切制御装置の構成を示すブロック図である。図に示すように、踏切制御装置は閉電路式の踏切制御子A,B,D,Eと開電路式の踏切制御子C,Fとル−プコイル式列車検知装置3と踏切制御部4とを有し、踏切警報装置5の動作を制御する。閉電路式の踏切制御子A,Bは、図2の配置図に示すように、複線区間で下りの列車2が進行するX方からY方の軌道の踏切1より適当な距離だけ手前の警報開始点に設けられ、閉電路式の踏切制御子D,Eは上りの列車2が進行するY方からX方の軌道の踏切1より適当な距離だけ手前の警報開始点に設けられている。開電路式の踏切制御子Cは下りの軌道の踏切1から20m以上離れた進出側の位置に設けられ、開電路式の踏切制御子Fは上りの軌道の踏切1から20m以上離れた進出側の位置に設けられている。ここで閉電路式の踏切制御子B,Eは制御区間に先行列車と続行列車が進入する無閉そく運転対策用として設置されたものである。
【0011】
ル−プコイル式列車検知装置3は下り用のル−プコイルC1と上り用のル−プコイルF1とル−プコイル式列車検知処理部6を有し、ル−プコイルC1,F1をそれぞれ発振回路の一部とし、列車2の接近により発振周波数が変化することを利用して列車2を検知するものであり、ル−プコイルC1は下りの軌道の踏切1と踏切制御子Cとの間で踏切1から一定距離、例えば5m隔てた位置に設けられ、ル−プコイルF1は上りの軌道の踏切1と踏切制御子Fとの間で踏切1から一定距離、例えば5m隔てた位置に設けられている。ル−プコイル式列車検知処理部6はル−プコイルC1,F1のインダクタンス変化に伴う周波数変化を検知して踏切制御部4に設けた列車検知情報を解除するル−プコイルC1,F1の反応リレ−C1PR,F1PRや断線,事故等を検知する正常リレ−CHRの動作を制御する。
【0012】
踏切制御部4には、図3の回路図に示すように、各踏切制御子A〜Fの反応リレ−APR,BPR,CPR,DPR,EPR,FPRと、下り方向の警報区間内の列車2の有無を検知する保持リレ−下SRと上り方向の警報区間内の列車2の有無を検知する保持リレ−上SRと、踏切警報を出力するRリレ−とを有する。APRリレ−は、図4の動作波形図に示すように、コイルが常時励磁され、踏切制御子Aの制御区間に下り方向の列車2が進入して踏切制御子AのADCリレ−のコイルが無励磁となったときにコイルが無励磁となり、踏切制御子Aの制御区間から列車2が進出すると再びコイルが励磁される。C1PRリレ−とCPRリレ−はコイルが常時無励磁となっており、C1PRリレ−はル−プコイルC1と列車2が結合しているときにコイルが励磁され、CPRリレ−は踏切制御子Cの制御区間に列車2が進入して踏切制御子CのCDCリレ−のコイルが無励磁となったときにコイルが励磁され、踏切制御子Cの制御区間から列車2が進出すると再びコイルが無励磁となる。下SRリレ−も常時コイルが励磁され、APRリレ−のコイルが無励磁になるとコイルが無励磁となり、CPRリレ−のコイルが励磁されるとコイルが励磁され、列車2が踏切制御子Aの制御区間に進入してから踏切制御子Cの制御区間に進入するまでの間、警報区間に列車2が存在していることを明らかにする。DPR,F1PR,FPR,上SRリレ−も上り方向の列車2により上記と同様な動作を行う。Rリレ−はコイルが常時励磁され、下SRリレ−又は上SRリレ−のコイルが無励磁になったときに無励磁となり、無励磁になった下SRリレ−又は上SRリレ−のコイルが励磁した後、C1PRリレ−又はF1PRリレ−のコイルが無励磁になったときにコイルが励磁し、ル−プコイル式列車検知装置3が正常に動作していないときは、CPRリレ−又はFPRリレ−のコイルが無励磁になったときにコイルが励磁する。すなわち、従来の踏切警報の終了を示すCPRリレ−とFPRリレ−の動作を制御する踏切制御子Cと踏切制御子FはC1PRリレ−とF1PRリレ−の動作を制御するル−プコイルC1とル−プコイルF1のバックアップとして使用される。また、踏切制御子Cや踏切制御子Fを使用する場合にはRリレ−の回路には踏切制御子C等の2段動作(あおり)しても不正動作を防止するために一定時間を遅延させる緩動ユニットを使用するが、ル−プコイルC1とル−プコイルF1を使用するときは2段動作(あおり)が生じないため、Rリレ−の回路で緩動ユニットを使用しなくても良い。なお、図3において、B24,C24を電源を示す。
【0013】
また、C1PRリレ−及びF1PRリレ−のコイルが励磁されたときに開放する接点は、図5に示すように、無警報を検出するOXRリレ−の無警報検出回路にCPRリレ−とFPRリレ−の接点と並列に接続されている。この無警報を検出するOXRリレ−はRリレ−のコイルが無励磁になったとき、すなわち踏切警報が出力されているときにコイルが励磁されて閉成するRBPRリレ−の接点が接続されているため、列車2が終止点に進入してC1PRリレ−,F1PRリレ−,CPRリレ−及びFPRリレ−の接点が開放してもOXRリレ−は無励磁とならず、無警報信号を出力しないようになっている。そして警報開始点に列車2が進入したときにADC,APR,DDC又はDPRリレ−が無励磁にならず列車2を検知しないときはRリレ−が無励磁にならないので、C1PRリレ−,F1PRリレ−,CPRリレ−又はFPRリレ−の接点が開放したときに、OXRリレ−は無励磁となって無警報信号を出力する。
【0014】
上記のように構成された踏切制御装置を使用した踏切1の踏切制御子Aの制御区間に下りの列車2が進入すると、図4に示すように、下SRリレ−が無励磁となり、踏切制御区間に列車2が在線したことを検知する。踏切制御区間に列車2が在線するとRリレ−が無励磁となり踏切警報を出力する。列車2が進行してル−プコイルC1の制御区間に進入するとC1PRリレ−が励磁される。この状態で列車2が踏切制御子Cの制御区間に進入するとCPRリレ−が励磁されて下SRリレ−も励磁される。この状態で列車2がル−プコイルC1の制御区間から進出するとC1PRリレ−は無励磁となりRリレ−が再び励磁されて踏切警報を解除する。このようにして従来の終止点を定める踏切制御子Cの制御区間を列車が進出する以前に踏切警報を解除することができ、踏切の保安を確保しながら踏切警報時間を短縮することができる。
【0015】
例えば従来の開電路式の踏切制御子Cは踏切道の近端を短絡しても動作しないようにするために踏切道近端から20m以上離れた位置に設置する必要がある。また、開電路式の踏切制御子は電源電圧や周囲温度の変動により制御区間長が20m〜40mと変化する。一方、ル−プコイルC1は長さがそのまま制御区間長になる。例えば長さが5mのル−プコイルC1を使用した場合には制御区間長は5mになる。さらにル−プコイルC1の設置個所は踏切道から1m以上離すと、踏切道を通過する車両等の金属物を誤検知しなくなる。そこで、例えば図6に示すように長さL0=5mのル−プコイリC1を踏切1の近端から距離L1=1mの位置に設置し、踏切制御子Cを踏切1の近端から距離L2=20Mの位置に設置し、ル−プコイルC1で警報終止点を定めたときと踏切制御子Cで警報終止点を定めたときの警報終止点の距離の差ΔLは踏切制御子Cの制御区間長L3=20mのときに36mとなり、制御区間長L3=40mのときに56mになる。この距離の差ΔL=36m〜56mを例えば速度65km/hで列車2が走行する時間は約2〜3秒になる。また踏切制御子Cを使用した場合にはRリレ−に緩動ユニットを使用しているため、列車2が踏切制御子Cの制御区間から進出してから2秒程度経過してからRリレ−が非励磁となって踏切警報が終了する。したがって、この場合ル−プコイルC1で警報終止点を定めると、踏切制御子Cで警報終止点を定めたときと比べて踏切警報時間を4〜5秒短縮することができ、開かずの踏切に対する対策として十分な効果を発揮することができる。
【0016】
【発明の効果】
この発明は以上説明したように、列車が踏切制御区間から進出したことを検出する警報終止点にル−プコイルを設けるようにしたから、警報終止点を踏切の近傍に設けることができ、踏切警報の終了時期を早めて踏切警報時間を短縮することができる。
【0017】
また、ル−プコイルはル−プコイルの長さが制御区間長となり、気温等により制御区間長が変動しないから、列車が踏切制御区間から進出したことを精度良く検出することができ、踏切の保安を確実に確保することができる。
【0018】
さらに、ル−プコイルは列車が制御区間を通過しているときに、レ−ルの浮き等により踏切制御子に発生するような2段動作(あおり)が生じないため、不正動作を防止するための緩動ユニットを使用する必要がなく、列車が制御区間から進出したときに、直ちに踏切警報を終了させることができ、踏切警報時間をより短縮することができる。
【0019】
また、既設の設備にル−プコイル式列車検知装置を追加してリレ−回路の一部を修正するだけで良いから、踏切警報時間を簡単に短縮することができ、開かずの踏切に対する対策として十分な効果を発揮することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施例の踏切制御装置の構成を示すブロック図である。
【図2】上記実施例の配置図である。
【図3】踏切制御部の構成を示す回路図である。
【図4】上記実施例の動作を示す波形図である。
【図5】無警報検出回路の構成を示す回路図である。
【図6】ル−プコイルと開電路式の踏切制御子の配置図である。
【図7】従来例の踏切制御子の配置図である。
【図8】第2の従来例の構成を示す配置図である。
【符号の説明】
1 踏切
2 列車
3 ル−プコイル式列車検知装置
4 踏切制御部
6 ル−プコイル式列車検知処理部
A,B,D,E 閉電路式の踏切制御子
C,F 開電路式の踏切制御子
C1、F1 ル−プコイル
Claims (1)
- 踏切の列車進入側から一定距離隔てた警報開始点に設けられ、警報開始点に進入した列車を検出する閉電路式の踏切制御子と、踏切の列車進行側から一定距離隔てた警報終了点に設けられ、警報終了点を列車が進出したことを検出する開電路式の踏切制御子及び踏切制御部とを有する踏切制御装置において、
踏切の列車進出側と前記開電路式の踏切制御子の設置位置との間で踏切の列車進出側の近傍位置に設けられたループコイルと、該ループコイルのインダクタンス変化に伴う周波数変化することを利用して列車を検知するループコイル式列車検知処理部とからなるループコイル式列車検知装置を有し、
前記踏切制御部は前記閉電路式の踏切制御子で列車を検知すると踏切警報を出力し、列車が進行して前記ループコイル式列車検知装置で列車を検知してから前記開電路式の踏切制御子で列車を検知した後、前記ループコイル式列車検知装置で列車を検知しなくなったとき踏切警報を解除することを特徴とする踏切制御装置。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP12011497A JP3992783B2 (ja) | 1997-04-24 | 1997-04-24 | 踏切制御装置 |
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