JP3989714B2 - オレフィン類重合用触媒およびオレフィン類の重合方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、得られるオレフィン重合体の立体規則性を高度に維持したまま、分子量分布の広いオレフィン重合体を高収率で得ることができるオレフィン類の重合用触媒および該触媒の存在下におけるオレフィン類の重合方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、オレフィン類の重合においては、マグネシウム、チタン、電子供与性化合物及びハロゲンを必須成分として含有する固体触媒成分、有機アルミニウム化合物および有機ケイ素化合物からなるオレフィン類重合用触媒の存在下に、オレフィン類を重合もしくは共重合させるオレフィン類の重合方法が数多く提案されている。
【0003】
例えば、特開昭57−63310号公報及び特開昭57−63311号公報にには、マグネシウム化合物、チタン化合物及び電子供与体を含有する固体触媒成分と、有機アルミニウム化合物と、Si−O−C結合を有する有機ケイ素化合物との組み合わせからなる触媒を用いて、炭素数3以上のオレフィンを重合させる方法が提案されている。しかしながら、これらの方法は、高立体規則性重合体を高収率で得るには、必ずしも十分に満足できるものではなく、より一層の改良が望まれていた。
【0004】
一方、特開昭63−3010号公報では、ジアルコキシマグネシウム、芳香族ジカルボン酸ジエステル、芳香族炭化水素及びチタンハロゲン化合物を接触して得られた生成物を粉末状態で加熱処理することにより調製した固体触媒成分と、有機アルミニウム化合物及び有機ケイ素化合物からなるオレフィン類重合用触媒と、該触媒の存在下でのオレフィンの重合方法が提案されている。
【0005】
また、特開平1−315406号公報においては、ジエトキシマグネシウムとアルキルベンゼンとで形成された懸濁液に、四塩化チタンを接触させ、次いでフタル酸ジクロライドを加えて反応させることによって固体生成物を得、該固体生成物を更にアルキルベンゼンの存在下で四塩化チタンと接触反応させることによって調製された固体触媒成分と、有機アルミニウム化合物及び有機ケイ素化合物よりなるオレフィン類重合用触媒と、該触媒の存在下でのオレフィンの重合方法が提案されている。
【0006】
更にまた、特開平2−84404号公報においては、マグネシウム化合物とチタン化合物を接触させることによって生成されるマグネシウム、チタンおよびハロゲンを必須成分として含有する固体チタン触媒成分、有機アルミニウム化合物触媒成分及びシクロペンチル基、シクロペンテニル基、シクロペンタジエニル基またはこれらの誘導体を含む有機ケイ素化合物触媒成分から形成されるオレフィン重合用触媒と、該触媒の存在下にオレフィンを重合もしくは共重合するオレフィンの重合方法が提案されている。
【0007】
上記の各従来技術は、その目的が生成重合体中に残留する塩素やチタン等の触媒残渣を除去する所謂、脱灰行程を省略し得る程の高活性を有するとともに、併せて立体規則性重合体の収率の向上や、重合時の触媒活性の持続性を高めることに注力したものであり、それぞれ優れた成果を上げている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
ところが近年、かかる高活性型触媒成分と有機アルミニウム化合物及び有機ケイ素化合物からなるオレフィン類重合用触媒を用いた重合反応によって得られたオレフィン重合体は、旧来の三塩化チタン型触媒成分を有機アルミニウム化合物及び必要に応じて用いられる、第三成分としての電子供与性化合物と組合せたオレフィン類重合用触媒を用いた重合反応により得られるオレフィン重合体に比較して、その分子量分布が狭く、そのため重合体を加工する際の溶融粘弾性が低く、そのため最終製品であるポリオレフィンの成形性あるいは外観を損なうなど、その用途がある程度制限されるという問題がある。
【0009】
このような課題を解決する手段の一つとして、例えば多段式重合方法を採り入れることにより、分子量分布の広いポリオレフィンを得るなど、種々の工夫が試みられている。しかしながら、多段式重合方法は繁雑な重合操作を重複して実施したり、重合時に用いるキレート剤の回収処理など、コスト面を含めて好ましくないものであった。
【0010】
そこで特開平3−7703号公報においては、マグネシウム、チタン、ハロゲン及び電子供与体を必須成分として含有する固体チタン触媒成分と、有機アルミニウム化合物および少なくとも二種以上の電子供与体(有機ケイ素化合物)とから形成されるオレフィン類重合用触媒の存在下に、オレフィンを重合させる方法が提案されている。
【0011】
上記重合方法によれば、煩雑な多段式重合をすることなく、目的とする分子量分布の広いポリオレフィンが得られるとされているが、二種以上の有機ケイ素化合物を重合時の電子供与体として使用することが必須要件であるため、その操作が煩雑である。
【0012】
本発明者らは、前記従来技術に伴う問題点を解決し、より簡略な操作で高立体規則性重合体の収率を維持しつつ、広い分子量分布を有するオレフィン重合体が得られるオレフィン類の重合用触媒および重合方法を提供することを目的として、鋭意検討を重ねた結果、(1)ジアルコキシマグネシウム、4価のハロゲン化チタン、及び電子供与性化合物を原料に用いた特定の固体触媒成分、有機アルミニウム化合物、並びに特定の構造を有するアミノシラン化合物からなる触媒を用いてオレフィン類を重合することにより、高立体規則性を有しかつ分子量分布の広いオレフィン重合体を高収率で得られること、(2)従来アミノシラン系化合物を重合時の電子供与性化合物に用いると触媒の対水素活性が低下し、高メルトフローレートの重合体が得られないという問題があったが、本発明の触媒では、このような問題を解決し、分子量分布は広がり、かつ対水素活性も従来触媒と同レベルあるいはそれ以上であり、高メルトフローレートの重合体が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0013】
すなわち、本発明は、(A)ジアルコキシマグネシウム(a)を、沸点50〜150℃の芳香族炭化水素(d)に懸濁させ、次いでこの懸濁液に4価のチタンハロゲン化合物(b)を接触させる前又は接触させた後に、電子供与性化合物(c)を接触させることにより調製される固体触媒成分、(B)下記一般式(1);
AlQ3−p(1)
(式中、R1 は炭素数1〜4のアルキル基を示し、Qは水素原子あるいはハロゲン原子を示し、pは0<p≦3の実数である。)で表される有機アルミニウム化合物、(C)下記一般式(2);RSi(OR(2)
(式中、Rはパーヒドロキノリノ基又はパーヒドロイソキノリノ基を示し、Rはパーヒドロキノリノ基、パーヒドロイソキノリノ基、炭素数1〜12のアルキル基、シクロアルキル基、フェニル基、ビニル基、アリル基、又はアラルキル基を示し、RとRは同一または異なっていてもよく、Rは炭素数1〜4のアルキル基、シクロアルキル基、フェニル基、ビニル基、アリル基、又はアラルキル基を示し、同一または異なっていてもよい。)で表わされるアミノシラン化合物から形成されることを特徴とするオレフィン類重合用触媒を提供するものである。
また、本発明は、(A)ジアルコキシマグネシウム(a)、4価のチタンハロゲン化合物(b)、電子供与性化合物(c)、芳香族炭化水素(d)およびポリシロキサン(e)を接触させることにより調製される固体触媒成分、前記(B)及び前記(C)で表わされるアミノシラン化合物から形成されることを特徴とするオレフィン類重合用触媒を提供するものである。
【0014】
また、前記オレフィン類重合用触媒の存在下に、オレフィン類を重合もしくは共重合させることを特徴とするオレフィン類の重合方法を提供するものである。上記一般式(2)中でパーヒドロキノリノ基とは、パーヒドロキノリンから、該パーヒドロキノリンが有する窒素原子に結合する水素1原子を除いた1価の基を示し、又はパーヒドロイソキノリノ基とは、パーヒドロイソキノリンから、該パーヒドロイソキノリンが有する窒素原子に結合する水素1原子を除いた1価の基を示し、共に、窒素原子Nが遊離基であるC16N−基を表す。
【0015】
【発明の実施の形態】
本発明のオレフィン類重合用触媒のうち固体触媒成分(A)(以下、「成分(A)」ということがある。)の調製に用いられるジアルコキシマグネシウム(a)(以下、「成分(a)」ということがある。)としては、一般式Mg( OR5 )(OR6) (式中、R5及びR6は炭素数1〜10のアルキル基を示し、それぞれ同一でも異なってもよい。)で表される化合物が好ましく、より具体的には、ジメトキシマグネシウム、ジエトキシマグネシウム、ジプロポキシマグネシウム、ジブトキシマグネシウム、エトキシメトキシマグネシウム、エトキシプロポキシマグネシウム、ブトキシエトキシマグネシウム等が挙げられ、ジエトキシマグネシウムが特に好ましい。また、これらのジアルコキシマグネシウムは、金属マグネシウムを、ハロゲンあるいはハロゲン含有金属化合物等の存在下にアルコールと反応させて得たものでもよい。また、上記のジアルコキシマグネシウムは、単独あるいは2種以上併用することもできる。
【0016】
更に、本発明において成分(A)の調製に用いられるジアルコキシマグネシウムは、顆粒状又は粉末状であり、その形状は不定形あるいは球状のものを使用し得る。例えば球状のジアルコキシマグネシウムを使用した場合、より良好な粒子形状と狭い粒度分布を有する重合体粉末が得られ、重合操作時の生成重合体粉末の取扱い操作性が向上し、生成重合体粉末に含まれる微粉に起因する閉塞等の問題が解消される。
【0017】
上記の球状ジアルコキシマグネシウムは、必ずしも真球状である必要はなく、楕円形状あるいは馬鈴薯形状のものを用いることもできる。具体的にその粒子の形状は、長軸径lと短軸径wとの比(l/w)が3以下であり、好ましくは1から2であり、より好ましくは1から1.5である。
【0018】
また、上記ジアルコキシマグネシウムの平均粒径は1から200μmのものが使用し得る。好ましくは5から150μmである。球状のジアルコキシマグネシウムの場合、その平均粒径は1から100μm、好ましくは5から50μmであり、更に好ましくは10から40μmである。また、その粒度については、微粉及び粗粉の少ない、粒度分布の狭いものを使用することが望ましい。具体的には、5μm以下の粒子が20%以下であり、好ましくは10%以下である。一方、100μm以上の粒子が10%以下であり、好ましくは5%以下である。更にその粒度分布をln(D90/D10)(ここで、D90は積算粒度で90%における粒径、D10は積算粒度で10%における粒径である。)で表すと3以下であり、好ましくは2以下である。
【0019】
上記の如き球状のジアルコキシマグネシウムの製造方法は、例えば特開昭58−41832号公報、特開昭62−51633号公報、特開平3−74341号公報、特開平4−368391号公報、特開平8−73388号公報などに例示されている。
【0020】
本発明における成分(A)の調製に用いられる4価のチタンハロゲン化合物(b)(以下「成分(b)」ということがある。)は、一般式Ti( OR7) n4-n(式中、R7は炭素数1〜4のアルキル基を示し、Xはハロゲン原子を示し、nは0≦n≦4の整数である。)で表されるチタンハライドもしくはアルコキシチタンハライド群から選択される化合物の1種あるいは2種以上である。
【0021】
具体的には、チタンハライドとしてチタンテトラクロライド、チタンテトラブロマイド、チタンテトラアイオダイド等のチタンテトラハライド、アルコキシチタンハライドとしてメトキシチタントリクロライド、エトキシチタントリクロライド、プロポキシチタントリクロライド、n−ブトキシチタントリクロライド、ジメトキシチタンジクロライド、ジエトキシチタンジクロライド、ジプロポキシチタンジクロライド、ジ−n−ブトキシチタンジクロライド、トリメトキシチタンクロライド、トリエトキシチタンクロライド、トリプロポキシチタンクロライド、トリ−n−ブトキシチタンクロライド等が例示される。このうち、チタンテトラハライドが好ましく、特に好ましくはチタンテトラクロライドである。これらのチタン化合物は単独あるいは2種以上併用することもできる。
【0022】
本発明における固体触媒成分(A)の調製に用いられる電子供与性化合物(以下、単に成分(c)ということがある。)は、酸素あるいは窒素を含有する有機化合物であり、例えばアルコール類、フェノール類、エーテル類、エステル類、ケトン類、酸ハライド類、アルデヒド類、アミン類、アミド類、ニトリル類、イソシアネート類、Si−O−C結合を含む有機ケイ素化合物等が挙げられる。
【0023】
具体的には、メタノール、エタノール、n−プロパノール、2−エチルヘキサノール等のアルコール類、フェノール、クレゾール等のフェノール類、メチルエーテル、エチルエーテル、プロピルエーテル、ブチルエーテル、アミルエーテル、ジフェニルエーテル、9,9−ビス(メトキシメチル)フルオレン、2−イソプロピル−2−イソペンチル−1,3―ジメトキシプロパン等のエーテル類、ギ酸メチル、酢酸エチル、酢酸ビニル、酢酸プロピル、酢酸オクチル、酢酸シクロヘキシル、プロピオン酸エチル、酪酸エチル、安息香酸メチル、安息香酸エチル、安息香酸プロピル、安息香酸ブチル、安息香酸オクチル、安息香酸シクロヘキシル、安息香酸フェニル、p−トルイル酸メチル、p−トルイル酸エチル、アニス酸メチル、アニス酸エチル等のモノカルボン酸エステル類、マレイン酸ジエチル、マレイン酸ジブチル、アジピン酸ジメチル、アジピン酸ジエチル、アジピン酸ジプロピル、アジピン酸ジブチル、アジピン酸ジイソデシル、アジピン酸ジオクチル、フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジプロピル、フタル酸ジブチル、フタル酸ジペンチル、フタル酸ジヘキシル、フタル酸ジヘプチル、フタル酸ジオクチル、フタル酸ジノニル、フタル酸ジデシル等のジカルボン酸エステル類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルブチルケトン、アセトフェノン、ベンゾフェノン等のケトン類、フタル酸ジクロライド、テレフタル酸ジクロライド等の酸ハライド類、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、オクチルアルデヒド、ベンズアルデヒド等のアルデヒド類、メチルアミン、エチルアミン、トリブチルアミン、ピペリジン、アニリン、ピリジン等のアミン類、オレイン酸アミド、ステアリン酸アミド等のアミド類、アセトニトリル、ベンゾニトリル、トルニトリル等のニトリル類、イソシアン酸メチル、イソシアン酸エチル等のイソシアネート類等を挙げることができる。
【0024】
また、Si−O−C結合を含む有機ケイ素化合物としては、フェニルアルコキシシラン、アルキルアルコキシシラン、フェニルアルキルアルコキシシラン、シクロアルキルアルコキシシラン、シクロアルキルアルキルアルコキシシラン等を挙げることができる。
【0025】
上記の電子供与性化合物のうち、エステル類、とりわけ芳香族ジカルボン酸ジエステルが好ましく用いられ、特にフタル酸ジエステルおよびフタル酸ジエステル誘導体が好適である。これらのフタル酸ジエステルの具体例としては、フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジ−n−プロピル、フタル酸ジ−iso−プロピル、フタル酸ジ−n−ブチル、フタル酸ジ−iso−ブチル、フタル酸エチルメチル、フタル酸メチル(iso−プロピル)、フタル酸エチル(n−プロピル)、フタル酸エチル(n−ブチル)、フタル酸エチル(iso−ブチル)、フタル酸ジ−n−ペンチル、フタル酸ジ−iso−ペンチル、フタル酸ジ−neo−ペンチル、フタル酸ジヘキシル、フタル酸ジ−n−ヘプチル、フタル酸ジ−n−オクチル、フタル酸ビス(2,2−ジメチルヘキシル)、フタル酸ビス(2−エチルヘキシル)、フタル酸ジ−n−ノニル、フタル酸ジ−iso−デシル、フタル酸ビス(2,2−ジメチルヘプチル)、フタル酸n−ブチル(iso−ヘキシル)、フタル酸n−ブチル(2−エチルヘキシル)、フタル酸n−ペンチルヘキシル、フタル酸n−ペンチル(iso−ヘキシル)、フタル酸iso−ペンチル(ヘプチル)、フタル酸n−ペンチル(2−エチルヘキシル)、フタル酸n−ペンチル(iso−ノニル)、フタル酸iso−ペンチル(n−デシル)、フタル酸n−ペンチルウンデシル、フタル酸iso−ペンチル(iso−ヘキシル)、フタル酸n−ヘキシル(2,2−ジメチルヘキシル)、フタル酸n−ヘキシル(2−エチルヘキシル)、フタル酸n−ヘキシル(iso−ノニル)、フタル酸n−ヘキシル(n−デシル)、フタル酸n−ヘプチル(2−エチルヘキシル)、フタル酸n−ヘプチル(iso−ノニル)、フタル酸n−ヘプチル(neo−デシル)、フタル酸2−エチルヘキシル(iso−ノニル)が例示され、これらの1種あるいは2種以上が使用される。
【0026】
またフタル酸ジエステル誘導体としては、上記のフタル酸ジエステルの2つのアルコキシカルボニル基が結合するベンゼン環の1または2個の水素原子が、炭素数1〜5のアルキル基、又は、塩素原子、臭素原子及びフッ素原子などのハロゲン原子に置換されたものも好ましく用いられる。該フタル酸ジエステル誘導体を電子供与性化合物(c)として用いて調製した固体触媒成分により、オレフィン類重合用触媒により得られたポリマーの分子量分布を顕著に広げることができ、且つ該ポリマーのメルトフローレイトを向上することができる。具体的には、4−メチルフタル酸ジネオペンチル、4−エチルフタル酸ジネオペンチル、4,5−ジメチルフタル酸ジネオペンチル、4,5−ジエチルフタル酸ジネオペンチル、4−クロロフタル酸ジエチル、4−クロロフタル酸ジ−n−ブチル、4−クロロフタル酸ジネオペンチル、4−クロロフタル酸ジイソブチル、4−クロロフタル酸ジイソヘキシル、4−クロロフタル酸ジイソオクチル、4−ブロモフタル酸ジエチル、4−ブロモフタル酸ジ−n−ブチル、4−ブロモフタル酸ジネオペンチル、4−ブロモフタル酸ジイソブチル、4−ブロモフタル酸ジイソヘキシル、4−ブロモフタル酸ジイソオクチル、4,5−ジクロロフタル酸ジエチル、4,5−ジクロロフタル酸ジ−n−ブチル、4,5−ジクロロフタル酸ジイソヘキシル、4,5−ジクロロフタル酸ジイソオクチルが挙げられ、このうち、4−ブロモフタル酸ジネオペンチルが好ましい。
【0027】
なお、上記のエステル類は、2種以上組み合わせて用いることも好ましく、その際用いられるエステルのアルキル基の炭素数合計が他のエステルのそれと比べ、その差が4以上になるように該エステル類を組み合わせることが望ましい。
【0028】
本発明においては、上記成分(a)、(b)および(c)を、芳香族炭化水素(d)(以下単に「成分(d)」ということがある。)中で接触させることによって成分(A)を調製する方法が調製方法の好ましい態様であるが、この成分(d)としては具体的にはトルエン、キシレン、エチルベンゼンなどの沸点が50〜150℃の芳香族炭化水素が好ましく用いられる。また、これらは単独で用いても、2種以上混合して使用してもよい。
【0029】
本発明における固体触媒成分(A)の調製においては、上記成分(a)〜(c)、または成分(d)の他、更に、ポリシロキサン(以下単に「成分(e)」ということがある。)を使用することが好ましく、ポリシロキサンを用いで調製した固体触媒成分を本発明の触媒に用いることにより、生成重合体の分子量分布を広げるとともに立体規則性あるいは結晶性を向上させることができ、さらには生成重合体の微粉を低減することが可能となる。また、成分(a)、成分(b)、成分(c)として例示した上記フタル酸ジエステル誘導体、及び成分(d)に加えて、ポリシロキサン(e)を固体触媒成分(A)の調製に用いることも好ましい。ポリシロキサンは、主鎖にシロキサン結合(−Si−O−結合)を有する重合体であるが、シリコーンオイルとも総称され、25℃における粘度が2〜10000センチストークス、より好ましくは3〜500センチストークスを有する、常温で液状あるいは粘稠状の鎖状、部分水素化、環状あるいは変性ポリシロキサンである。
【0030】
鎖状ポリシロキサンとしては、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサンが、部分水素化ポリシロキサンとしては、水素化率10〜80%のメチルハイドロジェンポリシロキサンが、環状ポリシロキサンとしては、ヘキサメチルシクロトリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、2,4,6−トリメチルシクロトリシロキサン、2,4,6,8−テトラメチルシクロテトラシロキサンが、また変性ポリシロキサンとしては、高級脂肪酸基置換ジメチルシロキサン、エポキシ基置換ジメチルシロキサン、ポリオキシアルキレン基置換ジメチルシロキサンが例示される。これらの中で、デカメチルシクロペンタシロキサン、及びジメチルポリシロキサンが好ましく、デカメチルシクロペンタシロキサンが特に好ましい。
【0031】
本発明におけるオレフィン類重合用固体触媒成分(A)の調製においては、上記必須の成分の他、更に、アルミニウムトリクロライド、ジエトキシアルミニウムクロライド、ジ−iso−プロポキシアルミニウムクロライド、エトキシアルミニウムジクロライド、iso−プロポキシアルミニウムジクロライド、ブトキシアルミニウムジクロライド、トリエトキシアルミニウム等のアルミニウム化合物(f)(以下成分(f)ということがある)を使用することができる。この中でもアルミニウムトリクロライドが好ましく、このアルミニウム化合物を用いて調製した固体触媒成分を使用することによって、生成重合体の分子量分布を広げるとともに、高いアイソブロック含有率を有していても、ある程度高い立体規則性を有する重合体が得られ、特にシート、フィルムの成形に適したオレフィン重合体を得ることができる。また、成分(f)と成分(e)とを、成分(a)〜(c)とともに、好ましくは成分(a)〜(d)とともに、成分(A)の調製に用いると、生成重合体の分布を顕著に広げることができるため好ましい。さらに、成分(f)と成分(e)とを、成分(a)、成分(b)、成分(c)としてのフタル酸ジエステル誘導体、及び成分(d)とともに、成分(A)の調製に用いることも好ましい。なお、上記アルミニウム化合物を固体触媒成分(A)の調製に用いる場合、成分(B)の存在下に該アルミニウム化合物(f)を添加することが望ましい。
【0032】
以下に、本発明の成分(A)の調製方法について述べる。
具体的には、ジアルコキシマグネシウム(a)を、アルコール、ハロゲン化炭化水素溶媒、4価のチタンハロゲン化合物(b)または芳香族炭化水素(d)に懸濁させ、フタル酸ジエステルなどの電子供与性化合物(c)及び/または4価のチタンハロゲン化合物(b)を接触して固体成分を得る方法が挙げられる。該方法において、球状のマグネシウム化合物を用いることにより、球状でかつ粒度分布のシャープな固体触媒成分を得ることができ、また球状のマグネシウム化合物を用いなくとも、例えば噴霧装置を用いて溶液あるいは懸濁液を噴霧・乾燥させる、いわゆるスプレードライ法により粒子を形成させることにより、同様に球状でかつ粒度分布のシャープな固体触媒成分を得ることができる。
【0033】
各成分の接触は、不活性ガス雰囲気下、水分等を除去した状況下で、撹拌機を具備した容器中で、撹拌しながら行われる。接触温度は、各成分の接触時の温度であり、反応させる温度と同じ温度でも異なる温度でもよい。接触温度は、単に接触させて撹拌混合する場合や、分散あるいは懸濁させて変性処理する場合には、室温付近の比較的低温域であっても差し支えないが、接触後に反応させて生成物を得る場合には、40〜130℃の温度域が好ましい。反応時の温度が40℃未満の場合は充分に反応が進行せず、結果として調製された固体成分の性能が不充分となり、130℃を超えると使用した溶媒の蒸発が顕著になるなどして、反応の制御が困難になる。なお、反応時間は1分以上、好ましくは10分以上、より好ましくは30分以上である。
【0034】
本発明の好ましい固体触媒成分(A)の調製方法としては、成分(a)を成分(d)に懸濁させ、次いで成分(b)を接触させた後に成分(c)を接触させ、反応させることにより固体触媒成分(A)を調製する方法、あるいは、成分(a)を成分(d)に懸濁させ、次いで成分(c)を接触させた後に成分(b)を接触させ、反応させることにより固体触媒成分(A)を調製する方法を挙げることができる。成分(e)を固体触媒成分(A)の調製に用いる場合、成分(a)を成分(d)に懸濁させて、得られた懸濁液に、成分(b)及び成分(c)を任意の順序で接触させた後、成分(e)を接触させて、反応させることにより固体触媒成分(A)を調製する方法が好ましい。また、成分(f)を固体触媒成分(A)の調製に用いる場合、成分(a)と成分(f)とを成分(d)に懸濁させ、得られた懸濁液に、成分(b)及び成分(c)を任意の順序で接触させて、反応させて調製する方法が好ましい。成分(f)を用いる場合においても、成分(b)及び成分(c)を任意の順序で接触させた後、成分(e)を接触させて、反応させる方法とすることができる。
【0035】
以下に、本発明の固体触媒成分(A)を調製する際の好ましい接触順序をより具体的に例示する。
(1)(a)→(d)→(b)→(c)→《中間洗浄→(d)→(b)》→最終洗浄→固体触媒成分(A)
(2)(a)→(d)→(c)→(b)→《中間洗浄→(d)→(b)》→最終洗浄→固体触媒成分(A)
(3)(a)→(d)→(b)→(c)→《中間洗浄→(d)→(b)→(c)》→最終洗浄→固体触媒成分(A)
(4)(a)→(d)→(b)→(c)→《中間洗浄→(d)→(c)→(b)》→最終洗浄→固体触媒成分(A)
(5)(a)→(d)→(c)→(b)→《中間洗浄→(d)→(b)→(c)》→最終洗浄→固体触媒成分(A)
(6)(a)→(d)→(c)→(b)→《中間洗浄→(d)→(c)→(b)》→最終洗浄→固体触媒成分(A)
(7)(a)→(d)→(b)→(c)→(e)→《中間洗浄→(d)→(b)》→最終洗浄→固体触媒成分(A)
(8)(a)→(d)→(c)→(b)→(e)→《中間洗浄→(d)→(b)》→最終洗浄→固体触媒成分(A)
【0036】
なお、上記の各接触方法において、二重かっこ(《 》)内の工程については、必要に応じ、複数回繰り返し行なうことで一層活性が向上する。かつ《 》内の工程で用いる成分(b)あるいは成分(d)は、新たに加えたものでも、前工程の残留分のものでもよい。また、上記(1)〜(8)で示した洗浄工程以外でも、各接触段階で得られる生成物を、常温で液体の炭化水素化合物で洗浄することもできる。
【0037】
以上を踏まえ、本願における固体触媒成分(A)の特に好ましい調製方法としては、ジアルコキシマグネシウム(a)を、あるいは、ジアルコキシマグネシウム(a)及び成分(f)を、沸点50〜150℃の芳香族炭化水素(d)に懸濁させ、次いでこの懸濁液に4価のチタンハロゲン化合物(b)を接触させた後、反応処理を行う。この際、該懸濁液に4価のチタンハロゲン化合物(b)を接触させる前又は接触した後に、フタル酸ジエステルなどの電子供与性化合物(c)の1種あるいは2種以上を、−20〜130℃で接触させ、さらに電子供与性化合物(c)を接触させた後に直鎖状あるいは環状ポリシロキサン(e)を20〜130℃で接触させ、反応処理を行い、固体反応生成物(1)を得る。この際、電子供与性化合物の1種あるいは2種以上を接触させる前または後に、低温で熟成反応を行なうことが望ましい。この固体反応生成物(1)を常温で液体の炭化水素化合物で洗浄(中間洗浄)した後、再度4価のチタンハロゲン化合物(b)を、芳香族炭化水素化合物の存在下に、−20〜100℃で接触させ、反応処理を行い、固体反応生成物(2)を得る。なお必要に応じ、中間洗浄及び反応処理を更に複数回繰り返してもよい。次いで固体反応生成物(2)を、常温で液体の炭化水素化合物で洗浄(最終洗浄)し、固体触媒成分(A)を得る。
【0038】
上記の処理あるいは洗浄の好ましい条件は以下の通りである。
・低温熟成反応:−20〜70℃、好ましくは−10〜60℃、より好ましくは0〜30℃で、1分〜6時間、好ましくは5分〜4時間、特に好ましくは10分〜3時間。
・反応処理:40〜130℃、好ましくは70〜120℃、特に好ましくは80〜115℃で、0.5〜6時間、好ましくは0.5〜5時間、特に好ましくは1〜4時間。
・洗浄:0〜110℃、好ましくは30〜100℃、特に好ましくは30〜90℃で、1〜20回、好ましくは1〜15回、特に好ましくは1〜10回。なお、洗浄の際に用いる炭化水素化合物は、常温で液体の芳香族あるいは飽和炭化水素が好ましく、具体的には、芳香族炭化水素としてトルエン、キシレン、エチルベンゼンなど、飽和炭化水素としてヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサンなどが挙げられる。好ましくは、中間洗浄では芳香族炭化水素を、最終洗浄では飽和炭化水素を用いることが望ましい。
【0039】
固体触媒成分(A)を調製する際の各成分の使用量比は、調製法により異なるため一概には規定できないが、例えばジアルコキシマグネシウム(a)1モル当たり、4価のチタンハロゲン化合物(b)が0.5〜100モル、好ましくは0.5〜50モル、より好ましくは1〜10モルであり、電子供与性化合物(c)が0.01〜10モル、好ましくは0.01〜1モル、より好ましくは0.02〜0.6モルであり、芳香族炭化水素(d)が0.001〜500モル、好ましくは0.001〜100モル、より好ましくは0.005〜10モルであり、ポリシロキサン(e)が0.01〜100g、好ましくは0.05〜80g、より好ましくは1〜50gであり、また、アルミニウム化合物(f)は、0.01〜10モル好ましくは0.05〜5モル、より好ましくは0.1〜1モルである。
【0040】
また本発明における固体触媒成分(A)中のチタン、マグネシウム、ハロゲン原子、電子供与性化合物の含有量は特に規定されないが、好ましくは、チタンが1.0〜8.0重量%、好ましくは2.0〜8.0重量%、より好ましくは3.0〜8.0重量%、マグネシウムが10〜70重量%、より好ましくは10〜50重量%、特に好ましくは15〜40重量%、更に好ましくは15〜25重量%、ハロゲン原子が20〜90重量%、より好ましくは30〜85重量%、特に好ましくは40〜80重量%、更に好ましくは45〜75重量%、また電子供与性化合物が合計0.5〜30重量%、より好ましくは合計1〜25重量%、特に好ましくは合計2〜20重量%である。
【0041】
本発明のオレフィン類重合用触媒を形成する際に用いられる有機アルミニウム化合物(B)(以下単に「成分(B)」ということがある。)としては、上記一般式(1)で表される化合物であれば、特に制限されないが、R1としては、エチル基、イソブチル基が好ましく、Qとしては、水素原子、塩素原子、臭素原子が好ましく、pは、2又は3が好ましく、3が特に好ましい。このような有機アルミニウム化合物(B)の具体例としては、トリエチルアルミニウム、ジエチルアルミニウムクロライド、トリイソブチルアルミニウム、ジエチルアルミニウムブロマイド、ジエチルアルミニウムハイドライドが挙げられ、1種あるいは2種以上が使用できる。好ましくは、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウムである。
【0042】
本発明のオレフィン類重合用触媒を形成する際に用いられるアミノシラン化合物(C)(以下単に「成分(C)」ということがある。)としては、上記一般式(2)で表される化合物が用いられる。このアミノシラン化合物はパーヒドロキノリノ基又はパーヒドロイソキノリノ基のN原子が直接Si原子に結合した化合物であり、このようなアミノシラン化合物としては、ビス(パーヒドロキノリノ)ジアルコキシシラン、ビス(パーヒドロイソキノリノ)ジアルコキシシラン、パーヒドロキノリノアルキルジアルコキシシラン、パーヒドロイソキノリノアルキルジアルコキシシランである。上記一般式(2)で表される化合物のうち、式中、R2とR3が同一である化合物が好ましく、R2とR3が同一であり、且つR4が同一であると特に好ましい。また、R2 としては、パーヒドロイソキノリノ基が特に好ましい。さらに、R4 としては、炭素数1〜4のアルキル基が好ましく、メチル基が特に好ましい。
【0043】
具体的な化合物としては、ビス(パーヒドロキノリノ)ジメトキシシラン、ビス(パーヒドロキノリノ)ジエトキシシラン、ビス(パーヒドロイソキノリノ)ジメトキシシラン、ビス(パーヒドロイソキノリノ)ジエトキシシラン、エチル(パーヒドロキノリノ)ジメトキシシラン、エチル(パーヒドロイソキノリノ)ジメトキシシラン、n-プロピル(パーヒドロキノリノ)ジメトキシシラン、n-プロピル(パーヒドロイソキノリノ)ジメトキシシラン、イソプロピル(パーヒドロキノリノ)ジメトキシシラン、イソプロピル(パーヒドロイソキノリノ)ジメトキシシラン、ブチル(パーヒドロキノリノ)ジメトキシシラン、ブチル(パーヒドロイソキノリノ)ジメトキシシラン、イソプロピル(パーヒドロキノリノ)ジメトキシシラン、イソプロピル(パーヒドロイソキノリノ)ジメトキシシラン、t-ブチル(パーヒドロキノリノ)ジメトキシシラン、t-ブチル(パーヒドロイソキノリノ)ジメトキシシラン、ペンチル(パーヒドロキノリノ)ジメトキシシラン、ペンチル(パーヒドロイソキノリノ)ジメトキシシラン、イソペンチル(パーヒドロキノリノ)ジメトキシシラン、イソペンチル(パーヒドロイソキノリノ)ジメトキシシラン、シクロペンチル(パーヒドロキノリノ)ジメトキシシラン、シクロペンチル(パーヒドロイソキノリノ)ジメトキシシラン、シクロヘキシル(パーヒドロキノリノ)ジメトキシシラン、シクロヘキシル(パーヒドロイソキノリノ)ジメトキシシラン、フェニル(パーヒドロキノリノ)ジメトキシシラン、フェニル(パーヒドロイソキノリノ)ジメトキシシランなどが挙げられ、1種あるいは2種以上が使用できる。これらの中でも好ましくはビス(パーヒドロキノリノ)ジメトキシシラン、ビス(パーヒドロイソキノリノ)ジメトキシシランである。
【0044】
本発明のオレフィン類重合用触媒では、上記の成分の他に上述したアミノシラン化合物以外の有機ケイ素化合物(以下単に「成分(D)」ということがある。)を用いることができる。このような有機ケイ素化合物(D)としては、下記一般式(3);
8 qSi(OR9)4-q (3)
(式中、R8は炭素数1〜12のアルキル基、シクロアルキル基、フェニル基、ビニル基、アリル基、又はアラルキル基を示し、同一または異なっていてもよく、R9は炭素数1〜4のアルキル基、シクロアルキル基、フェニル基、ビニル基、アリル基、又はアラルキル基を示し、同一または異なっていてもよく、qは0≦q≦3の整数である。)で表される有機ケイ素化合物を挙げることができ、具体的には、フェニルアルコキシシラン、アルキルアルコキシシラン、フェニルアルキルアルコキシシラン、シクロアルキルアルコキシシラン、シクロアルキルアルキルアルコキシシラン等を挙げることができる。
【0045】
上記の有機ケイ素化合物(D)を具体的に例示すると、ジ−n−プロピルジメトキシシラン、ジ−iso−プロピルジメトキシシラン、ジ−n−ブチルジメトキシシラン、ジ−iso−ブチルジメトキシシラン、ジ−t−ブチルジメトキシシラン、ジ−n−ブチルジエトキシシラン、t−ブチルトリメトキシシラン、ジシクロヘキシルジメトキシシラン、ジシクロヘキシルジエトキシシラン、シクロヘキシルメチルジメトキシシラン、シクロヘキシルメチルジエトキシシラン、シクロヘキシルエチルジメトキシシラン、シクロヘキシルエチルジエトキシシラン、ジシクロペンチルジメトキシシラン、ジシクロペンチルジエトキシシラン、シクロペンチルメチルジメトキシシラン、シクロペンチルメチルジエトキシシラン、シクロペンチルエチルジエトキシシラン、シクロヘキシルシクロペンチルジメトキシシラン、シクロヘキシルシクロペンチルジエトキシシラン、3−メチルシクロヘキシルシクロペンチルジメトキシシラン、4−メチルシクロヘキシルシクロペンチルジメトキシシラン、3,5−ジメチルシクロヘキシルシクロペンチルジメトキシシランが好ましく用いられ、該有機ケイ素化合物(D)は1種あるいは2種以上組み合わせて用いることができる。
【0046】
上記成分(D)を併用する場合、成分(C)との好ましい組合せは下記の表1に示す通りである。
【0047】
【表1】
Figure 0003989714
【0048】
本発明のオレフィン類重合用触媒の存在下にオレフィン類の重合もしくは共重合を行う。オレフィン類としては、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、ビニルシクロヘキサン等であり、これらのオレフィン類は1種あるいは2種以上併用することができる。とりわけ、エチレン、プロピレン及び1−ブテンが好適に用いられる。特に好ましくはプロピレンである。プロピレンの重合の場合、他のオレフィン類との共重合を行うこともできる。共重合されるオレフィン類としては、エチレン、1−ブテン、1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、ビニルシクロヘキサン等であり、これらのオレフィン類は1種あるいは2種以上併用することができる。とりわけ、エチレン及び1−ブテンが好適に用いられる。
【0049】
各成分の使用量比は、本発明の効果に影響を及ぼすことのない限り任意であり、特に限定されるものではないが、通常成分(B)は成分(A)中のチタン原子1モル当たり、1〜2000モル、好ましくは50〜1000モルの範囲で用いられる。成分(C)は、成分(B)1モル当たり、0.002〜10モル、好ましくは0.01〜2モル、特に好ましくは0.01〜0.5モルの範囲で用いられる。成分(D)を併用する場合、成分(B)1モル当たり、0.002〜10モル、好ましくは0.01〜2モル、特に好ましくは0.01〜0.5モルの範囲で用いられ、また成分(C)1モル当り、0.01〜100モル、好ましくは0.1〜10モル、特に好ましくは0.1〜1モルの範囲で用いられる。
【0050】
各成分の接触順序は任意であるが、重合系内にまず有機アルミニウム化合物(B)を装入し、次いで、アミノシラン化合物(C)を接触させるか、予め混合した成分(C)及び成分(D)を接触させるか、あるいは、成分(C)及び成分(D)を任意の順序で接触させて、更に固体触媒成分(A)を接触させることが望ましい。あるいは重合系内にまず有機アルミニウム化合物(B)を装入し、一方で成分(A)と、成分(C)、または成分(C)及び成分(D)とを予め接触させ、接触させた成分(A)と、成分(C)または成分(C)及び成分(D)とを重合系内に装入接触させ触媒を形成することも好ましい態様である。このように予め成分(A)と、成分(C)または成分(C)及び成分(D)とを接触させて処理することによって、触媒の対水素活性および生成ポリマーの結晶性をより向上させることが可能となる。
【0051】
本発明における重合方法は、有機溶媒の存在下でも不存在下でも行うことができ、またプロピレン等のオレフィン単量体は、気体及び液体のいずれの状態でも用いることができる。重合温度は200℃以下、好ましくは100℃以下であり、重合圧力は10MPa以下、好ましくは5MPa以下である。また、連続重合法、バッチ式重合法のいずれでも可能である。更に重合反応を1段で行ってもよいし、2段以上で行ってもよい。
【0052】
更に、本発明において成分(A)、成分(B)及び成分(C)を含有する触媒を用いてオレフィンを重合するにあたり(本重合ともいう。)、触媒活性、立体規則性及び生成する重合体の粒子性状等を一層改善させるために、本重合に先立ち予備重合を行うことが望ましい。予備重合の際には、本重合と同様のオレフィン類あるいはスチレン等のモノマーを用いることができる。具体的には、オレフィン類の存在下に成分(A)、成分(B)及び/又は成分(C)を接触させ、成分(A)1gあたり0.1〜100gのポリオレフィンを予備的に重合させ、さらに成分(B)及び/又は成分(C)を接触させ触媒を形成する。また成分(D)を併用する場合、上記予備重合時にオレフィン類の存在下に成分(A)、成分(B)及び成分(D)を接触させ、本重合の際に成分(C)を用いることもできる。
【0053】
予備重合を行うに際して、各成分及びモノマーの接触順序は任意であるが、好ましくは、不活性ガス雰囲気あるいはプロピレンなどの重合を行うガス雰囲気に設定した予備重合系内にまず成分(B)を装入し、次いで成分(A)を接触させた後、プロピレン等のオレフィン及び/または1種あるいは2種以上の他のオレフィン類を接触させる。
【0054】
本発明のオレフィン類重合用触媒の存在下で、オレフィン類の重合を行った場合、従来の触媒を使用した場合に較べ、生成ポリマーの分子量分布が広くなっており、更に触媒活性及び生成ポリマーの立体規則性も従来の触媒と同等の性能を示す。すなわち、本発明の触媒をオレフィン類の重合に用いると、活性及びポリマーの結晶性を高度に維持しつつ、分子量分布が広がるという作用が確認された。
【0055】
【実施例】
以下、実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、これは単に例示であって、本発明を制限するものではない。
【0056】
実施例1
〈固体触媒成分の調製〉
撹拌機を具備し、窒素ガスで充分に置換された、容量2000mlの丸底フラスコに、ジエトキシマグネシウム150g及びトルエン750mlを装入し、懸濁状態とした。次いで、該懸濁液を、撹拌機を具備し、窒素ガスで充分に置換された、容量2000mlの丸底フラスコに予め装入されたトルエン450ml及びチタンテトラクロライド300mlの溶液中に添加した。次いで、該懸濁液を5℃で1時間反応させた(低温熟成処理)。その後、フタル酸ジ−n−ブチル22.5mlを添加して、90℃まで昇温した後、撹拌しながら2時間反応処理(第1処理)を行った。反応終了後、生成物を80℃のトルエン1300mlで4回洗浄(中間洗浄)し、新たにトルエン1200ml及びチタンテトラクロライド300mlを加えて、撹拌しながら112℃で2時間の反応処理(第2処理)を行った。この後、中間洗浄及び第2処理を、更にもう一度繰り返した。次いで、生成物を40℃のヘプタン1300mlで7回洗浄し、濾過、乾燥して、粉末状の固体触媒成分(A)を得た。この固体触媒成分中のチタン含有量を測定したところ、2.9重量%であった。
【0057】
<重合用触媒の形成及び重合>
窒素ガスで完全に置換された内容積2.0リットルの撹拌機付オートクレーブに、トリエチルアルミニウム1.32mmol、ビス(パーヒドロイソキノリノ)ジメトキシシラン0.13mmolおよび前記固体触媒成分をチタン原子として0.0026mmol装入し、重合用触媒を形成した。その後、水素ガス2.0リットル、液化プロピレン1.4リットルを装入し、20℃で5分間予備重合を行なった後に昇温し、70℃で1時間重合反応を行った。固体触媒成分1g当たりの重合活性は下式により算出した。
重合活性=生成重合体(F)(g)/固体触媒成分(g)
また、この重合体を沸騰n−ヘプタンで6時間抽出したときのn−ヘプタンに不溶解の重合体(G)を測定し重合体中の沸騰n−ヘプタン不溶分(HI)の割合を下式により算出した。
HI=(G)(g)/(F)(g)
なお、重合体のキシレン溶解成分(XS)は以下の方法で測定した。
キシレン溶解成分の測定方法:
4.0g の重合体を200mlのパラキシレンに装入し、沸点下(138℃)で2時間かけて重合体を溶解した。その後23℃まで冷却し、溶解成分と不溶解成分とをろ過分別した。その溶解成分を加熱乾燥し、得られた重合体をキシレン溶解成分(XS)とした(重量%)。重合体のメルトインデックスの値(MI)は、ASTM D 1238 、JIS K 7210に準じて測定した。
【0058】
〈重合体の分子量分布〉
また、重合体の分子量分布は、クロス分別クロマトグラフ(CFC)(三菱化学社製 CFC T−150B)にて以下の条件で測定して求めた重量平均分子量Mw及び数平均分子量Mnの比(Mw/Mn)、並びにZ平均分子量Mz及び重量平均分子量Mwの比(Mz/Mw)によって評価した。
溶媒:o-ジクロロベンゼン(ODCB)
温度: 140℃(SEC)
カラム: Shodex GPC UT-806M
サンプル濃度: 4g/liter-ODCB (200mg/50ml-ODCB)
注入量: 0.5ml
流量: 1.0ml/min
測定範囲: 0℃〜140℃
【0059】
〈多分散性指数(PI)の測定〉
さらに多分散性指数(PI)のDSR での測定方法RHEOMETRICS 社製のダイナミック・ストレス・レオメータ(DSR) SR-500を用い、以下の条件で測定した。なお、試料には熱による劣化防止のため、下記の配合剤を添加した。
測定モード :周波数掃引測定温度 :200℃測定応力 :2000dyn/cm2測定周波数範囲 :100〜0.1rad/sec.
配合材:2,6−ジブチルパラクレゾール4g、DLTP(Lasmit)8g、ステアリン酸カルシウム2g、Mark260(アデカスタブ)6g、アセトン200ml
以上を全て混合しスラリー状にしたものをポリマーに、以下の配合比で配合する。配合比 :ポリマー5g に対し、配合剤(スラリー)5ml添加
【0060】
重合活性、ヘプタン不溶分(HI)、メルトインデックス(MI)、キシレン溶解成分(XS)、分子量分布(Mw/Mn)及び(Mz/Mw)、並びに多分散性指数(PI)を表2に併載する。
【0061】
実施例2
〈固体触媒成分の調製〉
撹拌機を具備し、窒素ガスで充分に置換された、容量2000mlの丸底フラスコに、ジエトキシマグネシウム150g及びトルエン750mlを装入し、懸濁状態とした。次いで、該懸濁液を、撹拌機を具備し、窒素ガスで充分に置換された、容量2000mlの丸底フラスコに予め装入されたトルエン450ml及びチタンテトラクロライド300mlの溶液中に添加した。次いで、該懸濁液を5℃で1時間反応させた(低温熟成処理)。その後、フタル酸ジ−n−ブチル22.5mlを添加して、100℃まで昇温した後、環状ポリシロキサン(デカメチルシクロペンタシロキサン、東芝シリコン製TFS−405)30mlを添加し、さらに105℃に昇温して、撹拌しながら2時間反応処理(第1処理)を行った。反応終了後、生成物を80℃のトルエン1300mlで4回洗浄(中間洗浄)し、新たにトルエン1200ml及びチタンテトラクロライド300mlを加えて、撹拌しながら112℃で2時間の反応処理(第2処理)を行った。この後、中間洗浄及び第2処理を、更にもう一度繰り返した。次いで、生成物を40℃のヘプタン1300mlで7回洗浄し、濾過、乾燥して、粉末状の固体触媒成分(A)を得た。この固体触媒成分中のチタン含有量を測定したところ、3.1重量%であった。
【0062】
上記のようにして得られた固体触媒成分を用いた以外は実施例1と同様に、重合用触媒の形成及び重合、重合体の分子量分布の評価、並びに多分散性指数(PI)の測定を行った。得られた結果を表2に示す。
【0063】
実施例3
フタル酸ジ−n−ブチルの代わりに4−ブロモフタル酸ジネオペンチルを用いた以外は実施例1と同様に固体触媒成分を調製し、重合用触媒の形成及び重合、重合体の分子量分布の評価、並びに多分散性指数(PI)の測定を行った。得られた結果を表2に示す。なお、この固体触媒成分中のチタン含有量を測定したところ、2.9重量%であった。
【0064】
実施例4
<固体触媒成分の調製>
窒素ガスで十分に置換され、攪拌機を具備した容量500mlの丸底フラスコにジエトキシマグネシウム10g 、三塩化アルミニウム1.5g 及びトルエン90mlを挿入し、懸濁状態とした。この中に室温の四塩化チタン22mlを装入し、攪拌しながら80℃まで昇温して反応させた。次いでジ-n- ブチルフタレート3.3ml及び室温での粘度が50cst のジメチルポリシロキサン3.0mlを添加後、さらに系内の温度を110℃に昇温して2時間反応させた。(第1反応処理)反応終了後、上澄み液を除去し、トルエン88mlを用いて75℃で3回洗浄した。その後トルエン89ml及び四塩化チタン22mlを新たに加え、100℃で1.5時間攪拌しながら処理し(第2反応処理)、その後40℃のn−ヘプタン83mlで8回洗浄して固体触媒成分を得た。この固体触媒成分中のTi含有量を測定したところ、3.3wt% であった。また、Al含有量は0.5wt% であった。
【0065】
上記のようにして得られた固体触媒成分を用いた以外は実施例1と同様に、重合用触媒の形成及び重合、重合体の分子量分布の評価、並びに多分散性指数(PI)の測定を行った。得られた結果を表2に示す。
【0066】
比較例1
撹拌機を具備し、窒素ガスで充分に置換された、容量2000mlの丸底フラスコに、二塩化マグネシウム95.2g、デカン442ml及び2−エチルヘキシルアルコール390.6gを装入し、130℃で2時間加熱反応を行って均一溶液とした後、この溶液に無水フタル酸21.3gを添加し、更に、130℃で1時間攪拌混合を行い、無水フタル酸を溶解させ均一溶液を得た。室温に冷却した後、四塩化チタン200ml中に、この均一溶液の75mlを滴下し、その後、110℃に昇温し、110℃に達したところでフタル酸ジイソブチル5.22gを添加し、2時間攪拌しながら反応させた。反応終了後、生成物を275mlの四塩化チタンに再懸濁させた後、110℃で2時間処理した。次いで、生成物を40℃のヘプタンで7回洗浄し、濾過、乾燥して粉末状の固体触媒成分を得た。この固体触媒成分中のチタン含有量を測定したところ、2.80重量%であった。
【0067】
上記のようにして得られた固体触媒成分を用いた以外は実施例1と同様に、重合用触媒の形成及び重合、重合体の分子量分布の評価、並びに多分散性指数(PI)の測定を行った。得られた結果を表2に示す。
【0068】
比較例2
ビス(パーヒドロイソキノリノ)ジメトキシシランの代わりにシクロヘキシルメチルジメトキシシランを用いて重合用触媒の形成および重合した以外は実施例1と同様に、固体触媒成分を調製し、重合用触媒の形成及び重合、重合体の分子量分布の評価、並びに多分散性指数(PI)の測定を行った。得られた結果を表2に示す。
【0069】
【表2】
Figure 0003989714
【0070】
以上の結果から、重合時に本発明の触媒を用いると、比較例1及び2に示す従来の触媒と同等かそれ以上の立体規則性を有するとともに、重合体の分子量分布Mw/Mn及びMz/Mwが顕著に広がり、特にMz/Mwが高いことから、高分子領域の重合体が増加して分子量分布が顕著に広がっていることがわかる。さらに、分子量分布が広がっているにも拘わらず、MIが、比較例1及び2で得られた重合体と同等またはそれ以上であり、対水素活性が良好であることがわかる。
【0071】
【発明の効果】
本発明の触媒をオレフィン類の重合に用いると、重合体の立体規則性を高度に維持しつつ、分子量分布の広いオレフィン重合体を得ることができる。これにより、重合体の溶融粘弾性が向上し、成形性あるいは外観を損なうことに起因してその用途が制限されるという問題を解決し得る。また対水素活性が従来の触媒と同等以上でありメルトフローレートを高度に維持した重合体を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の触媒成分及び重合触媒を調製する工程を示すフローチャート図である。

Claims (5)

  1. (A)ジアルコキシマグネシウム(a)を、沸点50〜150℃の芳香族炭化水素(d)に懸濁させ、次いでこの懸濁液に4価のチタンハロゲン化合物(b)を接触させる前又は接触させた後に、電子供与性化合物(c)を接触させることにより調製される固体触媒成分、(B)下記一般式(1);
    AlQ3−p(1)
    (式中、R1 は炭素数1〜4のアルキル基を示し、Qは水素原子あるいはハロゲン原子を示し、pは0<p≦3の実数である。)で表される有機アルミニウム化合物、(C)下記一般式(2);RSi(OR(2)
    (式中、Rはパーヒドロキノリノ基又はパーヒドロイソキノリノ基を示し、Rはパーヒドロキノリノ基、パーヒドロイソキノリノ基、炭素数1〜12のアルキル基、シクロアルキル基、フェニル基、ビニル基、アリル基、又はアラルキル基を示し、RとRは同一または異なっていてもよく、Rは炭素数1〜4のアルキル基、シクロアルキル基、フェニル基、ビニル基、アリル基、又はアラルキル基を示し、同一または異なっていてもよい。)で表わされるアミノシラン化合物から形成されることを特徴とするオレフィン類重合用触媒。
  2. A)ジアルコキシマグネシウム(a)、4価のチタンハロゲン化合物(b)、電子供与性化合物(c)、芳香族炭化水素(d)およびポリシロキサン(e)を接触させることにより調製される固体触媒成分
    (B)下記一般式(1);R AlQ 3−p (1)
    (式中、R は炭素数1〜4のアルキル基を示し、Qは水素原子あるいはハロゲン原子を示し、pは0<p≦3の実数である。)で表される有機アルミニウム化合物、(C)下記一般式(2);R Si(OR (2)
    (式中、R はパーヒドロキノリノ基又はパーヒドロイソキノリノ基を示し、R はパーヒドロキノリノ基、パーヒドロイソキノリノ基、炭素数1〜12のアルキル基、シクロアルキル基、フェニル基、ビニル基、アリル基、又はアラルキル基を示し、R とR は同一または異なっていてもよく、R は炭素数1〜4のアルキル基、シクロアルキル基、フェニル基、ビニル基、アリル基、又はアラルキル基を示し、同一または異なっていてもよい。)で表わされるアミノシラン化合物から形成されることを特徴とするオレフィン類重合用触媒。
  3. 前記ジアルコキシマグネシウム(a)がジエトキシマグネシウムであることを特徴とする請求項1又は2に記載のオレフィン類重合用触媒。
  4. 前記電子供与性化合物(c)がフタル酸ジエステル又はフタル酸ジエステルの2つのアルコキシカルボニル基が結合するベンゼン環の1または2個の水素原子が、炭素数1〜5のアルキル基又はハロゲン原子に置換されたものであることを特徴とする請求項1又は2に記載のオレフィン類重合用触媒。
  5. 請求項1〜請求項4のいずれか1項記載のオレフィン類重合用触媒の存在下に、オレフィン類を重合もしくは共重合させることを特徴とするオレフィン類の重合方法。
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