JP3991526B2 - ピエゾインジェクタおよびピエゾインジェクタの噴射量調整方法 - Google Patents

ピエゾインジェクタおよびピエゾインジェクタの噴射量調整方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はピエゾインジェクタおよびピエゾインジェクタの噴射量調整方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
ピエゾインジェクタは開弁と閉弁との切り替えに圧電効果を利用したピエゾスタックを用いるもので、ディーゼルエンジンのコモンレール式燃料噴射装置等に用いられている。ピエゾインジェクタは、ノズル先端の噴孔がノズル内に挿置されたノズルニードルの昇降により開閉し、ノズルニードルはその背圧の増減により昇降する構成となっており、ノズルニードルの背圧を高圧または低圧に切り替える背圧制御部に、背圧の切り替え手段としてピエゾスタックを備えている。ピエゾスタックはインダクタ回路を介して充電するか放電するかで伸長状態と縮小状態とが切り替わり、ノズルニードルの背圧を高圧または低圧に切り替える。
【0003】
背圧制御部の方式には、背圧室を画成するピストンをピエゾスタックの伸縮により変位せしめて背圧室の圧力を高低に切り替える方式のものや、背圧室を絞りを介して高圧源と連通する構成とするとともに二方弁を介して低圧源と連通する構成として二方弁の弁棒をピエゾスタックの伸縮により開閉し背圧室の圧力を高低に切り替える方式のものがある。また、背圧室を三方弁を介して高圧源と低圧源と連通する構成とし、三方弁の弁棒をピエゾスタックの伸縮により背圧室を高圧源と低圧源とのいずれかと連通するように切り替える方式のものがある(特開平9−184463号公報)。背圧制御部がいずれの構成であっても、ピエゾスタックの制御信号によりピエゾスタックの伸長タイミングと縮小タイミングとの間隔が規定され、ピエゾインジェクタの噴射時間すなわち噴射量を制御する。
【0004】
ピエゾインジェクタの噴射開始の応答性等の噴射特性はピエゾインジェクタの基本的な構成が同じであってもインジェクタ各部の形状等の細かい仕様により異なる。例えば、上記特開平9−184463号公報記載の、背圧制御部に三方弁を用いたピエゾインジェクタは、高圧源から三方弁への高圧流体の流入路、三方弁から低圧源への高圧流体の流出路、三方弁からノズルニードルの背圧室に到る流路等に絞りを設け、これら流路の流量を変えることで背圧制御部の作動特性を調整しピエゾインジェクタの噴射特性を設定している。また積極的に絞りを設けない場合でもこれらの流路の形状は流量を規定し噴射特性に著しい影響を与える。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、同一仕様のインジェクタであっても製造ばらつきに起因して個体差が存在する。かかる個体差は個体間で噴射特性の不均一となって現れる。個体間で噴射特性を均一にするには、ピエゾインジェクタの製造工程の最後に、ピエゾインジェクタ個々の目標噴射量に対する実噴射量の誤差に基づいてピエゾインジェクタを手直しすることができればよい。例えば、上記背圧制御部の作動特性を規定する流路の絞り等を手直しできればよい。
【0006】
しかしながら、実噴射が可能になるまで組立が進むと、ピエゾインジェクタ各部の形状を修正することは実質的に不可能である。
【0007】
本発明は上記実情に鑑みなされたもので、第1に、簡単な構成で噴射量を調整可能なピエゾインジェクタを提供することを目的とする。第2に、正確かつ容易に個体間の噴射量ばらつきを低減することのできるピエゾインジェクタの噴射量調整方法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の発明では、インダクタ回路を介して充電するか放電するかでノズルニードルを開弁と閉弁とに切り替えるピエゾスタックの充電経路上もしくは放電経路上でピエゾスタックと直列に調整用インダクタを接続せしめて、ピエゾスタックの充電時若しくは放電時のインダクタ回路のインダクタンスをピエゾインジェクタ個々に補正自在とする。
【0009】
調整用インダクタによりインダクタ回路のインダクタンスが増量補正されるので、その分、ピエゾスタックの充電電流もしくは放電電流は小さくなり、ピエゾスタックの作動は遅くなる。しかして、調整用インダクタのインダクタンスに応じてノズルニードルの開弁または閉弁が遅れ、噴孔からの噴射量を増減できる。ピエゾインジェクタの製造工程が実噴射可能な段階まで進んでいても、流路等の各部の形状の変更を伴わずに噴射量の調整が可能である。
【0010】
請求項2記載の発明では、ピエゾスタックとインダクタ回路との間を接続する端子として、ピエゾスタックの一方の極と導通する第1の端子と、ピエゾスタックの他方の極と導通する第2の端子と、ピエゾスタックの一方の極と上記調整用インダクタを介して導通する第3の端子とを設ける。
【0011】
第3の端子を介して電流が流れるときは、インダクタ回路のインダクタンスをピエゾスタックの調整用インダクタのインダクタンスに応じて増加補正することができる。しかして、そのピエゾインジェクタの噴射量が調整用インダクタのインダクタンスに応じて補正される。
【0012】
請求項3記載の発明では、上記調整用インダクタを、上記充電経路上もしくは放電経路上のうち、開弁時に電流が流れる方の経路上でピエゾスタックと直列に接続する。
【0013】
ノズルニードルの開弁時と閉弁時とのうち、閉弁時におけるピエゾスタックの作動速度はピエゾインジェクタの個体間で変わらないので、個体によらずシャープカットとし得る。内燃機関の燃料噴射用として好適である。
【0014】
請求項4記載の発明では、噴射量が不足するときは、開弁時のインダクタ回路のインダクタンスが小さくなるように、または閉弁時のインダクタ回路のインダクタンスが大きくなるように上記調整用インダクタのインダクタンスを増減して噴射量を多くする。噴射量が過剰なときは、開弁時のインダクタ回路のインダクタンスが大きくなるように、または閉弁時のインダクタ回路のインダクタンスが小さくなるように上記調整用インダクタのインダクタンスを増減して噴射量を少なくする。
【0015】
ピエゾインジェクタの製造ばらつき等に起因してピエゾインジェクタ個体間で噴射量がばらついても、目標噴射量に対する実噴射量の誤差が相殺され、噴射量のばらつきを低減することができる。調整用インダクタを手直しするだけなので、調整が容易である。
【0016】
請求項5記載の発明では、上記調整用インダクタのインダクタンスをコイル部材の巻き数を変えて増減する。
【0017】
インダクタンスを大きくするにはコイルの巻き数を多くしインダクタンスを小さくするにはコイルの巻き数を少なくすればよいので、噴射量の調整がさらに容易である。
【0018】
【発明の実施の形態】
本発明のピエゾインジェクタをディーゼルエンジンのコモンレール式燃料噴射装置に適用した実施形態について、図1、図2、図3により説明する。コモンレール式燃料噴射装置の全体構成を示す図2において、コモンレール式燃料噴射装置1は、ディーゼルエンジンの各気筒のピエゾインジェクタ(以下、単にインジェクタ)11と連通する共通のコモンレール12が設けられ、コモンレール12内は高圧サプライポンプ13から圧送された高圧燃料により蓄圧される。図例ではインジェクタ11は1つのみ図示しているが同じ基本構成のものが気筒数分設けられる。インジェクタ11は、ECU18を構成する駆動回路7がケーブルを介してインジェクタ11の後述するピエゾスタックを充放電し、必要な時期に必要な時間だけインジェクタ11から各気筒の燃焼室内に略コモンレール内圧力に等しい噴射圧力で燃料を噴射するようになっている。コモンレール内圧力は圧力センサ19によって検出され、その検出結果に基づいてECU18が吸入調量弁14を制御してコモンレール12への燃料の圧送量を調整し、コモンレール内圧力を、他のセンサ入力等により知られる運転条件に応じた良好な燃焼を与える最適な噴射圧となるように制御する。なお、インジェクタ11はドレーンライン17を有す。
【0019】
インジェクタ11の全体断面を示す図3において、インジェクタ11はエンジンの図略の燃焼室壁を貫通し図中下端部が燃焼室内に突出するように取り付けられる。インジェクタ11は棒状のホルダ2を備え、ホルダ2に高圧燃料噴射用のノズル部11aと噴射制御用の背圧制御部11bとが形成される。ホルダ2は具体的には複数の円形部材を上下方向に密着嵌合して構成され、その内部には縦穴20が軸心位置に形成されるともに略これに平行に高圧通路23およびドレーン通路25が形成してある。
【0020】
ホルダ2の下端には高圧流体たる高圧燃料が噴射される噴孔21が開口し、サック22を介して縦穴20下端部と連通している。ホルダ2の上端部には高圧ポート26が設けられ、高圧燃料を保持するコモンレール12(図2)に通じる高圧燃料ライン16(図2)と接続される。インジェクタ11には高圧ポート26から高圧燃料が噴射用および制御用として導入される。ホルダ2の上端部にはまた、出口ポート27が設けられ、低圧源である燃料タンク15(図2)に通じるドレーンライン17(図2)と接続される。
【0021】
ノズル部11aについて説明する。ホルダ2の上記縦穴20はサック22との接続端部201が上側ほど拡径するコーン状をなし、後述するノズルニードル31が着座する弁座201としてある。
【0022】
縦穴20の下側略1/3ほどの部分には棒状のノズルニードル31が上下動自在に貫通しており、上記部分の上側半部であるニードルシリンダ203がノズルニードル31を摺動自在に保持している。ノズルニードル31は、下端部に下側ほど縮径するコーン状の弁面311が形成してあり、弁座201に着座するようになっている。
【0023】
ニードルシリンダ203の下端部にはノズルニードル31外周に環状の油溜まり202が形成してある。油溜まり202は、上記高圧通路23と導通しており、高圧通路23の上流端に位置する高圧ポート26を介して高圧燃料が供給されている。油溜まり202に供給された高圧燃料はノズルニードル31のリフト時にノズルニードル31の弁面311と弁座201の間の間隙を通り、サック22を経て噴孔21から噴射されるようになっている。
【0024】
また、ノズルニードル31のコーン状下端面のうち、弁座201と密着しない環状部分には常時高圧燃料が作用してノズルニードル31を上方すなわち開弁方向に付勢している。
【0025】
ノズルニードル31の上端面には深穴状の窪みが形成され、窪み底面と後述するスピル弁部111bの弁棒33との間にスプリング32が圧縮状態で介設されており、ノズルニードル31を下方すなわち閉弁方向に付勢している。
【0026】
ノズルニードル31の上方にはニードルシリンダ203壁面とノズルニードル上端面とで空間が画成され、背圧室である制御油圧室204としてある。制御油圧室204はインオリフィス24を介して高圧通路23と導通し、高圧通路23から高圧燃料が供給されるようになっており、ノズルニードル31を下方すなわち閉弁方向に付勢する背圧を発生する。
【0027】
ノズルニードル31の背圧を制御する背圧制御部11bについて説明する。背圧制御部11bはスピル弁部111bとピエゾアクチュエータ部112bとから構成される。スピル弁部111bは、上記スプリング32の上方に縦穴20を貫通して弁棒33が設けてある。弁棒33はロッド部332の下端部に傘部331を設けたもので、ロッド部332にて縦穴20の一部であるピストンシリンダ208に摺動自在に保持されている。縦穴20はピストンシリンダ208直下で拡径し、ロッド部332の外周に環状の通路207が形成されている。環状通路207はドレーン通路25と導通している。
【0028】
縦穴20の制御油圧室204と環状通路207の間は出口孔205としてあり出口孔205は、制御油圧室204側の開口周縁部が、下側が拡径するコーン状に形成され、弁棒33の傘部331の、下側ほど拡径するコーン状面を弁面3311として受ける弁座206としてある。すなわち図例のスピル弁部111bは外開弁であり、弁棒33が下方すなわち制御油圧室204側に変位すると弁面3311が弁座206から離間して出口孔205を開き、制御油圧室204の高圧が出口孔205、環状通路207を介してドレーン通路25に逃がされるようになっている。
【0029】
弁棒33には、制御油圧室204の油圧および圧縮した上記スプリング32が閉弁方向に付勢している。
【0030】
ピエゾアクチュエータ部112bについて説明する。ピエゾアクチュエータ部112bはスピル弁部11bの弁棒33を駆動する部分である。縦穴20のピストンシリンダ208よりも上側部分がピストンシリンダ208よりも大径のアクチュエータ室209としてあり、ピストンシリンダ208およびアクチュエータ室209を貫通して弁棒33の上方にピストン34が挿置してある。ピストン34は、大径で上端が開口した筒状の保持部342の下端面から細径の軸部341が延出したもので、軸部341が弁棒33とともにピストンシリンダ208に摺動自在に保持されており、その下端面は弁棒33の上端面と当接している。
【0031】
ピストン34の上側の保持部342はアクチュエータ室209に上下動自在に格納される。保持部342とアクチュエータ室209の底面との間には、ピストン34の軸部341の外周に皿ばね35が圧縮状態で介設してあり、ピストン34を上方へ付勢している。
【0032】
ピストン34の筒状保持部342内にはピエゾスタック5が嵌入せしめてある。ピエゾスタック5は上下方向に伸縮可能で、その伸長時にピストン34を押し下げるようになっている。
【0033】
インジェクタ11の上端部には、ピエゾスタック5の充放電用のケーブルを受けるコネクタ部11cが設けられている。
【0034】
インジェクタ11のピエゾスタック5付近の断面を示す図1(A)において、ホルダ2の縦孔20上端部には、ピエゾスタック5の上方に、ピエゾスタック5の頂面から伸びる一対のリード線51,52を保持する円形部材36が嵌入し、その上側小径部は筒状部材37を介してホルダ2と螺結しており、ピエゾスタック5の上端位置が固定される。ホルダ2、円形部材36、筒状部材37の上部は樹脂製の蓋部38により被覆されている。
【0035】
蓋部38の頂面には筒状の突出部が形成され、上記ケーブル端のコネクタを受ける受け口381としてある。受け口381に囲まれて3つの端子41,42,43が蓋部38から突出し、受け口381とともにコネクタ部11cを構成する。各端子41〜43は、受け口381とケーブル端コネクタとが嵌合すると、それぞれ対となる上記ケーブル端コネクタの端子と接触導通するようになっている。
【0036】
第1の端子41はピエゾスタック5の正極から引き出される第1のリード線51と導通し、第2の端子42はピエゾスタック5の負極から引き出される第2のリード線52と導通している。第3の端子43は、上記円形部材36の上方に配設された調整用インダクタたる調整用インダクタンスコイル6を介して上記第1のリード線51と導通している。
【0037】
調整用インダクタンスコイル6はリング状のコア61にコイル部材62を数ターン巻回してなる。調整用インダクタンスコイル6の巻き数はインジェクタ11の最終製造工程において、実噴射可能となった状態でインジェクタ11個々に調整され、調整用インダクタンスコイル6に所定のインダクタンスが与えられる。調整終了後、調整用インダクタンスコイル6は樹脂モールドされて機械的に固定される。蓋部材38はこのとき成形される。調整用インダクタンスコイル6の巻き数については後述する。
【0038】
ピエゾスタック5の駆動系の回路を示す図1(B)において、駆動回路7は、各インジェクタ11のピエゾスタック5に共通で、バッテリ電圧を所定の大きさのDC電圧に変換するDC−DCコンバータ70と、DC−DCコンバータ70からの充電により電気エネルギーを保持するコンデンサ71を備えている。DC−DCコンバータ70とコンデンサ71とはメインスイッチ76のオンにより接続され、DC−DCコンバータ70がコンデンサ71を充電する。
【0039】
上記コンデンサ71はインダクタ回路7aを介してピエゾスタック5と接続される。インダクタ回路7aは2つのインダクタであるインダクタンスコイル72,73を備えており、ピエゾスタック5の充電経路と放電経路とを形成する。充電経路は、コンデンサ71から直列接続の第1の充電スイッチ77および充電用インダクタンスコイル72を通り、各インジェクタ11の上記第3の端子43を介してピエゾスタック5の正極に到る。放電経路は、各インジェクタ11のピエゾスタック5の正極から上記第1の端子41を介して直列接続の放電用インダクタンスコイル73および放電スイッチ78を通り、コンデンサ71に到る。
【0040】
各インジェクタ11のピエゾスタック5の負極と導通する第2の端子42には第2の充電スイッチ79および放電用ダイオード74が接続され、ピエゾスタック5の負極がこれらを介して接地される。第2の充電スイッチ79により充電経路の接地側を形成し、放電用ダイオード74により放電経路の接地側を形成する。
【0041】
第1の充電スイッチ77および噴射気筒に対応するインジェクタ11の第2の充電スイッチ79をパルス状にオンすることにより、充電状態のコンデンサ71から充電用インダクタンスコイル72および調整用インダクタンスコイル6を経てピエゾスタック5に充電電流が流れる。ピエゾスタック5の充電でピエゾスタック5は伸長する。ピエゾスタック5の充電電圧は、充電用インダクタンスコイル72および調整用インダクタンスコイル6の誘導作用により電荷供給元の電荷量に略比例する。
【0042】
また、ピエゾスタック5が充電状態のとき、放電スイッチ78をパルス状にオンすることにより、ピエゾスタック5から放電用インダクタンスコイル73を経て上記充電電流とは逆方向に放電電流が流れ、ピエゾスタック5が放電する。ピエゾスタック5の放電は、放電時に順バイアスとなる放電用ダイオード74を通り行われる。なお、このピエゾスタック5の充放電に伴うエネルギー損失はメインスイッチ76のオンにより補充され、次の噴射気筒に対応するインジェクタ11の燃料噴射に備えられる。
【0043】
なお、図のごとく直列接続されたピエゾスタック5および放電用ダイオード74に並列に、全インジェクタ11に共通に、ピエゾスタック5の正極側がアノードとなるように負電圧防止ダイオード75が設けてある。この負電圧防止ダイオード75はピエゾスタック5が過放電となってピエゾスタック5の電圧が負にならないようにするためのもので、放電によりピエゾスタック5の電圧が常に0Vに復するようになっている。
【0044】
なお、上記各スイッチ76〜79はECU18を構成する演算部、例えばマイクロコンピュータにより入切制御可能としてある。
【0045】
本インジェクタの作動を説明する。充電スイッチ77,79をパルス状にオンすると、ピエゾスタック5が伸長してピストン34を押し下げ、スピル弁部111bが「開」となる。
【0046】
出口孔205が開くと制御油圧室204は油圧が低下し、これによりノズルニードル31の背圧が減ぜられ、ノズルニードル31への開弁方向付勢力(ノズルニードル3の下端面に上向きに作用する油圧力)の方が優勢となって、ノズルニードル31が上昇する。かくして噴孔21から燃料の噴射が開始される。
【0047】
そして運転状態から演算される所定のタイミングで放電スイッチ78をオンすると、ピエゾスタック5の電荷は放出されてその電圧は降下して充電前の状態(0V)に復する。これによりピエゾスタック5は縮小して元の長さとなり、ピストン34、スピル弁部111bの弁棒33は、皿ばね35のばね力や制御油圧室204の油圧、スプリング32のばね力により押し上げられ、元の位置まで上昇し、出口孔205は閉じられる。この結果、制御油圧室204とドレーン通路25の導通は遮断され、制御油圧室204は、高圧通路23から流入する高圧燃料により油圧が回復し、再びノズルニードル31への閉弁方向付勢力が優勢となってノズルニードル31は着座位置まで下降して噴孔21を閉じ燃料噴射を停止する。かくして充電スイッチ77,79をオンするタイミングと放電スイッチ78をオンするタイミングとにより規定される所定の期間に燃料噴射を行うことができる。
【0048】
さて、調整用インダクタンスコイル6は巻き数が多いほどインダクタンスが大きく、ピエゾスタック5への充電電流が小さくなりピエゾスタック5の伸長速度が低下し、スピル弁部111bの作動速度が低下し、上記充電スイッチ77,79の作動に対するノズルニードル31の開弁応答が遅れる。これにより、噴射時間が短くなって噴射量が少なくなる。調整用インダクタンスコイル6は各インジェクタ11ごとに設けられるから、その巻き数をインジェクタ11個々に調整することで、他のインジェクタ11とは無関係に噴射量を補正することができる。
【0049】
この調整用インダクタンスコイル6の巻き数の加減は、製造工程においてノズル部11a、スピル弁部111b等のインジェクタ本体部分ができ実噴射が可能となった後、上記樹脂モールド前に、実噴射量に基づいて行えばよい。したがって、例えばスピル弁部111bを構成しその作動特性を規定する要素の形状(例えばインオリフィス24の断面積)を手直しすることなく噴射量の補正が可能となる。
【0050】
ここで、実噴射量が目標噴射量に足りない場合は、開弁時のインダクタ回路7aのインダクタンスすなわち充電経路のインダクタンスが小さくなるように調整用インダクタンスコイル6の巻き数を小さくしてインダクタンスを小さくし、噴射量を多くする。実噴射量が目標噴射量よりも過剰な場合は、開弁時のインダクタ回路7aのインダクタンスすなわち充電経路のインダクタンスが大きくなるように調整用インダクタンスコイル6の巻き数を大きくしてインダクタンスを大きくし、噴射量を少なくする。これにより、インジェクタ11の噴射量の個体差が相殺されて噴射量の均一性が向上する。
【0051】
なお、調整前の初期巻き数は、インダクタンスの減少幅を規定するので噴射量ばらつきを考慮して設定しておくのがよい。
【0052】
なお、本実施形態では調整用インダクタンスコイルはコアに巻くコイル部材の巻き数によりインダクタンスを調整するようになっているが、コアを、材質(透磁率)や形状(断面積、径)の異なるものに代えることで調整してもよい。
【0053】
また、本実施形態のインジェクタは、調整用インダクタがホルダ内に樹脂でモールドされる構成となっているが、ピエゾスタックの両極と導通する一対の端子しか備えていない従来の構造のピエゾインジェクタ(以下、インジェクタ本体部という)のコネクタ部に、該コネクタ部と充放電用ケーブルとを中継する調整用コネクタを嵌合せしめる構成とし、調整用コネクタ内に調整用インダクタンスコイルを格納してもよい。すなわち、調整用コネクタには、インジェクタ本体部側に、ピエゾインジェクタ本体部のコネクタ部の端子と導通をとるための正極端子、負極端子を設け、充放電用ケーブル側に、ケーブル端コネクタの端子と導通をとるための3つの端子を設ける。そして、調整用コネクタ内で、3つの端子のうち、第1の端子とピエゾスタックの正極と導通する正極端子とを結線し、第2の端子とピエゾインジェクタの負極と導通する負極端子とを結線し、第3の端子と上記正極端子とを調整用インダクタンスコイルにより結線する。調整用インダクタンスコイルのインダクタンスの調整は、上記のごとく巻き数で行ってもよいし、調整用インダクタンスコイルのインダクタンスが異なる調整用コネクタを複数種類用意しておき、噴射量の必要な調整量に応じて調整用コネクタを付け替えることで行ってもよい。
【0054】
かかる構成でも、調整用インダクタンスコイルのインダクタンスに応じてノズルニードルの開弁応答を変えることができる。
【0055】
また、本実施形態では調整用インダクタンスコイルを充電用インダクタンスコイルと直列に接続してノズルニードルの開弁応答を調整するようにしている。これは、調整用インダクタンスコイルの調整量によらずシャープカットを損なわないので本実施形態のように燃料噴射の場合には望ましいためであるが、勿論、調整用インダクタンスコイルを放電用インダクタンスコイルと直列に接続してノズルニードルの閉弁応答を個体間で調整するようにしてもよい。すなわち、噴射量の増加が必要なインジェクタに対しては調整用インダクタンスコイルのインダクタンスを大きくすることでピエゾスタックの放電速度を遅くしてスピル弁の作動速度を減じ、放電スイッチの作動に対するノズルニードルの閉弁タイミングを遅らせる。このようにしても噴射時間が長くなって噴射量を多くすることができる。逆に噴射量が過剰なインジェクタに対しては調整用インダクタンスコイルのインダクタンスを小さくすることで噴射量を少なくする。
【0056】
また、ノズルニードルはピエゾスタックの充電でスピル弁が開いて背圧が低下しリフトする構成となっているが、特別な事情によってはピエゾスタックの放電でノズルニードルがリフトする構成でもよい。この場合、放電用インダクタンスコイルと直列に調整用インダクタンスコイルを接続し、調整用インダクタンスコイルをインダクタンスの大きなものにするほど、開弁タイミングを遅らせ噴射量を少なくすることができる。
【0057】
また、本実施形態では、駆動回路のインダクタ回路は充電用インダクタンスコイルと放電用インダクタンスコイルとの2つのインダクタを備えているが、充放電共通のインダクタを備えた構成のものでもよい。この場合、本ピエゾインジェクタはコネクタ部に上記3つの端子を備えているので、駆動回路に、共通のインダクタが、インジェクタの直接ピエゾスタック正極に通じる第1の端子と、調整用インダクタを介してピエゾスタック正極に通じる第3の端子とのいずれかと接続する切り替えスイッチを設ければよい。
【0058】
また、本実施形態はコモンレール式燃料噴射装置に適用したものを示したが、本発明は他の用途のインジェクタにも適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(A)は本発明のピエゾインジェクタの要部断面図であり、(B)はピエゾスタック駆動系の回路図である。
【図2】本発明のピエゾズタックを適用したディーゼルエンジンのコモンレール式燃料噴射装置の構成図である。
【図3】本発明のピエゾインジェクタの一部断面側面図である。
【符号の説明】
11 ピエゾインジェクタ
11a ノズル部
11b 背圧制御部
11c コネクタ部
12 コモンレール(高圧源)
2 ホルダ(ノズル)
21 噴孔
31 ノズルニードル
41,42,43 端子
5 ピエゾスタック
6 調整用インダクタンスコイル(調整用インダクタ)
61 コア
62 コイル部材
7 駆動回路
7a インダクタ回路

Claims (5)

  1. 高圧源からの高圧流体が供給されるノズルと、ノズル内に挿置され、ノズル先端に形成した噴孔を開閉するノズルニードルと、インダクタ回路を介して充放電するピエゾスタックの伸縮でノズルニードルの背圧を高圧と低圧とに切り替え制御しノズルニードルを開閉弁作動せしめる背圧制御部とを有するピエゾインジェクタにおいて、ピエゾスタックの充電経路上若しくは放電経路上でピエゾスタックと直列に調整用インダクタを接続せしめて、ピエゾスタックの充電時若しくは放電時のインダクタ回路のインダクタンスをピエゾインジェクタ個々に補正自在となしたピエゾインジェクタ。
  2. 請求項1記載のピエゾインジェクタにおいて、ピエゾインジェクタとインダクタ回路との間を接続する端子として、ピエゾスタックの一方の極と導通する第1の端子と、ピエゾスタックの他方の極と導通する第2の端子と、ピエゾスタックの一方の極と上記調整用インダクタを介して導通する第3の端子とを設けたピエゾインジェクタ。
  3. 請求項1または2いずれか記載のピエゾインジェクタにおいて、上記調整用インダクタを、上記充電経路上もしくは放電経路上のうち、開弁時に電流が流れる方の経路上でピエゾスタックと直列に接続したピエゾインジェクタ。
  4. 請求項1ないし3いずれか記載のピエゾインジェクタの噴射量調整方法であって、噴射量が不足するときは、開弁時のインダクタ回路のインダクタンスが小さくなるように、または閉弁時のインダクタ回路のインダクタンスが大きくなるように上記調整用インダクタのインダクタンスを増減して噴射量を多くし、噴射量が過剰なときは、開弁時のインダクタ回路のインダクタンスが大きくなるように、または閉弁時のインダクタ回路のインダクタンスが小さくなるように上記調整用インダクタのインダクタンスを増減して噴射量を少なくするピエゾインジェクタの噴射量調整方法。
  5. 請求項4記載のピエゾインジェクタの噴射量調整方法において、上記調整用インダクタのインダクタンスをコイル部材の巻き数を変えて増減するピエゾインジェクタの噴射量調整方法。
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