JP3991840B2 - 重合体微粒子の製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、粒子径の単分散性に優れた、すなわち粒子径分布の小さいミクロンサイズの重合体微粒子の製造方法、及び該方法を用いて製造される重合体微粒子に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
重合体微粒子を製造する代表的な製造法のひとつとして懸濁重合法がある。これは水中で適当な分散安定剤のもとビニル単量体の液滴を形成させ、適当な油溶性開始剤を用いて重合体微粒子を合成する方法である。通常の条件下では、数百μm〜数mmの大粒径の重合体粒子が得られるが、その粒子径分布は、重合中の液滴の***、及び合一の確率的要素に支配されるために、非常に広くなる。種々の改良方法が提案されているが、いすれも改善は見られるものの、十分な単分散性を実現するには到っていない。
【0003】
もう一つの代表的な製造方法としては乳化重合法がある。乳化重合法では水媒体中で、疎水性単量体をとりこんだ界面活性剤ミセルに水溶性のラジカルが侵入して重合体微粒子が形成され、その粒子がさらに単量体を吸収、重合して成長する。初期の生成粒子数及び界面活性剤の供給をコントロールすることにより、単分散の粒子径分布を有する重合体微粒子を製造することができる。しかしながら、ミセルから発生する粒子数と分散安定性の限界から、得られる重合体微粒子の大きさは0.01〜1μmに限定される。従って、平均粒子径数μmの単分散粒子を製造するには、乳化重合により合成した単分散微粒子をシードとして粒子を成長させるシード乳化重合法を用いる必要がある。しかし、その粒子の成長率は低く、大きな粒子を得るためには数段連続して行う必要があり、単分散性が維持されない、コスト的に不利であるといった問題がある。
シード乳化重合法の改良として、種粒子への単量体の吸収効率を高めることにより一段で数μmの単分散微粒子を合成する方法が提案されている。例えば、特公昭57−24369号公報では、種粒子中に膨潤助剤と呼ばれる疎水性有機化合物を吸収させて種粒子の膨潤能力を増大させた後、ビニル単量体を膨潤させて重合させることにより、ミクロンサイズで単分散性の高い粒子を製造する方法が提案されている。しかしこの方法では、重合操作が煩雑であり、また膨潤時間に長時間を要するなどの問題点を有する。
【0004】
第3の方法として、分散重合法と呼ばれる方法がある。分散重合法とは、媒体に溶解した分散剤の存在下に、単量体の状態では媒体に可溶であるが、重合により生成するポリマーは、その媒体に不溶となるような単量体と溶剤の組み合わせにおいて重合を行う方法である。分散重合では、完全に均一な系から重合が開始し、生成したポリマーは溶媒に不溶なため直ちに凝集して不安定な超微粒子が生成する。超微粒子は合一により、粒子表面上の分散剤の相対密度を増加させ、安定化粒子となる。この安定化粒子を核として、粒子が成長することで単分散性に優れた重合体微粒子が得られる。分散重合は、非極性媒体中でも、極性媒体中でも実施することが可能であり、単分散性に優れた重合体微粒子が得られる、溶媒、単量体、及び分散剤の組み合わせが多数報告されている(例えば、非特許文献1参照。)。極性溶媒中の分散剤としては、ポリアクリル酸、ポリビニルピロリドン(以下、PVPという。)、及びヒドロキシプロピルセルロース(以下、HPCという。)が用いられる。例えば、特許文献1には、特定の極性溶媒中での分散重合においてPVPを分散剤として用いることにより、変動係数(後述するCv値と同じ)7.9%のポリメタクリル酸メチル(以下、PMMA)微粒子が得られることが開示されている。PVP等の分散剤においても、重合中に単量体とのグラフト化反応により粒子表面に固定されることが、分散安定性の向上に寄与していることが知られているが、その効果は十分でなく、重合安定性や単分散性が不足する場合がある。例えば、非特許文献2では、水/メタノール混合溶媒中で、PVPを分散剤として使用したメタクリル酸メチル(以下、MMAという。)の分散重合において、得られるPMMA粒子の粒子径分布が攪拌速度に大きく依存することが開示されている。
【0005】
そこで、グラフト化による粒子安定化効果をより積極的に利用することを目的として、マクロモノマー型の分散剤を使用することが報告されている(例えば、非特許文献3、4、5、6参照。)。
非特許文献3では、末端にメタクリロイル基を有するポリエチレングリコールマクロモノマーを分散剤として用いた、水/エタノール溶媒でのMMAの分散重合が報告されている。2028頁の表1に記載されているとおり、0.1〜0.2μmと粒子径の小さいPMMA粒子が得られることを報告している。
非特許文献4では、末端にスチリル基を有するポリオキサゾリンマクロモノマーを分散剤として用いた、水/メタノール溶媒でのMMAの分散重合が報告されている。142頁の図2及び表1に示されるとおり、ミクロンサイズのPMMA微粒子が合成されている。限定されたマクロモノマー濃度では単分散性が良好となるが、マクロモノマー濃度の変化により、単分散性が大きく影響を受けることが報告されている。
非特許文献5では、末端にビニルベンジル基を有するポリメタクリル酸マクロモノマーを分散剤として用いた、水/エタノール溶媒でのMMAの乳化・分散重合が報告されている。2854頁の表1に示されている通り、0.33〜3μmの粒子径を有するPMMA粒子が合成されているが、単分散性は十分でない。
非特許文献6では、末端にビニルベンジル基を有するポリアクリル酸マクロモノマーを分散剤として用いた、水/エタノール溶媒中MMAの分散重合において、溶媒pHの影響について報告している。641頁の表1に示されている通り、pH4〜13の範囲で単分散性の良好な粒子が合成されているが、その粒子径はいずれも0.4μm以下で、ミクロンサイズのものは得られていない。
以上のように、メタクリロイル基、スチリル基、またはビニルベンジル基を有するマクロモノマーを用いた分散重合では、粒子径分布の単分散性に優れた、ミクロンサイズの重合体微粒子を得ることは困難である。
【0006】
また、特許文献2、には、本発明で使用されるマクロモノマーと同一の製造方法及び末端構造を有するマクロモノマーを用いた乳化重合反応が
開示されている。該技術は、乳化重合法により重合体微粒子の水分散体を製造する方法に関するものであり、製造される重合体微粒子はすべて、乳化重合法による範疇の粒子径、すなわち1μm以下であり、粒子径分布についても議論されていない。さらに分散重合法については、一切記載されていない。特許文献2と類似技術の国際出願PCT/JP02/04209についても同様である。
【0007】
【特許文献1】
特開平4−23804号公報
【特許文献2】
国際公開WO01/04163号パンフレット
【非特許文献1】
高分子,Vol40,240(1991)
【非特許文献2】
日本接着学会年次大会講演要旨集,vol35,63(1997)
【非特許文献3】
J.Appl.Polym.Sci.,39.2027 (1990)
【非特許文献4】
Proc.Japan Acad., 67, Ser.B, 140 (1991)
【非特許文献5】
Polymer, 37, 2853 (1996)
【非特許文献6】
Macromol. Rapid Commun., 18, 639 (1997)
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、粒子径分布の単分散性に優れたミクロンサイズの重合体微粒子を、簡便にかつ安定的に得るための製造方法および該方法により製造される重合体微粒子を提供することを目的とするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記、課題を解決するために、請求項1に記載の発明の重合体微粒子の製造方法は、ビニル単量体Aを、分散剤の存在下、前記ビニル単量体Aおよび分散剤は溶解するが、生成する重合体は実質的に溶解しない溶媒中で重合させる重合体微粒子の製造方法であって、前記分散剤が、極性基を有するビニル単量体Bを150℃〜350℃の温度範囲でラジカル重合させて得られる、式(1)に示す末端構造を有するマクロモノマーであることを特徴とするものである。
【0010】
【化
Figure 0003991840
【0011】
式(1)において、Xは極性基を意味し、Mは単量体単位を意味し、nは重合度を表す自然数を意味する。
【0012】
請求項2に記載の発明の重合体微粒子の製造方法は、ビニル単量体Aを、分散剤の存在下、前記ビニル単量体Aおよび分散剤は溶解するが、生成する重合体は実質的に溶解しない親水性溶媒中で重合させる重合体微粒子の製造方法であって、前記分散剤が、極性基を有するビニル単量体Bを150℃〜350℃の温度範囲でラジカル重合させて得られる、式(1)に示す末端構造及び親水性基を有するマクロモノマーであることを特徴とするものである。
【0013】
【化4】
Figure 0003991840
【0014】
式(1)において、Xは極性基を意味し、Mは単量体単位を意味し、nは重合度を表す自然数を意味する。
【0015】
請求項3に記載の発明の重合体微粒子の製造方法は、重合体微粒子の数平均粒子径が1μm以上、10μm以下で、Cv値が15%以下である請求項1記載の重合体微粒子の製造方法である。
【0016】
請求項に記載の発明の重合体微粒子の製造方法は、請求項2に記載の発明において、マクロモノマーが有する親水性基がカルボキシル基であることを特徴とするものである。
請求項に記載の発明の重合体微粒子の製造方法は、請求項に記載の発明において、カルボキシル基の少なくとも一部が、アルカリによって中和されたものであることを特徴とするものである。
請求項に記載の発明の重合体微粒子の製造方法は、請求項1〜のいずれか一項に記載の発明において、マクロモノマーが構成単量体単位として疎水性単量体単位をも有するとを特徴とするものである。
【0017】
請求項7に記載の発明の重合体微粒子は、請求項1〜のいずれか一項に記載の発明の重合体微粒子の製造方法により製造されることを特徴とするものである
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。
本発明の重合体微粒子の製造方法は、ビニル単量体を、特定の分散剤の存在下、前記ビニル単量体および分散剤は溶解するが、生成する重合体は実質的に溶解しない溶媒中で重合させるものである。
【0019】
上記溶媒としては、上記条件を満足するものであれば特に限定されず、使用するビニル単量体と分散剤の種類、および目的とする重合体微粒子の大きさに応じて選択すればよい。例えば、疎水性有機溶媒、親水性有機溶媒、または親水性有機溶媒の水溶液などが選択できる。親水性有機溶媒、および親水性有機溶媒の水溶液を合わせて親水性溶媒という。
疎水性有機溶媒の例としては、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、石油エーテル、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン等の炭化水素類が例示できる。
【0020】
親水性有機溶媒とは、20℃における水への溶解度が2%以上の有機溶媒を意味する。親水性有機溶媒としては、メチルアルコール、エチルアルコール、変性エチルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、イソブチルアルコール、tert−ブチルアルコール、sec−ブチルアルコール、tert−アミルアルコール、3−ペンタノール、ベンジルアルコール、シクロヘキサノール、フルアリルアルコール、テトラヒドロフルフリルアルコール、エチレングリコール、グリセリン、ジエチレングリコール等のアルコール類、メチルセロソルブ、セロソルブ、イソプロピロピルセロソルブ、ブチルセロソルブ、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル等のエーテルアルコール類などがあげられる。これ等の有機溶媒は一種もしくは二種以上の混合物を用いることができる。親水性有機溶媒では、極性基を有する分散剤との組み合わせにおいて、重合安定性を維持しながら、粒子径、粒子径分布、および重合体の分子量をコントロールすることが容易であり、疎水性有機溶媒よりも好ましい。
【0021】
さらに、上述の親水性有機溶媒の水溶液も使用することができる。親水性有機溶媒の水溶液では、親水性基、特にイオン性基を有する分散剤を用いた場合において、高度な分散安定化効果を得ることができる。従って、親水性有機溶媒と水との混合比率を変えることにより、重合安定性を維持しながら、粒子径、粒子径分布、および生成する重合体の分子量をコントロールすることが容易であり、かつコントロールできる幅が広い。さらに親水性有機溶媒の水溶液は、引火、爆発等の危険性を低減することができ、かつ環境への負荷が小さいことから、最も好ましい溶媒である。なかでもメチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール等の低級アルコールの水溶液がより好ましい。水溶液を調製する際の親水性有機溶媒と水との混合比率は、重量比で99.5:0.5〜50:50が好ましい。親水性有機溶媒の重量比が、99.5を超えると生成する重合体の合着が起こることがあり、50未満では製造される微粒子が小さくなりすぎる場合がある。水と混合する親水性有機溶媒としては、一種もしくは二種以上の混合物を用いることができる。またアルコール類、およびエーテルアルコール類以外の以外の有機溶媒を、粒子径、粒子径分布および重合安定性のコントロールのために、生成重合体が溶解しない範囲内で併用することができる。これらの併用する有機溶媒としては、ヘキサン、オクタン、石油エーテル、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン等の炭化水素類、四塩化炭素、トリクロルエチレン、テトラブロムエタン等のハロゲン化炭化水素類、エチルエーテル、ジメチルグリコール、トリオキサン、テトラビドロフラン等のエーテル類、メチラール、ジエチルアセタール等のアセタール類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサン等のケトン類、ギ酸ブチル、酢酸ブチル、プロピオン酸エチル、セロソルブアセテート等のエステル類、ギ酸、酢酸、プロピオン酸等の酸類、ニトロプロペン、ニトロベンゼン、ジメチルアミン、モノエタノールアミン、ピリジン、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド等の硫黄、窒素含有有機化合物類などがあげられる。さらにはSO4 2-、NO3 -、PO4 3-、Cl-、Na+、K+、Mg2+、Ca2+、等の無機質イオンが存在した状態で重合を行っても良い。また、重合開始時と重合途中、重合末期とそれぞれ混合溶媒の種類および組成を変化させ生成する重合体粒子の粒子径、粒子径分布等を調節することができる。
【0022】
本発明において使用されるビニル単量体Aとしては、上記溶媒に可溶であり、かつ、その重合体が上記溶媒に不溶となるものであれば特に限定されない。ビニル単量体Aの使用割合は、溶媒100質量部を基準として100質量部以下が好ましく、60質量部以下がより好ましい。溶媒に対するビニル単量体の割合が極端に多い場合、生成した重合体粒子の媒体(未反応単量体を溶解した溶媒)による膨潤度が大きくなりすぎて、分散剤による安定化効果に打ち勝って凝集する場合がある。さらに極端に多い場合は、生成した重合体の媒体に対する溶解度が高くなりすぎて、粒子を形成することができず、塊状物となる。ビニル単量体は、初期に一括して仕込み、回分重合操作により重合させるか、分割仕込みにより重合させるか、もしくは連続的に反応器に供給する半回分重合操作により重合させることが出来る。溶媒に対する単量体の量が多い場合は、半回分重合操作を選択することが好ましい。
【0023】
使用されるビニル単量体の例としては、スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、α−メチルスチレン、p−エチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−n−ブチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレン、p−メトキシスチレン、p−フェニルスチレン、p−クロルスチレン、3,4−ジクロルスチレンなどのスチレン類、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸2−クロルエチル、アクリル酸フェニル、α−クロルアクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸n−オクチル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチルなどのα−メチル脂肪酸モノカルボン酸エステル類、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミドなどのアクリル酸もしくはメタクリル酸誘導体、塩化ビニル、塩化ビニリデン、臭化ビニル、弗化ビニルなどのハロゲン化ビニル類などがあげられる。これら単量体は単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0024】
また、比較的極性の高いビニル単量体を少量共重合することによって、粒子の重合安定性及び粉末化した場合の摩擦帯電性を調節できる。
アニオン性の単量体としてはカルボキシル基含有単量体:例えばアクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸モノブチル、マレイン酸モノブチルなど。
リン酸基含有単量体:例えばアシッドホスホオキシエチルメタクリレート、アシッドホスホオキシプロピルメタクリレート、3−クロロ−2−アシッドホスホオキシプロピルメタクリレートなど。
スルホン酸基含有単量体:例えば2−アクリルアミド、2−メチルプロパンスルホン酸、2−スルホエチルメタクリレートなどが挙げられる。
カチオン性の重合体単量体としては含窒素アルキルアクリレートもしくはメタクリレート:例えばジメチルアミノエチルアクリレート、ジエチルアミノエチルメタクリレートなどが挙げられる。
【0025】
架橋成分を重合体粒子中に導入する為には、二重結合を二個以上有するいわゆる架橋剤が用いられる。ビニル単量体の反応率が低い間は単量体に対する架橋剤の量を3質量%以下で行うのが良く、より好ましくは1.5質量%以下で行うのが良い。ビニル単量体の反応率が高い時期は、必要であれば、残存するビニル単量体を基準として、20質量%以下の架橋剤を一括、分割もしくは連続的に添加しても良い。重合の進行に合わせて分割もしくは連続的に添加するのがより好ましく、溶媒又は、半回分重合操作を行うならばビニル単量体と混合して添加しても良い。
重合初期に架橋剤濃度を抑えなければならないのは、初期の核粒子析出時、分散安定剤の吸着安定化時期に架橋剤がある濃度以上存在すると、核粒子間での架橋構造が形成され、極端に安定性が阻害されるからであり、いったん核粒子が安定化されれば、ひき続いて進行する粒子の成長反応即ち、核粒子の単量体による膨潤から重合への過程が、滞りなく行われる。
【0026】
好ましく用いられる架橋剤として、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレン及びそれらの誘導体である芳香族ジビニル化合物、その他エチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、1,3−ブチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、ネオベンチルグリコールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ペンタエリスリトールジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリト−ルテトラアクリレート、ペンタエリスリト−ルジメタクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、グリセロールジメタクリレート、グリセロールジアクリレート、グリセロールアクロキシジメタクリレート、1,1,1−トリスヒドロキシメチルエタンジアクリレートなどのジエチレン性カルボン酸エステル、N,N−ジビニルアニリン、ジビニルエーテル、ジビニルスルフィド、ジビニルスルホンなどのジビニル化合物及び三個以上のビニル基を持つ化合物があげられる。これらは単独で用いてもよく、ニ種以上を併用してもよい
【0027】
本発明において、分散剤として使用するマクロモノマーは、下記の条件により特定されるものであり、重合体微粒子製造時の重合安定性に重要な役割を果たすものであり、かつ重合体微粒子の粒子径および粒子径分布をコントロールする上でも重要である。
マクロモノマー:極性基を有するビニル単量体Bを150〜350℃の温度範囲でラジカル重合させて得られる、式(1)に示す末端構造を有する重合体。
式(1)におけるXは極性基を意味する。極性基とは炭素原子および水素原子以外の原子を有する基ならびにアリール基である。極性基の具体例としては、−COOR、−CONR2、−OR、−OCOR、−OCOOR、−NCOOR、ハロゲン原子、−CN、フェニル基、置換基を有するフェニル基などが挙げられる。
上記マクロモノマーは、ラジカル共重合性を有するため、重合体微粒子の製造において、ビニル単量体Aと共重合する、すなわちビニル単量体Aとグラフトもしくはブロック共重合体を生成するために、分散剤として極めて優れた性能を発揮する。
【0028】
マクロモノマーの製造に使用される極性基を有するビニル単量体Bは、一種もしくは二種以上の極性基を有するビニル単量体の混合物であり、その重合体であるマクロモノマーが、重合体微粒子の製造において使用される溶媒に対して溶解することが必要である。
【0029】
さらに、極性基を有するビニル単量体Bを選定する上で、より好ましい範囲について説明する。まず、マクロモノマーの製造において、収率よくマクロモノマーを得るためには、極性基を有するビニル単量体Bに含まれるビニル単量体のうちビニル基のα位に水素原子を有するものの割合が30モル%以上であることが好ましく、50モル%以上であることがより好ましい。150℃以上の高温での重合においては、α位に水素原子を有しないビニル単量体の割合が高すぎると、その解重合性のために収率が低くなる場合がある。ビニル基のα位に水素原子を有するビニル単量体としては、アクリロイル基を有するアクリル系単量体、アクリロニトリル、スチレン、酢酸ビニルなどが挙げられる。アクリル系単量体の具体例としては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸2−エチルへキシル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸デシル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸イソボルニル、アクリル酸ベンジル、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸2−ヒドロキシプロピルなどのアクリル酸エステル、アクリル酸などが挙げられる。
【0030】
ビニル基のα位に水素原子を有していないビニル単量体としては、メタクリロイル基を有するメタクリル系単量体、α−メチルアクリロニトリル、α−メチルスチレンなどが挙げられる。メタクリル系単量体の具体例としては、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸2−エチルへキシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸デシル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸イソボルニル、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸2−ヒドロキシプロピルなどのメタクリル酸エステル、メタクリル酸などが挙げられる。
【0031】
ビニル基のα位に水素原子を有していないビニル単量体の割合としては、マクロモノマーを収率よく得るためには70モル%以下が好ましい。
また、マクロモノマーとビニル単量体Aとの共重合において、共重合体の分子量分布が広く、共重合体がビニル単量体Aとのグラフトポリマーである割合が高い方が好ましい場合は、ビニル基のα位に水素原子を有していないビニル単量体の割合は50モル%以下であることがより好ましく、さらにより好ましくは30モル%以下である。
逆に、共重合体の分子量分布が狭く、共重合体がビニル単量体Aとのブロックポリマーである割合が高い方が好ましい場合は、ビニル基のα位に水素原子を有していないビニル単量体の割合は30モル%以上であることが好ましく、さらにより好ましくは50モル%以上である。
【0032】
例えば、重合体微粒子が洗浄後に乾燥される場合において、前者ではマクロモノマー成分が微粒子に取り込まれて残留しやすく、後者では洗浄により除去されやすい等の性能上の違いが生じる。重合体微粒子が使用される用途に応じて、ビニル基のα位に水素原子を有していないビニル単量体の割合を選択すればよい。ビニル基のα位に水素原子を有していないビニル単量体の割合によって、そのマクロモノマーとビニル単量体Aの共重合体の分子量分布がコントロールできることは、本マクロノマーの特徴の一つである。これは、マクロモノマーの末端不飽和基の隣がビニル基のα位に水素原子を有していないビニル単量体単位である場合、マクロノマーがラジカル付加を受けることによって生成する中間体がベータ解裂反応を起こすためである。
【0033】
重合体微粒子の製造において使用される溶媒が、上述の親水性溶媒である場合、より有効な溶媒和層を形成するために、マクロモノマーは親水性基を有することが好ましい。マクロモノマーに親水性基を導入する方法としては、極性基を有するビニル単量体Bの少なくとも一部として親水性基を有するビニル単量体を使用する方法があげられる。親水性基とは、カルボキシル基、スルホン酸基、スルフィン酸基、リン酸基、ホスホン酸基およびこれらの塩ならびに水酸基、アミノ基、アミド基、イミド基、ヒドラジド基、ウレタン基、ウレイド基、メルカプタン基からなる群のうちのいずれかを意味する。
【0034】
親水性基を有する単量体としては、カルボキシル基含有単量体およびカルボキシル基含有単量体以外の親水性単量体が挙げられる。カルボキシル基含有単量体は、カルボキシル基及びエチレン性不飽和結合を有する化合物であり、その具体例としてはアクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、ビニル酢酸、アクリロキシプロピオン酸等の不飽和一塩基酸、マレイン酸、フマル酸、メサコン酸、シトラコン酸、イタコン酸、シクロヘキサンジカルボン酸等の不飽和二塩基性酸が挙げられるほか、マレイン酸無水物、テトラヒドロフタル酸無水物等の加水分解によりカルボキシル基を生成する不飽和酸無水物も挙げることができる。カルボキシル基含有単量体以外の親水性単量体の具体例としてはアクリロニトリル、アクリルアミド、メタアクリルアミド、アクリル酸ヒドロキシエチル、メタクリル酸ヒドロキシエチル、アクリル酸ヒドロキシプロピル、メタクリル酸ヒドロキシプロピル、アリルスルホン酸、スチレンスルホン酸、ビニルスルホン酸、アリルホスホン酸、ビニルホスホン酸等を挙げることができる。
【0035】
親水性基としては、マクロモノマーの溶媒への親和性を広くコントロールできるカルボキシル基が好ましい。さらに重合速度や共重合性に優れたアクリル酸、もしくはメタクリル酸にによりカルボキシル基を導入することが好ましい。
カルボキシル基の導入量としては、0.1meq/g〜12meq/g(マクロモノマー1g当たりのミリmol数)がこのましく、より好ましくは1meq/g〜10meq/gであり、さらにより好ましくは、2.5meq/g〜7meq/gである。
カルボキシル基の少なくとも一部が、アルカリにより中和することは、カルボキシル基の一部はカルボキシアニオンとなり、静電反発による粒子安定化効果も付与できるために、より好ましい。特に、重合体微粒子の製造において使用する溶媒が、上記親水性有機溶媒の水溶液である場合、その効果が大きく、両者の組み合わせが特に好ましく、極めて優れた重合安定性が実現される。
中和に用いるアルカリとしては、アンモニア又は沸点が140℃以下の低沸点アミン化合物が好ましい。低沸点アミン化合物としては、トリメチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、ジメチルエチルアミン、N−メチルモルホリン、t−ブタノールアミン、モルホリン、ジメチルエタノールアミン等を例示できる。アルカリによるマクロモノマーの中和は、部分中和であっても良い。好ましい中和率は、50〜100%である。中和率100%というのはアルカリが過剰に存在する場合も含む。
【0036】
さらに、マクロモノマーが構成単量体単位として疎水性単量体単位をも有することが好ましい。重合体微粒子の製造において使用する溶媒が、上記疎水性溶媒である場合には、粒子安定化のために必要な溶媒和層を形成するために必要である。
また溶媒が上記親水性溶媒もしくは親水性溶媒の水溶液である場合においても、粒子表面への分散剤の吸着能力を高めるために重要である。疎水性単量体とは20℃における水への溶解度が2%以下である単量体を意味し、マクロモノマー中、5〜95質量%であることが好ましく、より好ましくは、20〜70質量%である。
【0037】
さらに、マクロモノマーの導入されたカルボキシル基の少なくとも一部が中和されている場合、疎水性単量体の少なくとも一部が、20℃における水への溶解度が0.5%以下である単量体であることがより好ましい。疎水性の高い単量体単位により粒子表面への吸着量が増加し、その結果粒子表面にイオン性基が有効に分布することが出来るために、極めて優れた安定性が得られる。またマクロモノマーが粒子表面に存在する確率が高くなることによって、ビニル単量体Aとの共重合率が向上することも、粒子の安定化に寄与していると考えられる。
20℃における水への溶解度が0.5%以下である単量体としては、 メタアクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、メタアクリル酸ブチル、アクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ステアリル、メタクリル酸ステアリル、アクリル酸ラウリル、メタクリル酸ラウリル、アクリル酸イソボルニル、メタクリル酸イソボルニル、アクリル酸パーフロロアルキル、メタクリル酸パーフロロアルキル、アクリル酸ベンジル、メタクリル酸ベンジル、スチレン、α−メチルスチレン等があげられる。また20℃における水への溶解度が0.5〜2.0%である単量体としては、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、アクリル酸プロピル等があげられる。
【0038】
マクロモノマーは上記極性基を有するビニル単量体Bを150〜350℃の温度において重合させて得られる。重合温度は180〜320℃が好ましく、200〜300℃がより好ましい。重合は公知の方法がいずれも採用できる。塊状重合、溶液重合はマクロモノマーを効率的に製造できるため好ましい方法である。バッチ重合、連続重合、半回分重合(原料の供給は連続的に行うが連続的な反応液の抜き出しは行わない重合方法)などのいずれも使用可能であるが、得られるマクロモノマーの組成分布や分子量分布が狭いものになりやすいために連続重合が好ましい方法であり、撹拌槽型反応器を使用する連続重合が特に好ましい方法である。このようなマクロモノマーの製造方法としてはWO99/07755、特許文献1、および特許文献2等に記載されている。これらの製造方法において、マクロモノマーは、末端不飽和結合を有しないポリマーとの混合物として、すなわちマクロモノマー組成物として得られる。マクロモノマー組成物からマクロモノマーのみを取り出すことは、実質的に不可能であり、分散剤としてはマクロモノマー組成物を使用することになる。マクロモノマー組成物中のマクロモノマー含有量は50質量%以上であることが好ましく、75質量%以上であることが、より好ましい。
【0039】
マクロモノマーの製造においては公知のラジカル重合開始剤を使用することができる。具体例としては、後述する重合体微粒子の製造において使用する重合開始剤と同じものをあげることができる。
本発明におけるマクロモノマー組成物が、マクロモノマー組成物製造における重合反応液の量を基準として、上記単量体及び該単量体が重合して生成する重合体の合計の濃度(以下、単量体等の濃度ともいう。)が50〜100質量%となる濃度において重合させて得られるものが好ましい。さらにその濃度は60〜100質量%がより好ましく、70〜100質量%がさらに好ましい。なぜならば、マクロモノマーの生産効率が良く、かつ、得られたマクロモノマー組成物中のマクロモノマー含有率が高くなるためである。単量体及び該単量体が重合して生成する重合体以外の成分の主たるものは溶剤である。すなわち、マクロモノマー製造における溶剤の好ましい使用量は0〜50質量%である。溶剤を用いる場合、溶剤としては上記各単量体を溶解させ、しかも生成するポリマーが析出しないものが好ましい。具体的例としては、ベンジルアルコール等の芳香族アルコール類、イソプロパノール、ブタノール等の脂肪族アルコール類、メチルセロソルブ、ブチルセロソルブ等のエチレングリコールモノアルキルエーテル類、カルビトール等のジエチレングリコールモノアルキルエーテル類、エチレングリコールジメチルエーテル等のエチレングリコールジアルキルエーテル類、ジグリコールメチルエーテル等のジグリコールアルキルエーテル類などを挙げることができる。
【0040】
上記マクロモノマーの使用量は、重合を行う系の溶媒の量や上記エチレン性不飽和単量体の量等を考慮して適宜決定すればよいが、通常、重合系の全量に対して0.01〜10質量%が好ましい。上記マクロモノマーの使用量が、0.1質量%未満では、分散剤としての機能を充分に果たすことができない場合があり、10質量%を超えると、重合系の粘度が高くなったり、粒子径が小さくなりすぎることがある。より好ましくは、0.1〜3質量%である。
【0041】
本発明の製造方法では、まず、溶媒に分散剤として使用するマクロモノマーを溶解し、さらにビニル単量体の一部、もしくは全部、さらに必要な他の添加剤を仕込み、雰囲気を不活性ガスで置換して、適当な攪拌を行いながら昇温し、温度が安定したら開始剤を投入して重合を行う。先述のように、重合開始後、ビニル単量体を分割、もしくは連続で仕込むことも可能である。このとき、重合を高重合率域で行うには、通常、4〜40時間の重合時間が必要であるが、所望の粒子径や粒子径分布で重合を停止させてもよいし、重合開始剤を追加添加することにより重合速度を速めてもよい。また本発明では、あらかじめ目的の粒子径よりは小さく、かつ粒子径分布の小さい重合体微粒子の存在下に、上述の反応を行い、重合体微粒子を成長させることも含まれる。
【0042】
また重合体粒子の分子量を調節する事を目的として、いわゆる連鎖移動剤を用いる事ができる。好ましく用いられるものとして、四塩化炭素、四臭化炭素、二臭化酢酸エチル三臭化酢酸エチル、二臭化エチルベンゼン、二臭化エタン、二塩化エタンなどのハロゲン化炭化水素、ジアゾチオエーテル、ベンゼン、エチルベンゼン、イソプロピルベンゼンなどの炭化水素、第3ドデシルメルカプタン;n−ドデシルメルカプタンなどのメルカプタン類、ジイソプロピルザントゲンジスルフィドなどのジスルフィド類、チオグリコール酸、チオグリコール酸2−エチルヘキシル、チオグリコール酸ブチル、チオグリコール酸メトキシブチル、トリメチロールプロパントリス−(チオグリコレート)、チオグリコール酸アンモニウムなどのチオグリコール酸誘導体、チオグリセロール、などがあげられる。
連鎖移動剤の使用量は、ビニル単量体に対し、10-3〜5質量%を用いる事ができる。特に、重合体開始前に連鎖移動剤を存在させておく場合には、初期生成する重合体の分子量を調節する事により析出核粒子の大きさをコントロールすることができる。
【0043】
本発明では、ビニル単量体Aを重合させるために重合開始剤を使用する。上記重合開始剤としては特に限定されないが、ラジカル重合において、通常用いられる重合開始剤で、上記溶媒に溶解するものが好ましい。例えば、過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイル、オルソクロロ過酸化ベンゾイル、オルソメトキシ過酸化ベンゾイル、3,5,5−トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシピバレート等の有機過酸化物;アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスシクロヘキサカルボニトリル、アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)等のアゾ系化合物;過硫酸カリウム等の過硫化物系化合物等があげられる。
上記重合開始剤の使用量は特に限定されず、製造する微粒子の分子量や使用する重合開始剤の分解温度等を考慮して適宜決定すればよいが、通常、上記ビニル単量体と上記重合開始剤との混合比率は、重量比で100:0.5〜100:40が好ましい。重合開始剤の重量比が0.5未満では、収率が低くなる場合がある。重量比が40を超えると、重合速度が大きくなりすぎ、安定な重合ができなくなる場合がある。
【0044】
本発明では、製造する微粒子の安定性をより向上させ、粒子径分布をより狭くするために、他の添加剤を上記分散剤と併用してもよい。他の添加剤としては、使用する溶媒が、親水性溶媒もしくは親水性溶媒の水溶液である場合、以下のものが例示できる。コバルト、鉄、アルミニウム等の金属やこれらの合金;酸化鉄、酸化銅、酸化ニッケル等からなる金属酸化物の微粉体;カーボンブラックニグロシン染料、アニリンブルー等の顔料、染料類:高級アルコール硫酸エステル塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、リン酸エステル等の陰イオン界面活性剤;アルキルアミン塩、アミノアルコール脂肪酸誘導体、ポリアミン脂肪酸誘導体、イミダゾリン等のアミン型の陽イオン界面活性剤;アルキルトリメチルアンモニウム塩、ジアルキルジメチルアンモニウム塩、アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩、ピリジウム塩、塩化ベンゾトニウム等の4級アンモニウム塩型の陽イオン界面活性剤;脂肪酸アミド誘導体、多価アルコール誘導体等の非イオン界面活性剤、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリアクリル酸、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール等の高極性高分子化合物等である。
【0045】
重合終了後は、沈降分離、遠心分離、デカンテーション等の操作により、重合体微粒子のスラリーを回収し、更に、必要に応じて洗浄、乾燥を行う。
本発明では、重合が進行するに従って、合成された重合体は上記親水性有機溶媒の水溶液に溶解しないため、次々に析出し、単分散性の高い微粒子を製造することができる。以上のような構成からなる本発明の重合体微粒子の製造方法では、ミクロンサイズの単分散性に優れた重合体微粒子を再現性よく、安定かつ簡便に製造することができる。上記重合体微粒子もまた本発明の1つである。
【0046】
上記重合体微粒子としては、数平均粒子径が1μm以上、10μm以下で、Cv値が15%以下であることが好ましい。さらに2μm以上、10μm以下で、Cv値が5%以下であることが好ましい。本発明においては、平均粒子径、および単分散性の指標となるCv値は、約200個の微粒子について、電子顕微鏡観察により、粒子径(di)を測定し、以下の式2〜4に従って計算される。
dn=(Σnidi/Σni) 式(2)
dv=(Σnidi3/Σni)1/3 式(3)
Cv=100σ/dn 式(4)
ただし、dnは数平均粒子径、dvは体積平均粒子径、niは粒子径がdiの微粒子の数を表す。σは標準偏差で、以下の式で計算する。
σ=(Σ(di−dn)2/Σni)1/2
本発明の重合体微粒子は、ミクロンサイズで、かつ単分散性に優れているため、液晶表示素子用スペーサ、液晶表示用光拡散フィルム等の光拡散剤、導電性微粒子、カラム用充填剤、診断薬用の担体等に好適に用いることができる。また、上記用途に使用される微粒子を製造するためのシード粒子としても有用である。
【0047】
本発明は、上述のとおり、分散重合法によるミクロンサイズの単分散重合体微粒子の製造方法である。分散重合では、完全に均一な系から重合が開始し、生成した重合体は溶媒に不溶なため直ちに凝集して不安定な超微粒子が生成する。超微粒子は合一により、粒子表面上の分散剤の相対密度を増加させ、安定化粒子となる。この安定化粒子を核として、粒子が成長することで単分散性に優れた重合体微粒子が得られる。従って、安定化粒子が生成するタイミングが早い、すなわちビニル単量体の反応率がなるべく低い段階で、安定化粒子が生成することが優れた単分散性を得るために必要である。また成長粒子の安定性が重合終了まで持続し、かつ親粒子の発生が十分に抑制されていることも優れた単分散性を得るためには必要である。安定化粒子の生成や、その成長段階での安定性をコントロールする上で、分散剤の性能が重要であることは言うまでもない。分散剤は重合体と分散媒に対して両親媒性を有する必要があり、重合体の親和性を持つ成分が重合体粒子にアンカーされ、分散媒に親和性を持つ成分が重合体粒子表面から分散媒相に延び出して厚い溶媒和層を形成することにより、重合体微粒子を安定化する。ポリビニルピロリドン等のホモポリマーでは、重合体粒子へのアンカーが不足することがあり、成長粒子の安定性が不十分となり、単分散性が低下したり、凝集物が生成するなどの問題が起きる場合がある。そこで非特許文献3、4、5、6に開示されているように、ビニル単量体との共重合性を有するマクロモノマーを分散剤として使用することが提案されている。しかし、これら従来のマクロモノマーは、末端不飽和結合が、メタクリロイル基、スチリル基、もしくはビニルベンジル基であり、この点において本発明のマクロモノマーと大きくことなる。上記従来の末端基は比較的重合性が高く、分散重合の分散剤として使用した場合、重合初期に共重合する割合が高く、析出する重合体を効率よく安定化するため、安定化粒子が極めて小さい、すなわちその数が極めて多くなる。極めて多数の安定化粒子が成長していくために、最終的に得られる重合体微粒子が小さくなり、ミクロンサイズの粒子を得ることが困難となる場合が多い。粒子径を大きくするためにマクロモノマーの使用量を減らした場合、安定化粒子が成長段階で、表面積の増大により不安定化して合一するために単分散性が低下したり、重合中に多量の凝集物生成することがある。従って、ミクロンサイズの単分散性に優れた重合体微粒子を安定に製造するために従来のマクロモノマーは十分な性能を有していなかった。一方、本発明のマクロモノマーは式(1)に示す末端構造を有し、単独重合性が極めて低く、一般的なビニル単量体との共重合性は有するが、上記従来のマクロモノマーに比べて低いものである。従って、本発明のマクロモノマーが、分散重合の分散剤として使用された場合、重合初期に反応するマクロモノマーの割合が、従来のマクロモノマーに比べ低く、安定化粒子の数が少なくできる。さらに安定化粒子の成長段階で、ビニル単量体と適度な速度で共重合するために、その安定性を高度に維持することが出来る。つまり本発明のマクロモノマーは、ミクロンサイズの単分散性に優れた重合体微粒子を安定に製造するために、非常に好適な分散剤である。さらに本発明のマクロモノマーは、カルボキシル基等の親水性基や疎水性単量体単位の導入量を幅広くコントロールできるために、ビニル単量体や溶媒に合わせて設計することが容易であることも特徴である。
【0048】
【実施例】
以下、実施例に基づいて本発明を具体的に説明する。以下の記載において「部」は質量部を意味し、「%」は質量%を意味する。
(製造例1)マクロモノマー組成物M1の製造
ホットオイルによる加熱装置を備えた容量500mlの加圧式攪拌槽型反応器を、3−エトキシプロピオン酸エチルで満たした。反応器を約250℃に加温し、反応器内圧力を圧力調節器により3−エトキシプロピオン酸エチルの蒸気圧以上に設定した。メチルメタクリレート(以下、MMAという。)55部、シクロヘキシルアクリレート(以下、CHAという。)10部、アクリル酸(以下、AAという。)35部及びジ−t−ブチルパーオキサイド(以下、DTBPという。)0.1部を秤量し、単量体混合液を調製し、それを原料タンクに貯蔵した。反応器内の圧力を一定に保ちながら、単量体混合液を原料タンクから反応器に連続的に供給した。このとき、単量体混合液の反応器内での平均滞留時間が12分となるように供給速度を設定した。単量体混合液の供給量に相当する反応液を反応器の出口から連続的に抜き出した。単量体混合液の連続供給中、反応器内温度を230±2℃に維持した。反応器の出口から抜き出した反応液を薄膜蒸発器に導入して、反応液中の未反応単量体などの揮発性成分を除去し、マクロモノマー組成物を得た。単量体混合液の供給開始から90分後、薄膜蒸発器の出口からマクロモノマー組成物M1の採取を開始し、60分間採取を行った。
テトラヒドロフラン溶媒を用いたゲル浸透クロマトグラフ(以下、GPCという。)によりマクロモノマー組成物M1の平均分子量を測定した。ポリスチレン換算で、マクロモノマー組成物M1の数平均分子量(以下、Mnという。)は2650であり、重量平均分子量(以下、Mwという。)は6060であった。また、核磁気共鳴スペクトル(以下、1H−NMRという。)により、マクロモノマー組成物M1に含まれる末端エチレン性不飽和結合の濃度を測定した。数平均分子量および末端エチレン性不飽和結合の濃度から算出されるマクロモノマー組成物M1の末端エチレン性不飽和結合導入率(以下、F値という。)は95%であった。
【0049】
(製造例2〜17)マクロモノマー組成物M2〜M17の製造
単量体の種類および量、反応温度を表1、2及び3のとおりに変更した以外は製造例1と同様の操作によりマクロモノマー組成物を製造し、Mw、MnおよびF値を分析した。その結果を表1、表2に示す。
【0050】
【表1】
Figure 0003991840
【0051】
【表2】
Figure 0003991840
【0052】
【表3】
Figure 0003991840
【0053】
略号は以下の化合物を意味する。
EA:アクリル酸エチル
BA:アクリル酸ブチル
HA:アクリル酸2−エチルヘキシル
AMS:アルファメチルスチレン
MAA:メタクリル酸
【0054】
(製造例18)マクロモノマーでない重合体組成物M18の製造
攪拌機、還流冷却器、温度計、窒素導入管を備えたガラス製反応容器内にメチルエチルケトン(以下、MEKという。)120部とメルカプトエタノール0.35部を仕込んだ。この反応器を、ウォーターバスにより78℃に加熱した。一方、MMA55部、CHA10部、AA35部、アゾビスイソブチロニトリル(以下、AIBNという。)1.5部、及びMEK10部の単量体混合液を調製し、その5%(5.58部)を反応器内に仕込んだ。反応器内温度が78℃に安定したのち、AIBN1.5部を加え、その5分後より、残りの単量体混合液105.93部の滴下を開始した。また、MEK20部とメルカプトエタノール1.4部の連鎖移動剤溶液を調製し、単量体混合液と同時に滴下を開始した。どちらの混合液も、定量ポンプを用いて、一定速度で3時間かけて滴下し、単量体を重合させた。滴下終了後10分で反応器内温を80℃に上げ、AIBN0.5部を加え、MEK2部でリンスした。さらにその20分後に再びAIBN0.5部を加え、MEK2部でリンスした。さらに反応器内温度を80℃に保って、2時間30分熟成を行った。次に、MEKを加熱減圧処理により除去し、メタノールを加えた後、再度加熱減圧処理により溶剤除去を行った。この操作を繰り返し、マクロモノマーでない重合体組成物M18を30.9%含有するメタノール溶液を得た。GPC測定の結果、Mn2760、Mw6170であった。
【0055】
(実施例1:重合体微粒子P1の製造)
攪拌機、還流冷却器、温度計、窒素導入管を備えた2リットルガラス製反応容器内にメタノール700g、水300g、MMA100g、及び10gのM1を仕込んだ。翼径11cmの半月板状攪拌翼を用い、攪拌速度120rpmで攪拌した。窒素ガスをバブリングしながら、反応器内温度を60℃に調整した。M1が完全に溶解し、反応器内の混合溶液は完全に透明であることを確認した。反応器内温が60℃で安定したことを確認したのち、窒素ガス配管を反応液から引き上げ、その先端が液面より上になるように固定した。次いで、AIBN2gを仕込んで重合を開始した。AIBN投入から数分で反応液に濁りが発生し、媒体に溶解しない粒子が生成したことが確認された。AIBN投入から6時間後、反応器を急冷して、反応液を20℃〜30℃まで冷却して、重合体微粒子P1の分散液を得た。
直ちに、分散液の全量を300メッシュのポリネットで濾過し、凝集発生の有無を確認したところ濾過残渣は0.03gであった。また、反応器の内壁、攪拌翼、及び温度計への凝集物の付着状態はわずかであった。
濾過後の分散液について、155℃×30分乾燥によりもとめた固形分値と、仕込みから計算される理論固形分値から収率を求めたところ、90.3%であった。さらに分散液を、別途上澄みが透明になるまで静置し、沈降部を回収後、室温乾燥させて、重合体微粒子P1を得た。得られた重合体微粒子P1について、走査型電子顕微鏡(以下、SEMという。)観察を行った。SEM観察像より、約200個の粒子について粒子径を測定し、体積平均粒子径dv、数平均粒子径dn、及び分散度Cvを式(2)〜(4)に従って計算したところ、dv=3.52μm、dn=3.42μm、Cv=11.3%であった。上記、評価結果を表4に記載した。
【0056】
(実施例2〜21:重合体微粒子P2〜P21の製造)
分散剤の種類、及び反応器仕込み組成を表4〜6に示す通りに変更する以外は、実施例1と同様の操作を行い、重合体微粒子P2〜P21の分散液を製造し、重合安定性及び収率を評価した。重合安定性の評価は、以下の基準に従って、4段階で評価した。
◎:濾過残渣が全くなく、反応器、攪拌翼、及び温度計への凝集物付着もほとんどない場合。
○:濾過残渣が、反応液全量を基準として100ppm未満で、反応器、攪拌翼、及び温度計への凝集物付着も少ない場合。
×:濾過残渣が、反応液全量を基準として100ppm以上あるか、もしくは反応器、攪拌翼、及び温度計への凝集物付着が多い場合。
××:重合中に多量の凝集物が発生して、継続が困難となり中止したもの。もしくは、凝集物が極めて多く、300メッシュポリネットの詰まりが激しく濾過が出来ないもの。
また実施例1と同様の操作により、重合体微粒子P2〜P21を得て、dv、dn、及びCvを測定した。結果を表4〜表6に示す。
【0057】
【表4】
Figure 0003991840
【0058】
略号は、以下の化合物を意味する。
MeOH:メタノール
【0059】
【表5】
Figure 0003991840
【0060】
【表6】
Figure 0003991840
【0061】
(比較例1)
分散剤としてM18を使用し、反応器仕込み組成を表7に示す通りに変更する以外は、実施例1と同様の操作を行い、重合体微粒子の分散液を製造することを試みたが、重合中多量の凝集物が発生し、攪拌が困難となったため、重合途中で中止した。従って、重合体微粒子を得ることは出来なった。なお、M18はメタノール溶液として製造したものであり、M18すなわちマクロモノマーでない重合体組成物として30部の仕込みとなるようにメタノール溶液で仕込み、このときのメタノール仕込み分を合わせて、700部となるようにメタノールの仕込みを行った。
【0062】
(比較例2〜3)
反応器仕込み組成を表7に示す通りに変更する以外は、比較例1と同様の操作を行い、重合体微粒子の分散液を製造することを試みたが、いずれも重合中多量の凝集物が発生し、攪拌が困難となったため、重合途中で中止した。従って、重合体微粒子を得ることは出来なった。
【0063】
(比較例4)
分散剤としてポリアクリル酸(以下、PAAという。東亞合成株式会社製水溶液製品、アロンA10SL、固形分40%、Mw6000)を使用し、反応器仕込み組成を表7に示す通りに変更する以外は、比較例1と同様の操作を行い、重合体微粒子の分散液を製造することを試みたが、重合中多量の凝集物が発生し、攪拌が困難となったため、重合途中で中止した。従って、重合体微粒子を得ることは出来なった。なお、A−10SLはPAAの水溶液であり、PAAとして20部の仕込みとなるように水溶液を仕込み、このときの水仕込み分を合わせて、300部となるように水の仕込みを行った。
【0064】
(比較例5:重合体微粒子R5の製造)
分散剤としてポリビニルピロリドン(以下、PVPという。和光純薬工業株式会社製粉末製品、K−30、Mw30000)を使用し、反応器仕込み組成を表7に示す通りに変更する以外は、実施例1と同様の操作を行い、重合体微粒子R5の分散液を製造した。濾過残渣は254ppmで、反応器内壁、攪拌ペラ、及び温度計に多量の凝集物が付着していた。実施例1と同様の操作により、収率、及び重合体微粒子のdv、dn、Cvを測定した。結果を表7に示した。
【0065】
(比較例6:重合体微粒子R6の製造)
反応器仕込み組成を表7に示す通りに変更する以外は、比較例5と同様の操作を行い、重合体微粒子R6の分散液を製造した。濾過残渣は800ppmで、反応器内壁、攪拌ペラ、及び温度計に多量の凝集物が付着していた。実施例1と同様の操作により、収率、及び重合体微粒子のdv、dn、Cvを測定した。結果を表7に示す。
【0066】
【表7】
Figure 0003991840
【0067】
(実施例22〜26)
表8の反応器仕込み組成に示す、水、メタノール仕込み量に変更する以外は、実施例14と同様の操作により、重合体微粒子P22〜26の分散液を製造した。重合はいずれも安定であり、実施例22〜25については、実施例14同様、濾過残渣はほぼゼロで反応器内壁等への凝集物付着もほとんどなかった。実施例26についても、濾過残渣は54ppmで反応器内壁等への凝集物付着も少しであった。実施例14と同様の操作により、収率、及び重合体微粒子のdv、dn、Cvを測定した。結果を表8に示す。メタノール仕込み割合が増えるに従って、収率が低下しているが、凝集物の発生は認められない。収率の低下は、メタノールの仕込み割合が増えることによって重合速度が低下し、MMAの反応率も低下するためである。表8の結果から、本発明の製造法では、幅広い粒子径範囲において、単分散粒子を安定に製造することができることがわかる。
【0068】
【表8】
Figure 0003991840
【0069】
(比較例7〜11)
表9の反応器仕込み組成に示す、水、メタノール仕込み量に変更する以外は、比較例6と同様の操作により、重合体微粒子R7〜11の分散液を製造した。いずれも、比較例6同様、反応器内壁等に多量の凝集物が付着した。また比較例7〜10では100ppm以上の濾過残渣があり、比較例11では濾過時すぐに目詰まりが起こるために濾液を回収することが出来なかった。比較例7〜10について比較例6と同様の操作により、収率、及び重合体微粒子のdv、dn、Cvを測定した。結果を表9に示す。
【0070】
【表9】
Figure 0003991840
【0071】
(実施例27〜28)
表10の反応器仕込み組成に示す、分散剤仕込み量に変更する以外は、実施例23と同様の操作により、重合体微粒子P27〜28の分散液を製造した。重合はいずれも安定であり、濾過残渣は100ppm以下で、反応器内壁等への付着も少なかった。実施例23と同様の操作により、収率、及び重合体微粒子のdv、dn、Cvを測定した。結果を表10に示す。
【0072】
(比較例12〜13)
表10の反応器仕込み組成に示す、分散剤仕込み量に変更する以外は、比較例8と同様の操作により、重合体微粒子R12〜13の分散液を製造した。いずれも反応器内壁等に多量の凝集物が付着し、濾過残渣も比較例12では830ppm、比較例13では8700ppmと多かった。比較例8と同様の操作により、収率、及び重合体微粒子のdv、dn、Cvを測定した。結果を表10に示す。
【0073】
【表10】
Figure 0003991840
【0074】
(実施例29〜31)
表11に示す攪拌速度に変更する以外は、実施例14と同様の操作により、重合体微粒子P29〜31の分散液を製造した。重合はいずれも安定であり、濾過残渣はほぼゼロで、反応器内壁等への付着もほとんどなかった。実施例14と同様の操作により、収率、及び重合体微粒子のdv、dn、Cvを測定した。結果を表11に示す。
【0075】
(比較例14〜16)
表11に示す攪拌速度に変更する以外は、比較例6と同様の操作により、重合体微粒子R14〜16の分散液を製造した。いずれも濾過残渣は比較例100ppm以上で、反応器内壁等に多量の凝集物が付着した。比較例6と同様の操作により、収率、及び重合体微粒子のdv、dn、Cvを測定した。結果を表11に示す。
【0076】
【表11】
Figure 0003991840
【0077】
(実施例32〜35)
表12の反応器仕込み組成に示す、単量体種類及び仕込み量に変更する以外は、実施例14と同様の操作により、重合体微粒子P32〜35の分散液を製造した。重合はいずれも安定であり、実施例32〜34については、濾過残渣はほぼゼロで反応器内壁等への付着もほとんどなかった。実施例35についても、濾過残渣は89ppmで反応器内壁等への付着も少しであった。実施例14と同様の操作により、収率、及び重合体微粒子のdv、dn、Cvを測定した。結果を表12に示す。
【0078】
(実施例36〜37)
表12の反応器仕込み組成に示すとおりに、単量体、溶媒、及び触媒の組成もしくは仕込み量を変更し、重合温度を70℃に変更する以外は、実施例14と同様の操作により、重合体微粒子P36〜37の分散液を製造した。重合はいずれも安定でありであった。実施例14と同様の操作により、収率、及び重合体微粒子のdv、dn、Cvを測定した。結果を表12に示す。
【0079】
【表12】
Figure 0003991840
【0080】
略号は以下の化合物を意味する。
EGDMA:エチレングリコールジメタクリレート
AMA:アリルメタクリレート
St:スチレン
EtOH:エタノール
【0081】
(比較例17)
分散剤の種類をPVPに変更し、水および25%NH3水溶液の仕込み量をそれぞれ300部および0部に変更する以外は、実施例32と同様の操作により重合体微粒子の製造を試みたが、重合中に撹拌翼に大きな凝集塊が付着して撹拌が困難となったため製造を中止した。
【0082】
【発明の効果】
以上、説明したように本発明によれば、ミクロンサイズで、かつ単分散性に優れた重合体微粒子を安定に製造することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】重合体微粒子P14のSEM写真
【図2】重合体微粒子P23のSEM写真
【図3】重合体微粒子P25のSEM写真
【図4】重合体微粒子P28のSEM写真
【図5】重合体微粒子R10のSEM写真
【図6】重合体微粒子R13のSEM写真

Claims (7)

  1. ビニル単量体Aを、分散剤の存在下、前記ビニル単量体Aおよび分散剤は溶解するが、生成する重合体は実質的に溶解しない溶媒中で重合させる重合体微粒子の製造方法であって、前記分散剤が、極性基を有するビニル単量体Bを150℃〜350℃の温度範囲でラジカル重合させて得られる、式(1)に示す末端構造を有するマクロモノマーであることを特徴とする重合体微粒子の製造方法。
    Figure 0003991840
    式(1)において、Xは極性基を意味し、Mは単量体単位を意味し、nは重合度を表す自然数を意味する。
  2. ビニル単量体Aを、分散剤の存在下、前記ビニル単量体Aおよび分散剤は溶解するが、生成する重合体は実質的に溶解しない親水性溶媒中で重合させる重合体微粒子の製造方法であって、前記分散剤が、極性基を有するビニル単量体Bを150℃〜350℃の温度範囲でラジカル重合させて得られる、式(1)に示す末端構造及び親水性基を有するマクロモノマーであることを特徴とする重合体微粒子の製造方法。
    Figure 0003991840
    式(1)において、Xは極性基を意味し、Mは単量体単位を意味し、nは重合度を表す自然数を意味する。
  3. 重合体微粒子の数平均粒子径が1μm以上、10μm以下で、Cv値が15%以下である請求項1または請求項2記載の重合体微粒子の製造方法。
  4. マクロモノマーが有する親水性基がカルボキシル基である請求項2に記載の重合体微粒子の製造方法。
  5. カルボキシル基の少なくとも一部が、アルカリによって中和されたものである請求項に記載の重合体微粒子の製造方法。
  6. マクロモノマーが構成単量体単位として疎水性単量体単位をも有するものである請求項1〜のいずれかに記載の重合体微粒子の製造方法。
  7. 請求項1〜のいずれかに記載の製造方法により製造された重合体微粒子。
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