JP3991933B2 - 画像読み取り装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、画像読み取り装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、イメージスキャナ等の画像読み取り装置において、原稿読み取りに用いるイメージセンサを用いて原稿サイズを自動判定する技術が知られている。特許文献1に記載された技術によると、予め決められたリニアイメージセンサの画素の出力信号をサンプリングすることによって原稿台上の複数の判定領域について光学的濃度を測定し、その結果に基づいて原稿サイズを判定する。
【0003】
【特許文献1】
特開平9−191370号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、原稿台上の複数の判定領域からリニアイメージセンサに至る光路は光学系の製造公差によってばらつくため、予め決められたリニアイメージセンサの画素の出力信号をサンプリングすると、その出力信号に基づいて測定している原稿台上の領域が装置毎にばらつくこととなる。したがって、従来の画像読み取り装置では、光学系の製造公差によって原稿サイズを誤判定するおそれがあった。本発明は、このような問題を解決するために創作されたものであって、原稿サイズの判定精度を向上させる画像読み取り装置を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明に係る画像読み取り装置は、盤面に原稿が載置される透明な原稿台と、離散的に配列された複数の画素での光電変換により前記原稿を読み取るイメージセンサと、前記原稿台に載置された原稿の反射光像を前記イメージセンサの受光面に結像させる第一光学系と、前記原稿台の盤面上で互いに離間して主走査方向に並ぶ複数の第一判定領域から前記イメージセンサの所定の画素に至る第一の光路が前記第一光学系によって形成されているとき、前記原稿台の盤面上で前記第一判定領域から副走査方向に所定距離離間した第二判定領域から前記イメージセンサの所定の画素に至る第二の光路を形成する第二光学系と、少なくとも前記イメージセンサ及び前記第一光学系、並びに前記第二光学系の一部が搭載されているキャリッジを副走査方向に往復運動させるキャリッジ移動手段と、前記イメージセンサの複数の画素の出力信号をサンプリングして前記第一判定領域の光学的濃度と前記第二判定領域の光学的濃度とを測定し、測定された前記第一判定領域の光学的濃度及び前記第二判定領域の光学的濃度に基づいて前記原稿台の盤面に載置された原稿のサイズを判定する原稿サイズ判定手段と、前記第一光学系の倍率を測定する倍率測定手段とを備え、前記キャリッジ移動手段は、前記第一の光路と前記第二の光路とが同時に形成される位置であって前記第二光学系に対しても前記第一光学系の倍率測定結果を適用できる位置に前記キャリッジを移動し、前記原稿サイズ判定手段は、前記キャリッジが前記位置にあるときに前記イメージセンサの複数の画素の出力信号をサンプリングし、このサンプリングにおいて、前記第一判定領域及び前記第二判定領域に対応するサンプリング対象の画素を前記倍率測定手段の測定結果に応じて変更する。原稿サイズを判定するために出力信号をサンプリングする対象となるイメージセンサの画素を光学系の倍率に応じて変更することにより、原稿サイズの判定精度を向上させることができる。
【0006】
さらに、原稿台の盤面上で互いに離間して主走査方向に並ぶ複数の第一判定領域のみならず、原稿台の盤面上で第一判定領域から副走査方向に所定距離離間した第二判定領域の光学的濃度を測定することにより、原稿台上に載置される原稿の向きが一定でない場合であっても、多様な原稿サイズを相互に区別できる。また、複数の第一判定領域からイメージセンサの所定の画素に至る光路が形成されているとき、第二判定領域からイメージセンサの所定の画素に至る光路を形成する第二の光学系をさらに備えることにより、イメージセンサの主走査線を副走査方向に平行移動させることなしに、原稿の副走査方向の長さを短時間で判定することができる。
【0007】
さらに、第二判定領域の光学的濃度を測定するためにサンプリングするイメージセンサの画素を倍率測定手段の測定結果に応じて変更することにより、原稿の副走査方向の長さの判定精度を向上させることができる。
さらに本発明に係る画像読み取り装置は、前記原稿台の盤面を開放した姿勢から前記原稿台の盤面を覆う姿勢に揺動可能に設けられた原稿カバーをさらに備え、前記原稿サイズ判定手段は、前記第一光学系及び前記第二光学系により前記イメージセンサの所定の画素に入射する光量の変化であって、前記原稿カバーが前記原稿台の盤面を開放した姿勢から前記原稿台の盤面を覆う姿勢に揺動する期間中の光量変化に基づいて、前記原稿台の盤面に載置された原稿のサイズを判定する。
さらに本発明に係る画像読み取り装置は、前記原稿サイズ判定手段は、前記原稿台の盤面上の複数の領域について、前記原稿台の盤面上の縁部からサイズを判定可能な最小サイズの原稿の指定載置範囲内に向かう順序で、原稿に覆われているか否かを判別する。
【0008】
尚、本発明に備わる複数の手段の各機能は、構成自体で機能が特定されるハードウェア資源、プログラムにより機能が特定されるハードウェア資源、又はそれらの組み合わせにより実現される。また、これら複数の手段の各機能は、各々が物理的に互いに独立したハードウェア資源で実現されるものに限定されない。
また、本発明は装置の発明として特定できるだけでなく、プログラムの発明としても、そのプログラムを記録した記録媒体の発明としても、方法の発明としても特定することができる。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を実施例に基づいて説明する。
図2は、本発明の一実施例に係る画像読み取り装置としてのイメージスキャナ14の上面図である。図3、図4及び図5は、イメージスキャナ14の模式的な断面図である。イメージスキャナ14は、ハウジング20の上面にガラス板などで形成された概ね矩形の透明な原稿台30を備えた所謂フラットベッド型である。原稿台30にはその盤面上に写真、文書等の原稿が載置される。原稿は、原稿台30の縁に設けられたL字形状の原稿ガイド24の端面22、32に当接することによって、原点に対応する原稿台30の盤面上の角部に原稿の角部が位置するように位置決めされる。図11に示すように、原稿ガイド24の裏面には白基準板84が設けられている。白基準板84には第一光学系46(図4参照)及び第二光学系58(図5参照)の光学倍率を測定するための2つの光学倍率測定マーク80、82が形成されている。設計上、2つの光学倍率測定マーク80、82が第一光学系46によって結像されるイメージセンサ54の画素(p4、p6で図11に例示する。)は、後述する基準情報として製造時に予め記憶されている。
【0010】
原稿カバー16は、原稿台30の盤面を開放した姿勢(全開姿勢)から原稿台30の盤面を覆う姿勢(全閉姿勢)に揺動可能にヒンジ17によってハウジング20に連結されている。尚、図2は原稿カバー16の全開姿勢を示している。原稿カバー16は原稿台30に載置される原稿を押さえるとともに、メインランプ34及びLED36の放射光以外の光が原稿を照らすことがないよう原稿台30を覆うものである。また、ハウジング20の上面の原稿カバー16の揺動軸線近傍から、原稿カバー16の姿勢を検出するための姿勢センサ41の可動部材12が突出している。
【0011】
以下の説明では、図3に示す姿勢I を全開姿勢といい、姿勢III を全閉姿勢といい。姿勢IIを中間姿勢というものとする。姿勢センサ41は、原稿カバー16の姿勢変化を検出するセンサである。姿勢センサ41の可動部材12はハウジング20の上面から突出する方向にばね38によって付勢されている。原稿カバー16が中間姿勢になると可動部材12は原稿カバー16に当接し、中間姿勢からさらに全閉姿勢に近づくと、可動部材12はハウジング20の内側へ押し込まれるため、原稿カバー16の姿勢変化が検出される。
【0012】
図4に示すようにキャリッジ28は、原稿台30の盤面と平行に往復移動自在にハウジング20に収容されている。キャリッジ28はリニアイメージセンサ54、及び第一光学系46、並びに第二光学系58の一部を搭載し、原稿台30の盤面に対し平行なガイド用のシャフト等にスライド自在に係止されている。ガイド用のシャフトの長手方向軸は図4のX方向(副走査方向)に延伸しており、キャリッジ28は例えばベルトにより牽引されてリニアイメージセンサ54等を副走査方向に運搬する。
【0013】
リニアイメージセンサ54は、原稿台30に載置された原稿Mの反射光を光電変換することにより原稿Mを読み取る。具体的には、リニアイメージセンサ54は図4において紙面垂直方向に直線状に並ぶフォトダイオード等の複数の画素を有し、可視光、赤外光、紫外光などの所定の波長領域の光を光電変換して得られる電荷を一定時間蓄積し、各画素について受光量に応じて蓄積された電荷をCCD(Charge Coupled Device)、MOSトランジスタスイッチ等を用いてフローティングキャパシタに転送する。フローティングキャパシタに転送された電荷は電圧信号として出力される。
【0014】
第一光学系46は、光源としてのメインランプ34、ミラー50、44、42、48及びレンズ52を備える。メインランプ34はキセノンランプ等の管照明装置から構成されており、その長手方向軸線がリニアイメージセンサ54の長手方向軸線と平行に延びる姿勢でキャリッジ28に搭載されている。メインランプ34はハウジング20の内側から原稿台30の裏面側を照射する。ミラー50、44、42、48及びレンズ52は、図4に破線で示すように原稿台30の盤面上の領域であってリニアイメージセンサ54の長手方向軸線と平行な主走査線上の領域からリニアイメージセンサ54に至る光路Tを形成する。
【0015】
図5に示すように第二光学系58は、LED(Light Emitting Diode)36、ミラー51、56、49、48及びレンズ52を備える。尚、ミラー48及びレンズ52は第一光学系46としても第二光学系58としても用いられるものである。LED36は原稿台30の盤面上の判定領域であって原稿ガイド24の主走査方向に延びる端面22から副走査方向Xに所定距離離間した判定領域Hを照射する位置に配置される。判定領域Hは原稿の副走査方向の長さを判定するために設定される領域であり、その具体的な位置については後述する。ミラー51、56、49、48及びレンズ52は、図5に破線で示すように判定領域Hからリニアイメージセンサ54に至る光路Rを形成する。LED36、ミラー56、51はキャリッジ28の移動に支障のない位置に配置されている。第一光学系46及び第二光学系58によって副走査方向に互いに離間した少なくと2つの領域からイメージセンサ54に至る光路を同時に形成することができるため、キャリッジ28を静止させた状態で原稿の副走査方向の長さを判定することが可能になる。これにより、原稿台30上に載置される原稿の向きが一定でない場合であっても、短時間に多様な原稿サイズを相互に区別することが可能になる。
【0016】
図6は、イメージスキャナ14を示すブロック図である。
主走査駆動部72は、リニアイメージセンサ54を駆動するために必要な駆動パルスをリニアイメージセンサ54に出力する駆動回路である。主走査駆動部72は、例えば同期信号発生器、駆動用タイミングジェネレータ等から構成される。
【0017】
副走査駆動部74は、キャリッジ28に係止されたベルト、このベルトを回転させるモータ及び歯車列、駆動回路等で構成される。副走査駆動部74がキャリッジ28をベルトで牽引することで図4の紙面垂直方向に延びる主走査線がそれに垂直な副走査方向に移動するため、2次元画像の走査が可能となる。
【0018】
AFE部60は、アナログ信号処理部、A/D変換器等から構成される。アナログ信号処理部は、リニアイメージセンサ54又はフォトダイオード33から出力された電気信号に増幅、雑音低減処理等を施して出力する。A/D変換器は、アナログ信号処理部から出力された出力信号を量子化して所定ビット長のディジタル表現の出力信号を出力する。以下の説明では、出力信号は8ビット長、すなわち256階調で表されるものとする。
ディジタル画像処理部62は、AFE部60から出力された出力信号に対し、シェーディング補正、ガンマ補正、画素補間法による欠陥画素の補間、画像信号の鮮鋭化等の処理を行って画像データを作成する。
【0019】
制御部70は、CPU66、ROM64及びRAM68を備える。CPU66はROM64に記憶されたコンピュータプログラムを実行してイメージスキャナ14の各部を制御する。また、CPU66はROM64に記憶されたコンピュータプログラムを実行することで、倍率測定手段及び原稿サイズ判定手段としても機能する。ROM64はCPU66が実行するコンピュータプログラム、原稿サイズの判定に用いる判定テーブル(図17参照)、光学系の倍率を測定するための基準情報、その他各種のプログラムやデータなどを記憶しているメモリである。これらのプログラムや各種のデータは、所定のサーバからネットワークを介してダウンロードして入力してもよいし、図示しないリムーバブルメモリ等のコンピュータ読み取り可能な記憶媒体から読み出して入力してもよい。RAM68はプログラムやデータを一時的に記憶するメモリである。
【0020】
図7(A)は姿勢センサ41を示す模式図、図7(B)は姿勢センサ41の出力信号の波形図である。姿勢センサ41は、原稿カバー16の姿勢を検出するセンサである。姿勢センサ41は、可動部材12、可動部材12を付勢してハウジング20から突出させるばね38、姿勢検出用LED76、姿勢検出用LED76から放射された光を検出するフォトダイオード40とを備える。尚、姿勢検出用LED76から放射された光をリニアイメージセンサ54に到達させる光路を設け、リニアイメージセンサ54で姿勢検出用LED76から放射された光を検出してもよい。姿勢センサ41の出力信号は原稿カバー16が揺動するとき中間姿勢になる前後で変化する。従って、姿勢センサ41の出力信号を所定時間間隔で判定すると、原稿カバー16が中間姿勢になったタイミングを検出できる。
【0021】
次にイメージスキャナ14の作動について説明する。
図1はイメージスキャナ14で原稿を読み取るまでの全体の処理を示すフローチャートである。はじめに、光学倍率測定マーク80、82の位置を測定して光学倍率を測定し、測定した光学倍率に応じて、原稿サイズを判定するために出力信号をサンプリングする対象となる画素を設定する(S100)。次に、原稿カバー16を閉じる動作に伴うサンプリング対象画素の出力信号の変化を検出する(S200)。次に、サンプリング対象画素の出力信号の変化に基づいて原稿サイズを判定する(S300)。次に、判定した原稿サイズに対応した領域を読み取る(S400)。以下、これらの処理について詳細に説明する。
【0022】
図8は光学系の光学倍率に応じてサンプリングするイメージセンサの画素を設定する処理を示すフローチャートである。
はじめに、白基準板84上で光学倍率測定マーク80、82が形成されていない領域を読み取ってシェーディング補正のための白基準を設定する(S110)。次に、光学倍率測定マーク80、82を読み取って取得したリニアイメージセンサ54の出力信号に基づいて光学倍率測定マーク80、82の位置を測定する(S120)。次に、測定した光学倍率測定マークの位置と、予めROM64に記憶された基準情報が表す光学倍率測定マーク80、82の位置とを比較し、比較結果に基づいてサンプリング対象画素を設定する(S130)。ここで、サンプリング対象画素を設定する処理について詳細に説明する。
【0023】
図9は、原稿台30の平面図である。図中の枠A5H〜WLTはそれぞれ図10に示す原稿サイズを表している。原稿サイズを判定する場合、リニアイメージセンサ54の全ての画素について光量変化を検出する必要はなく、原稿台30上の特定の判定領域における反射光が入射する画素についてのみ光量変化を検出すればよい。原稿サイズを判定するために出力信号をサンプリングすべきリニアイメージセンサ54の画素は、第一光学系46及び第二光学系58を介して判定領域A〜Hから光が入射する画素である。誤判定を防止するため、各判定領域にはそれぞれ連続する複数の画素を対応させることが望ましい。
【0024】
第一判定領域としての判定領域A〜Gは、原稿の主走査方向の長さを判定するための領域である。判定領域A〜Gの副走査方向の位置は、判定対象の規格用紙サイズの最短の副走査方向の長さより短い距離(図10の例では148mm以内)の範囲で原稿ガイドの端面22から副走査方向に若干離れた位置で主走査方向に一直線上に並ぶように設定されている。判定領域A〜Gの主走査方向の位置は、具体的には例えば原稿ガイド24の端面32から判定領域A〜Gまでの距離を以下に示す範囲に設定すると、図10に示す原稿サイズを判定することができる。
【0025】
0mm<A<148mm
148mm<B<182mm
184.15mm<C<210mm
210mm<D<215.9mm
215.9mm<E<257mm
266.7mm<F<279.4mm
279.4mm<G<297mm
【0026】
第二判定領域としての判定領域Hは、原稿の副走査方向の長さを判定するための領域である。判定領域Hは、具体的には例えば、原稿台30においてA4縦サイズ(A4V)の原稿に覆われる領域であって且つレター縦サイズ(LTV)の原稿には覆われない領域の任意の位置に設定される。すなわち原点Qから副走査方向に279.4mm以上297mm以内であり、且つ主走査方向に原点Qから0mm以上210mm以内の領域の任意の位置に設定される。原点Qは、L字状の原稿ガイド24の端面22、32が形成する角部の直下の盤面上に設定される。尚、主走査方向の長さのみで全ての原稿サイズを判定できるために副走査方向の長さを判定する必要がない場合、判定領域Hに対応する画素について光量変化を検出することは不要である。その場合は前述した第二光学系58についても不要となる。
【0027】
図11及び図12は、光学系の倍率に応じてサンプリングする画素を変更する処理を説明するための斜視図である。光学倍率測定マーク80、82を読み取って光学倍率測定マーク80、82の位置を測定するとき、光学倍率測定マーク80、82の位置は、イメージセンサ54の画素の番号と対応付けて特定される。予めROM64に記憶された基準情報は、設計上、光学倍率測定マーク80、82に対応する画素(p4、p6)の番号と、設計上、判定領域A〜Hとに対応する画素(p1、p2、p5で図中に例示する。)の番号を示している。光学倍率測定マーク80、82を読み取って特定した画素(p3、p7で図中に例示する。)の番号と、基準情報が示す光学倍率測定マーク80、82に対応する画素(p4、p6)の番号とを比較することによって、光学系の倍率誤差を特定することができる。光学系の倍率誤差が特定されると、基準情報が示す判定領域A〜Hに対応する画素(p1、p2、p5)の番号を光学系の倍率誤差に応じて変更した番号を、サンプリング対象の画素(p8、p9、p10で例示する)の番号として設定する。以上、サンプリング対象画素を設定する処理について説明した。
【0028】
次に原稿サイズを判定する処理について説明する。はじめに、原稿サイズを検出する原理を説明する。尚、原稿サイズの判定方法は、以下に述べる方法に限定されるものではなく、原稿読み取り用のイメージセンサを用いて原稿サイズを判定する方法であればどのような方法であってもよい。
【0029】
図13は、原稿台30に原稿を載置していない状態で原稿カバー16が全閉姿勢のタイミングと原稿カバー16が中間姿勢になるタイミングとでそれぞれ1ライン分の画素の出力信号をプロットしたグラフである。原稿カバー16が全閉姿勢の場合、メインランプ34の放射光は原稿カバー16によって反射され原稿台30からハウジング20の内部に入射する。一方、原稿カバー16が中間姿勢の場合、原稿台30からリニアイメージセンサ54に入射するメインランプ34の反射光の光量は、光が拡散するため、全画素について全閉姿勢の場合に比べて減少する。また中間姿勢では、原稿カバー16上の位置であって揺動軸線に近い位置で反射された光の多くはリニアイメージセンサ54に入射し、揺動軸線から遠い位置で反射された光の多くはリニアイメージセンサ54に入射しない。このため原稿カバー16の揺動軸線から遠い画素ほど、受光量の減少幅が大きくなる。また、メインランプ34は長手方向の中央近傍ほど輝度が高く、両端部ほど輝度が低くなるため、原稿カバー16が中間姿勢になるタイミングでは、中央よりやや揺動軸線に近い画素で最も受光量が大きくなる。
【0030】
一方、盤面上の判定領域が原稿に覆われている場合、原稿で覆われた判定領域から光が入射するリニアイメージセンサ54の各画素は原稿カバー16が全閉姿勢であるか中間姿勢であるかによらず、常にメインランプ34によって照射された原稿Mの反射光を受光する。原稿Mの反射光を受光する画素では、原稿カバー16が全閉姿勢であっても中間姿勢であってもメインランプ34によって照射された原稿Mの反射光がほとんど変化しないため、受光量はほぼ一定である。
このため原稿カバー16が全閉姿勢になるタイミングまたはその直前のタイミングでの出力信号と中間姿勢のタイミングでの出力信号との差は、原稿に覆われている判定領域に対応する画素では小さくなり、原稿に覆われていない判定領域に対応する画素では大きくなる。
【0031】
従って、原稿カバー16が全閉姿勢のタイミング又はその直前のタイミングの出力信号と中間姿勢になるタイミングの出力信号との変化幅に所定のしきい値Yを設定し、ある画素に対応する出力信号の変化幅がしきい値Yより小さければ、当該画素に対応する判定領域が原稿に覆われていると判定できることになる。すなわち、原稿カバー16が全開姿勢から全閉姿勢に揺動するとき、ある画素について受光量の変化幅の大小を判別すると、その画素に対応する原稿台30の盤面上の判定領域が原稿に覆われているか否かを判別できる。この判別方法では、その画素に対応する原稿台30の盤面上の判定領域が原稿に覆われているか否かは、その画素以外の画素の受光量の変化幅を考慮することなく判別できる。
【0032】
図14は光量変化を検出する処理の流れを示すフローチャートであり、図15は光量変化を検出するタイミングを説明するためのタイムチャートである。以下、図14及び図15に基づいてサンプリング対象画素の出力信号の変化を検出する処理について説明する。
S205では、所定時間間隔で姿勢センサ41の出力信号を監視して原稿カバー16が中間姿勢になるタイミングを検知する。
【0033】
S210では、メインランプ34を点灯させる。
S215では、メインランプ34を点灯してから時間t1が経過するまで待機する。時間t1は、メインランプ34がキセノンランプの場合、例えば10ミリ秒程度である。
S220では、LED36を点灯する。ここでLED36を点灯するタイミングより早いタイミングでメインランプ34を点灯するのは、メインランプ34は最大輝度の光を安定して放射するようになるまでLED36より長い時間を要するからである。
【0034】
S225では、キャリッジ28を静止させた状態でリニアイメージセンサ54でt2の期間だけ電荷を蓄積し、蓄積した電荷を検出し、サンプリング対象画素として設定された画素の出力信号をサンプリングする。このとき、第二光学系58を介してリニアイメージセンサ54の端部近傍の画素に判定領域Hの光が入射するため、キャリッジ28を静止させた状態であっても判定領域A〜Gとともに判定領域Hの光学的濃度も測定される。
【0035】
S230では、劣化を防止するためLED36を一端消灯する。
S235では、読み取り回数を判定し、読み取りが1度目であるときはS240に進む。読み取りが2度目であるときはS250に進む。
S240では、S225で一度目にサンプリングした画素の出力信号をRAM68に記憶する。具体的には例えば画素毎の平均値、例えば一つの判定領域に対応する20画素の出力信号の平均値をRAM68に記憶する。
S245では、LED36を消灯してから時間t3が経過するまで待機する。ここで時間t3はユーザが原稿カバー16を中間姿勢から全閉姿勢に回動させるまでに要する時間として推定される時間であり、具体的には例えば1000ミリ秒程度である。
【0036】
S250では、メインランプ34を消灯する。人間の目には同じ輝度の光であっても一瞬だけ光る場合の方が長く光る場合に比べて眩しく感じられ、一般にその時間が200ミリ秒程度以上であれば眩しく感じる程度が小さくなる。このためメインランプ34の点灯時間t4は少なくとも200ミリ秒以上であることが望ましい。尚、メインランプ34もLED36と同様に1度目の読み取りの後に一端消灯するようにしてもよい
【0037】
S255では、2度目にサンプリングする画素の出力信号をRAM68に記憶する。具体的には例えば判定領域A〜H毎の平均値、例えば一つの判定領域に対応する20画素の出力信号の平均値をRAM68に記憶する。
S260では、サンプリングした画素について、一度目の出力信号と二度目の出力信号との変化幅を求める。
図16は、一度目の出力信号と二度目の出力信号との変化幅の検出結果に基づいて、原稿台30の盤面に載置された原稿のサイズを判定する処理の流れを示すフローチャートである。
【0038】
S305では、原稿サイズの副走査方向の長さを判定するため、判定領域Hに対応する画素の出力信号の変化幅が所定値以上(例えば15以上)であるか否かを判定する。変化幅が所定値以上であれば判定領域Hは原稿カバー16に覆われていると判定してS310に進み、所定値未満であれば判定領域Hは原稿に覆われている判定としてS315に進む。
【0039】
S310では、判定領域Hが原稿カバー16に覆われているか原稿に覆われているかを記憶するためのフラグに”原稿カバー”を示す値をセットする。
S315では、上述のフラグに”原稿”を示す値をセットする。
S320では、判定領域に割り振られている番号を示す変数Pに1をセットする。ここで判定領域A〜GにはAからGの順に1から7までの番号が割り振られているものとする。
【0040】
S325では、変数Pにセットされている番号が割り振られている判定領域に対応する画素について出力信号の変化幅が所定値以上(例えば100以上)であるか否かを判定する。所定値未満であれば変数Pにセットされている番号が割り振られている判定領域は原稿に覆われていると判定しS330に進む。所定値以上であれば原稿カバー16に覆われていると判定しS340に進む。
S330では、変数Pに1を加算する。
S335では、変数Pの値が8であるか否かを判定し、8でなければS325に戻って変数Pの値が8になるまで処理を繰り返す。8であればS340に進む。
【0041】
S340では、原稿サイズを判定する。具体的には、図17に示す判定テーブルを用いて次のように行う。図17中の”○”は当該領域が原稿に覆われていることを示し、”×”は当該領域が原稿カバーに覆われていることを意味している。例えばA4縦サイズの原稿を載置したとすれば、判定領域A〜C、Hは原稿に覆われ、判定領域D〜Gまでは原稿カバーに覆われる。従って、フラグが”原稿”であって、変数Pに判定領域Dに対応する4がセットされた状態であれば原稿サイズをA4縦サイズであると判定できることになる。同様にして他の全ての原稿サイズも一意に特定することができる。
【0042】
尚、上記の説明では判定領域Aから順に変化幅が所定値以上になるまで判定を行っているが、判定領域Gから逆順に変化幅が所定値未満になるまで判定を行うようにしてもよい。
また、上記の説明では図14のS260で全ての判定領域について変化幅を求めているが、判定領域A〜Gについて変化幅を順に求める度にその変化幅が所定値以上であるか否かを判定するようにし、所定値以上になった時点で変化幅を求める処理を終了するようにしてもよい。これによりその判定領域以降の判定領域については変化幅を求める処理が不要になり、原稿サイズの判定を更に短時間に行うことができる。
【0043】
以上説明した本発明の一実施例に係るイメージスキャナ14によると、原稿サイズを判定するために出力信号をサンプリングする対象となるイメージセンサ54の画素を第一光学系46及び第二光学系58の倍率に応じて変更することにより、原稿サイズの判定精度を向上させることができる。具体的には、判定領域A〜Gに対応付ける画素の番号を第一光学系46の倍率に応じて変更することにより、原稿サイズの判定精度を主走査方向について向上させることができる。また判定領域Hに対応付ける画素の番号を第二光学系58の倍率に応じて変更することにより、原稿サイズの判定精度を副走査方向について向上させることができる。
【0044】
また、イメージスキャナ14によると、原稿台30の盤面上の判定領域が原稿Mに覆われているか否かは、その判定領域に対応する画素以外の画素の受光量の変化幅を考慮することなく判別できる。すなわち、イメージスキャナ14によると、図16のフローチャートで説明したように判定領域の変化幅の判定については、判定領域Aから順に判定し、原稿カバー16に覆われている判定領域が見つかればそれ以降の判定領域については判定を行う必要がない。したがって、必ずしも複数の判定領域の全てについて検査を実施しなくても正しい原稿サイズを判定することができる。このため、原稿サイズの判定を短時間に確実に行うことができる。
【0045】
また、リニアイメージセンサ54をキャリッジ28で副走査方向に運搬して判定領域Hの反射光を受光するようにしてもよく、その場合、第二光学系58は不要となる。この他、判定領域Hの直下に別途イメージセンサを設け、判定領域Hの変化幅については別途設けたイメージセンサの出力に基づいて判定するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施例に係るフローチャートである。
【図2】 本発明の実施例に係る画像読み取り装置の上面図である。
【図3】 本発明の実施例に係る模式図である。
【図4】 本発明の実施例に係る模式図である。
【図5】 本発明の実施例に係る模式図である。
【図6】 本発明の実施例に係るブロック図である。
【図7】 本発明の実施例に係る模式図である。
【図8】 本発明の実施例に係るフローチャートである。
【図9】 本発明の実施例に係る平面図である。
【図10】 本発明の実施例に係る模式図である。
【図11】 本発明の実施例に係る模式図である。
【図12】 本発明の実施例に係る模式図である。
【図13】 本発明の実施例に係るグラフである。
【図14】 本発明の実施例に係るフローチャートである
【図15】 本発明の実施例に係るタイムチャートである。
【図16】 本発明の実施例に係るフローチャートである。
【図17】 本発明の実施例に係る模式図である。
【符号の説明】
1 イメージスキャナ(画像読み取り装置)、12 原稿台、13 原稿カバー、15 リニアイメージセンサ(イメージセンサ)、21 第一光学系、22 メインランプ(光源)、31 第二光学系、44 副走査駆動部(副走査手段)、50 制御部(検出手段、原稿サイズ判定手段)
Claims (3)
- 盤面に原稿が載置される透明な原稿台と、
離散的に配列された複数の画素での光電変換により前記原稿を読み取るイメージセンサと、
前記原稿台に載置された原稿の反射光像を前記イメージセンサの受光面に結像させる第一光学系と、
前記原稿台の盤面上で互いに離間して主走査方向に並ぶ複数の第一判定領域から前記イメージセンサの所定の画素に至る第一の光路が前記第一光学系によって形成されているとき、前記原稿台の盤面上で前記第一判定領域から副走査方向に所定距離離間した第二判定領域から前記イメージセンサの所定の画素に至る第二の光路を形成する第二光学系と、
少なくとも前記イメージセンサ及び前記第一光学系、並びに前記第二光学系の一部が搭載されているキャリッジを副走査方向に往復運動させるキャリッジ移動手段と、
前記イメージセンサの複数の画素の出力信号をサンプリングして前記第一判定領域の光学的濃度と前記第二判定領域の光学的濃度とを測定し、測定された前記第一判定領域の光学的濃度及び前記第二判定領域の光学的濃度に基づいて前記原稿台の盤面に載置された原稿のサイズを判定する原稿サイズ判定手段と、
前記第一光学系の倍率を測定する倍率測定手段とを備え、
前記キャリッジ移動手段は、前記第一の光路と前記第二の光路とが同時に形成される位置であって前記第二光学系に対しても前記第一光学系の倍率測定結果を適用できる位置に前記キャリッジを移動し、
前記原稿サイズ判定手段は、前記キャリッジが前記位置にあるときに前記イメージセンサの複数の画素の出力信号をサンプリングし、このサンプリングにおいて、前記第一判定領域及び前記第二判定領域に対応するサンプリング対象の画素を前記倍率測定手段の測定結果に応じて変更することを特徴とする画像読み取り装置。 - 前記原稿台の盤面を開放した姿勢から前記原稿台の盤面を覆う姿勢に揺動可能に設けられた原稿カバーをさらに備え、
前記原稿サイズ判定手段は、前記第一光学系及び前記第二光学系により前記イメージセンサの所定の画素に入射する光量の変化であって、前記原稿カバーが前記原稿台の盤面を開放した姿勢から前記原稿台の盤面を覆う姿勢に揺動する期間中の光量変化に基づいて、前記原稿台の盤面に載置された原稿のサイズを判定する、請求項1に記載の画像読み取り装置。 - 前記原稿サイズ判定手段は、前記原稿台の盤面上の複数の領域について、前記原稿台の盤面上の縁部からサイズを判定可能な最小サイズの原稿の指定載置範囲内に向かう順序で、原稿に覆われているか否かを判別することを特徴とする請求項2に記載の画像読み取り装置。
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