JP3989404B2 - ライセート試薬反応性物質の測定方法 - Google Patents

ライセート試薬反応性物質の測定方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ライセート試薬を用いたライセート試薬反応性物質の測定方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
経時的に反応生成物量、基質量等の酵素反応パラメータ値の変化を計測する酵素反応の測定は、特に医療分野等や生活環境分野等において、その有用性が高く、広い濃度範囲の検体を簡便にかつ精度良く測定する方法が従来より様々検討されてきており、その測定方法としてはエンドポイント法やカイネティック法等がある。
【0003】
例えば、酵素反応のある1点におけるデータを基に分析するエンドポイント法を用いたELISA系での測定方法において検量線がS字状カーブになる場合には、Logit解析法を用いるとS字状カーブが直線化され、更にロジット(Logit)解析法によりS字状カーブを直線化すると、測定範囲が広範囲にわたり測定可能となり非常に有用であると考えられていたが、このLogit解析の為の演算式の組み立ては非常に複雑である為、殆ど用いられておらず、ELISA系等での測定に於いてはS字状カーブを示す検量線をそのまま用いているのが現状である。つまり、これら報告ではLogit解析法が有用であると述べているにも拘わらず、検量線作成の汎用解析法としては用いられていないのが現状である。
【0004】
一方、経時的な反応量の変化を基に分析するカイネティック法を用いた生物活性測定法に関しては、例えば、カイネティック比色法を用いたエンドトキシン測定法において、測定範囲を低濃度と高濃度に分割し、2本の検量線を作成することにより広範囲にわたり測定可能であるとの報告がなされている(非特許文献)。この方法によると精度良く広範囲において測定が可能ではあるが、やはり低濃度範囲及び高濃度範囲2範囲に分け、検量線も2本、且つ、解析条件も2条件必要であり煩雑である。また、エンドトキシンの測定に於いてLogit解析法を用い、エンドトキシン測定がなされたという事は、現在、エンドポイント法、カイネティック法ともに報告は無い。
【0005】
また、エンドトキシン(内毒素)はグラム陰性細菌の菌体に存在する発熱因子であり、細菌感染や医薬品に混入して血中に存在した状態では、発熱、悪寒、血圧低下等を引き起こすため、エンドトキシンと特異的に反応するカブトガニ血球成分(アメボサイト・ライセート)を利用した試薬(以下、ライセート試薬という。)を用いて医薬品や生体内のエンドトキシンの定量が行われている。同様に、(1→3)−β−D−グルカン(以下、β−グルカンともいう)は真菌の細胞壁多糖で、ライセート試薬と特異的に反応するため、これを用いて血中等に存在するβ−グルカンの定量が行われている。この(1→3)−β−D−グルカンの測定においてLogit解析法が用いられた報告はない。尚、本発明においては、エンドトキシン、β−グルカン等のライセート試薬と特異的に反応する物質を「ライセート試薬反応性物質」と称する。
【0006】
【非特許文献】
日本血液浄化技術研究会会誌 Vol.19、No.2、p.109-117、2002 Oct.
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
現在、カイネティック法によるライセート試薬反応性物質の測定では、単一の検量線により広範囲の濃度を測定するには誤差が大きすぎる為、精度が悪く、少なくとも低濃度範囲と高濃度範囲に1本ずつ計2本の検量線を作成しなければ、精度良く測定することは不可能とされていた。また、作成した検量線の濃度範囲に対応させる為に検体濃度を希釈する等の作業を行う必要がある場合もあった。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、カイネティック法を用いるライセート試薬反応性物質の測定において、検量線作成の解析法(演算法)としてLogit解析法を用いたところ、作成された単一の検量線により、広い濃度範囲にわたり測定可能であり、精度においても従来法と同等又はそれ以上により高精度で測定出来る事を見出し、本発明を完成するに到った。
【0009】
すなわち、本発明は以下の通りである。
(1) カイネティック法によりライセート試薬反応性物質を測定するに際し、検量線の作成に於いてロジット(Logit)解析法を用いることを特徴とするライセート試薬反応性物質の測定方法。
(2) 少なくとも3種類の異なる濃度のライセート試薬反応性物質の標準溶液を用いて作成した単一の検量線を用いる(1)記載のライセート試薬反応性物質の測定方法。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を発明の実施の形態により詳説する。
本発明方法のカイネティック法を用いるライセート試薬反応性物質の測定方法(以下、本発明測定方法ともいう)は、ライセート試薬等を用いて当該ライセート試薬に反応する物質(ライセート試薬反応性物質)を定量する方法であって、検量線の作成の際の測定データの解析処理においてLogit解析法を用いる方法であれば、反応条件、測定条件、用いるライセート試薬の種類等には特に限定はされない。
【0011】
ライセート試薬を用いるライセート試薬反応性物質の測定方法とは、ライセート試薬とエンドトキシン、β-グルカン等ライセート試薬反応性物質とが反応することにより、ライセート試薬に含有されている複数の因子により構成されているカスケード反応(本明細書において、この一連のカスケード反応をリムルス反応と称する。)が惹起され最終的に反応液が凝固(ゲル化)する現象又はライセート試薬に添加したペプチド合成基質が水解される現象を利用し、ライセート試薬反応性物質を測定する方法である。
【0012】
リムルス反応の反応条件については、リムルス反応が進行し得る条件であれば良く、当業者が適宜選択及び設定する事が可能であり特に限定されない。
【0013】
カイネティック法を用いた本発明測定方法では、反応測定データの処理において反応量と関連づける指標の違いにより反応時間法及び反応速度法での測定が可能である。反応時間法とは、反応開始直後から予め定めた反応量に達するまでの経過時間と、その間の予め定めた反応量とを関連づけることにより測定対象物質の濃度を算出する方法である。また、反応速度法とは、予め定めた一定時間内に起こる反応において、反応量の一定の時間当たりの変化率を求め、当該値を反応量と結びつけることにより測定対象物質の濃度を算出する方法である。
【0014】
また、反応時間法及び反応速度法各々について、反応量を測定するパラメーターとしてライセート試薬が示す上述の現象のどちらを利用するかにより、ゲル化に伴う濁度の変化を利用する比濁法とペプチド合成基質を水解する現象を利用する比色法とに大別される。各々、濁度や吸光度などを測定することにより反応量の測定が行われ、例えば、比色反応速度法では検体濃度と生成する色素量(具体的には吸光度)の変化率との関係で表される検量線を、また、比濁反応時間法では検体濃度と一定のゲル化度(具体的には一定の濁度)に到達する時間との関係で表される検量線などが用いられる。
【0015】
本発明測定方法においては、カイネティック法である限り何れにも用いる事が可能であり、比濁反応時間法、比濁反応速度法、比色反応時間法及び比色反応速度法何れかに限定されることは無いが、比色反応速度法、比濁反応時間法が好ましい。
【0016】
ライセート試薬とは、カブトガニ血リンパ液から得られる血球抽出物を利用したリムルス試薬反応性物質測定用の試薬である。本発明方法に用いることが可能なライセート試薬は、カブトガニ血リンパ液から得られた血球抽出物(ライセート)から成るものであれば特に限定されず、当該ライセートを加工したものでも良い。つまり、目的とする測定対象物質との反応に最適な様にライセート試薬を適宜調製又は加工しても良く、酸、塩基、緩衝剤等を添加しpHを調製したり、エンドトキシンを特異的に測定する際にはβ-グルカンと反応するG因子を除去又は不活化させたライセート試薬を用いることも可能であり、逆に、β-グルカンを特異的に測定する際にはエンドトキシンと反応するC因子を除去又は不活化させたライセート試薬を用いる事も可能である。
【0017】
更に、リムルス反応にはその適当量が必須であると知られているカルシウムやマグネシウムの様な2価金属イオンの適当量を添加したり、また、カスケード反応により生成するクロッティングエンザイムの基質となるペプチド合成基質、例えば、t-ブトキシカルボニル−ロイシル−グリシル−アルギニン−パラニトロアニリド(Boc-Leu-Gly-Arg-pNA)等を添加したライセート試薬を用いる事も可能である。市販されているリムルス試薬を用いる事も可能であり、上記2価金属塩やペプチド合成基質を使用時に添加する様なキット化されたものも用いることが可能である。
【0018】
なお、合成基質t-ブトキシカルボニル−ロイシル−グリシル−アルギニン−パラニトロアニリド(Boc-Leu-Gly-Arg-pNA)を添加したライセート試薬を用いた場合、反応量は、リムルス反応により生成するクロッティングエンザイムが当該合成基質のアミド結合を水解して遊離させたパラニトロアニリン(以下、「pNA」とも記載する。発色物質)の吸光度を測定することにより定量することが出来る。また、他にも合成基質として、pNA等の発色性残基を有する上記合成基質とクロッティングエンザイムの作用において類似するアミノ酸配列を有するAc−Ile−Glu−Ala−Arg、Boc−Val−Pro−ArgやBoc−Val−Ser−Gly−Argなどのペプチド合成基質、又は、これと同一若しくは類似の配列のペプチドであって、C末端のアミノ酸のカルボキシル基に発色性残基の代わりに公知の発蛍光性残基、発光性残基、アンモニアなどがアミド結合により置換した基質を用いることも出来る。
【0019】
リムルス反応の生成物の量の変化を正確に反映し、反応の進行度合い(反応量)を測定するのに用いる反応パラメーター値としては、反応溶液の吸光度、濁度、透過光量、蛍光偏光、蛍光消光又は散乱光量などの他、反応の結果変化したpH、伝導度、比電離及び比抵抗などの測定値を用いることが出来、更に、磁気又は電気信号に変換、増幅しうる反応パラメーター値も利用可能である。中でも本発明方法においては、吸光度、濁度又は透過光量を測定することがより好ましい。
【0020】
当該反応パラメーター値を測定する方法としては、反応パラメーター値を測定することが出来る測定装置であれば特に限定されないが、分光光度計、吸光光度計、蛍光光度計、化学発光測定装置、濁度測定装置、粘度測定装置等があげられる。
【0021】
反応パラメーター値の測定条件については、反応の進行度合い(反応量)の測定が適切に行えさえすれば良く、当業者が適宜選択可能である。
本発明測定方法で測定可能な物質は、ライセート試薬に反応性を有する物質であれば特に限定されないが、エンドトキシン、β-グルカン等があげられる。
【0022】
なお、本発明測定方法は、エンドトキシン、β-グルカン等のリムルス試薬反応性物質を測定する方法である限り、ライセート試薬を用いるリムルス反応に基づく測定法には限定されない。
【0023】
本発明測定方法では、検量線作成の条件(計算式)としてLogit解析法を用いる。本発明方法に用いるLogit解析法とは、各濃度の標準液の測定データを下記計算式によりLogit変換し、直線のグラフを作成する方法であり、計算式は、
▲1▼Logit(Y)=Log(Y/(K−Y))=A(Log(X))+B、又は、Logit(Y)=Log(Y/(K−Y))=A(Log(X*1000))+B
▲2▼Logit(Log(Y))=Log(Ln(Y*1000)/(K−Ln(Y*1000)))=A(Log(X))+B、又は、Logit(Log(Y))=Log(Log(Y*1000)/(K−Log(Y*1000)))=ALog(X*1000)+B、
▲3▼Logit(Log(Log(Y))=Log(Ln(Log(Y*1000))/(K−(Ln(LogY*1000)))=ALog(X*1000)+B、又は、Logit(Log(Log(Y))=Log(Ln(Log(Y*1000))/K−(Ln(LogY*1000)))=A(Log(X))+B
等で表される。式中、Xは濃度、Yは測定値(反応値)、Kは定数、Aは定数(検量線の勾配)、Bは定数(Y軸との切片)を示し、Logは常用対数、Lnは自然対数を示し、式中*は掛け算を意味する。
【0024】
なお、一般式としては、Logit(Y)=Log(Y/(K−Y))=A(Log(X))+Bで表され、Yは測定値又は測定値を基に算出した変換値、Xは濃度を示す。
【0025】
本発明測定方法ではLogit解析法を用いて作成される検量線の2つの変数の直線的な関係の強さを表す相関係数(r)は0.9990〜1.0000であり、非常に精度が高い。
【0026】
本発明測定方法は、反応速度法、反応時間法、又は、比色法、比濁法の違いに拘わらず、Logit解析法による単一の直線の検量線を作成するだけで、エンドトキシンでは0.0002〜100EU/mL、より好ましくは0.001〜50EU/mL、また一方、β-グルカンでは0.5〜8,000pg/mL、より好ましくは1〜4,000pg/mLの広範囲に渡る濃度のライセート試薬反応性物質の測定に用いることが可能である。
【0027】
また、検量線作成には、ライセート試薬反応性物質(標準物質)の少なくとも3種類の異なる濃度の標準液による測定データがあれば良く、検体を希釈する等の煩雑な手間も不要となる。例えば、リムルス反応を用いる測定法の測定データ処理方法として信頼性が高い反応速度法に関しては、従来は感度と定量性に優れる反面、測定範囲が限定され、検体によっては適宜希釈を要するなど煩雑な面もあった。しかし、本発明測定方法を用いることにより、測定範囲は大幅に広がり、精度も高く、検体の希釈等の手間も不要となる。その為、操作時間の短縮とコストの低減となり、かつ希釈による失活や容器への吸着も含めた誤差も無くなり、精度の向上にもつながるものである。
【0028】
反応測定データの処理条件や測定データの演算範囲の設定は、目的対象物質の種類や検体の種類に従い当業者が適宜設定可能である。例えば、一定の反応量に達する反応経過時間と反応量の関係がS字状を示すことが知られているカスケード反応において、反応開始付近の立ち上がり部分と反応終了付近の頭打ちの部分のデータによる誤差を考慮する為、上記の立ち上がり部分と頭打ち部分のデータを除いて解析する特開平11―290095記載の方法等を用いることも可能である。
【0029】
また、本発明方法であるLogit解析法(Logit-Log解析法とも呼ばれている)や各種条件設定などをソフトウェア化し、かかるソフトウェアが搭載された一般的な酵素反応測定装置を用いる事も可能である。
【0030】
本発明測定方法で測定可能な検体は、ライセート反応性物質が含まれる可能性があり、本発明測定方法で測定可能な物質を含有する溶液であれば特に限定されないが、水、臨床透析液、輸液、注射液、血液(血清、血漿)、尿、髄液、その他医薬や医療用具等があげらる。これら検体溶液のエンドトキシンやβ-グルカン等の濃度管理や品質確認、これらの物質を定量することによるエンドトキシン血症、敗血症、真菌症等の診断に非常に有用である。
【0031】
【実施例】
以下、実施例により本発明をより具体的に説明する。
実施例1 比色反応速度法
ブランク液、0.0002−100EU/mLの範囲における、全13種類の異なる濃度(0.00024、0.00047、0.00094、0.00188、0.00375、0.0075、0.015、0.03、0.06、0.12、1.0、10.0、100.0EU/mL)のエンドトキシン標準液(エンドトキシン100標準品;E. coli UKT-B由来)の各50μLをトキシペットプレート(生化学工業(株)販売)のそれぞれ所定のウェルに分注し、エンドトキシン特異的ライセート試薬(エンドスペシーES-50M、生化学工業(株)販売)を50μLずつ添加して蓋をかぶせ、Wellreader SK603(生化学工業(株)販売)に装着し、リムルス反応による反応量(吸光度の変化)をKinetic Assayモード(反応速度法;Rate Assay)、2波長(405−492nm)で37℃、30分間自動測定を行った。その測定値(吸光度変化率;mAbs/min)を本発明のLogit解析法と従来のSimple法でそれぞれ解析し検量線を作成した。
【0032】
尚、Wellreader SK603におけるLogit法及びSimple法での解析パラメーターは下記の通り設定した。
Figure 0003989404
【0033】
Blank(negative control) Subtration:Onとは、ブランク液による測定値を標準液や検体による測定値より差し引くことを示し、また、Calc Timeとは、連続する吸光度データを用いた処理を行うときの計算対象となる範囲の設定に用い、上記の場合、吸光度測定開始後4分45秒〜30分に測定された吸光度データを用いることを示す。Slice Low、Slice Highとは連続する吸光度データを用いた処理を行う時に計算対象となる吸光度の下限及び上限を設定する。
【0034】
本発明のLogit解析法と従来のSimple法による検量線をそれぞれ図1、図2に示した。本発明のLogit解析法では相関係数r=0.9998と非常に良好な直線性を示した。一方、従来のSimple法ではr=0.9768と極めて悪く、検体を定量することは出来なかった。尚、Simple法による検量線解析とは、各濃度の標準液の測定データを基に最小二乗法により直線化する解析法であり、下記計算式により表される。
【0035】
Y=AX+B
【0036】
実施例1(比色反応速度法)において、Xは標準液の濃度で、Yは測定値(吸光度変化率;mAbs/min)であり、Aは定数(検量線の勾配)であり、Bは定数(検量線におけるY軸との切片)である。
【0037】
更に、上述の全13種類の異なる濃度のエンドトキシン標準液の内、0.00094、0.12、10EU/mLの3つの濃度の測定値をLogit法解析し検量線を得、その他の10種類の濃度のエンドトキシン標準液を検体として定量を行った。結果を図3及び表1に示した。3つの異なる濃度のエンドトキシン標準液の測定値を基に作成した検量線はr=1.0000と極めて良好な直線となった。また、その検量線から算出された他の10種類の異なる濃度の検体のエンドトキシン濃度は、その理論値に対する相対活性が86.1%〜104.6%の間となり、0.0002〜100EU/mLを高精度で定量出来る事が判明した。
【0038】
【表1】
[表1]
Figure 0003989404
【0039】
(相対活性は、検量線より算出した検体のエンドトキシン濃度÷検体のエンドトキシン濃度理論値X100により算出した。)
【0040】
実施例2:比濁反応時間法
ブランク液、0.002〜100EU/mLの範囲における全12種類の異なる濃度(0.0019531、0.0039062、0.0078125、0.015625、0.03125、0.0625、0.125、0.25、0.5、1.0、10.0、100.0EU/mL)のエンドトキシン標準液(エンドトキシン100標準品;E. coli UKT-B由来)の各100μLをトキシペットプレート(生化学工業(株)販売)のそれぞれ所定のウェルに分注し、エンドトキシン特異的ライセート試薬(Pyroturb−ES、生化学工業(株)販売)を100μLずつ添加して蓋をかぶせ、Wellreader SK603に装着し、リムルス反応による反応量(吸光度の変化)をKinetic Assayモード(反応時間法;Delta-T Assay)、2波長(405−660nm)で37℃、60分間自動測定した。その測定値(分;min)を本発明のLogit解析法と従来のSimple法でそれぞれ解析し検量線を作成した。
【0041】
尚、実施例1と同様にWellreader SK603における解析パラメーターを、Logit法及びSimple法共に下記の通り設定した。
Figure 0003989404
【0042】
本発明のLogit法と従来法であるSimple法による検量線をそれぞれ図4、図5に示した。本発明のLogit解析法では相関係数r=−0.9994と高精度で良好な直線性を示し、0.002〜100EU/mLの広い濃度範囲においてエンドトキシンが定量出来ることが明らかである。一方、従来法であるSimple法では相関係数r=−0.9947とかなり精度が低く、この様な広い範囲のエンドトキシンの定量は難しい。
【0043】
尚、Simple法による検量線は、Y=AX+Bで表され、実施例2(比濁反応時間法)において、Xはエンドトキシン標準液の濃度で、Yは測定値(分;min)であり、Bは定数(検量線におけるY軸との切片)である。
【0044】
実施例3
8,000〜0.5pg/mLの2倍段階希釈シリーズの15種類の異なる濃度のβ-グルカン標準液(CSBG;Candida albicans IFO1385の細胞壁由来の(1→3)-β-D-グルカン)を調製した。調製したβ-グルカン標準液、ブランク液の各25μLをトキシペットプレートのそれぞれ所定のウェルに分注し、β-グルカン特異的ライセート試薬(ファンギテックGテストMK、生化学工業(株)販売)を100μLずつ添加して蓋をかぶせ、Wellreader SK603に装着し、リムルス反応による反応量(吸光度の変化)をKinetic Assayモード(反応速度法;Rate Assay)、2波長(405−492nm)で37℃、40分間、自動測定した。調製したβ-グルカン標準液の0.5、2.0、7.8、31.3、125.0、500.0、2000.0、8000.0pg/mLの4倍段階希釈シリーズの8種類の異なる濃度による測定値を本発明のLogit法と従来のSimple法でそれぞれ解析し検量線を作成した。また、その他の7種類の異なる濃度のβ-グルカン標準液を検体として定量を行った。
【0045】
尚、実施例1同様にWellreaderにおける解析パラメーターは、Logit解析法及びSimple法共に下記の通り設定した。
Figure 0003989404
【0046】
本発明のLogit法及び従来のSimple法による検量線をそれぞれ図6、図7に示した。本発明のLogit解析法では、8種類の異なる濃度のβ-グルカン標準液により作成した検量線の相関係数はr=0.9999で高精度で非常に良好な直線性を示したが、従来のSimple法ではr=0.9141とかなり精度が低かった。
【0047】
これらの検量線から検量線作成に用いなかった7種類の異なる濃度の標準液(検体)のβ-グルカン濃度を算出した結果をそれぞれ表2−1(Logit法)、表2−2(Simple法)に示した。この表から明らかな様にLogit法では、検体の理論値に対する相対活性は92.6〜106.6%の間であり、0.5〜8,000pg/mLまで高い精度で定量出来ることが判明したが、従来法(Simple法)では、その相対活性は15.2〜489.3%という大きなバラツキを示し、全く定量することが出来なかった。
【0048】
【表2】
[表2−1]
Figure 0003989404
【0049】
(尚、相対活性は、検量線より算出した検体のβ-グルカン濃度÷検体のβ-グルカン濃度の理論値X100にて算出した。)
【0050】
【表3】
[表2−2]
Figure 0003989404
【0051】
(尚、相対活性は、検量線より算出した検体のβ-グルカン濃度÷検体のβ-グルカン濃度の理論値X100にて算出した。)
【0052】
【発明の効果】
カイネティック法を用いるライセート試薬反応性物質の測定において、検量線作成の解析法(演算法)としてLogit解析法を用いる本発明測定方法は、Logit解析法により作成された単一の検量線により、広い濃度範囲にわたる検体濃度の測定が高精度で可能である。また、本発明測定方法における検量線の作成には、少なくとも検量線作成用として3種類の異なる標準液による測定データがあれば良く、標準液の調製や希釈にかかる手間やその希釈操作による容器への吸着並びに失活による誤差や標準液と反応させる試薬等が従来より大幅に削減される為、ライセート試薬反応性物質であるエンドトキシンやβ-グルカン等の濃度管理や品質確認等に用いるのに簡便で且つ有用である。
【0053】
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は、実施例1において全13種類の異なる濃度のエンドトキシン標準液の測定データに基づきLogit解析法により作成した検量線であり、縦軸は1分間あたりの吸光度変化率(mAbs/min)、横軸はエンドトキシン濃度(EU/mL)を示す。
【図2】 図2は、実施例1において全13種類の異なる濃度のエンドトキシン標準液の測定データに基づきSimple法により作成した検量線であり、縦軸は1分間あたりの吸光度変化率(mAbs/min)、横軸はエンドトキシン濃度(EU/mL)を示す。
【図3】 図3は、実施例1において0.00094、0.12、10EU/mLの3種類のエンドトキシン標準液の測定データに基づきLogit解析法により作成した検量線であり、縦軸は1分間あたりの吸光度変化率(mAbs/min)、横軸はエンドトキシン濃度(EU/mL)を示す。
【図4】 図4は、実施例2において全12種類の異なる濃度のエンドトキシン標準液の測定データに基づきLogit解析法により作成した検量線であり、縦軸は活性化時間(min)、横軸はエンドトキシン濃度(EU/mL)を示す。
【図5】 図5は、実施例2において全12種類の異なる濃度のエンドトキシン標準液の測定データに基づきSimple法により作成した検量線であり、縦軸は活性化時間(min)、横軸はエンドトキシン濃度(EU/mL)を示す。
【図6】 図6は、実施例3において全8種類の異なるβ-グルカン標準液の測定データに基づきLogit解析法により作成した検量線であり、縦軸は1分間あたりの吸光度変化率(mAbs/min)、横軸はβ-グルカン濃度(pg/mL)を示す。
【図7】 図7は、実施例3において全8種類の異なるβ-グルカン標準液の測定データに基づきSimple法により作成した検量線であり、縦軸は1分間あたりの吸光度変化率(mAbs/min)、横軸はβ-グルカン濃度(pg/mL)を示す。

Claims (4)

  1. カイネティック法によるライセート試薬反応性物質の測定において、下記式(1)〜(3)から選択されるいずれか1つの式によってロジット解析を行うことにより検量線を作成するステップを少なくとも含むことを特徴とする、ライセート試薬反応性物質の測定方法;
    式(1):Logit(Y)=Log(Y/(K−Y))=A(Log(X))+B、又は、Logit(Y)=Log(Y/(K−Y))=A(Log(X×1000))+B、
    式(2):Logit(Log(Y))=Log(Ln(Y×1000)/(K−Ln(Y×1000)))=A(Log(X))+B、又は、Logit(Log(Y))=Log(Log(Y×1000)/(K−Log(Y×1000)))=ALog(X×1000)+B、
    式(3):Logit(Log(Log(Y))=Log(Ln(Log(Y×1000))/(K−(Ln(LogY×1000)))=ALog(X×1000)+B、又は、Logit(Log(Log(Y))=Log(Ln(Log(Y×1000))/K−(Ln(LogY×1000)))=A(Log(X))+B、
    (式中、Xは濃度、Yは測定値(反応値)、Kは定数、Aは定数(検量線の勾配)、Bは定数(Y軸との切片)を示し、Logは常用対数、Lnは自然対数を示す)。
  2. カイネティック法によるライセート試薬反応性物質の測定を、比色法によって行うことを特徴とする、請求項1に記載の測定方法。
  3. カイネティック法によるライセート試薬反応性物質の測定において、リムルス反応による反応量を2波長で測定することを特徴とする、請求項1又は2に記載の測定方法。
  4. ライセート試薬反応性物質が(1→3)−β−D−グルカンである、請求項1〜3のいずれか1項に記載の測定方法。
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